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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066814
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/02 20060101AFI20240509BHJP
   A47C 7/00 20060101ALI20240509BHJP
   A47C 5/10 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A47C7/02 Z
A47C7/00 A
A47C5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176536
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】山根 隆雅
(72)【発明者】
【氏名】笹崎 悟
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084AA00
(57)【要約】
【課題】ハンギング時に、天板上に座部を安定して載置できる椅子を提供する。
【解決手段】座部2と、座部2の下面2aに配置されるパイプ脚3とを有し、座部2下方の空間部Sを利用して、什器10の天板11に座部2を載置可能な椅子1であって、パイプ脚3の先端31a,31aを覆う頭部40,40と下方に延びる延設部41,41が一体に形成された緩衝部材4,4をパイプ脚3の先端31a,31aに固定した。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、前記座部の下面に配置されるパイプ脚とを有し、前記座部下方の空間部を利用して、什器の天板に前記座部を載置可能な椅子であって、
前記パイプ脚の先端を覆う頭部と下方に延びる延設部が一体に形成された緩衝部材を前記パイプ脚の前記先端に固定したことを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記頭部の前面から前記延設部の前面にかけて傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記緩衝部材は、前記パイプ脚の先端開口に挿入固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の椅子。
【請求項4】
前記緩衝部材は、前記延設部が前記パイプ脚の外周面に当接していることを特徴とする請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
前記緩衝部材は、前記延設部の下面が湾曲形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器の天板上に座部を載置して脚を床面から浮かせた状態で配置できる椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば床面上に椅子が配置された机周辺における床の清掃効率を向上させるために、机の天板上に椅子の座部を載置して脚を床面から浮かせた状態で配置(以下、「ハンギング」と表記する)することにより、床面上の障害物とならないようにした椅子が開発されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の椅子は、座部と、座部の下面に固定される側面視略コ字形のパイプ脚とを有し、座部下方に形成される空間部を利用して、机等の什器の天板上に椅子をハンギングできるようになっている。また、特許文献1の椅子には、座部の下面および座部の下面に固定されるパイプ脚を覆うように樹脂製のカバー部材が取り付けられており、椅子をハンギングする際に、天板の上面にカバー部材の下面を接触させることで、天板の上面にパイプ脚が直接接触することによる損傷から天板を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-168142号公報(第4頁~第6頁、第11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の椅子は、座部の下面に固定されるパイプ脚を覆うように下方に膨出するカバー部材の下面を天板の上面に接触させることでハンギングが行われることから、座部と天板との距離が大きく離れるため、天板上に座部を載置したときに椅子が不安定になりやすく、例えばハンギングされた椅子に人が接触することによりバランスを崩して転倒する虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ハンギング時に、天板上に座部を安定して載置できる椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の椅子は、
