(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066942
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20240509BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20240509BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240509BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240509BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240509BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20240509BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240509BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20240509BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/0566
H01M10/0568
H01M50/119
H01G11/78
H01G11/62
H01M10/052
H01M50/477
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176774
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】大杉 勇太
(72)【発明者】
【氏名】川副 雄大
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 理史
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078AB06
5E078AB13
5E078BA16
5E078BA18
5E078BA27
5E078BA44
5E078BA47
5E078BA53
5E078CA06
5E078CA07
5E078DA03
5E078DA05
5E078DA06
5E078FA02
5E078FA12
5E078FA13
5E078HA05
5E078HA12
5E078HA13
5E078HA23
5E078LA06
5H011CC06
5H021AA02
5H021CC08
5H021CC13
5H021CC18
5H021HH04
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029DJ02
5H029EJ01
5H029HJ07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が抑制された蓄電素子を提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る蓄電素子は、正極端子及び負極端子を有する電極体、電解液、上記電極体及び上記電解液を収容する容器、並びに上記電極体を包囲し、上記電極体と上記容器とを絶縁する絶縁フィルムを備え、上記絶縁フィルムには上記電解液が通過する1又は複数の貫通口が設けられており、上記正極端子側の貫通口の総面積が、上記負極端子側の貫通口の総面積より大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子及び負極端子を有する電極体、
電解液、
上記電極体及び上記電解液を収容する容器、並びに
上記電極体を包囲し、上記電極体と上記容器とを絶縁する絶縁フィルム
を備え、
上記絶縁フィルムには上記電解液が通過する1又は複数の貫通口が設けられており、
上記正極端子側の貫通口の総面積が、上記負極端子側の貫通口の総面積より大きい蓄電素子。
【請求項2】
上記貫通口が上記正極端子側のみに設けられている請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
上記電極体が、扁平状の巻回型電極体であり、
上記電極体の両端部分にそれぞれ上記正極端子及び上記負極端子が位置している請求項1又は請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
上記絶縁フィルムが直方体形状を有し、上記絶縁フィルムの底面側角部に上記貫通口が設けられている請求項3に記載の蓄電素子。
【請求項5】
上記電解液が、硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合構造を有するアニオンを含む塩を含有する請求項1又は請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項6】
上記容器がアルミニウム製である請求項1又は請求項2に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の車両、家電製品等の様々な機器に、充放電可能な蓄電素子(二次電池、キャパシタ等)が使用されている。蓄電素子の一例として、電極体と電解液とを容器に収容した蓄電素子が知られている。容器の材料として、導電性を有する材料(例えばアルミニウム等の金属)を使用する場合、電極体と容器とを絶縁するために、電極体を絶縁フィルムで包囲した状態で容器に収容することが行われている。
【0003】
蓄電素子を製造する際には、通常、絶縁フィルムで包囲された電極体を容器に収容した後に、容器の内部に電解液が注入される。ここで、電極体の底面及び側面全体が絶縁フィルムにより完全に包囲されている場合、電解液が電極体内部全体に浸透し難く、電解液を効率的に注入できない。これに対し、特許文献1には、電解液通過部が設けられた絶縁フィルムにより電極体と容器とが絶縁された二次電池が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電解液通過部が設けられた絶縁フィルムにより電極体と容器とが絶縁された構造であれば、電解液の注入を行い易くなると考えられる。しかし、電極体を包囲する絶縁フィルムに電解液通過部等の貫通口が設けられている場合、金属製の容器、電極体の正極端子、正極基材等と電極体の負極端子とが共に電解液に接触していると、金属製の容器、電極体の正極端子、正極基材等から溶出した金属イオンが電極体の負極端子表面に金属又は金属化合物として析出し、充放電性能に影響を及ぼす場合がある。なお、
