(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066831
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】什器および什器システム
(51)【国際特許分類】
A47F 3/00 20060101AFI20240509BHJP
A47B 51/00 20060101ALI20240509BHJP
A47B 46/00 20060101ALI20240509BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A47F3/00 F
A47B51/00 501E
A47B46/00 501E
A47B91/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176567
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】桃井 雅士
【テーマコード(参考)】
3B069
3B110
【Fターム(参考)】
3B069AA01
3B069CA03
3B110FA05
3B110GA01
3B110HA10
3B110JA12
3B110JA25
(57)【要約】
【課題】利用可能な載置面の面積が大きい什器および什器システムを提供する。
【解決手段】什器100は、物品を載置可能な載置面11aを有する載置部材11と、載置面11aの上に収容空間S1を形成する透明なカバー体12と、カバー体12を昇降可能に支持する少なくとも一対の昇降ユニット21と、載置部材11を支持する少なくとも一対の支持体31と、を備える。一対の昇降ユニット21は、左右方向Yに離れて設けられている。一対の支持体31は、左右方向Yに離れて設けられている。昇降ユニット21は、支持体31に比べて左右方向Yの外側に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な載置面を有する載置部材と、
前記載置面の上に収容空間を形成する透明なカバー体と、
前記カバー体を昇降可能に支持する少なくとも一対の昇降ユニットと、
前記載置部材を支持する少なくとも一対の支持体と、を備え、
一対の前記昇降ユニットは、左右方向に離れて設けられ、
一対の前記支持体は、前記左右方向に離れて設けられ、
前記昇降ユニットは、前記支持体に比べて前記左右方向の外側に位置する、
什器。
【請求項2】
前記カバー体に取り付けられ、前記左右方向に延びる下部フレームをさらに備え、
前記カバー体は、平面視において矩形状とされ、
前記下部フレームは、前記カバー体の4つの辺のうち前記左右方向に延びる2つの辺にのみ取り付けられている、
請求項1記載の什器。
【請求項3】
前記カバー体は、前記収容空間が前記左右方向の少なくとも一方に開閉自在に開放されている、
請求項2記載の什器。
【請求項4】
前記昇降ユニットは、キャスタを有し、
前記支持体は、アジャスタを有する、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の什器。
【請求項5】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の什器を複数備え、
複数の前記什器は、前記左右方向に並べられ、開放された前記収容空間どうしが連通する、
什器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器および什器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を展示するための展示ケース(什器)が知られている。展示ケースは、例えば、物品を載置する載置面を囲む透明なカバーを備える。展示ケースは、カバーが昇降可能であると、載置面にアクセスしやすくなり、物品の載置および取出しの作業が容易となる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述の展示ケースでは、利用可能な載置面の面積が小さいという問題があった。そのため、利用可能な載置面の面積を大きくすることが求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、利用可能な載置面の面積が大きい什器および什器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る什器は、物品を載置可能な載置面を有する載置部材と、前記載置面の上に収容空間を形成する透明なカバー体と、前記カバー体を昇降可能に支持する少なくとも一対の昇降ユニットと、前記載置部材を支持する少なくとも一対の支持体と、を備え、一対の前記昇降ユニットは、左右方向に離れて設けられ、一対の前記支持体は、前記左右方向に離れて設けられ、前記昇降ユニットは、前記支持体に比べて前記左右方向の外側に位置する。
