(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066912
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】外部マイク用アダプター
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20240509BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H04R1/00 328D
H05K5/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176707
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】591225028
【氏名又は名称】株式会社三球電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091269
【弁理士】
【氏名又は名称】半田 昌男
(72)【発明者】
【氏名】神谷 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山口 紀知
【テーマコード(参考)】
4E360
5D017
【Fターム(参考)】
4E360AB42
5D017BB17
(57)【要約】
【課題】移動体内での外部マイクの使い勝手を損なうことなく、移動体外での外部マイクの使い勝手の向上を図ることができる外部マイク用アダプターを提供する。
【解決手段】外部マイク用アダプター1は、移動用無線機の無線機本体と電気的に接続されている外部マイクを使用者の衣服又は持物に固定することを可能にするものである。外部マイク用アダプター1は、外部マイクを使用者の衣服又は持物に取着するためのクリップ12を有するクリップ装置10と、外部マイクを止着するためのマイク用止着部210及びクリップ装置10を止着するためのクリップ装置用止着部220が形成された連結装置20とを備える。この外部マイク用アダプター1を用いると、クリップ装置10及び連結装置20と外部マイクとを一体化し、そのクリップ装置10に設けられたクリップ12を用いて外部マイクを使用者の衣服又は持物に装着することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用無線機の無線機本体と電気的に接続されている外部マイクを使用者の衣服又は持物に固定することを可能にする外部マイク用アダプターであって、
前記外部マイクを前記衣服又は前記持物に着脱自在に取着するための取着手段を有する取着装置と、
略平板状の中央部と、その中央部の一方の表面の側に形成された、前記外部マイクに設けられた第一係合部を着脱自在に止着するためのマイク用止着部と、前記中央部の他方の表面の側に形成された、前記取着装置に設けられた第二係合部を着脱自在に止着するための取着装置用止着部とを有する連結装置と、
を備えることを特徴とする外部マイク用アダプター。
【請求項2】
前記取着装置は、前記取着手段として磁石、面ファスナー又はクリップを用いて、前記連結装置を介して当該取着装置と一体化された前記外部マイクを前記衣服又は前記持物に着脱自在に取着するものであることを特徴とする請求項1記載の外部マイク用アダプター。
【請求項3】
前記取着手段の表面には、前記外部マイクの前記第一係合部と同じ構造の係合部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の外部マイク用アダプター。
【請求項4】
前記連結装置は、前記中央部と、帯状部とその帯状部の両端から起立する起立部とを有するとともに断面形状が略コ字状である二つの側部とを備えており、前記二つの側部の前記帯状部が互いに対向するように且つ前記各側部における二つの前記起立部で前記中央部を挟むように、前記二つの側部を配置し、前記二つの側部の前記各起立部と前記中央部の両表面との間に隙間を確保して、前記二つの側部と前記中央部とを固着したものであり、
前記マイク用止着部は、前記中央部の背面側の表面とそれに対向する前記二つの側部の前記起立部とで形成される隙間によって構成され、前記外部マイクの前記第一係合部を当該マイク用止着部に嵌め込むことにより前記外部マイクを止着するものであり、前記取着装置用止着部は、前記中央部の正面側の表面とそれに対向する前記二つの側部の前記起立部とで形成される隙間によって構成され、前記取着装置の前記第二係合部を当該取着装置用止着部に差し込むことにより前記取着装置を止着するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の外部マイク用アダプター。
【請求項5】
前記取着装置には、当該取着装置の前記第二係合部が前記取着装置用止着部に差し込まれた際に、前記連結装置の前記中央部に設けられた孔部と係合する係止手段が設けられており、
前記連結装置の前記中央部の正面側における下端部には、前記取着装置が下方に移動するのを防止する規制手段が設けられていることを特徴とする請求項4記載の外部マイク用アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に移動用無線機を車外で使用する際にその移動用無線機の外部マイクに用いられる外部マイク用アダプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動用無線機、例えば警察が所有するパトロールカーやヘリコプター等の移動体で使用されているIPR(Integrated Police Radio)形移動用無線機は、無線機本体と、その無線機本体と有線により電気的に接続された外部マイクとを備えている。無線機本体は移動体に取り付けられている。この場合、外部マイクは、直ぐに使えるように、この外部マイクに設けられたフック穴を用いて無線機本体に設けられたフックに引っ掛けられている。