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特開2024-66889処理方法、処理プログラムおよび処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066889
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】処理方法、処理プログラムおよび処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20240509BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240509BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20240509BHJP
   B21J 13/10 20060101ALN20240509BHJP
【FI】
G06T7/60 150Z
G06T7/70 A
B25J13/08 A
B21J13/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176671
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雪哉
(72)【発明者】
【氏名】沼宮内 隆一
【テーマコード(参考)】
3C707
4E087
5L096
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707KS03
3C707KT03
3C707KT06
3C707LT12
4E087AA08
4E087CA28
4E087GA03
4E087GA20
4E087HA82
5L096AA06
5L096FA06
5L096FA32
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA68
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】母材の輪郭を適切に抽出することができる処理方法、処理プログラムおよび処理システムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る処理方法は、処理対象物の、三次元空間における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、処理対象物の画像情報を取得する画像取得ステップと、処理対象物の画像において、該処理対象物の輪郭として抽出した複数の抽出点を用いて、抽出点の点数が互いに異なる複数種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出するスケール検出ステップと、位置情報およびスケールの検出情報に基づいて、搬送アームの処理部への搬送位置を補正する補正ステップと、補正後の搬送位置に搬送された処理対象物に対して処理を施す処理ステップと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送アームによって処理対象物を処理部に搬送して、当該処理対象物に処理を施す処理方法であって、
前記処理部とは異なる位置に設けられた位置情報取得部へ前記処理対象物を搬送する搬送ステップと、
前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の、三次元空間における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の画像情報を取得する画像取得ステップと、
前記処理対象物の画像において、該処理対象物の輪郭として抽出した複数の抽出点を用いて、抽出点の点数が互いに異なる複数種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出するスケール検出ステップと、
前記位置情報および前記スケールの検出情報に基づいて、前記搬送アームの前記処理部への搬送位置を補正する補正ステップと、
補正後の搬送位置に搬送された前記処理対象物に対して処理を施す処理ステップと、
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項2】
前記補正ステップは、前記スケールとして検出された抽出点を除外した抽出点によって構成される前記処理対象物の輪郭を用いて前記搬送位置を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記スケール検出ステップは、抽出点の点数が互いに異なる二つの移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項4】
前記スケール検出ステップは、10点移動平均点および30点移動平均点からそれぞれ近似曲線を算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の処理方法。
【請求項5】
搬送アームによって処理対象物を処理部に搬送して、当該処理対象物に処理を施す処理プログラムであって、
前記処理部とは異なる位置に設けられた位置情報取得部へ前記処理対象物を搬送する搬送ステップと、