【0007】
この構成によれば、一対の昇降ユニットの左右方向の距離を大きくとることができる。したがって、カバー体が上昇位置にあるときに、カバー体と載置面との隙間を左右方向に広く確保できる。よって、利用可能な載置面の面積を大きくすることができる。
【0008】
(2)上記(1)の態様に係る什器において、前記カバー体に取り付けられ、前記左右方向に延びる下部フレームをさらに備え、前記カバー体は、平面視において矩形状とされ、前記下部フレームは、前記カバー体の4つの辺のうち前記左右方向に延びる2つの辺にのみ取り付けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、カバー体の右辺および左辺にフレームがないため、載置面の面積を大きく確保することができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)の態様に係る什器において、前記カバー体は、前記収容空間が前記左右方向の少なくとも一方に開閉自在に開放されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、複数の什器を左右方向に並べれば、収容空間を互いに連通させることができる。したがって、長尺の物品(例えば、展示物)を収容することができる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)のうちいずれか1つの態様に係る什器において、前記昇降ユニットは、キャスタを有し、前記支持体は、アジャスタを有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、什器を移動する際に、アジャスタを床面から上昇させてキャスタを接地させる。昇降ユニットは支持体に比べて左右方向の外側にあるため、一対の昇降ユニットのキャスタの左右方向の距離は大きい。したがって、移動の際に什器に傾きは生じにくい。よって、什器を移動させる際の安定性を高めることができる。
【0014】
(5)本発明の一態様に係る什器システムは、上記(1)~(4)のうちいずれか1つの態様に係る什器を複数備え、複数の前記什器は、前記左右方向に並べられ、開放された前記収容空間どうしが連通する。
【0015】
この構成によれば、複数の什器を備えるため、長尺の物品(例えば、展示物)を収容することができる。この什器システムは、利用可能な載置面の面積を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、利用可能な載置面の面積が大きい什器および什器システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】カバー体が上昇位置にある什器の斜視図である。
【
図6】カバー体が上昇位置にある什器の正面図である。
【
図7】カバー体が上昇位置にある什器の拡大した斜視図である。
【
図8】実施形態に係る什器システムの斜視図である。
【
図10】什器の第1変形例を模式的に示す平面図である。
【
図11】什器の第2変形例を模式的に示す平面図である。
【
図12】什器の第3変形例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態の什器および什器システムについて図面を参照して説明する。
【0019】
[什器]
図1は、実施形態に係る什器100の斜視図である。
図2は、什器100の分解斜視図である。
図3は、什器100の正面図である。
図4は、什器100の平面図である。
図5は、カバー体12が上昇位置にある什器100の斜視図である。
図6は、カバー体12が上昇位置にある什器100の正面図である。
図7は、カバー体12が上昇位置にある什器100の拡大した斜視図である。
【0020】
