(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066944
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】バイオマスの灰処理水の処理方法及びバイオマスの灰処理水の処理設備
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20240509BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20240509BHJP
F23J 1/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
C02F1/00 M
C02F1/52 K
F23J1/00 A ZAB
F23J1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176778
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝博
【テーマコード(参考)】
3K161
4D015
【Fターム(参考)】
3K161AA05
3K161AA06
3K161CA01
3K161DB32
3K161EA41
3K161LA02
3K161LA12
3K161LA20
4D015BA19
4D015BB01
4D015CA20
4D015FA12
(57)【要約】
【課題】バイオマスの灰処理水のCOD濃度を容易に低減可能なバイオマスの灰処理水の処理方法及びバイオマスの灰処理水の処理設備を提供すること。
【解決手段】バイオマスの灰処理水の処理方法は、第1貯水タンク4a、第2貯水タンク4b、及び第3貯水タンク4cを有する灰処理部1において、第1貯水タンク4aに所定量以上の灰処理水を注入する第1注入工程SB10と、第2貯水タンク4bに所定量以上の灰処理水を注入する第2注入工程SB11と、第3貯水タンク4cに所定量以上の灰処理水を注入する第3注入工程SB12と、第1貯水タンク4a、第2貯水タンク4b、及び第3貯水タンク4cにおいて灰処理水の注入が完了した時から所定期間の経過後に貯水された灰処理水を排水する排水工程SA11と、を含み、第1注入工程SB10、第2注入工程SB11、第3注入工程SB12、の順に繰り返す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス燃料の燃焼後の灰の搬送に用いられた灰処理水を貯水可能な貯水タンクを備えるバイオマスの灰処理水の処理設備におけるバイオマスの灰処理水の処理方法であって、
前記貯水タンクは、第1貯水タンク、第2貯水タンク、及び第3貯水タンクを有し、
前記第1貯水タンクに所定量以上の灰処理水を注入する第1注入工程と、
前記第2貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入する第2注入工程と、
前記第3貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入する第3注入工程と、
前記第1貯水タンク、前記第2貯水タンク、及び前記第3貯水タンクにおいて、灰処理水の注入が完了した時から所定期間の経過後に貯水された灰処理水を排水する排水工程と、を含み、
前記第1注入工程と、前記第2注入工程と、前記第3注入工程と、をこの順に繰り返す、バイオマスの灰処理水の処理方法。
【請求項2】
前記所定期間は、1週間以上である、請求項1に記載のバイオマスの灰処理水の処理方法。
【請求項3】
前記バイオマス燃料は、木質バイオマスペレットであり、
前記バイオマス燃料の燃焼により生じた灰は、前記木質バイオマスペレットが他の化石燃料と混焼されて生じた混焼灰であり、
前記処理設備は、搬送された灰処理水の貯水及び脱水を行って混焼灰を取得するための脱水槽と、脱水により脱水槽から排出された灰処理水を貯水し、当該灰処理水に含まれる灰を沈殿させる灰沈殿槽と、を有し、
前記貯水タンクは、前記灰沈殿槽において灰が沈殿した後の灰処理水の上澄み水を貯水する、請求項1又は2に記載のバイオマスの灰処理水の処理方法。
【請求項4】
前記排水工程では、前記第1貯水タンク、前記第2貯水タンク、及び前記第3貯水タンクにおいて、貯水された前記灰処理水は、排水を処理する排水処理装置へ払い出される、請求項1又は2に記載のバイオマスの灰処理水の処理方法。
【請求項5】
バイオマス燃料の燃焼後の灰の搬送に用いられた灰処理水を貯水可能な貯水タンクと、
前記貯水タンクへ前記灰処理水を注入する注入部と、
前記貯水タンクに貯水された前記灰処理水を外部に排水する排水部と、
前記注入部と前記排水部との動作を制御する制御部と、を備え、
前記貯水タンクは、第1貯水タンク、第2貯水タンク、及び第3貯水タンクを有し、
前記制御部は、
前記注入部が前記第1貯水タンクに所定量以上の灰処理水を注入するように制御する第1注入処理と、
前記注入部が前記第2貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入するように制御する第2注入処理と、
前記注入部が前記第3貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入するように制御する第3注入処理と、
前記第1貯水タンク、前記第2貯水タンク、及び前記第3貯水タンクにおいて、灰処理水の注入が完了した時から所定期間の経過後に前記排水部が貯水された灰処理水を排水するように制御する排水処理と、を実行し、
