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  • 特開-薬品活性炭を用いた膜ろ過方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066834
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】薬品活性炭を用いた膜ろ過方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/14 20060101AFI20240509BHJP
   B01D 69/08 20060101ALI20240509BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20240509BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B01D61/14 500
B01D69/08
B01D69/00
B01J20/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176570
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】中澤 幸生
(72)【発明者】
【氏名】志岐 智
【テーマコード(参考)】
4D006
4G066
【Fターム(参考)】
4D006GA07
4D006HA01
4D006HA18
4D006HA41
4D006HA95
4D006KA17
4D006KA31
4D006KB12
4D006KC03
4D006KC14
4D006KE02R
4D006KE06R
4D006KE14R
4D006MA01
4D006MA03
4D006MA22
4D006MA33
4D006PA01
4D006PB20
4D006PC11
4D006PC14
4D006PC17
4D006PC80
4G066AA05B
4G066BA09
4G066BA20
4G066CA01
4G066CA02
4G066CA10
4G066DA10
4G066EA13
(57)【要約】
【課題】 高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造することができる膜ろ過方法を提供すること。
【解決手段】 除去対象物を含有する精製対象液に粉末活性炭を添加し、上記精製対象液を膜ろ過して上記粉末活性炭とともに上記除去対象物を分離する方法。上記粉末活性炭は、0.5μm以上の粒径を有する薬品活性炭を含む。上記膜の孔径は、0.45μm以下である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去対象物を含有する精製対象液に粉末活性炭を添加し、前記精製対象液を膜ろ過して前記粉末活性炭とともに前記除去対象物を分離する方法であって、
前記粉末活性炭は、0.5μm以上の粒径を有する薬品活性炭を含み、
前記膜の孔径は、0.45μm以下である、方法。
【請求項2】
前記精製対象液は、化学品、食品、飲料、医薬品、及び化粧品からなる群から選択される製品の液体中間製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉末活性炭は、前記薬品活性炭を主成分として含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記膜ろ過は、中空糸膜による内圧クロスフローろ過である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記中空糸膜の材料は、熱可塑性樹脂である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記中空糸膜の内径は、1.0mm以上14.5mm以下である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記中空糸膜の孔径は、0.05μm以上0.30μm以下である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記膜ろ過に用いられる膜の構造が均質構造である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記膜ろ過に用いられる膜はMF膜である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