図面において、Z軸は、鉛直方向を示す。Z軸の矢印が向く側(+Z側)は鉛直方向の上側である。Z軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は鉛直方向の下側である。X軸は、什器の前後方向を示す。X軸の矢印が向く側(+X側)は前側である。X軸の矢印が向く側と逆側(-X側)は後側である。Y軸は、什器の左右方向を示す。Y軸の矢印が向く側(+Y側)は右側である。Y軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)は左側である。X軸に沿った前後方向は“前後方向X”である。Y軸に沿った左右方向は“左右方向Y”である。左右方向Yは側方である。Z軸に沿った鉛直方向は“鉛直方向Z”である。左右方向Yにおける什器の中心に近い側は「左右方向の内側」である。左右方向Yにおける什器の中心から遠い側は「左右方向の外側」である。鉛直方向Zから見ることを「平面視」という。左右方向Yから見ることを「側面視」という。
【0021】
図1~
図3に示すように、什器100は、例えば、博物館、美術館、展示場などの施設、および公共施設などに設置される展示ケースである。什器100は、図示しない展示物などの物品を外部から視認可能に収容する。什器100は、設置される施設などの床面F上に載置される。
【0022】
什器100は、収容部10と、昇降機構20と、支持部30と、側面部材40と、照明装置50(
図2参照)と、を備える。
収容部10は、載置部材11と、カバー体12と、一対の下部フレーム13(フレーム)と、を有する。載置部材11とカバー体12との間の空間は、収容空間S1となっている。収容空間S1には、図示しない展示物などの物品が収容される。
【0023】
載置部材11は、支持部30によって下方から支持されている。載置部材11は、平面視において矩形状の板体である。載置部材11は、平面視において、左右方向Yに長い長方形状である。載置部材11の上面は、展示物(物品)が載置可能な載置面11aである。載置面11aは矩形状である。載置面11aは、平面視において、左右方向Yに長い長方形状である。展示物は、載置面11aに、布、展示台などを介して配置されてもよい。
【0024】
載置面11aは平面であることが好ましい。載置部材11は、載置面11aが水平となるように設置されることが好ましい。載置部材11の厚さ方向は、鉛直方向Zと一致することが好ましい。なお、載置部材11の形状および姿勢は、展示物の種類に応じて定めることができる。例えば、載置面11aは凹凸形状を有していてもよい。載置面11aは水平面に対して傾斜していてよい。載置面11aは、湾曲面であってもよい。
【0025】
矩形状の載置面11aの前側(+X側)の辺を「前辺11b」という。載置面11aの後側(-X側)の辺を「後辺11c」という。載置面11aの右側(+Y側)辺を「右辺11d」という。載置面11aの左側(-Y側)辺を「左辺11e」という。前辺11bと後辺11cとは、載置面11aの向かい合う一対の辺である。
【0026】
カバー体12は、正面板14と、上面板15と、背面板16と、を有する。
カバー体12は、透明である。カバー体12は、例えば、アクリル板、ガラス板などによって形成されている。カバー体12は透明であるため、載置面11aに置かれた展示物を外部から視認可能である。
【0027】
正面板14は、カバー体12の前側(+X側)の壁部を形成している。正面板14の板面は、前後方向Xを向いている。正面板14は、左右方向Yに長い長方形板状である。正面板14は、上面板15の前端部から垂下する。正面板14は「前面板」ともいう。
【0028】
上面板15は、カバー体12の上側の壁部を形成している。上面板15は、正面板14の上端部と背面板16の上端部とを繋いでいる。上面板15は、板面が鉛直方向Zと直交する。すなわち、上面板15は水平面に沿う。上面板15は、左右方向Yに長い長方形板状である。上面板15の前端部は正面板14の上端部に繋がっている。上面板15の後端部は背面板16の上端部に繋がっている。上面板15は、載置部材11の上方に間隔を空けて、載置面11aと対向して配置されている。
【0029】
背面板16は、カバー体12の後側(-X側)の壁部を形成している。背面板16の板面は、前後方向Xを向いている。背面板16は、左右方向Yに長い長方形板状である。背面板16は、上面板15の後端部から垂下する。背面板16は、正面板14の後方に間隔を空けて、正面板14と対向して配置されている。
【0030】
下部フレーム13は、左右方向Yに延びる長板状とされている。下部フレーム13は、板面が鉛直方向Zと直交する。一対の下部フレーム13のうち前側(+X側)にある下部フレーム13を「第1下部フレーム13A」という(
図2参照)。第1下部フレーム13Aは、正面板14の下端部に取り付けられている。第1下部フレーム13Aは、正面板14の左右方向Yの全長にわたって形成されている。