座部と、前記座部の下面に配置されるパイプ脚とを有し、前記座部下方の空間部を利用して、什器の天板に前記座部を載置可能な椅子であって、
前記パイプ脚の先端を覆う頭部と下方に延びる延設部が一体に形成された緩衝部材を前記パイプ脚の前記先端に固定したことを特徴としている。
この特徴によれば、パイプ脚の先端に固定された緩衝部材の延設部が什器の天板の上面に当接することにより、座部と天板との距離が近くなるため、ハンギング時に、天板上に座部を安定して載置することができる。
【0008】
前記緩衝部材は、前記頭部の前面から前記延設部の前面にかけて傾斜していることを特徴としている。
この特徴によれば、ハンギング時に、什器の天板の縁部に緩衝部材の前面をガイドさせることができる。
【0009】
前記緩衝部材は、前記パイプ脚の先端開口に挿入固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、緩衝部材をパイプ脚の先端に強固に固定できる。
【0010】
前記緩衝部材は、前記延設部が前記パイプ脚の外周面に当接していることを特徴としている。
この特徴によれば、緩衝部材の延設部とパイプ脚の先端開口への挿入部分との間でパイプ脚の先端開口を上下に挟圧することができるため、緩衝部材の位置ずれを抑制することができる。
【0011】
前記緩衝部材は、前記延設部の下面が湾曲形状であることを特徴としている。
この特徴によれば、ハンギング時に、延設部の下面が天板の上面と線状に接触するため、天板上を座部が滑りやすく、座部を天板上に配置しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例における椅子を示す正面図である。
図2】椅子を示す側面図である。
図3】椅子を示す底面図である。
図4】(a),(b)は、緩衝部材を示す斜視図である。
図5】机にハンギングされた椅子を示す側面図である。
図6】ハンギング時における緩衝部材を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る椅子を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例に係る椅子につき、図1から図6を参照して説明する。以下、図2の紙面左側を椅子の正面側(前方側)、紙面右側を椅子の背面側(後方側)として説明する。
【0015】
本実施例の椅子1は、図5に示されるように、椅子1の座部2を机10(什器)の天板11上に載置することにより、ハンギングできるものである。
【0016】
図1および図2に示されるように、椅子1は、座部2と、座部2の下面2aに配置される金属製のパイプ脚3と、から主に構成されている。なお、椅子1は、座部2下方に形成される空間部Sを利用して、机10の天板11上に座部2を載置できるようになっている。
【0017】
図2に示されるように、座部2は、上面側に座面2bが形成される座本体20と、座本体20の後端から反り上がるように延設された腰当て25が一体形成されている。なお、腰当て25には、上端部の略中央において左右方向に延びる楕円形の貫通孔25a(図1参照)が形成されており、貫通孔25aを利用して腰当て25の上端部を把持することにより、椅子1を持ち運びしやすくなっている。
【0018】
図2および図3に示されるように、座本体20の下面には、下方に突出する略矩形の枠部20aが形成されている。枠部20a内には、前方側に金属板21が配置され、ボルト23,23によって座本体20の下面に固定されるとともに、後方側に金属板22が配置され、ボルト24,24によって座本体20の下面に固定されている。
【0019】
金属板21は、枠部20aの下端部に形成された金属板21の厚みと略同一寸法の高さを有する切り欠き状の段部20bと、枠部20a内に形成されるリブ20cおよびボルト受け20dの下端に当接した状態でボルト23,23によって座本体20の下面に固定されている(図6参照)。なお、説明の便宜上、詳細な説明を省略するが、後方側の金属板22についても金属板21と同様の構成により座本体20の下面に固定されている。また、金属板21,22の固定には、リベット等の他の固定手段を用いてもよい。
【0020】
このように、本実施例においては、座本体20の下面に固定される金属板21,22の下面と、枠部20aの下端が略同一平面上に配置されている。また、本実施例においては、座部2の実質的な下面2aを構成している前後の金属板21,22の下面にそれぞれ金属製のパイプ脚3が溶接されている。
【0021】
図1図3に示されるように、パイプ脚3は、2本の金属製パイプが側面視前向き略コ字形に曲げ形成された左右の脚30,30’から主に構成されており、左右の脚30,30’の間に連結杆37が溶接されることにより一体に形成されている。さらに、左右の脚30,30’の上端部である固定部31,31が前後の金属板21,22にそれぞれ溶接されることにより、座部2の下面2aとパイプ脚3が一体に形成され強度が高められている。なお、左右の脚30,30’は、略同一構成であるため、正面側から見て右側の脚30の構成について説明し、左側の脚30’の説明は省略する。
