(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066858
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
H03H 7/075 20060101AFI20240509BHJP
H01P 1/162 20060101ALI20240509BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240509BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240509BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H03H7/075 A
H01P1/162
H01F17/00 D
H01F27/00 S
H01G4/40 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176614
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渉
【テーマコード(参考)】
5E070
5E082
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB10
5E070CB02
5E070CB13
5E082AB03
5E082BB01
5E082DD08
5J024AA01
5J024BA02
5J024CA02
5J024CA09
5J024CA17
5J024DA04
5J024DA29
5J024DA33
5J024EA01
5J024EA03
5J024KA03
(57)【要約】
【課題】フィルタ特性の劣化を抑制する。
【解決手段】フィルタ装置は、積層基板であって、第1端子と第2端子とを電気的に接続する直列配線が設けられる第1配線層と、基準電位が供給される基準電極を含む第2配線層と、前記第1配線層と前記第2配線層との間に位置する第3配線層と、前記第1配線層と前記第3配線層との間に位置する第1誘電体層と、前記第2配線層と前記第3配線層との間に位置する第2誘電体層と、を含む積層基板と、前記直列配線に設けられた直列受動素子と、前記直列配線と前記基準電極とを電気的に接続する並列配線と、前記並列配線に設けられた並列受動素子と、少なくとも一部が前記第3配線層に設けられるオープンスタブであって、前記直列配線に接続された一端と、開放された他端と、を有する前記オープンスタブと、を備え、前記並列配線及び前記オープンスタブは、導体を間に挟まないで対向する第1対向部及び第2対向部をそれぞれ含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層基板であって、
第1端子と第2端子とを電気的に接続する直列配線が設けられる第1配線層と、
基準電位が供給される基準電極を含む第2配線層と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に位置する第3配線層と、
前記第1配線層と前記第3配線層との間に位置する第1誘電体層と、
前記第2配線層と前記第3配線層との間に位置する第2誘電体層と、
を含む積層基板と、
前記直列配線に設けられた直列受動素子と、
前記直列配線と前記基準電極とを電気的に接続する並列配線と、
前記並列配線に設けられた並列受動素子と、
少なくとも一部が前記第3配線層に設けられるオープンスタブであって、前記直列配線に接続された一端と、開放された他端と、を有する前記オープンスタブと、を備え、
前記並列配線及び前記オープンスタブは、導体を間に挟まないで対向する第1対向部及び第2対向部をそれぞれ含む、
フィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記並列配線は、前記第3配線層に設けられ、少なくとも一部が前記第1対向部である第1電極を含み、
前記オープンスタブは、前記第3配線層に設けられ、少なくとも一部が前記第2対向部である第2電極を含む、
フィルタ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記積層基板は、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に位置する第4配線層と、
前記第1配線層と前記第4配線層との間に位置する第3誘電体層と、
をさらに含み、
前記並列配線は、前記第3配線層に設けられる第1電極を含み、
前記オープンスタブは、前記第4配線層に設けられる第3電極を含み、
前記第1電極の少なくとも一部である第1部分と前記第3電極の少なくとも一部である第2部分とが、それぞれ互いに対向する前記第1対向部及び前記第2対向部である、
フィルタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタ装置であって、
前記オープンスタブは、前記第3配線層に設けられる第2電極をさらに含み、
前記第1電極の少なくとも一部である第3部分及び前記第2電極の少なくとも一部である第4部分が、それぞれ互いに対向する前記第1対向部及び前記第2対向部であり、
前記第1部分及び前記第2部分によって形成されるキャパシタの容量と、前記第3部分及び前記第4部分によって形成されるキャパシタの容量と、は同じである、
フィルタ装置。
【請求項5】
請求項3に記載のフィルタ装置であって、
前記オープンスタブは、前記第3配線層に設けられる第2電極をさらに含み、
前記第1電極の少なくとも一部である第3部分及び前記第2電極の少なくとも一部である第4部分が、それぞれ互いに対向する前記第1対向部及び前記第2対向部であり、
前記第1部分及び前記第2部分によって形成されるキャパシタの容量と、前記第3部分及び前記第4部分によって形成されるキャパシタの容量と、は異なる、
フィルタ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記並列配線は、前記第1誘電体層又は前記第2誘電体層を貫通し、かつ、前記並列受動素子と前記基準電極とを電気的に接続する第1ビアであって、少なくとも一部が前記第1対向部である前記第1ビアを含み、
前記オープンスタブは、
前記第1誘電体層又は前記第2誘電体層を貫通し、少なくとも一部が前記第2対向部である第2ビアを含む、
フィルタ装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルタ装置であって、
前記積層基板を積層方向に沿って平面視したときに、前記基準電極と前記オープンスタブとが重なる、
フィルタ装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルタ装置であって、
前記並列配線は、
前記第1誘電体層を貫通し、かつ、前記並列受動素子に電気的に接続される第1ビアと、
前記第2誘電体層を貫通し、かつ、前記第1ビアと前記基準電極とを電気的に接続する第2ビアと、
を含み、
前記第1ビアの断面積と前記第2ビアの断面積とは異なる、
フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板上に複数の部品が実装されたフィルタがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフィルタでは、インダクタ、共振回路及び弾性波共振器の各々を搭載する部品が回路基板の上面に実装される。回路基板の下面には、端子が設けられる。端子は、回路基板を貫通するビアを通じて部品と電気的に接続される。
【0005】