外部マイクを使用するときには、片手で外部マイクを握ってフックから外して使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、警察で用いられる上記の移動用無線機は、必要に応じて移動体から外に持ち出して使用するために、移動体から取り外され、内蔵バッテリーを用いて電力が供給される可搬型の無線機として使用することができる。例えばパトロールカーに設けられた移動用無線機を車外に持ち出して使用する場合、パトロールカーから取り外した無線機本体はショルダーベルト付きのケースに収納される。そして、使用者は、そのショルダーベルトを使って無線機本体を肩に掛けて持ち運ぶ。このとき、外部マイクは無線機本体又はそのケースに設けられたマイクハンガーに挟み込むようにしてしっかりと仮固定される。このように、使用者が車外で無線機を使用するときには、無線機本体を肩に掛けた状態のまま、片手で外部マイクを握って、マイクハンガーから取り外した後、その外部マイクを口に近づけて使用する。
【0005】
しかしながら、例えば警察官(使用者)等が事故や事件などの現場で活動する場合、本部等に対して緊急に連絡を行い、或いは頻繁に連絡を行わなければならない。このような状況下では、外部マイクを、肩に掛けられた無線機本体等に設けられたマイクハンガーから取り外し、連絡後再び取り付けるという操作を何度も繰り返し行う必要がある。このため、使用者からは、移動用無線機を屋外で使用する場合にも、外部マイクの取扱いを容易に行うことができるようにしてほしいという要望があった。
【0006】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、移動体内での外部マイクの使い勝手を損なうことなく、移動体外での外部マイクの使い勝手の向上を図ることができる外部マイク用アダプターを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明は、移動用無線機の無線機本体と電気的に接続されている外部マイクを使用者の衣服又は持物に固定することを可能にする外部マイク用アダプターであって、外部マイクを衣服又は持物に着脱自在に取着するための取着手段を有する取着装置と、連結装置とを備えることを特徴とするものである。ここで、連結装置は、略平板状の中央部と、その中央部の一方の表面の側に形成された、外部マイクに設けられた第一係合部を着脱自在に止着するためのマイク用止着部と、中央部の他方の表面の側に形成された、取着装置に設けられた第二係合部を着脱自在に止着するための取着装置用止着部とを有する。
【0008】
このように、本発明に係る外部マイク用アダプターは、外部マイクを使用者の衣服又は持物に取着するための取着手段を有する取着装置と、外部マイクを止着するためのマイク用止着部及び取着装置を止着するための取着装置用止着部が形成された連結装置とを備えている。このため、本発明に係る外部マイク用アダプターを用いると、取着装置及び連結装置と外部マイクとを一体化し、その取着装置に設けられた取着手段を用いて外部マイクを使用者の衣服又は持物に装着することができる。このため、例えば、移動用無線機を移動体から外に持ち出して使用する場合、使用者は、本発明に係る外部マイク用アダプターを利用して、その移動用無線機の外部マイクを自分の衣服又は持物、例えばジャンパーのファスナー部分等に装着することにより、外部マイクを自分にとって身近な箇所であって手で掴みやすい箇所に配置しておくことができるので、外部マイクの操作を容易に行うことができる。一方、移動用無線機を移動体内で使用する場合も、使用者は、本発明に係る外部マイク用アダプターを用いて、外部マイクを自分の衣服又は持物に装着することにより、外部マイクの操作を容易に行うことができる。また、移動用無線機を移動体内で使用する際に、外部マイクから本発明に係る外部マイク用アダプターを取り外せば、使用者は、その外部マイクを従来と同様の使い勝手で使用することができる。したがって、本発明に係る外部マイク用アダプターを使用することにより、移動体内での外部マイクの使い勝手を損なうことなく、移動体外での外部マイクの使い勝手の向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る外部マイク用アダプターにおいて、取着装置は、取着手段として磁石、面ファスナー又はクリップを用いて、連結装置を介して当該取着装置と一体化された外部マイクを衣服又は持物に着脱自在に取着するものであることが望ましい。取着手段として磁石、面ファスナー又はクリップを用いることにより、外部マイクを使用者の衣服又は持物にしっかりと固定することができる。このため、例えば、使用者が屋外で使用しているとき、激しく体を動かしたり、走ったりしても、外部マイクは、その衣服や持物から簡単に外れてしまうことはない。
【0010】
更に、本発明に係る外部マイク用アダプターにおいて、取着手段の表面には、外部マイクの第一係合部と同じ構造の係合部が設けられていることが望ましい。これにより、外部マイクに本発明に係る外部マイク用アダプターを取り付けたときには、外部マイクを取着手段の機能を使って使用者の衣服や持物に取着することができるだけでなく、取着手段の表面に設けられた係合部を用いて、外部マイクを、無線機本体又はそのケースに設けられたマイクハンガーに取り付けることができる。
【0011】
また、本発明に係る外部マイク用アダプターにおいて、連結装置は、中央部と、帯状部とその帯状部の両端から起立する起立部とを有するとともに断面形状が略コ字状である二つの側部とを備えており、二つの側部の帯状部が互いに対向するように且つ各側部における二つの起立部で中央部を挟むように、二つの側部を配置し、二つの側部の各起立部と中央部の両表面との間に隙間を確保して、二つの側部と中央部とを固着したものであり、マイク用止着部は、中央部の背面側の表面とそれに対向する二つの側部の起立部とで形成される隙間によって構成され、外部マイクの第一係合部を当該マイク用止着部に嵌め込むことにより外部マイクを止着するものであり、取着装置用止着部は、中央部の正面側の表面とそれに対向する二つの側部の起立部とで形成される隙間によって構成され、取着装置の第二係合部を当該取着装置用止着部に差し込むことにより取着装置を止着するものであってもよい。このように、連結装置として簡単な構造のものを用いることにより、製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