【0031】
一対の下部フレーム13のうち後側(-X側)にある下部フレーム13を「第2下部フレーム13B」という(
図2参照)。第2下部フレーム13Bは、背面板16の下端部に取り付けられている。第2下部フレーム13Bは、背面板16の左右方向Yの全長にわたって形成されている。
一対の下部フレーム13は、前後方向Xに間隔を空けて対向して配置されている。
【0032】
収容空間S1は、正面板14と、上面板15と、背面板16と、載置部材11とによって囲まれた空間である。収容空間S1は、カバー体12によって載置面11aの上に形成される空間である。収容空間S1は、側面視において矩形状の空間である。
【0033】
収容空間S1は、左右方向Y(両側方)に開放されている。すなわち、収容空間S1は、一側方(+Y側と-Y側のうち一方)と、他側方(+Y側と-Y側のうち他方)とに開放されている。なお、収容空間S1は、少なくとも一側方に開放されていればよい。すなわち、収容空間S1は、一側方にのみ開放されていてもよいし、両側方に開放されていてもよい。言い換えれば、収容空間S1は、左右方向Yのうち少なくとも一方に開放されていればよい。カバー体12が下降位置P1にあるとき、収容空間S1は、前後方向および上下方向については閉止されている。
【0034】
収容空間S1が一側方のみ開放されている場合は、開放されていない側開口17には、側面部材40が開放不能な状態で取付けられていてもよい。開放されていない側開口17には、側面部材40の代わりに、側面板が設けられていてもよい。側面板は、正面板14の左右方向Yの端部と、上面板15の左右方向Yの端部と、背面板16の左右方向Yの端部に接続されている。側面板は、正面板14、上面板15および背面板16に一体的に形成されていてもよい。側面板は、カバー体12が上昇および下降の際に正面板14、上面板15および背面板16と一緒に上昇および下降する。なお、側面板が透明であれば側面板を通して展示物を視認することができる。側面板は不透明であってもよい。
【0035】
図2および
図3に示すように、カバー体12が下降している位置(下降位置P1)にあるときの、収容空間S1の側方の開口を「側開口17」という。側開口17は、例えば、正面板14の左右方向Yの端部と、上面板15の左右方向Yの端部と、背面板16の左右方向Yの端部と、載置部材11の左右方向Yの端部とによって区画される矩形状の開口である。
【0036】
図1に示すように、正面板14の下端部は、平面視において載置面11aの前辺11bまたはその近傍に位置する。背面板16の下端部は、平面視において後辺11cまたはその近傍に位置する。そのため、カバー体12は、平面視において、載置面11aの前辺11bから後辺11cにかけて形成されている。詳しくは、カバー体12は、平面視において、載置面11aの前辺11bまたはその近傍から、後辺11cまたはその近傍にかけて形成されている。
【0037】
カバー体12は、上面板15と、上面板15の前端部から垂下する正面板14と、上面板15の後端部から垂下する背面板16と、を有する。カバー体12は、側面視において、上方に突出する凸形状を有する。カバー体12は、上方に向けて凸となる樋状に形成されている。
【0038】
図4に示すように、カバー体12は、平面視において矩形状である。カバー体12は、平面視において、左右方向Yに長い長方形状である。
矩形状のカバー体12の前側(+X側)の辺を「前辺12b」という。カバー体12の後側(-X側)の辺を「後辺12c」という。カバー体12の右側(+Y側)の辺を「右辺12d」(カバー体の側方の端部)という。カバー体12の左側(-Y側)の辺を「左辺12e」(カバー体の側方の端部)という。右辺12dと左辺12eとは、カバー体12の向かい合う一対の辺である。
【0039】
図1~
図3に示すように、昇降機構20は、カバー体12を昇降可能に支持する。昇降機構20は、4つの昇降ユニット21と、一対の下部支持体22と、4つのキャスタ23と、を備える。
【0040】
昇降ユニット21は、下部フレーム13と下部支持体22とを連結している。
4つの昇降ユニット21のうち前側(+X側)に位置する2つの昇降ユニット21(第1の一対の昇降ユニット21)は、第1下部フレーム13Aに接続されている。2つの昇降ユニット21は第1下部フレーム13Aを支持する。2つの昇降ユニット21が第1下部フレーム13Aに接続された位置は左右方向Yに離れている。詳しくは、2つの昇降ユニット21のうち一方は第1下部フレーム13Aの一端部に接続されている。2つの昇降ユニット21のうち他方は第1下部フレーム13Aの他端部に接続されている。
