(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066822
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電磁弁の製造方法及び加締め治具
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240509BHJP
B21D 39/04 20060101ALI20240509BHJP
B21D 53/88 20060101ALN20240509BHJP
【FI】
F16K31/06 305K
B21D39/04 B
F16K31/06 305A
B21D53/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176555
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井藤 孝典
(72)【発明者】
【氏名】岩本 将文
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB32
3H106EE35
3H106JJ05
(57)【要約】
【課題】筒体を高い精度で縦に加締めることが可能な電磁弁の製造方法及び加締め治具を提供する。
【解決手段】加締め時に、加締め治具71の加締め部81の第2押圧部89の内円筒面にバルブケース61(第2の筒体)の端部62を嵌合させることにより、バルブケース61を円筒形の加締め治具71に対して同軸に位置決めさせる。これにより、バルブケース61の端部62を全周にわたって均一に縦に加締めることができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周にその周方向に沿って延びる溝部が設けられる第1の筒体と、前記溝部に嵌合される嵌合部が端部に設けられる第2の筒体と、を備える電磁弁の製造方法であって、
前記第2の筒体に前記第1の筒体を挿入する工程と、
前記第1の筒体の外周を覆い、前記第2の筒体側の端部から前記第1の筒体側に向かって延びる第1押圧部と、該第1押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第2押圧部と、該第2押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第3押圧部と、を有する加締め部を備えた加締め治具によって、前記第2の筒体の端部を前記溝部に加締める工程と、
を備えることを特徴とする電磁弁の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁弁の製造方法であって、
前記第1押圧部は、前記第2の筒体側に設けられる第1湾曲部と、該第1湾曲部に接続されるテーパ部と、によって形成されることを特徴とする電磁弁の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電磁弁の製造方法であって、
前記第2押圧部と前記第3押圧部との間は、第2湾曲部によって接続されることを特徴とする電磁弁の製造方法。
【請求項4】
外周にその周方向に沿って延びる溝部が設けられる第1の筒体と、前記溝部に嵌合される嵌合部が端部に設けられる第2の筒体と、を備える電磁弁の製造方法に用いられる加締め治具であって、
前記第1の筒体の外周と前記第2の筒体の端部とを覆い、前記第2の筒体側の端部から前記第1の筒体側に向かって延びる第1押圧部と、該第1押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第2押圧部と、該第2押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第3押圧部と、を有する加締め部によって、前記第2の筒体の端部を前記溝部に加締めることを特徴とする加締め治具。
【請求項5】
請求項4に記載の加締め治具であって、
前記第1押圧部は、前記第2の筒体側に設けられる第1湾曲部と、該第1湾曲部に接続されるテーパ部と、によって形成されることを特徴とする加締め治具。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の加締め治具であって、
前記第2押圧部と前記第3押圧部との間は、第2湾曲部によって接続されることを特徴とする加締め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、緩衝器の減衰力調整装置として使用される電磁弁の製造方法及び該製造方法に用いられる加締め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カシメ治具90によって第2のケース70を抑えながら第1のケース10のカシメ部13を徐々に押圧し、最後に、第1のケース10のカシメ部13をしっかり押圧することで、第1のケース10のカシメ部13を第2のケース70のフランジ部71にかしめ固定するようにした電磁弁の製造方法(以下「従来の製造方法」と称する)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004―316746号公報
【特許文献2】特開2019-027460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の製造方法では、第1のケース10の外側面とカシメ治具90との間に径方向の隙間があるため、加締め時に、第1のケース10がカシメ治具90に対して芯ずれし易く、カシメ部13を全周にわたって縦(軸線に沿う方向)に均一に加締めることが困難である。また、当該隙間に起因して、カシメ部13を縦に加締める時に、第1のケース10が径方向に膨らむ虞がある。さらに、特許文献2の