ところで、フィルタのサイズを小さくするために部品同士を近づけて配置した場合、部品間の電磁界的な結合によって、信号の電力ロスが増加したり、減衰特性が劣化したりすることがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フィルタ特性の劣化を抑制することが可能なフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るフィルタ装置は、積層基板であって、第1端子と第2端子とを電気的に接続する直列配線が設けられる第1配線層と、基準電位が供給される基準電極を含む第2配線層と、前記第1配線層と前記第2配線層との間に位置する第3配線層と、前記第1配線層と前記第3配線層との間に位置する第1誘電体層と、前記第2配線層と前記第3配線層との間に位置する第2誘電体層と、を含む積層基板と、前記直列配線に設けられた直列受動素子と、前記直列配線と前記基準電極とを電気的に接続する並列配線と、前記並列配線に設けられた並列受動素子と、少なくとも一部が前記第3配線層に設けられるオープンスタブであって、前記直列配線に接続された一端と、開放された他端と、を有する前記オープンスタブと、を備え、前記並列配線及び前記オープンスタブは、導体を間に挟まないで対向する第1対向部及び第2対向部をそれぞれ含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フィルタ特性の劣化を抑制することが可能なフィルタ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、フィルタ回路451を備えるフロントエンド回路の回路図である。
【
図2】
図2は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置11のyz面に平行な断面を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置11のzx面に平行な断面を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置11のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置11のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、フィルタ装置11の等価回路21の回路図である。
【
図7】
図7は、電極間の距離dに対する静電容量変化の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、フィルタ装置11の減衰特性の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置12のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置13のzx面に平行な断面を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置13のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、フィルタ装置13の等価回路23の回路図である。
【
図13】
図13は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置14のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、フィルタ装置14の等価回路24の回路図である。
【
図15】
図15は、L型のフィルタ回路が形成されたフィルタ装置15のzx面に平行な断面を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、フィルタ装置15の等価回路25の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を極力省略する。
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るフィルタ装置11について説明する。
図1は、フィルタ回路451を備えるフロントエンド回路の回路図である。
【0012】
図1に示すように、フロントエンド回路は、アンプ415と、スイッチ416と、フィルタ回路451と、SPDT(Single Pole-Double Throw)スイッチ418と、を備える。アンプ415は、前段の回路から入力端子414を通じて供給される、無線周波数を有する信号RFinを増幅し、増幅後の信号RF1を出力する。
【0013】
フィルタ回路451は、バンドパスフィルタ452と、スタブ回路453と、ローパスフィルタ回路454と、を含む。
【0014】
フィルタ回路451における入力端子31(第1端子)は、スイッチ416を通じてアンプ415の出力端子に接続される。出力端子32(第2端子)は、SPDTスイッチ418を通じて後段の回路(図示しない)に接続される。
【0015】
直列配線S1は、入力端子31と出力端子32とを接続する。直列配線S1には、入力端子31から出力端子32に向かってバンドパスフィルタ452、スタブ回路453、及びローパスフィルタ回路454がこの順に設けられる。
【0016】
スタブ回路453は、オープンスタブ211を含む。オープンスタブ211は、ノードN1を通じてバンドパスフィルタ452に接続された一端と、開放された他端とを、有する。
【0017】
ローパスフィルタ回路454は、π型のローパスフィルタであり、インダクタL1及びキャパシタC1及びC2を含む。インダクタL1は、ノードN2を通じてノードN1に接続された第1端と、ノードN3を通じて出力端子32に接続された第2端と、を有する。
【0018】
並列配線P1は、ノードN2と接地とを電気的に接続する。並列配線P2は、ノードN3と接地とを電気的に接続する。
【0019】
キャパシタC1は、並列配線P1に設けられ、ノードN2に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する。キャパシタC2は、並列配線P2に設けられ、ノードN3に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する。
【0020】
なお、ローパスフィルタ回路454がπ型のフィルタである構成について説明したが、これに限定するものではない。ローパスフィルタ回路454は、L型又はT型などの他の接続形態のフィルタであってもよい。
【0021】
また、ローパスフィルタ回路454がローパスフィルタである構成について説明したが、これに限定するものではない。例えば、インダクタL1をキャパシタに入れ替えるとともに、キャパシタC1及びC2の各々をインダクタに入れ替えることにより、ローパスフィルタ回路454をハイパスフィルタとすることも可能である。また、ローパスフィルタ回路454は、バンドパスフィルタ又はバンドエリミネーションフィルタなどとすることも可能である。
【0022】
また、フィルタ回路451では、入力端子31に信号RF1が供給される構成について説明したが、これに限定するものではない。出力端子32に信号RF1が供給される構成であってもよい。
【0023】
各図面には、x軸、y軸及びz軸を示すことがある。x軸、y軸及びz軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、x軸の矢印方向をx軸+側、矢印とは逆方向をx軸-側と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。なお、z軸+側及びz軸-側を、それぞれ「上側」及び「下側」と呼ぶこともある。また、z軸方向を「積層方向」と呼ぶこともある。また、x軸、y軸又はz軸にそれぞれ直交する面を、yz面、zx面又はxy面と呼ぶことがある。ここで、上側から下側を見て時計回りに回転する方向を時計方向cwと定義する。また、上側から下側を見て反時計回りに回転する方向を反時計方向ccwと定義する。
【0024】
図2は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置11のyz面に平行な断面を模式的に示す図である。
図3は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置11のzx面に平行な断面を模式的に示す図である。
図4及び
図5は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置11のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。
【0025】
図2~
図5に示すように、フィルタ装置11は、直列受動素子60及び63と、並列受動素子61及び62と、積層基板111と、直列配線S1と、並列配線P1及びP2と、分岐配線B2と、を備える。
