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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066828
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】物品収容什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20240509BHJP
   A47B 13/02 20060101ALI20240509BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20240509BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A47B31/00 Z
A47B13/02
A47B13/00 Z
A61G12/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176563
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】木曽 博紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 遣
【テーマコード(参考)】
3B053
4C341
【Fターム(参考)】
3B053NP07
3B053NQ01
3B053NQ08
3B053NQ10
3B053NR00
4C341LL07
(57)【要約】
【課題】第三者による悪戯を抑制できる物品収容什器を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る物品収容什器は、床面上を走行可能な什器本体と、物品収容空間の内部から外部への物品の移動を規制する規制状態、及び開口部を通じた物品収容空間の内部から外部への物品の移動を許容する開放状態の間を移動可能な制止部材と、制止部材に係合して規制状態から開放状態への制止部材の移動を規制する係合状態、及び規制状態から開放状態への制止部材の移動を許容する係合解除状態間を移動可能なロック部材と、ロック部材を係合状態及び係合解除状態間で移動させる操作部と、を備えている。操作部は、什器本体のうち物品収容部の開口部とは異なる方向を向く操作面に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に交差する第1方向に開口するとともに、物品が収容される物品収容空間を有し、床面上を走行可能な什器本体と、
前記物品収容空間の開口部の少なくとも一部に前記第1方向から見て重なり合い、前記開口部を通じた前記物品収容空間の内部から外部への前記物品の移動を規制する規制状態、及び前記第1方向から見て前記開口部から退避して、前記開口部を通じた前記物品収容空間の内部から外部への前記物品の移動を許容する開放状態の間を移動可能な制止部材と、
前記制止部材が前記規制状態にあるとき、前記制止部材に係合して前記規制状態から前記開放状態への前記制止部材の移動を規制する係合状態、及び前記制止部材との係合が解除されて、前記規制状態から前記開放状態への前記制止部材の移動を許容する係合解除状態間を移動可能なロック部材と、
前記ロック部材を前記係合状態及び前記係合解除状態間で移動させる操作部と、を備え、
前記操作部は、前記什器本体のうち前記第1方向とは異なる方向を向く操作面に設けられている物品収容什器。
【請求項2】
前記什器本体のうち上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向の一方側に位置する部分には、把持部が設けられ、
前記操作面は、前記第2方向の一方側を向いている請求項1に記載の物品収容什器。
【請求項3】
前記操作面は、前記開口部に隣接して配置されている請求項2に記載の物品収容什器。
【請求項4】
前記什器本体は、前記操作面における前記第1方向の両端部に、前記第2方向の一方側に延びる側板を備えている請求項3に記載の物品収容什器。
【請求項5】
前記操作面及び前記側板で囲まれた部分は、前記第2方向の一方側に開放された下肢収容空間を構成し、
前記操作部は、前記下肢収容空間内に設けられている請求項4に記載の物品収容什器。
【請求項6】
前記物品収容空間には、前記物品が収容されるとともに、前記制止部材が前記開放状態にあるとき前記開口部を通じて出し入れされる引き出しが設けられ、
前記引き出しは、前記物品収容空間において上下方向に複数並んで配置され、
前記制止部材は、前記規制状態において複数の前記引き出しそれぞれの少なくとも一部に前記第1方向から見て重なり合うことで、複数の前記引き出しの前記物品収容空間の内部から外部への移動をまとめて規制する請求項1から請求項5の何れか1項に記載の物品収容什器。
【請求項7】
前記制止部材は、上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置された前記規制状態と、前記第1方向に沿って前記開口部とは反対側を向いて配置された前記開放状態と、の間を上下方向に沿う軸線回りに回転可能に前記什器本体に支持され、
前記制止部材は、前記開放状態において、前記什器本体の前記第1方向での最大外形部よりも内側に位置している請求項1から請求項5の何れか1項に記載の物品収容什器。
【請求項8】
前記ロック部材は、前記操作部の回転操作によって前記係合状態及び前記係合解除状態間を移行する請求項1から請求項5の何れか1項に記載の物品収容什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容什器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、物品載置部を有する什器本体と、什器本体を支持するキャスタと、を備えるカート装置が開示されている。カート装置は、什器本体の後部に設けられた把持部を介して押したり引いたりされることで、前進、後退又は旋回できるようになっている。これにより、カート装置は、必要な物品を物品載置部上に載置した状態で、執務空間(オフィスや病院、公共施設等)を移動することができ、必要に応じた場所まで移動して随時作業が行えるようになっている。
