(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066843
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】遮熱カバーの取付構造
(51)【国際特許分類】
F01N 13/14 20100101AFI20240509BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20240509BHJP
F01N 13/18 20100101ALI20240509BHJP
F02B 77/11 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
F01N13/14
F01N3/28 301W
F01N13/18
F02B77/11 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176589
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏紀
【テーマコード(参考)】
3G004
3G091
【Fターム(参考)】
3G004BA05
3G004DA15
3G004EA03
3G004EA05
3G004FA04
3G004GA02
3G004GA04
3G091AB01
3G091BA04
3G091BA39
3G091GA06
3G091GB17X
3G091HA25
3G091HA31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】排気系部品に、確実で強固に取り付けることができる、遮熱カバーを提案する。
【解決手段】内燃機関の排気系部品2に、遮熱カバー3の取付用の座となる取付フランジ部を複数設け、遮熱カバーで排気系部品を被覆するとともに、遮熱カバーに形成された当接フランジ部を、取付フランジ部に取り付ける遮熱カバーの取付構造において、第1取付フランジ部7に、第1当接フランジ部12を螺号固定し、第2取付フランジ部8に、排気系部品の軸芯に対して直交する方向が、長手方向となる長孔9を形成し、第2当接フランジ部13,14に、長孔側へ膨出する曲面状の凸部20,24を形成し、凸部を長孔の周縁部に当接させ、第2当接フランジ部の先端を折り曲げて第2取付フランジ部を挟持するとともに、凸部の周縁が長孔の周縁に当接しつつ弾力的に撓み変形したことを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系部品に、遮熱カバーの取付用の座となる取付フランジ部を複数設け、遮熱カバーで前記排気系部品を被覆するとともに、前記遮熱カバーに形成された当接フランジ部を、前記取付フランジ部に取り付ける遮熱カバーの取付構造において、
前記取付フランジ部を、第1取付フランジ部と、第2取付フランジ部で構成し、
前記当接フランジ部を、第1当接フランジ部と、第2当接フランジ部で構成し、
前記第1取付フランジ部に、前記第1当接フランジ部を螺号固定し、
前記第2取付フランジ部に、前記排気系部品の軸芯に対して直交する方向が、長手方向となる長孔を形成し、
前記第2当接フランジ部に、長孔側へ膨出する曲面状の凸部を形成し、
該凸部を前記長孔の周縁部に当接させ、前記第2当接フランジ部の先端を折り曲げて前記第2取付フランジ部を挟持するとともに、前記凸部の周縁が前記長孔の周縁に当接しつつ弾力的に撓み変形したことを特徴とする遮熱カバーの取付構造。
【請求項2】
前記排気系部品は、胴部と、その両端部に外側方向に向かう程、縮径するテーパ部を有するケースを備えた触媒コンバータであることを特徴とする請求項1記載の遮熱カバーの取付構造。
【請求項3】
前記第1取付フランジ部と第2取付フランジ部は、前記排気系部品における第1取付フランジ部と第2取付フランジ部を設けた部分の軸芯を含む平面内に配置され、
この平面内において、前記軸芯を挟んだ一方の側に第1取付フランジ部を設け、
該第1取付フランジ部に対し、軸芯を挟んで対向する他方の側に第2取付フランジ部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の遮熱カバーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱カバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関の排気浄化装置として、触媒を担持する担体をケースに収納した触媒コンバータが用いられることが多い。
【0003】
また、この製造方法として、担体の外周に緩衝材を巻きつけた状態で、ケースにおける軸方向の中央部に設けた胴部内にルーズに収納した後に、胴部を縮径して、緩衝材を圧縮することで、触媒担体を強固に保持するいわゆるサイジング工法(例えば、特許文献1参照)により製造が用いられることが多い。
【0004】