【0022】
脚30は、後方に向けて僅かに上方向に傾斜しながら延びる固定部31と、固定部31の後端から下方かつ外側に向けて曲げられた上方曲げ部32と、上方曲げ部32の下端から下方に向けて外側かつ後方に傾斜しながら延びる支持部33と、支持部33の下端から前方に向けて曲げられた下方曲げ部34と、下方曲げ部34の前端から前方に向けて略水平に延びる接床部35と、から側面視前向き略コ字形に形成されている。
【0023】
固定部31の前端開口31aには、合成樹脂製の緩衝部材4が取り付けられている。また、固定部31の後方側には、合成樹脂製の天板保護部材5が取り付けられている。
【0024】
接床部35には、前後下端にそれぞれキャスタ36,36が取り付けられている。また、接床部35の前端開口35aには、上方の固定部31の前端開口31aに取り付けられる緩衝部材4と同一の緩衝部材4’が取り付けられている。なお、緩衝部材4,4’は、同一構成であるため、固定部31の前端開口31aに取り付けられる緩衝部材4の構成について説明し、接床部35の前端開口35aに取り付けられる緩衝部材4’の説明は省略する。
【0025】
図4および図6に示されるように、緩衝部材4は、固定部31の前端開口31aを塞ぐように覆う頭部40と、頭部40の下端部から下方に突出し、固定部31の下端に沿って延びる延設部41と、頭部40の背面40bから突出し、固定部31の前端開口31aに挿入(圧入)される円筒状の挿入部42と、を一体に有している。なお、本実施例において、緩衝部材4は、ボルト等の固定手段を用いることなく、固定部31の前端開口31aに挿入(圧入)固定されているが、固定手段を用いて固定するものであってもよい。
【0026】
頭部40は、脚30(固定部31)と外径寸法が略同一に形成されている。すなわち、緩衝部材4が固定部31の前端開口31aに挿入固定された状態で、頭部40の上端が座部2の下面2a(金属板21の下面)に当接している。
【0027】
また、頭部40は、前面40aが下方、すなわち延設部41に向けて背面側に傾斜している。すなわち、頭部40は、上端側が下端側よりも前後方向に長寸に形成されている。
【0028】
延設部41は、頭部40の下端部から下方に突出しており、緩衝部材4が固定部31の前端開口31aに挿入固定された状態で、脚30(固定部31)の外径よりも下方に突出するように形成されている。また、延設部41は、下面41aが湾曲形状である。また、延設部41は、固定部31の下端に沿って延びており、その上面41bが少なくとも固定部31の下端に沿って脚30の外周面に密着している。
【0029】
また、延設部41の先端部(後端部)は、上面41b側が面取りされている。これにより、緩衝部材4を固定部31の前端開口31aに取り付ける際に、延設部41の先端部が固定部31の前端外縁にガイドされることにより、緩衝部材4の挿入固定を行いやすくなっている。
【0030】
また、延設部41は、前面41cが上述した頭部40の前面40aと連続して下方に向けて背面側に傾斜している。すなわち、緩衝部材4は、頭部40の前面40aから延設部41の前面41cにかけて傾斜している。
【0031】
挿入部42は、頭部40の背面40bから突出し、頭部40よりも小径、詳しくは脚30(固定部31)の先端開口すなわち内径と同一寸法または脚30(固定部31)の内径よりも僅かに大きい外径寸法を有する円筒状に形成されている。なお、挿入部42の先端部(後端部)は、外周部分が面取りされており、緩衝部材4を固定部31の前端開口31aに取り付ける際に、挿入部42の先端部が固定部31の前端内縁にガイドされるため、緩衝部材4の挿入固定を行いやすくなっている。
【0032】
また、図6に示されるように、緩衝部材4が固定部31の前端開口31aに挿入固定された状態で、頭部40の背面40bと固定部31の前端が環状に当接し、延設部41と挿入部42が固定部31の前端開口31aの下端側を上下に挟み込んでいる。
【0033】
なお、延設部41は、頭部40の背面40bよりも後方側に延びる部分、言い換えれば、挿入部42と上下に対向して延びる部分における前後方向の長さ(軸方向寸法)が挿入部42の軸方向寸法以下であることが好ましい。さらに、延設部41の上面41bを脚30の外周面に沿って確実に密着させる観点から、延設部41は、挿入部42の軸方向寸法の1/2~1/3程度の長さであることがより好ましい。
【0034】
また、延設部41の周方向寸法は、脚30(固定部31)の外周寸法の半分以下であることが好ましい。さらに、延設部41を天板11の上面11aに接触させた状態のまま、座部2を滑らせて移動させる際に、延設部41の変形や破損を抑制する観点から、延設部41は、脚30(固定部31)の外周寸法の1/4~1/8程度の周方向寸法であることがより好ましい。
【0035】
また、延設部41の上下の厚みは、延設部41と挿入部42により固定部31の前端開口31aを上下に挟み込み、緩衝部材4の位置ずれを抑制する観点から、脚30(固定部31)の肉厚の1~3倍程度の厚みであることが好ましい。