【0003】
ところで、上述したカート装置として、複数の引き出しを備える構成がある。この種のカート装置は、第三者による悪戯等を抑制するために、規制バーを備えている(例えば下記特許文献2参照)。規制バーは、鍵によって錠前を操作することで、引き出しの移動を規制する規制状態から、引き出しの移動を許容する許容状態へと移動可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5975609号公報
【特許文献2】特許第5042044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、規制バーと錠前とがカート装置における同一面に設けられているため、第三者にとって錠前の位置が認識し易かった。特に、病院内でスタッフステーションや病室等、様々な場所に移動してカート装置を使用する場合には、執務者(看護師等)がカート装置から離れている間に、患者等の第三者が盗難や無断使用、悪戯するおそれがある。したがって、従来技術では、第三者による悪戯を抑制する点で未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明は、第三者による悪戯を抑制できる物品収容什器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係る物品収容什器は、上下方向に交差する第1方向に開口するとともに、物品が収容される物品収容空間を有し、床面上を走行可能な什器本体と、前記物品収容空間の開口部の少なくとも一部に前記第1方向から見て重なり合い、前記開口部を通じた前記物品収容空間の内部から外部への前記物品の移動を規制する規制状態、及び前記第1方向から見て前記開口部から退避して、前記開口部を通じた前記物品収容空間の内部から外部への前記物品の移動を許容する開放状態の間を移動可能な制止部材と、前記制止部材が前記規制状態にあるとき、前記制止部材に係合して前記規制状態から前記開放状態への前記制止部材の移動を規制する係合状態、及び前記制止部材との係合が解除されて、前記規制状態から前記開放状態への前記制止部材の移動を許容する係合解除状態間を移動可能なロック部材と、前記ロック部材を前記係合状態及び前記係合解除状態間で移動させる操作部と、を備え、前記操作部は、前記什器本体のうち前記第1方向とは異なる方向を向く操作面に設けられている。
【0008】
本態様によれば、操作部が物品収容空間の開口方向(第1方向)とは異なる方向を向く面に設けられることで、物品収容空間の開口方向から見て操作部の位置が第三者から認識され難くなる。これにより、物品収容空間に収容された物品の無断使用等、第三者による悪戯を抑制できる。この場合、病院内でスタッフステーションや病室等、様々な場所に移動して物品収容什器を使用する場合であっても、執務者(看護師等)が物品収容什器から離れている間に、患者等の第三者が物品収容什器に収容された物品について盗難や無断使用、悪戯することを抑制できる。
【0009】
(2)上記(1)の態様に係る物品収容什器において、前記什器本体のうち上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向の一方側に位置する部分には、把持部が設けられ、前記操作面は、前記第2方向の一方側を向いていることが好ましい。
本態様によれば、物品収容什器の移動時において、把持部を把持する際に、執務者は什器本体に対して第2方向の一方側に位置する。これにより、物品収容什器を第2方向の一方側から見たとき、操作部が執務者によって遮られ易くなる。そのため、物品収容什器の移動時においても操作部の位置が認識され難い。また、物品収容什器の停止後、執務に移行する際、執務者は物品収容什器に対して第2方向の一方側に位置したまま操作部にアクセスすることができる。これにより、防犯性と操作性の双方を両立することができる。
【0010】
(3)上記(2)の態様に係る物品収容什器において、前記操作面は、前記開口部に隣接して配置されていることが好ましい。
本態様によれば、操作部を係合解除状態に移行させた後、物品収容空間の開口部にスムーズにアクセスすることができる。これにより、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0011】
(4)上記(3)の態様に係る物品収容什器において、前記什器本体は、前記操作面における前記第1方向の両端部に、前記第2方向の一方側に延びる側板を備えていることが好ましい。
本態様によれば、操作部が第1方向の外側から取り囲まれるので、操作部の位置が第三者によって認識され難くなる。操作部の位置が第三者によって認識され難くなることで、セキュリティ面が向上する分、ロック機構(操作部やロック部材)を簡易的なものにすることができる。すなわち、操作部が認識され難いことにより、ロック機構が簡易的でセキュリティ性が低下する分の防犯性を補完できる。その結果、錠前と鍵が組み合わされた複雑なロック機構を用いることがないため、物品収容什器の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0012】
(5)上記(4)の態様に係る物品収容什器において、前記操作面及び前記側板で囲まれた部分は、前記第2方向の一方側に開放された下肢収容空間を構成し、前記操作部は、前記下肢収容空間内に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、操作部が下肢収容空間内の奥まった位置に配置されるので、防犯性の更なる向上を図ることができる。
【0013】
(6)上記(1)から(5)の何れかの態様に係る物品収容什器において、前記物品収容空間には、前記物品が収容されるとともに、前記制止部材が前記開放状態にあるとき前記開口部を通じて出し入れされる引き出しが設けられ、前記引き出しは、前記物品収容空間において上下方向に複数並んで配置され、前記制止部材は、前記規制状態において複数の前記引き出しそれぞれの少なくとも一部に前記第1方向から見て重なり合うことで、複数の前記引き出しの前記物品収容空間の内部から外部への移動をまとめて規制することが好ましい。
