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特開2024-66851移載システム、移載システムの制御方法および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066851
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】移載システム、移載システムの制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/02 20060101AFI20240509BHJP
   B65G 47/29 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
B65G47/29 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176599
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】味生 淳
(72)【発明者】
【氏名】楠部 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】上田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】森川 雅司
【テーマコード(参考)】
3F030
3F081
【Fターム(参考)】
3F030BA01
3F030BA02
3F030DA01
3F030DB03
3F030FA01
3F081BA03
3F081BC11
3F081BD16
3F081BD22
3F081BF04
3F081BF06
(57)【要約】
【課題】移載システムの移載効率を向上させる。
【解決手段】移載システム(1)は、第1カメラ(13a)からの画像データに基づいて移載部(12)を制御し、前記画像データの画像処理が完了する前に第2容器(18)から第1容器(17)側へピッキングヘッド(12a)の移動を開始させる先行移動制御を行う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で第1方向へ第1移載位置と第2移載位置とが並ぶ移載位置の上方に設置され、前記第1移載位置を撮像する撮像部と、
前記第1および第2移載位置間を移動可能に構成され、前記撮像部によって前記第1移載位置が撮像された後に該第1移載位置の上方へ移動する物品保持部を有する移載部と、
前記撮像部からの画像データに基づいて前記移載部を制御し、前記第1および第2移載位置間で物品を移載する制御部であって、前記画像データの画像処理が完了する前に前記第2移載位置から前記第1移載位置側へ前記物品保持部の移動を開始させる先行移動制御を行う制御部と、
を含む移載システム。
【請求項2】
前記先行移動制御の開始後、前記第1方向において前記第1移載位置よりも前記第2移載位置側に設定される基準位置に前記物品保持部が到達するまでの間に前記画像処理が完了しない場合、前記制御部は、前記先行移動制御を終了し、前記物品保持部を前記基準位置で停止させる請求項1に記載の移載システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記先行移動制御を終了した後に前記画像処理が完了した場合、前記画像処理の結果に基づいた前記移載部の制御を開始する請求項2に記載の移載システム。
【請求項4】
前記先行移動制御の開始後、前記第1方向において前記第1移載位置よりも前記第2移載位置側に設定される基準位置に前記物品保持部が到達するまでの間に前記画像処理が完了した場合、前記制御部は、前記先行移動制御から前記画像処理の結果に基づいた前記移載部の制御へ切り替える請求項1に記載の移載システム。
【請求項5】
前記基準位置は、平面視で前記第1および第2移載位置との間に設定される請求項2から4のいずれか1項に記載の移載システム。
【請求項6】
前記第1移載位置に対して前記物品を収容可能な容器の搬入および搬出を行う搬送部をさらに含み、
前記基準位置は、前記物品保持部または該物品保持部に保持される前記物品が、前記容器に接触しない高さ位置に設定される、請求項2から4のいずれか1項に記載の移載システム。
【請求項7】
前記基準位置は、前記第1方向と平行であり、かつ平面視で前記容器の中心を通る仮想直線上に設定される請求項6に記載の移載システム。
【請求項8】
前記移載部は、前記物品保持部を昇降させると共に、前記第1方向および平面視で該第1方向と直交する第2方向へ前記物品保持部を移動させる駆動部をさらに有する請求項1から4のいずれか1項に記載の移載システム。
【請求項9】
前記第1移載位置に対して前記物品を収容可能な容器の搬入および搬出を行う搬送部をさらに含み、
前記制御部は、前記容器を撮像した前記画像データの画像処理が完了する前に前記先行移動制御を行う請求項1から4のいずれか1項に記載の移載システム。
【請求項10】
平面視で第1方向へ第1移載位置と第2移載位置とが並ぶ移載位置の上方に設置される撮像部によって前記第1移載位置を撮像する撮像ステップと、
前記撮像部からの画像データに基づいて、前記第1および第2移載位置間を移動可能に構成される物品保持部を制御し、前記第1移載位置を撮像した後に前記物品保持部を前記
第1移載位置の上方へ移動させる移動ステップと、
前記画像データの画像処理が完了する前に前記第2移載位置から前記第1移載位置側へ前記物品保持部の移動を開始させる先行移動ステップと、