前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の、三次元空間における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の画像情報を取得する画像取得ステップと、
前記処理対象物の画像において、該処理対象物の輪郭として抽出した複数の抽出点を用いて、抽出点の点数が互いに異なる複数種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出するスケール検出ステップと、
前記位置情報および前記スケールの検出情報に基づいて、前記搬送アームの前記処理部への搬送位置を補正する補正ステップと、
補正後の搬送位置に搬送された前記処理対象物に対して処理を施す処理ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする処理プログラム。
【請求項6】
処理対象物を搬送する搬送アームと、
前記搬送アームによって搬送された前記処理対象物に処理を施す処理部と、
前記処理部とは異なる位置に設けられ、前記処理対象物の、三次元空間における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の画像情報を取得する画像取得部と、
前記処理対象物の画像において、該処理対象物の輪郭として抽出した複数の抽出点を用いて、抽出点の点数が互いに異なる複数種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出するスケール検出部と、
前記位置情報および前記スケールの検出情報に基づいて、前記搬送アームの前記処理部への搬送位置を補正する補正部と、
を備え、
前記搬送アームは、前記処理対象物を、補正後の搬送位置に搬送する、
ことを特徴とする処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理方法、処理プログラムおよび処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍛造によって製品を作製する際、搬送アームを用いて鍛造対象の母材を搬送し、母材に鍛造処理を施す方法が知られている。搬送アームは、母材を把持し、回転や伸縮によって、鍛造装置の所定の位置に母材を配置する(例えば、特許文献1を参照)。母材の配置に際し、母材の位置や向きを検出するために、母材の画像を撮像し、該画像を用いて当該母材と、予め設定されている基準位置との位置関係を補正している。この際、母材の輪郭の検出は、例えばエッジ抽出を用いて行われる(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-159363号公報
【特許文献2】特開2010-256053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、母材に加熱処理が施されている場合、母材表面にスケールが付着することがある。母材へのスケールの付着位置によっては、エッジの抽出が不正確となり、母材の輪郭を適切に抽出できない場合があった。母材の輪郭を適切に抽出できないと、母材の搬送位置も基準位置からずれてしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、母材の輪郭を適切に抽出することができる処理方法、処理プログラムおよび処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る処理方法は、搬送アームによって処理対象物を処理部に搬送して、当該処理対象物に処理を施す処理方法であって、前記処理部とは異なる位置に設けられた位置情報取得部へ前記処理対象物を搬送する搬送ステップと、前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の、三次元空間における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の画像情報を取得する画像取得ステップと、前記処理対象物の画像において、該処理対象物の輪郭として抽出した複数の抽出点を用いて、抽出点の点数が互いに異なる複数種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出するスケール検出ステップと、前記位置情報および前記スケールの検出情報に基づいて、前記搬送アームの前記処理部への搬送位置を補正する補正ステップと、補正後の搬送位置に搬送された前記処理対象物に対して処理を施す処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る処理方法は、上記発明において、前記補正ステップは、前記スケールとして検出された抽出点を除外した抽出点によって構成される前記処理対象物の輪郭を用いて前記搬送位置を補正する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る処理方法は、上記発明において、前記スケール検出ステップは、抽出点の点数が互いに異なる二つの移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る処理方法は、上記発明において、前記スケール検出ステップは、