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特開2024-66917ヘパリン類似物質を含有する消毒用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066917
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ヘパリン類似物質を含有する消毒用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/045 20060101AFI20240509BHJP
   A61K 31/727 20060101ALI20240509BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240509BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240509BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240509BHJP
   A61K 31/14 20060101ALI20240509BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240509BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240509BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240509BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240509BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240509BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240509BHJP
   A01N 33/12 20060101ALI20240509BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240509BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20240509BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20240509BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A61K31/045
A61K31/727
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/41
A61K31/14
A61P31/00
A61P31/16
A61P31/14
A61K47/10
A61K47/36
A61Q19/00
A01N33/12 101
A01P3/00
A01P1/00
A01N61/00 D
A01N25/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176717
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】393028036
【氏名又は名称】丸石製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】野村 麻以
(72)【発明者】
【氏名】大樂 真健
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C206
4H011
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD37
4C076EE30
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD311
4C083AD312
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE10
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA27
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZA89
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA03
4C206FA41
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA83
4C206NA02
4C206NA03
4C206ZA89
4H011AA01
4H011AA03
4H011AA04
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB04
4H011BB19
4H011BC03
4H011BC19
4H011DA13
4H011DC05
4H011DG11
4H011DH10
(57)【要約】
【課題】ヘパリン類似物質と第4級アンモニウム化合物とを含みつつ、白濁が抑制された又は白濁のない、中濃度から高濃度のアルコールを含有する消毒用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の消毒用組成物は、下記式(1-1)で表される第4級アンモニウム化合物(1)、ヘパリン類似物質(2)、エタノール(3)及び水(4)を含み、エタノール含有量が32vol%以上であり、波長400nmの光線透過率が70%以上である。下記式中、R1、R2、R4は同一又は異なって、置換基を有していても良い炭化水素基を示し、R3は炭素数5~20の有機基を示し、Xはハロゲン原子を示す。
前記ヘパリン類似物質(2)の含有量は、第4級アンモニウム化合物(1)1重量部に対して0.01~50重量部が好ましい。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1-1)
【化1】
(式中、R1、R2、R4は同一又は異なって、置換基を有していても良い炭化水素基を示し、R3は炭素数5~20の有機基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表される第4級アンモニウム化合物(1)、ヘパリン類似物質(2)、エタノール(3)及び水(4)を含み、