しかし、サイジング工法により触媒コンバータを製造すると、触媒が担持された担体を保持する力を一定とするため、個々により外径が異なってしまう。
【0005】
この触媒コンバータに遮熱カバーを取り付ける際に、触媒コンバータの外径が異なることにより、相互の取付部の位置ズレが生じ、取付が困難となってしまうという問題がある。
【0006】
触媒コンバータに、その軸方向が長手方向となる長孔を形成した取付フランジ部を設け、遮熱カバーに当接フランジ部を設け、当接フランジ部に取付フランジ部の長孔側に膨出する凸部を形成し、この凸部を取付フランジ部の長孔の周縁部に当接させ、当接フランジ部を折り曲げて、取付フランジ部を挟持するようにすることにより、触媒コンバータと遮熱カバーとの取付部の位置がわずかにズレても取付けきるようにすることが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4339070号
【特許文献2】特許第4339022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献2記載において、触媒コンバータに遮熱カバーを取付ける際に、相互の取付部の位置ずれが許容できるのは、触媒コンバータの軸方向のずれであり、サイジング工法により生じる径方向のずれには対応することができないという問題がある。
【0009】
また、触媒コンバータの取付フランジ部に対する、遮熱カバーの当接フランジ部の取付部、全てにおいて上記のようにカシメ方法で固定した場合、経年的にカシメにゆるみが生じる虞がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点を解決した遮熱カバーの取付構造を提供すことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明は、内燃機関の排気系部品に、遮熱カバーの取付用の座となる取付フランジ部を複数設け、遮熱カバーで前記排気系部品を被覆するとともに、前記遮熱カバーに形成された当接フランジ部を、前記取付フランジ部に取り付ける遮熱カバーの取付構造において、
前記取付フランジ部を、第1取付フランジ部と、第2取付フランジ部で構成し、
前記当接フランジ部を、第1当接フランジ部と、第2当接フランジ部で構成し、
前記第1取付フランジ部に、前記第1当接フランジ部を螺号固定し、
前記第2取付フランジ部に、前記排気系部品の軸芯に対して直交する方向が、長手方向となる長孔を形成し、
前記第2当接フランジ部に、長孔側へ膨出する曲面状の凸部を形成し、
該凸部を前記長孔の周縁部に当接させ、前記第2当接フランジ部の先端を折り曲げて前記第2取付フランジ部を挟持するとともに、前記凸部の周縁が前記長孔の周縁に当接しつつ弾力的に撓み変形したことを特徴とするものである。
【0012】
また、前記排気系部品は、胴部と、その両端部に外側方向に向かう程、縮径するテーパ部を有するケースを備えた触媒コンバータとしてもよい。
【0013】
また、前記第1取付フランジ部と第2取付フランジ部は、前記排気系部品における第1取付フランジ部と第2取付フランジ部を設けた部分の軸芯を含む平面内に配置され、
この平面内において、前記軸芯を挟んだ一方の側に第1取付フランジ部を設け、
該第1取付フランジ部に対し、軸芯を挟んで対向する他方の側に第2取付フランジ部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、第2取付フランジ部に、排気系部品の軸芯に対して直交する方向が、長手方向となる長孔を形成し、第2当接フランジ部に凸部を形成し、凸部を長孔の周縁部に当接させ、第2当接フランジ部の先端を折り曲げて第2取付フランジ部を挟持したことにより、第2取付フランジ部に対する第2当接フランジ部の取付位置を長孔方向へ調整でき、排気系部品の径方向のバラつきに対応し、遮熱カバーを排気系部品に、確実で強固に取り付けることができる。
【0015】
また、第1取付フランジ部と、第1当接フランジ部を螺号固定することにより、経年変化による緩みや、がたつきの発生を防止するとともに、遮熱カバーの脱落を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1の遮熱カバーの取付構造を示す正面図。
【
図5】本発明の実施例1に用いる触媒コンバータの正面図。
【
図8】
図7の第2取付フランジ部と第2取付フランジ部の取付部分の縦端面図。
【
図9】第2取付フランジ部と第2取付フランジ部の取付前の縦端面図。
【
図10】
図9の状態から、第2取付フランジ部と第2取付フランジ部を相互に当接した状態の縦端面図。
【
図11】本発明の実施例2に係る第2取付フランジ部と第2取付フランジ部における取付部分の縦端面図。
【
図12】本発明の実施例3に係る第2取付フランジ部と第2取付フランジ部における取付部分の縦端面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0018】