図2に示されるようにバルブケース41の開口縁部が拡開されている場合、当該開口縁部(大径部50)の外径が加締め治具の内径よりも大きいため、バルブケース41を縦(軸線に沿う方向)に加締めることができない。
【0005】
本発明は、筒体を高い精度で縦に加締めることが可能な電磁弁の製造方法及び加締め治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁弁の製造方法は、外周にその周方向に沿って延びる溝部が設けられる第1の筒体と、前記溝部に嵌合される嵌合部が端部に設けられる第2の筒体と、を備える電磁弁の製造方法であって、前記第2の筒体に前記第1の筒体を挿入する工程と、前記第1の筒体の外周を覆い、前記第2の筒体側の端部から前記第1の筒体側に向かって延びる第1押圧部と、該第1押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第2押圧部と、該第2押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第3押圧部と、を有する加締め部を備えた加締め治具によって、前記第2の筒体の端部を前記溝部に加締める工程と、を備える、ことを特徴とする。
また、本発明の加締め治具は、外周にその周方向に沿って延びる溝部が設けられる第1の筒体と、前記溝部に嵌合される嵌合部が端部に設けられる第2の筒体と、を備える電磁弁の製造方法に用いられる加締め治具であって、前記第1の筒体の外周と前記第2の筒体の端部とを覆い、前記第2の筒体側の端部から前記第1の筒体側に向かって延びる第1押圧部と、該第1押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第2押圧部と、該第2押圧部と接続し、前記第1押圧部と異なる形状の第3押圧部と、を有する加締め部によって、前記第2の筒体の端部を前記溝部に加締める、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電磁弁の筒体を高い精度で縦に加締めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の説明図であって、電磁弁を備えた制御弁横付型の減衰力調整式油圧緩衝器の縦断面図である。
【
図2】本実施形態の説明図であって、加締める前のバルブケースの端部及び加締め溝の形状を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る加締め治具の縦断面図である。
【
図5】本実施形態の説明図であって、加締め治具によってバルブケースの端部を加締める工程を説明するための図である。
【
図6】本実施形態の説明図であって、加締め治具によってバルブケースの端部を加締める工程を説明するための図である。
【
図7】本実施形態の説明図であって、加締め治具によってバルブケースの端部を加締める工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
ここでは、電磁弁として、
図1に示される制御弁横付型の減衰力調整式油圧緩衝器1における減衰力調整装置31を例示し、当該減衰力調整装置31(電磁弁)の製造方法、及び該製造方法に用いられる加締め治具71を説明する。便宜上、
図1における上下方向を「上下方向」と称する。
【0010】
図1に示されるように、緩衝器1は、アウタチューブ3の内側にシリンダ2が設けられた複筒構造をなし、シリンダ2とアウタチューブ3との間にはリザーバ4が形成される。シリンダ2内には、シリンダ2内をシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に区画するピストン5が摺動可能に嵌装される。緩衝器1は、下端側がピストン5に連結されて上端側がシリンダ上室2Aを通過してシリンダ2の外部へ突出されたピストンロッド6を備える。ピストンロッド6は、シリンダ2の上端部に嵌着されたロッドガイド7に挿通される。シリンダ上室2Aと外部とは、ワッシャ8に取り付けられたオイルシール9によってシールされる。
【0011】
ピストン5には、シリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとを連通する伸び側通路11及び縮み側通路12が設けられる。伸び側通路11には、シリンダ上室2A側の圧力が設定圧力に達したときに開弁してシリンダ上室2A側の圧力をシリンダ下室2B側へ逃がすディスクバルブ13が設けられる。縮み側通路12には、シリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aへの作動流体の流通を許容する逆止弁14が設けられる。
【0012】
シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられる。ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通する伸び側通路15及び縮み側通路16が設けられる。伸び側通路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への作動流体の流通を許容する逆止弁17が設けられる。縮み側通路16には、シリンダ下室2B側の圧力が設定圧力に達したときに開弁してシリンダ下室2B側の圧力をリザーバ4側へ逃すディスクバルブ18が設けられる。なお、作動流体として、シリンダ2内には油液が封入され、リザーバ4内には油液及びガスが封入される。