を含む移載システムの制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の移載システムの制御方法における前記撮像ステップ、前記移動ステップ、および前記先行移動ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流における物品の移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流倉庫等においては、多種多量の物品を効率よく出荷先別に出荷容器へ選別仕分けするために、ロボットアーム等のピッキング装置(移載部)を備える移載システムが用いられている。この種の移載システムに関連して、例えば特許文献1には、カメラが撮像した画像データに基づいて物品の姿勢を検知し、ピッキング装置を制御する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-245283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の移載システムでは、物品を撮像した画像データの画像処理が完了した後に、画像処理の結果に基づいてロボットハンド(物品保持部)を前記物品側へ向けて移動させる制御が行われていた。このため、画像処理に遅延が生じた場合、物品側へのロボットハンドの移動開始が遅くなり、移載効率が低下するという課題があった。
【0005】
本発明の一態様は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであって、移載システムの移載効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る移載システムは、平面視で第1方向へ第1移載位置と第2移載位置とが並ぶ移載位置の上方に設置され、前記第1移載位置を撮像する撮像部と、前記第1および第2移載位置間を移動可能に構成され、前記撮像部によって前記第1移載位置が撮像された後に該第1移載位置の上方へ移動する物品保持部を有する移載部と、前記撮像部からの画像データに基づいて前記移載部を制御し、前記第1および第2移載位置間で物品を移載する制御部であって、前記画像データの画像処理が完了する前に前記第2移載位置から前記第1移載位置側へ前記物品保持部の移動を開始させる先行移動制御を行う制御部と、を含む。
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る移載システムの制御方法は、平面視で第1方向へ第1移載位置と第2移載位置とが並ぶ移載位置の上方に設置される撮像部によって前記第1移載位置を撮像する撮像ステップと、前記撮像部からの画像データに基づいて、前記第1および第2移載位置間を移動可能に構成される物品保持部を制御し、前記第1移載位置を撮像した後に前記物品保持部を前記第1移載位置の上方へ移動させる移動ステップと、前記画像データの画像処理が完了する前に前記第2移載位置から前記第1移載位置側へ前記物品保持部の移動を開始させる先行移動ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、移載システムの移載効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る移載システムの概要を示す斜視図である。
図2】前記移載システムの概要を示す平面図である。
図3】前記移載システムの概要を示す機能ブロック図である。
図4】前記移載システムが実行する先行移動制御の流れを例示するフローチャートである。
図5図4に示される第1ステップの動作例を示す模式図である。
図6図4に示される第2ステップの動作例を示す模式図である。
図7図4に示される第4ステップの動作例を示す模式図である。
図8図7に示される基準位置を説明するための模式図である。
図9図4に示される第4ステップの他の動作例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図1図9を参照して説明する。以下の説明では、第1容器から第2容器へ物品を移載する移載システムの構成例を説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る移載システムの一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0011】
〔移載システムの概要〕
まず、図1および図2を参照して移載システム1の概要について説明する。図1は、本実施形態の移載システム1の概要を示す斜視図である。図2は、移載システム1の概要を示す平面図である。移載システム1は、物流倉庫等において物品2の移載を行うものである。図1および図2に示すように、本実施形態の移載システム1は、搬送部11、移載部12、カメラ部13、支持フレーム14、制御部15、および端末部16を含む。
【0012】
(搬送部)
搬送部11は、物品2を収容する第1容器17および第2容器18をY方向(前後方向、第2方向)へ搬送するものである。具体的には、搬送部11は、Z方向下側に設けられた搬入用コンベア11a・11bと、Z方向上側に設けられた搬出用コンベア11c・11dとを含む。搬入用コンベア11a・11bによって第1容器17および第2容器18がY方向前側にそれぞれ搬送される。また、搬出用コンベア11c・11dによって第1容器17および第2容器18がY方向後側にそれぞれ搬送される。
【0013】
さらに、搬送部11は、移動機構11eおよび筐体11fを含む。移動機構11eは、搬入用コンベア11aからの第1容器17をピック側移載位置(第1移載位置、第2移載位置)P1に順次移動させると共に、搬入用コンベア11bからの第2容器18をプレース側移載位置(第1移載位置、第2移載位置)P2に順次移動させる。また、移動機構11eは、ピック側移載位置P1に配置された第1容器17を搬出用コンベア11cに順次移動させると共に、プレース側移載位置P2に配置された第2容器18を搬出用コンベア11dに順次移動させる。筐体11fは、移動機構11eを収容する。
【0014】
(移載部)
移載部12は、搬送部11のY方向前端側(一端側)に設置され、ピック側移載位置P1に配置された第1容器17に収容された物品2を保持して、プレース側移載位置P2に配置された第2容器18へ移載するものである。移載部12は、搬送部11の移動機構11eおよび筐体11fのZ方向上側に、架台等(図示せず)によって設置される。