膜ろ過後の濃縮された前記精製対象液に含まれる前記粉末活性炭の濃度は、15重量%以下である、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬品活性炭を用いた膜ろ過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化学品、食品、飲料、医薬品、及び化粧品などの製品の中間製品の精製方法において、完成品の脱色、臭気及び香り成分、味、及び保存性等に影響する物質を除去する処理方法として、当該中間製品が液体である場合(以下、「液体中間製品」という。)、液体中間製品に活性炭を添加することが一般的である。しかしながら、一般的に活性炭の構造は微細であり、比重が軽いため、活性炭を液体中間製品に添加した場合、処理後の分離が困難な場合が多い。このような活性炭の分離方法としては、自然沈降法、珪藻土ろ過法、及び膜ろ過法等が挙げられる。膜ろ過法としては、クロスフローろ過方式のセラミック膜及び限外ろ過(UF)膜、並びに外圧全ろ過方式の精密ろ過(MF)膜による膜ろ過法等が一般的に採用されている。
【0003】
しかしながら、自然沈降法は分離に長時間を要し、沈降も不完全な場合が多い。したがって高品質の分離液を効率的に製造することは困難である。
【0004】
珪藻土ろ過法は、ろ過メディアとしてろ布のみを用いる場合、活性炭によるろ布の目詰まりが激しく実用化するには困難である。そこで、通常は珪藻土及びパーライト等のろ過助剤のケーキをろ布上に形成させるプリコート操作を行い、液体中間製品(例えば糖液)と活性炭の混合液を圧入することにより活性炭を除去する。しかし、圧入操作の始めは活性炭がろ布表面のケーキ層から洩れてろ液に混入するため、活性炭の洩れがなくなるまでろ液をリサイクル(循環)する操作が必要となる。さらに、長時間ろ過を行うと、ろ布表面のケーキ層の厚みが増加し、ろ過の抵抗が大きくなり液体中間製品の圧入圧を高めなければならない。したがって、適当な時期にろ過を停止し、ろ過機のろ布表面のケーキ層を剥離し、ろ布を洗浄する必要がある。このように、珪藻土ろ過法は、プリコート操作、ろ液リサイクル操作、ろ過(圧入)操作、及びケーキ層剥離操作を1サイクルとした繁雑な操作を要する。また、ろ過機1台ではプリコート操作時、ろ液リサイクル操作時、及びケーキ層剥離操作時に清澄なろ液が得られず、製造を中断しなければならないため、精製工程を連続的に行えない。このため、ろ過機を2台以上設置し、一方のろ過機でろ過操作を行っている間に、他方のろ過機でケーキ剥離操作、プリコート操作及びろ液リサイクル操作を行ってろ過準備をすれば、精製工程全体として製造を中止せずに、連続的に清澄なろ液が得られる。しかしながら、高価なろ過機を2台以上設置することは経済的でなく、一方のろ過機の製造中断に伴う廃棄物も少なくない。
【0005】
クロスフローろ過方式のセラミック膜ろ過法は、特許文献1に記載されるように、セラミック膜ろ過装置に供給される液体中間製品に活性炭などの硬質SS(懸濁物質)が含まれる場合、前処理装置を用いないと10,000時間に達した段階でセラミック膜の原液入口付近に摩耗痕が認められ分離性能が低下する。また、セラミック膜ろ過装置は、一般的に有機膜(UF膜及びMF膜)ろ過装置よりも高価であり経済的でない。
【0006】
外圧式全ろ過方式は、特許文献2に記載されるように、オリの粒子サイズを大きくしてオリ成分を凝集させる処理が必要であり、この処理をしないと膜の孔部分に目詰まりを起こす原因となる。そのため、活性炭以外にオリ下げ剤を使用しなければならず、液体中間製品の種類に応じて、例えば清酒の場合、ゼオライト及びゼラチン等のオリ下げ剤の種類及び量を選定する必要があった。さらに、液体中間製品の処理量が増えるとケーキの生成量も多くなり、目詰まりによって膜の再生が困難になることがあるため、薬液洗浄を繰り返して行わなければならない。
【0007】
特許文献3は、UF膜を用いた膜ろ過方法であって、清酒に活性炭を添加し特定の条件で清酒中のオリ成分と活性炭を同時に除去する方法を記載している。当該方法によれば、オリ下げ剤を添加しなくても活性炭とオリが同時に除去でき、しかも、ほとんど目詰まりが起こらず、高濃縮度に濃縮濾過が可能であるため、経済的で効率的な安定生産ができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-131823号公報
【特許文献2】特開昭57-206378号公報
【特許文献3】特開平9-313162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の活性炭を用いた膜ろ過方法は、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する点でなお改善の余地があった。本開示は、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造することができる膜ろ過方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の実施形態の例を以下に列記する。
[1]
除去対象物を含有する精製対象液に粉末活性炭を添加し、上記精製対象液を膜ろ過して上記粉末活性炭とともに上記除去対象物を分離する方法であって、