【0041】
4つの昇降ユニット21のうち後側(-X側)に位置する2つの昇降ユニット21(第2の一対の昇降ユニット21)は、第2下部フレーム13Bに接続されている。2つの昇降ユニット21は第2下部フレーム13Bを支持する。2つの昇降ユニット21が第2下部フレーム13Bに接続された位置は左右方向Yに離れている。詳しくは、2つの昇降ユニット21のうち一方は第2下部フレーム13Bの一端部に接続されている。2つの昇降ユニット21のうち他方は第2下部フレーム13Bの他端部に接続されている。
【0042】
図5~
図7に示すように、昇降ユニット21は、外筒25と、内フレーム26と、駆動部27(
図6参照)と、連結台28と、を備える。
外筒25は、鉛直方向Zに延びる角筒状(矩形筒状)のフレームである。外筒25の上端部は、下部フレーム13に接続されている。そのため、外筒25は下部フレーム13を介してカバー体12を支持する。
【0043】
外筒25は、内フレーム26に対して長さ方向(鉛直方向Z)に相対移動できる。そのため、昇降ユニット21は伸縮自在である。外筒25が下部フレーム13に接続されているため、昇降機構20は、下部フレーム13を介してカバー体12を昇降可能に支持する。
【0044】
内フレーム26は、例えば、鉛直方向Zに延びる角筒状(矩形筒状)のフレームである。内フレーム26は、外筒25に挿通可能である。内フレーム26の外形寸法は外筒25の内形寸法より小さい。内フレーム26の下端部は、連結台28を介して下部支持体22の上面に連結されている。
【0045】
図6に示すように、駆動部27は、外筒25を昇降させることができる。駆動部27は、例えば、モータである。昇降ユニット21は、駆動部27によって外筒25を昇降させることによって、カバー体12を昇降させることができる。
【0046】
図5~
図7に示すように、下部支持体22は、前後方向Xに延びるフレームである。一対の下部支持体22は、昇降ユニット21の下端部に取り付けられている。一対の下部支持体22は、左右方向Yに間隔を空けて対向して配置されている。
【0047】
一対の下部支持体22のうち一方(第1下部支持体22A)には、第1下部フレーム13Aの右側(+Y側)の端部に接続された昇降ユニット21と、第2下部フレーム13Bの右側(+Y側)の端部に接続された昇降ユニット21とが接続されている。
一対の下部支持体22のうち他方(第2下部支持体22B)には、第1下部フレーム13Aの左側(-Y側)の端部に接続された昇降ユニット21と、第2下部フレーム13Bの左側(-Y側)の端部に接続された昇降ユニット21とが接続されている。
【0048】
図6および
図7に示すように、キャスタ23は、下部支持体22の下面にそれぞれ2つずつ取り付けられている。2つのキャスタ23が下部支持体22に取り付けられた位置は、前後方向Xに離れている。詳しくは、2つのキャスタ23は、下部支持体22の前端部に近い位置と、後端部に近い位置にそれぞれ設けられている。
【0049】
図1~
図3に示すように、支持部30は、床面Fに設置される。支持部30は、収容部10を床面Fから上方に離れた位置に支持している。
支持部30は、一対の支持体31と、一対の連結バー32と、ベース部材33と、を備える。
一対の支持体31は、左右方向Yに離れて設けられている。一対の支持体31は、左右方向Yに間隔を空けて対向して配置されている。一対の支持体31のうち右側(+Y側)に位置する支持体31を「第1支持体31A」という。一対の支持体31のうち左側(-Y側)に位置する支持体31を「第2支持体31B」という。
【0050】
支持体31は、4つの支持脚34と、上フレーム35と、下フレーム36と、一対の連結フレーム37と、複数のアジャスタ38と、を備える。
支持脚34は、鉛直方向Zに延びる。支持脚34は、例えば、角筒状(矩形筒状)に形成されている。支持脚34の上端部は、ベース部材33に連結されている。4つの支持脚34は、前後方向Xおよび左右方向Yに間隔を空けて対向して配置されている。支持脚34は、ベース部材33を支持する。
【0051】
上フレーム35は、前後方向Xに延びて一対の支持脚34を互いに連結する。下フレーム36は、前後方向Xに延びて一対の支持脚34を互いに連結する。下フレーム36は、上フレーム35の上方に間隔を空けて、上フレーム35と対向して配置されている。連結フレーム37は、上フレーム35と下フレーム36とを互いに連結する。一対の連結フレーム37は、前後方向Xに間隔を空けて配置されている。アジャスタ38は、支持脚34の下端部に設けられている。アジャスタ38によって、支持脚34の床面Fからの高さを調整することができる。
