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特開2024-66893情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066893
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240509BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240509BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240509BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/00 D
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176676
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友太
(72)【発明者】
【氏名】吉居 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】井澤 優哉
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181EE05
5H181EE10
5H181FF05
5H181FF10
5H181MB02
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】簡便に運転免許の返納後に関連する情報を得ることができる。
【解決手段】実施形態に係る情報処理システム100は、対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成する移動評価部332と、移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する代替移動評価部333と、移動評価および代替移動評価を表示する表示部240と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成する移動評価手段と、
前記移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する代替移動評価手段と、
前記移動評価および前記代替移動評価を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記代替移動評価手段は、全部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記代替移動評価手段は、前記移動評価に含まれるリスクに応じて一部の移動を前記対象者以外の運転に代替した代替移動評価を生成することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記代替移動評価手段は、前記移動評価に基づいて前記対象者が運転する車両を、安全運転サポート車または自動運転機能を備えた車両に代替した代替移動評価を生成することを特徴とする、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記対象者の運転以外の移動に、前記対象者が移動しなくても移動目的を達成可能な在宅サービスが含まれていることを特徴とする、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記代替移動評価手段は、前記代替移動評価が車両維持費と同等またはそれ以下となるように生成することを特徴とする、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記代替移動評価手段は、前記移動ログから抽出した地点を類似の地点に代替して前記代替移動評価を生成することを特徴とする、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記表示手段は、前記移動評価と前記代替移動評価との比較結果を表示することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記移動評価に前記対象者が運転する車両の維持費用が含まれ、
前記代替移動評価に前記対象者の運転以外の移動で発生する移動費が含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記表示手段は、前記対象者が運転免許を返納するまでの手続および返納特典を利用する場合の手順を表示することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記代替移動評価手段が、運転免許返納に関する自治体のランキングを前記代替移動評価として作成することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータを、
対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成する移動評価手段と、
前記移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する代替移動評価手段と、
として機能させるための情報処理プログラム。
【請求項13】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成する移動評価手段と、
前記移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する代替移動評価手段と、
前記移動評価および前記代替移動評価を表示する表示手段と、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
上記コンピュータの少なくとも1つを上記手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項14】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって、請求項1から11のいずれかに記載の情報処理システムを機能させるために、
上記コンピュータのうちの1つを請求項1から11のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から11のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項16】
通信可能に接続された複数の情報処理装置によって、
対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成する移動評価手段と、
前記移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する代替移動評価手段と、