10点移動平均点および30点移動平均点からそれぞれ近似曲線を算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る処理プログラムは、搬送アームによって処理対象物を処理部に搬送して、当該処理対象物に処理を施す処理プログラムであって、前記処理部とは異なる位置に設けられた位置情報取得部へ前記処理対象物を搬送する搬送ステップと、前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の、三次元空間における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の画像情報を取得する画像取得ステップと、前記処理対象物の画像において、該処理対象物の輪郭として抽出した複数の抽出点を用いて、抽出点の点数が互いに異なる複数種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出するスケール検出ステップと、前記位置情報および前記スケールの検出情報に基づいて、前記搬送アームの前記処理部への搬送位置を補正する補正ステップと、補正後の搬送位置に搬送された前記処理対象物に対して処理を施す処理ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る処理システムは、処理対象物を搬送する搬送アームと、前記搬送アームによって搬送された前記処理対象物に処理を施す処理部と、前記処理部とは異なる位置に設けられ、前記処理対象物の、三次元空間における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部に搬送された前記処理対象物の画像情報を取得する画像取得部と、前記処理対象物の画像において、該処理対象物の輪郭として抽出した複数の抽出点を用いて、抽出点の点数が互いに異なる複数種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する抽出点をスケールとして検出するスケール検出部と、前記位置情報および前記スケールの検出情報に基づいて、前記搬送アームの前記処理部への搬送位置を補正する補正部と、を備え、前記搬送アームは、前記処理対象物を、補正後の搬送位置に搬送する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、母材の輪郭を適切に抽出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施の形態において製造されるスタビライザーの構成の一例を示す側面図である。
図2図2は、図1に示すスタビライザーを作製するための母材であって、鍛造による貫通孔形成前の母材を示す図である。
図3図3は、図1に示すスタビライザーを作製するための処理システムを示す図である。
図4図4は、図3に示す補正情報取得装置を示す図である。
図5図5は、処理システムが実行する鍛造処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、補正情報取得処理について説明する図(その1)である。
図7図7は、補正情報取得処理について説明する図(その2)である。
図8図8は、補正情報取得処理について説明する図(その3)である。
図9図9は、スケール検出処理について説明する図(その1)である。
図10図10は、スケール検出処理について説明する図(その2)である。
図11図11は、スケール検出処理について説明する図(その3)である。
図12図12は、補正情報取得処理について説明する図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態において製造されるスタビライザーの構成の一例を示す側面図である。図1に示すスタビライザー1は、金属や、各種繊維(例えば炭素繊維)によって形成される。スタビライザー1は、両端が屈曲し、中央部が直線状に延びる本体部2と、本体部2の一端に設けられる第1端部3と、本体部2の他端に設けられる第2端部4とを有する。
【0016】
本体部2は、柱状、例えば円柱状をなして延びる。本体部2は、中実であってもよいし、中空であってもよい。
【0017】
第1端部3は、平板状をなす。第1端部3には、板厚方向に貫通する貫通孔31が形成される。例えば、貫通孔31は、外縁と貫通孔31との距離W1、W2によって、その形成位置が設計される。
第2端部4は、平板状をなす。第2端部4には、板厚方向に貫通する貫通孔41が形成される。
例えばスタビライザー1が自動車に設けられる場合、第1端部3は左右に配置されるサスペンションのうちの一方のサスペンションに接続し、第2端部4は他方のサスペンションに接続する。この際、各端部は、貫通孔を介してサスペンションに固定される。
【0018】
スタビライザー1は、母材を加工することによって作製される。例えば、柱状の母材を屈曲させた後、両端部をそれぞれ加圧して平板状とし、各端部に貫通孔を形成する。
【0019】
図2は、図1に示すスタビライザーを作製するための母材であって、鍛造による貫通孔形成前の母材を示す図である。スタビライザー1は、例えば、母材10の端部に貫通孔を形成することによって作製される。母材10は、両端が屈曲してなる本体部11と、本体部11の一端に設けられる第1端部12と、本体部11の他端に設けられる第2端部13とを有する。母材10は、棒状に延びる材料を湾曲させた後、端部をプレスして該端部を平板状とすることによって作製される。