本態様によれば、物品収容空間に複数の引き出しが収容されているので、物品収容空間を小分けにすることができ、物品収容空間を効率的に活用できる。その上で、一つの制止部材によって各引き出しの移動を一括で規制又は許容することで、操作性の向上を図ることができる。
【0014】
(7)上記(1)から(6)の何れかの態様に係る物品収容什器において、前記制止部材は、上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置された前記規制状態と、前記第1方向に沿って前記開口部とは反対側を向いて配置された前記開放状態と、の間を上下方向に沿う軸線回りに回転可能に前記什器本体に支持され、前記制止部材は、前記開放状態において、前記什器本体の前記第1方向での最大外形部よりも内側に位置していることが好ましい。
本態様によれば、ストッパが開放状態にあるときであっても、例えば引き出しを出し入れする際や物品収容什器周辺を通行する際等にストッパが邪魔になり難い。
【0015】
(8)上記(1)から(7)の何れかの態様に係る物品収容什器において、前記ロック部材は、前記操作部の回転操作によって前記係合状態及び前記係合解除状態間を移行することが好ましい。
本態様によれば、執務者は別途鍵等を持ち歩くことなく、係合状態及び係合解除状態間でロック部材を移行させることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、第三者による悪戯を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】椅子が使用状態にあるときを示す第1実施形態に係る什器システムの斜視図である。
図2】椅子が収容状態にあるときを示す第1実施形態に係る什器システムの断面図である。
図3】椅子が使用状態にあるときを示す第1実施形態に係る什器システムの断面図である。
図4図1のIV-IV線に対応する断面図である。
図5】ストッパが規制状態にあるときを示す第1実施形態に係るカート装置の要部斜視図である。
図6】ストッパが開放状態にあるときを示す第1実施形態に係るカート装置の要部斜視図である。
図7図5のVII-VII線に対応する断面図である。
図8図6のVIII-VII線に対応する断面図である。
図9】第1実施形態に係る什器システムの背面図である。
図10】椅子が使用状態にあるときを示す第1実施形態に係る什器システムの斜視図である。
図11】第2実施形態に係るカート装置の斜視図である。
図12】第2実施形態の変形例に係るカート装置の断面図である。
図13】変形例に係るカート装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、本実施形態において、「向かい合う」とは、2つの面それぞれの直交方向(法線方向)が互いに一致している場合に限らず、直交方向同士が交差している場合も含んでいる。
【0019】
(第1実施形態)
[什器システム1]
図1は、椅子3が使用状態P2にあるときを示す什器システム1の斜視図である。図2は、椅子3が収容状態P1にあるときを示す什器システム1の断面図である。図3は、椅子3が使用状態P2にあるときを示す什器システム1の断面図である。
図1図3に示す什器システム1は、カート装置(物品収容什器)2と、カート装置2に対して着脱可能に搭載される椅子3と、を備えている。什器システム1は、カート装置2に椅子3を搭載した状態(図2における収容状態P1)で、カート装置2と椅子3とが一体となって床面F上を走行可能である。一方、什器システム1は、カート装置2から取り外した椅子3に着座した状態(図1に示す使用状態P2)で、カート装置2を利用した作業が可能である。
【0020】
以下の説明では、椅子3が使用状態P2にあるときを基準として什器システム1の構成を説明する。また、各図では、什器システム1全体での向き(前後上下左右方向)について座標を用いて表している。この場合、床面Fに垂直な方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向から見て互いに直交する方向をそれぞれ前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左方)としている。その上で、カート装置2の向きと椅子3の向きとが一致している場合は、単に前後方向、上下方向又は左右方向として説明する。一方、カート装置2の向きと椅子3の向きとが異なっている場合、カート装置2の向きについてはカート前後方向又はカート左右方向とした上で説明し、椅子3の向きについては椅子前後方向又は椅子左右方向とした上で説明する場合がある。なお、カート装置2の向きとは、カート装置2のうち把持部12が設けられている側に執務者が立った状態で執務者から見た向きである。椅子3の向きとは、執務者が椅子3に着座した状態で執務者から見た向きである。
【0021】
<カート装置2>
カート装置2は、執務空間において物品を搬送するために用いられる。カート装置2は、什器本体10と、キャスタ11と、把持部12と、引き出し13と、ストッパ(制止部材)14と、ロック機構15と、係止部16と、を備えている。
什器本体10は、カート装置2の外観を構成するものであって、直方体形状に形成されている。図示の例において、什器本体10の平面視形状は、前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする長方形状に形成されている。なお、カート装置2が病院で使用される場合、カート装置2によって搬送される物品としては、点滴や薬剤等の医薬品、血圧計や体温計等の医療機器、携帯電話やパソコン、タブレット等の携帯電子機器等が挙げられる。
【0022】
什器本体10は、底フレーム31と、縦壁32と、天板33と、ビーム34と、を備えている。
底フレーム31は、床面Fに沿って配置されている。底フレーム31は、底板31aと、側部フレーム31bと、を備えている。
底板31aは、什器本体10のうち前部に位置している。側部フレーム31bは、底板31aにおける左右方向の両端縁に、前後方向に沿って設けられている。側部フレーム31bの後部は、底板31aに対して後方に突出している。