【0026】
並列配線P1は、ビア41a(第1ビア)、41b及び42並びに電極51を含む。並列配線P2は、43a及び43b並びに電極52を含む。
【0027】
分岐配線B2は、ビア240a(第2ビア)及び240b並びに電極250及び251を含む。本実施形態では、各ビアは、導電材料によって形成され、厚さ方向に延びる円柱形状を有する。なお、各ビアの形状は、任意の形状であってもよい。
【0028】
積層基板111は、誘電体層121(第1誘電体層)、122(第2誘電体層)、123(第3誘電体層)、124及び125と、配線層131(第1配線層)、132(第2配線層)、133(第3配線層)、134(第4配線層)及び135と、を含む。
【0029】
誘電体層123、121、122、124及び125は、上側から下側に向かってこの順に設けられる。誘電体層122は、例えばコア層である。誘電体層121、123、124及び125は、例えばプレプリグによって形成される。
【0030】
誘電体層121、122、123、124及び125の各々は、xy面と略平行な面であって上側の面(以下、上側面と称することがある。)と、xy面と略平行な面であって下側の面(以下、下側面と称することがある。)と、を有する。誘電体層122の上側面は、誘電体層122の上側に位置する誘電体層121の下側面と対向する。他の誘電体層においても同様である。なお、上側面及び下側面には、製造時に発生する凹凸、又は配線層を設けるための凹みなどがあってもよい。
【0031】
誘電体層122と誘電体層124との間には、配線層132が設けられる。配線層132は、基準電位が供給される基準電極50を含む。基準電極50は、例えば、誘電体層122の下側面の全域にわたって形成され、かつ接地に接続された電極である。なお、基準電極50は、誘電体層122の下側面の全域にわたって形成される構成に限らず、誘電体層122の下側面の少なくとも一部の領域に形成されていればよい。
【0032】
誘電体層124と誘電体層125との間には、例えば配線層135が設けられる。誘電体層124及び125には、誘電体層124及び125を貫通する複数のビア40が設けられる。ビア40の上側端部は、基準電極50と電気的に接続される。
【0033】
誘電体層121と誘電体層123との間には、配線層134が設けられる。誘電体層123の上側面には、配線層131が設けられる。なお、配線層133及び134は配線層131と配線層132との間に設けられていればよい。言い換えれば、配線層133が配線層131に相対的に近い位置(誘電体層121と誘電体層123との間)に設けられ、配線層134が配線層132に相対的に近い位置(誘電体層121と誘電体層122との間)に設けられていても良い。
【0034】
誘電体層122は、誘電体層121の厚さT1と異なる厚さT2を有する。ここでいう「厚さ」とは、積層基板111において誘電体層121~125が積層される方向すなわち積層方向における当該誘電体層の大きさ、すなわち当該誘電体層の上側面と下側面との間の距離を指す。本実施形態では、厚さT1は、厚さT2より小さい。なお、厚さT1は、厚さT2より大きくてもよい。誘電体層123の厚さは、例えば誘電体層121の厚さと略同じである。
【0035】
直列受動素子60及び63並びに並列受動素子61及び62は、配線層131の上側面に設けられる。
【0036】
以下、
図2~
図5を参照して、各受動素子、各ビア及び各電極のレイアウトについて説明する。
図4には、誘電体層123、配線層131及び各受動素子を上側から見た図と、誘電体層121及び配線層134を上側から見た図と、が示される。
図5には、誘電体層122及び配線層133を上側から見た図と、配線層132を上側から見た図と、が示される。
【0037】
本実施形態では、フィルタ装置11は、誘電体層123の上側面を積層方向に沿って平面視したときに、積層基板111のx軸+側であってy軸-側の隅に設けられる。直列受動素子60及び63は、それぞれインダクタL1及びバンドパスフィルタ452として機能する表面実装デバイス(Surface Mount Device : SMD)である。並列受動素子61及び62は、それぞれキャパシタC1及びC2として機能するSMDである。
【0038】
並列受動素子61、直列受動素子60及び並列受動素子62は、x軸+側からx軸-側に向かってこの順に設けられる。直列受動素子63は、直列受動素子60並びに並列受動素子61及び62のy軸+側に設けられる。
【0039】
主に
図4及び
図5を参照して、直列配線S1は、例えば、電極Es1、Es2及びEs3と、ビアVs1及びVs2と、を含む。電極Es1及び電極Es2は、配線層131がパターニングされることにより形成される。電極Es3は、配線層133がパターニングされることにより形成される。ビアVs1及びVs2は、それぞれz軸と略平行に誘電体層123及び121を貫通する。
【0040】
直列受動素子63は、入力端子31(図示しない)に接続された第1端(図示しない)と、パッド63aを通じて電極Es1に接続された第2端と、を有する。
【0041】
並列受動素子61は、直列配線S1とビア41bとを電気的に接続する。詳細には、並列受動素子61は、パッド61aを通じて電極Es1に接続された第1端と、パッド61bを通じてビア41bの上側端部に接続された第2端と、を有する。
【0042】
直列受動素子60は、電極Es1と電極Es2とを電気的に接続する。詳細には、直列受動素子60は、パッド60aを通じて電極Es1に接続された第1端と、パッド60bを通じて電極Es2に接続された第2端と、を有する。
【0043】
並列受動素子62は、直列配線S1とビア43bとを電気的に接続する。詳細には、並列受動素子62は、パッド62aを通じて電極Es2に接続された第1端と、パッド62bを通じてビア43bの上側端部に接続された第2端と、を有する。
【0044】
ビアVs1の上側端部は、パッド62aに接続される。ビアVs2の上側端部は、ビアVs1の下側端部に接続される。電極Es3は、ビアVs2の下側端部に接続された第1端と、出力端子32(図示しない)に接続された第2端と、を有する。
【0045】
主に
図3~
図5を参照して、ビア41b及び43bは、誘電体層123をz軸と略平行に貫通する。誘電体層123の上側面を積層方向に沿って平面視したときに、ビア41b及び43bは、並列受動素子61及び62とそれぞれ重なる。ビア41bの径は、例えば、ビア43bの径と略同じである。
【0046】
ビア41a及び43aは、誘電体層121をz軸と略平行に貫通する。本実施形態では、ビア41a及び43aは、それぞれビア41bの径及びビア43bの径と略同じ径を有する。誘電体層121の上側面を積層方向に沿って平面視したときに、ビア41a及び43aは、それぞれビア41b及び43bと略重なる。ビア41aの上側端部及びビア43aの上側端部は、それぞれビア41bの下側端部及びビア43bの下側端部に接続される。
【0047】
配線層133は、電極51(第1電極)、電極52(第1電極)及び251を含む。電極51、52及び251は、配線層133がパターニングされることにより形成される。
【0048】
電極51は、ビア41aから引き回され、かつビア41aとビア42とを電気的に接続する。電極52は、ビア43aから引き回され、かつビア43aとビア42とを電気的に接続する。なお、ここで「引き回される」とは、一定の長さを有するように延ばされることを指す。
【0049】
電極51及び52の各々は、配線層133が延在する面内において巻回される。また、電極51が巻回される向きと、電極52が巻回される向きとは、互いに逆である。詳細には、電極51は、ビア41aの下側端部に接続された第1端と、ビア41aの下側端部及びビア43aの下端端部の間に位置する第2端と、を有する。電極51は、第1端から第2端まで、xy面内において反時計方向ccwへ1/4回転以上3/4回転未満巻き回される。
【0050】
電極52は、ビア43aの下側端部に接続された第1端と、電極51の第2端の位置と同じ位置に位置する第2端と、を有する。電極52は、第1端から第2端まで、xy面内において時計方向cwへ1/4回転以上3/4回転未満巻き回される。なお、電極51及び52の接続部51aと、電極51の第2端との間は、電極51及び52が共用している。
【0051】