図8に、金属製の容器が用いられた従来の蓄電素子の負極端子表面に生じた析出物の拡大写真を示す。
図8において黒光りして見える物全体が析出物である。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、注液性が良好であり、且つ負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が抑制された蓄電素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る蓄電素子は、正極端子及び負極端子を有する電極体、電解液、上記電極体及び上記電解液を収容する容器、並びに上記電極体を包囲し、上記電極体と上記容器とを絶縁する絶縁フィルムを備え、上記絶縁フィルムには上記電解液が通過する1又は複数の貫通口が設けられており、上記正極端子側の貫通口の総面積が、上記負極端子側の貫通口の総面積より大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、注液性が良好であり、且つ負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が抑制された蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の蓄電素子の各構成要素を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の蓄電素子の電極体の構成概要を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1の蓄電素子の絶縁フィルムを広げた状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
【
図7A】
図7Aは、他の実施形態の絶縁フィルムを示す斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、他の実施形態の絶縁フィルムを示す斜視図である。
【
図7C】
図7Cは、他の実施形態の絶縁フィルムを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、金属製の容器が用いられた従来の蓄電素子の負極端子表面に生じた析出物の拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
初めに、本明細書によって開示される蓄電素子の概要について説明する。
【0011】
(1)本発明の一側面に係る蓄電素子は、正極端子及び負極端子を有する電極体、電解液、上記電極体及び上記電解液を収容する容器、並びに上記電極体を包囲し、上記電極体と上記容器とを絶縁する絶縁フィルムを備え、上記絶縁フィルムには上記電解液が通過する1又は複数の貫通口が設けられており、上記正極端子側の貫通口の総面積が、上記負極端子側の貫通口の総面積より大きい。
【0012】
上記(1)に記載の蓄電素子は、注液性が良好であり、且つ負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が抑制されている。このような効果が生じる理由としては定かではないが、以下の理由が推測される。当該蓄電素子に備わる絶縁フィルムには、電解液が通過する1又は複数の貫通口が設けられている。従って、絶縁フィルムによって包囲された電極体が収容された容器に対して、効率的に電解液の注入を行うことができ、注液性が良好である。また、上記(1)に記載の蓄電素子においては、絶縁フィルムに設けられた貫通口の面積に関し、正極端子側の貫通口の総面積が、上記負極端子側の貫通口の総面積より大きい。このため、容器が金属製の場合、容器から溶出する金属イオンは、主に正極端子側の貫通口から絶縁フィルムを通過して電極体に到達する。この結果、容器から溶出した金属イオンは、電極体の負極端子表面まで到達し難くなるため、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が抑制される。また、正極端子及び正極基材等から金属イオンが溶出する場合、これらの金属イオンの少なくとも一部は、正極端子側の貫通口から絶縁フィルムを通過して容器側に移動する。この結果、正極端子及び正極基材等から溶出し、電極体の負極端子表面まで到達する金属イオンの量が減少するため、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が抑制される。以上のような理由から、上記(1)に記載の蓄電素子は上記効果が奏されると推測される。
【0013】
電極体の「正極端子」及び「負極端子」とは、容器の外部に設けられた外部端子(正極外部端子又は負極外部端子)に、接続部材を介して電気的に接続される部分をいう。
「正極端子側」及び「負極端子側」に関し、負極端子よりも正極端子に近い領域が正極端子側であり、正極端子よりも負極端子に近い領域が負極端子側とする。典型的には、電極体が、正極端子と負極端子とが対称関係にある対称軸を有する場合、その対象軸を基準として正極端子を含む側が正極端子側であり、負極端子を含む側が負極端子側である。
「貫通口」とは、絶縁フィルムの容器側の面から電極体側の面まで、直線状に貫通した穴をいう。「貫通口」は、絶縁フィルムが電極体を包囲した状態で、絶縁フィルムに設けられていればよい。すなわち、絶縁フィルムを平面状に広げた状態においては、貫通口は存在しなくてもよい。換言すれば、袋状に形成された絶縁フィルムに、1又は複数の貫通口が設けられていればよい。また、負極端子側には「貫通口」は設けられていなくてもよく、設けられていてもよい。
【0014】
(2)上記(1)に記載の蓄電素子において、上記貫通口が上記正極端子側のみに設けられていることが好ましい。このような場合、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出がより抑制される。
【0015】
(3)上記(1)又は(2)に記載の蓄電素子において、上記電極体が、扁平状の巻回型電極体であり、上記電極体の両端部分にそれぞれ上記正極端子及び上記負極端子が位置していることが好ましい。このような構造の電極体の場合、通常、負極端子の少なくとも一部が電解液に接触した状態となり易く、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が生じ易くなる傾向にある。従って、このような構造の電極体を備える蓄電素子に対して本発明の一側面を適用した場合、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出を抑制するという効果が特に顕著に奏される。
