(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066825
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】会計装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240509BHJP
G06Q 20/04 20120101ALI20240509BHJP
【FI】
G07G1/12 321P
G07G1/12 321L
G06Q20/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176559
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敬行
(72)【発明者】
【氏名】顧 育銘
【テーマコード(参考)】
3E142
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E142DA07
3E142EA04
3E142FA02
3E142FA08
3E142FA42
3E142GA41
3E142JA02
5L020AA11
5L055AA11
(57)【要約】
【課題】所定の非現金決済種別による支払いに関する利便性が向上されるようにする。
【解決手段】代金の支払い方法として指定された所定の非現金決済種別で支払いに利用可能な残高が購入金額未満の場合、前記残高の全てを支払いに使用する宣言を受付ける受付手段と、前記受付手段により前記宣言が受け付けられたことに応じて、以降における支払い不足金額に対する支払いに使用する決済種別として、少なくとも前記指定された所定の非現金決済種別を指定可能な指定手段とを備えて会計装置を構成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
代金の支払い方法として指定された所定の非現金決済種別で支払いに利用可能な残高が購入金額未満の場合、前記残高の全てを支払いに使用する宣言を受付ける受付手段と、
前記受付手段により前記宣言が受け付けられたことに応じて、以降における支払い不足金額に対する支払いに使用する決済種別として、少なくとも前記指定された所定の非現金決済種別を指定可能な指定手段と
を備える会計装置。
【請求項2】
前記指定手段は、前記受付手段により前記宣言が受け付けられたことに応じて、以降における支払い不足金額に対する支払いに使用する決済種別として、少なくとも前記指定された所定の非現金決済種別と現金決済とを指定可能とされる
請求項1に記載の会計装置。
【請求項3】
前記所定の非現金決済種別に対応する残高の充当を行う充当手段をさらに備え、
前記受付手段は、前記残高の全てを支払いに使用する宣言と、前記指定された所定の非現金決済種別の残金の充当とを選択可能に提示する
請求項1または2に記載の会計装置。
【請求項4】
店員が操作を行う店員側操作部と、客が操作を行う客操作部とを備え、
前記充当手段は、前記受付手段により前記宣言が受け付けられて以降において、前記店員側操作部に対する操作に応じて充当が可能なようにされる
請求項3に記載の会計装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子マネーによる支払いに対応可能なPOS端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
客が或るブランドの電子マネー等のような所定の非現金決済種別により支払いを行うにあたっては、当該所定の非現金決済種別による支払いに関する利便性が向上されることが好ましい。
【0005】
本発明は、所定の非現金決済種別による支払いに関する利便性が向上されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、代金の支払い方法として指定された所定の非現金決済種別で支払いに利用可能な残高が購入金額未満の場合、前記残高の全てを支払いに使用する宣言を受付ける受付手段と、前記受付手段により前記宣言が受け付けられたことに応じて、以降における支払い不足金額に対する支払いに使用する決済種別として、少なくとも前記指定された所定の非現金決済種別を指定可能な指定手段とを備える会計装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における商品情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態におけるPOS端末の外観例を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態におけるPOS端末の外観例を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態におけるPOS端末の構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態における対応方法選択画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態における電子マネー使用情報エリアの一例を示す図である。
【
図7】本実施形態における2次決済種別指定画面の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態におけるPOS端末が電子マネー連続使用に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態における対応方法選択画面の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態における2次決済種別指定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
[商品情報処理システムの構成例]
図1は、本実施形態の商品情報処理システムの構成例を示している。同図の商品販売データ処理システムは、上位装置10、POS端末20、取引管理サーバ30、及び電子マネーサーバ40を備える。
【0009】
POS端末20と上位装置10は、店舗STにおいて備えられる。POS端末20は、会計処理を実行する。つまり、POS端末20は、客が購入対象とする商品を登録する商品登録処理と、商品登録処理によって登録された商品に対応する精算処理とを実行する。
上位装置10は、配下のPOS端末20と通信可能に接続され、POS端末20の管理や実績の管理等を行う。上位装置10は、例えばストアコントローラと呼ばれる端末装置であってもよい。
なお、同図においては、店舗STにおいて各1つのPOS端末20が設置された例を示しているが、店舗STにおいては複数のPOS端末20が設置されてもよい。同様に、店舗STにおいて、複数の上位装置10が設置されてよい。
【0010】
取引管理サーバ30は、店舗STのそれぞれにおいて行われる取引の管理を行う。例えば、取引管理サーバ30は、店舗STのそれぞれにおいて行われた取引の結果(取引実績)を記憶する。