前記移動評価および前記代替移動評価を表示する表示手段と、
を備えた情報処理システムを構成するために、
上記手段の少なくとも1つを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
コンピュータを、
対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成する移動評価手段と、前記移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する代替移動評価手段と、前記移動評価および前記代替移動評価を表示する表示手段と、して機能させるための情報処理プログラム。
【請求項18】
移動評価手段が、対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成するステップと、
代替移動評価手段が、前記移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成するステップと、
表示手段が、前記移動評価および前記代替移動評価を表示するステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の運転による交通事故が社会的な問題となっている。また、高齢者の運転免許の返納件数も低調である。この原因の一つとして、高齢者やその家族が運転免許の返納を考えるにあたって具体的にイメージできるものが無いことが考えられる。
【0003】
これに対し、特許文献1には、運転免許を返納しない場合に発生するマイカーの維持費等の移動費と、運転免許を返納した場合に発生する交通費等の移動費と、をそれぞれ算出する装置が提案されている。この装置によれば、運転免許を返納する場合と返納しない場合との移動費を比較することができる。その結果、運転免許の返納により移動費が軽減する場合には、運転免許の返納を促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-43563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、運転免許返納後の移動費を算出するためには、ユーザが多くの情報を手入力するといった煩わしい作業が必要になる。
【0006】
本発明は、簡便に運転免許の返納後に関連する情報を得ることができる情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理システムは、
対象者が運転した際の移動ログに基づいて移動評価を生成する移動評価手段と、
前記移動評価に基づいて少なくとも一部の移動を前記対象者の運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する代替移動評価手段と、
前記移動評価および前記代替移動評価を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡便に運転免許の返納後に関連する情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図2】端末装置の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】サーバの概略的な構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図5】ログインの一例を示す図である。
図6】移動評価の一例を示す図である。
図7】運転診断の詳細な診断結果の一例を示す図である。
図8】対象者の移動を移動目的別に示す一例の図である。
図9】免許返納シミュレーションの一例を示す図である。
図10】免許返納シミュレーションの別の一例を示す図である。
図11】推奨順位が2番目の免許返納シミュレーション結果の一例である。
図12】プレ免許返納シミュレーションの一例を示す図である。
図13】プレ免許返納シミュレーションの別の一例を示す図である。
図14】返納サポートの一例を示す図である。
図15】第2実施形態に係るサーバの概略的な構成を示すブロック図である。
図16】第2実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図17】総車両維持費および総移動費の表示の一例を示す図である。
図18】ランキングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す情報処理システム100は、端末装置200と、サーバ300と、を備える。端末装置200とサーバ300とは、インターネット等のネットワーク400を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク400は、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置200、サーバ300の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0012】
端末装置200には、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット端末等を適用することができる。ここで、図2を参照して端末装置200の構成を説明する。
【0013】
図2は、端末装置200の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置200は、通信部210と、記憶部220と、操作入力部230と、表示部240と、制御部250と、を備える。以下、各部について説明する。
【0014】
通信部210は、ネットワーク400を介してサーバ300との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0015】
記憶部220は、制御部250をプロセッサとして機能させるためのプログラム等種々のデータを格納する。
【0016】
操作入力部230は、ユーザが端末装置200に入力するためのインターフェースである。操作入力部230は、例えば、タッチパネル、キーボード、タッチパッドまたはダイヤルボタンなどで構成される。
【0017】
表示部240は、運転免許の返納対象者(以下、対象者と称する)の移動評価や代替移動評価等を出力するインターフェースである。表示部240は、例えば液晶ディスプレイ等の表示機器で構成される。
【0018】
制御部250は、各部の動作を制御する。制御部250は、端末装置200内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0019】
次に、図3を参照してサーバ300の構成を説明する。図3は、サーバ300の概略的な構成を示すブロック図である。サーバ300は、通信部310と、記憶部320と、制御部330と、を備える。以下、各部について説明する。
【0020】