この場合、取着装置には、当該取着装置の第二係合部が取着装置用止着部に差し込まれた際に、連結装置の中央部に設けられた孔部と係合する係止手段が設けられており、連結装置の中央部の正面側における下端部には、取着装置が下方に移動するのを防止する規制手段が設けられていることが望ましい。これにより、取着装置を連結装置の取着装置用止着部に差し込んだときに、取着装置をその取着装置用止着部内でしっかりと固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る外部マイク用アダプターは、外部マイクを使用者の衣服又は持物に取着するための取着手段を有する取着装置と、外部マイクを止着するためのマイク用止着部及び取着装置を止着するための取着装置用止着部が形成された連結装置とを備えている。このため、本発明に係る外部マイク用アダプターを用いると、取着装置及び連結装置と外部マイクとを一体化し、その取着装置に設けられた取着手段を用いて外部マイクを使用者の衣服又は持物に装着することができる。このため、例えば、移動用無線機を移動体から外に持ち出して使用する場合、使用者は、本発明に係る外部マイク用アダプターを利用して、その移動用無線機の外部マイクを自分の衣服又は持物、例えばジャンパーのファスナー部分等に装着することにより、外部マイクを自分にとって身近な箇所であって手で掴みやすい箇所に配置しておくことができるので、外部マイクの操作を容易に行うことができる。一方、移動用無線機を移動体内で使用する場合も、使用者は、本発明に係る外部マイク用アダプターを用いて、外部マイクを自分の衣服又は持物に装着することにより、外部マイクの操作を容易に行うことができる。また、移動用無線機を移動体内で使用する際に、外部マイクから本発明に係る外部マイク用アダプターを取り外せば、使用者は、その外部マイクを従来と同様の使い勝手で使用することができる。したがって、本発明に係る外部マイク用アダプターを使用することにより、移動体内での外部マイクの使い勝手を損なうことなく、移動体外での外部マイクの使い勝手の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(a)は本発明の一実施形態である外部マイク用アダプターの概略正面図、
図1(b)はその外部マイク用アダプターの概略左側面図、
図1(c)はその外部マイク用アダプターの概略底面図、
図1(d)はその外部マイク用アダプターの概略背面図である。
【
図2】
図2(a)はIPR形移動用無線機の外部マイクの概略平面図、
図2(b)はその外部マイクの概略正面図、
図2(c)はその外部マイクの概略右側面図、
図2(d)はその外部マイクの概略背面図である。
【
図3】
図3(a)は本実施形態の外部マイク用アダプターにおけるクリップ装置の概略平面図、
図3(b)はそのクリップ装置の概略正面図、
図3(c)はそのクリップ装置の概略左側面図、
図3(d)はそのクリップ装置の概略底面図、
図3(e)はそのクリップ装置の概略背面図である。
【
図4】
図4(a)は本実施形態の外部マイク用アダプターにおける連結装置の概略平面図、
図4(b)はその連結装置の概略正面図、
図4(c)はその連結装置の概略左側面図、
図4(d)はその連結装置の概略底面図、
図4(e)はその連結装置の概略背面図である。
【
図5】
図5(a)は本実施形態の外部マイク用アダプターにおける連結装置を正面側から見たときの概略斜視図、
図5(b)はその連結装置を背面側から見たときの概略斜視図である。
【
図6】
図6(a)は本実施形態の外部マイク用アダプターの連結装置における本体部を正面側から見たときの概略斜視図、
図6(b)はその本体部を背面側から見たときの概略斜視図である。
【
図7】
図7(a)は本実施形態の外部マイク用アダプターの連結装置における側部を正面側から見たときの概略斜視図、
図7(b)はその側部を背面側から見たときの概略斜視図である。
【
図8】
図8(a)は本実施形態の外部マイク用アダプターが装着された外部マイクの概略側面図、
図8(b)はその外部マイク用アダプターが装着された外部マイクの概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための形態について説明する。
図1(a)は本発明の一実施形態である外部マイク用アダプターの概略正面図、
図1(b)はその外部マイク用アダプターの概略左側面図、
図1(c)はその外部マイク用アダプターの概略底面図、
図1(d)はその外部マイク用アダプターの概略背面図である。
【0016】
本実施形態の外部マイク用アダプター1は、移動用無線機の無線機本体と電気的に接続されている外部マイクを使用者の衣服又は持物に固定することを可能にするものである。特に、本実施形態では、移動用無線機として、IPR(Integrated Police Radio)形移動用無線機を用いる場合を説明する。このIPR形移動用無線機とは、現在、警察が導入を進めている、警察署、パトロールカー、警察官等を結ぶ移動無線通信システムで使用される無線機である。各移動用無線機は、無線機本体と、その無線機本体に繋がれた外部マイクとを備えている。この移動用無線機は、例えばパトロールカーで使用する場合、そのパトロールカーに取り付けられているが、パトロールカーから取り外して、無線機本体を所定のケースに収納し、そのケースに設けられているショルダーベルト等を使って持ち運ぶことが可能である。このとき、外部マイクはケースの側面に設けられたマイクハンガーに仮固定される。本実施形態の外部マイク用アダプターは、主として、移動用無線機を移動体から取り外して使用する場合におけるその外部マイクに対して使用される。