[実施例1]
本発明の遮熱カバーの取付構造は、触媒コンバータ等の内燃機関の排気系部品に遮熱カバーを取り付ける取付構造である。以下において、内燃機関の排気系部品として、触媒コンバータを用いた実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明における実施例1の遮熱カバーの取付構造1を示す正面図、
図2はその裏面図、
図3はその上面図、
図4はその下面図を示し、遮熱カバーの取付構造1は、触媒コンバータ2と遮熱カバー3を有する。
【0020】
触媒コンバータ2は、
図5,
図6に示すように、金属製の筒状のケース4を有し、その軸方向の中央部に形成した円筒状の胴部4aが形成され、ケース4の胴部4aにおける軸芯X-X方向の両端部には、夫々、軸芯X-Xの内側から外側に向かう程、縮径するテーパ部4b,4cが形成されている。
【0021】
胴部4a内には、
図7に示すように、セラミック繊維をマット状に形成した緩衝材5を全周に亘って巻設された、ハニカム状のセラッミク製の担体6が収納されている。担体6内の多数の通路内には、触媒が担持されている。
【0022】
緩衝材5は、ケース4と担体6に挟持されて圧縮され、その復元力により、担体6はケース4の胴部4aに強固に保持されている。
【0023】
緩衝材5を外周に巻設した担体6を、ケース4内にルーズに収納した後に、ケースを若干縮径して、緩衝材5を圧縮し、ケース内の所定位置に担体6を保持する、いわゆるサイジング(Sizing)工法により製造される。
【0024】
なお、触媒コンバータ2は、内部に担体6が収納されていれば、上記の構造以外にも任意の形状、構造とすることができる。
【0025】
胴部4aには、
図5~
図7に示すように、遮熱カバー3の取付用の座となる取付フランジ部7,7,8,8が4個固設されている。取付フランジ部7,8は、胴部4aの軸芯X-Xを中心とする径方向において、胴部4aから外側方向に向かって突出するように形成されている。
【0026】
また、胴部4aにおいて、胴部4aの軸芯X-Xを含む平面内において、軸芯X-Xを挟んで一方の側に、2個の第1取付フランジ部7,7が設けられ、軸芯X-Xを挟んで一方の側に対し対向する他方の側、すなわち、各第1取付フランジ部7から略180度離れた位置に、2個の第2取付フランジ部8,8が設けられている。
【0027】
各取付フランジ部7,8には、胴部4aの軸芯X-Xに対し直交する方向が、長手方向となる長孔9が1個、貫通形成されてる。
【0028】
遮熱カバー3は、半割の一方の遮熱カバー半体10と、半割の他方の遮熱カバー半体11の2つの部材で構成され、遮熱カバー半体10,11は、弾性を有して撓む薄い金属板で形成されている。
【0029】
一方の遮熱カバー半体10の周方向の一方の端部には、第1当接フランジ部12が、径方向の外側方向に突出するように形成され、他方の端部には、一方の第2当接フランジ部13が、径方向の外側方向に突出するように形成されている。
【0030】
他方の遮熱カバー半体11の周方向の一方の端部には、第1当接フランジ部12が、径方向の外側方向に突出するように形成され、他方の端部には、他方の第2当接フランジ部14が、径方向の外側方向に突出するように形成されている。
【0031】
そして、
図7に示すように、第1取付フランジ部7を、一方の遮熱カバー半体10の第1当接フランジ部12と、他方の遮熱カバー半体11の第1当接フランジ部12で挟持し、第1当接フランジ部12,12に形成した取付孔12a,12aと、第1取付フランジ部7の長孔9に、ボルト16を挿通し、ボルト16をナット17に螺号することにより、第1取付フランジ部7に、第1当接フランジ部12,12が螺号固定されている。
【0032】
一方の第2当接フランジ部13の基部13aには、
図7,
図8に示すように、第2取付フランジ部8に形成した長孔9に対応する位置に、第2取付フランジ部8側、すなわち長孔9側へ膨出するように折曲された凸部20が形成されている。また、凸部20における長孔9側の面が曲面に形成されているとともに、凸部20の根元21が、曲面状に形成されている。
【0033】
また、凸部20の周縁形状が、長孔9の周縁形状以上となるように設定されている。
【0034】
また、凸部20の形状は、一方の遮熱カバー半体10の外側を中心とする丘稜状に形成されている。本実施例では、凸部20形状、及び、その周縁形状(膨出開始ライン)を、長円状に形成した。また、凸部20の長手方向が、胴部4aの軸芯X-Xと平行、すなわち、長孔9の長手方向と直交するように形成した。
【0035】
また、他方の遮熱カバー半体11における他方の第2当接フランジ部14にも、一方の第2当接フランジ部13の凸部20と同様の凸部24と、一方の第2当接フランジ部13の根元21と同様の根元25が形成されている。
【0036】
そして、第2当接フランジ部13,14の凸部20,24が、長孔9の部分に位置して対峙するように配置されている。