上記粉末活性炭は、0.5μm以上の粒径を有する薬品活性炭を含み、
上記膜の孔径は、0.45μm以下である、方法。
[2]
上記精製対象液は、化学品、食品、飲料、医薬品、及び化粧品からなる群から選択される製品の中間製品である、項目1に記載の方法。
[3]
上記粉末活性炭は、上記薬品活性炭を主成分として含む、項目1又は2に記載の方法。
[4]
上記膜ろ過は、中空糸膜による内圧クロスフローろ過である、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
上記中空糸膜の材料は、熱可塑性樹脂である、項目4に記載の方法。
[6]
上記中空糸膜の内径は、1.0mm以上14.5mm以下である、項目4又は5に記載の方法。
[7]
上記中空糸膜の孔径は、0.05μm以上0.30μm以下である、項目4~6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
上記膜ろ過に用いられる膜の構造が均質構造である、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
[9]
上記膜ろ過に用いられる膜はMF膜である、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
[10]
膜ろ過後の濃縮された上記精製対象液に含まれる上記粉末活性炭の濃度は、15重量%以下である、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造することができる膜ろ過方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、膜ろ過方法の評価に使用した、ろ過液(4)を系外に出す濃縮(回収)回路を示す模式図である。
図2図2は、膜ろ過方法の評価に使用した、ろ過液(4)を原液タンクへと戻す(濃縮しない)回路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《膜ろ過方法》
本開示の膜ろ過方法は、除去対象物を含有する精製対象液に粉末活性炭を添加し、上記精製対象液を膜ろ過して上記粉末活性炭とともに上記除去対象物を分離する方法である。上記粉末活性炭は、0.5μm以上の粒径を有する薬品活性炭を含む。そして、上記膜の孔径は、0.45μm以下である。本開示の膜ろ過方法は、上記構成を有することにより、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造することができる膜ろ過方法を提供することができる。その理由は、本出願の出願日において明らかではなく、理論に限定されないが、本願発明者らは以下の様に考察している。すなわち、一般的に、薬品活性炭は平板状の粒子を多く含む傾向があり、これに対して水蒸気活性炭は針状の粒子を多く含む傾向がある。平板状の粒子は、その面に鉛直な方向から見ると投影面積が大きく、その面と並行な方向から見ても投影面積のアスペクト比が比較的大きくなる。これに対して、針状の粒子は、長さ方向から見たときの投影面積が小さく、かつアスペクト比が比較的小さくなる。したがって、粒径が同程度であっても、平板状の方が針状よりも膜の孔に詰まることが少ないと考えられる。本開示では、粒径が0.5μm以上の薬品活性炭を用い、かつ、孔径が0.45μm以下であるろ過膜と組み合わせることにより、活性炭が膜の孔に詰まることを効果的に防止することができると考えられる。したがって、本開示の膜ろ過方法は、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造することができる。
【0014】
〈精製対象液〉
精製対象液は、化学品、食品、飲料、医薬品、及び化粧品からなる群から選択される製品の液体中間製品であることが好ましい。「液体中間製品」とは、化学品、食品、飲料、医薬品、及び化粧品等の完成品の製造に用いられ、その後いくつかの処理を経ることによって完成品となる中間製品であって、かつ常温(25℃)で液体のものをいう。精製対象液としての液体中間製品が液体であれば、その完成品は必ずしも液体である必要はない。精製対象液は除去対象物を含有する。除去対象物としては、完成品の脱色、臭気及び香り成分、味、及び保存性等に影響する物質であって、薬品活性炭に吸着される物質を意味する。なお、本開示の膜ろ過方法は、除去対象物を完全に除去する必要はなく、目的に応じて所望の除去率を達成することができればよい。
【0015】
〈粉末活性炭〉
