(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066849
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】位置分析システム
(51)【国際特許分類】
G01S 17/87 20200101AFI20240509BHJP
G01S 17/58 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G01S17/87
G01S17/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176597
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 高幸
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA10
5J084AA13
5J084AA20
5J084AB07
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA50
5J084CA34
5J084CA70
5J084EA34
(57)【要約】
【課題】 2個以上の距離計測装置を利用する位置分析システムにおいて、広範囲の空間内を移動する物体の位置を分析するための技術を提供する。
【解決手段】 位置分析システムは、第1の距離計測装置の計測範囲内を移動する物体の第1の軌跡情報を算出し、第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する物体の第2の軌跡情報を算出し、第1の軌跡情報に対して第2の軌跡情報を合わせて、第1の距離計測装置に対する第2の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きを算出し、第1の相対情報を利用した分析結果を表示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置分析システムであって、
第1の距離計測装置と、第2の距離計測装置と、を含む複数個の距離計測装置と、
分析装置と、
を備え、
前記複数個の距離計測装置のそれぞれは、
当該距離計測装置の周囲の二次元又は三次元の空間に亘ってレーザを照射するレーザ光源と、
前記レーザの照射から前記レーザの反射光の受光までの時間を利用して、当該距離計測装置と前記空間内を移動する物体との距離を示すデータを前記分析装置に送信する送信部と、
を備え、
前記分析装置は、
前記第1の距離計測装置から複数個の第1のデータを受信する第1の受信部と、
前記第2の距離計測装置から複数個の第2のデータを受信する第2の受信部と、
前記第1の距離計測装置から受信した前記複数個の第1のデータを利用して、前記第1の距離計測装置の位置及び向きを示す第1の基準情報を基準として、前記第1の距離計測装置の計測範囲内を移動する第1の物体の軌跡を示す第1の軌跡情報を算出する第1の軌跡算出部と、
前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第2の距離計測装置の位置及び向きを示す第2の基準情報を基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する第2の物体の軌跡を示す第2の軌跡情報を算出する第2の軌跡算出部であって、前記第2の軌跡情報において前記第2の物体が移動する時間帯は、前記第1の軌跡情報において前記第1の物体が移動する時間帯と同じであり、前記第2の軌跡情報によって示される軌跡の形状の少なくとも一部は、前記第1の軌跡情報によって示される軌跡の形状と同一である、前記第2の軌跡算出部と、
前記第1の軌跡情報によって示される軌跡に対して前記第2の軌跡情報によって示される軌跡を合わせて、前記第1の距離計測装置に対する前記第2の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きを示す第1の相対情報を算出する第1の情報算出部と、
前記第1の相対情報を利用した分析結果を表示する表示部と、
を備える、
位置分析システム。
【請求項2】
前記位置分析システムは、さらに、
前記第1の距離計測装置から受信した前記複数個の第1のデータを利用して、前記第1の基準情報を基準として、前記第1の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第1の物体位置情報を算出する第1の位置算出部と、
前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第1の基準情報と前記第1の相対情報とを基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第2の物体位置情報を算出する第2の位置算出部と、
を備え、
前記表示部は、前記第1の物体位置情報と前記第2の物体位置情報とを利用した前記分析結果を表示する、請求項1に記載の位置分析システム。
【請求項3】
前記複数個の距離計測装置は、さらに、第3の距離計測装置を含み、
前記分析装置は、さらに、
前記第3の距離計測装置から複数個の第3のデータを受信する第3の受信部と、
前記第3の距離計測装置から受信した前記複数個の第3のデータを利用して、前記第3の距離計測装置の位置及び向きを示す第3の基準情報を基準として、前記第3の距離計測装置の計測範囲内を移動する第3の物体の軌跡を示す第3の軌跡情報を算出する第3の軌跡算出部と、
を備え、
前記第2の軌跡算出部は、前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第2の基準情報を基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する、前記第2の物体とは異なる第4の物体の軌跡を示す第4の軌跡情報を算出し、
前記第4の軌跡情報において前記第4の物体が移動する時間帯及び軌跡の形状の少なくとも一方は、前記第2の軌跡情報において前記第2の物体が移動する時間帯及び軌跡の形状の少なくとも一方と異なり、