【0015】
移載部12は、物品2を保持するピッキングヘッド(物品保持部)12aと、該ピッキングヘッド12aをZ方向へ昇降させると共に、平面視においてピッキングヘッド12aをX方向およびY方向の2方向へ移動させる駆動部12bとを含む。ピッキングヘッド12aは、例えば、物品2を吸着する1つまたは複数の吸着パッド等から構成される。ピッキングヘッド12aは、第1容器17に収容される物品2に対して上方から吸着し、物品
2を吊った状態で保持する。
【0016】
駆動部12bは、固定レール12c、第1可動レール12d、第2可動レール12e、および支持アーム12fを含む。固定レール12cは、X方向に沿って設置される。第1可動レール12dは、Z方向に沿って設置され、固定レール12cに沿ってX方向に往復移動する。第2可動レール12eは、Y方向に沿って設置され、第1可動レール12dに沿ってZ方向に往復移動する。
【0017】
支持アーム12fは、Z方向に沿って設置され、第2可動レール12eに沿ってY方向に往復移動する。また、支持アーム12fは、Z方向下側にピッキングヘッド12aが取り付けられている。これにより、移載部12は、駆動部12bの動作を制御することにより、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させることができる。
【0018】
移載部12は、例えば6軸ロボット等の移載ユニットに比べて、構造がシンプルであり、多列のコンベアレイアウトにも適応し易い。このため、移載部12を用いることにより、移載システム1のレイアウト設計の自由度が向上する。
【0019】
(カメラ部)
カメラ部(撮像部)13は、移載部12の上方に配置され、物品2を撮像して撮像画像を作成するものである。カメラ部13は、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bを含む。第1カメラ13aは、ピック側移載位置P1に配置された第1容器17を撮像することにより、第1容器17に収容された1または複数の物品2を撮像する。第2カメラ13bは、プレース側移載位置P2に配置された第2容器18を撮像することにより、第2容器18に収容された1または複数の物品2を撮像する。なお、カメラ部13は、ライト等を含めてもよく、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、各々ライト等により所定の照度で照らした状態で、物品2を撮像してもよい。
【0020】
(支持フレーム)
支持フレーム14は、カメラ部13を支持する枠体である。支持フレーム14は、平面視で移載部12に対しY方向と直交するX方向(左右方向、第1方向)に隣接してそれぞれ設置される支持部14a・14aと、支持部14a・14a間に架設される梁部材14b・14bとを含む。Y方向前側の梁部材14bの適所には、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bが設置される。なお、梁部材14bは、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0021】
支持部14a・14aのそれぞれは、2本の柱部材14c・14d、桁部材14e、および補強部材14fを含む。柱部材14c・14dは、Y方向に配列され、固定部材14g・14hにより、移載システム1の設置場所に固定される。桁部材14eおよび補強部材14fは、柱部材14c・14d間に架設される。
【0022】
なお、梁部材14b・14bは、桁部材14e上に設置されてもよいし、柱部材14c・14dに設置されてもよい。また、補強部材14fは、2本以上であってもよいし、省略してもよい。また、支持部14a・14aのそれぞれが4本以上の柱部材によって立設されている場合、梁部材14b・14bを省略してもよい。この場合、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、支持部14a・14aの適所にそれぞれ設置すればよい。
【0023】
(制御部および端末部)
制御部15は、移載システム1における各部を制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして
、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行わ
れる。なお、制御部15の詳細は後述する。
【0024】
端末部16は、移載システム1に対する操作を作業者S(図2)が行うためのものである。端末部16は、キーボード、タッチパネル、ジョイスティック等の入力部16aと、所定の情報を表示する表示部16bとを有している。これらの制御部15および端末部16は、移載システム1の制御機器の一例であり、後述の前ガード部24の外側であって、かつ作業エリア25に対し移載部12が設けられている側とは反対側(Y方向前側)に設置されている。
【0025】
具体的には、制御部15は、図示しない電気配線を各々介して搬送部11、移載部12、カメラ部13、および端末部16に接続されている。制御部15は、搬送部11および移載部12から各々動作状態等の所定の情報を取得するとともに、搬送部11および移載部12への指示信号等の所定の指令信号を各々出力する。制御部15は、カメラ部13の第1カメラ13aおよび第2カメラ13bに対して、オン・オフ信号等の所定の指示信号を各々出力するとともに、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bから各々撮像データを取得する。制御部15は、端末部16から作業者Sの操作に応じた指示信号等を受信するとともに、搬送部11、移載部12、およびカメラ部13から取得した情報を端末部16に送信する。
【0026】
(ガード)