【0011】
電子マネーサーバ40は、ユーザが所持する電子マネーカードごとの電子マネーの管理を行うサーバである。電子マネーサーバ40は、電子マネーカードごとの電子マネーの残高(電子マネー残高)を管理する。つまり、電子マネーサーバ40は、或る1のユーザが、自己の所持する電子マネーカードに金額のチャージ(充当)を行ったり、電子マネーを支払い等に使用したりしたことに応じて、対応の電子マネー残高を更新するようにして管理する。
本実施形態において、電子マネーサーバ40は、店舗STのPOS端末20に備えられる決済端末208のそれぞれとネットワーク経由で通信可能に接続される。これにより、POS端末20にて登録された商品の精算にて電子マネーが使用可能となる。
また、本実施形態の電子マネーサーバ40は、特定のブランドAに対応する電子マネーを管理可能とされている。
【0012】
[POS端末]
図2は、POS端末20の外観例を示す図である。
図2(A)は、POS端末20等を客側から見た斜視図である。
図2(B)は、POS端末20等を店員側から見た斜視図である。
図2(A)に示すように客側から見てPOS端末20の右側にカウンタが置かれている。
【0013】
図3は、POS端末の外観例を示す図である。
図3(A)は、POS端末20を客側より正面から見た図である。
図3(B)は、POS端末20を店員側より正面から見た図である。
図4は、POS端末20の構成例を示す図である。
図3及び
図4において、同一部分には同一符号を付している。
【0014】
以下、
図2、
図3を参照しつつ、
図4に示したPOS端末20の構成例を説明する。POS端末20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM202と、RAM203と、ハードディスク204と、客側表示部205と、客側スキャナ部206と、決済端末208と、釣銭機209と、店員側表示部210と、キー操作部211と、店員側スキャナ部212と、印刷部213と、音声出力部214と、通信部215と、撮像部216と、サインポール217と、人検出センサ218とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。
【0015】
CPU201は、中央演算処理装置であり、ROM202に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、POS端末20の動作を制御する。
ROM202は、読み出し専用メモリであり、プログラムをはじめとしてCPU201が利用する各種の情報を記憶する。
【0016】
RAM203は、読み出し書き込みメモリであり、種々の情報を記憶する。例えば、RAM203は、外部から取得した情報(例えば、上位装置10から取得した商品マスタ等)や、処理において生成した情報(例えば、登録処理において生成した登録情報、精算処理において生成した精算情報等)を記憶する。なお、以下の説明において、登録情報と精算情報のいずれか一方又は両方を取引情報と称する場合がある。
【0017】
ハードディスク204は、種々の情報を記憶する。ハードディスク204は、例えば、ROM202に代えて、CPU201が実行するプログラム等を記憶してもよい。また、RAM203に代えて、外部から取得した情報や、処理において生成した情報を記憶してもよい。
なお、ハードディスク204に代えて、例えばSSD(Solid State Drive)等の記憶装置が備えられてもよい。
【0018】
客側表示部205は、客用のタッチディスプレイであり、客(顧客)に種々の情報を表示するとともに、客から種々の入力を受け付ける。
客側スキャナ部206は、客用のスキャナ部であり、例えば、商品に付されているバーコード(商品コード等)等を光学的に読み取る。
【0019】
なお、客側スキャナ部206は、客が商品を登録する際に用いられるが、客は他の方法によって商品を登録してもよい。例えば、客側表示部205に、商品の注文ボタン等が表示されている場合、客は、注文ボタンを操作(押下)し、商品を登録することができる。
【0020】
決済端末208は、各種カード(クレジットカード、交通系カード、電子マネーカード等)から情報を読み取って決済に対応する処理を実行可能とされる。また、決済端末208は、会員カード(会員証)、ポイントカード等の情報を読み取ることが可能とされる。本実施形態の決済端末208は、例えばカード認識部(読取部)や表示部や操作部を備えてよいが、少なくとも、カード認識部を備えるものであればよい。
【0021】
決済端末208は、POS端末20と接続される個別のデバイスであってよい。この場合の決済端末208は、決済に対応する処理にあたり、POS端末20を経由せずに、電子マネーサーバ40(
図1)やクレジットカード決済サーバ(図示せず)等の各種決済サーバとネットワーク経由で通信可能に接続されてよい。
決済端末208を利用する決済種別による決済に際しては、例えばPOS端末20から決済端末208に商品登録結果に応じた支払金額の情報が決済情報として送信される。また、決済端末208を利用する決済種別として電子マネーが選択された場合には、POS端末20が電子マネーカードから読み取ったカード識別子と電子マネーカードのブランドを示すブランド情報等がさらに決済情報に含まれる。なお、カード識別子が特定の桁の値によって対応のブランドを示す形式とされていてもよい。
決済端末208は、受信した決済情報を利用して、電子マネーサーバ40やクレジットカード決済サーバ等の決済サーバと通信を行うことで決済処理を実行する。
以降の説明では、決済端末208としてのデバイスがPOS端末20と接続されることで、決済端末208がPOS端末20に含まれる部位であるとして扱ったうえで、決済端末208は、POS端末20を経由せずに、電子マネーサーバ40と直接通信を行うようにされる場合を例に挙げる。
なお、決済端末208は、POS端末20を経由して電子マネーサーバ40と通信するようにされてよい。この際、決済端末208と電子マネーサーバ40との間で通信により授受される情報については暗号化されてよい。
【0022】
釣銭機209(現金決済部)は、現金による決済機構であり、紙幣や硬貨の投入口、紙幣や硬貨の排出口を有し、投入口への投入金額を算出し、投入金額と買上金額の差分である釣銭金額を算出し、釣り銭を排出口から排出する。
【0023】
店員側表示部210は、店員用のタッチディスプレイであり、店員に種々の情報を表示するとともに、店員から種々の入力を受け付ける。
キー操作部211は、各種のキー(ボタン)から構成され、店員から種々の入力を受け付ける。
店員側スキャナ部212は、店員用のスキャナ部であり、例えば、商品に付されているバーコード(商品コード等)や店員の名札に付された店員コード等を光学的に読み取る。
【0024】