前記第4の軌跡情報において前記第4の物体が移動する時間帯は、前記第3の軌跡情報において前記第3の物体が移動する時間帯と同じであり、前記第4の軌跡情報によって示される軌跡の形状の少なくとも一部は、前記第3の軌跡情報によって示される軌跡の形状と同一であり、
前記分析装置は、さらに、
前記第4の軌跡情報によって示される軌跡に対して前記第3の軌跡情報によって示される軌跡を合わせて、前記第2の距離計測装置に対する前記第3の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きを示す第2の相対情報を算出する第2の情報算出部と、
を備え、
前記分析結果は、前記第1の相対情報を利用した結果と、前記第2の相対情報を利用した結果と、を含む、請求項1に記載の位置分析システム。
【請求項4】
前記位置分析システムは、さらに、
前記第1の距離計測装置から受信した前記複数個の第1のデータを利用して、前記第1の基準情報を基準として、前記第1の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第1の物体位置情報を算出する第1の位置算出部と、
前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第1の基準情報と前記第1の相対情報とを基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第2の物体位置情報を算出する第2の位置算出部と、
前記第3の距離計測装置から受信した前記複数個の第3のデータを利用して、前記第1の基準情報と前記第1の相対情報と前記第2の相対情報とを基準として、前記第3の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第3の物体位置情報を算出する第3の位置算出部と、
を備え、
前記表示部は、前記第1の物体位置情報と前記第2の物体位置情報と前記第3の物体位置情報とを利用した前記分析結果を表示する、
請求項3に記載の位置分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、空間内を移動する物体の位置を分析する位置分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LiDAR(Light Detection and Rangingの略)を利用した風景の撮像システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LiDAR等である距離計測装置は、距離計測装置の周囲の二次元又は三次元の空間に亘ってレーザを照射するレーザ光源を備える。そして、距離計測装置は、レーザの照射時間と、レーザの反射光の受光時間と、を利用して、距離計測装置と物体との距離を計測する。
【0005】
距離計測装置は、特許文献1のような風景の撮像だけでなく、空間内を移動する物体の位置の分析にも利用される。距離計測装置の計測範囲は限られる。そこで、広範囲の空間内を移動する物体の位置を分析するために、2個以上の距離計測装置を利用することが想定される。
【0006】
本明細書では、2個以上の距離計測装置を利用する位置分析システムにおいて、広範囲の空間内を移動する物体の位置を分析するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する位置分析システムは、第1の距離計測装置と、第2の距離計測装置と、を含む複数個の距離計測装置と、分析装置と、を備え、前記複数個の距離計測装置のそれぞれは、当該距離計測装置の周囲の二次元又は三次元の空間に亘ってレーザを照射するレーザ光源と、前記レーザの照射から前記レーザの反射光の受光までの時間を利用して、当該距離計測装置と前記空間内を移動する物体との距離を示すデータを前記分析装置に送信する送信部と、を備え、前記分析装置は、前記第1の距離計測装置から複数個の第1のデータを受信する第1の受信部と、前記第2の距離計測装置から複数個の第2のデータを受信する第2の受信部と、前記第1の距離計測装置から受信した前記複数個の第1のデータを利用して、前記第1の距離計測装置の位置及び向きを示す第1の基準情報を基準として、前記第1の距離計測装置の計測範囲内を移動する第1の物体の軌跡を示す第1の軌跡情報を算出する第1の軌跡算出部と、前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第2の距離計測装置の位置及び向きを示す第2の基準情報を基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する第2の物体の軌跡を示す第2の軌跡情報を算出する第2の軌跡算出部であって、前記第2の軌跡情報において前記第2の物体が移動する時間帯は、前記第1の軌跡情報において前記第1の物体が移動する時間帯と同じであり、前記第2の軌跡情報によって示される軌跡の形状の少なくとも一部は、前記第1の軌跡情報によって示される軌跡の形状と同一である、前記第2の軌跡算出部と、前記第1の軌跡情報によって示される軌跡に対して前記第2の軌跡情報によって示される軌跡を合わせて、前記第1の距離計測装置に対する前記第2の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きを示す第1の相対情報を算出する第1の情報算出部と、前記第1の相対情報を利用した分析結果を表示する表示部と、を備える。
【0008】
広範囲の空間内を過不足なく計測するために、第1の距離計測装置の計測範囲と第2の距離計測装置の計測範囲を重複させる。両者の計測範囲で重複する重複範囲では、第1の距離計測装置と第2の距離計測装置が同じ物体を計測する。このため、第1の距離計測装置から受信した第1のデータと第2の距離計測装置から受信した第2のデータをそのまま分析すると、同じ物体が別々の物体として分析される。
【0009】
また、各距離計測装置の計測範囲内を移動する物体の位置は、各距離計測装置の位置及び向きを示す基準情報を基準として算出される。しかし、基準情報が正確でないと、不正確な位置が算出される。