【0017】
ここで、上記IPR形移動用無線機の外部マイクについて説明する。
図2(a)はIPR形移動用無線機の外部マイクの概略平面図、
図2(b)はその外部マイクの概略正面図、
図2(c)はその外部マイクの概略右側面図、
図2(d)はその外部マイクの概略背面図である。
【0018】
外部マイク500は、
図2に示すように、マイク本体510と、マイク本体510の背面に設けられた第一マイク取付部520及び第二マイク取付部530とを備えている。マイク本体510は、スピーカ機能とマイク機能とを有するものである。マイク本体510の正面には、
図2(b)に示すように、スピーカの音量ボタン511が設けられている。また、マイク本体510の側部にはプレススイッチ512が設けられている。使用者がこのプレススイッチ512を押しているときに限り、マイク本体510のマイク機能が有効になる。ここで、マイク本体510の大きさは、高さ約70mm、横幅約57.6mm、厚さ約20mmである。
【0019】
第一マイク取付部520は、板状に形成された、金属製のものである。この第一マイク取付部520の厚さは、約1.5mmである。第一マイク取付部520の下部は、
図2(d)に示すように、マイク本体510の背面中央にネジ止めされている。第一マイク取付部520の上部は、マイク本体510よりも上側に突出しており、その突出した部分にフック孔521が形成されている。このフック孔521を、例えば、IPR形移動用無線機の無線機本体に設けられたフック等に引っ掛けることにより、外部マイク500を無線機本体に装着することができる。
【0020】
第二マイク取付部530は、
図2(a)、(c)及び(d)に示すように、マイク本体510の背面において中心軸がその背面と垂直となるように設けられた軸部(連結部)531と、その軸部531の先端に設けられた頭部532とを有する。軸部531は、マイク本体510と頭部532とを繋ぐ役割を果たしている。この第二マイク取付部530も金属製である。2面幅加工された軸部531は、2面幅約6.6mmのものであり、マイク本体510の背面において第一マイク取付部520から約1.4mm程度、外側に突出している。頭部532は、直径約15mm、厚さ約3mmの略円盤形状に形成されている。この頭部532を、例えば、IPR形移動用無線機の無線機本体又はそれが収納されるケースに設けられたマイクハンガーに嵌め込むことにより、外部マイク500を無線機本体にしっかりと仮固定することができる。また、詳しくは後述するが、この頭部532を、本実施形態の外部マイク用アダプター1の所定部分(マイク用止着部)に嵌め込むことにより、外部マイク500にその外部マイク用アダプター1をしっかりと仮固定することができる。このように頭部532がマイクハンガーや外部マイク用アダプター1の所定部分に嵌め込まれることから、第二マイク取付部530は、係合部としての役割を果たす。特に、この第二マイク取付部530のことを「第一係合部」とも称することにする。
【0021】
本実施形態の外部マイク用アダプター1は、
図1に示すように、クリップ(取着手段)12を有するクリップ装置(取着装置)10と、連結装置20とを備える。連結装置20は、
図1(c)に示すように、略平板状の中央部21aを有しており、その中央部21aの一方の表面の側には、外部マイク500に設けられた第二マイク取付部(第一係合部)530を着脱自在に止着するためのマイク用止着部210が形成され、中央部21aの他方の表面の側には、クリップ装置10に設けられた後述のスライド嵌合部(第二係合部)を着脱自在に止着するためのクリップ装置用止着部(取着装置用止着部)220が形成されている。すなわち、マイク用止着部210とクリップ装置用止着部220とは、中央部21aを介して表裏一体的に形成されている。クリップ装置10は、クリップ12で使用者の衣服又は持物を挟むことにより、連結装置20を介して当該クリップ装置10と一体化された外部マイク500を使用者の衣服又は持物に取着するためのものである。
【0022】
次に、クリップ装置10と連結装置20とについて詳しく説明する。
図3(a)は本実施形態の外部マイク用アダプター1におけるクリップ装置10の概略平面図、
図3(b)はそのクリップ装置10の概略正面図、
図3(c)はそのクリップ装置10の概略左側面図、
図3(d)はそのクリップ装置10の概略底面図、
図3(e)はそのクリップ装置10の概略背面図である。また、
図4(a)は本実施形態の外部マイク用アダプター1における連結装置20の概略平面図、
図4(b)はその連結装置20の概略正面図、
図4(c)はその連結装置20の概略左側面図、
図4(d)はその連結装置20の概略底面図、
図4(e)はその連結装置20の概略背面図である。
図5(a)は本実施形態の外部マイク用アダプター1における連結装置20を正面側から見たときの概略斜視図、
図5(b)はその連結装置20を背面側から見たときの概略斜視図である。
【0023】
クリップ装置10は、
図1及び
図3に示すように、基部11と、基部11の正面に設けられたクリップ(取着手段)12と、基部11の背面に設けられたスライド嵌合部(第二係合部)13とを備える。このクリップ装置10は、クリップ12を除き、金属で作られている。基部11は、略四角形状に形成されている。
図3に示すように、基部11の周囲(の一部)は背面側に折り曲げられ、側壁11aが形成されている。基部11の大きさは、縦幅約46.1mm、横幅約42.1mmである。クリップ12は、
図3(b)の矢印Aで示す方向に沿って、基部11に対して一定の角度刻みで360度回動可能に構成されている。また、