【0013】
シリンダ2の外周には、上下一対のシール部材19,19を介してセパレータチューブ20が取り付けられる。シリンダ2とセパレータチューブ20との間には、環状油路21が形成される。シリンダ2の上部側壁には、環状油路21とシリンダ上室2Aとを連通する通路22が設けられる。セパレータチューブ20の下部側壁には、
図1における右側(シリンダ径方向外側)へ突出する円筒形の接続口23が設けられる。アウタチューブ3の側壁には、接続口23と同軸に取付孔24が設けられる。アウタチューブ3の側壁には、取付孔24を囲むように円筒形のバルブケース61(第2の筒体)が設けられる。
【0014】
図5に示されるように、バルブケース61の開口側の端部62(嵌合部)には、円筒形のソレノイドケース41(第1の筒体)の端部42が挿入(嵌合)される。ソレノイドケース41の端部42の外側面43には、その周方向に沿って延びる環状の加締め溝51(溝部)が形成される。本実施形態では、バルブケース61の端部62をソレノイドケース41の加締め溝51に向かって加締めることにより、ソレノイドケース41とバルブケース61とが一体化(結合)される。なお、ソレノイドケース41とバルブケース61との固定部50は、筒状のカバー35(
図1参照)によって覆われる。
【0015】
図1に示されるように、バルブケース61の端部62は、他の部分に対して外径が小さく形成される。換言すれば、バルブケース61の端部62は、他の部分に対して薄肉に形成される。ここで、
図2は、バルブケース61(第2の筒体)の端部62(嵌合部)にソレノイドケース41(第1の筒体)の端部42が嵌合され、かつバルブケース61の端部62が加締められる前の状態(以下「嵌合状態」と称する)を示す。
【0016】
図2に示されるように、バルブケース61の端部62の開口縁部(先端部)には、バルブケース61の開口端に向かってバルブケース61の径方向外側(
図2における「上側」)に傾斜するように拡開された拡開部63が設けられる。加締め溝51は、一定の外径を有する底部52と、該底部52の
図2における右側の端から
図2における右方向へ向かって拡径されるテーパ部53と、底部52の
図2における左側の端から
図2における左方向へ向かって拡径されるテーパ部54と、該テーパ部54とソレノイドケース41の外周面43との間に設けられたフランジ面55と、を含む。
【0017】
次に、本実施形態に係る減衰力調整装置31(電磁弁)の製造方法に用いられる加締め治具71を説明する。
加締め治具71は、工具用炭素鋼等の材料が用いられ、
図3に示されるように、プレス装置の可動部(図示省略)に装着される一側の大径部73と、他側の小径部75と、大径部73と小径部75とを繋ぐテーパ部74と、を有する。小径部75の内周面76には、小径部75の端面77に開口する加締め部81が設けられる。加締め部81は、加締め時に、嵌合状態におけるバルブケース61の端部62の外周を覆う。
【0018】
図4に示されるように、加締め部81は、開口端84が小径部75の端面77に開口する第1押圧部83を有する。第1押圧部83は、開口端84から端面77側とは反対側(
図4における上側、第1の筒体側)に向かって軸線に沿って延びる。第1押圧部83の開口端84の内径は、バルブケース61(第2の筒体)の拡開部63の開口端の外径(最大外径)よりも大きく設定される。第1押圧部83は、開口端84側(
図4における下側、第2の筒体側)に設けられる第1湾曲部85を有する。
【0019】
第1湾曲部85は、
図4に示される断面において、その押圧面(湾曲面)が、内側(
図4における「右側」)に凸のR形状に形成され、
図4における上側(第1の筒体側)に向かって軸線に沿って縮径するようにして延びる。また、第1押圧部83は、第1湾曲部85の、開口端84側とは反対側(
図4における上側、第1の筒体側)の端に接続されるテーパ部86を有する。テーパ部86は、その押圧面(テーパ面)が開口端84側とは反対側に向かって軸線に沿って緩やかに縮径されるように延びる。
【0020】
加締め部81は、第1押圧部83と接続部88で接続される第2押圧部89を有する。第2押圧部89は、その押圧面(内円筒面)が、接続部88から
図4における上側(第1の筒体側)に向かって軸線に沿って一定の内径で延びる。第2押圧部89の内径は、バルブケース61の端部62の外径(直径が一定の円筒部分の外径)に接触する(一定の嵌め合いで嵌合する)ように設定される。
【0021】
加締め部81は、第2押圧部89と接続部90で接続される第2湾曲部91を有する。第2湾曲部91は、その湾曲面が、外側(
図4における「左側」)に凸のR形状に形成され、
図4における上側(第1の筒体側)に向かって軸線に沿って縮径するように延びる。また、加締め部81は、第2湾曲部91と接続部92で接続される第3押圧部93を有する。換言すれば、第2押圧部89と第3押圧部93との間は、第2湾曲部91によって接続される。第3押圧部93は、その押圧面(テーパ面)が、
図4における上側に向かって軸線に沿って緩やかに縮径されるように延びる。
【0022】
次に、
図4乃至
図7を参照して、加締め治具71を用いた減衰力調整装置31(電磁弁)の製造方法を説明する。ここでは、加締め治具71によって、バルブケース61(第2の筒体)の端部62(嵌合部)の開口縁部をソレノイドケース41の加締め溝51(溝部)に加締める工程を説明する。便宜上、