【0016】
(4)上記(3)に記載の蓄電素子において、上記絶縁フィルムが直方体形状を有し、上記絶縁フィルムの底面側角部に上記貫通口が設けられていることが好ましい。このような位置に貫通口が設けられている場合、注液性が良好であり、且つ負極端子表面への金属又は金属化合物の析出が抑制されるという効果がより高まる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の蓄電素子において、上記電解液が、硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合構造を有するアニオンを含む塩を含有することが好ましい。電解液がこのような塩を含有する場合、金属製の容器、電極体の正極端子、正極基材等から金属イオンが溶出し、電極体の負極端子表面に金属又は金属化合物として析出するという現象が生じ易くなることを発明者らは知見している。そのため、このような塩を含有する電解液を備える蓄電素子に対して本発明の一側面を適用した場合、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出を抑制するという効果が特に顕著に奏される。
【0018】
(6)上記(1)から(5)のいずれか一つに記載の蓄電素子において、上記容器がアルミニウム製であることが好ましい。容器がアルミニウム製である場合、容器から金属イオンであるアルミニウムイオンが溶出し、電極体の負極端子表面に金属であるアルミニウム又は金属化合物であるアルミニウム化合物として析出するという現象が生じ易くなる。そのため、アルミニウム製である容器を備える蓄電素子に対して本発明の一側面を適用した場合、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出を抑制するという効果が特に顕著に奏される。
【0019】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子、蓄電装置、蓄電素子の製造方法、及びその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。また、以下の説明において、上下左右等を示す場合があるが、一例としてその方向を示すものであり、使用形態における方向を限定するものではない。
【0020】
<蓄電素子>
図1、2に示すように、蓄電素子10は、容器20と、電極体30と、絶縁フィルム60とを備える。なお、
図2及び後述する
図3において符号Wが付された一点鎖線は、電極体30の巻回軸を表している。巻回軸Wは、仮想的な軸であり、本実施の形態においては、Y軸に平行な直線である。電極体30は、正極端子31及び負極端子32を有する。電極体30は、容器20に収容されている。正極端子31は正極側接続部材(正極リード)51を介して、容器20の外部に設けられた正極外部端子52に電気的に接続されている。負極端子32は負極側接続部材(負極リード)53を介して、容器20の外部に設けられた負極外部端子54に電気的に接続されている。絶縁フィルム60は、電極体30を包囲した状態で袋状に折り曲げられており、電極体30と容器20とを絶縁している。さらに、蓄電素子10は、容器20内に収容された電解液70(
図1、2において図示しない。
図4参照)を備える。電解液70の一部は、電極体30を構成する正極、負極及びセパレータに含浸された状態で存在する。
【0021】
(容器20)
容器20は、絶縁フィルム60で包囲された状態の電極体30と、電解液70とを収容する。本実施形態では、容器20は、直方体形状を有し、
図2に示すように、上部(
図2における上側)が開口している容器本体21と、容器本体21の開口を閉塞する板状部材である蓋体22とで構成されている。蓋体22の外面には、正極外部端子52と負極外部端子54とが、絶縁性を有するガスケット等(図示せず)を介して取り付けられている。また、蓋体22の中央部分には、注液口23が設けられている。なお、注液口23は、電解液70を注入後には封止されるため、
図1においては封止された状態として図示している。
【0022】
容器20の材質は特に限定されない。容器20は、金属製であってもよく、樹脂製であってもよいが、金属製であることが好ましい。容器20が金属製である場合、容器20の材質としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼等が挙げられ、アルミニウムであることが好ましい。アルミニウム製の容器を用いることで、軽量化を図ることができる等の利点がある。また、上記したように、容器20がアルミニウム製である場合、電極体の負極端子32表面への金属又は金属化合物の析出を抑制するという効果が特に顕著に奏される。なお、アルミニウムには、純アルミニウムのみならず、アルミニウム合金も含まれる。容器20の外面は、塗装等により容器以外の材料で被覆されていてもよい。
【0023】
容器20においては、絶縁フィルム60で包囲された状態の電極体30を内部に収容後、容器本体21と蓋体22とが溶接等により接合される。その後、注液口23から電解液70を容器20の内部に注入し、注液口23は封止される。このように、容器20は、内部を密封する構造を有している。
【0024】
(電極体30)
本実施形態では、電極体30は、扁平状の巻回型電極体である。電極体の形状は特に限定されないが、扁平状であることが好ましい。
図3に示すように、電極体30は、帯状の正極33、帯状の第1のセパレータ34、帯状の負極35、及び帯状の第2のセパレータ36がこの順に重ねられた状態で、長手方向に巻回されることにより形成されている。本実施形態では、第2のセパレータ36が電極体20の最外周に位置するように、正極33、第1のセパレータ34、負極35、及び第2のセパレータ36がこの順に重ねられて巻回されている。このように第1のセパレータ34又は第2のセパレータ36を電極体30の最外周に配置することにより、絶縁フィルム60に1又は複数の貫通口を設けた態様においても、電極体30と容器20との間の絶縁性をより確実に確保し得る。本実施形態では、電極体30は、この巻回軸Wが水平方向(Y軸)と平行になるよう配置されている。蓄電素子10においては、電極体30の巻回軸Wは、容器20の底面と平行である。
【0025】
正極33は、帯状の正極基材37と、この正極基材37の両面にそれぞれ積層された正極活物質層38とを有する。負極35は、帯状の負極基材39と、この負極基材39の両面にそれぞれ積層された負極活物質層40とを有する。正極基材37及び負極基材39は、金属箔等、導電性の基材である。正極33、負極35等の各構成要素の詳細については後述する。