本実施形態の移載システム1では、移載部12は、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させる動作を行う。このため、図1および図2に示すように、移載部12の周囲には、安全性の観点から、作業者S等が移載部12と接触する可能性を大幅に低減するためのガードが設けられている。具体的には、本実施形態では、ガードとして、前記制御機器側からY方向後方に向かって、横ガード部21と、前ガード部24と、後ガード部41とが順次設けられている。
【0027】
(横ガード部)
図1および図2に示すように、支持部14a・14aのそれぞれは、移載部12とそのX方向の外部とを仕切る横ガード部21を含む。横ガード部21は、透明板22と透明板22を保持する枠部材23とを含む。これにより、作業者Sを含む人がX方向から進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。
【0028】
さらに、支持部14a・14aのそれぞれに横ガード部21が設けられているので、移載部12とそのX方向の外部とを仕切るガード部を、支持部14a・14aのX方向外側に新たに設ける必要が無い。その結果、移載システム1の省スペース化を図ることができる。
【0029】
ところで、2つの支持部14a・14aは、移載部12に対し、X方向に隣接して設置されているから、移載部12のZ方向下側に位置する搬送部11の筐体11fとも隣接している。そこで、本実施形態では、支持部14aの下部の領域、すなわち、筐体11fと対向する領域では、横ガード部21が省略されている。これにより、横ガード部21を設ける領域を減らすことができる。一方、作業者Sが支持部14aの下部から進入して移載部12と接触することは、筐体11fによって防止できる。すなわち、支持部14aの下部の領域は、筐体11fが移載部12とそのX方向の外部との仕切となる。
【0030】
(前ガード部)
図1および図2に示すように、移載システム1において、平面視で移載部12に対して搬送部11とは反対側に設定される作業エリア25と、その外部とを仕切るように前ガー
ド部24が設けられている。前ガード部24は、2つの支持部14a・14aと接続されている。
【0031】
作業エリア25は、作業者Sが物品2を保持して移載する手作業移載を行うためのスペースである。つまり、本実施形態の移載システム1は、移載部12が物品2を保持して自動的に移載する自動移載と、作業者Sが作業エリア25内に入って物品2を保持して移載する手作業移載との両方を実行可能となっている。また、前ガード部24は、作業エリア25の周囲に作業エリア25に隣接して設けられている。
【0032】
具体的には、前ガード部24は、複数の固定式ガード部26と可動式ガード部27とを連結して含む。固定式ガード部26は、透明板31と該透明板31を保持する枠部材32とを含む。枠部材32のZ方向下側の隅部は、固定部材26aにより、移載システム1の設置場所に固定される。また、Y方向後側の固定式ガード部26・26は、支持部14a・14aのY方向前側にそれぞれ連結している。
【0033】
可動式ガード部27は、作業エリア25への作業者Sの出入口扉を構成するものであり、固定用枠部材33と、固定用枠部材33内に設けられる可動部材34とを含む。固定用枠部材33のZ方向下側の隅部は、固定部材33aにより、移載システム1の設置場所に固定される。可動部材34は、固定用枠部材33に対しヒンジ部材(図示せず)等を介して回動可能に設けられている。可動部材34は、透明板35と、該透明板35を保持する枠部材36とを含む。
【0034】
以上により、作業者Sを含む人が作業エリア25に不用意に進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。また、前ガード部24が作業エリア25に隣接して設けられているので、前ガード部24を設けることによる移載システム1の設置空間の増大を抑制することができる。
【0035】
なお、移載システム1が自動移載のみ実行可能である場合、作業エリア25は、移載部12を監視者が監視するための監視エリアとして設定されてもよい。或いは、作業エリア25は省略されてもよい。このとき、前ガード部24は、移載部12のY方向前側に、移載部12と隣接して設ければよい。
【0036】
(後ガード部)
図1および図2に示すように、移載システム1には、搬送部11のY方向前端に対し、X方向に隣接し、かつ、前記前端とそのX方向の外部とを仕切る後ガード部41・41が設けられている。後ガード部41は、透明板42と、透明板42を保持する枠部材43とを含む。後ガード部41・41のY方向前側は、支持部14a・14aのY方向後側にそれぞれ連結(接続)している。また、枠部材43のZ方向下側の隅部は、固定部材43aにより、移載システム1の設置場所に固定される。さらに、後ガード部41・41の間には補強部材44・45が設けられている。
【0037】
これにより、作業者Sを含む人が搬送部11から進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。また、後ガード部41が搬送部11に隣接して設けられているので、後ガード部41を設けることによる移載システム1の設置空間の増大を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の前ガード部24、横ガード部21、および後ガード部41では、透明板22・31・35・42を実質的なガードとして設けている。これにより、本実施形態では、移載システム1の作業者Sは、監視者として移載システム1の外部から搬送部11および移載部12を監視することができる。なお、透明板22・31・35・42の代
わりに、柵、網、その他の形状のガードを用いてもよい。
【0039】
〔移載システム1の制御ブロック〕
図3は、本実施形態の移載システム1の概要を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御部15は、画像取得部15a、画像処理部15b、および駆動制御部15cを含む。
【0040】