なお、店員側スキャナ部212は、店員が商品を登録する際に用いられるが、店員は他の方法によって商品を登録してもよい。例えば、キー操作部211に、商品に対応するキー(例えば、スポーツ新聞に対応するキー等)が配置されている場合、店員は、当該キーを操作(押下)し、当該商品を登録することができる。また、店員側表示部210に、商品に対応するプリセットキーが表示されている場合、店員は、当該プリセットキーを操作し、当該商品を登録することができる。
【0025】
印刷部213は、媒体を排出する印刷部であり、例えば、レシート等の種々の媒体を印刷、発行する。印刷部213は、店員側から客側、客側から店員側に向き(媒体発行口の方向)を回転自在に変更可能な1台の印刷部である。印刷部213の向きは、手動で変更してもよいし、例えば動作モードの移行に応じて自動的に変更(メカ的に制御等)してもよい。なお、印刷部213の向きの正誤をセンサなどで検出してもよい。
【0026】
音声出力部214は、音声を出力する。例えば、音声出力部214は、音声ガイダンス等を出力する。また、音声出力部214は、所定の動作に応じて電子音を出力することも可能である。
通信部215は、上位装置10、取引管理サーバ30、及び電子マネーサーバ40等との通信可能に接続する。
【0027】
撮像部216は、客側の立ち位置にて会計に関する操作を行う客の様子を撮像するように設けられる。撮像部216が撮像して得られた撮像画像は、会計を行う客を監視する監視画像として用いることができる。また、POS端末20は、撮像部216の撮像によって得られた撮像画像をハードディスク204等の記憶装置に記憶させることができる。
【0028】
サインポール217は、所定のパターン、色で点灯することで、店員に向けて所定の報知を行う部位である。
【0029】
人検出センサ218は、POS端末20の客側に位置する人(客)の有無を検出する。人検出センサ218は、例えば焦電型赤外線センサ、カメラ(撮像装置)等を備えて構成されてよい。
なお、人検出センサ218は、後述するフルセルフモードで動作する場合には、客により商品コードのスキャンが行われる商品の移動状況を検出するようにされてよい。
【0030】
[POS端末の動作モードについて]
続いて、POS端末20の動作モードについて説明する。POS端末20は、通常業務中での会計に対応して4種類の動作モード(応対モード、フルセルフモード、ダブルスキャンモード、セミセルフモード)を有する。
【0031】
〔応対モード〕
応対モードは、店員と客とが対面で応対しながら使用されるモードである。具体的に、応対モードは、店員側にて店員の操作に応じて登録処理を実行し、客側にて客の操作に応じて精算処理を実行する動作モードである。応対モードの場合、店員は、客の買上商品を、店員側の店員側スキャナ部212、店員側表示部210、キー操作部211等を利用して登録する。
【0032】
客は、客側にて客側表示部205における表示を確認しながら、釣銭機209に貨幣を投入する、あるいは決済端末208に決済に用いるカードを読み取らせて精算を行う。
なお、POS端末20は、店員による登録処理が完了(合計金額が確定)してから釣銭機209への貨幣の投入が可能なようにされてもよいが、登録処理が完了する前の段階から釣銭機209に貨幣を投入可能とされてもよい。
【0033】
〔フルセルフモード〕
フルセルフモードは、客側にて登録処理と精算処理とを実行可能とされる動作モードである。フルセルフモードの場合、客は、POS端末20の客側において備えられる客側スキャナ部206、客側表示部205を用いて商品を登録する操作を行う。POS端末20は、客の操作に応じて商品登録処理を実行する。
【0034】
登録処理が完了した場合、客は、客側表示部205において買上商品の合計金額を確認し、釣銭機209に貨幣を投入、または、クレジットカード決済の場合には決済端末208を操作して精算を行う。つまり、POS端末20は、客の操作等(釣銭機209への貨幣の投入、決済端末208の操作)により、精算処理を実行する。
なお、フルセルフモードにおいて、店員が客による会計の状況を把握可能なように、店員側表示部210にて会計の進捗に応じた表示が行われてよい。
【0035】
〔ダブルスキャンモード〕
ダブルスキャンモードは、店員側での店員の操作に応じた商品登録処理と、客側での客の操作に応じた商品登録処理とが同時並行で実行可能とされ、客側にて客の操作に応じて精算処理を実行可能とされる動作モードである。
【0036】
〔セミセルフモード〕
セミセルフモードは、2台以上のPOS端末20による動作モードであって、登録専用モードに設定されたPOS端末20が店員側での店員の操作に応じて登録処理を実行し、精算専用モードに設定されたPOS端末20が客側での客の操作に応じて精算処理を実行する動作モードである。
【0037】
登録専用モードのPOS端末20は、商品登録処理が完了したことに応じて、精算専用モードのPOS端末20のいずれか1つに対して、商品登録処理結果が反映された精算情報を送信する。
精算情報を受信した精算専用モードのPOS端末20は、登録専用モードのPOS端末20の位置から精算のために赴いてきた客の操作に応じて精算処理を実行する。
【0038】
[電子マネー連続使用について]
本実施形態において、POS端末20は、応対モードにより使用される場合を例に挙げる。そのうえで、本実施形態においては、以下のようにして、客が電子マネーを使用して支払いを行おうとするにあたり、電子マネーの使用についての利便性が図られるようにする。
【0039】
本実施形態におけるPOS端末20は、ブランドAの電子マネーを使用しての支払いに対応している。ブランドAの電子マネーに関しては、予め定められた上限回数の範囲内で、複数枚の電子マネーカードを併用して代金に対する支払い行うことが許容される運用となっている。なお、上限回数については、特に限定されるものではなく、任意に定められてよい。以下の説明においては、上限回数が4回の場合を例に挙げる。
この場合において、客は、精算に際して、まず電子マネーカードをPOS端末20に読み取らせるようにする。POS端末20は、読み取った電子マネーカードの電子マネー残高と支払総額とを比較する。
【0040】
電子マネー残高と支払総額とを比較した結果、電子マネー残高が支払総額以上であった場合には、POS端末20は、電子マネー残高の使用により支払総額に対する支払いを行って、当該取引に応じた精算を完了させる。
【0041】
一方、電子マネー残高と支払総額とを比較した結果、支払総額に対して電子マネー残高のほうが少ない「電子マネー残高不足」の状態であると判定した場合、POS端末20は、電子マネー残高不足に対する対応方法を選択する店員の操作を受け付ける。
電子マネー残高不足に対する対応方法には、「電子マネーチャージ」と、「電子マネー連続使用」と、「電子マネー使用中止」とが含まれる。
【0042】
電子マネーチャージは、「電子マネー残高不足」の状態の電子マネーに金額のチャージを行って電子マネー残高を支払総額以上となるように増額させ、増額された電子マネー残高により支払総額に対する支払いを行うという対応方法である。