【0010】
第1の距離計測装置と第2の距離計測装置が同じ物体を計測する状況において、発明者は、第1の距離計測装置から見た当該物体の軌跡の形状は、同じ時間帯において、第2の距離計測装置から見た当該物体の軌跡の形状と、少なくとも一部で同一である点に着目した。少なくとも一部で形状が同一な軌跡と軌跡を合わせれば、第1の距離計測装置に対する第2の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きを算出することができる。相対的な位置及び相対的な向きを利用すれば、第2の基準情報が不正確でも、第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する物体の位置も正確に算出することができる。以上より、2個以上の距離計測装置を利用する位置分析システムにおいて、広範囲の空間内を移動する物体の位置を分析することができる。
【0011】
前記位置分析システムは、さらに、前記第1の距離計測装置から受信した前記複数個の第1のデータを利用して、前記第1の基準情報を基準として、前記第1の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第1の物体位置情報を算出する第1の位置算出部と、前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第1の基準情報と前記第1の相対情報とを基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第2の物体位置情報を算出する第2の位置算出部と、を備え、前記表示部は、前記第1の物体位置情報と前記第2の物体位置情報とを利用した前記分析結果を表示してもよい。
【0012】
前記複数個の距離計測装置は、さらに、第3の距離計測装置を含み、前記分析装置は、さらに、前記第3の距離計測装置から複数個の第3のデータを受信する第3の受信部と、前記第3の距離計測装置から受信した前記複数個の第3のデータを利用して、前記第3の距離計測装置の位置及び向きを示す第3の基準情報を基準として、前記第3の距離計測装置の計測範囲内を移動する第3の物体の軌跡を示す第3の軌跡情報を算出する第3の軌跡算出部と、を備え、前記第2の軌跡算出部は、前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第2の基準情報を基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する、前記第2の物体とは異なる第4の物体の軌跡を示す第4の軌跡情報を算出し、前記第4の軌跡情報において前記第4の物体が移動する時間帯及び軌跡の形状の少なくとも一方は、前記第2の軌跡情報において前記第2の物体が移動する時間帯及び軌跡の形状の少なくとも一方と異なり、前記第4の軌跡情報において前記第4の物体が移動する時間帯は、前記第3の軌跡情報において前記第3の物体が移動する時間帯と同じであり、前記第4の軌跡情報によって示される軌跡の形状の少なくとも一部は、前記第3の軌跡情報によって示される軌跡の形状と同一であり、前記分析装置は、さらに、前記第4の軌跡情報によって示される軌跡に対して前記第3の軌跡情報によって示される軌跡を合わせて、前記第2の距離計測装置に対する前記第3の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きを示す第2の相対情報を算出する第2の情報算出部と、を備え、前記分析結果は、前記第1の相対情報を利用した結果と、前記第2の相対情報を利用した結果と、を含んでもよい。
【0013】
上記の構成によれば、2個の距離計測装置を利用する場合よりも広い範囲を有する空間を分析することができる。特に、第3の基準情報が不正確でも、第1の基準情報と、第1の距離計測装置に対する第2の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きと、第2の距離計測装置に対する第3の距離計測装置の相対的な位置及び相対的な向きと、を利用して、第3の距離計測装置の計測範囲内を移動する物体の位置も正確に算出することができる。
【0014】
前記位置分析システムは、さらに、前記第1の距離計測装置から受信した前記複数個の第1のデータを利用して、前記第1の基準情報を基準として、前記第1の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第1の物体位置情報を算出する第1の位置算出部と、前記第2の距離計測装置から受信した前記複数個の第2のデータを利用して、前記第1の基準情報と前記第1の相対情報とを基準として、前記第2の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第2の物体位置情報を算出する第2の位置算出部と、前記第3の距離計測装置から受信した前記複数個の第3のデータを利用して、前記第1の基準情報と前記第1の相対情報と前記第2の相対情報とを基準として、前記第3の距離計測装置の計測範囲内を移動する2個以上の物体の位置を示す第3の物体位置情報を算出する第3の位置算出部と、を備え、前記表示部は、前記第1の物体位置情報と前記第2の物体位置情報と前記第3の物体位置情報とを利用した前記分析結果を表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】同じ時間帯における類似の軌跡の具体例を示す。
【
図8】類似の軌跡同士を合わせて相対的な位置及び向きを算出する具体例を示す。
【
図9】第2実施例の位置分析システムの概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施例)
(位置分析システム2の構成;
図1)
位置分析システム2は、所定の領域内を移動する1人以上の人物の位置(例えば、4a~4c)を分析するためのシステムである。所定の領域は、例えば、屋内の領域、屋外の領域等である。屋内の領域は、例えば、事務所、工場、ショッピングモール、展示場等である。屋外の領域は、例えば、駅の構外、ビルのエントランス等である。