図3(c)に示すように、使用者がクリップ12の上部を基部11の側に押し込むと、クリップ12は、支点Pを中心として回転し、クリップ12の下部が基部11から離れて、間隙が生じる。この間隙に対象物を挟み込むことができる。このクリップ12は既知のものであるので、ここではクリップ12の詳しい構造の説明を省略する。また、クリップ12の表面には、上記外部マイク500の第二マイク取付部530(軸部531及び頭部532)と同じ構造の取付具、すなわち、軸部12aと頭部12bとが設けられている。具体的に、この軸部12aは、直径約6.6mmのものであり、クリップ12の表面から約1.4mm程度、外側に突出している。また、頭部12bは、直径約12mm、厚さ約3mmの略円盤形状に形成されている。
【0024】
スライド嵌合部13は、連結装置20のクリップ装置用止着部220に差し込んで止着される係合部(第二係合部)として機能するものである。このスライド嵌合部13は、
図3(d)及び(e)に示すように、基部11の背面に設けられており、周端部に設けられた四つのフランジ部13bを有するトレー状の係合主部13aと、その係合主部13aと点状に接合された、弾性部材としての板バネ13cとを備えている。係合主部13aは、上から見たときの形状が約四角形状であり、その大きさは縦幅約27.1mm、横幅約14.7mm、高さ約3mmである。四つのフランジ部13bはそれぞれ、係合主部13aの左上側周端部、右上側周端部、左下側周端部、及び右下側周端部から基部11の表面と略平行な平面内において外側に伸びている。各フランジ部13bの横幅は約3mm、その厚さは約1.3mmである。また、
図3(e)に示すように、係合主部13aの中央は、板バネ13cの下部と点状に接合され、その板バネ13cの上部は基部11の上側に伸びている。また、板バネ13cの上部には、突起部(係止手段)13dが形成されている。ここで、板バネ13cの上部の表面は、四つのフランジ部13bで作られる平面と略同一平面上に位置するように構成されている。また、常時は、板バネ13cはその付勢力により
図3(c)に示す位置を保持している。スライド嵌合部13を、連結装置20のクリップ装置用止着部220に差し込むことにより、クリップ装置10を連結装置20に取り付けることができる。このとき、板バネ13cが撓み、突起部13dは、
図1(d)に示すように、連結装置20に設けられた後述の係合孔部21dと係合し、クリップ装置10は連結装置20にしっかりと固定される。また、使用者は、指で板バネ13cの付勢力に逆らってその上端部を基部11の正面側に押し込んで突起部13dと上記係合孔部21dとの係合状態を解除することにより、クリップ装置10を連結装置20から取り外すことができる。
【0025】
連結装置20は、
図4及び
図5に示すように、略直方体形状に形成されたものであり、本体部21と、本体部21の左右両側に取り付けられた二つの側部22,22とを備えている。本体部21と二つの側部22,22とは、四つのリベット23,23,23,23で固着されている。
【0026】
ここで、
図6(a)は本実施形態の外部マイク用アダプター1の連結装置20における本体部21を正面側から見たときの概略斜視図、
図6(b)はその本体部21を背面側から見たときの概略斜視図である。
図7(a)は本実施形態の外部マイク用アダプター1の連結装置20における側部22を正面側から見たときの概略斜視図、
図7(b)はその側部22を背面側から見たときの概略斜視図である。
【0027】
本体部21は、
図6に示すように、断面形状が略コ字状であるように形成されており、略平板状の中央部21aと、二つの側壁部21b,21bとを有する。中央部21aは略四角形状に形成されており、その大きさは、縦幅約31mm、横幅約24.6mmである。二つの側壁部21b,21bはそれぞれ、中央部21aの左辺、右辺に連なり、中央部21aの背面側に伸びている。各側壁部21bの幅は約3.8mmである。実際には、四角形状の金属板の左右の端部を同じ側(背面側)に折り曲げることにより、本体部21が作製される。また、各側壁部21bには、連結装置20を組み立てる際にリベット23を差し込むための二つの孔部21c,21cが形成されている。
【0028】
中央部21aの上部の中央には、
図4、
図5及び
図6に示すように、クリップ装置10のスライド嵌合部13における突起部13dと係合する係合孔部21dが形成されている。また、中央部21aの下端部の中央には、小さな略半円形状のストッパー(規制手段)21eが連なっている。ここで、ストッパー21eは、中央部21aの正面側に向かって伸びている。このストッパー21eの半径は約3mmである。ストッパー21eは、クリップ装置10のスライド嵌合部13を連結装置20に止着したときに、そのスライド嵌合部13の下部と当接するように構成されている。このように、ストッパー21eは、クリップ装置10が下方に移動(落下)するのを防止する規制手段としての役割を果たす。
【0029】
図4及び
図5に示すように、二つの側部22,22はそれぞれ、本体部21を挟むようにして、本体部21の左側、右側に取り付けられる。左側に取り付けられる側部22と右側に取り付けられる側部22とは、左右対称になっている。但し、一般には、二つの側部22,22は必ずしも左右対称の形状に形成しなくてもよい。各側部22は、
図5及び
図7に示すように、帯状部22aと、正面側起立部22bと、背面側起立部22cとを有し、その断面形状は略コ字状である。帯状部22aは略長方形状に形成されており、
図7に示すように、その縦幅は約31mm、その横幅は約6.8mmである。二つの起立部22b,22cは、帯状部22aの両端から起立している。正面側起立部22bは、帯状部22aの左右の端のうち一方の端に連なり、本体部21の正面から所定の間隔離れた状態で本体部21の正面の一部を覆うものである。正面側起立部22bは略長方形状に形成されており、その横幅は約5.4mmである。一方、背面側起立部22cは、帯状部22aのもう一方の端に連なり、本体部21の背面から所定の間隔離れた状態で本体部21の背面の一部を覆うものである。背面側起立部22cは、その下部が上部よりも幅広となるように構成されている。具体的に、背面側起立部22cの上部の横幅は約9.9mm。その下部の横幅は約12.5mmである。実際、この側部22も、本体部21と同様に、金属板の左右両側を折曲げ加工することにより作製される。また、帯状部22aには、連結部20を組み立てる際にリベット23を差し込んで側部22と本体部21とを一体化するための二つの孔部22d,22dが形成されている。