画像取得部15aは、カメラ部13が撮像した画像データを取得する。具体的には、画像取得部15aは、第1カメラ13aが撮像した第1容器17の画像データを取得する。また、画像取得部15aは、第2カメラ13bが撮像した第2容器18の画像データを取得する。画像取得部15aは、取得した画像データを画像処理部15bに送出する。
【0041】
画像処理部15bは、画像データに対し画像処理を行って、物品2を移載するための移載データを取得する。画像処理部15bは、取得したデータを駆動制御部15cに送出する。
【0042】
例えば、画像処理部15bは、前記画像データに対し画像処理を行って、第1容器17および第2容器18に収容された物品2の画像を抽出し、該物品2のX方向およびY方向の位置(以下、「XY座標」と称する。)を特定する。なお、前記画像処理は公知であるので、その説明を省略する。次に、画像処理部15bは、第1容器17の画像データから特定したXY座標に基づき、第1容器17における移載すべき物品2のXY座標を特定する。また、画像処理部15bは、第2容器18の画像データから特定したXY座標に基づき、物品2を第2容器18に載置する位置のXY座標を特定する。そして、画像処理部15bは、画像処理の結果として、移載すべき物品2のXY座標のデータ、および前記載置する位置のXY座標のデータを駆動制御部15cに順次送出する。
【0043】
駆動制御部15cは、画像処理部15bから取得した画像処理の結果に基づいて、移載部12を制御する。また、駆動制御部15cは、画像処理部15bから画像処理の結果を取得する前、つまり画像処理部15bによる画像処理が完了する前に、ピッキングヘッド12aを第1容器17側へ先行移動させる先行移動制御を行う。なお、先行移動制御の詳細については後述する。
【0044】
〔移載システム1の制御〕
次に、図4図9を参照して、移載システム1の制御について説明する。制御部15は、カメラ部13が撮像した画像データの画像処理の結果に基づいてピッキングヘッド12aを第1容器17および第2容器18の間で往復移動させて、第1容器17内の物品2を第2容器18へ移載する移載動作の制御を行う。
【0045】
ここで、従来の移載システムでは、カメラ部13が撮像した画像データの画像処理が完了した後に、画像処理の結果に基づいてロボットハンド等の物品保持部を第2容器18から第1容器17側へ向けて移動させる制御が行われていた。このため、画像処理に遅延が生じた場合、第1容器17側への物品保持部の移動開始が遅くなり、移載効率が低下するという課題があった。
【0046】
例えば、移載動作中に第1容器17の入れ替えを行う場合、ピッキングヘッド12aによって物品2が取り出された第1容器17をピック側移載位置P1から搬出し、次の第1容器17がピック側移載位置P1に搬入された後に、第1容器17の撮像が行われる。このため、第1容器17の入れ替えを行う場合、第1容器17の入れ替えに要する時間だけ撮像タイミングが遅くなり、画像処理に遅延が生じ易くなる。
【0047】
そこで、制御部15は、第1容器17の画像データの画像処理が完了する前に第2容器18から第1容器17側へ向けてピッキングヘッド12aの移動を開始させる先行移動制御を行う。これにより、画像処理の完了を待たずにピッキングヘッド12aを第1容器17側へ移動させることができるため、移載システム1の移載効率を従来よりも向上させることができる。
【0048】
図4は、移載システム1が実行する先行移動制御の流れを例示するフローチャートである。図4に示すように、第1容器17内の物品2を第2容器18へ移載する移載動作において、駆動制御部15cは、第1カメラ13aを制御して、第1容器17を撮像する(第1ステップS1:撮像ステップ)。図5は、図4に示される第1ステップS1の動作例を示す模式図である。図5に示すように、駆動制御部15cは、ピッキングヘッド12aによって第1容器17から物品2が取り出された後、第1カメラ13aを制御して第1容器17を撮像する。第1カメラ13aは、例えば、物品2を保持したピッキングヘッド12aが、第1カメラ13aの第1撮像範囲R1の外側に設定された基準位置Bまで移動した場合に、第1容器17を撮像する。これにより、ピッキングヘッド12aおよび駆動部12bの撮像データへの映り込みを回避することができる。第1カメラ13aが撮像した第1容器17の画像データは、画像取得部15aを介して画像処理部15bに送出され、画像処理部15bによって画像処理が行われる。なお、基準位置Bの詳細は後述する。
【0049】
次に、駆動制御部15cは、駆動部12bを制御して、第2容器18に物品2を載置する(第2ステップS2)。図6は、図4に示される第2ステップS2の動作例を示す模式図である。図6に示すように、駆動部12bは、第2容器18の画像データから画像処理部15bによって特定された前記載置する位置のXY座標上でピッキングヘッド12aを停止させ、ピッキングヘッド12aを下降させる。そして、ピッキングヘッド12aが第2容器18の底面付近に到達すると、駆動部12bは、下降を停止して、ピッキングヘッド12aによる物品の吸着を終了する。これにより、物品2はピッキングヘッド12aから放れて、第2容器18内に載置される。
【0050】
次に、駆動制御部15cは、第1容器17の画像データの画像処理が完了したか否かを判定する(第3ステップS3)。第2容器18に物品2を載置した時点で画像処理が完了している場合(第3ステップS3でYes)、駆動制御部15cは、先行移動制御を行うことなく、画像処理の結果に基づいたピッキングヘッド12aの制御を開始する(第7ステップS7:移動ステップ)。例えば、駆動制御部15cは、前記画像処理の結果に基づいて駆動部12bを制御し、第1容器17における次に移載すべき物品2のXY座標の上方へピッキングヘッド12aを移動させる制御を開始する。
【0051】