前記エタノール(3)の含有量が32vol%以上であり、
波長400nmの光線透過率が70%以上である、消毒用組成物。
【請求項2】
前記ヘパリン類似物質(2)の含有量が、第4級アンモニウム化合物(1)1重量部に対して0.01~50重量部である、請求項1に記載の消毒用組成物。
【請求項3】
前記第4級アンモニウム化合物(1)が、下記式(1-1’)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
【化2】
(式中、R1、R2は同一又は異なって、置換基を有していても良い炭化水素基を示し、R3は炭素数5~20の有機基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
【請求項4】
前記第4級アンモニウム化合物(1)の含有量が消毒用組成物全量に対して0.001~0.3w/v%である、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
【請求項5】
前記第4級アンモニウム化合物(1)が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゼトニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘパリン類似物質を含有する消毒用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘパリン類似物質を含有し、エタノール含有量が2~20重量%である低アルコール外用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-52836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、新型インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの出現に伴い、アルコール含有擦式手指消毒剤の需要が高まっている。しかし、ヘパリン類似物質を含有し、中濃度から高濃度のアルコールを含有する擦式手指消毒剤は知られていない。
【0005】
そこで、本発明者らが検討した結果、ヘパリン類似物質を中濃度から高濃度のアルコール水溶液に溶解し、そこに殺菌剤(例えば、第4級アンモニウム化合物類や、グルコン酸クロルヘキシジンなど)を添加すると、白濁、析出、若しくは沈殿しやすいことが判明した。なお、白濁によって殺菌剤の含量が低下するという問題や、溶液が不均一となるという問題が生じる。
【0006】
従って、本発明の目的は、ヘパリン類似物質と第4級アンモニウム化合物とを含みつつ、白濁が抑制された又は白濁のない、中濃度から高濃度のアルコールを含有する消毒用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ヘパリン類似物質(w/v%)と、第4級アンモニウム化合物(w/v%)と、エタノール(vol%)とを組み合わせて含有する組成物は、配合割合を適宜調整することで、各成分が溶解して白濁が抑えられることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記式(1-1)
【化1】
(式中、R1、R2、R4は同一又は異なって、置換基を有していても良い炭化水素基を示し、R3は炭素数5~20の有機基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表される第4級アンモニウム化合物(1)、ヘパリン類似物質(2)、エタノール(3)及び水(4)を含み、
前記エタノール(3)の含有量が32vol%以上であり、
波長400nmの光線透過率が70%以上である、消毒用組成物を提供する。
【0009】
本発明は、また、前記ヘパリン類似物質(2)の含有量が、第4級アンモニウム化合物(1)1重量部に対して0.01~50重量部である前記消毒用組成物を提供する。
【0010】
本発明は、また、前記第4級アンモニウム化合物(1)が、下記式(1-1’)で表される化合物である前記消毒用組成物を提供する。
【化2】
(式中、R1、R2は同一又は異なって、置換基を有していても良い炭化水素基を示し、R3は炭素数5~20の有機基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
【0011】
本発明は、また、前記第4級アンモニウム化合物(1)の含有量が消毒用組成物全量に対して0.001~0.3w/v%である前記消毒用組成物を提供する。
【0012】
本発明は、また、前記第4級アンモニウム化合物(1)が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゼトニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である前記消毒用組成物を提供する。
【0013】
なお、本明細書及び特許請求の範囲に示す数値は、有効数字以下の桁を四捨五入して丸めた数値も含むものとする。例えば、0.06w/v%は、有効数字以下の桁である小数第3位を四捨五入して0.06w/v%となる0.055~0.064w/v%を含み、0.1w/v%は同様に小数第2位を四捨五入して、0.05~0.14w/v%を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の消毒用組成物は、ヘパリン類似物質と、特定の第4級アンモニウム化合物と、エタノールとを組み合わせて含有するため、配合割合を適宜調整することで、白濁が抑えられる。そのため、本発明の消毒用組成物は、ポンプやノズルの詰まりを防止し得る、噴霧して使用する用途に適している、組成物が均一である、及び/又はざらつきにくい、といった利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[消毒用組成物]
本発明の消毒用組成物は、特定の第4級アンモニウム化合物(1)、ヘパリン類似物質(2)、エタノール(3)及び水(4)を含み、波長400nmの光線透過率が70%以上であることを特徴とする。
【0016】
(第4級アンモニウム化合物(1))