【0026】
電極体30においては、正極33と負極35とは、第1のセパレータ34及び第2のセパレータ36を介し、巻回軸Wの方向に互いにずらして巻回されている。また、正極33は、巻回軸Wの方向の一端(
図3における下側の端部)に、正極活物質層38が積層されていない正極活物質層非積層部41を有している。また、負極35は、巻回軸Wの方向の他端(
図3における上側の端部)に、負極活物質層40が積層されていない負極活物質層非積層部42を有している。露出した正極基材37(正極活物質層非積層部41)によって正極端子31が形成され、露出した負極基材39(負極活物質層非積層部42)によって負極端子32が形成されている。このように、扁平状の巻回型の電極体30においては、その両端部分(巻回軸W方向及びY軸方向における両端部分)にそれぞれ正極端子31及び負極端子32が位置する。
【0027】
図4に示すように、本発明の一実施形態において、負極端子32の少なくとも一部は、電解液70と接触している。但し、負極端子32の少なくとも一部と電解液70とは、常に接触していなくてもよく、負極端子32の少なくとも一部と電解液70とが接触し得る構成であればよい。正極端子31の少なくとも一部は、電解液70と接触していてもよい。正極端子31の少なくとも一部と負極端子32の少なくとも一部とが電解液70と接触していてもよい。
【0028】
(絶縁フィルム60)
絶縁フィルム60は、電極体30を包囲し、電極体30と容器20とを絶縁している。本実施形態では、絶縁フィルム60は、電極体30の底面(
図2等における下側の湾曲面)43と、一対の幅広な側面(扁平面)44と、一対の幅狭な側面(端面)45とを包囲するように、袋状に形成されている。具体的に絶縁フィルム60は、上面側(蓋体22側)が開口した直方体形状に形成されている。絶縁フィルム60は、電極体30の形状に対応するよう形成されており、電極体30の底面43は、直方体形状の袋状に形成された絶縁フィルム60の底面61と対向する。電極体30の一対の幅広な側面44は、直方体形状の袋状に形成された絶縁フィルム60の一対の幅広な側面62と対向する。電極体の一対の幅狭な側面45は、直方体形状の袋状に形成された絶縁フィルム60の一対の幅狭な側面63に対向する。
【0029】
袋状の絶縁フィルム60には、電解液70が通過する2つの貫通口64が設けられている。具体的には、直方体形状に形成された絶縁フィルム60の底面61側の4つの角部65のうちの正極端子31側の2つの角部65にそれぞれ貫通口64が設けられている。このように絶縁フィルム60に貫通口64が設けられていることにより、当該蓄電素子10は製造工程における注液性が良好である。
【0030】
本実施形態では、
図4に示されるように、電極体30におけるZ軸方向の対称軸Lを基準として、正極端子31側にのみ貫通口64が設けられており、負極端子32側には貫通口は設けられていない。すなわち、正極端子31側の貫通口64の総面積が、負極端子32側の貫通口の総面積より大きい。このように、正極端子31側の貫通口64の総面積が、負極端子32側の貫通口の総面積より大きいため、当該蓄電素子10においては、負極端子32表面への金属又は金属化合物の析出が抑制される。特に、本実施形態のように、貫通口64が正極端子31側のみに設けられており、また、貫通口64が絶縁フィルム60の底面61側の角部65に設けられていることにより、負極端子32表面への金属又は金属化合物の析出が十分に抑制される。また、貫通口64が絶縁フィルム60の底面61側の角部65に設けられていることにより、製造工程における注液性も特に良好である。
【0031】
各貫通口64の面積としては、例えば1mm2以上100mm2以下が好ましく、2mm2以上50mm2以下がより好ましい。貫通口64の面積が上記下限以上であることにより、注液性を高めることができる。貫通口64の面積が上記上限以下であることにより、電極体30と容器20との間の絶縁性を高めることができる。
【0032】
正極端子31側に設けられた貫通口64の総面積としては、2mm2以上200mm2以下が好ましく、4mm2以上100mm2以下がより好ましい。正極端子31側に設けられた貫通口64の総面積が上記下限以上であることにより、注液性を高めることができる。正極端子31側に設けられた貫通口64の総面積が上記上限以下であることにより、電極体30と容器20との間の絶縁性を高めることができる。
【0033】
別の実施形態として、負極端子32側にも貫通口64が設けられている場合、負極端子32側に設けられた貫通口64の総面積は、正極端子31側に設けられた貫通口64の総面積の1/2以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましい。正極端子31側に設けられた貫通口64の総面積に対する、負極端子32側に設けられた貫通口64の総面積が上記上限以下であることにより、負極端子32表面への金属又は金属化合物の析出を十分に抑制できる。
【0034】
本実施形態においては、貫通口64の個数は2であるが、貫通口の個数は特に限定されない。貫通口の個数は1以上であればよく、2以上が好ましい。貫通口の個数の上限としては、20であってもよく、10であってもよく、6であってもよく、4であってもよく、2であってもよい。
【0035】
本実施形態のような貫通口64が設けられた絶縁フィルム60は、例えば
図5に示す平面状の絶縁フィルム66を二点鎖線に沿って折り曲げることにより形成できる。なお、
図5において二点鎖線は折り曲げ線を表す。
図5の絶縁フィルム66において、右側(電極体30を包囲したときの正極端子31側に対応する部分)と左側(電極体30を包囲したときの負極端子32側に対応する部分)とでは形状が異なる。絶縁フィルム66における正極端子31側の底面61側の角部65に対応する部分には隙間67が設けられているため、折り曲げた場合に貫通口64が形成される。一方、絶縁フィルム66における負極端子32側の底面61側の角部65に対応する部分には、同様の隙間が設けられておらず、折り曲げた場合に貫通口64が形成されない。あるいは、折り曲げた状態でのずれなどにより、負極端子32側の底面61側の角部65に貫通口64が生じた場合であっても、負極端子32側の貫通口64の総面積は、正極端子31側の貫通口64の総面積よりも小さくなり得る。
【0036】