ビア42は、誘電体層122をz軸と略平行に貫通し、ビア41a及び43aの断面積と異なる断面積を有する。また、ビア42は、電極51及び52と基準電極50とを電気的に接続する。ここでいう「断面積」とは、誘電体層121~125の積層方向に直交する方向にビアを断面視した場合の面積のことであり、ビアの径は、その一具体例である。
【0052】
なお、ある誘電体層を貫通するビアの径が製造ばらつきなどによりその誘電体層中で変化していた場合には、当該ビアの径のうち最も太い径を有する箇所の断面積を、当該ビアの断面積としてもよい。また、ビアの断面の形状は円形に限らず、三角形又は四角形などの多角形であってもよい。この場合において、ビアの断面積が誘電体層中で変化していた場合には、当該ビアの断面積のうち最も大きい断面積を、当該ビアの断面積としてもよい。
【0053】
詳細には、ビア42は、ビア41aの径より大きく、かつビア43aの径より大きい径を有する。誘電体層122の上側面を積層方向に沿って平面視したときに、ビア42は、ビア41aとビア43aとの間に位置し、ビア41a及び43aのいずれとも重ならない。ビア42の上側端部は、電極51の第2端及び電極52の第2端に接続される。ビア42の下側端部は、基準電極50に接続される。
【0054】
分岐配線B2は、オープンスタブ211として機能する。配線層134は、分岐配線B2に含まれる電極250を含む。電極250は、配線層134がパターニングされることにより形成される。
【0055】
ビア240bは、誘電体層123をz軸と略平行に貫通する。ビア240aは、誘電体層121をz軸と略平行に貫通する。誘電体層123の上側面を積層方向に沿って平面視したときに、ビア240bは、直列受動素子63と重なる。ビア240aは、ビア240bのy軸+側に位置する。ビア240aの径は、例えば、ビア240bの径と略同じである。
【0056】
ビア240bの上側端部は、電極Es1に接続される。電極250は、ビア240bの下側端部に接続された第1端から、y軸-側、x軸-側、y軸+側、x軸+側及びy軸-側の順で第2端まで延びる電極であって、切り欠きを有する矩形状の電極である。
【0057】
ビア240aの上側端部は、電極250の第2端に接続される。電極251は、ビア240aの下側端部に接続された第1端から、y軸-側、x軸-側、y軸+側及びx軸+側の順で他端まで延びる電極であって、切り欠きを有する矩形状の電極である。
【0058】
電極251の第2端は開放されている。電極251は、導体を間に挟まないで基準電極50と対向する。積層基板111を積層方向に沿って平面視したときに、基準電極50と電極251とが重なる。
【0059】
図6は、フィルタ装置11の等価回路21の回路図である。
図6に示すように、各ビア及び各電極は、インダクタとしても機能する。また、各電極は、キャパシタとしても機能する。また、分岐配線B2と並列配線P1とはキャパシタとしても機能する。
【0060】
詳細には、並列配線P1に含まれるビア41b、41a及び42は、それぞれインダクタL11、L12及びL14として機能する。並列配線P2に含まれるビア43b及び43aは、それぞれインダクタL21及びL22として機能する。分岐配線B2に含まれるビア240b及び240aは、それぞれインダクタL201及びL202として機能する。
【0061】
ビア41b、41a、42、43b、43a、240b及び240aのインダクタンスは、当該ビアの形状に応じた値を有する。具体的には、ビアの径が大きいほど、当該ビアのインダクタンスが小さくなる。また、ビアの長さすなわち当該ビアが設けられた誘電体層の厚さが大きいほど、当該ビアのインダクタンスが大きくなる。
【0062】
したがって、ビアの径及び当該ビアが設けられる誘電体層の厚さを調整することで、当該ビアのインダクタンスを調整することができる。
【0063】
また、並列配線P1に含まれる電極51は、インダクタL13として機能するとともに、基準電極50との間でキャパシタC11を形成する。同様に、並列配線P2に含まれる電極52は、インダクタL23として機能するとともに、基準電極50との間でキャパシタC21を形成する。同様に、分岐配線B2に含まれる電極251は、インダクタL203として機能するとともに、基準電極50との間でキャパシタC201(第2キャパシタ)を形成する。電極250は、インダクタL204として機能する。
【0064】
電極51、52、250及び251のインダクタンスは、当該電極の巻回数、幅及び長さなどに応じた値を有する。また、電極51、52又は251と基準電極50との間で形成されるキャパシタの容量は、当該電極と基準電極50との間の距離、及び当該電極の面積などに応じた値を有する。
【0065】
したがって、電極51の形状及び配置を調整することで、電極51のインダクタンスを調整することができるとともに、電極51と基準電極50との間で形成されるキャパシタC11の容量を調整することができる。電極52及び251についても、電極51と同様である。
【0066】
図2~
図6に示すように、並列配線P1及び分岐配線B2は、導体を間に挟まないで互いに対向する第1対向部及び第2対向部をそれぞれ含む。具体的には、並列配線P1は、第1対向部71a(第3部分)、71b(第1部分)、71c及び71dを含む。分岐配線B2は、第2対向部72a(第4部分)、72b(第2部分)、72c及び72dを含む。
【0067】
第1対向部71a及び第2対向部72aは、それぞれ「第1対向部」及び「第2対向部」の一例である。第1対向部71b及び第2対向部72bは、それぞれ「第1対向部」及び「第2対向部」の一例である。第1対向部71c及び第2対向部72cは、それぞれ「第1対向部」及び「第2対向部」の一例である。第1対向部71d及び第2対向部72dは、それぞれ「第1対向部」及び「第2対向部」の一例である。
【0068】
第1対向部71aは、電極51及び52の少なくとも一部であり、具体的には、電極51及び52のy軸+側の面である。
【0069】
第2対向部72aは、電極251の少なくとも一部であり、具体的には、電極251のy軸-側の面である。
【0070】
第1対向部71aは、導体を間に挟まないで第2対向部72aと対向する。第1対向部71a及び第2対向部72aによってキャパシタC305(第1キャパシタ)及びC306(第1キャパシタ)が形成される。以下、キャパシタC305及びC306を、それぞれ層内キャパシタC305及びC306と称することがある。
【0071】
詳細には、第1対向部71a及び第2対向部72aは、同一の配線層133内で互いに対向する。電極51における第1対向部71aと、電極251における第2対向部72aとによって層内キャパシタC305が形成される。電極52における第1対向部71aと、電極251における第2対向部72aとによって層内キャパシタC306が形成される。
【0072】
第1対向部71bは、電極51及び52の少なくとも他の一部であり、具体的には、電極51及び52のz軸+側の面である。
【0073】
第2対向部72bは、電極250の少なくとも一部であり、具体的には、電極250のz軸-側の面である。
【0074】
第1対向部71bは、導体を間に挟まないで第2対向部72bと対向する。積層基板111を積層方向に沿って平面視したときに、第1対向部71bと第2対向部72bとが重なる部分がある。
【0075】
第1対向部71b及び第2対向部72bによってキャパシタC303(第1キャパシタ)及びC304(第1キャパシタ)が形成される。以下、キャパシタC303及びC304を、それぞれ層間キャパシタC303及びC304と称することがある。
【0076】
詳細には、第1対向部71b及び第2対向部72bは、配線層133及び134間で誘電体層121を挟んで互いに対向する。電極51における第1対向部71bと、電極250における第2対向部72bとによって層間キャパシタC303が形成される。電極52における第1対向部71bと、電極250における第2対向部72bとによって層間キャパシタC304が形成される。
【0077】