【0023】
図4は、図1のIV-IV線に対応する断面図である。
図1図4に示すように、縦壁32は、前板35と、一対の側板36と、仕切板37と、を備えている。
前板35は、底フレーム31の前端縁から上方に延びている。
側板36は、各側部フレーム31bの後部(底板31aから突出した部分)からそれぞれ上方に延びている。各側板36は、左右方向で向かい合っている。
仕切板37は、底板31aの後端縁から上方に延びている。仕切板37は、一対の側板36の前端縁同士の間を接続している。仕切板37は、前板35と前後方向で向かい合っている。
【0024】
天板33は、平面視で長方形状に形成されている。天板33は、縦壁32(前板35、側板36及び仕切板37)に連結され、縦壁32に下方から支持されている。本実施形態において、天板33は、縦壁32を上方から覆うようにして設けられている。天板33の上面は、物品を載置可能な物品載置面を構成している。
【0025】
ビーム34は、天板33の下方において、天板33の左右両端縁に対して左右方向の内側に位置する部分に一対で設けられている。各ビーム34は、天板33の下面に沿って前後方向に延びている。各ビーム34は、前板35及び仕切板37間を架け渡すとともに、天板33を下方から支持している。なお、本実施形態において、各ビーム34における前後方向に直交する断面形状は、例えば左右方向の内側に開口するC字状に形成されている。但し、ビーム34は、角筒状等に形成されていてもよい。
【0026】
什器本体10のうち、底フレーム31、天板33、側板36及び仕切板37で囲まれた部分は、下肢収容空間41を構成している。下肢収容空間41は、天板33の下方において、仕切板37よりも後方に位置する空間である。すなわち、下肢収容空間41の内外は、天板33によって上下方向に仕切られ、側板36によって左右方向に仕切られ、仕切板37によって前後方向に仕切られている。下肢収容空間41は、後方及び下方に向けて連続して開口している。
【0027】
什器本体10のうち、底フレーム31、天板33、前板35及び仕切板37で囲まれた部分は、物品収容空間42を構成している。物品収容空間42は、天板33の下方において、仕切板37よりも前方に位置する空間である。すなわち、物品収容空間42は、天板33によって上下方向に仕切られ、前板35によって前後方向に仕切られ、仕切板37によって下肢収容空間41との間が仕切られている。物品収容空間42は、左右方向(第1方向)の両側に位置する開口部(右側開口部及び左側開口部)を通じて左右方向の両側に開放されている。
【0028】
キャスタ11は、什器本体10(底フレーム31)の下面に複数取り付けられている。本実施形態において、キャスタ11は、各側部フレーム31bの前後両端部に設けられている。キャスタ11は、上下方向に沿う軸線回りに旋回可能に構成されるとともに、床面Fに沿う軸線回りに回転可能に構成されている。これにより、カート装置2は、キャスタ11を介して床面F上を走行可能に構成されている。
【0029】
把持部12は、執務者の持ち手となる部分である。把持部12は、平面視において前方に開口するU字状に形成されている。把持部12は、天板33(下肢収容空間41)よりも後方に突出した状態で、天板33の後部(第2方向の一方側に位置する部分)に、天板33の下方から固定されている。なお、把持部12は必須の構成ではない。
【0030】
引き出し13は、物品収容空間42内に上下方向に亘って複数段設けられている。各引き出し13は、前板35及び仕切板37に設けられた一対のスライドレール45に、それぞれ左右方向にスライド可能に支持されている。引き出し13は、物品収容空間42の右側開口部又は左側開口部を通じて物品収容空間42の内外に出し入れ可能に構成されている。本実施形態では、スライド可能な引き出し13が物品収容空間42に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。物品収容空間42は、物品が収容可能な構成であればよく、引き出し13に代えて棚板等が設けられていてもよい。
【0031】
図5は、ストッパ14が規制状態にあるときのカート装置2の要部斜視図である。図6は、ストッパ14が開放状態にあるときのカート装置2の要部斜視図である。図7は、図5のVII-VII線に対応する断面図である。図8は、図6のVIII-VII線に対応する断面図である。
図5図8に示すように、ストッパ14は、物品収容空間42における右側開口端縁及び左側開口端縁それぞれに設けられている。各ストッパ14は、何れも同様の構成であるため、以下の説明では一方側(左側)のストッパ14を例にして説明する。
【0032】
ストッパ14は、ストッパ片14aと、被係合部14bと、マグネット14cと、を備えている。
ストッパ片14aは、物品収容空間42における仕切板37寄りに位置する部分(後部)に設けられている。ストッパ片14aは、上下方向に沿う軸線O1(図7参照)回りに回転可能に仕切板37の前面に設けられている。具体的に、ストッパ片14aは、左右方向から見て物品収容空間42の左側開口部の一部に重なり合う規制状態(図5,7中参照)と、左右方向から見て物品収容空間42の左側開口部から退避した開放状態(図6,8参照)と、の間を回転する。ストッパ片14aは、規制状態にあるとき、前後方向に沿って配置されている。ストッパ片14aは、規制状態にあるとき、引き出し13が左右方向の内側から突き当たることで、引き出し13が物品収容空間42から抜け出すことを規制する。ストッパ片14aは、開放状態にあるとき、規制状態に対して軸線O1回りに90°回転することで、左右方向の外側を向いて配置されている。ストッパ片14aは、開放状態にあるとき、物品収容空間42に対する引き出し13の出し入れが許容される。これにより、引き出し13を物品収容空間42から引き出すことで、引き出し13内に収容された物品等を取り出すことができる。なお、ストッパ片14aは、規制状態及び開放状態の双方において、平面視で天板33や底フレーム31から突出していない。つまり、ストッパ片14aは、規制状態及び開放状態の双方において、カート装置2における平面視での左右方向の最大外形部よりも内側に位置している。