通信部310は、ネットワーク400を介して端末装置200との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0021】
記憶部320には、ユーザ情報321、移動ログ情報322、および代替移動情報323といった種々の情報が格納されている。ユーザ情報321では、ユーザ認証を行うために、ユーザIDとパスワードとが互いに対応付けられている。このユーザIDによって対象者を識別することができる。
【0022】
移動ログ情報322には、各対象者の運転履歴が示されている。運転履歴には、運転日時、走行距離、走行ルート、および目的地などに加えて、例えは急発進、急停止、および急ハンドルなどの運転操作の履歴も含まれている。
【0023】
代替移動情報323は、タクシー、オンデマンド交通、鉄道等の公共交通、家族またはボランティアの運転といった対象者の運転車両の代替となる移動手段に関する情報である。代替移動情報323には、例えば、上記移動代替手段の運賃等が含まれている。
【0024】
制御部330は、情報取得部331と、移動評価部332と、代替移動評価部333と、返納サポート部334と、を有する。
【0025】
情報取得部331は、ユーザ情報321に基づいてユーザ認証を行う。また、情報取得部331は、サーバ300の外部から対象者の移動ログ情報322を取得して記憶部320に格納させる。
【0026】
移動評価部332は、移動ログ情報322を分析して対象者の移動評価を作成する。移動評価の内容については後述する。
【0027】
代替移動評価部333は、移動評価に基づいて、対象者の運転による移動の少なくとも一部を対象者による運転以外の移動に代替した代替移動評価を生成する。代替移動評価の内容については後述する。
【0028】
返納サポート部334は、対象者が実際に運転免許を返納するときの手続き等をサポートする。免許返納サポートの内容については後述する。
【0029】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る情報処理システム100の処理動作の一例について説明する。図4は、本実施形態に係る情報処理システム100の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0030】
まず、端末装置200の操作入力部230が、ユーザによるユーザIDおよびパスワードの入力操作を受け付ける(ステップS101)。ステップS101では、例えば図5に示すログイン画面500が、端末装置200の表示部240に表示される。ログイン画面500には、ユーザIDおよびパスワードの入力欄が表示されている。ユーザは、操作入力部230を操作して、自身のユーザIDと、自身で設定したパスワードと、をログイン画面500に入力する。入力されたユーザIDおよびパスワードは、通信部210からネットワーク400を介してサーバ300に送信される。
【0031】
サーバ300では、通信部310がユーザIDおよびパスワードを受信して制御部330へ転送する。制御部330では、情報取得部331が、ユーザ認証を行う(ステップS102)。ステップS102では、情報取得部331は、端末装置200から受信したユーザIDおよびパスワードを、記憶部320に格納されているユーザ情報321と照会する。照会の結果、端末装置200から受信したユーザIDおよびパスワードが、ユーザ情報321に登録されているユーザIDおよびパスワードに一致する場合には、ログイン状態となり、不一致である場合には、ログアウト状態となる。
【0032】
ログアウト状態である場合には、情報取得部331が、通信部310を介してユーザIDおよびパスワードを再度入力する通知を端末装置200へ送信する。
【0033】
情報取得部331によるユーザ認証によってログイン状態になると、続いて、移動評価部332が、移動ログ情報322を取得する(ステップS103)。ステップS103では、例えば、情報取得部331は、対象者が運転する車両に内蔵または外付けされたカーナビゲーションシステムから移動ログ情報322を取得する。このカーナビゲーションシステムは、予めユーザIDに対応付けられている。そのため、情報取得部331は、ステップS102で認証したユーザIDに基づいて、移動ログ情報322を取得するカーナビゲーションシステムを特定することができる。
【0034】
なお、移動ログ情報322の取得方法は、カーナビゲーションシステムに限定されず、例えば、ドライブレコーダから取得してもよい。また、端末装置200が、GPS(Global Positioning System)機能を有するモバイル端末である場合には、その端末装置200から移動ログ情報322を取得することもできる。このような方法で取得された移動ログ情報322は、記憶部320に格納される。
【0035】
次に、移動評価部332が、移動ログ情報322に基づいて移動評価を作成する(ステップS104)。作成された移動評価は、通信部310からネットワーク400を介して端末装置200へ送信される。端末装置200では、移動評価は、制御部250の制御動作に基づいて、通信部210に受信されて表示部240に表示される(ステップS105)。ここで、ステップS104およびステップS105の内容について詳述する。
【0036】
図6は、端末装置200に表示される移動評価の一例を示す図である。図6に示す移動評価画面501は、診断タブ510と、シミュレーションタブ520と、サポートタブ530と、を有する。図6には、診断タブ510が示されている。
【0037】
診断タブ510の画像には、例えば、本人情報欄511、運転診断欄512と、第1シミュレーション欄513と、第2シミュレーション欄514とが、表示される。
【0038】
本人情報欄511には、例えば、対象者の顔画像、生年月日、住所、運転時間、家族構成、および車種などが表示される。本人情報欄511に表示される情報は、移動ログ情報322に含まれている。そのため、ユーザの手入力による作業は不要である。
【0039】
運転診断欄512には、移動評価部332がステップS104で移動評価の一つとして作成した運転免許返納推奨度と、その運転免許返納推奨度に応じて設定されたコメントが表示されている。また、ユーザが操作入力部230を操作して、運転診断欄512に表示された「診断結果はこちら」をクリックすると、運転診断の詳細な診断結果が表示される。運転免許返納推奨度は、例えば、移動ログ情報322から得られる夜間走行の頻度や通学路の走行の有無等を数値パラメータ化した所定の式を用いて算出することができる。
【0040】
第1シミュレーション欄513には、免許返納シミュレーションの概要が表示されている。また、ユーザが操作入力部230を操作して、第1シミュレーション欄513に表示された「詳細はこちら」をクリックすると、免許返納シミュレーション結果が表示される。免許返納シミュレーションとは、対象者の運転による移動の全部を、タクシー、オンデマンド交通、鉄道等の運転以外の移動手段に代替する条件で対象者の移動をシミュレーションしたものである。