一方、第2容器18に物品2を載置した時点で画像処理が完了していない場合(第3ステップS3でNo)、駆動制御部15cは、駆動部12bを制御して、第1容器17側へのピッキングヘッド12aの先行移動制御を開始する(第4ステップS4:先行移動ステップ)。図7は、図4に示される第4ステップS4の動作例を示す模式図である。図7に示すように、駆動部12bは、第2容器18内に物品2を載置した時点で画像処理が完了していない場合、第1容器17側へ近付く方向へピッキングヘッド12aを先行移動させる。図7の例では、駆動部12bは、第2容器18内において物品2の吸着を終了した下降位置から、ピック側移載位置P1とプレース側移載位置P2との間に設定された基準位置Bへ向かって斜め上方へピッキングヘッド12aを先行移動させる動作例を示す。このように、第2容器18に物品2を載置した後、画像処理が完了する前にピッキングヘッド12aの第1容器17側への先行移動を開始させることにより、第2容器18から第1容器17へのピッキングヘッド12aの移動時間を短縮することができる。
【0052】
図8は、図7に示される基準位置Bを説明するための模式図である。図8の8001は
、基準位置Bの一例を示す正面図であり、図8の8002は、図8の8001に示される基準位置Bを示す平面図である。なお、図8の8001では、便宜上、移載部12のうち固定レール12cのみを図示している。
【0053】
図8の8001に示すように、基準位置Bは、第1カメラ13aの第1撮像範囲R1および第2カメラ13bの第2撮像範囲R2の外側に設定される。これにより、例えばピッキングヘッド12aが基準位置Bに位置する際に第1カメラ13aまたは第2カメラ13bによって撮像を行った場合に、ピッキングヘッド12aおよび駆動部12bの撮像データへの映り込みを回避することが可能となる(図5)。
【0054】
また、基準位置Bは、ピッキングヘッド12aまたは該ピッキングヘッド12aに保持される物品2が、第1容器17および第2容器18に接触しない高さ位置に設定される。これにより、ピッキングヘッド12aが基準位置BからX方向へ移動する際に、ピッキングヘッド12aまたは物品2が第1容器17および第2容器18に接触することを回避することができる。
【0055】
図8の8002に示すように、基準位置Bは、平面視でピック側移載位置P1とプレース側移載位置P2との間に設定されてもよい。これにより、後述するように、画像処理が完了する前にピッキングヘッド12aを第1容器17へ近付けて、第1容器17の手前側で待機させる等の制御が可能となる。
【0056】
また、基準位置Bは、X方向と平行であり、かつ平面視で第1容器17の中心C1および第2容器18の中心C2を通る仮想直線L上に設定されてもよい。これにより、平面視で仮想直線Lに近づくように、つまり第1容器17の中心C1にピッキングヘッド12aを第1容器17側へ先行移動させることができる。
【0057】
なお、基準位置Bは、移載システム1の移載動作の開始前に予め設定されており、基準位置BのXYZ座標が制御部15のメモリ等に登録される。基準位置BのXYZ座標は、第1容器17および第2容器18の寸法、移載する物品2の種類等に応じて適宜変更可能である。
【0058】
次に、駆動制御部15cは、ピッキングヘッド12aの先行移動制御の開始後、第1容器17の画像データの画像処理が完了したか否かを判定する(第5ステップS5)。先行移動制御の開始後、ピッキングヘッド12aが基準位置Bに到達するまでの間に画像処理が完了しない場合(第5ステップS5でNo)、駆動制御部15cは、先行移動制御を終了し、ピッキングヘッド12aを基準位置Bで停止させる(第6ステップS6)。これにより、画像処理が完了する前にピッキングヘッド12aを第1容器17側へ移動させて、第2容器18から見て第1容器17の手前側に設定された基準位置Bで待機させることができる。ピッキングヘッド12aを基準位置Bで停止させた後、駆動制御部15cは、画像処理が完了したか否かの判定を継続して行う(第5ステップS5)。そして、ピッキングヘッド12aを基準位置Bで停止させた後、つまり先行移動制御を終了した後に画像処理が完了した場合(第5ステップS5でYes)、駆動制御部15cは、画像処理の結果に基づいたピッキングヘッド12aの制御を開始する(第7ステップS7)。これにより、基準位置Bで停止したピッキングヘッド12aの移動を自動的に再開させ、画像処理の結果に基づいてピッキングヘッド12aを動作させることができる。
【0059】
一方、先行移動制御の開始後、ピッキングヘッド12aが基準位置Bに到達するまでの間に画像処理が完了した場合(第5ステップS5でYes)、駆動制御部15cは、先行移動制御から画像処理の結果に基づいたピッキングヘッド12aの制御へ切り替える(第7ステップS7)。これにより、ピッキングヘッド12aを基準位置Bで停止させること
なく、画像処理の結果に基づいてピッキングヘッド12aを連続的に動作させることができる。
【0060】
このように、駆動制御部15cは、第1容器17の画像データの画像処理が完了する前に第2容器18から第1容器17側へ向けてピッキングヘッド12aの移動を開始させる先行移動制御を行う。このため、画像処理に遅延が生じた場合であっても、遅延に伴う移載効率の低下を低減し、従来よりも移載効率を向上させることができる。
【0061】
なお、図4に示すフローチャートにおいて、先行移動制御の開始(第4ステップS4)後に、第1容器17の撮像(第1ステップS1)が行われてもよい。この場合、駆動制御部15cは、例えば第3ステップS3の判定処理を省略し、第2容器18に物品2を載置(第2ステップS2)した後、直ちに先行移動制御を開始する(第4ステップS4)。
【0062】
上述のとおり、第1容器17の入れ替えを行う場合、搬送部11によって第1容器17の入れ替えが終わった後に第1容器17の撮像が行われる。このため、ピッキングヘッド12aが第2容器18に物品2を載置した時点で、第1容器17の撮像が未だ行われてない可能性がある。従って、特に第1容器17の入れ替えを行う場合に、画像処理の完了を待たずに第1容器17側へ向けてピッキングヘッド12aを先行移動させて第1容器17に近付けておくことで、画像処理の遅延に伴う移載効率の低下を効果的に低減することができる。