【0017】
位置分析システム2は、端末装置10と、2個の3DLiDAR100及び200と、を備える。端末装置10は、デスクトップPC、ノートPC、スマートフォン等である。なお、変形例では、端末装置10に代えて、インターネット上のサーバが利用されてもよい。3DLiDARは、光による検知と測距(light Detection And Rangingの略)と呼ばれ、周囲の物体との距離を三次元的に計測する装置である。端末装置10は、有線又は無線を介して、2個の3DLiDAR100及び200と通信可能に接続されている。
【0018】
2個の3DLiDAR100及び200は、所定の領域内において互いに離れた場所に配置される。
図1の破線の円は、2個の3DLiDAR100及び200のそれぞれの計測範囲を表す。
図1に示すように、3DLiDAR100の計測範囲は、3DLiDAR200の計測範囲と重複する。これにより、所定の領域が、1個の3DLiDARの計測範囲より広い範囲を有する空間であっても、所定の領域内を過不足なく計測することができる。
【0019】
(3DLiDAR100及び200の構成;
図2及び
図3)
3DLiDAR100は、通信インターフェース116と、レーザ光源120と、を備える。なお、以下では、「インターフェース」を「I/F」と記載する。通信I/F116は、端末装置10との通信を実行するためのI/Fである。
【0020】
レーザ光源120は、3DLiDAR100の全方位の三次元の空間に亘ってレーザを照射する。レーザ光源120は、モータ等の回転機構を利用して、上下の180度の方向、及び、水平の360度の方向に回転する。例えば、レーザ光源120は、5回/秒の回転数で回転する。これにより、3DLiDAR100の全方位にレーザが走査される。なお、変形例では、レーザ光源120は、ソリッドステート型と呼ばれる回転機構を利用しない方式でレーザを3DLiDAR100の全方位に走査してもよい。
【0021】
例えば、
図2に示すように、レーザ光源120が特定の方向に向かって照射したレーザは、所定の領域内を移動する人物4aに到達する。人物4aに到達したレーザの反射光は、3DLiDAR100によって受光される。3DLiDAR100は、人物4aへのレーザの照射から当該レーザの反射光の受光までの時間を利用して、3DLiDAR100と人物4aとの間の距離L1を算出する。3DLiDAR100は、通信I/F116を介して、レーザの照射方向と、算出済みの距離L1と、人物4aへのレーザの照射時刻(即ちタイムスタンプ)と、を含むデータを端末装置10に送信する。人物4bについても、同様に、距離L2が算出される。例えば、3DLiDAR100は、1回の全方位へのレーザ照射により算出された複数個のデータ(例えば、距離L1とL2を含む複数個のデータ)を一単位として端末装置10に送信する。また、当該データは、3DLiDAR100を識別するための識別情報も含む。3DLiDAR200も、3DLiDAR100と同様にデータを端末装置10に送信する。
【0022】
(端末装置10の構成;
図3)
端末装置10は、表示部12と、操作部14と、通信I/F16と、制御部30と、を備える。表示部12は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部14は、ユーザから指示を受け付けるための複数のキーを備える。なお、表示部12は、タッチパネル(即ち操作部)として機能してもよい。通信I/F16は、2個の3DLiDAR100及び200との通信を実行するためのI/Fである。
【0023】
制御部30は、CPU32と、メモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40及び42に従って様々な処理を実行する。OSプログラム40は、端末装置10の基本的な動作を制御するプログラムである。分析アプリケーションプログラム42(以下では、「分析アプリ42」と記載する)は、2個の3DLiDAR100及び200から受信したデータを分析するためのプログラムである。分析アプリ42は、例えば、位置分析システム2を提供する事業者によって提供される。
【0024】
メモリ34には、さらに、図面情報50、第1のLiDAR情報52a、第2のLiDAR情報52b、第1の人物識別情報54a、第2の人物識別情報54b、複数個の第1の人物位置情報56a、及び、複数個の第2の人物位置情報56b、が記憶される。図面情報50は、所定の領域の平面図面を示す。なお、変形例では、図面情報50は、所定の領域の三次元図面を示してもよい。第1のLiDAR情報52aは、所定の領域内における3DLiDAR100の位置及び3DLiDAR100の向きを示す。第2のLiDAR情報52bは、所定の領域内における3DLiDAR200の位置及び3DLiDAR200の向きを示す。各LiDAR情報52a及び52bは、例えば、図面情報50によって示される平面図面上の座標と向きである。各LiDAR情報52a及び52bは、ユーザによって端末装置10に入力される。
【0025】
第1の人物識別情報54aは、3DLiDAR100の計測範囲内を移動する人物を識別するための情報である。第1の人物識別情報54aは、1人以上の人物のそれぞれについて、当該人物を識別するIDと、3DLiDAR100のデータを分析して算出された特徴情報と、を含む。特徴情報は、人物の特徴を表し、3DLiDAR100によって算出された距離を利用して分析アプリ42によって算出される。特徴情報は、例えば、人物の三次元の凹凸の程度やパターンといった特徴を表す。第1の人物識別情報54aは、3DLiDAR100による計測が開始される毎にリセットされる。また、第2の人物識別情報54bは、3DLiDAR200のデータが利用される点を除いて、第1の人物識別情報54aと同様である。
【0026】