粉末活性炭は、0.5μm以上の粒径を有する薬品活性炭を含む。「活性炭の原料は炭材であり、加熱して炭化できる物質は全て原料にすることができる。ここで、「粉末活性炭」とは、一般的に、木材(おがくず)を原料とし、炭化及び賦活化を経て製造される粉末状の活性炭を意味する。これに対して、「粒状活性炭」は、一般的に、石炭(瀝青炭)又はやし(やし殻)を原料とし、炭化及び賦活化を経て製造される破砕状、円柱状又はビーズ状の活性炭を意味し、本開示において「粉末活性炭」と「粒状活性炭」とは区別される。また、炭材に多数の細孔を生成させる工程を賦活という。「薬品活性炭」とは、一般的に、化学薬品により賦活化された多孔質の炭素材料を意味する。典型的には、薬品活性炭は、活性炭の原料となる物質、例えば木材(おがくず)等に化学薬品を含浸してから加熱して、炭化及び賦活を同時に行うことにより賦活化される。薬品活性炭の賦活化に用いられる化学薬品としては、塩化亜鉛、リン酸、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウム等が挙げられ、好ましくは塩化亜鉛である。これに対して、「ガス活性炭」とは、一般的に、水蒸気又は二酸化炭素等の気体により賦活化された多孔質の炭素材料を意味する。ガス活性炭のうち、水蒸気により賦活化された多孔質の炭素材料を「水蒸気活性炭」という。
【0016】
高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、粉末活性炭は、0.5μm以上の粒径を有する薬品活性炭を主成分として含むことが好ましい。本開示において「主成分」とは、対象組成物に含まれる各成分のうち最も多い重量%を占める成分を意味する。薬品活性炭の量は、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、粉末活性炭の合計重量を基準として、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、より更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であり、100重量%であってもよい。
【0017】
粉末活性炭は、薬品活性炭以外の種類の活性炭、例えば水蒸気活性炭を含んでもよい。しかしながら、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、粉末活性炭は、好ましくは水蒸気活性炭を含まない。なお、本開示のろ過方法は、特定の粉末活性炭に加えて粒状活性炭を更に用いてもよく、好ましくは粒状活性炭を用いない。
【0018】
薬品活性炭の粒径は、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、0.5μm以上であり、好ましくは0.5μm以上0.5mm以下である。粒径の下限値は0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。薬品活性炭の粒径が0.5μm以上であると、膜が薬品活性炭により目詰まりしてフラックスが著しく低下することを効果的に防止することができる。これらの下限値と任意に組み合わせることのできる薬品活性炭の粒径の上限値は、好ましくは0.50mm以下、より好ましくは0.45mm以下、より好ましくは0.40mm以下、更に好ましくは0.35mm以下、特に好ましくは0.30mm以下である。薬品活性炭の粒径が0.50mm以下であると、薬品活性炭が沈降して中空糸膜入口部で閉塞を起こす可能性を低減することができる。薬品活性炭の粒径は、特に好ましくは3μm以上0.30mm以下である。
【0019】
粉末活性炭の粒径は、高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、0.5μm以上であり、好ましくは0.5μm以上0.5mm以下である。粒径の下限値は0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上である。粉末活性炭の粒径が0.5μm以上であると、膜が粉末活性炭により目詰まりしてフラックスが著しく低下することを効果的に防止することができる。これらの下限値と任意に組み合わせることのできる粉末活性炭の粒径の上限値は、好ましくは0.50mm以下、より好ましくは0.45mm以下、より好ましくは0.40mm以下である。粉末活性炭の粒径が0.50mm以下であると、粉末活性炭が沈降して中空糸膜入口部で閉塞を起こす可能性を低減することができる。粉末活性炭の粒径は、特に好ましくは3μm以上0.40mm以下である。
【0020】
粉末活性炭は、一般的に、炭化及び賦活化の後、精製及び粉砕を経て粉体にされる。粉末活性炭の形状は、原料の性質及び製造条件等によって様々であるが、一般的に、平板状、又は針状の粉体である。薬品活性炭は、一般的に平板状の粒子を多く含む傾向があり、それに対して水蒸気活性炭は針状の粒子を多く含む傾向がある。
【0021】
〈ろ過膜〉
ろ過膜は、孔径が0.45μm以下である。ろ過膜の形状は、特に限定されず、例えば、平膜状、及び中空糸状等が挙げられる。高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、ろ過膜は、中空糸膜であることが好ましい。
【0022】