【0043】
電子マネー連続使用は、まず、最初に読み取りを行った電子マネーカードに対応する電子マネー残高を全て使用して支払総額に対する1回目の支払いを行い、以降において、同じブランドAであって別の1以上の電子マネーカードに対応する電子マネーを、順次、支払残高がゼロとなるまで使用していくことで、支払総額に対する支払いを行うという対応方法である。
本実施形態において、このような支払総額に対するブランドAの電子マネー連続使用は4回まで許容される運用となっている。これに応じて、POS端末20も、電子マネー連続使用を最大で4回まで行うことが可能とされている。
また、電子マネー連続使用のもとで支払いに使用される複数枚のブランドAの電子マネーカードは、例えば客がユーザとして対応付けられたものと、今回の買い物に際して客に同行している家族や知人等の他の客がユーザとして対応付けられたものとが併用されてよい。あるいは、電子マネー連続使用のもとで支払いに使用される複数枚のブランドAの電子マネーカードは、例えば同じ客に対応付けられた複数のものが含まれてもよい。
【0044】
電子マネー使用中止は、「電子マネー残高不足」の状態の電子マネーの使用は行わないこととして、他の方法による決済で支払総額に対する支払いを行うという対応方法である。
【0045】
図5~
図7を参照して、電子マネー連続使用に対応して店員と客とが行う手順例について説明する。
POS端末20の操作を担当する店員は、客から購入対象の商品を受け取り、受け取った商品を登録する操作を行う。店員は、客が購入対象とする全ての商品の登録を完了すると、精算移行操作を行う。精算移行操作が行われたことに応じて、POS端末20は、店員側表示部210にてこれまで商品登録画面(図示省略)を表示させていた状態から、精算画面の表示に遷移する。
【0046】
店員側表示部210にて精算画面が表示された状態のもとで、客は、精算に対応する操作をPOS端末20に行う。ここでの精算に対応する操作とは、登録された商品に対応して算出された支払総額に対する支払いに関する操作である。
ここで、客は、ブランドAの電子マネーを使用して支払いを行うこととした。この場合、客は、例えば客側表示部205にて表示された決済種別指定画面(1次決済種別指定画面)おいて提示される決済種別のうちから、ブランドAの電子マネーを指定する操作を行う。そのうえで、客は、ブランドAの電子マネーカードを、決済端末208(カード形式によっては客側スキャナ部206であってもよい)に読み取らせる操作を行う。
なお、1次決済種別指定画面においては、単に電子マネーを決済種別として指定する操作が可能なようにされてよい。この場合、POS端末20は、電子マネーを決済種別として指定する操作が行われた後において、ブランドAの電子マネーカードを決済端末208が読み取ったことに応じて、決済に使用する電子マネーがブランドAであることを特定してよい。
POS端末20は、電子マネーカードから読み取ったカード識別子に対応付けられた電子マネー残高を取得し、取得した電子マネー残高を使用して1回目の部分支払処理を実行する。
【0047】
1回目の部分支払処理を実行した結果、電子マネー残高不足の状態が生じた。電子マネー残高不足となったことに応じて、店員側表示部210には、対応方法選択画面が表示される。対応方法選択画面は、電子マネー残高不足となったことに応じて生じている支払残高に対する対応方法を選択する操作が行われる画面である。
【0048】
図5は、対応方法選択画面DL1の一例を示している。同図の対応方法選択画面DL1は、精算画面AR1上に重畳して配置されるダイアログウィンドウとしての態様とされた例を示している。
【0049】
まず、対応方法選択画面DL1の背景の精算画面AR1について説明する。同図の精算画面AR1は、商品登録タブTABに対応付けられた取引に関して表示が行われるシートにおいて小計結果を示すものとなる。
【0050】
精算画面AR1において、登録商品エリアAR11には、今回の取引においてこれまでに登録された商品についての各項目が、上段から下段にかけて登録順に従った配列順で配置される。
【0051】
精算画面AR1において、小計金額エリアAR12は、これまでの商品の登録結果に基づく小計結果が示される。同図の小計金額エリアAR12においては、登録された商品の個数(買上点数)が3個であり、登録された3個の商品の小計金額(支払総額)が10200円であることが示されている。
精算画面AR1において、合計金額エリアAR13は、これまでの商品の登録結果に基づく合計金額が示される。合計金額としては、小計金額と同じ10200円が示される。
【0052】
また、精算画面AR1の下には、共通エリアAR20が配置されている。例えば精算画面AR1に対応する領域は、精算移行操作が行われるまでは同じ取引に対応して商品登録の操作が行われる商品登録画面が表示されていた。つまり、精算画面AR1に対応する領域は、取引の状況に応じて表示すべき内容が変更される、メインとなる操作画面の領域である。
共通エリアAR20は、このようなメインとなる操作画面の表示の切り替わりに応じて変化せずに同じ態様での表示が維持される領域である。
【0053】
対応方法選択画面DL1について説明する。対応方法選択画面DL1においては、対応方法選択ボタンBT1(チャージボタンBT1-1、連続使用(全額支払う)ボタンBT1-2、中止ボタンBT1-3)が配置されている。
チャージボタンBT1-1は、対応方法として「電子マネーチャージ」を選択する操作が行われるボタンである。
連続使用ボタンBT1-2は、対応方法として「電子マネー連続使用」を選択する操作が行われるボタンである。
中止ボタンBT1-3は、対応方法として「電子マネー使用中止」を選択する操作が行われるボタンである。
また、対応方法選択画面DL1においては、現在において使用対象とされている電子マネー残高が表示されている。
【0054】
このように対応方法選択画面DL1が表示されると、店員は、応対中の客に、対応方法として、「電子マネーチャージ」、「電子マネー連続使用」、「電子マネー使用中止」のいずれで対応するのかを問い合わせる。店員は、客から回答された対応方法が対応する対応方法選択ボタンBT1を操作する。
【0055】
ここでは、客が「電子マネー連続使用」であると回答した。この場合、店員は、対応方法選択ボタンBT1として、連続使用ボタンBT1-2を操作する。
連続使用ボタンBT-2が操作されたことに応じて、POS端末20は、支払総額から電子マネー残高を差し引く処理(1回目の部分支払処理)を実行する。
また、連続使用ボタンBT-2が操作されたことに応じて、店員側表示部210において、対応方法選択画面DL1は消去され、精算画面AR1内に電子マネー使用情報エリアAR14が配置される状態に遷移する。
【0056】
図6は、電子マネー使用情報エリアAR14が配置された精算画面AR1の一例を示している。同図の例では、電子マネー使用情報エリアAR14は、登録商品エリアAR11内に収まるように配置されている。