図5乃至
図7における上下方向を「上下方向」と称する。
【0023】
まず、アウタチューブ3を固定治具(図示省略)に固定し、該アウタチューブ3に接合されたバルブケース61(第2の筒体)の端部62(嵌合部)内に、ソレノイドケース41(第1の筒体)の端部42を嵌合させる。当該嵌合状態において、ソレノイドケース41及びバルブケース61は、プレス装置(図示省略)に装着された加締め治具71に対して同軸に位置決めされる。なお、バルブケース61には、内機部品33が予め組み付けられる。
【0024】
次に、加締め治具71を下降させる(軸線に沿って移動させる)と、
図5に示されるように、まず、加締め治具71の加締め部81の、第1押圧部83の第1湾曲部85が、バルブケース61(第2の筒体)の端部62の拡開部63の先端に接触する。そして、加締め治具71が下降するに伴い、拡開部63の先端が、第1湾曲部85の湾曲面に倣うようにして径方向内側へ案内される。このように、拡開部63が第1湾曲部85によって径方向内側へ案内されることにより、拡開部63が径方向外側へ倒れることを抑止する。
【0025】
バルブケース61の端部62の拡開部63の先端が第1押圧部83の第1湾曲部85を通過すると、第1押圧部83のテーパ部86によって、拡開部63が径方向内側に押圧される。そして、加締め治具71が下降するに伴い、径方向外側へ倒れた拡開部63が、テーパ部86のテーパ面に倣うようにして徐々に起こされる(変形する)。これにより、拡開部63は、端部62の他の部分と同一の外径となる。以下、変形後の拡開部63を先端部65と称する。加締め治具71がさらに下降すると、
図6に示されるように、バルブケース61の端部62の先端部65が、加締め治具71の加締め部81の第2押圧部89に嵌合される。
【0026】
加締め治具71がさらに下降すると、バルブケース61(第2の筒体)の端部62の先端部65が、第2湾曲部91の湾曲面に倣うようにして径方向内側へ押圧され、ソレノイドケース41(第1の筒体)の加締め溝51(溝部)に向かって径方向内側へ徐々に倒される(変形する)。このとき、バルブケース61の端部62の一部が、第2押圧部89の内円筒面に嵌合されているため、バルブケース61の端部62が径方向外側へ膨らむことを抑止する。
【0027】
加締め治具71がさらに下降すると、バルブケース61(第2の筒体)の端部62の先端部65が、第3押圧部93のテーパ面によって軸線方向に沿って押圧される。これにより、
図7に示されるように、バルブケース61の端部62の先端部65を含む開口縁部が、ソレノイドケース41(第1の筒体)の環状の加締め溝51(溝部)に全周にわたって縦に加締められる。このときも、バルブケース61の端部62の一部が、第2押圧部89の内円筒面に嵌合されているため、バルブケース61の端部62が径方向外側へ膨らむことを抑止する。
【0028】
ここで、従来の製造方法に用いられる加締め治具では、加締め時に、第2の筒体の外周面と加締め治具との間に径方向の隙間があるため、第2の筒体が加締め治具に対して芯ずれし易く、第2の筒体の嵌合部を全周にわたって縦に均一に加締めることが困難であった。
これに対し、本実施形態では、加締め時に、加締め治具71の加締め部81の第2押圧部89の内円筒面にバルブケース61(第2の筒体)の端部62の一部を嵌合させることにより、バルブケース61を円筒形の加締め治具71に対して同軸に位置決めさせたので、バルブケース61の端部62の開口縁部を全周にわたって均一に縦に加締めることができる。
【0029】
また、従来の製造方法では、前述した第2の筒体の外周面と加締め治具との間の径方向の隙間に起因して、第2の筒体の端部を縦に加締めると、当該第2の筒体の端部が径方向に膨らむことがあった。
これに対し、本実施形態では、加締め時に、加締め治具71の加締め部81の第2押圧部89の内円筒面にバルブケース61(第2の筒体)の端部62の一部を嵌合させることにより、当該バルブケース61の端部62の変形を抑止することができる。このように、本実施形態では、加締め時にバルブケース61の端部62を変形させることがないので、より小さい加工力でバルブケース61の端部62を加締めることが可能であり、アウタチューブ3に掛かる負担を軽減することができる。これにより、加締めによるアウタチューブ3の変形を抑止することができる。
【0030】
また、従来の加締め治具では、第2の筒体の端部の開口縁部が拡開されている場合、第2の筒体の開口縁部(拡開部)の外径が加締め治具の内径よりも大きいため、第2の筒体を縦(軸線に沿う方向)に加締めることができなかった。
これに対し、本実施形態では、加締め治具71の加締め部81の第1押圧部82に、開口端の内径がバルブケース61(第2の筒体)の端部62の拡開部63の外径よりも大きい第1湾曲部85を設けたので、第1湾曲部85がバルブケース61の端部62の拡開部63の先端は、最初に、加締め治具71の加締め部81の第1押圧部82に接触する。そして、加締め治具71の移動に伴い、拡開部63の先端が、第1押圧部82の第1湾曲部85の湾曲面に倣うようにして径方向内側へ案内されるので、拡開部63が径方向外側へ倒れることを抑止することができる。
【符号の説明】
【0031】
31 減衰力調整装置(電磁弁)、41 ソレノイドケース(第1の筒体)、51 加締め溝(溝部)、61 バルブケース(第2の筒体)、71 加締め治具、81 加締め部、83 第1押圧部、89 第2押圧部、93 第3押圧部