第4級アンモニウム化合物は、病原性細菌を死滅させる効果を有する化合物である。
【0017】
前記第4級アンモニウム化合物は、下記式(1-1)で表される化合物である。
【化3】
(式中、R1、R2、R4は同一又は異なって、置換基を有していても良い炭化水素基を示し、R3は炭素数5~20の有機基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
【0018】
1、R2、R4における炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの結合した基が含まれる。
【0019】
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~20(=C1-20)の脂肪族炭化水素基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0020】
脂環族炭化水素基としては、炭素数5~10(=C5-10)の脂環族炭化水素基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
芳香族炭化水素基としては、炭素数6~14(=C6-14)(特に、炭素数6~10(C6-10))芳香族炭化水素基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0022】
脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した炭化水素基には、アラルキル基(例えば、C7-18アラルキル基等)、アルキル置換アリール基(例えば、1~4個程度のC1-4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基等)等が含まれる。
【0023】
前記炭化水素基が有していても良い置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキル置換アリールオキシ基等の置換オキシ基が挙げられる。
【0024】
1、R2としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~5のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基が中でも好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0025】
3は炭素数5~20の有機基であり、例えば、炭素数5~20の脂肪族炭化水素基、及び酸素原子を有する炭素数5~20の基が挙げられる。
【0026】
前記炭素数5~20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数6~20のアルキル基が好ましく、炭素数7~19のアルキル基が特に好ましく、炭素数8~18のアルキル基が最も好ましい。
【0027】
前記酸素原子を有する炭素数5~20の基としては、例えば、酸素原子を有する炭素数5~20の炭化水素基が挙げられる。中でも、下記式(r3)で表される基が好ましい。
【化4】
【0028】
前記式(r3)中、R5は炭素数1~3のアルキレン基を示し、好ましくはエチレン基である。
【0029】
前記式(r3)中、環Zは炭素数6~10のアレーン環を示し、好ましくはベンゼン環である。
【0030】
前記式(r3)中、R6はアルキル基を示し、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、炭素数2~8の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、1,1,3,3-テトラメチルブチル基がさらに好ましい。また、nが2以上の場合、それぞれR6は互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0031】
前記式(r3)中、mは[-R5-O]の繰り返し数を表し、mは1~3の整数であり、好ましくは2である。
【0032】
前記式(r3)中、nはR6の環Zに対する置換数を表し、nは0~4の整数であり、好ましくは0~2であり、より好ましくは1である。
【0033】
前記式(r3)において、nが1以上の場合、環Zに対するR6の置換位置は特に制限はないが、[-(R5-O)m-]とR6とが環Zの互いに離れる位置関係にあるのが好ましい。例えば、環Zがベンゼン環であり、nが1である場合、[-(R5-O)m-]とR6との置換位置は1,3位または1,4位であるのが好ましく、1,4位であるのが特に好ましい。
【0034】
4としては、C7-18アラルキル基が好ましく、ベンジル基が特に好ましい。
【0035】
従って、第4級アンモニウム化合物としては、下記式(1-1’)で表される化合物が特に好ましい。下記式中、R1、R2、R3、及びXは、前記式(1-1)中のR1、R2、R3、及びXと、好ましい態様を含め同じである。
【化5】
【0036】
第4級アンモニウム化合物の具体例としては、例えば、下記式で表されるベンザルコニウム塩化物(BAC)、ベンゼトニウム塩化物(BEC)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【化6】
【0037】
第4級アンモニウム化合物としては、上記式(1-1)で表される化合物であり、中でも上記式(1-1’)で表される化合物が好ましく、ベンザルコニウム塩化物及び/又はベンゼトニウム塩化物が最も好ましい。
【0038】
第4級アンモニウム化合物の含有量は、消毒用組成物全量において、例えば0.001~0.3w/v%であり、好ましくは0.01~0.25w/v%、より好ましくは0.03~0.25w/v%であり、最も好ましくは0.05~0.2w/v%である。
【0039】
(ヘパリン類似物質(2))
本発明に用いるヘパリン類似物質は、「ヘパリン」に類似する構造の物質であり、例えばウシやブタの胎盤から抽出され、ムコ多糖を硫酸化することにより精製され、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖に属する成分である。
【0040】
本発明においては、特に日本薬局方外医薬品規格2002に記載されているヘパリン類似物質もしくはこれと同等規格のヘパリン類似物質を使用することが好適である。
【0041】