第1対向部71bと第2対向部72bとの間に形成されるキャパシタの容量と、第1対向部71aと第2対向部72aとの間におけるキャパシタの容量と、は同じである。具体的には、層間キャパシタC303及びC304の合成容量と、層内キャパシタC305C305及びC306の合成容量とは、同じである。なお、ここでいう「同じ」とは、互いの容量値が製造時のバラつきを含んで同等の場合(例えば一方の容量値が他方の容量値の95%以上105%以下に収まっている場合)も含まれるものとする。
【0078】
層間キャパシタC303及びC304の合成容量は、電極250と電極51及び52との間の距離D2すなわち厚さT1を変更することによって調整することができる。また、積層基板111を積層方向に沿って平面視したときの電極250と電極51及び52とが重なる部分の面積を変更することによって調整することができる。当該面積は、例えば、電極250、51又は52の電極幅を変更することによって変更することができる。
【0079】
層内キャパシタC305及びC306の合成容量は、電極251と電極51及び52との間の距離D1を変更することによって調整することができる。また、積層基板111をy軸方向に沿って平面視したときの電極251と電極51及び52とが重なる部分の面積を変更することによって調整することができる。当該面積は、例えば、電極251、51又は52の電極の厚さの変更によって変更することができる。また、当該面積は、例えば、電極251と電極51又は52とが近接して並走する区間の長さの変更によって変更することができる。
【0080】
なお、層間キャパシタC303及びC304の合成容量と、層内キャパシタC305及びC306の合成容量とは、異なっていてもよい。なお、ここでいう「異なる」とは、互いの容量値が製造時のバラつきを含んで同等の場合(例えば一方の容量値が他方の容量値の95%以上105%以下に収まっている場合)は含まれないものとする。
【0081】
第1対向部71cは、ビア41aの少なくとも一部であり、具体的には、ビア41aのy軸+側の面である。
【0082】
第2対向部72cは、ビア240aの少なくとも一部であり、具体的には、ビア240aのy軸-側の面である。
【0083】
第1対向部71cは、導体を間に挟まないで第2対向部72cと対向する。第1対向部71c及び第2対向部72cによってキャパシタC302(第1キャパシタ)が形成される。以下、キャパシタC302を、層内キャパシタC302と称することがある。
【0084】
詳細には、第1対向部71c及び第2対向部72cは、同一の誘電体層121内で互いに対向する。層内キャパシタC302の容量は、ビア240aとビア41aとの間の距離、ビア240aの太さ又はビア41aの太さを変更することによって調整することができる。
【0085】
第1対向部71dは、ビア41bの少なくとも一部であり、具体的には、ビア41bのy軸+側の面である。
【0086】
第2対向部72dは、ビア240bの少なくとも一部であり、具体的には、ビア240bのy軸-側の面である。
【0087】
第1対向部71dは、導体を間に挟まないで第2対向部72dと対向する。第1対向部71d及び第2対向部72dによってキャパシタC301(第1キャパシタ)が形成される。以下、キャパシタC301を、層内キャパシタC301と称することがある。
【0088】
詳細には、第1対向部71d及び第2対向部72dは、同一の誘電体層123内で互いに対向する。層内キャパシタC301の容量は、ビア240bとビア41bとの間の距離、ビア240bの太さ又はビア41bの太さを変更することによって調整することができる。
【0089】
図7は、電極間の距離dに対する静電容量変化の一例を示す図である。なお、横軸は単位を「mm」とする電極間の距離dを示し、縦軸は、単位を「pF」とする静電容量を示す。
【0090】
図7には、例えば、平行平板コンデンサにおいて、電極の表面積及び電極間に設けられる誘電体の比誘電率がそれぞれ0.02平方ミリメートル及び4.3のときの電極間の距離dに対する静電容量変化が示される。
図7には、少なくとも電極間の距離dが0.7ミリメートル付近まで離れても約0.1pFの静電容量が得られることが示されている。また、この約0.1pFの静電容量は距離dが約1ミリメートル付近まで離れた場合においても変わらず得られることが分かっている。
【0091】
このように、フィルタの極生成に有用な静電容量を考慮すると、第1対向部と第2対向部との間の距離は、1ミリメートル以下が好ましい。また、第1対向部と第2対向部との間の距離を0.7ミリメートル以下とした場合、より確実に必要な静電容量を得ることができる。
【0092】
図8は、フィルタ装置11の減衰特性の一例を示す図である。なお、横軸は単位を「GHz」とする周波数を示し、縦軸は、単位を「dB」とするSパラメータを示す。
【0093】
図8に示すように、バンドパスフィルタ452によって概ね3GHz~5GHzの信号RF1を通過させる通過帯PBが生成される。バンドパスフィルタ452だけでは、5GHz以上の周波帯のノイズを十分に減衰できないが、ローパスフィルタ回路454によって、当該ノイズを減衰させることができる。
【0094】
スタブ回路453によって概ね8GHz~9GHzの減衰帯AB1が生成される。これにより、例えば、信号RF1の高調波を減衰させることができる。
【0095】
さらに、キャパシタC301~C306、及び、インダクタL201~L204などを含む共振回路によって、概ね14GHz~16GHzの減衰帯AB2の極と、概ね17GHz~19GHzの減衰帯AB3の極とが生成される。
【0096】
これにより、インダクタ及びキャパシタといったリアクタンス素子を増設することなく例えば高調波を減衰させることができる。したがって、フィルタ装置11のサイズを小さくしながら、フィルタ特性の劣化を抑制することができる。
【0097】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るフィルタ装置12について説明する。第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0098】
図9は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置12のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。
図9には、誘電体層121及び配線層134を上側から見た図と、誘電体層122及び配線層133を上側から見た図と、が示される。
【0099】
図9に示すように、第2実施形態に係るフィルタ装置12は、配線層133に形成された電極251が1周以上のターンを有する点で第1実施形態に係るフィルタ装置11と異なる。
【0100】
具体的には、電極251は、ビア240aの下側端部に接続された第1端から、y軸-側、x軸-側、y軸+側、x軸+側及びy軸-側の順で第2端まで1ターン半巻回する電極である。
【0101】
これにより、電極251が専有するエリアの増大を抑制しながら、電極251の長さを大きくすることができる。
【0102】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るフィルタ装置13について説明する。
図10は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置13のzx面に平行な断面を模式的に示す図である。
図11は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置13のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。なお、
図11の見方は、
図9と同様である。
【0103】
図10及び
図11に示すように、第3実施形態に係るフィルタ装置13は、並列配線P1及びP2がそれぞれ完全に独立して接地に接続される点で第1実施形態に係るフィルタ装置11と異なる。
【0104】
フィルタ装置13は、
図3に示すフィルタ装置11と比べて、ビア44をさらに備える。
【0105】
本実施形態では、並列配線P1は、ビア41b、41a及び42ならびに電極51を含む。並列配線P2は、ビア43b、43a及び44ならびに電極52を含む。
【0106】
配線層132における電極51は、ビア41aから引き回され、かつビア41aとビア42とを電気的に接続する。電極52は、ビア43aから引き回され、かつビア43aとビア44とを電気的に接続する。