【0033】
図5図7に示すように、被係合部14bは、ストッパ片14aの上端部に設けられている。被係合部14bは、L字状に形成されている。具体的に、被係合部14bは、ストッパ片14aが規制状態にあるとき、左右方向の内側に向けて延びる接続片14b1と、接続片14b1の先端部から上方に延びる被係合片14b2と、を備えている。被係合部14bは、ストッパ片14aが規制状態にあるとき、ビーム34に設けられた貫通孔34aを通じてビーム34内に進入している。
【0034】
マグネット14cは、ストッパ片14aの上端部のうち、ビーム34と向かい合う位置に設けられている。マグネット14cは、ビーム34を吸着することで、ストッパ片14aを規制状態で保持している。
【0035】
図9は、什器システム1の背面図である。
図9に示すように、ロック機構15は、仕切板37における左右方向の両端部に、各ストッパ14に対応して設けられている。各ロック機構15は、何れも同様の構成であるため、以下の説明では一方側(左側)のロック機構15を例にして説明する。
【0036】
図5図7に示すように、ロック機構15は、軸部15aと、操作部15bと、係合部15cと、を備えている。
軸部15aは、仕切板37を前後方向に貫通している。すなわち、軸部15aの後端部は、仕切板37の後方において下肢収容空間41内に位置している。一方、軸部15aの前端部は、仕切板37の前方においてビーム34内に位置している。軸部15aは、前後方向に沿う軸線O2回りに回転可能に仕切板37に支持されている。
【0037】
操作部15bは、軸部15aの後端部に連結されている。操作部15bは、下肢収容空間41内の上部において、仕切板37の後面(操作面)に、後方を向いた状態で設けられている。すなわち、操作部15bは、物品収容空間42の開口方向(左右方向)とは異なる方向を向く面に設けられている。操作部15bは、前後方向から見て軸部15aよりも大径の円板状に形成されている。操作部15bは、利用者が下肢収容空間41内に手を差し入れた状態で回転操作される。上述した軸部15aは、操作部15bの回転操作に伴い操作部15bと一体回転する。なお、操作部15bの外周面には、例えばローレット加工等が施されている。また、操作部15bは、軸部15aを回転操作できる形状であれば、例えばレバー状等でもよい。
【0038】
係合部15cは、軸部15aの前端部に連結されている。すなわち、係合部15cは、ビーム34内において、貫通孔34aと左右方向で向かい合う位置に設けられている。係合部15cは、L字状に形成されている。具体的に、係合部15cは、軸部15aの前端部に軸部15aと交差する方向に延びる接続片15c1と、接続片15c1の先端部から接続片15c1と交差する方向に延びる係合片(ロック部材)15c2と、を備えている。係合片15c2は、軸部15aの回転に伴い、係合状態及び係合解除状態間を軸線O2回りに公転する。係合状態とは、ストッパ片14aが規制状態にあるとき、被係合片14b2と係合片15c2とが係合した状態である。具体的に、係合状態において、係合片15c2は、被係合片14b2に対して左右方向の外側から近接又は当接している。ストッパ14は、被係合片14b2が係合片15c2に左右方向の内側から当接することで、規制状態から開放状態への移動が規制される。一方、係合解除状態とは、係合片15c2が被係合片14b2に対して左右方向の外側から退避した状態である。具体的に、係合片15c2は、被係合片14b2に対して上方又は左右方向の内側に位置することで、被係合片14b2の左右方向の外側への移動を許容する。これにより、係合片15c2が係合解除状態にあるとき、規制状態から開放状態へのストッパ14の移動が許容される。
【0039】
図1図4に示すように、係止部16は、下肢収容空間41の内部に設けられている。係止部16は、左右方向に延びる杆状に形成されている。係止部16は、一対の側板36における前後方向の中央部において、一対の側板36の上端部同士の間に架け渡されている。図9に示すように、係止部16は、操作部15bよりも下方に位置している。これにより、係止部16と操作部15bは、前後方向から見て上下方向に互いにずれている。但し、係止部16と操作部15bとの上下方向における相対位置は、適宜変更が可能である。
【0040】
<椅子3>
図1図3に示すように、椅子3は、足置き62eを備えた、いわゆるハイチェアである。椅子3は、着座部51と、支持構造体52と、を備えている。
着座部51は、座55と、背凭れ56と、を備えている。
【0041】
座55は、執務者が着座部51に着座した状態において、執務者の臀部から大腿部に至る部分を支持する。
背凭れ56は、執務者が着座部51に着座した状態において、執務者の腰部を支持する。背凭れ56は、座55の後端部から上方に延びている。本実施形態において、背凭れ56の左右方向の幅は、把持部12の左右方向の幅よりも短くなっている。背凭れ56には、取っ手56aが形成されている。本実施形態において、取っ手56aは、背凭れ56を前後方向に貫通する貫通孔である。但し、取っ手56aは、背凭れ56の上端縁等に形成されていてもよい。
【0042】
支持構造体52は、着座部51を下方から支持する。支持構造体52は、固定プレート61(図4参照)と、支持フレーム62と、突起部63と、を備えている。
固定プレート61は、上下方向を厚さ方向として、座55の下面に固定されている。
【0043】
支持フレーム62は、金属等からなる一本の杆材が屈曲形成されて構成されている。支持フレーム62は、左右方向から見て前方に向けて開口するC字状に形成されている。支持フレーム62は、座支持部62aと、起立脚62bと、接地脚62cと、立ち上がり部62dと、足置き62eと、を備えている。
座支持部62aは、固定プレート61の下方において、左右一対で設けられている。各座支持部62aは、前後方向に延びている。各座支持部62aの前端部は、固定プレート61に固定されている。
【0044】
起立脚62bは、各座支持部62aの後端部それぞれから下方に延びている。