鍛造処理では、この母材10を鍛造位置に搬送して第1端部12および第2端部13に貫通孔を形成する。
【0020】
続いて、上述した母材10の両端に貫通孔を形成する鍛造処理について、図3図9を参照して説明する。図3は、図1に示すスタビライザーを作製するための鍛造処理システムを示す図である。鍛造処理システム100は、母材10に対して鍛造処理を施す鍛造処理装置200と、鍛造処理装置200を電気的に制御する制御装置300とを備える。
【0021】
鍛造処理装置200は、母材10を搬送するとともに、鍛造処理後の母材10(スタビライザー1)を搬送する搬送部210と、母材10に鍛造処理を施す鍛造処理部220と、搬送部210が搬送する母材10の位置を補正するための補正情報を取得する補正情報取得部230と、搬送部210が搬送する母材10を保持し、鍛造する母材10を供給する供給部240と、鍛造処理後の母材10が搬送され、該母材10を外部へ排出する排出部250とを備える。なお、図3に示す鍛造処理装置200は、当該鍛造処理装置200を上方からみた配置図に相当する。この配置図において、底面(装置配設面)に相当する平面をXY平面、該XY平面と直交する方向をZ方向とする。この際、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。なお、Z方向を高さ方向ということがある。この高さ方向は、鉛直方向、すなわち重力の方向と平行な方向である。
【0022】
搬送部210は、搬送アーム211を有する。搬送アーム211は、制御装置300の制御のもと、供給部240から母材10を取り出し、補正情報取得部230および鍛造処理部220を経由して排出部250に搬送する。なお、搬送アーム211は、各部における母材10の処理が可能な位置に搬送可能な態様に伸縮、回転する複数のアームおよび関節を有する。
【0023】
鍛造処理部220は、搬送アーム211が搬送する母材10に対し、鍛造処理や、バリおよびスケールの除去処理を施す。鍛造処理部220は、Z方向に進退するパンチを有する。このため、鍛造処理部220では、母材10に対してZ方向に貫通する貫通孔が形成される。
【0024】
補正情報取得部230は、X方向、Y方向およびZ方向の位置を補正するための情報を取得し、制御装置300に送信する。
【0025】
図4は、図3に示す補正情報取得装置を示す図である。補正情報取得部230は、投光部231と、受光部232と、撮像部323と、照明部234とを有する。
【0026】
投光部231は、母材10のZ方向の位置を検出するための光を出射する、投光部231は、例えば、紫外領域の波長帯域の光や、赤外領域の波長帯域の光(赤外光)を出射する。投光部231は、X方向に光を出射する。
【0027】
受光部232は、投光部231が出射した光を受光可能な位置に設けられる。受光部232は、受光素子を用いて構成される。受光素子としては、Z方向における物体の位置を検出できるものであればよく、例えば、PSD(Position Sensitive Detector)や、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等が挙げられる。以下、受光素子としてCCDを用いる場合について説明する。受光部232は、受光素子としてCCDを備える場合、YZ平面上に複数の画素が配列された受光面を形成し、各画素が検出した検出値(受光強度)を制御装置300に出力する。
投光部231および受光部232によって、母材10の端部のZ方向の位置を検出する変位センサを構成する。
【0028】
撮像部233は、搬送された母材10の端部(第1端部12または第2端部13)を撮像する。撮像部233は、撮像光学系の光軸がXY平面と直交しており、このXY平面と平行な平面を撮像面として撮像する。撮像部233は、撮像によって生成された画像信号を制御装置300に出力する。撮像部233は、例えば、CCD、CMOS等のイメージセンサを用いて構成される。
【0029】
照明部234は、撮像部233の撮像領域を照明する。照明部234は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、レーザ光源、キセノンランプ等のランプ光源を用いて構成される。
【0030】
図3に戻り、制御装置300は、鍛造処理装置200の動作を電気的に制御する。制御装置300は、変位情報取得部301と、高さ計測部302と、画像取得部303と、スケール検出部304と、シフト量算出部305と、制御部306と、記憶部307とを有する。
【0031】
変位情報取得部301は、受光部232と通信可能に接続される。変位情報取得部301は、受信した検出値を制御部306に出力する。変位情報取得部301は、通信インタフェースを用いて構成される。変位情報取得部301は、位置情報取得部に相当する。
【0032】