【0041】
第2シミュレーション欄514には、プレ免許返納シミュレーションの概要が表示されている。また、ユーザが操作入力部230を操作して、第2シミュレーション欄514に表示された「詳細はこちら」をクリックすると、プレ免許返納シミュレーション結果が表示される。プレ免許返納シミュレーションとは、対象者の運転による移動の一部を、タクシー、オンデマンド交通、鉄道等の運転以外の移動手段に代替する条件で対象者の移動をシミュレーションしたものである。
【0042】
図7は、運転診断の詳細な診断結果の一例を示している。図7の運転診断画面502は、図6の運転診断欄512に表示された「診断結果はこちら」をクリックすることによって表示される。運転診断画面502に表示される運転診断に関する情報は、移動評価部332による移動ログ情報322の分析によって得ることができる。
【0043】
運転診断画面502には、運転診断の対象期間(図7では2021年1月1日~2021年12月31の1年間)内における運転総距離(図7では750km)および運転総時間(図7では18時間28分)が表示される。また、運転総距離については、その内訳、例えば通学路や夜間の走行距離なども表示される。
【0044】
また、運転診断画面502には、対象期間内における時間帯別の運転頻度を示すグラフも表示される。このグラフでは、横軸は対象者が運転した時間帯を示し、縦軸は運転回数を示す。このグラフによれば、対象者がどの時間帯にどの程度運転しているか可視化することができる。
【0045】
また、運転診断画面502には、車両維持費も表示される。車両維持費には、燃費、自動車税、重量税、自賠責保険、任意保険、車検、メンテナンス費、および駐車場等の金額が含まれている。なお、これらの金額についても、移動ログ情報322に含まれていることが望ましいが、一部については、ユーザの操作入力部230への操作で入力されてもよい。
【0046】
また、運転診断画面502には、対象期間内における対象者の運転経路が地図上で表示される。これにより、対象者がどの道路を使用しているのか可視化することができる。
【0047】
また、運転診断画面502には、運転技量の診断結果も表示される。移動評価部332は、例えば、ブレーキ、アクセル、ハンドリングの項目別に対象者の運転技量を診断し、さらにこれらの項目に基づいて総合的にも評価する。ブレーキの運転技量については、例えば急ブレーキの回数に応じてランク付けされる。アクセルについては、例えば急発進の回数に応じてランク付けされる。ハンドリングの運転技量については、例えば車両のふらつき回数に応じてランク付けられる。なお、急ブレーキ、急発進、およびふらつきの回数については、例えば車両に取り付けられた種々のセンサによって計測することができる。
【0048】
なお、運転診断画面502には、目的別移動ボタン515も表示されている。ユーザが操作入力部230を操作して目的別移動ボタン515をクリックすると、移動評価部332が、対象者の移動目的地別に移動ログ情報322を分析した結果が、移動評価の一例として端末装置200の表示部240に表示される。なお、移動目的地別に移動ログ情報322を分析することには、買い物、通院、娯楽、旅行等の人が移動する目的である「移動目的」や、人が「移動目的」を達成するための移動先(スーパーマーケット、病院、港等)である「移動目的地」ごとに移動ログ情報322を仕分けることが含まれる。このとき、「移動目的」が同じであって、「移動目的地」が異なる移動ログ情報322については、同じ「目的別移動」として仕分けられる。
【0049】
図8は、対象者の移動を移動目的別に示す一例の図である。図8に示す移動目的別画面503には、対象期間内における目的地への移動回数が示されている。なお、目的地は、移動評価部332がステップS104で移動ログ情報322に示された車両の停車位置を分析することによって特定することができる。例えば、停車位置が港である場合、移動評価部332は、移動目的が娯楽、具体的には釣りであると特定する。
【0050】
また、移動目的別画面503には、対象期間内における対象者の運転経路も地図上で表示される。このとき、表示部240は、移動目的地ごとに異なる色で運転経路を表示する。これにより、対象者が、各移動目的地までどのような道路を運転しているかを可視化することができる。
【0051】
以上説明した移動評価作成処理に続いて、代替移動評価作成処理について説明する。代替移動評価作成処理では、サーバ300の代替移動評価部333が、移動評価部332で作成された移動評価に基づいて、代替移動評価を作成する(ステップS106)。作成された代替移動評価は、通信部310からネットワーク400を介して端末装置200へ送信される。端末装置200では、代替移動評価は、制御部250の制御動作に基づいて、通信部210に受信されて表示部240に表示される(ステップS107)。ここで、ステップS106およびステップS107の内容について詳述する。
【0052】
図6に示す移動評価画面501において、ユーザが操作入力部230を操作して、第1シミュレーション欄513に表示された「詳細はこちら」をクリックすると、代替移動評価部333が、免許返納シミュレーションを代替移動評価として実行する。
【0053】
図9は、免許返納シミュレーションの一例を示す図である。免許返納シミュレーション画面600には、代替移動評価部333が対象者の運転車両の代替として推奨する移動手段が表示される。この代替移動手段は、経路別に表示される。
【0054】
例えば、移動経路が予め設定された上限値よりも長い長距離の場合には、代替移動評価部333は、電車およびバスを推奨する。また、移動経路が予め設定された下限値よりも短い短距離の場合には、代替移動評価部333は、シニアカーを推奨する。さらに、移動経路が、上記上限値と上記下限値との間になる中距離の場合には、代替移動評価部333は、タクシーを推奨する。なお、免許返納シミュレーション画面600では、安全性、費用、および移動距離に関して、免許返納前、すなわち対象者の運転車両と比較した結果が、推奨される代替移動手段ごとに示されている。
【0055】
また、免許返納シミュレーション画面600には、代替移動評価部333の分析レポートも表示される。この分析レポートでは、移動距離、移動頻度、車依存度、安全性、および費用の項目について、運転免許返納前後のレーダーチャートが表示されている。
【0056】
さらに、免許返納シミュレーション画面600には、電車とバスを代替移動手段とした場合の移動経路が地図上に表示されているとともに、運転免許返納前後の費用、移動距離、および安全性が棒グラフで表示されている。
【0057】
地図上に表示される代替移動手段による移動経路が、移動ログ情報322から抽出される対象者の運転による移動経路と異なる場合には、代替移動評価部333は、移動ログ情報322から抽出される移動経路の地点を類似の地点に代替して代替移動手段による移動経路を作成する。類似の地点とは、移動ログ情報322から抽出される移動経路の地点との距離が予め設定された範囲内となる地点である。