接地脚62cは、起立脚62bの下端部それぞれから前方に延びている。各接地脚62cの前後両端部には、樹脂材料等からなる接地キャップ64が設けられている。
立ち上がり部62dは、接地脚62cの前端部それぞれから上方に延びている。図示の例において、立ち上がり部62dは、上方に向かうに従い漸次前方に延びている。
足置き62eは、立ち上がり部62dの上端部同士の間を接続している。本実施形態において、足置き62eは、着座部51よりも前方に位置している。足置き62eには、パッド65が設けられている。パッド65は、支持フレーム62よりも軟質な材料(例えば、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な材料)により形成されている。
【0045】
突起部63は、ゴム等の弾性変形可能な材料により形成されている。突起部63は、固定プレート61のうち各座支持部62aの前方に位置する部分に設けられている。突起部63は、固定プレート61から下方に突出している。
【0046】
(什器システム1の使用方法)
続いて、什器システム1の使用方法について説明する。
本実施形態の什器システム1において、図3に示す使用状態P2では、椅子3が床面Fに接地した状態で、カート装置2に対して前後方向に向かい合っている。使用状態P2において、執務者は、着座部51に着座した状態で天板33を用いて作業を行うことができる。この際、執務者は、下肢収容空間41内に下肢を差し入れた状態で執務を行うことができる。但し、使用状態P2において、椅子3は、椅子前後方向をカート前後方向に一致させたカート装置2に対して後方に配置される場合に限られない。例えば、図10に示すように、椅子前後方向をカート左右方向に沿わせてカート装置2に対してカート左右方向の一方側(左側)に、椅子3を配置する等してもよい。この場合には、着座部51に着座した状態で、物品収容空間42に簡単にアクセスすることができるため、引き出し13に収容された物品等を簡単に出し入れすることができる。
【0047】
ここで、引き出し13に収容された物品を取り出す際には、何れかのストッパ14(ストッパ片14a)を開放状態にする必要がある。以下の説明では、左側のストッパ14を開放状態にする場合について説明する。
まず、図5図7に示すように、執務者は下肢収容空間41内に手を差し入れ、左側の操作部15bを介してロック機構15を第1方向(例えば、時計回り)に回転させる。すると、係合部15c(係合片15c2)が軸線回りに公転することで、係合状態から係合解除状態に移行する。これにより、図6図8に示すように、係合片15c2と被係合片14b2との係合が解除され、ストッパ14の移動が許容される。
【0048】
次に、執務者は、ストッパ片14aを把持して、ストッパ片14aを手前に引っ張る。すると、ストッパ片14aは、軸線O1回りに回転することで、規制状態から開放状態に移行する。これにより、ストッパ片14aが左右方向から見て引き出し13から退避する。
そして、執務者は、複数の引き出し13の中から、必要な物品が収容された引き出し13を引っ張る。すると、選択した引き出し13の一部が物品収容空間42の外部に引き出される。これにより、執務者は、引き出し13の上端開口部を通じて物品を出し入れすることができる。
【0049】
なお、ストッパ14を再び規制状態にするには、上述した動作と逆の動作を行う。すなわち、引き出し13を物品収容空間42に戻した後、ストッパ片14aを規制状態に復帰させる。この際、ストッパ片14aは、マグネット14cがビーム34に吸着されることで、規制状態に保持される。この状態で、操作部15bを介してロック機構15を第2方向(例えば、反時計回り)に回転させることで、係合片15c2が係合解除状態から係合状態に移行する。これにより、係合片15c2が被係合片14b2に係合して、ストッパ片14aの移動が規制される。
【0050】
一方、什器システム1を執務空間で移動させる場合には、椅子3を使用状態P2から収容状態P1に移行させる。具体的には、図2図3に示すように、取っ手56aを介して椅子3を持ち上げ、下肢収容空間41の後端開口部41aを通じて椅子3を下肢収容空間41内に進入させる。なお、下肢収容空間41の後端開口部41aとは、天板33、側板36及び側部フレーム31bそれぞれの後端部で形成された部分である。そして、着座部51の前端部(座支持部62aと突起部63との間に位置する部分)を係止部16に上方から引っ掛ける。これにより、椅子3は、係止部16に吊り下げられた状態でカート装置2に支持される。その結果、椅子3は、床面Fから離間し、かつ着座部51と足置き62eとがカート装置2に当接した状態で、下肢収容空間41内に収容される(収容状態P1)。
【0051】
収容状態P1において、背凭れ56と把持部12とは、前後方向に隙間をあけた状態で向かい合っている。また、本実施形態において、背凭れ56の左右方向の幅は、把持部12の左右方向の幅よりも短くなっている。これにより、執務者は、背凭れ56と把持部12との間の隙間、又は背凭れ56に対して左右方向の外側を通じて把持部12を把持することができる。
【0052】
椅子3を収容状態P1に移行させた後、執務者は把持部12を把持した状態で、カート装置2を押したり引いたりすることで、什器システム1全体を前進、後退又は旋回させることができる。そして、収容状態P1の什器システム1を必要に応じた場所まで移動させた後、再度椅子3を使用状態P2に移行させることで、移動場所において椅子3に着座した状態で作業が行えるようになっている。これにより、執務者の作業性を向上させることができるとともに、執務者に掛かる負担を軽減することができる。特に、本実施形態では、ストッパ14を規制状態にして什器システム1を移動させることで、什器システム1の移動時において、引き出し13や、引き出し13に収容された物品が物品収容空間42から飛び出すことを抑制できる。
【0053】
ここで、本実施形態のカート装置2において、操作部15bが仕切板37の後面に設けられている構成とした。