複数個の第1の人物位置情報56aのそれぞれは、第1の人物識別情報54aに含まれるIDに対応付けて記憶される。複数個の第1の人物位置情報56aのそれぞれは、3DLiDAR100の計測範囲内を移動する人物の位置(即ち図面情報50の座標)と時刻とを示す。別言すれば、各第1の人物位置情報56aは、IDによって識別される人物が3DLiDAR100の計測範囲内の特定の位置に特定の時刻に存在していることを示す。複数個の第1の人物位置情報56aは、分析アプリ42によって算出される。複数個の第1の人物位置情報56aは、後述する分析処理(
図4のS22)が実行される毎にリセットされる。また、複数個の第2の人物位置情報56bは、第2の人物識別情報54bに含まれるIDが利用される点と、3DLiDAR200の計測範囲を移動する人物の位置と時刻を示す点と、を除いて、複数個の第1の人物位置情報56aと同様である。
【0027】
(端末装置10の処理;
図4)
図4を参照して、端末装置10のCPU32が分析アプリ42に従って実行する処理について説明する。
図4の処理は、分析アプリ42の起動をトリガとして開始される。なお、
図4の処理の一部は、他のアプリ(図示省略)のバックグラウンドで実行されてもよい。
【0028】
CPU32は、S10及びS20の監視を実行する。S10では、CPU32は、通信I/F16を介して、3DLiDAR100又は200からデータを受信することを監視する。また、S20では、CPU32は、操作部14において後述する分析処理の開始の指示を受けることを監視する。
【0029】
CPU32は、3DLiDAR100又は200からデータを受信する場合(S10)に、S12に進む。S12では、CPU32は、S10で受信したデータの送信元の3DLiDARを特定する。CPU32は、当該データが3DLiDAR100を識別する識別情報を含む場合に、送信元を3DLiDAR100に特定し、当該データが3DLiDAR200を識別する識別情報を含む場合に、送信元を3DLiDAR200に特定する。
【0030】
S14では、CPU32は、S10で受信したデータを利用して、所定の領域内に存在する人物を特定する。例えば、CPU32は、1回の全方位のレーザ照射から得られた複数個のデータの中から人物らしき特徴を表すデータ群を特定する。CPU32は、特定済みのデータ群から特徴情報(例えば凹凸の程度を表す情報)を算出する。例えば、S12において送信元として3DLiDAR100が特定される場合には、CPU32は、第1の人物識別情報54aの中に算出済みの特徴情報と同じ特徴情報が既に存在するのか否かを判断する。CPU32は、第1の人物識別情報54aの中に同じ特徴情報が存在しないと判断する場合に、新しい人物を識別する新しいIDを算出済みの特徴情報に付与する。また、CPU32は、第1の人物識別情報54aの中に同じ特徴情報が存在すると判断する場合に、第1の人物識別情報54aにおいて同じ特徴情報に対応付けて含まれるIDを算出済みの特徴情報に付与する。そして、CPU32は、3DLiDAR100の計測範囲内に存在する全ての人物に対してIDを付与する。なお、第2の人物識別情報54bについても、第1の人物識別情報54aと同様に、特徴情報の算出とIDの付与が実行される。
【0031】
S16では、CPU32は、1個以上の第1の人物位置情報56a又は1個以上の第2の人物位置情報56bを算出する。S12において送信元として3DLiDAR100が特定される場合には、1個以上の第1の人物位置情報56aが算出される。具体的には、CPU32は、S10で受信したデータと、S14で算出された1個以上の特徴情報と、第1のLiDAR情報52aと、を利用して、1回の全方位のレーザ照射に対する1個以上の第1の人物位置情報56aを算出して記憶する。例えば、CPU32は、1個以上の特徴情報のうちの特定の特徴情報の元となったデータ群を利用して、3DLiDAR100から特定の特徴情報に対応するIDによって識別される特定の人物へのベクトルを算出する。CPU32は、第1のLiDAR情報52aによって表される座標と向きに算出済みのベクトルを加算して、所定の領域内を移動する特定の人物の位置を示す座標を算出する。CPU32は、特定の人物を識別するIDに対応付けて、算出済みの座標と特定の特徴情報の元となったデータ群によって示されるタイムスタンプとを含む第1の人物位置情報56aをメモリ34に記憶する。CPU32は、S12で算出された1個以上の特徴情報の全てについて、当該特徴情報によって表される人物の第1の人物位置情報56aを算出して記憶する。なお、第2の人物位置情報56bも、第1の人物位置情報56aと同様の方法により算出される。
【0032】
S16が終了すると、CPU32は、S10及びS20の監視に戻る。即ち、特定の時間(例えば1時間)に亘って3DLiDAR100からデータが繰り返し受信される毎に、S12~S16の処理が実行される。
【0033】
また、CPU32は、操作部14において分析処理の開始の指示を受ける場合(S20でYES)に、S22において、メモリ34に記憶されている複数個の第1の人物位置情報56a及び複数個の第2の人物位置情報56bを利用して、
図5で後述する分析処理を実行する。続くS24では、CPU32は、S22の分析処理の結果を表示部12に表示させる。当該結果は、例えば、図面情報50によって表される所定の領域の図面上に表示される。S24が終了すると、CPU32は、S10及びS20の監視に戻る。
【0034】
(分析処理;
図5~
図8)
上述したように、3DLiDAR100の計測範囲と3DLiDAR200の計測範囲は重複する(
図1参照)。両者の計測範囲で重複する重複範囲では、3DLiDAR100と3DLiDAR200が同じ人物を計測する。このため、S16で算出された第1の人物位置情報56aと第2の人物位置情報56bをそのまま分析すると、同じ人物が別々の人物として分析される。
【0035】
また、上述したように、第1のLiDAR情報52aと第2のLiDAR情報52bは、ユーザによって端末装置10に入力される。各LiDAR情報52a及び52bは、所定の領域内を移動する物体の位置及び向きの基準である。各LiDAR情報52a及び52bが正確でないと、不正確な分析結果が表示される。
【0036】
本実施例の
図5の分析処理では、不正確な分析結果の表示を抑制するために、3DLiDAR100に対する3DLiDAR200の相対的な位置及び相対的な向きを算出する。