【0058】
また、地図上において、電車の移動経路は、バスの移動経路と異なる態様で表示される。例えば、電車の移動経路は、実線で表示される一方で、バスの移動経路は点線で表示される。このように、移動手段ごとに移動経路を異なる態様で表示することによって、各移動手段の移動経路を容易に把握することができ、利便性が向上する。
【0059】
図10は、免許返納シミュレーションの別の一例を示す図である。図10に示す免許返納シミュレーション画面601には、代替移動評価部333が代替の移動手段が異なる複数の条件で免許返納シミュレーションを行った結果が表示される。このとき、免許返納シミュレーション結果には、代替移動評価部333による推奨順位が付与されている。推奨順位は、例えば、免許返納前の車両維持費および走行時間と、シミュレーション結果の移動費および移動時間との差が小さくなるにつれて高くなるように設定されている。
【0060】
図10には、推奨順位が1番目の免許返納シミュレーション結果が表示されている。この免許返納シミュレーション結果では、代替の移動手段として、タクシー、オンデマンド交通、および鉄道が選択されている。
【0061】
また、免許返納シミュレーション画面601には、各移動手段について、通院、娯楽、旅行等の移動目的とその回数が表示されている。なお、例えば、オンデマンド交通を代替移動手段として使用する場合には、代替移動評価部333の代替移動評価の一つとして、例えば定期、定額、回数などの仕組みを利用したオンデマンド交通の場合においては、その範囲内で新規の娯楽を提案することができる。
【0062】
また、免許返納シミュレーション画面601には、各移動手段の移動目的ごとに、合計金額も表示される。この合計金額は、記憶部320に格納された代替移動情報323に基づいて、代替移動評価部333によって算出される。
【0063】
さらに、免許返納シミュレーション画面601には、詳細ボタン611が代替移動手段ごとに表示される。ユーザが操作入力部230を操作して詳細ボタン611をクリックすると、クリックされた詳細ボタン611に対応する代替移動手段を利用したときの、移動経路および移動目的地などが地図上に表示される。
【0064】
図11は、推奨順位が2番目の免許返納シミュレーション結果の一例である。図11に示す免許返納シミュレーション画面602には、代替の移動手段として、タクシー、バス、宅配、鉄道、および徒歩が選択されている。なお、代替の一移動手段である宅配は、対象者が移動をせずとも上述の移動目的を達することができることから、例えば、ネットスーパーなどの買い物、訪問医療や遠隔診療なども宅配と同様に、移動しなくても(在宅中であっても)移動目的を達成可能な在宅サービスに含まれていてもよい。
【0065】
また、免許返納シミュレーション画面602でも、各移動手段について、通院、娯楽、旅行等の移動目的とその回数が表示されている。また、各移動手段の移動目的ごとに、合計金額も表示される。さらに、免許返納シミュレーション画面602にも、詳細ボタン611が代替移動手段ごとに表示されている。そのため、各代替移動手段を利用したときの移動経路および移動目的地などを地図上に表示することができる。
【0066】
以上説明した免許返納シミュレーションに続いて、プレ免許返納シミュレーションについて説明する。
【0067】
図6に示す移動評価画面501において、ユーザが操作入力部230を操作して、第2シミュレーション欄514に表示された「詳細はこちら」をクリックすると、代替移動評価部333が、プレ免許返納シミュレーションを代替移動評価として実行する(ステップS106)。このプレ免許返納シミュレーションの結果は、表示部240に表示される(ステップS107)。
【0068】
図12は、プレ免許返納シミュレーションの一例を示す図である。図12にプレ免許返納シミュレーション画面700には、免許返納シミュレーション画面600と同様に、代替移動評価部333が対象者の運転車両の代替として推奨する移動手段が表示される。この代替移動手段は、経路別に表示される。
【0069】
例えば、代替移動評価部333は、経路のリスクに応じて、安全性能が対象者の車よりも高いサポート車、およびバスの組み合わせ、および車および宅配を代替移動手段として推奨する。サポート車として、自動運転機能を備えた車が推奨されてもよい。なお、プレ免許返納シミュレーション画面700では、安全性、コスト、車依存度、および費用に関して、免許返納前、すなわち対象者の運転車両と比較した結果が、推奨される代替移動手段ごとに示されている。
【0070】
また、プレ免許返納シミュレーション画面700にも、免許返納シミュレーション画面600と同様に、代替移動評価部333の分析レポートが表示される。この分析レポートでは、移動距離、移動頻度、車依存度、安全性、および費用の項目について、運転免許返納前後のレーダーチャートが表示されている。
【0071】
さらに、プレ免許返納シミュレーション画面700には、買い物をタクシーおよび宅配に変更した場合の移動経路が地図上に表示されているとともに、車とバスの組み合わせについて、運転免許返納前後の費用、移動距離、および安全性が棒グラフで表示されている。なお、地図上には、プレ免許返納シミュレーションで移動手段が変更された移動経路は、変更されない移動経路と異なる態様で表示される。例えば、変更された移動経路は、変更されない移動経路と異なる色で表示される。このように、変更の有無で移動経路を異なる態様で表示することによって、移動経路の変更箇所を容易に把握することができ、利便性が向上する。
【0072】
なお、本実施形態では、代替移動評価部333は、代替移動評価として免許返納シミュレーションおよびプレ免許返納シミュレーションの両方を行っている。しかし、代替移動評価は、免許返納シミュレーションのみであってもよいし、またはプレ免許返納シミュレーションのみであってもよい。また、本実施形態では、免許返納シミュレーションおよびプレ免許返納シミュレーションのうち、ユーザの操作によって選択されたシミュレーションが実行されているが、これらのシミュレーションは連続して実行されてもよい。このとき、代替移動評価部333は、免許返納シミュレーションよりも先にプレ免許返納シミュレーションを実行してもよいし、またはプレ免許返納シミュレーションよりも先に免許返納シミュレーションを実行してもよい。すなわち、シミュレーションを実行する順番は、特に制限されない。
【0073】
図13は、プレ免許返納シミュレーションの別の一例を示す図である。図13に示すプレ免許返納シミュレーション画面701には、代替移動評価部333が代替の移動手段が異なる複数の条件でプレ免許返納シミュレーションを行った結果が表示される。このとき、プレ免許返納シミュレーション結果には、代替移動評価部333による推奨順位が付与されている。推奨順位は、例えば、現在の車両維持費および走行時間と、シミュレーション結果の現車両の維持費も含む移動費および移動時間との差が小さくなるにつれて高くなるように設定されている。