【0063】
また、図5に示すフローチャートでは、第2容器18から第1容器17へ向けて、つまりプレース側移載位置P2からピック側移載位置P1へ向けてピッキングヘッド12aを先行移動させる制御例を示した。ただし、ピック側移載位置P1からプレース側移載位置P2へ向けてピッキングヘッド12aを先行移動させる制御を行ってもよい。または、ピック側移載位置P1とプレース側移載位置P2との双方向間でピッキングヘッド12aを先行移動させる制御を行ってもよい。前記双方向間でピッキングヘッド12aを先行移動させる制御を行うことにより、移載システム1の移載効率をより向上させることができる。
【0064】
〔移載システム1の作用効果〕
以上のように、本実施形態の移載システム1は、平面視でX方向へピック側移載位置P1とプレース側移載位置P2とが並ぶ移載位置の上方に設置され、ピック側移載位置P1を撮像するカメラ部13と、ピック側移載位置P1およびプレース側移載位置P2との間を移動可能に構成され、カメラ部13によってピック側移載位置P1が撮像された後に該ピック側移載位置P1の上方へ移動するピッキングヘッド12aを有する移載部12と、カメラ部13からの画像データに基づいて移載部12を制御し、ピック側移載位置P1およびプレース側移載位置P2との間で物品2を移載する制御部15であって、画像データの画像処理が完了する前にプレース側移載位置P2からピック側移載位置P1側へ向けてピッキングヘッド12aの移動を開始させる先行移動制御を行う制御部15と、を含む。
【0065】
移載システム1によれば、ピック側移載位置P1を撮像した画像データの画像処理が完了する前にプレース側移載位置P2からピック側移載位置P1側へ向けてピッキングヘッド12aが先行移動を開始するため、移載効率を向上させることができる。
【0066】
(変形例)
図9は、図4に示される第4ステップS4の他の動作例を示す模式図である。図9に示すように、駆動部12bは、第2容器18内において物品2の吸着を終了した下降位置から基準位置Bの高さ位置までピッキングヘッド12aをZ方向上側に一旦上昇させた後、第1容器17側へのピッキングヘッド12aの先行移動を開始してもよい。
【0067】
例えば、第2容器18内において、第1容器17と隣接する側の第2容器18の側壁18aの近傍に物品2を載置した場合、下降位置から基準位置Bへ向かって斜め上方へピッキングヘッド12aを移動させると、ピッキングヘッド12aが側壁18aに接触する可能性がある。このような場合、下降位置から基準位置Bの高さ位置までピッキングヘッド12aを上昇させた後、第1容器17側へピッキングヘッド12aを先行移動させることで、前記接触を回避することができる。
【0068】
なお、ピッキングヘッド12aを上昇させた後に先行移動制御を開始する場合、ピッキングヘッド12aが基準位置Bの高さ位置まで上昇した時点で図4に示す第3ステップS3の判定処理を行ってもよい。
【0069】
また、物品2を第2容器18に載置する位置のX座標に応じて、下降位置からピッキングヘッド12aを移動させる方向を、斜め上方(図4)および上方(図9)のいずれかに切り換えてもよい。
【0070】
〔ソフトウェアによる実現例〕
移載システム1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部15に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0071】
この場合、前記装置は、前記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により前記プログラムを実行することにより、前記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0072】
前記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、前記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、前記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して前記装置に供給されてもよい。
【0073】
また、前記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、前記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより前記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0074】
また、前記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能
)に実行させてもよい。この場合、AIは前記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0075】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る移載システムは、平面視で第1方向へ第1移載位置と第2移載位置とが並ぶ移載位置の上方に設置され、前記第1移載位置を撮像する撮像部と、前記第1および第2移載位置間を移動可能に構成され、前記撮像部によって前記第1移載位置が撮像された後に該第1移載位置の上方へ移動する物品保持部を有する移載部と、前記撮像部からの画像データに基づいて前記移載部を制御し、前記第1および第2移載位置間で物品を移載する制御部であって、前記画像データの画像処理が完了する前に前記第2移載位置から前記第1移載位置側へ前記物品保持部の移動を開始させる先行移動制御を行う制御部
と、を含む。
【0076】
前記構成によれば、第1移載位置を撮像した画像データの画像処理が完了する前に第2移載位置から第1移載位置側へ物品保持部が先行移動を開始するため、物品保持部移載効率を向上させることができる。
【0077】