電子マネー使用情報エリアAR14は、電子マネー連続使用に対応する部分支払処理に使用された電子マネーの情報が示される。同図の電子マネー使用情報エリアAR14においては、部分支払処理に使用された電子マネーがブランドAに対応し、使用された電子マネー残高が5176円であることが示されている。
また、合計金額エリアAR13においては、支払総額の10200円から5176円の電子マネー残高を差し引いたことで、5024円の支払残高が残っていることが示されている。
【0057】
また、上記のように1回目の部分支払処理が実行された結果として、支払残高が残存したことに応じて、客側表示部205においては、2回目の部分支払処理に対応する決済種別を指定する2次決済種別指定画面が表示される。
【0058】
図7は、2次決済種別指定画面の一例を示している。同図の2次決済種別指定画面においては、3つの決済種別指定ボタンBT11(電子マネー指定ボタンBT11-1、現金指定ボタンBT11-2、及びその他指定ボタンBT11-3)が配置されている。
電子マネー指定ボタンBT11-1は、2回目の部分支払処理に対応する決済種別として電子マネーの使用を指定する場合に操作されるボタンである。電子マネー指定ボタンBT11-1により指定される電子マネーは、1回目の部分支払処理に対応して使用されたブランドAの電子マネーに限定され、ブランドA以外の電子マネーを指定するものではない。
現金指定ボタンBT11-2は、2回目の部分支払処理に対応する決済種別として現金の使用を指定する操作が行われるボタンである。
その他指定ボタンBT11-3は、2回目の部分支払処理に対応する決済種別として、ブランドAの電子マネー及び現金以外である他の決済種別を指定する操作が行われるボタンである。他の決済種別には、例えばクレジットカード、ブランドA以外の電子マネー、ポイント等を挙げることができる。
【0059】
同図の2次決済種別指定画面が表示されている場合には、店員による対応方法選択画面DL1に対する操作として連続使用ボタンBT1-2が操作されている。つまり、この場合の客は、電子マネー連続使用により支払残高に対する支払いを行うつもりでいる。このような観点からすれば、本実施形態としては、2次決済種別指定画面を表示させることなく、客に次に使用する2枚目の電子マネーカードを読み取らせるようにしてもよい。
しかしながら、連続使用ボタンBT1-2が操作された後において、客が電子マネー連続使用ではなく、現金もしくは他の決済種別を使用して支払いを行いたいとして考えを変更する可能性がある。具体的には、客がブランドAの電子マネーカードを他にも所持していると思っていたが実際には所持していなかった場合や、やはり電子マネー残高を残しておきたいと思い直し、現金もしくはクレジットカード等の支払いに代えたいと考えるような場合を挙げることができる。
本実施形態においては、このようなことを考慮して、店員により対応方法選択画面DL1における連続使用ボタンBT1-2の操作が行われたことに応じて、2次決済種別指定画面を表示することとしている。
【0060】
また、2次決済種別指定画面において、電子マネー指定ボタンBT11-1、現金指定ボタンBT11-2、及びその他指定ボタンBT11-3は、優先順位に応じた配置となっている。
具体的に、電子マネー指定ボタンBT11-1は、大きいサイズにより右側に配置されている。このような態様で配置された電子マネー指定ボタンBT11-1は、大きいサイズとされていることで目立ちやすく、一般に右利きの人が多いことを前提とすると、右側に配置されていることで操作がしやすいといえる。
また、現金指定ボタンBT11-2は、大きさは電子マネー指定ボタンBT11-1と同じであるが、電子マネー指定ボタンBT11-1の左側に配置されている。
また、その他指定ボタンBT11-3は、電子マネー指定ボタンBT11-1及び現金指定ボタンBT11-2よりも小さいサイズにより、電子マネー指定ボタンBT11-1及び現金指定ボタンBT11-2に対して下側に離れた位置に配置されている。また、電子マネー指定ボタンBT11-1及び現金指定ボタンBT11-2は、例えばオレンジ色のような暖色による目立ちやすい背景色が背景とされているのに対して、その他指定ボタンBT11-3は、例えば黒系などの背景色とされている。
つまり、2次決済種別指定画面においては、電子マネー指定ボタンBT11-1、現金指定ボタンBT11-2、及びその他指定ボタンBT11-3の順で優先順位が設定されている。
これまでの説明から理解されるように、客は、2次決済種別指定画面に配置される決済種別指定ボタンBT11のうち、電子マネー指定ボタンBT11-1を操作する可能性が最も高い、そこで、電子マネー指定ボタンBT11-1について最も高い優先順位を与えていることで、客としては電子マネー指定ボタンBT11-1が最も操作しやすいことになる。このように、2次決済種別指定画面は、Aブランドの電子マネーカードの連続使用を客が行いやすくなるように誘導する機能を有する。
【0061】
また、2次決済種別指定画面においては、電子マネーチャージを行うボタンは配置されていない。つまり、2回目以降の部分支払処理が行われていくもとでは、客の操作により電子マネーのチャージの指示を行えないようにしている。
電子マネーのチャージは、対応方法選択画面DL1におけるチャージボタンBT1-1を操作することにより可能となる。2次決済種別指定画面が表示されたということは、客が、電子マネーのチャージを敢えて行わずに、電子マネー連続使用を選択したということになる。このことからすると、2次決済種別指定画面において電子マネーチャージを行うボタンを配置する必要性は特にないといえる。
しかしながら、客の事情によっては、2回目以降の部分支払処理にあたり、最後の部分支払処理に使用した電子マネーに対応付けられた電子マネーカードへのチャージを行い、チャージにより増加した電子マネー残高を利用したい場合がある。このような場合に対応して、POS端末20は、例えば店員側表示部210(あるいは、店員側に設けられた操作キー)に対する所定操作によって電子マネーカードへのチャージに対応する処理を実行可能とされてよい。
【0062】
なお、電子マネー連続使用により4回目の部分支払処理を完了した段階にて未だ支払残高が残存している場合には、POS端末20は、ブランドAの電子マネーのチャージと、ブランドAの電子マネー以外の決済種別の使用を選択可能な3次決済種別指定画面を表示してよい。これにより、客は、ブランドAの電子マネーを4回行った後において、ブランドAの電子マネー以外の決済種別により支払いを完了させることができる。
あるいは、電子マネー連続使用により4回目の部分支払処理を完了した段階にて未だ支払残高が残存している場合には、POS端末20は、現金決済を選択可能な決済種別選択画面を表示させて、現金決済をはじめとするブランドAの電子マネー以外の決済種別を客が選択できるようにしてよい。