【0037】
一方の第2当接フランジ部13における基部13aの外側(先端側)には、
図7,
図8に示すように、他方の第2当接フランジ部14側へ折曲させた折り曲げ部27が形成されている。折り曲げ部27の折り曲げ角度は任意である。折り曲げ部27の長さは、この折り曲げ部27の折り曲げにより、両遮熱カバー半体10,11における両第2当接フランジ部13,14相互が係止される長さであればよく、その長さは任意である。
【0038】
次に、触媒コンバータ2への遮熱カバー3の取付方法について説明する。
【0039】
先ず、触媒コンバータ2の第1取付フランジ部7を、両遮熱カバー半体10,11の第1当接フランジ部12,12で挟持する。また、
図9に示すように、両遮熱カバー半体10,11の第2当接フランジ部13,14が、触媒コンバータ2の第2取付フランジ部8の両側面に近接するように、両遮熱カバー半体10,11を配置した後に、
図10に示すように、その両凸部20,24を第2取付フランジ部8の長孔9の部分に位置するように、第2取付フランジ部8に、第2当接フランジ部13,14を当接させる。
【0040】
次に、第1取付フランジ部7の長孔9に、ボルト16を挿通し、ボルト16をナット17に螺号することにより、第1取付フランジ部7に、第1当接フランジ部12,12を螺号固定する。ボルト16とナット17による螺号締結により、触媒コンバータ2への遮熱カバー3の取付位置の起点が決定する。
【0041】
また、第1取付フランジ部7における螺号締結位置に応じて、第2当接フランジ部13,14の凸部20,24を、第2取付フランジ部8の長孔9の長手方向に沿って移動できることで、触媒コンバータ2の直径のバラつきによる差異(周長の差異)に応じて、第2取付フランジ部8に対する第2当接フランジ部13,14の取付位置を調整できる。
【0042】
次に、一方の遮熱カバー半体10における第2当接フランジ部13の折り曲げ部27を、
図7に示すように、触媒コンバータ2側へ折り曲げ、一対の第2当接フランジ部13,14によって第2取付フランジ部8を挟持する。この折り曲げにより、両第2当接フランジ部13,14が、第2取付フランジ部8側へ押圧されると、凸部20,24の周縁が長孔9の周縁に当接しつつ弾力的に撓み変形し、凸部20,24の頂部が長孔9の中央方向へ向かうように両第2当接フランジ部13,14が移動して凸部20,24が長孔9内に位置するように嵌る。
【0043】
また、折り曲げ部27の折り曲げにより、第2当接フランジ部13,14で、第2取付フランジ部8を弾力的に挟持することができるが、折り曲げた後に、折り曲げ部27を面直方向に圧縮して挟持部をかしめるようにしてもよい。また、凸部20,24同士は、
図8に示すように離間させてもよいし、当接させなくてもよい。
【0044】
これにより、触媒コンバータ2の直径(周長)のばらつきを吸収して、第2当接フランジ部13,14を、第2取付フランジ部8に確実で強固に取り付け、触媒コンバータ2への遮熱カバー3を確実に取り付けることができる。
【0045】
また、第1取付フランジ部7と、第1当接フランジ部12,12を螺号締結したことにより、経年変化による緩みや、がたつきの発生を防止するとともに、遮熱カバー3の脱落を防止できる。
【0046】
また、遮熱カバー半体10,11同士も相対的に動くことができるため、遮熱カバー半体10、11同士間の熱膨脹差等も吸収することができる。
【0047】
また、触媒コンバータ2におけるケース4の胴部4aに、その軸芯X-Xを含む平面内において、軸芯X-Xを挟んで一方の側に、2個の第1取付フランジ部7,7を集中的に配するとともに、他方の側に、2個の第2取付フランジ部8,8を集中的に配置したことにより、螺号固定を強固なものとすることができるとともに、触媒コンバータ2への遮熱カバー3の取付時における径方向への調整を容易とし、組付性が向上し、作業効率を上げることができる。
【0048】
また、第2当接フランジ部13,14が、第2取付フランジ部8を挟持した状態では、第2当接フランジ部8の周縁形状を、長孔9の周縁形状以上としたことにより、凸部20,24における第2取付フランジ部8側の面が、少なくとも長孔9の短手方向において、周縁部との間に隙間なく、常に長孔9の周縁部に当接した状態となり、第2当接フランジ部13,14と第2取付フランジ部8との相互のガタつきやズレが発生しにくい。
【0049】
また、第2当接フランジ部13,14の凸部20,24同士を固定状態に接合しないため、凸部20,24自体が弾性変形可能となり、第2取付フランジ部8が凸部20,24により常に弾性的に挟持される。そのため、触媒コンバータ2と遮熱カバー半体10,11の相互が、ガタつくことなく、かつ、熱膨脹差等により大きな荷重が作用した場合には相互に摺動して、その変異を吸収することができる。
【0050】
[実施例2]
