(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006689
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】冷却具
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20240110BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20240110BHJP
A41D 23/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/05 112
A41D23/00 D
A41D23/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107814
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】519458691
【氏名又は名称】株式会社サンクラウド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン グァンオ
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA00
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC19
3B211AA00
3B211AB01
3B211AC01
3B211AC19
(57)【要約】
【課題】上昇した身体の温度を下げるとともに、虫、害虫などから身体を保護する冷却具を提供すること。
【解決手段】チューブ内に充填される相変化物質(PCM、phase change materials)とともに防虫物質を充填して防虫効果を得ることができるようにする冷却具に関するものであって、下部が開き可能なように開放された開放部から円弧形のチューブからなり、液注入口を介して相変化物質が充填されて、自体復元力により人の首に着用される冷却具において、前記チューブ内部に相変化物質とともに揮散性である防虫物質が液注入口を介して充填され、前記チューブは、気体透性フィルムで形成されて、前記防虫物質がガス形態でチューブ外に揮散され
ることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部が開き可能なように開放された開放部から円弧形のチューブからなり、液注入口を介して充填物質が充填されて、自体復元力により人の首に着用される冷却具において、
前記チューブ内部に充填された充填物質は、相変化物質とともに揮散性である防虫物質が液注入口を介して充填され、前記チューブは、気体透過性フィルムで形成されて、前記防虫物質がガス形態でチューブ外に揮散されることを特徴とする冷却具。
【請求項2】
前記チューブに充填される充填物質は、重量に対して相変化物質が90~98%であり、防虫物質が2~10%であることを特徴とする請求項1に記載の冷却具。
【請求項3】
前記防虫物質は、シトロネラオイル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオイルのうち、いずれか1つであり、または、シトロネラオイル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオイルのうち、少なくとも2つが混合されたことを特徴とする請求項1または2に記載の冷却具。
【請求項4】
前記チューブの気体透過性フィルムの厚みは、0.25~0.35mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首に着用して身体の上昇した体温を下げる冷却具に関し、特に、チューブ内に充填される相変化物質(PCM、phase change materials)とともに防虫物質を充填して防虫効果を得ることができるようにする冷却具に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸し暑い夏季または厨房など、温度が高い環境に露出された人の場合、首に例えば、冷たい氷嚢や冷たい水に濡らして温度が低くなった手拭いなどを当てると、特に、首の左右にあり、心臓から首を経て顔と脳に血液を供給する頚動脈及び首の後から脳に上がる椎骨動脈などの血液が冷却されて、顔と頭が極めて速く涼しくなることを感じることができ、血液の移動によって体全体もある程度冷却効果を得ることができる。これにより、体全体を冷却しなくても、比較的効果的に暑さを感じないようになることができる。このような理由のため、従来に暑い環境で仕事をする作業者や夏季のような場合に、特に、首を冷却させることにより、暑い環境を打ち勝つことができるようにする冷却具に相変化物質を充填する様々な提案等があった。
【0003】
「相変化物質」という用語は、PCM(phase change material)としてよく知られている。これは、0℃で相変化を起こす水でない他の物質を称し、例えば、5℃、10℃、18℃、または28℃などのように、ユーザの望む温度で物質の状態が変化しながら多くの熱を吸収または放出できる物質を意味する。この物質は、主に潜熱を用い、蓄熱物質と呼ばれることもある。一般に、PCMは、ハイドロカーボン系のテトラデカン、オクタデカン、ノナデカンなどの有機物質、水和物形態の塩化カルシウムなどのような無機物質、及び自然で得ることができる植物性物質に分類されることができる。アメリカ航空宇宙国(NASA)の研究によれば、実質的に適用可能なPCMは、100~200余種と報告されている。元々、PCMは、宇宙飛行船と宇宙飛行士を外部温度変化から保護するために開発されたが、近来には、常温用(5℃蓄熱)PCMを用いた冷暖房システムなどのように、一般消費者用としても広く応用されている実情である。
【0004】