あるいは、POS端末20は、電子マネー連続使用により4回目の部分支払処理を完了した段階にて未だ支払残高が残存する状態となったことに応じて、現金決済に対応する精算処理に遷移してよい。この際、POS端末20は、客側表示部205、店員側表示部210にて、現金決済に対応する画面を表示させてよい。
【0063】
なお、2次決済種別指定画面においては、現金指定ボタンBT11-2とその他指定ボタンBT11-3とのいずれか一方が配置されない態様とされてよい。
【0064】
[処理手順例]
図8のフローチャートを参照して、POS端末20が電子マネー連続使用に対応して実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:POS端末20を操作する店員は、客が購入対象とする全ての商品の登録を終えると精算移行操作を行う。精算移行操作が行われたことに応じて、POS端末20は、精算画面(
図5)を表示する。
【0065】
ステップS102:POS端末20は、ステップS100による精算画面の表示とともに、客側表示部205に1次決済種別指定画面を表示させる。
【0066】
ステップS104:ここでは、ステップS102にて1次決済種別指定画面に対する操作として、ブランドAの電子マネーを決済種別として指定する操作が行われた場合の処理手順となる。POS端末20は、1次決済種別指定画面に対して行われたブランドAの電子マネーを決済種別として指定する操作を受け付ける。
【0067】
ステップS106:店員が1次決済種別指定画面に対して行われたブランドAの電子マネーを決済種別として指定する操作を行ったことにより、POS端末20は、支払金額の情報を決済端末208に送信するとともに、決済端末208がカードからの情報の読み取りが可能な状態に設定する。客は、ブランドAの電子マネーカードを決済端末に読み取らせる操作を行う。決済端末208は、決済端末208がブランドAの電子マネーカードから読み取ったカード識別子を取得する。
【0068】
ステップS108:決済端末208は、ステップS106により取得したカード識別子と支払金額とを含む決済要求を電子マネーサーバ40に送信する。電子マネーサーバ40は、決済要求に応じて、対応の電子マネー残高を用いて支払総額(登録された商品の総額)に対する決済処理を実行する。この際、電子マネーサーバ40は、送信された電子マネー残高により、対応の電子マネーカードに対応付けられた電子マネー残高の更新を行う。このように決済処理を完了させた場合、電子マネーサーバ40は、決済処理結果を決済端末208に送信する。この際、電子マネーサーバ40は、電子マネー残高が支払総額未満であった場合には、決済処理を行うことなく、残高不足のエラーを決済処理結果として送信する。
決済端末208は、受信した決済処理結果をPOS端末20に送信する。POS端末20は、受信した決済処理結果が残高不足のエラーであるか否かに基づき、現状において電子マネー残高不足の状態であるか否かを判定する。
【0069】
ステップS110:ステップS108にて電子マネー残高不足の状態ではないと判定された場合には、決済処理結果は決済処理完了を示している。この場合、POS端末20は、電子マネー対応精算処理を実行する。POS端末20は、電子マネー対応精算処理として、ステップS108に対応して取得した電子マネー残高により支払総額に対する支払いが行われたことを示す取引実績情報を生成し、生成した取引実績情報に基づくレシートの発行、生成した取引実績情報を取引管理サーバ30に記憶させるなどの処理を実行する。
【0070】
ステップS112:ステップS108にて電子マネー残高不足の状態であることを判定した場合、POS端末20は、店員側表示部210にて対応方法選択画面DL1(
図5)を表示させる。
【0071】
ステップS114:POS端末20は、対応方法選択画面に配置された対応方法選択ボタンBT1に対して行われる操作(対応方法選択操作)を受け付ける。
【0072】
ステップS116:POS端末20は、ステップS114にて受け付けた対応方法選択操作により選択された対応方法が、「電子マネーチャージ」と、「電子マネー連続使用」と、「電子マネー使用中止」のいずれであったのかを判定する。
【0073】
ステップS118:ステップS116にて「電子マネーチャージ」の対応方法が選択された場合、POS端末20は、電子マネーチャージ対応の精算処理を実行する。つまり、POS端末20は、店員の操作に応じて、ステップS106にてカード識別子の読み取りが行われたブランドAの電子マネーカードに対応して電子マネーをチャージさせる処理を実行する。この際、POS端末20は、例えば決済端末208を介して(なお、POS端末20が、決済端末208を介さずに電子マネーサーバ40と直接的に通信してもよい)電子マネーサーバ40にチャージされた金額を通知することで、電子マネーサーバ40において対応の電子マネーカードの電子マネー残高が更新されるようにする。
【0074】
ステップS120:ステップS116にて「電子マネー使用中止」の対応方法が選択された場合、POS端末20は、電子マネー使用中止に対応する精算処理を実行する。つまり、POS端末20は、ステップS106にてカード識別子の読み取りが行われたカード識別子に対応するブランドAの電子マネーの使用をキャンセルする。POS端末20は、客または店員の操作により指定されたブランドAの電子マネー以外の他の決済種別の使用に応じた精算処理を実行する。
【0075】
ステップS122:ステップS116にて「電子マネー連続使用」の対応方法が選択された場合、POS端末20は、1回目の部分支払処理を実行する。1回目の部分支払い処理は、ステップS106にてカード識別子の読み取りが行われたカード識別子に対応するブランドAの電子マネー残高の全額が支払総額から差し引かれるように、電子マネーサーバ40にて決済処理が行われるようにする処理である。この際、POS端末20は、決済端末208から電子マネーサーバ40に対して、部分支払処理としての決済処理を指示する決済要求が送信されるように制御する。
【0076】
ステップS124:ステップS122による1回目の部分支払処理に対応して電子マネーサーバ40から決済端末208に送信された決済処理結果は、電子マネー残高がゼロであることと、支払残高が残存していることとを示している。POS端末20は、このような決済処理結果を決済端末208から受信した場合、客側表示部205に2次決済種別指定画面(
図7)を表示する。また、この際、POS端末20は、店員側表示部210にて、精算画面AR1において電子マネー使用情報エリアAR14(
図6)を表示させる。
【0077】
ステップS126:ステップS124により表示された2次決済種別指定画面においては、決済種別指定ボタンBT11(電子マネー指定ボタンBT11-1、現金指定ボタンBT11-2、及びその他指定ボタンBT11-3)が配置されている。つまり、2次決済種別指定画面は、2回目以降の部分支払処理における次の部分支払処理に使用する決済種別として、新たなブランドAの電子マネーと、現金と、その他の決済種別とのうちから1つを指定する操作を行う。