【0107】
詳細には、電極51は、ビア41aの下側端部に接続された第1端と、当該第1端のx軸-側に位置する第2端と、を有する。電極51は、第1端から第2端まで、xy面内において反時計方向ccwへ1/4回転以上3/4回転未満巻き回される。
【0108】
電極52は、ビア43aの下側端部に接続された第1端と、当該第1端のx軸+側に位置する第2端と、を有する。電極52は、第1端から第2端まで、xy面内において時計方向cwへ1/4回転以上3/4回転未満巻き回される。
【0109】
ビア42は、誘電体層122をz軸と略平行に貫通し、電極51と基準電極50とを電気的に接続する。詳細には、ビア42は、ビア41aの径より大きい径を有する。誘電体層122の上側面を積層方向に沿って平面視したときに、ビア42は、ビア41aのx軸-側に位置し、ビア41aとは重ならない。ビア42の上側端部及び下側端部は、電極51の第2端及び基準電極50にそれぞれ接続される。
【0110】
ビア44は、誘電体層122をz軸と略平行に貫通し、電極52と基準電極50とを電気的に接続する。詳細には、ビア44は、ビア43aの径より大きい径、例えばビア42の径と略同じ径を有する。誘電体層122の上側面を積層方向に沿って平面視したときに、ビア44は、ビア43aのx軸+側に位置し、ビア43aとは重ならない。ビア44の上側端部及び下側端部は、電極52の第2端及び基準電極50にそれぞれ接続される。
【0111】
ビア42とビア44との間の距離D4は、ビア41aとビア43aとの間の距離D3より短い。詳細には、距離D4は、例えば、ビア42の中心軸とビア44の中心軸とを結ぶ最短の直線の長さである。距離D3は、例えば、ビア41aの中心軸とビア43aの中心軸とを結ぶ最短の直線の長さである。
【0112】
これによれば、直列受動素子60並びに並列受動素子61及び62に相対的に近いビア同士の距離に比べて、直列受動素子60並びに並列受動素子61及び62から相対的に遠いビア同士の距離が小さくなっている。そのため、フィルタ装置13を積層方向に沿って平面視したときに、ビア42及び44を直列受動素子60並びに並列受動素子61及び62が設けられた領域の内側に形成しやすくなる。従って、ビア41a及び43aにより占領される積層基板111のスペースを最小限とできるため、フィルタ装置13の小型化を実現しやすくなる。なお、距離D4は、距離D3より大きくてもよい。
【0113】
図12は、フィルタ装置13の等価回路23の回路図である。並列配線P1に含まれるビア42及び並列配線P2に含まれるビア44は、それぞれインダクタL14及びL24として機能する。
【0114】
図10~
図12に示すように、分岐配線B2に含まれる電極250及び251は、
図4に示すフィルタ装置11の電極250及び251と比べて、それぞれy軸方向の全幅が小さくなっている。
【0115】
電極251における第2対向部72aは、同一の配線層133内において、電極51における第1対向部71aと導体を間に挟まないで対向する。これにより、電極51における第1対向部71aと、電極251における第2対向部72aとによって層内キャパシタC305が形成される(
図12参照)。一方、電極251は、電極52とは対向しないので、
図6に示す層内キャパシタC306は、形成されない。
【0116】
電極250における第2対向部72bは、異なる配線層133に属する電極51における第1対向部71bと導体を間に挟まないで対向する。これにより、電極51における第1対向部71bと、電極250における第2対向部72aとによって層間キャパシタC303が形成される(
図12参照)。一方、電極250は、電極52とは対向しないので、
図6に示す層間キャパシタC304は、形成されない。
【0117】
[第4実施形態]
第4実施形態に係るフィルタ装置14について説明する。
図13は、フィルタ回路451が形成されたフィルタ装置14のxy面に平行な各断面を模式的に示す図である。なお、
図13の見方は、
図9と同様である。
【0118】
図13に示すように、第4実施形態に係るフィルタ装置14は、電極250及び251のy軸方向の全幅が大きくなっている点で第3実施形態に係るフィルタ装置13と異なる。
【0119】
図14は、フィルタ装置14の等価回路24の回路図である。
図13及び
図14に示すように、電極251における第2対向部72eは、第2対向部72aに対してx軸-側に位置し、かつ、同一の配線層133内において、電極52における第1対向部71eと導体を間に挟まないで対向する。これにより、電極52における第1対向部71eと、電極251における第2対向部72eとによって層内キャパシタC306が形成される(
図14参照)。
【0120】
電極250における第2対向部72fは、第2対向部72bに対してx軸-側に位置し、かつ、異なる配線層133に属する電極52における第1対向部71fと導体を間に挟まないで対向する。これにより、電極52における第1対向部71fと、電極250における第2対向部72fとによって層間キャパシタC304が形成される(
図14参照)。
【0121】
[第5実施形態]
第5実施形態に係るフィルタ装置15について説明する。
図15は、L型のフィルタ回路が形成されたフィルタ装置15のzx面に平行な断面を模式的に示す図である。
図15に示すように、第5実施形態に係るフィルタ装置15は、並列受動素子62が設けられない点で第1実施形態に係るフィルタ装置11と異なる。
【0122】
図15に示すように、並列配線P1は、
図3に示す並列配線P1と同様である。分岐配線B1は、ビア43b及び43aならびに電極52を含む。
図15に示すビア43b及び43aならびに電極52は、
図3に示すビア43b及び43aならびに電極52とそれぞれ同様である。なお、分岐配線B1では、ビア43bの上側端部が開放となっている。
【0123】
図16は、フィルタ装置15の等価回路25の回路図である。
図16に示すように、等価回路25は、
図6に示す等価回路21と比べて、キャパシタC2が設けられない。このため、インダクタL1の第2端及び出力端子32と、インダクタL21とは、電気的に絶縁されている。
【0124】
詳細には、等価回路25では、キャパシタC1と接地との間には、インダクタL11、L12、L13及びL14が直列に接続される。インダクタL13の中点と接地との間には、キャパシタC11が接続される。
【0125】
インダクタL13とインダクタL14との間に位置するノードN11からは、分岐配線B1が分岐する。分岐配線B1では、インダクタL23は、ノードN11に接続された第1端と、第2端と、を有する。インダクタL21は、インダクタL22を通じてインダクタL23の第2端に接続された第1端と、開放端となっている第2端と、を有する。インダクタL23の中点と接地との間には、キャパシタC21が接続される。
【0126】
このように、インダクタL21の第2端が開放端となっているので、分岐配線B1は、オープンスタブ回路として機能する。
【0127】
なお、フィルタ装置11~14では、並列配線P1及びP2が設けられる構成について説明したが、これに限定するものではない。並列配線P1及びP2のいずれか一方が設けられる構成であってもよい。このような構成であっても、本願の目的を達成することができる。
【0128】
また、フィルタ装置11~14では、並列配線P1が、入力端子31とインダクタL1の第1端との間から分岐し、かつ並列配線P2が、出力端子32とインダクタL1の第2端との間から分岐する構成について説明したが、これに限定するものではない。並列配線P1及びP2が、入力端子31とインダクタL1の第1端との間から分岐する構成であってもよいし、並列配線P1及びP2が、出力端子32とインダクタL1の第2端との間から分岐する構成であってもよい。
【0129】
また、フィルタ装置11~15では、直列受動素子60及び63並びに並列受動素子61及び62と、誘電体層121との間には、誘電体層123及び配線層131が設けられる構成について説明したが、これに限定するものではない。誘電体層123及び配線層131が設けられず、配線層134の上側面に直列受動素子60及び63並びに並列受動素子61及び62が位置する構成であってもよい。
【0130】