【0036】
図3および図5に示されるように、天板保護部材5は、固定部31の後方側において固定部31の下端に沿って延びる底面視小判形に形成されている。また、天板保護部材5の下面5aは、平坦面として形成されている。また、天板保護部材5の上面は、脚30(固定部31)の外周面に沿った湾曲形状に形成されている。
【0037】
また、天板保護部材5は、前方側のリベット50と後方側のボルト51によって脚30(固定部31)に固定されており、天板保護部材5の上面は、脚30の外周面に接触している。
【0038】
次いで、本実施例の椅子1を机10の天板11上にハンギングする際の態様について詳しく説明する。
【0039】
まず、貫通孔25aを利用して腰当て25の上端部を把持する等して、椅子1を持ち上げる。次に、座部2の下方に形成される空間部Sを利用して座部2を机10の天板11上に載置することにより、椅子1をハンギング状態で配置することができる(図5および図6参照)。
【0040】
本実施例の椅子1は、ハンギング時に、延設部41,41の下面41a,41aと天板保護部材5,5の下面5a,5aが天板11の上面11aに4箇所で当接している。すなわち、天板11に固定部31,31が直接接触することによる天板11の損傷が防止されている。
【0041】
以上説明したように、椅子1は、パイプ脚3(脚30,30’)の先端を覆う頭部40と下方に延びる延設部41が一体に形成された緩衝部材4,4をパイプ脚3の先端に固定している。これによれば、パイプ脚3の先端に固定された緩衝部材4,4の延設部41、41が机10の天板11の上面11aに当接することにより、座部2と天板11との距離が近くなるため、言い換えると椅子1の重心が低くなるため、ハンギング時に、天板11上に座部2を安定して載置することができる。
【0042】
また、椅子1は、ハンギング時に、延設部41,41の下面41a,41aと天板保護部材5,5の下面5a,5aが天板11の上面11aに4箇所で当接しているため、天板11上に座部2を安定して載置することができる。
【0043】
また、天板保護部材5は、前後方向に長い底面視小判形に形成されることにより、ハンギング時に、パイプ脚3の左右に取り付けられた天板保護部材5,5を支点とする椅子1の前後揺れを抑制することができるため、天板11上に座部2をより安定して載置することができる。
【0044】
また、緩衝部材4は、頭部40の前面40aから延設部41の前面41cにかけて傾斜している。これによれば、ハンギング時に、机10の天板11の縁部に緩衝部材4の前面をガイドさせることができるため、ハンギング操作を行いやすい。すなわち、パイプ脚3の先端に固定された緩衝部材4,4は、頭部40,40によるパイプ脚3の先端の保護機能と、延設部41,41による机10の天板11の保護機能を一部材で両立することができる。
【0045】
また、緩衝部材4は、パイプ脚3の先端開口(固定部31の前端開口31a)に挿入固定されている。これによれば、緩衝部材4をパイプ脚3の先端に強固に固定できる。
【0046】
また、緩衝部材4は、ボルト等の固定手段を用いず、固定部31の前端開口31aに挿入部42をそれぞれ挿入(圧入)だけで取り付けることができるため、椅子1の組み立て時間を短縮することができる。
【0047】
また、緩衝部材4は、延設部41の上面41bがパイプ脚3の外周面に当接している。これによれば、緩衝部材4の延設部41とパイプ脚3の先端開口への挿入部分、すなわち挿入部42との間でパイプ脚3の先端開口を上下に挟圧することができるため、パイプ脚3の先端開口に対する緩衝部材4の回転や抜け出し等の位置ずれを抑制することができる。
【0048】
また、ハンギング時に、天板11の上面11aに当接する延設部41に下方から荷重が加わることにより、延設部41と挿入部42との間でパイプ脚3の先端開口が上下に強く挟圧されるため、天板11上に座部2が載置された状態においても、緩衝部材4の回転や抜け出し等の位置ずれをさらに抑制することができる。
【0049】
また、緩衝部材4は、頭部40の上端が座部2の下面2aを構成する金属板21の下面に当接しており、ハンギング時に、天板11の上面11aに当接する延設部41に下方から荷重が加わることにより、緩衝部材4が座部2の下面2aと天板11の上面11aとの間で上下に挟圧される。これにより、緩衝部材4の回転や抜け出し等の位置ずれをさらに抑制することができる。
【0050】
また、緩衝部材4は、延設部41の下面41aが湾曲形状である。これによれば、ハンギング時に、延設部41の下面41aが天板11の上面11aと線状に接触するため、天板11上を座部2が滑りやすく、座部2を天板11上に配置しやすい。さらに、パイプ脚3の先端に固定される左右の緩衝部材4,4を高精度で位置合わせする必要がなく、取り付けが容易である。
【0051】