ヘパリン類似物質の含有量は、消毒用組成物全量の例えば0.001~1w/v%であり、第4級アンモニウム化合物(1)との白濁を抑制して溶解性を向上し、殺菌効果を高める観点から、好ましくは0.001~0.5w/v%、さらに好ましくは0.005~0.45w/v%、より好ましくは0.01~0.4w/v%、特に好ましくは0.03~0.35w/v%、最も好ましくは0.06~0.3w/v%である。
【0042】
ヘパリン類似物質の含有量は、第4級アンモニウム化合物(1)1重量部に対して例えば0.01~50重量部、好ましくは0.02~30重量部であり、さらに好ましくは0.03~20重量部であり、より好ましくは0.05~15重量部であり、特に好ましくは0.1~10重量部であり、最も好ましくは0.3~6重量部である。
【0043】
(エタノール(3))
本発明は、エタノールを単独で使用してもよく、他の低級アルコール(例えば、メタノール、1-プロパノール、イソプロパノールなど)を本発明の効果に影響を与えない範囲の量(たとえば全組成物に対して5vol%以下)を添加して使用してもよい。特にエタノールを単独で使用することが好ましい。
【0044】
本発明で白濁を抑えた又は白濁しない各成分の濃度は、第4級アンモニウム(1)0.05~0.2w/v%、ヘパリン類似物質(2)0.01~0.3w/v%、エタノール(3)32~85vol%の範囲内で、後述する各成分の濃度の組合せに調製された濃度である。
【0045】
本発明の溶解性の基準としては、例えば、溶液の光透過率で決定することができる。特に好適には、透過率T%を測定することで、白濁の抑制効果や溶解性を客観的に判断することができる。
【0046】
本発明の消毒用組成物の透過率T%は70%以上が許容範囲であり、85%以上が好ましい。透過率T%の上限値は、100%である。ただし、測定誤差等により、100%を超える場合は、実質的に100%とする。透過率T%が70%未満の場合は、白濁や沈殿が起こる範囲にあり、好ましくない。
【0047】
(各成分の濃度)
本発明の消毒用組成物は、ヘパリン類似物質(2)の濃度に応じて、第4級アンモニウム化合物(1)及びエタノール(3)の濃度を適宜調整して設定することができる。
【0048】
例えば、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.01w/v%以上0.15w/v%未満(好ましくは0.03~0.08w/v%、特に好ましくは0.06w/v%)であるとき、第4級アンモニウム化合物(1)の含有量は0.05~0.2w/v%の範囲が好ましく、エタノール(3)の含有量は32~85vol%の範囲が好ましい。但し、第4級アンモニウム化合物(1)の濃度が高いほど、エタノール(3)の好適な濃度の下限値は高くなる傾向があり、上限値は低くなる傾向がある。つまり、エタノール(3)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。
【0049】
また、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.01w/v%以上0.15w/v%未満(好ましくは0.03~0.08w/v%、特に好ましくは0.06w/v%)であるとき、第4級アンモニウム化合物(1)の濃度に応じて、エタノール(3)の好適な各濃度を決めることができる。例えば、第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.03w/v%以上0.08w/v%未満(好ましくは0.04~0.06w/v%、特に好ましくは0.05w/v%)であるとき、エタノール(3)濃度は32~85vol%が好ましく、54~85vol%がより好ましい。第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.08w/v%以上0.13w/v%未満(好ましくは0.09~0.11w/v%、特に好ましくは0.10w/v%)であるとき、エタノール(3)濃度は60~84vol%が好ましく、61~83vol%がより好ましい。第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.13w/v%以上0.23w/v%以下(好ましくは0.18~0.22w/v%、さらに好ましくは0.19~0.21w/v%、特に好ましくは0.20w/v%)であるとき、エタノール(3)濃度は67~80vol%が好ましく、68~73vol%がより好ましい。
【0050】
また、例えば、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.15w/v%以上0.5w/v%未満(好ましくは0.25~0.4w/v%、さらに好ましくは0.28~0.35w/v%、特に好ましくは0.30w/v%)であるとき、第4級アンモニウム化合物(1)濃度は0.05~0.2w/v%、エタノール(3)濃度は46~63vol%であってもよく、第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.05~0.1w/v%、エタノール(3)濃度は70~79vol%であってもよい。但し、前者の場合は、第4級アンモニウム化合物(1)の濃度が高いほど、エタノール(3)の好適な濃度の下限値は高くなり、上限値は第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.1w/v%を最高にその前後で低くなり、エタノール(3)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。また、後者の場合は、第4級アンモニウム化合物(1)の濃度が高いほど、エタノール(3)の好適な濃度の上限値は低くなり、下限値は高くなり、エタノール(3)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。
【0051】