本発明の一実施形態において、貫通口64は、電解液70に接触する位置に設けられている。換言すれば、貫通口64の位置は、当該蓄電素子10を通常使用する状態において、電解液70の液面よりも低い位置に設けられていてよい。
【0037】
絶縁フィルム60は、樹脂フィルムであることが好ましい。絶縁フィルム60の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリイミド、アラミド等が挙げられ、ポリオレフィンが好ましい。絶縁フィルム60は、無孔質フィルムであってもよく、多孔質フィルムであってもよいが、無孔質フィルムであることが好ましい。なお、無孔質フィルムと多孔質フィルムとを区別する「孔」とは、フィルム中に三次元状に形成された「孔」をいい、一方の面側から他方の面側まで直線状に貫通した「貫通口」とは異なる。
【0038】
本発明の一実施形態において、電解液70に接触する部材の少なくとも一つが、アルミニウム製であってよい。電解液70に接触する部材であって、アルミニウム製となり得る部材としては、容器20、正極端子31(正極基材37)、正極側接続部材51等が挙げられる。このような場合、これらの部材からアルミニウムイオンが溶出し、電極体30の負極端子32表面にアルミニウム又はアルミニウム化合物が析出するという現象が生じ易くなる。そのため、本発明の一実施形態がこのような蓄電素子である場合、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出を抑制するという効果が特に顕著に奏される。
【0039】
以下、本発明の一実施形態に係る蓄電素子における正極、負極、セパレータ及び電解液に関して詳説する。
【0040】
(正極)
正極は、上記のように、正極基材と、この正極基材の両面に積層される正極活物質層を有する。なお、正極は、正極基材と正極活物質層との間に設けられる中間層をさらに有していてもよい。また、正極活物質層が正極基材の一方の面のみに積層されている正極を用いることもできる。
【0041】
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10-2Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H-4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
【0042】
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
【0043】
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
【0044】
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
【0045】
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LixNi(1-x)]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγCo(1-x-γ)]O2(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LixCo(1-x)]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγMn(1-x-γ)]O2(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LixNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)、Li[LixNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LixMn2O4、LixNiγMn(2-γ)O4等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、Li2MnSiO4、Li2CoPO4F等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
【0047】
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
【0048】
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
【0049】
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
【0050】
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。
【0051】
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
【0052】
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
【0053】
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。増粘剤を使用する場合、正極活物質層における増粘剤の含有量は、0.1質量%以上8質量%以下とすることができ、通常、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層が増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
【0054】
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。フィラーを使用する場合、正極活物質層におけるフィラーの含有量は、0.1質量%以上8質量%以下とすることができ、通常、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層がフィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
【0055】
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
【0056】
(負極)
負極は、上記のように、負極基材と、この負極基材の両面に積層される負極活物質層を有する。なお、負極は、負極基材と負極活物質層との間に設けられる中間層をさらに有していてもよい。また、負極活物質層が負極基材の一方の面のみに積層されている負極を用いることもできる。負極に設けられていてもよい中間層の構成は特に限定されず、例えば正極で例示した構成から選択することができる。
【0057】