上記実施例1においては、一方の遮熱カバー半体10における一方の第2当接フランジ部13に凸部20と、他方の遮熱カバー半体11における他方の第2当接フランジ部14に凸部24を形成したが、
図11に示すように、一方の遮熱カバー半体10における一方の第2当接フランジ部13に凸部20を設けるが、他方の第2当接フランジ部34に凸部24を、設けることなく平板状に形成してもよい。
【0051】
一方の第2当接フランジ部13の凸部20と、他方の第2当接フランジ部34は、
図11に示すように離間してもよいし、当接する(図示せず)ようにしてもよい。
【0052】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0053】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0054】
[実施例3]
上記実施例1においては、一方の遮熱カバー半体10における一方の第2当接フランジ部13に凸部20と、他方の遮熱カバー半体11における他方の第2当接フランジ部14に凸部24を形成したが、
図12に示すように、他方の遮熱カバー半体11における他方の第2当接フランジ部14に凸部24を設けるが、一方の第2当接フランジ部38の基部38aに凸部20を、設けることなく平板状に形成してもよい。
【0055】
他方の第2当接フランジ部14に凸部24と、一方の第2当接フランジ部38の基部38aは、
図12に示すように離間してもよいし、当接する(図示せず)ようにしてもよい。
【0056】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0057】
本実施例3においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0058】
[実施例4]
上記実施例1においては、遮熱カバー3を、2個の遮熱カバー半体10,11で構成したが、一個の遮熱カバーで構成してもよい。
【0059】
遮熱カバーには、上記実施例1における、一方の遮熱カバー半体10の第1当接フランジ部12と、一方の第2当接フランジ部13と同様の第1当接フランジ部と、第2当接フランジ部が設けられている。上記実施例1の凸部20と同様の凸部を、遮熱カバーの第2当接フランジ部の基部、若しくは、折り曲げ部に形成する。
【0060】
第1当接フランジ部は、第1取付フランジ部7に螺号固定し、第2当接フランジ部は、上記実施例1と同様の方法で、第2取付フランジ部8に取付ける。
【0061】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0062】
本実施例4においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0063】
[その他の実施例]
上記実施例1乃至5においては、触媒コンバータ2に、2個の第1取付フランジ部7,7と、2個の第2取付フランジ部8,8を設けたが、第1取付フランジ部7と第2取付フランジ部8の数は、夫々、1個以上であればよく、それぞれの数は任意に設定することができる。
【0064】
また、上記実施例1においては、触媒コンバータ2におけるケース4の胴部4aの軸芯X-Xを含む平面内において、軸芯X-Xを挟んで一方の側に、2個の第1取付フランジ部7,7を、他方の側に、2個の第2取付フランジ部8,8を設けたが、胴部4aに少なくとも1個の第1取付フランジ部7が設けられていればよく、それ以外の取付フランジ部を、第2取付フランジ部8で構成してもよい。例えば、上記実施例1における一方の側に設けた2個の第1取付フランジ部7,7の代わりに、1個の第1取付フランジ部7と、1個の7を、第2取付フランジ部8で構成してもよい。
【0065】
また、触媒コンバータ2におけるケース4の胴部4aには、その軸芯X-Xを含む平面内において、軸芯X-Xを挟んで一方の側に、1個または複数個の第1取付フランジ部7,7を、他方の側に、1個又は複数個の第2取付フランジ部8,8を設けることが好ましいが、一方の側と、他方の側に、夫々、第1取付フランジ部7と第2取付フランジ部8を混在させて設けてもよい。
【0066】
なお、遮熱カバー3に設ける第1当接フランジ部12と第2当接フランジ部13,14は、第1取付フランジ部7と、第2取付フランジ部8の数とその位置に対応した場所に設ける。
【0067】
その他の構造は、上記実施例1乃至4と同様であるのでその説明を省略する。
【0068】
その他の実施例においても、上記実施例1乃至4と同様の作用、効果を奏する。
【符号の説明】
【0069】
1 遮熱カバーの取付構造
2 排気系部品(触媒コンバータ)
3 遮熱カバー
7 第1取付フランジ部
8 第2取付フランジ部
9 長孔
12 第1当接フランジ部
13,14,34,38 第2当接フランジ部
20,24 凸部
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明は、内燃機関の排気系部品に、遮熱カバーの取付用の座となる取付フランジ部を複数設け、遮熱カバーで前記排気系部品を被覆するととも