【0037】
S30では、CPU32は、第1の人物識別情報54aによって識別される、3DLiDAR100の計測範囲内に存在する1人以上の人物のそれぞれについて、当該人物が移動した軌跡を示す第1の軌跡情報を算出する。具体的には、CPU32は、第1の人物識別情報54aの中から1個の対象のIDを選択する。CPU32は、複数個の第1の人物位置情報56aの中から、対象のIDに対応付けて記憶されている全ての人物位置情報56aを特定する。CPU32は、特定済みの全ての人物位置情報56aによって示される座標群を結んで、対象のIDによって識別される人物の移動の軌跡を示す第1の軌跡情報を算出する。CPU32は、第1の人物識別情報54aの全てのIDについて第1の軌跡情報を算出する。ここで、第1の軌跡情報は、第1のLiDAR情報52aによって示される座標点及び向きを基準として描かれる軌跡を示す。
【0038】
S32は、第2の人物識別情報54b及び複数個の第2の人物位置情報56bが利用される点を除いて、S30と同様である。S32では、3DLiDAR200の計測範囲内に存在する1人以上の人物のそれぞれについて、当該人物が移動した軌跡を示す第2の軌跡情報が算出される。ここで、第2の軌跡情報は、第2のLiDAR情報52bによって示される座標点及び向きを基準として描かれる軌跡を示す。
【0039】
S34では、CPU32は、S30で算出された全ての第1の軌跡情報と、S32で算出された全ての第2の軌跡情報と、を比較する。CPU32は、全ての第1の軌跡情報の中から、全ての第2の軌跡情報のうちのいずれかと、同一の時間帯で類似の形状を示す第1の軌跡情報を特定する。ここで、「類似」とは、第1の軌跡情報によって示される形状のうちの少なくとも一部が第2の軌跡情報によって示される形状の一部と一致していることを意味する。ここで、「形状の一部」は、軌跡情報によって示される全時間帯の軌跡のうちの一部の時間帯を切り取った軌跡の形状であり、当該一部の時間帯は、所定の時間以上の長さの時間帯である。所定の時間は、例えば、30秒である。「形状の一部」は、第1の軌跡情報と第2の軌跡情報とで互いに同一の時間帯で切り取られる。同一の時間帯は、開始時刻と終了時刻が同じ時間帯である。
【0040】
例えば、
図6に示すように、第1の人物位置情報J1a~J3aを含む4個以上の人物位置情報56aは、時刻t1から時刻t3の時間帯において直線形状の軌跡T1を表す。一方、第2の人物位置情報J1b~J3bを含む4個以上の人物位置情報56bも、時刻t1から時刻t3の同一の時間帯において直線形状の軌跡T2を表す。このケースでは、軌跡T1を示す第1の軌跡情報が、軌跡T2を示す第2の軌跡情報と、同一の時間帯t1~t3で類似の直線形状を示す。第1の人物位置情報J1aとJ3aの間の長さは、第2の人物位置情報J1bとJ3bの間の長さと、同一である。なお、軌跡の形状は、
図6に示すような直線形状に限らず、例えば、曲線形状、折れ線形状等であってもよい。
【0041】
3DLiDAR100と3DLiDAR200との重複範囲では、同じ人物が計測され、当該同じ人物は、同じ軌跡で移動しているはずである。
図6のケースにおいて、軌跡T1で移動する人物は、軌跡T1と同一時間帯、かつ、類似の形状である軌跡T2で移動する人物と同一である。
【0042】
CPU32は、全ての第1の軌跡情報のうちの第1の対象軌跡情報が、全ての第2の軌跡情報のうちの第2の対象軌跡情報と同一時間帯で類似の形状を示す場合(S34でYES)に、S36に進む。一方、CPU32は、同一の時間帯で類似の形状の軌跡情報が一つも存在しない場合(S34でNO)に、
図4のS10及びS20の監視に戻る。
【0043】
S36では、CPU32は、第1の対象軌跡情報によって示される軌跡と、第2の対象軌跡情報によって示される軌跡と、を合わせる。例えば、
図7は、
図6のケースにおいて、第1の対象軌跡情報によって示される軌跡T1と、第2の対象軌跡情報によって示される軌跡T2と、を合わせる具体例である。同一の時間帯t1~t3において軌跡T1と軌跡T2を合わせることにより、第1の人物位置情報J1a~J3aと、第2の人物位置情報J1b~J3bと、が合わさる。
【0044】
軌跡T1と軌跡T2を合わせる具体的は方法の一例は、以下の通りである。最初に、CPU32は、軌跡T1と軌跡T2との間の内角A0を算出する。例えば、軌跡T1及び軌跡T2が直線形状であれば、直線と直線の間の内角A0が算出される。また、例えば、軌跡T1及び軌跡T2が曲線形状であれば、軌跡T1の概要を示す直線(例えば回帰直線)と軌跡T2の概要を示す直線の間の内角A0が算出される。
【0045】
続いて、
図7に示すように、CPU32は、第2のLiDAR情報52bによって示されるLiDAR200の向きを内角A0だけ回転させる。ここで、回転の方向は、軌跡T1を示す直線と軌跡T2を示す直線が平行となるような方向である。また、回転において、第1のLiDAR情報52aによって示されるLiDAR100の位置と、第2のLiDAR情報52bによって示されるLiDAR200の位置と、は固定されている。
【0046】
続いて、CPU32は、軌跡T1を固定した状態において、時刻t1における第1の人物位置情報J1aに、時刻t1における第2の人物位置情報J1bを合わせるように、第2の人物位置情報J1bによって示される位置を移動させる。CPU32は、時刻t1における第1の人物位置情報J1aに対して時刻t1における第2の人物位置情報J1bが平行移動した距離を算出する。なお、上記では、時刻t1における2個の人物位置情報を合わせたが、これに限らず、例えば、時刻t2又は時刻t3における2個の人物位置情報を合わせでもよいし、時刻t1~t3における全ての人物位置情報を合わせてもよい。
【0047】
続けて、CPU32は、第2のLiDAR情報52bによって示されるLiDAR200の向きを内角A0だけ回転させるとともに、第2のLiDAR情報52bによって示されるLiDAR200の位置を上記の平行移動した距離だけ移動させる。これにより、