【0052】
連結バー32は、一対の支持体31の上フレーム35を互いに連結する。連結バー32は、左右方向Yに延びる。一対の連結バー32は、前後方向Xに間隔を空けて対向して配置されている。
【0053】
図2に示すように、ベース部材33は、前フレーム51と、後フレーム52と、右フレーム53と、左フレーム54と、を有する。前フレーム51および後フレーム52は、左右方向Yに延びる。前フレーム51と後フレーム52とは、前後方向Xに間隔を空けて対向して配置されている。右フレーム53および左フレーム54は、前後方向Xに延びる。右フレーム53と左フレーム54とは、左右方向Yに間隔を空けて対向して配置されている。ベース部材33は、平面視において、左右方向Yに長い長方形状である。ベース部材33は、載置部材11を支持する。
【0054】
図3に示すように、昇降ユニット21は、前後方向Xから見て、支持体31に比べて左右方向Yの外側に位置する。「左右方向の外側」は、左側(-Y側)の昇降ユニット21と右側(+Y側)の昇降ユニット21とが互いに離れる方向である。
【0055】
側面部材40は、カバー体12が下降している位置(下降位置P1)にあるとき、収容空間S1を側方から開閉自在に塞ぐ。側面部材40は、例えば、矩形状の板である。側面部材40は、例えば、収容空間S1を塞いだとき、左右方向Yに直交する姿勢をとる。側面部材40は、収容空間S1の側開口17を開閉自在に塞ぐ。
図1は、側面部材40が側開口17を閉止している状態を示す。
図2は、側面部材40が側開口17を開放している状態を示す。
【0056】
側面部材40の前後方向Xの寸法は、例えば、カバー体12の前後方向Xの寸法と同じまたはこれより大きい。側面部材40の鉛直方向Zの寸法は、例えば、カバー体12の鉛直方向Zの寸法と同じまたはこれより大きい。
【0057】
本実施形態では、側面部材40の前後方向Xの寸法は、カバー体12の前後方向Xの寸法と同じである。側面部材40の鉛直方向Zの寸法は、カバー体12の鉛直方向Zの寸法より大きい。側面部材40の上端部は上面板15の外面と同じ高さにある。側面部材40の下端部は床面Fに近い高さ位置にある。
【0058】
図3に示すように、側面部材40は、下端部に設けられたヒンジ軸41において下部支持体22に回動可能に連結されていることが好ましい。ヒンジ軸41は、前後方向Xに沿う軸である。側面部材40は、ヒンジ軸41を中心とする回動によって側開口17を開閉する。側面部材40は、ヒンジ軸41において支持部30に回動可能に連結されていてもよい。
【0059】
図7に示すように、照明装置50は、電気機器の一例である。照明装置50は、照明本体部61と、配線62と、を備える。照明本体部61は、左右方向Yに延びる。照明本体部61は、収容空間S1内を照らす光を照射する光源を有する。照明本体部61の光源は、例えば、蛍光灯、LEDなどである。配線62は、照明本体部61に電気的に接続されている。配線62は、照明本体部61への給電用の配線であってもよいし、照明本体部61と操作装置とを電気的に接続するための配線であってもよい。
【0060】
カバー体12の側端部、すなわちカバー体12の右側(+Y側)および左側(-Y側)の端部の端面には、パッキン63が形成されている。パッキン63は、正面板14の側端部、上面板15の側端部、および背面板16の側端部の全長にわたって延在する。ベース部材33の側端部、すなわちベース部材33の右側(+Y側)および左側(-Y側)の端部の端面には、パッキン64が形成されている。パッキン64は、前後方向Xに延在する。
【0061】
ベース部材33の上面のうち前端部および後端部には、左右方向Yに沿うパッキン65が形成されている。パッキン65は、ベース部材33の側端部を含む長さ範囲に形成されていればよい。パッキン65は、下降位置P1にある下部フレーム13の一部が重なる位置にある。パッキン65は、下降位置P1にある下部フレーム13とベース部材33との間の気密性を高める。パッキン63,64,65により、隣り合う什器100の接続箇所の気密性を高めることができる。これにより、収容空間S1への外気の流入を抑制できるため、収容空間S1内の物品の保護の点で好適である。
【0062】
什器100の動作について説明する。
図1~