に、前記遮熱カバーに形成された当接フランジ部を、前記取付フランジ部に取り付ける遮熱カバーの取付構造において、
前記取付フランジ部を、第1取付フランジ部と、第2取付フランジ部で構成し、
前記当接フランジ部を、第1当接フランジ部と、第2当接フランジ部で構成し、
前記第1取付フランジ部に、前記第1当接フランジ部を螺合固定し、
前記第2取付フランジ部に、前記排気系部品の軸芯に対して直交する方向が、長手方向となる長孔を形成し、
前記第2当接フランジ部に、長孔側へ膨出する曲面状の凸部を形成し、
該凸部を前記長孔の周縁部に当接させ、前記第2当接フランジ部の先端を折り曲げて前記第2取付フランジ部を挟持するとともに、前記凸部の周縁が前記長孔の周縁に当接しつつ弾力的に撓み変形したことを特徴とするものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、第1取付フランジ部と、第1当接フランジ部を螺合固定することにより、経年変化による緩みや、がたつきの発生を防止するとともに、遮熱カバーの脱落を防止できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
そして、
図7に示すように、第1取付フランジ部7を、一方の遮熱カバー半体10の第1当接フランジ部12と、他方の遮熱カバー半体11の第1当接フランジ部12で挟持し、第1当接フランジ部12,12に形成した取付孔12a,12aと、第1取付フランジ部7の長孔9に、ボルト16を挿通し、ボルト16をナット17に螺
合することにより、第1取付フランジ部7に、第1当接フランジ部12,12が螺
合固定されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
次に、第1取付フランジ部7の長孔9に、ボルト16を挿通し、ボルト16をナット17に螺合することにより、第1取付フランジ部7に、第1当接フランジ部12,12を螺合固定する。ボルト16とナット17による螺合締結により、触媒コンバータ2への遮熱カバー3の取付位置の起点が決定する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
また、第1取付フランジ部7における螺合締結位置に応じて、第2当接フランジ部13,14の凸部20,24を、第2取付フランジ部8の長孔9の長手方向に沿って移動できることで、触媒コンバータ2の直径のバラつきによる差異(周長の差異)に応じて、第2取付フランジ部8に対する第2当接フランジ部13,14の取付位置を調整できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
また、第1取付フランジ部7と、第1当接フランジ部12,12を螺合締結したことにより、経年変化による緩みや、がたつきの発生を防止するとともに、遮熱カバー3の脱落を防止できる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
また、触媒コンバータ2におけるケース4の胴部4aに、その軸芯X-Xを含む平面内において、軸芯X-Xを挟んで一方の側に、2個の第1取付フランジ部7,7を集中的に配するとともに、他方の側に、2個の第2取付フランジ部8,8を集中的に配置したことにより、螺合固定を強固なものとすることができるとともに、触媒コンバータ2への遮熱カバー3の取付時における径方向への調整を容易とし、組付性が向上し、作業効率を上げることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
第1当接フランジ部は、第1取付フランジ部7に螺合固定し、第2当接フランジ部は、上記実施例1と同様の方法で、第2取付フランジ部8に取付ける。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
内燃機関の排気系部品に、遮熱カバーの取付用の座となる取付フランジ部を複数設け、遮熱カバーで前記排気系部品を被覆するとともに、前記遮熱カバーに形成された当接フランジ部を、前記取付フランジ部に取り付ける遮熱カバーの取付構造において、
前記取付フランジ部を、第1取付フランジ部と、第2取付フランジ部で構成し、
前記当接フランジ部を、第1当接フランジ部と、第2当接フランジ部で構成し、
前記第1取付フランジ部に、前記第1当接フランジ部を螺合固定し、
前記第2取付フランジ部に、前記排気系部品の軸芯に対して直交する方向が、長手方向となる長孔を形成し、
前記第2当接フランジ部に、長孔側へ膨出する曲面状の凸部を形成し、
該凸部を前記長孔の周縁部に当接させ、前記第2当接フランジ部の先端を折り曲げて前記第2取付フランジ部を挟持するとともに、前記凸部の周縁が前記長孔の周縁に当接しつつ弾力的に撓み変形したことを特徴とする遮熱カバーの取付構造。