【0074】
図13には、推奨順位が2番目のプレ免許返納シミュレーション結果が表示されている。このプレ免許返納シミュレーション結果では、対象者が現在運転する現車両、オンデマンド交通、および鉄道の組み合わせが選択されている。
【0075】
また、プレ免許返納シミュレーション画面701には、各移動手段について、通院、娯楽、買い物等の移動目的とその移動経路が地図上に表示されている。地図上では、移動経路は、移動手段毎に異なる態様で表示される。例えば、現車両、オンデマンド交通、および鉄道のそれぞれの移動経路は、互いに異なる色で表示される。また、このプレ免許返納シミュレーション結果では、代替移動評価部333は、対象者の安全を考慮して、釣りのために港に行く移動経路の時間帯を夜間から日中の時間帯に変更している。
【0076】
さらに、プレ免許返納シミュレーション画面701には、ボタン711が表示されている。ユーザが操作入力部230を操作してボタン711をクリックすると、代替移動評価部333は、通信部310を介して、プレ免許返納シミュレーション画面701に表示された現車両の移動経路を、その現車両に取り付けられたカーナビゲーションシステムへ送信する。
【0077】
この移動経路がカーナビゲーションシステムに登録されると、対象者は、プレ免許返納シミュレーションで提案された移動経路で安全に運転することができる。なお、サーバ300の返納サポート部334によって、対象者の免許返納日がカーナビゲーションシステムに登録されると、カーナビゲーションシステムは、登録された免許返納日に到達するまで、カーナビゲーションシステムに登録された目的地への移動経路が、プレ免許返納シミュレーションの結果を反映した移動経路から外れているか否か判断する。移動経路が外れている場合、カーナビゲーションシステムは、音声または表示にて警告を行う。
【0078】
上記のように代替移動評価作成処理(ステップS106)およびその表示処理(ステップS107)が終了すると、図4に示すように返納サポート部334が、対象者の運転免許返納に関するサポート処理を行う(ステップS108)。このサポート処理では、免許返納の準備や手続き等を示す返納サポート画面が端末装置200の表示部240に表示される(ステップS109)。
【0079】
図14は、返納サポートの一例を示す図である。図14に示す返納サポート画面801は、サポートタブ530に関連付けて表示される。返納サポート画面801には、項目欄811および詳細欄812が表示される。
【0080】
項目欄811では、操作入力部230の操作によって、例えば「返納準備」、「手続き名1」~「手続き名5」の項目を選択できるようになっている。一方、詳細欄812には、項目欄811で選択された手続項目の詳細な情報が表示される。図14では、項目欄811で「返納準備」が選択されているため、詳細欄812には、「返納準備」の詳細な情報が表示されている。具体的には「返納準備」の手続きに必要な項目や、手続きの流れが表示されている。また、詳細欄812に表示された項目、例えば「車の処分」については、さらに詳細な情報を選択できるようになっている。
【0081】
返納サポート画面801の項目欄811には、対象者の移動ログ情報322に示された住所に対応する自治体(図14ではK市)で定められた免許返納に関する手続きが最初に表示される。免許返納に関する情報は、自治体が管理する外部サーバに格納されていてもよいし、サーバ300の記憶部320内に予め格納されていてもよい。返納サポート部334は、上記外部サーバまたは記憶部320から免許返納に関する情報を取得して、端末装置200の表示部240に表示させる。
【0082】
なお、自治体によっては、運転免許返納によって得らえれる特典が設定されている場合がある。そこで、ユーザが操作入力部230を操作して、項目欄811に設けられた特典表示ボタン811aをクリックすると、返納サポート部334が、K市の特典を示す情報を上記外部サーバまたは記憶部320から取得して端末装置200の表示部240に表示させる。
【0083】
ただし、運転免許返納によって得られる特典は、地域ごとに異なる場合がある。そこで、ユーザが操作入力部230を操作して、項目欄811に設けられた地域変更ボタン811bをクリックして他の地域を選択すると、返納サポート部334が、選択された地域の特典を示す情報を上記外部サーバまたは記憶部320から取得して端末装置200の表示部240に表示させる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理システム100によれば、移動評価部332が対象者の移動評価を作成する際、移動ログ情報322が使用される。移動ログ情報322は、カーナビゲーションシステム等からサーバ300に自動的に取得されるため、ユーザの手入力作業がほぼ不要になる。また、代替移動評価部333は、移動評価を用いて代替移動評価を作成する。そのため、代替移動評価の作成にも、ユーザの手入力作業がほぼ不要になる。よって、簡便に運転免許の返納後に関連する情報を得ることが可能となる。加えて、ユーザの手入力作業がほぼ不要になると、誤入力がほぼ皆無になる。その結果、移動評価および代替移動評価の精度を高めることができる。
【0085】
また、本実施形態に係る代替移動評価には、運転免許返納前後における金銭的な比較だけでなく、運転免許返納後の移動時間や公共交通情報に伴う歩行情報も示されている。これにより、運転免許返納後の移動内容をより具体的にイメージすることができる。
【0086】
また、本実施形態に係る代替移動評価では、対象者の運転移動の全部を運転以外の移動に代替する免許返納シミュレーションだけでなく、対象者の運転による移動と、運転以外の代替移動とを併用したプレ免許返納シミュレーションも行われる。プレ免許返納シミュレーションでは、安全機能が高いサポート車が代替移動手段に含まれていたり、リスクの高い運転が代替移動手段に変更されていたりする。これにより、代替移動のバリエーションが増加するため、対象者に対してより多くの移動手段の選択肢を提供することが可能となる。
【0087】
さらに、本実施形態では、対象者が代替移動評価結果に基づいて運転免許の返納を決めたときに、返納サポート部334が、運転免許返納までの手続きの手順や、運転免許返納で得られる特典の情報を対象者に提供することができる。そのため、運転免許返納に関する手間を軽減できるため、利便性が向上する。
【0088】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る情報処理システムについて説明する。上述した第1実施形態では、情報処理システム100のユーザは、運転免許返納の対象者である高齢者またはその家族を想定している。
【0089】
一方、第2実施形態に係る情報処理システムのユーザは、一例として自治体の担当者を想定している。これにより、本実施形態では、サーバの構成が第1実施形態と異なる。