ここでは、客により電子マネー指定ボタンBT11-1が操作されたことで、新たなブランドAの電子マネーが決済種別として指定された場合の処理について説明する。この場合、POS端末20は、電子マネー指定ボタンBT11-1の操作を受け付ける。
【0078】
ステップS128:決済端末208は、ステップS126にて電子マネー指定ボタンBT11-1の操作を受け付けたことに応じて、新たなブランドAの電子マネーカードの読み取りを待機する。この場合、客は、2枚目以降において次の部分支払処理のために使用する次のブランドAの電子マネーカードを決済端末208に読み取らせる操作を行う。この電子マネーカードを決済端末208に読み取らせる操作により、決済端末208は、カード識別子を取得する。
決済端末208は、取得したカード識別子と現在の支払残高とを含む決済要求を電子マネーサーバ40に送信する。電子マネーサーバ40は、受信した決済要求に含まれるカード識別子に対応付けられた電子マネー残高により現在の支払残高に対する部分支払処理に対応する決済処理を実行する。電子マネーサーバ40は、決済処理結果を決済端末208に送信し、決済端末208は、受信した決済処理結果をPOS端末20に送信する。
【0079】
ステップS130:POS端末20は、受信した決済処理結果に基づき、ステップS128による部分支払処理の結果として、未だ支払残高が残存している状態であるか否かを判定する。
支払残高が残存していない場合には、今回のステップS128による部分支払処理によって精算処理が完了していることになる。そこで、この場合には、同図の処理が終了される。
【0080】
ステップS132:ステップS130にて支払残高が残存している状態であると判定された場合、POS端末20は、今回のステップS128による部分支払処理が、4回目のものであったか否かを判定する。同じブランドAの電子マネー連続使用は、最大で4回までと規定されている。
【0081】
今回のステップS128による部分支払処理が4回目のものではないと判定された場合には、ステップS124に処理が戻される。これにより、客は、3回目以降の電子マネー連続使用による支払いを続けることができる。
なお、ステップS132からステップS124に処理が戻されたことで表示される2回目以降の2次決済種別指定画面においては、最後のステップS128による部分支払処理の結果として電子マネー残高不足の状態が生じたことの旨を客に報知するメッセージが表示されるようにしてよい。
【0082】
ステップS134:ステップS132にて、4回目の部分支払処理であると判定された場合に、客がこれ以上電子マネー連続使用による支払いを繰り返すことができない。この場合、客は、ブランドAの電子マネー以外による他の決済種別(現金決済、ブランドA電子マネー以外による非現金決済等)により支払残高に対する支払いを行うことになる。
【0083】
そこで、この場合のPOS端末20は、客側表示部205に3次決済種別指定画面を表示させる。3次決済種別指定画面は、図示は省略するが、例えば現金決済と、ブランドAの電子マネー以外による非現金決済種別とのうちから1の決済種別を指定する操作が行われる画面である。
【0084】
ステップS136:POS端末20は、ステップS134にて表示された次決済種別指定画面に対する操作によって指定された決済種別に対応する精算処理を実行する。
【0085】
なお、本実施形態のPOS端末20は、応対モードにおいて釣銭機209が客側に備えられることで、客が精算に対応する操作を行うようにされている。しかしながら、上記実施形態の構成は、釣銭機が店員側に設けられることで店員が精算に対応する操作を行うようにされたPOS端末にも適用が可能とされる。
【0086】
なお、POS端末20が、ステップS122、S128にて実行する部分支払処理のそれぞれは、電子マネーサーバ40のもとでは、1回の取引に応じた電子マネー残高の更新として処理されてよい。この場合において、POS端末20は、レシート(紙媒体のレシートでも電子レシートでもよい)を発行するにあたり、POS端末20が処理した1の会計(商品登録と精算を含む)に応じたレシート(会計レシート)は、商品登録結果と、部分支払い処理を含む精算処理結果とが反映された1つのものとして発行してよい。一方、同じ1の会計において行われた部分支払処理に関しては、POS端末20は、部分支払処理ごとに対応する電子マネー残高の更新が反映された、部分支払処理ごとに対応するレシート(電子マネー利用明細)を発行してよい。
【0087】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、POS端末20が応対モードとされており、店員と客とが対面して取引を行うようにされた場合を例に挙げた。これに対して、第2実施形態は、POS端末20がフルセルフモード、あるいはセミセルフモードとされた場合に対応する。
なお、本実施形態は、フルセルフモード専用のPOS端末や、登録専用の登録装置と精算専用の精算装置とにより構成されるセミセルフのPOSシステムにも適用されてよい。
【0088】
このようなフルセルフモードまたはセミセルフモードでPOS端末20が稼働される場合には、店員の操作は登録に関するものに限定されることから、第1実施形態のように、店員側にて対応方法選択画面DL1を表示させることはできない。
本実施形態においては、精算において支払総額に対する支払いを開始するにあたり、客がブランドAの電子マネーを利用した場合において、「電子マネー残高不足」の状態となった場合には、客に向けて対応方法選択画面を表示し、店員が対応方法を選択する操作を行うようにされる。
以下の説明においては、フルセルフモードが設定されたPOS端末20により客が会計に応じた操作を行うようにされている場合を例に挙げる。
【0089】
本実施形態の場合、客は、購入対象の商品を持参してフルセルフモードのPOS端末20に赴き、まず、購入対象の商品を順次登録する操作をPOS端末20に対して行う。客は、購入対象の商品の全ての登録を完了すると、精算への移行を指示する操作をPOS端末20に対して行う。
【0090】
精算への移行を指示する操作が行われたことに応じて、POS端末20は、客側表示部205に1次決済種別指定画面を表示する。客は、ブランドAの電子マネーを使用して支払いを行おうとしていることから、1次決済種別指定画面に対して、ブランドAの電子マネーを決済種別として指定する操作を行う。
【0091】
上記のように決済種別を指定する操作が行われたことに応じて、POS端末20は、ブランドAの電子マネーカードの読み取りを待機する状態となる。客は、決済端末208に自分が所持するブランドAの電子マネーカードからカード識別子を読み取らせる。POS端末20は、読み取ったカード識別子に対応付けられた電子マネー残高と支払総額とを比較して、電子マネー残高不足の状態であるか否かを判定する。
【0092】