ろ過膜の材質は、セラミック等の無機材料、並びに熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂等の樹脂材料等が挙げられ、熱可塑性樹脂であることが好ましい。高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、ろ過膜は、熱可塑性樹脂の中空糸膜であることがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン(PES)、及びポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。
【0023】
ろ過膜が中空糸膜である場合、その内径の下限値は、好ましくは1.0mm以上である。その内径の上限値は、14.5mm以下である。
【0024】
ろ過膜の孔径は、好ましくは0.05μm以上0.45μm以下である。ろ過膜の孔径の上限値は0.45μm以下、好ましくは0.40μm以下、より好ましくは0.35μm以下、更に好ましくは0.30μm以下であってよい。ろ過膜の孔径が0.45μm以下であると、膜が活性炭により目詰まりしてフラックスが著しく低下することを効果的に防止することができ、使用後の洗浄回復性に優れる。これらの上限値と任意に組み合わせることのできる孔径の下限値は、好ましくは0.05μm以上である。ろ過膜の孔径が0.05μm以上であると、十分に高いフラックスを確保することができ、ろ過をより効率的に行うことができる。ろ過膜の孔径は、特に好ましくは、0.05μm以上0.30μm以下である。
【0025】
ろ過膜の孔の構造は、均質構造であることが好ましい。本開示において「均質構造」とは、膜の厚さ方向の断面において1次側(原液側)から2次側(ろ過液側)の方向に向かって、細孔径分布が均質である構造をいい、「非均質構造」(あるいは「傾斜構造」)とは、膜の厚さ方向の断面において1次側(原液側)から2次側(ろ過液側)の方向に向かって、細孔径分布が断続的又は連続的に変化する構造をいう。以下、孔の構造が均質構造であるろ過膜を「スクリーンフィルター」といい、非均質(傾斜)構造であるろ過膜を「デプスフィルター」という。スクリーンフィルターは、膜内部の孔構造が1次側から2次側に渡って略均一のサイズになっている。そのため、ろ過対象粒子が膜内部に入り難く、主に膜表面で捕捉することができる。デプスフィルターは、膜内部の構造が1次側から2次側の方向に向かって平均孔径が小さくなるように細孔径分布が変化することが好ましい。これによって、ろ過対象粒子を膜の表面及び内部の両方で捕捉することができる。スクリーンフィルターの方が、デプスフィルターに比べてろ過対象粒子が膜内部に入り込みにくく、使用後の洗浄回復性に優れる。
【0026】
ろ過モデルに基づくろ過膜の分類としては、例えば、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、及び逆浸透膜(RO膜)等が挙げられる。高品質のろ液を効率的、経済的かつ連続的に製造する観点から、ろ過膜は、好ましくはMF膜である。
【0027】
〈ろ過方法〉
ろ過方法としては、除去対象物を含有する精製対象液に粉末活性炭を添加し、これによって除去対象成分を粉末活性炭に吸着させ、次いで膜ろ過により除去対象物の少なくとも一部を粉末活性炭と共に分離することができれば特に限定されない。膜の種類として、例えば中空糸膜を用いる方法、及び平膜を用いる方法等が挙げられ、ろ過方式として、全量ろ過方式、及びクロスフローろ過方式等が挙げられる。中空糸膜を用いる場合は、内圧方式又は外圧方式に更に細分される。これらの中でも、ろ過方法としては、中空糸膜による内圧クロスフローろ過により、液体中間製品中の除去対象成分と活性炭とを同時に除去することが好ましい。中空糸膜を用いたろ過方法としては、外圧クロスフローろ過もまた使用できる。しかしながら、内圧クロスフローろ過の方がより好ましく、その理由としては、理論に限定されないが、活性炭が糸束の間に閉塞を起こすことがなく、膜モジュール内の線速のばらつきが抑えられ、また、同じ通液量でも中空糸膜表面の線速が外圧クロスフローろ過より早くなるためフラックスが高くなるからである。
【0028】
〈線速〉
クロスフローろ過における線速は、好ましくは0.3m/秒以上3.0m/秒以下である。本開示において「線速」とは、中空糸状膜内の流量(m/秒)を、その膜断面積(m)で除した値である。線速の下限値は、より好ましくは0.5m/秒以上、更に好ましくは0.6m/秒以上、特に好ましくは0.7m/秒以上である。これらの下限値と任意に組み合わせることのできる線速の上限値は、好ましくは3.0m/秒以下、より好ましくは2.5m/秒以下、更に好ましくは2.0m/秒である。線速が3.0m/秒以下であると、ポンプが小さくてよく、膜の能力低下(セラミックに生じるような削れ)が起こる可能性が低減される。
【0029】