また、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.15w/v%以上0.5w/v%未満(好ましくは0.25~0.4w/v%、特に好ましくは0.30w/v%)であるとき、第4級アンモニウム化合物(1)の濃度に応じて、エタノール(3)の好適な各濃度を決めることができる。例えば、第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.03w/v%以上0.08w/v%未満(好ましくは0.04~0.06w/v%、特に好ましくは0.05w/v%)であるとき、エタノール(3)濃度は46~62vol%又は70~79vol%が好ましく、47~61vol%がより好ましい。第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.08w/v%以上0.13w/v%未満(好ましくは0.09~0.11w/v%、特に好ましくは0.10w/v%)であるとき、エタノール(3)濃度は52~63vol%又は71~74vol%が好ましく、53~62vol%がより好ましい。第4級アンモニウム化合物(1)濃度が0.13w/v%以上0.23w/v%以下(好ましくは0.18~0.22w/v%、さらに好ましくは0.19~0.21w/v%、特に好ましくは0.20w/v%)であるとき、エタノール(3)濃度は58~62vol%が好ましく、59~61vol%がより好ましい。
【0052】
本発明の消毒用組成物は、第4級アンモニウム化合物(1)の濃度に応じて、ヘパリン類似物質(2)及びエタノール(3)の好適な各濃度を決めてもよい。
【0053】
例えば、第4級アンモニウム化合物(1)濃度が全組成物に対して0.03w/v%以上0.08w/v%未満(好ましくは0.04~0.06w/v%、特に好ましくは0.05w/v%)であるとき、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.01~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は32~85vol%であってもよく、好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.03~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は32~85vol%であってもよく、より好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.06~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は32~85vol%であってもよい。但し、ヘパリン類似物質(2)の濃度が高いほど、エタノール(3)の好適な濃度の下限値は高くなり、上限値は低くなり、エタノール(3)の好適な濃度範囲は狭くなり、70~79vol%にエタノール(3)の別の好適な濃度範囲が現れる傾向がある。
【0054】
例えば、第4級アンモニウム化合物(1)濃度が全組成物に対して0.08w/v%以上0.13w/v%未満(好ましくは0.09~0.11w/v%、特に好ましくは0.10w/v%)であるとき、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.01~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は52~84vol%であってもよく、好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.03~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は52~84vol%であってもよく、より好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.06~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は52~84vol%であってもよい。但し、ヘパリン類似物質(2)の濃度が高いほど、エタノール(3)の好適な濃度の下限値及び上限値は共に低くなり、特に上限値が低くなるため、エタノール(3)の好適な濃度範囲は狭くなるが、71~74vol%にエタノール(3)の別の好適な濃度範囲が現れる傾向がある。
【0055】
例えば、第4級アンモニウム化合物(1)濃度が全組成物に対して0.13w/v%以上0.23w/v%以下(好ましくは0.18~0.22w/v%、さらに好ましくは0.19~0.21w/v%、特に好ましくは0.20w/v%)であるとき、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.01~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は58~80vol%であってもよく、好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.03~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は58~80vol%であってもよく、より好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.06~0.3w/v%、エタノール(3)濃度は58~80vol%であってもよい。但し、ヘパリン類似物質(2)の濃度が高いほど、エタノール(3)の好適な濃度の下限値及び上限値は共に低くなり、特に上限値が低くなるため、エタノール(3)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。
【0056】
水(4)
本発明の消毒用組成物は水(4)を含有する。水(4)を添加してエタノール(3)の濃度を調整することが好ましい。水(4)は特に限定されず、蒸留水、イオン交換水などを用いることができる。
【0057】
(その他の成分)
本発明の消毒用組成物は、上記(1)~(4)成分以外にも、本発明の効果に影響がない範囲で、用途に応じて他の成分を含有していても良い。
【0058】
他の成分としては、例えば、第4級アンモニウム化合物(1)以外の殺菌剤、ヘパリン類似物質(2)以外に製剤学的に許容される保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、清涼化剤、抗炎症剤、エモリエント剤、界面活性剤、溶剤、着色剤、香料成分等の成分を製剤の目的や特性を考慮して使用することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