高さ計測部302は、変位情報取得部301が取得した検出値に基づいて、搬送された母材10の高さを計測する。高さ計測部302は、受光部232の各画素の受信強度に基づいて、母材10の端部の位置を計測する。例えば、投光部231と受光部232との間に母材10の端部が存在すると、投光部231からの光が遮られ、対応する画素の受光強度が低下する。高さ計測部302は、画素の受信強度が低い位置を端部存在位置として、母材10の端部が存在している高さを計測する。ここでいう高さは、予め設定されている基準位置からの、Z方向のずれ量に相当する。
【0033】
画像取得部303は、撮像部233と通信可能に接続される。画像取得部303は、受信した画像信号を制御部306に出力する。画像取得部303は、通信インタフェースを用いて構成される。
【0034】
スケール検出部304は、画像取得部303が取得した画像信号を用いて、母材表面に付着するスケールの検出を行う。
【0035】
シフト量算出部305は、画像取得部303が取得した画像信号、およびスケール検出部304の検出結果を用いて、母材10の端部の、予め設定されている基準位置からのずれを、シフト量として算出する。本実施の形態では、シフト量算出部305は、X方向、Y方向およびZ方向の基準位置からのずれ量を算出する。ここで、シフト量算出部305は、例えば、X方向、Y方向については、画像信号を用いてシフト量を算出し、Z方向については高さ計測部302が計測した高さに基づいてシフト量を算出する。シフト量算出部305は、補正部に相当する。
【0036】
制御部306は、当該制御装置300、および鍛造処理装置200の各構成部品の動作処理を制御する。制御部306は、例えば、高さ計測部302が計測した高さが、予め設定されている高さであるか否かを判定したり、その判定結果に基づいて母材10の端部位置を調整させたりする。また、制御部306は、シフト量算出部305が算出したシフト量に基づいて、搬送アーム211による母材10の搬送位置を制御する。
【0037】
高さ計測部302、スケール検出部304、シフト量算出部305および制御部306は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等のプロセッサを用いて構成される。
【0038】
記憶部307は、制御部306が各種動作を実行するためのプログラム(例えば後述する鍛造処理を実行するためのプログラム)や、位置補正に関する閾値等を記憶する。記憶部307は、揮発性メモリや不揮発性メモリを用いて構成されるか、またはそれらを組み合わせて構成される。例えば、記憶部307は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を用いて構成される。
【0039】
そのほか、制御装置300は、当該制御装置300の動作に関する各種信号の入力を受け付ける入力部や、画像を表示させたり、音や光を出力させたりする出力部を有してもよい。入力部は、キーボード、マウス、スイッチ、タッチパネル等を用いて構成される。出力部は、ディスプレイや、スピーカー、光源等を用いて構成される。
【0040】
続いて、鍛造処理システム100が行う鍛造処理について、図5図12を参照して説明する。図5は、鍛造処理システムが実行する鍛造処理の流れを示すフローチャートである。図6図8図12は、補正情報取得処理について説明する図である。図9図11は、スケール検出処理について説明する図である。
【0041】
まず、搬送アーム211によって、供給部240からワークを取り出す(ステップS101)。以下、ワークが、図2に示す形状をなす母材10であり、鍛造処理によって貫通孔31、41を形成する例について説明する。
【0042】
搬送アーム211は、ワークを補正情報取得部230へ搬送する(ステップS102)。搬送アーム211は、予め設定されている長さにアームを伸縮するとともに、設定された角度で関節を回転させることによって、ワークを補正情報取得部230に配置する。この際、例えば図6に示すように、母材10の一方の端部(第1端部12または第2端部13)が、投光部231と受光部232との間に配置される。
【0043】
ワークが補正情報取得部230に搬送されると、高さ計測部302がワークの高さを計測する(ステップS103:位置情報取得ステップ)。高さ計測部302は、変位センサ(受光部232)から検出値を受信し、各画素の受信強度に基づいて、ワーク(母材10の端部)の位置(高さ)を計測する。高さ計測部302は、計測した高さを制御部306に出力する。
【0044】
制御部306は、計測された高さが、予め設定されている基準範囲内であるか否かを判断する(ステップS104)。制御部306は、計測された高さが基準範囲内である場合(ステップS104:Yes)、ステップS106に移行する。これに対し、制御部306は、計測された高さが基準範囲から外れている場合(ステップS104:No)、ステップS105に移行する。
【0045】
ステップS105において、制御部306は、例えば、計測された高さの代表値と、基準範囲の代表値との差分をとって、該差分に応じた高さだけワークを移動させる。ここで、代表値は、Z方向の中央値や、最高値、最低値等が用いられる。搬送アーム211は、差分に応じた距離、Z方向にワークを移動させる。例えば、図6に示す矢印Q1方向(Z方向)に母材10を移動させることによって、図7に示すように、第1端部12の位置が調整される。この調整によって、撮像部233による撮像位置のうち、光軸方向の位置が調整される。