通常、活性炭が含まれない液体中間製品を中空糸膜で内圧クロスフローろ過を行う場合は、活性炭が添加されていないため、低い線速で、例えば線速0.7m/秒未満で使用することもある。しかしながら、粉末活性炭を含む液体中間製品の懸濁液を中空糸膜に通液する場合は、線速を高めて、例えば線速0.7m/秒以上にすることにより、中空糸膜の中空部内での活性炭の閉塞や原液タンクを用いてクロスフローろ過を行う場合のタンク内の活性炭の沈殿が効果的に抑制され、安定した高濃縮ろ過が可能となる。
【0030】
〈膜間差圧〉
膜間差圧の下限値は、求めるろ過速度に応じて任意に設定することができ、例えば0.01MPa以上であってよい。膜間差圧の上限値は、好ましくは0.3MPa以下、より好ましくは0.2MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以下である。膜間差圧が0.3MPa以下であると、破膜を防止し膜を長期間安定して使用することができる。
【0031】
〈濃縮度〉
精製対象液をろ過した後に得られる濃縮された精製対象液(以下、本開示において「濃縮液」という。)に含まれる薬品活性炭の濃度は、好ましくは15重量%以下である。活性炭濃度が高くなるにつれて粘度が上がり、液体中間製品の流動性が悪くなる。例えば内圧クロスフローろ過を行う場合、活性炭の一部が沈降し、及び/又は濃度ムラが発生する可能性もあるので、濃縮液における薬品活性炭の濃度は12重量%以下がより好ましい。濃縮度が低いと、ろ過を安定的に行うことができる。
【0032】
〈逆洗、その他の条件〉
より安定してろ過を行う方法として、ろ過液を定期的にポンプや気体で戻す逆洗が有効である。気体としては、製品に影響しない気体であれば限定されず、例えば空気、窒素ガス等の不活性ガスが挙げられる。薬液活性炭をクロスフローろ過する場合、逆洗を行わなくてもフラックスが安定し易いため、逆洗を行わなくてもよい。しかしながら、活性炭の濃度が高くなった場合に、逆洗により中空部内の閉塞が効果的に防止されるため、逆洗を行うことが好ましい。濃縮度が高くなり一度閉塞を起こすと、その部分を引き金として連鎖的に閉塞が加速されるため、膜の表面及び内部での閉塞を起こさせないことがクロスフローろ過の安定的な運転に寄与する。ろ過を安定させるため、前処理としてストレーナ処理をして粗大物を分離してもよい。
【実施例0033】
《測定及び評価方法》
〈活性炭の粒径〉
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社、Partica LA-950)を用い、試料は純水の中に1重量%の濃度になるように活性炭を混ぜ合わせたスラリー液を使用した。測定方法は本装置内の分散媒に本濃度のスラリー液をレーザー光透過率85%程度になるまで加え(最大10mL程度)、粒径(μm)を測定した。
【0034】
〈中空糸の内径〉
中空糸膜を、長さ方向に直行する断面でカミソリを使って薄くスライスし、100倍拡大鏡にて、内径を測定した。ひとつのサンプルについて、長さ方向に30mm間隔で60か所の切断面で測定を行い、平均値を中空糸膜の内径(mm)とした。
【0035】
〈膜の孔径〉
粒子径が異なる4種類以上のポリスチレンラテックス粒子を用い、それぞれについて0.5重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液に、粒子濃度が0.01重量%になるように分散させ、ラテックス粒子分散液を調整した。それぞれのラテックス粒子分散液を多孔質膜でろ過し、ろ過前後の濃度の比から透過阻止率を求めた。このように求めた透過阻止率をプロットして、透過阻止率が90%となる粒子のサイズを算出し、そのサイズを膜の孔径(阻止孔径、μm)とした。但し、上記4種類の粒子の中に透過阻止率50%以下の粒子サイズと90%以上の粒子サイズを最低1点以上含むように、ポリスチレンラテックス粒子の粒子サイズを選定した。
【0036】
〈分画分子量〉
分子量の異なる4種類以上のタンパク質を用い、それぞれについて0.1Mのリン酸緩衝液(PBS)バッファー水溶液に、タンパク質濃度が0.01重量%になるように溶解させ、タンパク質溶液を調整した。それぞれのタンパク質溶液を限外濾過膜でろ過し、ろ過前後の濃度の比から透過阻止率を求めた。このように求めた透過阻止率を分子量に対してプロットして、透過阻止率が90%となる分子量をその膜の分画分子量とした。
【0037】
〈濃縮度(回収率)〉
(1)濃縮度(濃縮倍率)
濃縮度とは、供給液容量を濃縮液容量で割った値である。例えば、供給液容量1000mL、濃縮液量200mLの場合の濃縮度は、1000mL÷200mL=5倍と算出される。
(2)回収率
回収率とは、膜での有価物の阻止率を0%(原液を1次側から2次側にろ過した場合必要成分が阻止されない)として、ろ過液容量(=供給液容量-濃縮液容量)を供給液容量で割り、100を掛けた値である。例えば、供給液容量1000mL、ろ過液容量800mLの場合の回収率は、800mL÷1000mL=80%と算出される。