図8に示すように、移動後の第2のLiDAR情報52bが算出される。移動後の第2のLiDAR情報52bは、LiDAR100を基準とした、LiDAR200の実際の位置を示す。
【0048】
S38では、CPU32は、固定されている第1のLiDAR情報52aによって示される位置と移動後の第2のLiDAR情報52bによって示される位置との間の相対的な位置関係である相対位置関係R1を算出する。相対位置関係R1は、固定されている第1のLiDAR情報52aによって示される座標点と、移動後の第2のLiDAR情報52bによって示される座標点と、の間の差分である。さらに、CPU32は、固定されている第1のLiDAR情報52aによって示される向きと移動後の第2のLiDAR情報52bによって示される向きとの傾きである相対角度A1を算出する。
【0049】
S40では、CPU32は、S40で算出された相対位置関係R1と相対角度A1を利用して、S16で算出された全ての第2の人物位置情報56bのうち、第2の対象軌跡情報を構成する人物位置情報56b以外の残りの第2の人物位置情報56bを補正する。例えば、CPU32は、第1のLiDAR情報52aによって示される座標点と向きに相対位置関係R1と相対角度A1を加算して3DLiDAR200の実際の位置及び向きを示す実際のLiDAR情報を算出する。CPU32は、第2のLiDAR情報52bによって示される座標系を実際のLiDAR情報によって示される座標系に変換するための座標変換の行列を算出する。そして、CPU32は、第2の対象軌跡情報を構成する人物位置情報56b以外の残りの第2の人物位置情報56bのそれぞれについて、当該人物位置情報56bと算出済みの座標変換の行列との積を算出して、残りの第2の人物位置情報56bのそれぞれを補正する。補正後の第2の人物位置情報56bを利用することにより、
図4のS24において正確な分析を実行することができる。S40が終了すると、
図5の処理を終了する。
【0050】
(本実施例の効果)
3DLiDAR100と3DLiDAR200の重複範囲において同じ人物が計測される状況において、発明者は、3DLiDAR100から見た人物の軌跡T1の形状は、同じ時間帯において、3DLiDAR200から見た人物の軌跡T2の形状と類似する点に着目した(
図6)。軌跡T1と軌跡T2を合わせれば、3DLiDAR100に対する3DLiDAR200の相対位置関係R1及び相対角度A1を算出することができる。相対位置関係R1及び相対角度A1を利用すれば、第2のLiDAR情報52bが不正確でも、3DLiDAR200の計測範囲内を移動する人物の位置を正確に算出することができる(
図5のS40)。また、重複範囲内で別々の人物として計測されていた人物が、軌跡と軌跡の合わせにより、1人の人物として認識される。この結果、3DLiDAR100の計測範囲及び200の計測範囲を合わせた範囲内を移動する人物の人数を正確に分析することができる。以上より、2個の3DLiDAR100及び200を利用する位置分析システム2において、広範囲な空間内を移動する人物の位置を分析することができる。
【0051】
(対応関係)
位置分析システム2、3DLiDAR100、3DLiDAR200、端末装置10、表示部12が、それぞれ、「位置分析システム」、「第1の距離計測装置」、「第2の距離計測装置」、「分析装置」、「表示部」の一例である。レーザ光源120、通信I/F116が、それぞれ、「レーザ光源」、「送信部」の一例である。第1のLiDAR情報52a、第2のLiDAR情報52bが、それぞれ、「第1の基準情報」、「第2の基準情報」の一例である。
図6の軌跡T1を示す軌跡情報、軌跡T2を示す軌跡情報が、それぞれ、「第1の軌跡情報」、「第2の軌跡情報」の一例である。複数個の第1の人物位置情報56a、複数個の第2の人物位置情報56bが、それぞれ、「第1の物体位置情報」、「第2の物体位置情報」の一例である。相対位置関係R1及び相対角度A1が、「第1の相対情報」の一例である。
【0052】
図4のS10が、「第1の受信部」及び「第2の受信部」によって実現される処理の一例である。
図5のS30、S32が、それぞれ、「第1の軌跡算出部」、「第2の軌跡算出部」によって実現される処理の一例である。S38が、「第1の情報算出部」によって実現される処理の一例である。
図4のS16、
図5のS40が、それぞれ、「第1の位置算出部」、「第2の位置算出部」によって実現される処理の一例である。
【0053】
(第2実施例)
(位置分析システム2の構成;
図9)
本実施例の位置分析システム2は、2個の3DLiDAR100及び200に加えて、3DLiDAR300を備える。
図9に示すように、3DLiDAR300の計測範囲は、3DLiDAR200の計測範囲と重複し、3DLiDAR100の計測範囲と重複しない。本実施例における所定の領域は、第1実施例における所定の領域より広い範囲を有する。本実施例の位置分析システム2は、第1実施例の位置分析システム2よりも広い範囲を計測することができる。
【0054】
(所定の領域内を移動する人物の分析;
図9)
本実施例の端末装置10は、2個の3DLiDAR100及び200のそれぞれから受信するデータに加えて、3DLiDAR300から受信するデータも分析する。Y1では、端末装置10のCPU32は、分析処理の開始の指示を受けると、第1の人物位置情報56aと第2の人物位置情報56bと、を利用して、
図5の分析処理を実行する。
図9のケースでは、3DLiDAR100の計測範囲と3DLiDAR200の計測範囲とが重複する。両者の重複範囲において移動する人物4cについて、
図6の例で示すように、同一時間帯において類似の形状を有する一対の軌跡(例えばT1とT2)が存在する(
図5のS34でYES)。この結果、Y2において、CPU32は、一対の軌跡を合わせて相対位置関係R1及び相対角度A1を算出し、第2の人物位置情報56bを補正する(S40)。
【0055】
続くY3では、CPU32は、第1の人物位置情報56aと第3の人物位置情報56cとを利用して、
図5の分析処理を実行する。第3の人物位置情報56cは、3DLiDAR300から受信したデータと、第3のLiDAR情報52cを利用して、