なお、高さごとに異なる補正値を記憶部307に予め記憶させておき、計測された高さに応じて決定される補正値を光軸方向の位置調整用の補正値としてもよい。
【0046】
ステップS106において、制御部306は、撮像部233に撮像処理を実行させる(画像取得ステップ)。制御部306は、照明部234に照明光を出射させるとともに、撮像部233に撮像処理を実行させる(図8参照)。撮像部233は、ワークを撮像して画像信号を制御装置300(画像取得部303)に出力する。画像信号には、撮像した画像や、撮像時刻等の画像情報を含む。
【0047】
撮像処理後、制御部306は、スケール検出部304にスケール検出処理を実行させる(ステップS107:スケール検出ステップ)。スケール検出部304は、撮像信号を用いて母材10の端部におけるスケールの検出処理を実行する。例えば、図9に示す第1端部12の画像において、スケール検出部304は、エッジ検出などの公知の方法を用いて、第1端部12の輪郭を抽出する。この際、抽出結果として、所定の間隔で複数の抽出点が生成される。なお、本実施の形態では、第1端部12に対して、10個の抽出点に基づく10点移動平均点から近似曲線L10を算出するとともに、30個の抽出点に基づく30点移動平均点から近似曲線L30を算出する。
なお、移動平均点は、互いに異なる抽出点によるものであればよいが、スケールによる形状の変化の差異を大きくするという観点で、各異動平均点の個数の差は大きい方が好ましい。また、本実施の形態では、移動平均点が二種である例について説明するが、三種以上の複数種の移動平均点を用いてそれぞれの近似曲線を算出するようにしてもよい。
【0048】
近似曲線は、n個の抽出点に対して(n-1)次式で近似した関数として生成される。この際、(n-1)次関数の係数は、例えば、下式(1)によって算出される。
【数1】
iおよびYiはXY直交座標系における検出点の移動平均、a、b、c、・・・は各項の係数または切片を示す。
例えば、5次式(n=1)で近似した関数である場合、Yi=aXi 4+bXi 3+cXi 2+dXi+eとなり、上式(1)によって係数a~dおよび切片eがそれぞれ算出される。
【0049】
ここで、各近似曲線には、それぞれ閾値が設定される。具体的には、近似曲線L10に対し、当該近似曲線L10からの距離を閾値とする範囲が設定される。この距離は、端部の長手軸(例えば、図9に示す軸N)に対して直交する方向の距離である。例えば、図10では、紙面上下方向を長手軸方向とし、紙面左右方向の距離に応じた範囲が設定される。また、この左右方向を、左側を第1端部12に対して第2端部13とは反対側(OUT側)、右側を第1端部12に対して第2端部13と向かい合う側(IN側)とする。図10の例では、近似曲線L10に対して、OUT側の閾値TO10およびIN側の閾値TI10によって決まる輪郭判定範囲TH10が設定される。また、近似曲線L30に対して、OUT側の閾値TO30およびIN側の閾値TI30によって決まる輪郭判定範囲TH30が設定される。
【0050】
スケール検出部304は、各抽出点が、輪郭判定範囲TH10と輪郭判定範囲TH30とが重複する領域(図10ではハッチングで示す領域)外に位置しているか否かを判定する。スケール検出部304は、判定対象の抽出点が領域外に位置している場合に、当該抽出点が示す輪郭位置がスケールに因るものであると判定し、スケールとして検出する。一方、スケール検出部304は、判定対象の抽出点が領域内に位置している場合に、当該抽出点が示す輪郭位置は、第1端部12の輪郭上にあると判定する。スケール検出部304は、各抽出点について、それぞれスケールに因るものであるか、第1端部12の輪郭上にあるものかを判定する。例えば、図11では、スケールによるものと判定された抽出点を○、第1端部12の輪郭上にあると判定された抽出点を●で示している。
【0051】
シフト量算出部305は、画像取得部303が取得した画像信号と、スケール検出部304の検出結果とに基づいてシフト量を算出する(ステップS108:補正ステップ)。シフト量算出部305は、母材10の端部の画像から、XY平面における端部位置のずれ(シフト量)を算出する。この際、シフト量算出部305は、スケール起因であると判定された抽出点については、端部位置の算出対象から除外する。シフト量算出部305は、画像に写る母材10の端部が、予め設定されている位置からのX方向、Y方向のずれをそれぞれ算出する。シフト量算出部305は、例えば輪郭抽出等によって画像における端部位置を検出し、X方向における端部位置と、X方向の基準位置との差分を、X方向のずれとして算出する。また、シフト量算出部305は、検出されたY方向の端部位置と、Y方向の基準位置との差分を、Y方向のずれとして算出する。
シフト量算出部305は、X方向のずれ、Y方向のずれ、および、Z方向のずれを関連付けたシフト量を、制御部306に出力する。ここで、Z方向のずれは、ステップS104において算出された差分が用いられる。なお、ステップS104において高さの基準範囲を満たしていると判断された場合には、Z方向のずれをゼロとしてもよい。また、高さごとに設定される補正値を用いる場合は、Z方向のシフト量には補正値が設定される。
【0052】