【0038】
〈使用後の水Flux保持率〉
(1)測定、算出方法
膜モジュールをテスト機に取付け、原液の容器に純水を入れた。膜間差圧0.02MPa~0.03MPaの圧力で25℃の純水を循環ろ過し、膜の外表面側から透過してくる1分間の純水量を測定した。下記式により、純水フラックスの数値を算出した。
純水フラックス(mL/分,0.1MPa,25℃)=純水量(mL/分)×膜間差圧(MPa)÷0.1(MPa)
(2)使用前の水フラックス
使用前の水フラックスとは、初めてろ過評価に使用する前の純水フラックスを意味する。未使用のため保持率は100%となる。
(3)使用後の水フラックス
使用後の水フラックスとは、評価液ろ過後に膜モジュールの水洗を行い、水洗終了時に測定した純水フラックスを意味する。
(4)薬液洗浄後の水フラックス
薬液洗浄後の水フラックスとは、評価液ろ過後に膜モジュールの水洗を行い、薬液(NaClO及びNaOHの混合液)による洗浄を行い、そして、更に水洗により薬液成分を洗い流し、その後測定した純水フラックスを意味する。
(5)使用後の水フラックス保持率
保持率%=(3)÷(2)×100
(6)薬液洗浄後の水フラックス保持率
保持率%=(4)÷(2)×100
(7)評価
以下の基準で評価した。
A:50%以上100%以下
B:10%以上50%未満
C:0%以上10%未満
【0039】
《膜ろ過方法の例》
1.活性炭による濃縮(回収)試験
(1)澱粉糖化液
精製対象液として、澱粉溶液を酵素によって処理する液化工程及び糖化工程で得られた「糖化工程後珪藻土ろ過前の澱粉糖化液」(下記「b液」)、及びこれを珪藻土ろ過して得られたぶどう糖液「珪藻土ろ過後澱粉糖化液」(下記「a液」)を用いた。a液は、固形分を含まないのに対して、b液は、固形分を多く含み濁度が高い。
【0040】
【表1】
【0041】
上記精製対象液(a液又はb液)に、表2及び表3に示す種類及び量の活性炭(AC)を添加し又は添加せずに、ろ過対象となる原液を調整した。表中、略称「薬品」及び「水蒸気」で示す活性炭は以下のとおりである。
「薬品」:富士フィルム和光純薬株式会社製、活性炭素037-02115。薬品(塩化亜鉛)で賦活された、粒径5μm~270μm、平均粒径44μmの粉末活性炭である。
「水蒸気」:富士フィルム和光純薬株式会社製、活性炭素035-18101。水蒸気で賦活された、粒径3.5μm~400μm、平均粒径58μmの粉末活性炭である。
【0042】
有効長20cmの膜モジュールのケースに膜面積が0.0088mになるように多孔質中空糸膜を入れ、膜モジュールを作製した。図1に模式的に示すように、ろ過液(4)を系外に出す濃縮(回収)回路を作成した。上記のように調整した原液(2)を、循環ポンプ(3)を用いて線速度2.0m/secで膜モジュール(1)に送液し、ろ過液(4)とろ過後の濃縮液(5)とに分離した。ろ過液(4)は、系外のタンクに回収した。800mLのろ過液(4)が得られた時間を測定し、平均ろ過流束(Flux)を導き出した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2の結果から、精密ろ過膜(MF膜)用いた場合(実施例1)は、限外ろ過膜(UF膜)を用いた場合(実施例2)と比べて平均Fluxが高かった。また、使用後の水Flux保持率はMF膜及びUF膜のいずれも良好であったが、MF膜の方が高かった。薬品活性炭を含有する場合(実施例1)と活性炭を含有しない場合(参考例1)とで平均Flux及び使用後の水Flux保持率はほぼ同じであった。これは、薬品活性炭は、活性炭がない場合と同様に目詰まりを起こしにくいことを示す。これに対して、水蒸気活性炭を含有する場合(比較例1)は、薬品活性炭を含有する場合(実施例1)と比べて2割強ほど平均Fluxが低く、使用後の水Flux保持率も低かった。したがって、薬品活性炭は、特にMF膜と組み合わせることでより高い効果が得られることが分かる。
【0045】
【表3】
【0046】
表3の結果から、薬品活性炭を含有する場合(実施例3)と活性炭を含有しない場合(参考例2)とで平均Fluxはほぼ同じであった。これに対して、水蒸気活性炭を含有する場合(比較例2)は、薬品活性炭を含有する場合(実施例3)と比べて2割強ほど平均Fluxが低かった。したがって、薬品活性炭とMF膜との組み合わせは、原液が固形分を多く含む場合であっても高い効果を奏することが分かる。
【0047】
(2)醤油
精製対象液として、諸味を発酵熟成させ圧搾ろ過した後、清澄タンクで静置して沈澱除去した生揚醤油(c液)を用いた。
【0048】
【表4】
【0049】
上記精製対象液(c液)に、表5に示す種類及び量の活性炭(AC)を添加し又は添加せずに、ろ過対象となる原液を調整した。使用した「薬品」又は「水蒸気」活性炭は、それぞれ、上記富士フィルム和光純薬株式会社製活性炭素である。