また、フィルタ装置11~15では、誘電体層121と誘電体層122との間には、配線層133が設けられる構成について説明したが、これに限定するものではない。誘電体層121と誘電体層122との間には、1又は複数の誘電体層が設けられる構成であってもよい。
【0131】
また、フィルタ装置11~15では、基準電極50が接地に接続される構成について説明したが、これに限定するものではない。基準電極50は、例えば、パワーアンプの電源となる定電圧源に接続される構成であってもよい。
【0132】
また、フィルタ装置11~15では、直列受動素子60及び63並びに並列受動素子61及び62がそれぞれSMDで形成される構成について説明したが、これに限定するものではない。直列受動素子60及び63並びに並列受動素子61及び62のうちの少なくとも1つは、積層基板111に設けられた配線のパターンにより形成されていてもよい。
【0133】
また、フィルタ装置11~15では、電極51及び52が巻回される構成について説明したが、これに限定するものではない。電極51及び52は、例えば直線形状を有することで巻回されない構成であってもよい。
【0134】
また、フィルタ装置11、12、14及び15では、ビア41aの径及びビア43aの径が、ビア42の径より小さい構成について説明したが、これに限定するものではない。ビア41aの径及びビア43aの径の少なくとも一方が、ビア42の径より大きい構成であってもよい。
【0135】
また、フィルタ装置13では、ビア41aの径及びビア43aの径が、それぞれビア42の径及びビア44の径より小さい構成について説明したが、これに限定するものではない。ビア41aの径及びビア43aの径が、それぞれビア42の径及びビア44の径より大きい構成であってもよい。
【0136】
また、フィルタ装置11~15では、並列配線P1及びP2を構成する電極51及び52が配線層133に形成される構成について説明したが、これに限定するものではない。電極51及び52が配線層134に形成される構成であってもよい。この場合、電極51及び52と電極250との間で層内キャパシタが形成される。また、電極51及び52と電極251との間で層間キャパシタが形成される。
【0137】
また、例えば、フィルタ装置11では、キャパシタC302を形成するビア41a及び240aが同一の誘電体層121に設けられる構成について説明したが、これに限定するものではない。ビア41a及び240aのいずれか一方は、誘電体層122又は123といった他の誘電体層に設けられる構成であってもよい。
【0138】
また、本明細書において「第1対向部及び第2対向部が導体を間に挟まないで互いに対向する」とは、導体を間に挟まないで一方の対向部が他方の対向部から見通せる位置にある関係をいう。具体的には、例えば、
図2に示すフィルタ装置11では、第1対向部71b及び第2対向部72bは、積層基板111を積層方向に沿って平面視したときに、電極250と電極251とが重なる部分だけに限られず、当該部分の周辺も含むものとする。また、積層基板111を積層方向に沿って平面視したときに、電極250と電極251とが重なる部分が存在しない場合においても、電極250と電極251との間でキャパシタを形成しうるものが第1対向部及び第2対向部となる。
【0139】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。フィルタ装置11、12、13、14及び15では、積層基板111は、入力端子31と出力端子32とを電気的に接続する直列配線S1が設けられる配線層131と、基準電位が供給される基準電極50を含む配線層132と、配線層131と配線層132との間に位置する配線層133と、配線層131と配線層133との間に位置する誘電体層121と、配線層132と配線層133との間に位置する誘電体層122と、を含む。直列受動素子60は、直列配線S1に設けられる。並列配線P1は、直列配線S1と基準電極50とを電気的に接続する。並列受動素子61は、並列配線P1に設けられる。オープンスタブ211は、少なくとも一部が配線層133に設けられるオープンスタブ211であって、直列配線S1に接続された一端と、開放された他端と、を有する。並列配線P1及びオープンスタブ211は、導体を間に挟まないで対向する第1対向部及び第2対向部をそれぞれ含む。
【0140】
このような構成により、オープンスタブ211による減衰特性と、直列受動素子60及び並列受動素子61を含むフィルタ回路による減衰特性と、を有するフィルタ装置11、12、13、14及び15を実現することができる。そして、寄生容量が形成されることを避けるために、従来技術では並列配線P1及びオープンスタブ211は離して設けられていた。これに対して、並列配線P1及びオープンスタブ211を近づけて配置し、並列配線P1に含まれる第1対向部とオープンスタブ211に含まれる第2対向部とによってキャパシタC301~C306が形成される構成により、リアクタンス素子を新たに設けることなく、キャパシタC301~C306と、直列受動素子60及び並列受動素子61とを含む共振回路を実現することができる。この共振回路によって減衰特性に新たな極を生成することができるので、例えば、高調波の周波数帯の減衰量を増大させることができる。したがって、フィルタ特性の劣化を抑制することが可能なフィルタ装置を提供することが可能となる。
【0141】
また、フィルタ装置11、12、14及び15では、並列配線P1は、配線層133に設けられ、少なくとも一部が第1対向部71aである電極51及び52を含む。そして、オープンスタブ211は、配線層133に設けられ、少なくとも一部が第2対向部72aである電極251を含む。
【0142】
このような構成により、配線層133に属する電極の電極間隔及び電極長といったパターンを調整する簡易な方法で、所望の静電容量を有する層内キャパシタC305及びC306を形成することができる。
【0143】
また、フィルタ装置11、12、14及び15では、積層基板111は、配線層131と配線層132との間に位置する配線層134と、配線層131と配線層134との間に位置する誘電体層123と、をさらに含む。並列配線P1は、配線層133に設けられる電極51及び52を含む。オープンスタブ211は、配線層134に設けられる電極250を含む。そして、電極51及び52の少なくとも一部である第1部分と電極250の少なくとも一部である第2部分とが、それぞれ互いに対向する第1対向部71b及び第2対向部72bである。
【0144】
このような構成により、配線層133のパターン、配線層134のパターン及び誘電体層121の厚みを調整する簡易な方法で、所望の静電容量を有する層間キャパシタC303及びC304を形成することができる。
【0145】
また、フィルタ装置11、12、13、14及び15では、積層基板111を積層方向に沿って平面視したときに、第1部分と第2部分とが重なる部分がある。
【0146】
このように、導体間の距離が最も小さい第1部分と第2部分とが重なる部分を設ける構成により、静電容量を容易に大きくすることができる。
【0147】
また、フィルタ装置11、12、14及び15では、オープンスタブ211は、配線層133に設けられる電極251をさらに含む。電極51及び52の少なくとも一部である第3部分及び電極251の少なくとも一部である第4部分が、それぞれ互いに対向する第1対向部71a及び第2対向部72aである。そして、第1部分及び第2部分によって形成される層間キャパシタC303及び304の合成容量と、第3部分及び第4部分によって形成される層内キャパシタC305及びC306の合成容量と、は略同じである。
【0148】
このような構成により、層間キャパシタC303及びC304を含む共振回路による極の周波数と、層内キャパシタC305及びC306を含む共振回路による極の周波数と、を略同じすることができるので、当該周波数における信号RF1の減衰量を増大させることができる。
【0149】
また、フィルタ装置11、12、14及び15では、オープンスタブ211は、配線層133に設けられる電極251をさらに含む。電極51及び52の少なくとも一部である第3部分及び電極251の少なくとも一部である第4部分が、それぞれ互いに対向する第1対向部71a及び第2対向部72aである。そして、第1部分及び第2部分によって形成される層間キャパシタC303及びC304の合成容量と、第3部分及び第4部分によって形成される層内キャパシタC305及びC306の容量と、は異なる。