その後、制御部306は、シフト量に基づいて、搬送アーム211が搬送する位置を補正して、鍛造処理部220におけるワーク搬送位置を設定する(ステップS109)。制御部306は、鍛造処理部220へワークを搬送する際の、予め設定されているアーム長さや関節の回転角度を、シフト量に応じて補正する。搬送アーム211は、制御部306の制御のもと、補正後の搬送位置へワークを搬送する。
【0053】
搬送アーム211によってワークが補正情報取得部230から移動し(図12参照)、鍛造処理部220に搬送されると、鍛造処理部220において、鍛造処理が実施される(ステップS110:処理ステップ)。例えば、鍛造処理部220では、母材10の端部に対してピアストリムを実施して貫通孔を形成する。また、貫通孔形成後、バリやスケールの除去処理が実施される。
【0054】
その後、制御部306は、当該ワークの他の部分に鍛造処理を施す必要があるか否かを判断する(ステップS111)。例えば、制御部306は、母材10の他端部に貫通孔を形成する必要があるか否かを判断する。制御部306は、当該ワークの他の部分に鍛造処理が必要であると判断した場合(ステップS111:Yes)、ステップS102に戻り、他の部分に対する鍛造処理を実施する。これに対し、制御部306は、ワークの他の部分に鍛造処理を施す必要がないと判断した場合(ステップS111:No)、ステップS112に移行する。
【0055】
ステップS112において、搬送アーム211は、制御部306の制御のもと、鍛造処理後のワークを排出部250へ搬送する。このようにして、一つのワークに対して鍛造処理が実施される。
【0056】
以上説明した本発明の実施の形態では、母材の画像において、該母材の輪郭として抽出した複数の検出点を用いて、検出点の点数が互いに異なる二種の移動平均点から近似曲線をそれぞれ算出し、各近似曲線において設定される輪郭判定範囲が重複する領域外に位置する検出点をスケールとして検出するようにした。本実施の形態によれば、スケールとして検出された検出点を除いた検出点を母材の輪郭として処理するため、母材の輪郭を適切に抽出することができる。これにより、母材の中心軸の検出ずれが抑制され、処理位置の位置ずれを抑制することができる。
【0057】
さらに、本実施の形態によれば、ワークの処理箇所ごと、ワークごとに位置補正を実施することによって、ワーク内における処理位置のずれや、個体間の処理位置のずれを抑制することができる。
【0058】
なお、実施の形態では、二つの近似曲線を算出する例について説明したが、例えば、移動平均点を算出する抽出点数が多い方(ここでは30点移動平均点)については近似直線を生成するようにしてもよい。
【0059】
また、実施の形態では、近似曲線に対してOUT側およびIN側の閾値をそれぞれ設定する例について説明したが、他の近似曲線との重複領域が発生しない側が存在する場合は、他の近似曲線との重複領域が発生する側のみに閾値を設定するようにしてもよい。
【0060】
また、実施の形態では、近似曲線に対する閾値が、予め設定されている固定値である例について説明したが、条件に応じて変動するようにしてもよい。例えば、近似曲線の平滑度や、曲線の曲率に応じて閾値が変化するようにしてもよい。
【0061】
また、実施の形態では、母材の端部の外縁が曲線を含む例について説明したが、外縁が直線からなる場合であっても適用することができる。
【0062】
また、実施の形態では、変位センサ(投光部231および受光部232)と、撮像部233とによって、X方向、Y方向およびZ方向のずれを補正するための情報を取得するようにしたが、各方向のずれを補正するための情報を取得できれば、撮像部のみ、または三次元的に位置を検出するセンサによって補正情報取得部230を構成してもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、X方向、Y方向およびZ方向の3方向のずれについて搬送アーム211の搬送位置を補正する例について説明したが、各方向の軸のまわりの回転角を検出して、搬送位置に反映してもよい。この場合、例えば、画像における端部の大きさをもとにX方向の軸のまわりの回転角度を検出し、関節の回転角度に反映する。
【0064】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、転造処理や、バリ除去処理を施して製造する製品に対して適用可能である。
【0065】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0066】
以上説明したように、本発明に係る鍛造方法および鍛造処理システムは、鍛造位置の位置ずれを抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0067】
1 スタビライザー
2、11 本体部
3、12 第1端部
4、13 第2端部
10 母材
31、41 貫通孔
100 鍛造処理システム
200 鍛造処理装置
210 搬送部
211 搬送アーム
220 鍛造処理部
230 補正情報取得部
231 投光部
232 受光部
233 撮像部
234 照明部
240 供給部
250 排出部
300 制御装置
301 変位情報取得部
302 高さ計測部
303 画像取得部
305 シフト量算出部
304 スケール検出部
306 制御部
307 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12