図4のS16で算出される情報である。第3のLiDAR情報52cは、所定の領域内における3DLiDAR300の位置及び向きを示し、ユーザによって端末装置10に入力される。
【0056】
図9のケースでは、3DLiDAR100の計測範囲と3DLiDAR300の計測範囲は、重複しない。このため、CPU32は、同一時間帯において類似の形状を有する一対の軌跡が存在しないと判断する(
図5のS34でNO)。
【0057】
続くY4では、CPU32は、第2の人物位置情報56bと第3の人物位置情報56cとを利用して、
図5の分析処理を実行する。
図9のケースでは、3DLiDAR200の計測範囲と3DLiDAR300の計測範囲が重複する。両者の重複範囲において移動する人物4bについて、Y1の場合と同様に、同一時間帯において類似の形状を有する一対の軌跡(図示省略)が存在する(
図5のS34でYES)。Y5において、CPU32は、一対の軌跡を合わせて、3DLiDAR200に対する3DLiDAR300の相対位置関係R2と、3DLiDAR200に対する3DLiDAR300の相対角度A2と、を算出する(S38)。また、3DLiDAR100及び200における一対の軌跡を合わせることにより、3DLiDAR200の実際の位置及び向きを示す実際のLiDAR情報を算出することができる。さらに、3DLiDAR200及び300における一対の軌跡を合わせることにより、3DLiDAR300の実際の位置及び向きを算出することができる(S36参照)。
【0058】
Y6では、CPU32は、相対位置関係R2と相対角度A2から座標変換の行列を算出して、第3の人物位置情報56cを補正する(S40)。
【0059】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、2個の3DLiDAR100及び200を利用する第1実施例よりも広い範囲を有する空間を分析することができる。特に、第3のLiDAR情報52cが不正確でも、第1のLiDAR情報52aと、相対位置関係R1と、相対角度A1と、相対位置関係R2と、相対角度A2と、を利用して、3DLiDAR300の計測範囲内を移動する人物の位置も正確に算出することができる。
【0060】
(対応関係)
3DLiDAR300、第3のLiDAR情報52cが、それぞれ、「第3の距離計測装置」、「第3の基準情報」の一例である。人物4bについて第2の人物位置情報56bを利用して算出された軌跡情報、人物4bについて第3の人物位置情報56cを利用して算出された軌跡情報が、それぞれ、「第4の軌跡情報」、「第3の軌跡情報」の一例である。相対位置関係R2及び相対角度A2が、「第2の相対情報」の一例である。第3の人物位置情報56cが、「第3の物体位置情報」の一例である。
【0061】
図4のS10が、「第3の受信部」によって実現される処理の一例である。
図9のY4、Y5、Y6が、それぞれ、「第3の軌跡算出部」、「第2の情報算出部」、「第3の位置算出部」によって実現される処理の一例である。
【0062】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0063】
(変形例1) 位置分析システム2は、人物に限らず、動物、自動車等の他の物体の位置を分析するシステムであってもよい。本変形例では、上記の他の物体が、「物体」の一例である。
【0064】
(変形例2) 「距離計測装置」は、3DLiDAR100に限らず、いわゆる2DLiDARであってもよい。
【0065】
(変形例3) 3DLiDAR100は、全方位に限らず、全方位の一部の範囲にレーザを走査してもよい。本変形利では、全方位の一部の範囲が、「前記距離計測装置の周囲」の一例である。
【0066】
(変形例4) 第1実施例において
図5のS38及びS40の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、例えば、
図4のS24において、CPU32は、移動後のLiDAR情報52bによって示されるLiDAR200の実際の位置を表示部12に表示させてもよい。本変形例では、「第2の位置情報算出部」を省略可能であり、移動後のLiDAR情報52bが、「第1の相対情報」の一例である。
【0067】
(変形例5) 第2実施例においてY2、Y5及びY6の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、例えば、CPU32は、3DLiDAR100及び200において実行されるS36の処理において、3DLiDAR200の実際の位置及び向きを算出し、3DLiDAR200及び300において実行されるS36の処理において、3DLiDAR300の実際の位置及び向きを算出してもよい。そして、CPU32は、3DLiDAR200の実際の位置及び向き、並びに、3DLiDAR300の実際の位置及び向きを、表示部12に表示させてもよい。本変形例では、「第2の位置情報算出部」及び「第3の位置情報算出部」を省略可能であり、3DLiDAR300の実際の位置及び向きが、「第2の相対情報」の一例である。
【0068】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0069】
2 :位置分析システム
4a、4b、4c :人物
10 :端末装置
12 :表示部
14 :操作部
16 :通信I/F
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :OSプログラム
42 :分析アプリ
50 :図面情報
52a :第1のLiDAR情報
52b :第2のLiDAR情報
52c :第3のLiDAR情報
54a :第1の人物識別情報
54b :第2の人物識別情報
56a :第1の人物位置情報
56b :第2の人物位置情報
56c :第3の人物位置情報
116 :通信I/F
120 :レーザ光源
J1a~J3c:第1の人物位置情報
J1b~J3b:第2の人物位置情報
L1、L2 :距離
T1、T2 :軌跡
R1、R2 :相対位置関係
A1、A2 :相対角度
t1~t3 :時刻