【0090】
図15は、第2実施形態に係るサーバの概略的な構成を示すブロック図である。図15では、第1実施形態に係るサーバ300(図3参照)と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態に係るサーバ301は、制御部330が返納サポート部334を有さない点で第1実施形態に係るサーバ300と異なる。
【0091】
次に、図16を参照して、本実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例について説明する。図16は、第2実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0092】
まず、端末装置200の操作入力部230が、ユーザによるユーザIDおよびパスワードの入力操作を受け付ける(ステップS201)。ステップS201の処理内容は、第1実施形態で説明したステップS101と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
次に、サーバ301の情報取得部331が、ユーザ認証を行う(ステップS202)。ステップS202の処理内容については、第1実施形態で説明したステップS102と同様であるため、説明を省略する。
【0094】
次に、移動評価部332が、移動ログ情報322を取得する(ステップS203)。ステップS203では、情報取得部331は、まず、移動評価の対象地域内に居住する免許保有者の中からユーザによって予め設定された条件を満たす対象者を抽出する。移動評価の対象地域には、都道府県市区町村といった行政区画や、行政区画内をメッシュ状に分割した地域などが該当する。また、ユーザによって予め設定された条件には、例えば65歳以上といった年齢が設定される。情報取得部331は、通信部310を介して、例えば警察や自治体のデータベースにアクセスして条件を満たす対称者の識別情報を取得する。
【0095】
続いて、情報取得部331は、各対象者の移動ログ情報322を取得する。移動ログ情報322は、第1実施形態と同様に、各対象者のカーナビゲーションシステム等から取得することができる。各カーナビゲーションシステムは、予め上記識別情報に対応付けられている。
【0096】
なお、移動ログ情報322の取得については、予め対象者から同意を得ているものとする。また、情報取得部331は、各対象者の端末装置200に通知された移動ログ情報322の提供依頼に対して同意する旨の返信があった対象者の移動ログ情報322のみを取得してもよい。
【0097】
次に、移動評価部332が、移動ログ情報322に基づいて移動評価を作成する(ステップS204)。ステップS204では、例えば、移動評価部332は、各対象者の移動ログ情報322に示された車両維持費を集計する。移動評価部332は、車両維持費の集計金額を総車両維持費として算出する。
【0098】
次に、代替移動評価部333が、第1実施形態と同様の免許返納シミュレーションを実行する(ステップS205)。ステップS205では、代替移動評価部333は、各対象者の移動ログ情報322に基づいて、対象者別に免許返納シミュレーションを行う。続いて、代替移動評価部333は、推奨順位が1番目の免許返納シミュレーション結果に示された各担当者の運転免許返納後の移動費を集計する。代替移動評価部333は、移動費の集計金額を総移動費として算出する。
【0099】
ステップS204で算出された総車両維持費およびステップS205で算出された総移動費は、通信部310からネットワーク400を介して端末装置200へ送信される。
【0100】
端末装置200では、表示部240が総車両維持費および総移動費を表示する(ステップS206)。ステップS206では、表示部240は、総車両維持費と総移動費とを比較可能な態様で出力する。
【0101】
図17は、総車両維持費および総移動費の表示の一例を示す図である。図17に示す出力画面900では、総車両維持費と総移動費とが棒グラフで表示されている。また、総車両維持費および総移動費のそれぞれの金額も表示されている。出力画面900のような表示態様によれば、総車両維持費と総移動費との大小関係を可視化することができる。なお、総車両維持費と総移動費の表示態様は、出力画面900のような表示態様に限定されず、両者を比較可能であればよい。
【0102】
また、本実施形態のように、対象者が65歳以上の条件である場合には、表示部240は、年齢層に分けて総車両維持費および総移動費を表示してもよい。対象者の年齢層は、例えば、65歳~69歳、70歳~74歳、75歳~79歳、および80歳~のように分けることができる。
【0103】
総移動費が、総車両維持費よりも大きい場合、代替移動評価部333は、プレ免許返納シミュレーションを実行する(ステップS207)。ステップS207では、代替移動評価部333は、免許返納シミュレーションよりも総移動費が抑えられるようにプレ免許返納シミュレーションを実行する。具体的には、代替移動評価部333は、プレ免許返納シミュレーションにおいて、対象者の移動の一部を、宅配、訪問診療、遠隔診療などに代替する。
【0104】
また、免許返納シミュレーションにおいて、各対象者の徒歩距離を合算した総徒歩距離が予め設定されたしきい値を超えている場合には、代替移動評価部333は、総徒歩距離が上記しきい値以下となるようにオンデマンド交通を代替移動手段として付加したプレ免許返納シミュレーションを実行する。このプレ免許返納シミュレーションの結果は、表示部240に表示される。これにより、オンデマンド交通の車両台数をどの程度増やせば、どのくらい総徒歩距離を減らすことができるかといったオンデマンド交通と総徒歩距離との関係を示す情報を提供することができる。
【0105】
次に、代替移動評価部333は、運転免許返納に関する自治体のランキングを作成する(ステップS208)。ステップS208では、代替移動評価部333は、例えば、各自治体について、総車両維持費と総移動費との差を算出する。続いて、代替移動評価部333は、この差に応じて各自治体のランキング順位を決定する。作成されたランキングは、端末装置200の表示部240に表示される(ステップS209)。
【0106】
図18は、ランキングの一例を示す図である。図18に示すランキング画面901には、運転免許返納後に移動費が安くなりやすい自治体のランキングが表示されている。このランキングでは、総車両維持費よりも総移動費のほうが安く、かつ、差が大きい順でランキングされる。
【0107】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、移動評価部332が対象者の移動評価を作成する際、移動ログ情報322が使用される。移動ログ情報322は、カーナビゲーションシステム等からサーバ300に自動的に取得されるため、ユーザの手入力作業がほぼ不要になる。また、代替移動評価部333は、移動評価を用いて代替移動評価を作成する。そのため、代替移動評価の作成にも、ユーザの手入力作業がほぼ不要になる。よって、簡便に運転免許の返納後に関連する情報を得ることが可能となる。