【0030】
連結装置20を組み立てるには、まず、二つの側部22,22の帯状部22a,22aが互いに対向するように、且つ、各側部22,22における二つの起立部22b,22cで本体部21の中央部21aを挟むように、二つの側部22,22を配置する。また、二つの側部22,22を、本体部21の左右両側の側壁部21b,21bと接するように配置する。このとき、本体部21に対する二つの側部22,22の向きに注意する。次に、各側部22の帯状部22aに形成された孔部22d,22dがそれらに対応する本体部21の各側壁部21bに形成された孔部21c,21cと一致するように位置合わせをする。この状態では、二つの側部22,22の各起立部22b,22cと本体部21の中央部21aの両表面との間に隙間が確保されている。その後、リベット23を、重なり合った孔部22d,21cに差し込む。そして、各リベット23を専用の工具でかしめることにより、
図4及び
図5に示す連結装置20が完成する。
【0031】
このようにして連結装置20が組み立てられると、連結装置20は、
図5に示すように、その背面側に形成された、外部マイク500の頭部532を嵌め込んで外部マイク500を止着するためのマイク用止着部210と、その正面側に形成された、クリップ装置10のスライド嵌合部13を差し込んでクリップ装置10を止着するためのクリップ装置用止着部220とを有するものとなる。
【0032】
マイク用止着部210は、
図5に示すように、本体部21における中央部21aの背面側の表面と、それに対向する二つの側部22,22の背面側起立部22c,22cとで形成される隙間によって構成される。このマイク用止着部210において本体部21の中央部21aと各背面側起立部22cとの間隔は、約3mmである(
図4(a)参照)。すなわち、この間隔は外部マイク500における第二マイク取付部530の頭部532の厚さと略同じである。このため、マイク用止着部210には、第二マイク取付部530の頭部532を嵌め込むことができる。ここで、外部マイク500をマイク用止着部210にしっかりと固定することができるようにするためには、上記間隔を第二マイク取付部530の頭部532の厚さよりも若干小さくすることが望ましい。これにより、使用者は少し力を入れなければ、頭部532をマイク用止着部210に嵌め込むことができない、又は、頭部532をマイク用止着部210から取り外すことができないようになる。
【0033】
また、
図5(b)に示すように、二つの背面側起立部22c,22cの上部の間には、一定間隔の隙間211が生じている。本実施形態では、この隙間211の間隔は約6.4mmであり、外部マイク500における第二マイク取付部530の軸部531の2面幅と略同じになっている。この隙間211は、第二マイク取付部530の軸部531を上側から案内するための案内部としての役割を果たす。一方、二つの背面側起立部22c,22cの下部の間には、第二マイク取付部530の軸部531の2面幅よりもかなり小さな隙間が生じている。このため、第二マイク取付部530の軸部531を隙間211に入れたときに、第二マイク取付部530の軸部531は、その隙間211の下部に対応する二つの背面側起立部22c,22cで支持される。したがって、連結装置20の背面と外部マイク500の背面とを対向させた状態で、外部マイク500における第二マイク取付部530の軸部531を上方から隙間211に挿入すると共に第二マイク取付部530の頭部532をマイク用止着部210に嵌め込むことにより、外部マイク500を連結装置20にしっかりと固定することができる。
【0034】
クリップ装置用止着部220は、
図5に示すように、本体部21における中央部21aの正面側の表面と、それに対向する二つの側部22,22の正面側起立部22b,22bとで形成される隙間によって構成される。このクリップ装置用止着部220において本体部21の中央部21aと各正面側起立部22bとの間隔は、約1.4mmである(
図4(a)参照)。すなわち、この間隔はクリップ装置10におけるスライド嵌合部13のフランジ部13bの厚さより若干広い。このため、クリップ装置用止着部220には、スライド嵌合部13のフランジ部13bを挿入することができる。また、
図5(a)に示すように、二つの正面側起立部22b,22bの間には、一定間隔の隙間221が生じている。この隙間221の間隔は約15.4mmであり、クリップ装置10におけるスライド嵌合部13の係合主部13aの横幅よりも若干大きくなっている。このため、スライド嵌合部13の係合主部13aはこの隙間221を通ることができる。したがって、連結装置20の正面とクリップ装置10の背面とを対向させた状態で、スライド嵌合部13の係合主部13aを二つの正面側起立部22b,22bの間に位置するようにして、スライド嵌合部13の各フランジ部13bを上方から下方にスライドしてクリップ装置用止着部220に差し込むことにより、クリップ装置10を連結装置20に取り付けることができる。このとき、クリップ装置10はストッパー21eにより支えられて、下方に落下することはない。また、このようにクリップ装置10をクリップ装置用止着部220に差し込むと、スライド嵌合部13の突起部13dが連結装置20の中央部21aに設けられた係合孔部22dと係合する。このため、クリップ装置10は連結装置20から容易に外れてしまうことはない。
【0035】
次に、本実施形態の外部マイク用アダプター1の使い方について説明する。最初に、移動用無線機を移動体から取り外して使用する場合を考える。ここで、本実施形態の外部マイク用アダプター1を使用する際には、