図3では、カバー体12は下降している状態にある。このカバー体12の位置を「下降位置P1」という。下降位置P1にあるカバー体12の下端は、支持部30のベース部材33の上面とほぼ同じ高さにある。
【0063】
図5~
図7に示すように、昇降機構20を用いてカバー体12を上昇させる。詳しくは、駆動部27(
図6参照)の駆動力によって外筒25を上昇させることによって、カバー体12を上昇させる。上昇したカバー体12の位置を「上昇位置P2」という。
カバー体12は、下降位置P1と上昇位置P2とを切り替え可能である。
【0064】
[什器システム]
図8は、什器システム200の斜視図である。
図9は、什器システム200の使用例を示す斜視図である。
図8に示すように、什器システム200は、複数の什器100を備える。複数の什器100は、左右方向Yに並んで設置されている。本実施形態では、什器システム200は、2つの什器100を備える。2つの什器100のうち一方を「什器100A」という。2つの什器100のうち他方を「什器100B」という。
【0065】
什器システム200では、什器100Aの右側(+Y側)の端部には側面部材40が設けられていない。什器100Bの左側(-Y側)の端部には側面部材40が設けられていない。什器100Aの右側(+Y側)の端部と、什器100Bの左側(-Y側)の端部とは、側方(左右方向Y)に突き合わせて接続されている。そのため、什器100Aの右側(+Y側)の側開口17と、什器100Bの左側(-Y側)の側開口17とは、向かい合っている。
【0066】
側開口17が向かい合うように什器100Aと什器100Bとが接続されているため、什器100Aの収容空間S1と、什器100Bの収容空間S1とは連通している。そのため、長尺の物品G(例えば、展示物)を2つの収容空間S1にわたって収容できる。
【0067】
図9に示すように、什器システム200において、物品の載置、取出しなどの作業を行う際には、昇降機構20によってカバー体12を上昇させることができる。カバー体12を載置面11aより高い位置に配置すれば、カバー体12と載置面11aとの隙間を通して載置面11aにアクセスしやすくなるため、載置面11aへの物品の載置、および、載置面11a上の物品の取出しなどの作業は容易となる。
【0068】
物品の載置、取出しなどの作業を行う際には、2つの什器100のうち一方のみにおいてカバー体12を上昇位置P2に配置してもよいし、2つの什器100の両方を上昇位置P2に配置してもよい。
【0069】
本実施形態によれば、昇降ユニット21が、前後方向Xから見て、支持体31に比べて左右方向Yの外側に位置する(
図3参照)。そのため、支持体31の幅(左右方向Yの寸法)にかかわらず、一対の昇降ユニット21の左右方向Yの距離を大きくとることができる。したがって、カバー体12が上昇位置P2にあるときに、カバー体12と載置面11aとの隙間を左右方向Yに広く確保できる。よって、利用可能な載置面11aの面積を大きくすることができる。
【0070】
下部フレーム13は、カバー体12の4つの辺(
図4に示す前辺12b、後辺12c、右辺12dおよび左辺12e)のうち、左右方向Yに延びる前辺12bおよび後辺12cにのみ設けられている(
図5参照)。カバー体12の右辺12dおよび左辺12eにフレームがないため、載置面11aの面積を大きく確保することができる。
【0071】
カバー体12の収容空間S1は、左右方向Yに開放されている。そのため、複数の什器100を側開口17が向かい合うように左右方向Yに並べれば、収容空間S1を互いに連通させることができる。したがって、長尺の物品G(例えば、展示物)を2つの収容空間S1にわたって収容することができる。
さらに、什器100は、側開口17の下辺にフレームが無いため、側開口17の下辺にはカバー体12の昇降に伴って昇降する構造がない。そのため、2つの収容空間S1にわたって収容された長尺の物品Gは、カバー体12の昇降よる影響を受けない。
【0072】
支持体31はアジャスタ38を有する。そのため、什器100の通常利用時には、載置面11aに載置する物品の荷重は支持体31を介して床面Fに加えられる。したがって、載置面11aに置かれた物品は安定に支持される。
什器100を移動する際には、アジャスタ38を床面Fから上昇させてキャスタ23を接地させる。昇降ユニット21は支持体31に比べて左右方向Yの外側にあるため、一対の昇降ユニット21のキャスタ23の左右方向Yの距離は大きい。したがって、移動の際に什器100に傾きは生じにくい。よって、什器100を移動させる際の安定性を高めることができる。