また、椅子1は、ハンギング時に、机10の天板11の上面11aに延設部41,41の下面41a,41aと天板保護部材5,5の下面5a,5aが接触することにより、机10の天板11を保護しつつ、延設部41,41の下面41a,41aと天板保護部材5,5の下面5a,5aを介して固定部31,31に上方向の荷重を与えることができ、座部2の下面2aから固定部31,31が離れようとする方向に力が作用しないため、座部2とパイプ脚3との間に負担がかかりにくく、耐久性に優れる。
【0052】
また、接床部35の前後下端にはキャスタ36,36がそれぞれ配設されており、接床部35の前端開口35aには、緩衝部材4と同一の緩衝部材4’が取り付けられている。これによれば、固定部31の前端開口31aに取り付けられる緩衝部材4と同一の緩衝部材4’を接床部35の前端開口35aに取り付けることにより、緩衝部材4’による接床部35の先端の保護機能と、延設部41’によるキャスタ36の取付軸の保護機能を一部材で両立することができる。
【0053】
また、椅子1は、緩衝部材4,4と同一の緩衝部材4’,4’を使用することにより、低コスト化を実現できる。
【0054】
また、図1および図2に示されるように、左右の接床部35,35の外径よりも下方に突出するように形成される緩衝部材4’,4’の延設部41’,41’により、キャスタ36,36の取付軸および接床部35,35におけるキャスタ取付部分と、緩衝部材4’,4’が一体的に見えるため、体裁の良い椅子1を提供することができる。また、外部からの接触を受けやすいキャスタ取付部分の前方側を緩衝部材4’,4’の延設部41’,41’により保護することができる。
【0055】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0056】
例えば、前記実施例では、緩衝部材4が固定部31の前端開口31aに挿入部42を挿入固定される態様について説明したが、これに限らず、緩衝部材はパイプ脚の先端に固定されるものであれば、挿入部を有していなくてもよい。
【0057】
また、前記実施例では、緩衝部材4の頭部40が固定部31の前端開口31aを全て覆うものとして説明したが、これに限らず、緩衝部材の頭部はパイプ脚の先端開口の保護機能を有していれば開口を全て覆っていなくてもよい。
【0058】
また、前記実施例では、固定部31,31の後方側に天板保護部材5,5がそれぞれ取り付けられる態様について説明したが、これに限らず、天板保護部材は自由に構成されてよく、例えば、天板保護部材は左右方向に長尺に形成され、左右の固定部を連結する1つの部材として構成されてもよい。
【0059】
また、前記実施例では、固定部31,31に取り付けられる緩衝部材4,4と、接床部35,35に取り付けられる緩衝部材4’,4’が同一であるものとして説明したが、これに限らず、例えば接床部に取り付けられる緩衝部材は、キャスタ取付軸や接床部におけるキャスタ取付部分と干渉しないように延設部や挿入部の形状が一部変更されてもよい。なお、接床部への取り付けのために形状が一部変更された緩衝部材と同一の緩衝部材を固定部に適用してもよい。
【0060】
また、緩衝部材の挿入部は、外周面に凹凸や切り欠きが形成されていてもよい。また、挿入部は、円筒状に形成されるものに限らず、例えば多角形筒状であってもよい。
【0061】
また、前記実施例では、座部2を構成する座本体20の枠部20a内には、前後に2枚の金属板21,22が配置されるものとして説明したが、これに限らず、例えば枠部内に配置される金属板は1枚であってもよい。なお、座部が金属により形成される場合、金属板の構成を省略し、金属製の座の下面にパイプ脚が直接溶接されてもよい。
【0062】
また、座部の下面に対するパイプ脚の固定は溶接によるものに限らず、例えばボルトによって固定されてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、パイプ脚3が側面視前向き略コ字形のものとして説明したが、これに限らず、パイプ脚が側面視後向き略コ字形のものとしてもよく、この場合パイプ脚の固定部の後端開口に緩衝部材が固定されてもよい。
【0064】
また、前記実施例では、椅子1は、机10の天板11上にハンギングされる態様について説明したが、これに限らず、椅子の座部を載置可能なものであれば、例えば棚等の什器の載置部上にハンギングされてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 椅子
2 座部
2a 下面
3 パイプ脚
4,4’ 緩衝部材
5 天板保護部材
5a 下面
10 机(什器)
11 天板
11a 上面
20 座本体
20a 枠部
21,22 金属板
30,30’ 脚
31 固定部
31a 前端開口
35 接床部
35a 前端開口
36 キャスタ
40 頭部
40a 前面
41 延設部
41a 下面
41b 上面
41c 前面
42 挿入部
S 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6