この場合には、電子マネー残高不足の状態であると判定された。そこで、この場合のPOS端末20は、客側表示部205にて対応方法選択画面を表示させる。
図9は、客側表示部205にて表示される対応方法選択画面の一例を示している。同図の対応方法選択画面は、例えば精算画面上に重畳して表示されるダイアログウィンドウであってよい。
同図の対応方法選択画面においては、対応方法選択ボタンBT2(チャージボタンBT2-1、連続使用(「全額使い切る」)ボタンBT2-2、中止(「支払い方法を変更」)ボタンBT2-3)が配置されている。
また、対応方法選択画面においては、支払総額(お支払い金額)と電子マネー残高と、不足金額(不足額)とが表示されている。
この場合、客は、ブランドAの電子マネーによる電子マネー連続使用を行って支払いを行うこととした。そこで、客は、対応方法選択画面に対する操作として、連続使用ボタンBT2-2を操作した。
同図の対応方法選択画面においては、客による操作が行われることを考慮して、最も操作される可能性の高い連続使用ボタンBT2-2を右の位置に配置している。
【0093】
連続使用ボタンBT2-2が操作されたことに応じて、POS端末20は、1回目の部分支払処理を実行する。1回目の部分支払処理の結果、電子マネー残高不足の状態が生じる。そこで、この場合のPOS端末20は、2次決済種別指定画面を客側表示部205に表示する。
【0094】
図10は、2次決済種別指定画面の一例を示している。同図の2次決済種別指定画面においては、例えば「次の決済種別を選択してください。」のように、次に客が行うこととなる支払残高に対する支払いに使用する決済種別を選択してもらうことを促すメッセージが表示されている。また、同図の2次決済種別指定画面においては、現時点の支払残高が表示されている。
【0095】
また、同図の2次決済種別指定画面においては、2つの決済種別指定ボタンBT3(電子マネー指定(全部使い切る)ボタンBT3-1、及びその他指定(支払い方法を変更)ボタンBT3-2)が配置されている。
電子マネー指定ボタンBT3-1は、2回目の部分支払処理に対応する決済種別としてブランドAの電子マネーの使用を指定する場合に操作されるボタンである。
その他指定ボタンBT11-3は、2回目の部分支払処理に対応する決済種別として、ブランドAの電子マネー以外の他の決済種別を指定する操作が行われるボタンである。他の決済種別には、例えばクレジットカード、ブランドA以外の電子マネー、ポイント等を挙げることができる。また、他の決済種別には、現金も含まれてよい。
【0096】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、会計装置に関する。
[背景技術]
電子マネーによる支払いに対応可能なPOS端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2018-194915号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
客が或るブランドの電子マネー等のような所定の非現金決済種別により支払いを行うにあたっては、当該所定の非現金決済種別による支払いに関する利便性が向上されることが好ましい。
本発明は、所定の非現金決済種別による支払いに関する利便性が向上されるようにすることを目的とする。
【0097】
[課題を解決するための手段]
(1)本実施形態の一態様は、代金の支払い方法として指定された所定の非現金決済種別(例えば、特定のブランド(ブランドA)の電子マネー)で支払いに利用可能な残高が購入金額(支払総額)未満(電子マネー残高不足の状態)の場合、前記残高の全てを支払いに使用する宣言を受付ける受付手段と、前記受付手段により前記宣言が受け付けられたことに応じて、以降における支払い不足金額に対する支払いに使用する決済種別として、少なくとも前記指定された所定の非現金決済種別を指定可能な指定手段とを備える会計装置(例えば、POS端末20)である。
【0098】
上記構成によれば、客が最初に決済手段として指定したブランドAの電子マネーの電子マネー残高が支払総額に満たない電子マネー残高不足の状態となった場合に対応して、電子マネー連続使用を指定(宣言)した場合には、以降において、ブランドAの電子マネーを決済種別として優先的に提示することが可能となる。これにより、所定の非現金決済による支払いに関する利便性が向上される。
【0099】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の会計装置であって、前記指定手段は、前記受付手段により前記宣言が受け付けられたことに応じて、以降における支払い不足金額に対する支払いに使用する決済種別として、少なくとも前記指定された所定の非現金決済種別と現金決済とを指定可能とされてよい。
【0100】
上記構成によれば、電子マネー連続使用を指定した後においても、客が何らかの事情で、電子マネー連続使用をキャンセルしたい場合には、現金による決済に容易に切り替えて支払残高に対する支払いを行うことができる。
【0101】
(3)本実施形態の一態様は、(1)または(2)に記載の会計装置であって、前記所定の非現金決済種別に対応する残高の充当(チャージ)を行う充当手段をさらに備え、前記受付手段は、前記残高の全てを支払いに使用する宣言と、前記指定された所定の非現金決済種別の残金の充当とを選択可能に提示してよい。
【0102】
上記構成によれば、電子マネー残高不足の状態となったこと場合の対応として、客は、電子マネー連続使用と、電子マネー残高不足の状態となった電子マネーのチャージとを選択することができる。
【0103】
(4)本実施形態の一態様は、(3)に記載の会計装置であって、店員が操作を行う店員側操作部と、客が操作を行う客操作部とを備え、前記充当手段は、前記受付手段により前記宣言が受け付けられて以降において、前記店員側操作部に対する操作に応じて充当が可能なようにされてよい。
【0104】
上記構成によれば、例えば1回目の電子マネー連続使用の指定が行われた後においては、店員による操作が行われなければ電子マネーへのチャージが行えないようにすることができる。
【0105】
なお、上述の上位装置10、POS端末20、取引管理サーバ30、及び電子マネーサーバ40等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の上位装置10、POS端末20、取引管理サーバ30、及び電子マネーサーバ40等の処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、SSD等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 上位装置、20 POS端末、30 取引管理サーバ、40 電子マネーサーバ、205 客側表示部、206 客側スキャナ部、208 決済端末、209 釣銭機、210 店員側表示部、211 キー操作部、212 店員側スキャナ部、213 印刷部、215 通信部