特許文献1の韓国公開特許第10-2019-0011637号公報(発明の名称:冷却チューブリング及びその製造方法)と、特許文献2の特許第6895671号公報とは、リング形態の冷却用ネックバンド下部が開放された円弧形のチューブであって、チューブ内部に相変化物質(PCM)が充填されて首に着用することにより、身体の上昇した体温を下げるようになることを開示している。
【0005】
前記先行技術は、相変化物質を用いて身体の温度を下げる役割をするだけであり、他の機能はできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0011637号公報
【特許文献2】特許第6895671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上昇した身体の温度を下げるとともに、虫、害虫などから身体を保護する冷却具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本発明によって提供される冷却具により達成される。
本発明の冷却具は、下部が開き可能なように開放された開放部から円弧形のチューブからなり、液注入口を介して充填物質が充填されて、自体復元力により人の首に着用される冷却具において、前記チューブ内部に充填された充填物質は、相変化物質とともに揮散性である防虫物質が液注入口を介して充填され、前記チューブは、気体透過性フィルムで形成されて、前記防虫物質がガス形態でチューブ外に揮散されることを特徴とする。
【0009】
前記チューブに充填される充填物質は、重量に対して相変化物質が90~98%であり、防虫物質が2~10%であることを特徴とする。
【0010】
前記防虫物質は、シトロネラオイル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオイルのうち、いずれか1つであり、または、シトロネラオイル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオイルのうち、少なくとも2つが混合されたことを特徴とする。
【0011】
前記チューブの気体透過性フィルムの厚みは、0.25~0.35mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷却具によれば、基本的にチューブに充填された相変化物質により上昇した身体の温度を下げる効果とともに、防虫物質が気体透過性チューブを介して外へ揮散されて、虫、害虫などから身体を保護する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却具の斜視写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付された図面を参照して従来及び本発明を具体的な例を挙げて説明すれば、次のとおりである。
【0015】
図1に示されたように、本発明の冷却具であるネッククーリングチューブ10は、下部が開き可能なように開放された開放部12から円弧形のチューブ14からなり、別の締結手段なしに自体復元力により人の首に着用できるように形成され、チューブ14内部に充填物質である相変化物質20とともに揮散性を有する防虫物質30が液注入口16を介して充填され、前記チューブ14は、気体透過性フィルムで形成されて構成される。
【0016】
前記ネッククーリングチューブ10は、チューブ14内に所定の温度で液体-固体に相変化する相変化物質20が充填されており、相変化物質20とともに所定温度で液体-固体に相変化する防虫物質30が充填される。
【0017】
一例として、相変化物質20は人の体温よりも低い10℃から30℃までの範囲に相変化温度(融点)が設けられている。また、防虫物質30は、後述のとおりガス形態となってチューブ14外に揮散されるべく、相変化物質20の相変化温度(融点)において、液体であることが好ましい。
【0018】
前記チューブ14は、弾性変形が可能な熱可塑性ポリウレタン(TPU)素材であって、気体透過性を有する。したがって、防虫物質30が液体状態からチューブ14内でガス形態になってチューブ14外に揮散されることである。このとき、相変化物質20は、非揮散性であるため、外へ漏出されない。
【0019】
前記においてチューブ14に充填される充填物質である相変化物質20は、重量に対して90~98%であり、防虫物質30は、2~10%であることが好ましい。
【0020】
ここで、相変化物質20が重量に対して90%以下であれば、ネッククーリングチューブ10の主な作用である冷却効果が落ち、98%以上であれば、冷却効果は高いが、防虫効果が落ちる。防虫物質30が重量に対して2%以下であれば、防虫効果が落ち、10%以上であれば、防虫効果は高いが、冷却効果が落ちる。
【0021】
前記防虫物質は、シトロネラオイル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオイルのうち、いずれか1つであり、または、シトロネラオイル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオイルのうち、少なくとも2つが混合されるのが好ましい。
【0022】
前記シトロネラオイル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオイルは、虫、害虫の防虫に効果があることと知られている。
【0023】
前記においてチューブ14の気体透過性フィルムの厚みは、防虫物質30の揮散性を発揮するために、0.25~0.35mmであることが好ましい。
【0024】
チューブ14の気体透過性フィルムの厚みが0.25mm以下であれば、防虫物質30の揮散性は良いが、チューブ14を介して防虫物質30の揮散が速く進行されて防虫維持時間を短縮させ、チューブ14の自体の剛性を弱化させ、0.35mm以上であれば、チューブ14の自体の剛性は良いが、チューブ14を介しての防虫物質30の揮散がうまくいかず、防虫効果が落ちることになる。
【符号の説明】
【0025】
10 ネッククーリングチューブ(冷却具)
12 開放部
14 チューブ
16 液注入口
20 相変化物質
30 防虫物質