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
【0058】
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
【0059】
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
【0060】
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
【0061】
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;Li4Ti5O12、LiTiO2、TiNb2O7等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0062】
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。結晶性が高く、電荷吸蔵イオン(例えばリチウムイオン)をより多く吸蔵できる観点で、天然黒鉛が好ましい。
【0063】
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
【0064】
ここで、炭素材料の「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた半電池において、開回路電圧が0.6V以上である状態である。
【0065】
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
【0066】
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
【0067】
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び分級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質層は、箔状であってもよい。
【0068】
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。負極活物質が金属Liである場合、負極活物質層における負極活物質の含有量は99質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
【0069】
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
【0070】
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
【0071】
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
【0072】
セパレータとして、ポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
【0073】
(電解液)
電解液としては、公知の電解液の中から適宜選択できる。電解液としては、非水電解液を好適に用いることができる。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
【0074】
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
【0075】
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
【0076】
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
【0077】
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
【0078】
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
【0079】
リチウム塩としては、LiPF6、LiPO2F2、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、LiC(SO2C2F5)3等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPF6がより好ましい。電解質塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0080】
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm3以上2.5mol/dm3以下であると好ましく、0.3mol/dm3以上2.0mol/dm3以下であるとより好ましく、0.5mol/dm3以上1.7mol/dm3以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm3以上1.5mol/dm3以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
【0081】
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0082】
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上7質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下がさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下が特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又は充放電サイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
【0083】
本発明の一実施形態において、電解液は、硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合構造を有するアニオンを含む塩を含有していてよい。このような塩を含有する電解液を備える蓄電素子に対して本発明の一実施形態を適用した場合、負極端子表面への金属又は金属化合物の析出を抑制するという効果が特に顕著に奏される。
【0084】