【0150】
このような構成により、層間キャパシタC303及びC304を含む共振回路による極の周波数と、層内キャパシタC305及びC306を含む共振回路による極の周波数と、をずらすことができるので、広帯域の減衰帯を生成することができる。
【0151】
また、フィルタ装置11、12、13、14及び15では、並列配線P1は、誘電体層121又は122を貫通し、かつ、並列受動素子61と基準電極50とを電気的に接続するビア41aであって、少なくとも一部が第1対向部71cであるビア41aを含む。そして、オープンスタブ211は、誘電体層121又は122を貫通し、少なくとも一部が第2対向部72cであるビア240aを含む。
【0152】
このような構成により、ビア41a及びビア240a間の距離及び誘電体層121の厚みを調整する簡易な方法で、所望の静電容量を有する層内キャパシタC302を形成することができる。
【0153】
また、フィルタ装置11、12、13、14及び15では、積層基板111を積層方向に沿って平面視したときに、基準電極50とオープンスタブ211とが重なる。
【0154】
このような構成により、減衰特性において、オープンスタブ211による極を形成することができる。さらに、基準電極50及びオープンスタブ211によって形成されたキャパシタC201を含む共振回路よる極を形成することができる。これにより、減衰量及び減衰帯域が大きい減衰特性を実現することができる。
【0155】
また、フィルタ装置11、12、13、14及び15では、並列配線P1は、誘電体層121を貫通し、かつ、並列受動素子61に電気的に接続されるビア41aと、誘電体層122を貫通し、かつ、ビア41aと基準電極50とを電気的に接続するビア42と、を含む。そして、ビア41aの断面積とビア42の断面積とは異なる。
【0156】
このように、ビア41aの断面積とビア42の断面積とが異なる構成により、ビア41aの寄生インダクタンス及びビア42の寄生インダクタンスを互いに異ならせることができる。つまり、適切に設計されたビア41aの断面積及びビア42の断面積で形成した積層基板111では、ビア41aの寄生インダクタンス及びビア42の寄生インダクタンスを、フィルタ回路451における調整可能な回路素子とすることができるので、フィルタ特性の調整の自由度を高めることができる。これにより、サイズを小さくしながら、フィルタ特性の劣化を効果的に抑制することができる。
【0157】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0158】
<1>
積層基板であって、
第1端子と第2端子とを電気的に接続する直列配線が設けられる第1配線層と、
基準電位が供給される基準電極を含む第2配線層と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に位置する第3配線層と、
前記第1配線層と前記第3配線層との間に位置する第1誘電体層と、
前記第2配線層と前記第3配線層との間に位置する第2誘電体層と、
を含む積層基板と、
前記直列配線に設けられた直列受動素子と、
前記直列配線と前記基準電極とを電気的に接続する並列配線と、
前記並列配線に設けられた並列受動素子と、
少なくとも一部が前記第3配線層に設けられるオープンスタブであって、前記直列配線に接続された一端と、開放された他端と、を有する前記オープンスタブと、を備え、
前記並列配線及び前記オープンスタブは、導体を間に挟まないで対向する第1対向部及び第2対向部をそれぞれ含む、
フィルタ装置。
【0159】
<2>
<1>に記載のフィルタ装置であって、
前記並列配線は、前記第3配線層に設けられ、少なくとも一部が前記第1対向部である第1電極を含み、
前記オープンスタブは、前記第3配線層に設けられ、少なくとも一部が前記第2対向部である第2電極を含む、
フィルタ装置。
【0160】
<3>
<1>又は<2>に記載のフィルタ装置であって、
前記積層基板は、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に位置する第4配線層と、
前記第1配線層と前記第4配線層との間に位置する第3誘電体層と、
をさらに含み、
前記並列配線は、前記第3配線層に設けられる第1電極を含み、
前記オープンスタブは、前記第4配線層に設けられる第3電極を含み、
前記第1電極の少なくとも一部である第1部分と前記第3電極の少なくとも一部である第2部分とが、それぞれ互いに対向する前記第1対向部及び前記第2対向部である、
フィルタ装置。
【0161】
<4>
<3>に記載のフィルタ装置であって、
前記オープンスタブは、前記第3配線層に設けられる第2電極をさらに含み、
前記第1電極の少なくとも一部である第3部分及び前記第2電極の少なくとも一部である第4部分が、それぞれ互いに対向する前記第1対向部及び前記第2対向部であり、
前記第1部分及び前記第2部分によって形成されるキャパシタの容量と、前記第3部分及び前記第4部分によって形成されるキャパシタの容量と、は略同じである、
フィルタ装置。
【0162】
<5>
<3>に記載のフィルタ装置であって、
前記オープンスタブは、前記第3配線層に設けられる第2電極をさらに含み、
前記第1電極の少なくとも一部である第3部分及び前記第2電極の少なくとも一部である第4部分が、それぞれ互いに対向する前記第1対向部及び前記第2対向部であり、
前記第1部分及び前記第2部分によって形成されるキャパシタの容量と、前記第3部分及び前記第4部分によって形成されるキャパシタの容量と、は異なる、
フィルタ装置。
【0163】
<6>
<1>から<5>のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記並列配線は、前記第1誘電体層又は前記第2誘電体層を貫通し、かつ、前記並列受動素子と前記基準電極とを電気的に接続する第1ビアであって、少なくとも一部が前記第1対向部である前記第1ビアを含み、
前記オープンスタブは、
前記第1誘電体層又は前記第2誘電体層を貫通し、少なくとも一部が前記第2対向部である第2ビアを含む。
【0164】
<7>
<1>から<6>のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記積層基板を積層方向に沿って平面視したときに、前記基準電極と前記オープンスタブとが重なる、
フィルタ装置。
【0165】
<8>
<1>から<7>のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記並列配線は、
前記第1誘電体層を貫通し、かつ、前記並列受動素子に電気的に接続される第1ビアと、
前記第2誘電体層を貫通し、かつ、前記第1ビアと前記基準電極とを電気的に接続する第2ビアと、
を含み、
前記第1ビアの断面積と前記第2ビアの断面積とは異なる、
フィルタ装置。
【符号の説明】
【0166】
11、12、13、14、15…フィルタ装置
21、23、24、25…等価回路
31…入力端子
32…出力端子
40、41a、41b、42、43a、43b、44…ビア
50…基準電極
51、52…電極
60、63…直列受動素子
61、62…並列受動素子
71a、71b、71c、71d、71e、71f…第1対向部
72a、72b、72c、72d、72e、72f…第2対向部
111…積層基板
121、122、123、124、125…誘電体層
131、132、133、134、135…配線層
211…オープンスタブ
240a、240b…ビア
250、251…電極
451…フィルタ回路
452…バンドパスフィルタ
453…スタブ回路
454…ローパスフィルタ回路
Es1、Es2、Es3…電極
Vs1、Vs2…ビア
S1…直列配線
P1、P2…並列配線
B1、B2…分岐配線
N1、N2、N3、N11…ノード
L1…インダクタ
C1、C2…キャパシタ
L11、L12、L13、L14…インダクタ
L21、L22、L23、L24…インダクタ
C11、C21…キャパシタ
C301、C302、C305、C306…層内キャパシタ
C303、C304…層間キャパシタ
L201、L202、L203、L204…インダクタ
C201…キャパシタ