図1に示すように、予めクリップ装置10を連結装置20に取り付けておく。移動用無線機を屋外に持ち出して使用する場合、使用者は、まず、無線機本体を移動体から取り外し、その取り外した無線機本体をショルダーベルト付きのケースに収納する。次に、使用者は、外部マイク500における第二マイク取付部530をマイク用止着部210に嵌め込むことにより外部マイク500を連結装置20に取り付ける。これにより、外部マイク500と本実施形態の外部マイク用アダプター1とが一体化される。ここで、
図8(a)に本実施形態の外部マイク用アダプター1が装着された外部マイク500の概略側面図を示し、
図8(b)にその外部マイク用アダプター1が装着された外部マイク500の概略背面図を示す。
【0036】
その後、クリップ装置10のクリップ12を用いて、その外部マイク用アダプター1と一体化された外部マイク500を、自分の衣服又は持物に装着する。ここで、外部マイク500を装着する衣服の箇所の例としては、ジャンパーのジッパー部分、ジャケットの襟部や胸ポケットなどを挙げることができる。また、外部マイク500を装着する持物の箇所の例としては、無線機本体のケースに設けられたショルダーベルト、ザックのショルダーベルトなどを挙げることができる。ここで、クリップ12としてその挟力がかなり強いものを用いることにより、外部マイク500は、それが装着された衣服又は持物から簡単に外れてしまうことはない。また、本実施形態では、クリップ12として回転式のものを用いているので、使用者は外部マイク500の向きを適宜調整して、外部マイク500と無線機本体とを繋ぐケーブルが自分の体に引っ掛からないようにすることができる。その後、使用者は、無線機本体を収納したケースのショルダーベルトを肩に掛けて、無線機本体を持ち運ぶ。使用者が屋外で活動中、外部マイク500は使用者の衣服又は持物にしっかり固定されており、それが揺れたりすることはないので、使用者は、自分の活動に集中することができる。また、外部マイク500は自分の手の届くところにあるので、本部等に緊急連絡を行う必要が生じたときでも、手早く外部マイク500を握って、使用することができる。
【0037】
また、本実施形態の外部マイク用アダプター1は、移動用無線機を屋外で使用する場合にのみその外部マイク500に用いられるのではない。次に、移動用無線機を車内や室内等で固定した状態で使用する場合を考える。この場合も、使用者は、外部マイク500における第二マイク取付部530をマイク用止着部210に嵌め込むことにより、
図8に示すように、外部マイク500と本実施形態の外部マイク用アダプター1とを一体化する。使用者は、クリップ装置10のクリップ12を用いて、外部マイク500を使用者の衣服又は持物に取着することができる。また、外部マイクを自分の衣服又は持物に取着するのではなく、外部マイクを別の方法で無線機本体に装着することも可能である。すなわち、本実施形態では、クリップ装置10のクリップ12の表面には、外部マイク500の第二マイク取付部530と同じ構造の取付具、すなわち、軸部12aと頭部12bとが設けられているので、使用者は、クリップ装置10のクリップ12に設けた頭部12bを、無線機本体又はそのケースに設けられたマイクハンガーに嵌め込むことにより、外部マイク500を無線機本体に装着することができる。さらには、外部マイク500の第一マイク取付部520に形成されたフック孔521を、無線機本体に設けられたフック等に引っ掛けることにより、外部マイク500を無線機本体に装着することができる。また、当然のことであるが、外部マイクから本実施形態の外部マイク用アダプターを取り外せば、使用者は、その外部マイクを従来と同様の使い勝手で使用することができる。このように、特に移動用無線機を車内や室内等で使用する場合にあっては、使用者は、本実施形態の外部マイク用アダプター1を使用することにより、外部マイク500の装着方法としてさまざまな方法を選択することができる。
【0038】
本実施形態の外部マイク用アダプターでは、外部マイクを使用者の衣服又は持物に取着するためのクリップを有するクリップ装置と、外部マイクを止着するためのマイク用止着部及びクリップ装置を止着するためのクリップ装置用止着部が形成された連結装置とを備えている。このため、本実施形態の外部マイク用アダプターを用いると、クリップ装置及び連結装置と外部マイクとを一体化し、そのクリップ装置に設けられたクリップを用いて外部マイクを使用者の衣服又は持物に装着することができる。例えば、移動用無線機を移動体から外に持ち出して使用する場合、使用者は、本実施形態の外部マイク用アダプターを利用して、その移動用無線機の外部マイクを自分の衣服又は持物、例えばジャンパーのファスナー部分等に装着することにより、外部マイクを自分にとって身近な箇所であって手で掴みやすい箇所に配置しておくことができるので、外部マイクの操作を容易に行うことができる。このため、使用者は、屋外での使用中、いつでも手早く外部マイクを握って、相手方に連絡を行うことができる。また、移動用無線機を移動体内で使用する場合も、使用者は、本実施形態の外部マイク用アダプターを用いて、外部マイクを自分の衣服又は持物に装着することにより、外部マイクの操作を容易に行うことができる。更に、移動用無線機を移動体内で使用する際に、外部マイクから本実施形態の外部マイク用アダプターを取り外せば、使用者は、その外部マイクを従来と同様の使い勝手で使用することができる。したがって、本実施形態の外部マイク用アダプターを使用することにより、移動体内での外部マイクの使い勝手を損なうことなく、移動体外での外部マイクの使い勝手の向上を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態の外部マイク用アダプターでは、クリップ装置のクリップを用いて、外部マイクを使用者の衣服又は持物にしっかりと固定することができる。このため、例えば、使用者が屋外で使用しているとき、激しく体を動かしたり、走ったりしても、外部マイクは、その衣服や持物から簡単に外れてしまうことはない。
【0040】