この構成によれば、操作部15bが物品収容空間42の開口方向とは異なる方向を向く面に設けられることで、物品収容空間42の開口方向から見て操作部15bの位置が第三者から認識され難くなる。これにより、物品収容空間42に収容された物品の無断使用等、第三者による悪戯を抑制できる。この場合、病院内でスタッフステーションや病室等、様々な場所に移動して什器システム1を使用する場合であっても、執務者(看護師等)が什器システム1から離れている間に、患者等の第三者が什器システム1に収容された物品について盗難や無断使用、悪戯することを抑制できる。
【0054】
本実施形態のカート装置2において、什器本体10の後部に把持部12が設けられ、操作部15bが設けられている面が後方を向いている構成とした。
この構成によれば、カート装置2の移動時において、把持部12を把持する際に、執務者は什器本体10の後方に位置する。これにより、カート装置2を後方から見たとき、操作部15bが執務者によって遮られ易くなる。そのため、カート装置2の移動時においても操作部15bの位置が認識され難い。また、カート装置2の停止後、執務に移行する際、執務者はカート装置2の後方に位置したまま操作部15bにアクセスすることができる。これにより、防犯性と操作性の双方を両立することができる。
【0055】
本実施形態のカート装置2において、操作部15bが設けられた操作面は、物品収容空間42の開口部(右側開口部及び左側開口部)に隣接して配置されている構成とした。
この構成よれば、操作部15bを係合解除状態に移行させた後、物品収容空間42の開口部にスムーズにアクセスすることができる。これにより、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0056】
本実施形態のカート装置2において、什器本体10は、仕切板37における左右方向の両端部に、後方に延びる側板36を備えている構成とした。
この構成によれば、操作部15bが左右方向の外側から取り囲まれるので、操作部15bの位置が第三者によって認識され難くなる。操作部15bの位置が第三者によって認識され難くなることで、セキュリティ面が向上する分、ロック機構15を簡易的なものにすることができる。すなわち、操作部15bが認識され難いことにより、ロック機構15が簡易的でセキュリティ性が低下する分の防犯性を補完できる。その結果、錠前と鍵が組み合わされた複雑なロック機構を用いることがないため、カート装置2の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0057】
本実施形態のカート装置2において、仕切板37及び側板36で囲まれた部分は、後方に開放された下肢収容空間41を構成し、操作部15bは下肢収容空間41内に設けられている構成とした。
この構成によれば、操作部15bが下肢収容空間41内の奥まった位置に配置されるので、防犯性の更なる向上を図ることができる。
【0058】
しかも、本実施形態では、什器システム1の移動時等において、下肢収容空間41内に椅子3が収容される構成とした。
この構成によれば、下肢収容空間41内の視界が椅子3によって遮られるので、操作部15bの位置が第三者によって認識され難くなる。
【0059】
本実施形態のカート装置2において、物品収容空間42には、複数の引き出し13が上下方向に並んで配置されている構成とした。
この構成によれば、物品収容空間42に複数の引き出し13が収容されているので、物品収容空間42を小分けにすることができ、物品収容空間42を効率的に活用できる。
その上で、本実施形態において、ストッパ14は、規制状態において複数の引き出し13それぞれの少なくとも一部に左右方向から見て重なり合うことで、複数の引き出し13の物品収容空間42の内部から外部への移動をまとめて規制する構成とした。
この構成によれば、各引き出し13の移動を一括で規制又は許容することで、操作性の向上を図ることができる。
【0060】
本実施形態のカート装置2において、係合片15c2は、操作部15bの回転操作によって係合状態及び係合解除状態間を移行する構成とした。
この構成によれば、執務者は別途鍵等を持ち歩くことなく、係合状態及び係合解除状態間で係合片15c2を移行させることができる。
【0061】
本実施形態のカート装置2において、ストッパ14及びロック機構15が物品収容空間42における左右方向の両端部にそれぞれ設けられている構成とした。
この構成によれば、例えばカート装置2における左右方向の一方側側面が施設の壁面等に近接した状態であっても、カート装置2における左右方向の他方側に設けられたストッパ14を開放状態に移行させることで、物品収容空間42における左右方向の他方側開口部を通じて物品を出し入れすることができる。これにより、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0062】
本実施形態のカート装置2において、規制状態においてストッパ14が物品収容空間42の一部に重なり合う構成とした。
この構成によれば、ストッパ14が規制状態にあるときであっても、物品収容空間42の内部が視認可能となる。
しかも、本実施形態のカート装置2では、ストッパ14が開放状態にあるとき、カート装置2における平面視での最大外形部(本実施形態では天板33及び底フレーム31)よりも左右方向の内側に位置する構成とした。
この構成によれば、ストッパ14が開放状態にあるときであっても、例えば引き出し13を出し入れする際やカート装置2周辺を通行する際等にストッパ14が邪魔になり難い。
【0063】
(変形例)
上述した実施形態では、制止部材の一例として板状のストッパ14を採用した場合について説明したが、この構成に限られない。制止部材は、規制状態において、物品収容空間42の少なくとも一部に重なり合い、物品(引き出し13)の移動を規制できればよい。この場合、制止部材は、板状に限らず、棒状等であってもよい。
【0064】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係るカート装置2の斜視図である。本実施形態では、制止部材100は、規制状態において物品収容空間42の全体に重なり合う扉状に形成されている点で第1実施形態と相違している。
図11に示すカート装置2において、制止部材100は、扉体100aと、被係合部14bと、を備えている。