前記保湿剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、天然保湿因子(NMF);NMFの構成要素であるアミノ酸、カルボン酸又はそのエステル、乳酸;ピロリドンカルボン酸;ヒアルロン酸;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール又はソルビット等の多価アルコール類;可溶性コラーゲン、加水分解ユラスチン、加水分解ケラチン等のたんぱく質加水分解物;プラセンタエキス、ムチン、ベタイン、キチン・キトサン、ビフィズス菌代謝物、酵母発酵代謝産物;酵母抽出物等が挙げられる。
【0060】
前記増粘剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン等が挙げられる。
【0061】
前記酸化防止剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール等のトコフェロール誘導体;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸プロピル等の没食子酸誘導体、ビタミンC(アスコルビン酸)及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩等が挙げられる。
【0062】
前記防腐剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、パラベン類(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)、サリチル酸、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ソルビン酸、ヒノキチオール等が挙げられる。
【0063】
前記キレート剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、EDTA、EDTA2Na、EDTA3Na、EDTA4Na等のエデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩);HEDTA3Na等のヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩;ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩);フィチン酸;エチドロン酸等のホスホン酸及びそのナトリウム塩;シュウ酸ナトリウム等が挙げられる。
【0064】
前記pH調整剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酢酸、酢酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硫酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
【0065】
前記紫外線吸収剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、サリチル酸2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4-メトキシ-ベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0066】
前記清涼化剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、l-メントール、カンフル等が挙げられる。
【0067】
前記抗炎症剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン及びアロエエキス等が挙げられる。
【0068】
前記エモリエント剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、アジピン酸ジイソブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソブチル、及びマレイン酸イソブチル等が挙げられる。
【0069】
前記界面活性剤には、本発明の効果に影響がない範囲で、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤が含まれる。なかでも、非イオン系界面活性剤が好ましい。
【0070】
前記非イオン系界面活性剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と表記する。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POE・ポリオキシプロピレン(以下、「POP」と表記する)セチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、モノリノール酸ポリグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;POE(196)・POP(67)グリコールなどのPOE・POPグリコール;POEラノリンアルコール;POE硬化ヒマシ油等や、POE・メチルポリシロキサンなどのシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0071】
他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整することができ、例えば、消毒用組成物全量の30w/v%以下であってもよく、20w/v%以下が好ましく、10w/v%以下が更に好ましく、5w/v%以下が更に好ましく、1w/v%以下が更に好ましく、0.1w/v%以下が特に好ましく、0.01w/v%以下が最も好ましい。
【0072】
本発明の消毒用組成物は、第4級アンモニウム化合物(1)とヘパリン類似物質(2)による白濁を抑制できるので、エタノール(3)32vol%以上では、界面活性剤を含有しなくてもよい。界面活性剤を含有する場合でも、その含有量は、例えば10w/v%以下であり、5w/v%以下が好ましく、1w/v%以下が更に好ましく、0.5w/v%以下が更に好ましく、0.1w/v%以下が更に好ましく、0.05w/v%以下が更に好ましく、0.01w/v%以下が更に好ましく、0.01w/v%未満が特に好ましい。
【0073】