また、本実施形態の外部マイク用アダプターでは、クリップ装置におけるクリップの表面に、外部マイクの第二マイク取付部と同じ構造の取付具(係合部)が設けてられていることにより、使用者は、外部マイクに本実施形態の外部マイク用アダプターを取り付けたときには、外部マイクをクリップの機能を使って使用者の衣服や持物に取着することができるだけでなく、そのクリップの表面に設けられた取付具を用いて、外部マイクを、無線機本体又はそのケースに設けられたマイクハンガーに取り付けることも可能である。
【0041】
更に、本実施形態の外部マイク用アダプターでは、連結装置が、本体部と、本体部の左右両側に取り付けられた、本体部の正面及び背面からそれぞれ所定の間隔離れた状態で本体部の正面及び背面の一部を覆う二つの側部とを備えており、マイク用止着部は、本体部と本体部の背面側における二つの側部とによって構成され、クリップ装置用止着部は、本体部と本体部の正面側における二つの側部とによって構成されている。このように連結装置として簡単な構造のものを用いたことにより、その製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0043】
例えば、上記の実施形態では、クリップ装置を、連結装置のクリップ装置用止着部に差し込んだ際に、クリップ装置に設けられた突起部が連結装置の係合孔部と係合することにより、クリップ装置を連結装置に止着する場合について説明したが、連結装置のクリップ装置用止着部をマイク用止着部と同様の構造とし、外部マイクの場合と同様に、クリップ装置を、連結装置のクリップ装着用止着部に嵌め込むことにより連結装置に止着するようにしてもよい。
【0044】
上記の実施形態では、クリップ装置のクリップの表面に、外部マイクの第二マイク取付部(第一係合部)と同じ構造の取付具(係合部)が設けられている場合について説明したが、クリップ装置のクリップの表面には必ずしも上記係合部を設ける必要はない。
【0045】
また、上記の実施形態では、連結装置が、本体部と、本体部の左右両側に取り付けられた、本体部の正面及び背面からそれぞれ所定の間隔離れた状態で本体部の正面及び背面の一部を覆う二つの側部とによって構成されている場合について説明したが、連結装置としては、外部マイクの第二マイク取付部(第一係合部)を着脱自在に止着するためのマイク用止着部と、クリップ装置のスライド嵌合部(第二係合部)を着脱自在に止着するためのクリップ装置用止着部とを有するものであれば、どのような構成のものであってもよい。
【0046】
更に、上記の実施形態では、本発明に係る外部マイク用アダプターとして、クリップを有するクリップ装置と、連結装置とを備えるものを用い、クリップを使って外部マイクを使用者の衣服又は持物に取着する場合について説明したが、一般に、本発明に係る外部マイク用アダプターとしては、外部マイクを衣服又は持物に着脱自在に取着するための取着手段を有する取着装置と、上記連結装置とを備えるものを用いることができる。具体的に、この取着装置の取着手段としては、上記実施形態におけるクリップの他に、例えば、磁石又は面ファスナーを用いることができる。このような取着装置であっても、連結装置を介して当該取着装置と一体化された外部マイクを使用者の衣服又は持物に着脱自在に取着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明に係る外部マイク用アダプターは、外部マイクを使用者の衣服又は持物に取着するための取着手段を有する取着装置と、外部マイクを止着するためのマイク用止着部及び取着装置を止着するための取着装置用止着部が形成された連結装置とを備えている。このため、本発明に係る外部マイク用アダプターを用いると、取着装置及び連結装置と外部マイクとを一体化し、その取着装置に設けられた取着手段を用いて外部マイクを使用者の衣服又は持物に装着することができる。このため、例えば、移動用無線機を移動体から外に持ち出して使用する場合、使用者は、本発明に係る外部マイク用アダプターを利用して、その移動用無線機の外部マイクを自分の衣服又は持物、例えばジャンパーのファスナー部分等に装着することにより、外部マイクを自分にとって身近な箇所であって手で掴みやすい箇所に配置しておくことができるので、外部マイクの操作を容易に行うことができる。一方、移動用無線機を移動体内で使用する場合も、使用者は、本発明に係る外部マイク用アダプターを用いて、外部マイクを自分の衣服又は持物に装着することにより、外部マイクの操作を容易に行うことができる。また、移動用無線機を移動体内で使用する際に、外部マイクから本発明に係る外部マイク用アダプターを取り外せば、使用者は、その外部マイクを従来と同様の使い勝手で使用することができる。したがって、本発明に係る外部マイク用アダプターを使用することにより、移動体内での外部マイクの使い勝手を損なうことなく、移動体外での外部マイクの使い勝手の向上を図ることができる。このように、本発明に係る外部マイク用アダプターは、特に移動用無線機を車外で使用する際にその移動用無線機の外部マイクに用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0048】
1 外部マイク用アダプター
10 クリップ装置(取着装置)
11 基部
11a 側壁
12 クリップ(取着手段)
12a 軸部
12b 頭部
13 スライド嵌合部(第二係合部)
13a 係合主部
13b フランジ部
13c 板バネ(弾性部材)
13d 突起部(係止手段)
20 連結装置
21 本体部
21a 中央部
21b 側壁部
21c 孔部
21d 係合孔部
21e ストッパー(規制手段)
22 側部
22a 中央部
22b 正面側起立部
22c 背面側起立部
22d 孔部
23 リベット
210 マイク用止着部
211 隙間(案内部)
220 クリップ装置用止着部(取着装置用止着部)
221 隙間
500 外部マイク
510 マイク本体
511 スピーカの音量ボタン
512 プレススイッチ
520 第一マイク取付部
521 フック孔
530 第二マイク取付部(第一係合部)
531 軸部(連結部)
532 頭部