【0050】
有効長20cmの膜モジュールのケースに膜面積が0.0088mになるように多孔質中空糸膜を入れ、膜モジュールを作製した。図1に模式的に示す濃縮(回収)回路で、上記のように調整した原液(2)を、循環ポンプ(3)を用いて線速度1.0m/secで膜モジュール(1)に送液し、ろ過液(4)とろ過後の濃縮液(5)とに分離した。ろ過液(4)は、系外のタンクに回収した。900mLのろ過液(4)が得られた時間を測定し、平均ろ過流束(Flux)を導き出した。
【0051】
【表5】
【0052】
表5の結果から、精密ろ過膜(MF膜)用いた場合(実施例4)は、限外ろ過膜(UF膜)を用いた場合(実施例5)と比べて平均Fluxが高かった。また、使用後の水Flux保持率はMF膜及びUF膜のいずれも良好であったが、MF膜の方が高かった。薬品活性炭を含有する場合(実施例4)と活性炭を含有しない場合(参考例4)とで平均Flux及び使用後の水Flux保持率はほぼ同じであった。これは、薬品活性炭は、活性炭がない場合と同様に目詰まりを起こしにくいことを示す。これに対して、水蒸気活性炭を含有する場合(比較例3)は、薬品活性炭を含有する場合(実施例4)と比べて2割強ほど平均Fluxが低く、使用後の水Flux保持率も低かった。したがって、薬品活性炭は、特にMF膜と組み合わせることでより高い効果が得られることが分かる。
【0053】
2.活性炭によるランニング試験
精製対象液として、澱粉溶液を酵素によって処理する液化工程、糖化工程後、及び珪藻土ろ過によって得られたぶどう糖液(d液)を用いた。
【0054】
【表6】
【0055】
上記精製対象液(d液)に、表7~表11に示す種類及び量の活性炭(AC)を添加し、ろ過対象となる原液を調整した。
【0056】
有効長20cmの膜モジュールのケースに膜面積が0.12mになるように多孔質中空糸膜を入れ、膜モジュールを作製した。図2に模式的に示すように、ろ過液(4)を原液タンクへと戻す(濃縮しない)回路を作成した。原液(2)を、循環ポンプ(3)を用いて膜モジュール(1)に送液し、ろ過液(4)とろ過後の濃縮液(5)とに分離した。ろ過液(4)は原液タンクに戻した。ろ過開始から5分が経過するごとに10秒の割合で逆流洗浄を行った。逆流洗浄は循環ポンプ(3)を止めて、逆流洗浄用のポンプ(図示せず)にてろ過液を0.02MPaの圧力で中空糸内側に通液することにより行った。評価開始時のFluxを基準(100%)として、ろ過時間15分経過時の逆流洗浄直後、及びろ過時間20分経過時の逆流洗浄直前におけるFlux(%)を測定した。
【0057】
(1)薬品活性炭(塩化亜鉛)
活性炭(AC)として上記薬品活性炭を用い、線速度を線速度0.7m/sec又は0.5m/secで送液した。
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
(2)ガス活性炭(水蒸気活性炭)
活性炭(AC)として上記ガス活性炭を用い、線速度0.7m/secで送液した。
【0061】
【表9】
【0062】
(3)ブレンド(薬品及びガス賦活)活性炭
上記薬品活性炭と、上記ガス活性炭とを、表10に示す様々な重量比(ガス活性炭:薬品活性炭=s:c)で混合してブレンド活性炭を調整した。活性炭(AC)として、表10に示す種類及び量のブレンド活性炭を用い、線速度0.7m/secで送液した。
【0063】
【表10】
【0064】
3.濃縮限界の確認
精製対象液として、澱粉溶液を酵素によって処理する液化工程、糖化工程後、及び珪藻土ろ過によって得られたぶどう糖液(e液)を用いた。
【0065】
【表11】
【0066】
上記精製対象液(e液)に、表12に示す種類及び量の活性炭(AC)を添加し、ろ過対象となる原液を調整した。活性炭(AC)として上記薬品活性炭を用いた。
【0067】
有効長20cmの膜モジュールのケースに膜面積が0.12mになるように多孔質中空糸膜を入れ、膜モジュールを作製した。図1に模式的に示す濃縮(回収)回路で、上記のように調整した原液(2)を、循環ポンプ(3)を用いて線速度2.0m/secで膜モジュール(1)に送液し、ろ過液(4)とろ過後の濃縮液(5)とに分離した。ろ過開始から5分が経過するごとに10秒の割合で逆流洗浄を行った。逆流洗浄は循環ポンプ(3)を止めて、逆流洗浄用のポンプ(図示せず)にてろ過液を0.02MPaの圧力で中空糸内側に通液することにより行った。濃縮度(回収率)及び濃縮後活性炭濃度が表12に示す値になった時点でろ過を終了し、ろ過時間(分)を記録した。ろ過終了時に膜モジュールの循環端面を軽く水で洗い流し、目視で膜の閉塞の有無を確認した。評価開始時のFluxを基準(100%)として、薬品洗浄後水洗時の水Flux保持率を上記の方法で測定した。
【0068】
【表12】
【符号の説明】
【0069】
1 膜モジュール
2 原液
3 循環ポンプ
4 ろ過液
5 濃縮液
10 膜ろ過回路
図1
図2