本発明の態様2に係る移載システムでは、前記態様1において、前記先行移動制御の開始後、前記第1方向において前記第1移載位置よりも前記第2移載位置側に設定される基準位置に前記物品保持部が到達するまでの間に前記画像処理が完了しない場合、前記制御部は、前記先行移動制御を終了し、前記物品保持部を前記基準位置で停止させてもよい。
【0078】
前記構成によれば、第1移載位置の手前側の基準位置で物品保持部を待機させることができる。
【0079】
本発明の態様3に係る移載システムでは、前記態様2において、前記制御部は、前記先行移動制御を終了した後に前記画像処理が完了した場合、前記画像処理の結果に基づいた前記移載部の制御を開始してもよい。
【0080】
前記構成によれば、物品保持部の移動を自動的に再開させ、画像処理の結果に基づいて物品保持部を動作させることができる。
【0081】
本発明の態様4に係る移載システムでは、前記態様1において、前記先行移動制御の開始後、前記第1方向において前記第1移載位置よりも前記第2移載位置側に設定される基準位置に前記物品保持部が到達するまでの間に前記画像処理が完了した場合、前記制御部は、前記先行移動制御から前記画像処理の結果に基づいた前記移載部の制御へ切り替えてもよい。
【0082】
前記構成によれば、物品保持部を基準位置で停止させることなく、画像処理の結果に基づいて物品保持部を連続的に動作させることができる。
【0083】
本発明の態様5に係る移載システムでは、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記基準位置は、平面視で前記第1および第2移載位置との間に設定されてもよい。
【0084】
前記構成によれば、第1移載位置にできるだけ近付けて物品保持部を待機させる等の制御が可能となる。
【0085】
本発明の態様6に係る移載システムでは、前記態様2から5のいずれかにおいて、前記第1移載位置に対して前記物品を収容可能な容器の搬入および搬出を行う搬送部をさらに含み、前記基準位置は、前記物品保持部または該物品保持部に保持される前記物品が、前記容器に接触しない高さ位置に設定されてもよい。
【0086】
前記構成によれば、基準位置から容器側へ物品保持部が移動する際に物品保持部または物品が容器に接触することを防ぐことができる。
【0087】
本発明の態様7に係る移載システムでは、前記態様6において、前記基準位置は、前記第1方向と平行であり、かつ平面視で前記容器の中心を通る仮想直線上に設定されてもよい。
【0088】
前記構成によれば、先行移動制御中、平面視で容器の中心を通る仮想直線に近づくように物品保持部を容器側へ移動させることができる。
【0089】
本発明の態様8に係る移載システムでは、前記態様1から7のいずれかにおいて、前記移載部は、前記物品保持部を昇降させると共に、前記第1方向および平面視で該第1方向と直交する第2方向へ前記物品保持部を移動させる駆動部をさらに有してもよい。
【0090】
物品保持部を3方向へ移動させる移載部は、従来の6軸ロボット等の移載部に比べて構造がシンプルであり、多列の搬送部のレイアウトにも適応することができる。従って、前記構成によれば、移載システムのレイアウト設計の自由度が向上する。
【0091】
本発明の態様9に係る移載システムでは、前記態様1から8のいずれかにおいて、前記第1移載位置に対して前記物品を収容可能な容器の搬入および搬出を行う搬送部をさらに含み、前記制御部は、前記容器を撮像した前記画像データの画像処理が完了する前に前記先行移動制御を行ってもよい。
【0092】
前記構成によれば、第1移載位置に配置された容器を撮像した画像データの画像処理が完了する前に第2移載位置から容器側へ物品保持部が先行移動を開始するため、物品保持部移載効率を向上させることができる。
【0093】
本発明の態様10に係る移載システムの制御方法は、平面視で第1方向へ第1移載位置と第2移載位置とが並ぶ移載位置の上方に設置される撮像部によって前記第1移載位置を撮像する撮像ステップと、前記撮像部からの画像データに基づいて、前記第1および第2移載位置間を移動可能に構成される物品保持部を制御し、前記第1移載位置を撮像した後に前記物品保持部を前記第1移載位置の上方へ移動させる移動ステップと、前記画像データの画像処理が完了する前に前記第2移載位置から前記第1移載位置側へ前記物品保持部の移動を開始させる先行移動ステップと、を含む。この場合、前記態様1と同様の効果を奏する。
【0094】
本発明の各態様に係る移載システムおよびその制御方法は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記移載システムおよびその制御方法がそれぞれ備える各部および各ステップ(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記移載システムおよびその制御方法をコンピュータにて実現させる移載システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0095】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 移載システム
2 物品
11 搬送部
12 移載部
12a ピッキングヘッド(物品保持部)
12b 駆動部
13 カメラ部(撮像部)
15 制御部
15b 画像処理部(制御部)
15c 駆動制御部(制御部)
17 第1容器(容器)
18 第2容器(容器)
C1 第1容器の中心(容器の中心)
C2 第2容器の中心(容器の中心)
L 仮想直線
P1 ピック側移載位置(第1移載位置、第2移載位置)
P2 プレース側移載位置(第1移載位置、第2移載位置)
S1 第1ステップ(撮像ステップ)
S4 第4ステップ(先行移動ステップ)
S7 第7ステップ(移動ステップ)
X X方向(第1方向)
Y Y方向(第2方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9