扉体100aは、吊元側端部が前板35に回転可能に支持されている。
被係合部14bは、扉体100aの上部のうち戸先側端部に設けられている。なお、扉体100aは、吊元側端部が仕切板37に支持されていてもよい。
【0065】
制止部材100は、扉体100aが規制状態にあるとき、左右方向から見て物品収容空間42の開口部全体を閉塞する。これにより、制止部材100は、引き出し13が物品収容空間42から抜け出すことを規制する。一方、制止部材100は、扉体100aが開放状態にあるとき、物品収容空間42の開口部全体を開放する。これにより、物品収容空間42に対する引き出し13の出し入れが許容される。
【0066】
なお、ロック機構15は、制止部材100が規制状態にあるとき、係合片15c2が係合状態となることで、被係合部14bに係合する。一方、ロック機構15は、係合片15c2(図6等参照)が係合解除状態になることで、被係合部14bとの係合が解除される。
【0067】
本実施形態では、制止部材100が規制状態にあるとき、物品収容空間42の開口部全体を閉塞することで、物品収容空間42内が第三者に視認されることを抑制できる。これにより、防犯性をより向上させることができる。
【0068】
(変形例)
上述した第2実施形態では、制止部材100が扉状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば図12に示すように、制止部材101がシャッタ状に形成されていてもよい。この場合、制止部材101は、シャッタ101aと、被係合部14bと、を備えている。
シャッタ101aは、例えば前板35及び仕切板37間に上下方向にスライド可能に支持されている。制止部材101は、シャッタ101aが規制状態にあるとき、左右方向から見て物品収容空間42の開口部全体を閉塞する。これにより、制止部材101は、引き出し13が物品収容空間42から抜け出すことを規制する。一方、制止部材101は、シャッタ101aが開放状態にあるとき、物品収容空間42の開口部全体を開放する。これにより、物品収容空間42に対する引き出し13の出し入れが許容される。
【0069】
被係合部14bは、シャッタ101aが規制状態にあるとき、シャッタ101aの下端部に設けられている。この場合、ロック機構15は、シャッタ101aが規制状態にあるとき、被係合部14bに対応する位置(例えば、仕切板37の下端部)に設けられている。
【0070】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、本発明に係る物品収容什器としてカート装置2を例にして説明したがこの構成に限られない。物品収容什器としては、ワゴン装置やデスク装置等であってもよい。
上述した実施形態では、什器本体10が側板36を備える構成について説明したが、この構成に限られない。下肢収容空間41は、左右方向の少なくとも一方側に開口する構成であってもよい。
上述した実施形態では、カート装置2と椅子3とが組み合わされた什器システム1を例にして説明したが、椅子3を備えない構成であってもよい。
【0071】
上述した実施形態では、操作部15bの回転操作に伴い、ロック機構15の係合状態及び係合解除状態が切り替えられる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば操作部15bのスライド操作に伴い、ロック機構15の係合状態及び係合解除状態が切り替えられる構成であってもよい。
上述した実施形態では、操作部15bの操作のみによってロック機構15の係合状態及び係合解除状態が切り替えられる構成について説明したが、この構成に限られない。ロック機構15は、鍵と錠前を備える構成であってもよい。錠前を備える場合は、錠前を覆うカバー部材があってもよい。
【0072】
上述した実施形態では、操作部15bが仕切板37の後面に設けられる構成について説明したが、この構成に限られない。操作部15bは、物品収容空間42の開口方向と異なる方向を向く面に設けられていればよい。この場合、操作部15bは、前板35や側板36、天板33等に設けられていてもよい。
上述した実施形態では、物品収容空間42に複数の引き出し13が設けられている構成について説明したが、この構成に限られない。物品収容空間42には、棚板等が設けられていてもよく、直接物品が収容される構成等であってもよい。
上述した実施形態では、制止部材(ストッパ14)が規制状態にあるとき、複数の引き出し13を一括して設けられている構成について説明したが、この構成に限られない。制止部材は、複数の引き出し13に対して個別に設けられていてもよい。
【0073】
上述した実施形態では、物品収容空間42が左右方向の両側に開口する構成について説明したが、この構成に限られない。物品収容空間42は、左右方向の一方側のみに開口する構成であってもよい。また、物品収容空間42は、前後方向に開口していてもよい。
上述した実施形態では、制止部材が金属等からなる板状に形成されていたが、この構成に限られない。制止部材は、例えばロールスクリーン等、布状等に形成されていてもよい。すなわち、制止部材は、規制状態において、開放状態に比べて物品の移動が規制される構成であればよい。
また、例えば図13に示すように、操作部15bの頂面に操作部15bの回転位置を示す指示部200を設ける一方、仕切板37の後面に係合片15c2の状態(係合状態又は係合解除状態)を示す表示部201を設ける構成であってもよい。図示の例において、表示部201は、係合状態を示す係合表示部201aと、係合解除状態を示す解除表示部201bと、を有している。これにより、執務者にとっての利便性を向上させることができる。なお、指示部200及び表示部201に使用するマークは適宜変更が可能である。
【0074】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
2:カート装置(物品収容什器)
10:什器本体
12:把持部
14:ストッパ(制止部材)
15b:操作部
15c2:係合片(ロック部材)
36:側板
100:制止部材
101:制止部材
F:床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13