本発明の消毒用組成物は、上述の各成分を配合する場合には、必要に応じて、予め加温しながら撹拌することにより溶解し、その後、室温に冷却してから、アルコールを添加して調製してもよい。
【0074】
前記消毒用組成物は、第4級アンモニウム化合物(1)、ヘパリン類似物質(2)、及びエタノール(3)をそれぞれ所定の濃度で含有するため、第4級アンモニウム化合物(1)とヘパリン類似物質(2)による白濁を生じるのを抑制することができる。
【0075】
そのため、前記消毒用組成物の溶解性を、前記消毒用組成物の効果(ポンプやノズルが詰まりにくい、噴霧しやすい、ざらつきにくい、均一な製剤が得られやすいなどの効果)の指標として利用することができる。
【0076】
前記消毒用組成物の溶解性は、光の透過率で判断することができる。特に判断しやすい方法は、UV測定機器による透過率T%を利用する方法である。
【0077】
以上、本発明の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、適宜、構成の付加、省略、置換、及び変更が可能である。また、本発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
【実施例0078】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0079】
尚、重量での秤取は天秤を用いて行い、容量での採取はピペットマン(ギルソン社製)を用いて行った。
また、組成物の調製では、必要に応じてボルテックスミキサーを使用して、混和した。
水とエタノールの添加量はアルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表を基に予め算出した。
【0080】
実施例1
15mLポリスチレン製透明コニカルチューブ(コーニング社製)に、水4.525mL、3w/w%ヘパリン類似物質(hep)水溶液を1mL加えて混和し、10w/v%BAC水溶液を0.05mL加え、さらにエタノール(95)を加え混和して、全量を10mLとして、組成物(1)(hep0.3w/v%、BAC0.05w/v%、エタノール46vol%)を得た。
尚、3w/w%hep水溶液としては、「ヘパリン類似物質」(日本薬局方外規格品)の3w/w%水溶液を調製したものを用いた。
BAC10w/v%水溶液としては、商品名「ヂアミトール消毒用液10w/v%」(10w/v%ベンザルコニウム塩化物水溶液、丸石製薬(株)製)を用いた。
エタノール(95)は、商品名「エタノール「マルイシ」」(丸石製薬(株)製)を用いた。
【0081】
得られた組成物(1)は室温で保存し、1週間以内に目視観察し、吸光マイクロプレートリーダー(SPECTRAmax PLUS384、モレキュラーデバイス社製)を用い、波長400nmの光線の透過率T%を測定して、ヘパリン類似物質とBACの溶解性を下記基準で評価した。なお、透過率測定前に、ボルテックスミキサーを使用して組成物(1)を混和した。また、試験の校正は、水又は適宜作成したエタノール水溶液についての波長400nmの光線透過率を用いて行った。
【0082】
(溶解性評価)
非常に優れる(◎):波長400nmの光線透過率が85%以上
優れている(○):波長400nmの光線透過率が70%以上、85%未満
不良である(×):波長400nmの光線透過率が70%未満
【0083】
実施例2~48、101~193、比較例1~64、101~130
BAC濃度、ヘパリン類似物質濃度、及びエタノール濃度を下記表に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にして組成物を得、溶解性を評価した。
結果を下記表にまとめて示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【0092】
【表9】
【0093】
実施例201
ベンザルコニウム塩化物(BAC)に代えてベンゼトニウム塩化物(BEC)(試薬名「塩化ベンゼトニウム」、和光純薬工業(株)製)を使用し、BEC濃度及びエタノール濃度を変更した以外は実施例1と同様にして、組成物(hep:0.3w/v%、BEC:0.2w/v%、エタノール:61vol%)を得た。
得られた組成物は、目視で白濁は見られず、波長400nmの透過率は70%以上であった。
【0094】
比較例201
ベンザルコニウム塩化物(BAC)に代えてクロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)(商品名「20w/v%マスキン液」、丸石製薬(株)製)を使用し、CHG濃度及びエタノール濃度を変更した以外は実施例1と同様にして、組成物(hep:0.3w/v%、CHG:0.2w/v%、エタノール:61vol%)を得た。
得られた組成物は、目視で白濁していた。
【0095】
上記実施例で示したように、本発明の消毒用組成物は、所定の濃度のヘパリン類似物質と、所定の濃度のBAC又はBECと、中~高濃度のエタノールを含む場合に、白濁を抑えた又は白濁のない溶液が得られる。
【0096】
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記する。
[1] 式(1-1)で表される第4級アンモニウム化合物(1)、ヘパリン類似物質(2)、エタノール(3)及び水(4)を含み、前記エタノール(3)の含有量が32vol%以上であり、波長400nmの光線透過率が70%以上である、消毒用組成物。
[2] 前記ヘパリン類似物質(2)の含有量が、第4級アンモニウム化合物(1)1重量部に対して0.01~50重量部である、[1]に記載の消毒用組成物。
[3] 前記第4級アンモニウム化合物(1)が式(1-1’)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の消毒用組成物。
[4] 前記第4級アンモニウム化合物(1)の含有量が消毒用組成物全量に対して0.001~0.3w/v%である、[1]~[3]の何れか1つに記載の消毒用組成物。
[5] 前記第4級アンモニウム化合物(1)が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゼトニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である、[1]~[4]の何れか1つに記載の消毒用組成物。