【0073】
什器システム200は、複数の什器100を備えるため、長尺の物品G(例えば、展示物)を収容することができる。什器システム200は、利用可能な載置面11aの面積を大きくすることができる。
【0074】
什器100は、カバー体12を昇降可能に支持する昇降機構20を備えるため、カバー体12を載置面11aより高い位置に配置すれば、カバー体12と載置面11aとの隙間を通して載置面11aにアクセスしやすくなる。よって、載置面11aへの物品の載置、および、載置面11a上の物品の取出しなどの作業は容易となる。
【0075】
カバー体12には、下部フレーム13が取り付けられている。昇降機構20は、下部フレーム13を介してカバー体12を支持する。そのため、昇降機構20は、カバー体12を安定して支持することができる。
【0076】
カバー体12は、平面視において矩形状である(
図4参照)。カバー体12の側端は、右辺12dおよび左辺12eに相当する。そのため、複数の什器100を側方に接続する配置が容易である。カバー体12は平面視において矩形状であるため、容易に作製できる。
【0077】
図3に示すように、側面部材40は、下端部に設けられたヒンジ軸41において下部支持体22に回動可能に連結されている。この構造により、側面部材40は、収容空間S1を側方から容易に開閉することができる。
【0078】
図7に示すように、照明装置50の照明本体部61に接続された配線62は、昇降機構20の外筒25の外面に取り付けられている。そのため、配線62は、内フレーム26に取り付けられる場合に比べて、昇降機構20が動作する際に、昇降機構20に絡んだり挟まったりする可能性が低い。
【0079】
什器システム200は、複数の什器100を備えるため、長尺の物品G(例えば、展示物)を収容することができる。什器システム200は、載置面11aにアクセスしやすい。
【0080】
[什器](変形例)
図10は、什器100の第1変形例である什器300を模式的に示す平面図である。
図10に示すように、什器300は、収容部310が、平面視において円弧形状に湾曲している。什器300のそれ以外の構成は、
図4に示す什器100と同じであってよい。
【0081】
図11は、什器100の第2変形例である什器400を模式的に示す平面図である。
図11に示すように、什器400は、収容部410の側面410aの形状が、平面視において曲線状となっている。什器400のそれ以外の構成は、
図10に示す什器300と同じであってよい。
【0082】
図12は、什器100の第3変形例である什器500を模式的に示す平面図である。
図12に示すように、什器500は、収容部510の2つの側面のうち一方の側面510aのみが他の什器と接続可能とされている。什器500のそれ以外の構成は、
図4に示す什器100と同じであってよい。
【0083】
本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、実施形態の什器100(
図1参照)では、カバー体12の上面板15は水平とされているが、上面板は、前側(+X側)に向かって下降するように傾斜していてもよい。この形状のカバー体は、側面視において、上方に突出する凸形状(台形状)である。
【0084】
実施形態の什器100(
図1参照)では、カバー体12は、正面板14と上面板15と背面板16とを備えるが、カバー体は、上面板と背面板のみで形成されていてもよい。この形状のカバー体は、側面視において、上方に突出する凸形状(三角形状)である。
【0085】
実施形態の什器100(
図1参照)では、電気機器として照明装置50が設けられているが、電気機器は照明装置に限らず、送風装置(ファン)であってもよいし、情報表示用のディスプレイであってもよい。
図8に示す什器システム200は、2つの什器100によって構成されているが、什器システムを構成する什器の数は特に限定されない。什器システムを構成する什器の数は、複数(2以上の任意の数)であってよい。
実施形態の什器100(
図1参照)では、昇降機構20は4つの昇降ユニット21を備えるが、昇降ユニットの数は少なくとも一対であればよい。
【符号の説明】
【0086】
11 載置部材
11a 載置面
12 カバー体
12b 前辺(辺)
12c 後辺(辺)
13 下部フレーム
21 昇降ユニット
23 キャスタ
25 外筒
31 支持体
38 アジャスタ
100,100A,100B,300,400,500 什器
200 什器システム
G 物品
S1 収容空間
Y 左右方向