【0108】
また、本実施形態によれば、運転免許返納に関する自治体のランキングを作成および表示することによって、各自治体の担当者は、自己の自治体が他の自治体と比較してどの程度運転免許返納に有利な自治体であるかを把握することができる。
【0109】
(変形例)
以下、上述した第2実施形態の変形例について説明する。本変形例に係るサーバの構成は、第2実施形態に係るサーバ301(図15参照)と同じであるため、説明を省略する。ここで、本変形例に係るサーバ301の処理動作について、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0110】
本変形例では、ステップS203において、情報取得部331は、各対象者のカーナビゲーションシステムからではなく、自治体や民間のデータベースにそれぞれ格納されている種々の統計情報を抽出して移動ログ情報322を取得する。抽出される統計情報には、例えば、自動車保険情報、自動車税情報、および移動距離情報などが含まれている。この移動距離情報は、ユーザの行動モデルや行動パターンを参照したもの、例えば、生活必需品等の買い物回数、通院回数、趣味などを年代や性別に合わせて構成された行動モデルおよび行動パターンを適用して算出してもよい。
【0111】
自動車保険情報には、ユーザによって予め設定された条件を満たす対象者の自動車保険料の平均値が年齢別毎に示されている。自動車税情報には、上記対象者の車両に係る税金の平均値が年齢別毎に示されている。移動距離情報には、運転診断の対象期間内における上記対象者の移動距離の平均値が年齢別毎に示されている。
【0112】
次に、ステップS204において、移動評価部332は、上記自動車保険情報に示された自動車保険料の平均値に対象者数を乗算することによって、保険料の総額を算出する。また、移動評価部332は、上記自動車税情報に示された税金の平均値に対象者数を乗算することによって、自動車税の総額を算出する。また、移動評価部332は、移動距離情報に示された移動距離の平均値に対象者数を乗算することによって、総移動距離を算出する。続いて、移動評価部332は、この総移動距離に、予め設定された係数を乗算することによって、燃費の総額を算出する。
【0113】
移動評価部332は、上記のように算出した保険料の総額、自動車税の総額、および燃費の総額を加算して総車両維持費を算出し、算出した総車両維持費を移動評価として作成する。なお、本変形例では、第2実施形態と同様に、移動評価部332は、対象者の年齢層を65歳~69歳、70歳~74歳、75歳~79歳、および80歳~のように分けて、年齢層毎に総車両維持費を算出してもよい。
【0114】
次に、ステップS205において、代替移動評価部333は、免許返納シミュレーションを実行する際に、対象者それぞれの居住地を起点として年齢別の外出頻度などから代替移動に係る総移動費を算出する。例えば、代替移動評価部333は、各対象者の居住地周辺の最寄りバス停から市街地中心まで移動した場合の往復バス運賃を求める。続いて、代替移動評価部333は、求めた往復バス運賃に上記外出頻度を乗算して総移動費を算出し、算出した総移動費を代替移動評価として作成する。
【0115】
なお、本変形例では、総車両維持費と同様に、移動評価部332は、対象者の年齢層を分けて、年齢層毎に総移動費を算出してもよい。また、総移動費の計算に用いられる年齢別の外出頻度を示す情報は、移動ログ情報322に含まれていてもよいし、代替移動情報323に含まれていてもよい。また、バス運賃は、代替移動情報323に含まれている。
【0116】
また、ステップS205では、代替移動評価部333は、各対象者の居住地から最寄りバス停までの徒歩距離を求め、対象期間内における各対象者の徒歩距離を合計した総徒歩距離も算出する。この総徒歩距離は、第2実施形態と同様に、代替移動評価部333が、プレ免許返納シミュレーションを実行する際に用いられる。
【0117】
ステップS206以降の処理動作については、第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0118】
以上説明した本変形例によれば、移動評価部332が対象者の移動評価を作成する際、移動ログ情報322が使用される。移動ログ情報322には、統計情報等が用いられているため、ユーザの手入力作業がほぼ不要になる。また、免許保有者(免許返納対象者)の一人一人の移動ログ情報を取得しなくても評価を作成することができる。また、代替移動評価部333は、移動評価を用いて代替移動評価を作成する。そのため、代替移動評価の作成にも、ユーザの手入力作業がほぼ不要になる。よって、簡便に運転免許の返納後に関連する情報を得ることが可能となる。
【0119】
なお、図3に示すサーバ300および図15に示すサーバ301の構成は一例であり、サーバ300およびサーバ301内の構成要素の少なくとも一部が端末装置200内にあってもよい。例えば、サーバ300およびサーバ301内の移動評価部332および代替移動評価部333を端末装置200内に設けて、端末装置200のみで移動評価および代替移動評価の作成が可能な情報処理装置または情報表示装置を構成してもよい。
【0120】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0121】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0122】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0123】
また、方法の発明においては、全ての処理(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実施するようにしてもよい。また、各処理をコンピュータに実施させながら、処理間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全処理のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0124】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0125】
100 情報処理システム
200 端末装置
210 通信部
220 記憶部
230 操作入力部
240 表示部
300、301 サーバ
310 通信部
320 記憶部
321 ユーザ情報
322 移動ログ情報
323 代替移動情報
330 制御部
331 情報取得部
332 移動評価部
333 代替移動評価部
334 返納サポート部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18