硫黄原子と酸素原子との二重結合を有するアニオンを含む塩としては、LiSO3F、LiSO3CF3、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、LiC(SO2C2F5)3等が挙げられる。リン原子と酸素原子との二重結合構造を有するアニオンを含む塩としては、LiPO2F2、Li2PO3F、LiN(POF2)2等が挙げられる。また、LiN(POF2)(SO2F)等、硫黄原子と酸素原子との二重結合構造及びリン原子と酸素原子との二重結合の双方を有するアニオンを含む塩であってもよい。硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合構造を有するアニオンは、さらにフッ素原子を含んでいてもよい。このとき、フッ素原子は、硫黄原子又はリン原子と結合していることが好ましい。硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合構造を有するアニオンを含む塩は、リチウム塩であってもよい。
【0085】
硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合を有するアニオンを含む塩は、イミド塩以外の塩であってよい。また、硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合を有するアニオンを含む塩は、LiSO3F及びLiPO2F2の少なくとも一方であってよい。硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合を有するアニオンを含む塩は、電解質塩として電解液中に含有されていてもよく、添加剤として電解液中に含有されていてもよい。硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合を有するアニオンを含む塩は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0086】
硫黄原子又はリン原子と酸素原子との二重結合を有するアニオンを含む塩の含有量は、電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であってもよく、0.1質量%以上7質量%以下であってもよく、0.2質量%以上5質量%以下であってもよく、0.3質量%以上3質量%以下であってもよい。
【0087】
<蓄電装置>
本実施形態の蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも1つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
【0088】
図6に、電気的に接続された2つ以上の蓄電素子10が集合した蓄電ユニット80をさらに集合した蓄電装置90の一例を示す。蓄電装置90は、2つ以上の蓄電素子10を電気的に接続するバスバ(図示せず)、2つ以上の蓄電ユニット80を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット80又は蓄電装置90は、1つ以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
【0089】
<蓄電素子の製造方法>
本実施形態の蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、絶縁フィルムを準備することと、電解液を準備することと、電極体を絶縁フィルムで包囲することと、絶縁フィルムで包囲した状態の電極体を容器に収容することと、電極体が収容された容器に更に電解液を収容することと、を備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、セパレータを介して正極及び負極を積層又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。
【0090】
電極体が収容された容器に更に電解液を収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、容器に形成された注入口から電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
【0091】
<その他の実施形態>
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
【0092】
上記実施形態では、蓄電素子が充放電可能な非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタ、非水電解液以外の電解液を用いた蓄電素子等にも適用できる。
【0093】
上記実施形態では、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体について説明したが、電極体は、セパレータを備えなくてもよい。例えば、正極又は負極の活物質層上に導電性を有さない層が形成された状態で、正極及び負極が直接接してもよい。
【0094】
上記実施形態では、電極体が巻回型電極体である場合について説明したが、電極体は、正極と負極とが積層されてなる、積層型電極体であってもよい。
【0095】
また、絶縁フィルムに設ける貫通口は、様々な位置及び形状で設けることができる。例えば
図7Aのように、袋状に形成された絶縁フィルム60Aの幅狭な側面63に貫通口64Aを設けてもよい。
図7Bのように、袋状に形成された絶縁フィルム60Bの底面61と幅広な側面62とがなす辺上に貫通口64Bを設けてもよい。
図7Cのように、袋状に形成された絶縁フィルム60Cの幅広な側面62に貫通口64Cを設けてもよい。貫通口の一部は、負極端子側にも設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、自動車、その他の車両、電子機器などの電源として使用される蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0097】
10 蓄電素子
20 容器
21 容器本体
22 蓋体
23 注液口
30 電極体
31 正極端子
32 負極端子
33 正極
34 第一のセパレータ
35 負極
36 第二のセパレータ
37 正極基材
38 正極活物質層
39 負極基材
40 負極活物質層
41 正極活物質層非積層部
42 負極活物質層非積層部
43 底面(下側の湾曲面)
44 幅広な側面(扁平面)
45 幅狭な側面(端面)
51 正極側接続部材
52 正極外部端子
53 負極側接続部材
54 負極外部端子
60、60A、60B、60C 絶縁フィルム
61 底面
62 幅広な側面
63 幅狭な側面
64、64A、64B、64C 貫通口
65 角部
66 平面状の絶縁フィルム
67 隙間
70 電解液
80 蓄電ユニット
90 蓄電装置
L 対称軸
W 巻回軸