前記第1注入処理と、前記第2注入処理と、前記第3注入処理と、をこの順に繰り返す、バイオマスの灰処理水の処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスの灰処理水の処理方法及びバイオマスの灰処理水の処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火力発電設備の発電に伴って生じる灰を水(灰処理水)によって運搬する技術が知られている。この種の技術を示すものとして特許文献1が挙げられる。特許文献1では、ボイラーの下部に設けたクリンカホッパにクリンカ(灰)を堆積し、冷却後ポンプによる循環水流輸送によりクリンカをクリンカ脱水槽まで移送(運搬)し、脱水後コンベアにより船積みすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、火力発電設備においてバイオマス燃料を燃焼させる場合、灰に有機物の不燃分が残ることがある。この場合、灰処理水に含まれる有機物の不燃分によりCOD(化学的酸素要求量)濃度が増加することから、海等への放流時の環境規制値を満たすために処理設備の追設等を行う必要があった。しかし、当該前処理を行うためには設備等を追加するためのコストや手間がかかるため、より簡便に灰処理水のCOD濃度を低減する技術が求められていた。
【0005】
本発明は、バイオマスの灰処理水のCOD濃度をより簡便に低減可能なバイオマスの灰処理水の処理方法及びバイオマスの灰処理水の処理設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るバイオマスの灰処理水の処理方法は、バイオマス燃料の燃焼後の灰の搬送に用いられた灰処理水を貯水可能な貯水タンクを備えるバイオマスの灰処理水の処理設備におけるバイオマスの灰処理水の処理方法であって、前記貯水タンクは、第1貯水タンク、第2貯水タンク、及び第3貯水タンクを有し、前記第1貯水タンクに所定量以上の灰処理水を注入する第1注入工程と、前記第2貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入する第2注入工程と、前記第3貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入する第3注入工程と、前記第1貯水タンク、前記第2貯水タンク、及び前記第3貯水タンクにおいて、灰処理水の注入が完了した時から所定期間の経過後に貯水された灰処理水を排水する排水工程と、を含み、前記第1注入工程と、前記第2注入工程と、前記第3注入工程と、をこの順に繰り返す。
【0007】
(1)のバイオマスの灰処理水の処理方法は、バイオマスの灰処理水のCOD濃度をより簡便に低減できる。
【0008】
(2)本発明に係るバイオマスの灰処理水の処理方法においては、前記所定期間は、1週間以上であることが好ましい。
【0009】
(2)のバイオマスの灰処理水の処理方法は、バイオマスの灰処理水のCOD濃度をより効果的に低減できる。
【0010】
(3)本発明に係るバイオマスの灰処理水の処理方法においては、前記バイオマス燃料は、木質バイオマスペレットであり、前記バイオマス燃料の燃焼により生じた灰は、前記木質バイオマスペレットが他の化石燃料と混焼されて生じた混焼灰であり、前記処理設備は、搬送された灰処理水の貯水及び脱水を行って混焼灰を取得するための脱水槽と、脱水により脱水槽から排出された灰処理水を貯水し、当該灰処理水に含まれる灰を沈殿させる灰沈殿槽と、を有し、前記貯水タンクは、前記灰沈殿槽において灰が沈殿した後の灰処理水の上澄み水を貯水することが好ましい。
【0011】
(3)のバイオマスの灰処理水の処理方法は、より効率的にバイオマスの灰を灰処理水で運搬させつつ、バイオマスの灰処理水のCOD濃度をより簡便に低減できる。
【0012】
(4)本発明に係るバイオマスの灰処理水の処理方法においては、前記排水工程では、前記第1貯水タンク、前記第2貯水タンク、及び前記第3貯水タンクにおいて、貯水された前記灰処理水は、排水を処理する排水処理装置へ払い出されることが好ましい。
【0013】
(4)のバイオマスの灰処理水の処理方法は、COD濃度が低減された灰処理水をそのまま排水処理装置に流通でき、効率的に排水処理を行うことができる。
【0014】
(5)本発明に係るバイオマスの灰処理水の処理設備は、バイオマス燃料の燃焼後の灰の搬送に用いられた灰処理水を貯水可能な貯水タンクと、前記貯水タンクへ前記灰処理水を注入する注入部と、前記貯水タンクに貯水された前記灰処理水を外部に排水する排水部と、前記注入部と前記排水部との動作を制御する制御部と、を備え、前記貯水タンクは、第1貯水タンク、第2貯水タンク、及び第3貯水タンクを有し、前記制御部は、前記注入部が前記第1貯水タンクに所定量以上の灰処理水を注入するように制御する第1注入処理と、前記注入部が前記第2貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入するように制御する第2注入処理と、前記注入部が前記第3貯水タンクに前記所定量以上の灰処理水を注入するように制御する第3注入処理と、前記第1貯水タンク、前記第2貯水タンク、及び前記第3貯水タンクにおいて、灰処理水の注入が完了した時から所定期間の経過後に前記排水部が貯水された灰処理水を排水するように制御する排水処理と、を実行し、前記第1注入処理と、前記第2注入処理と、前記第3注入処理と、をこの順に繰り返すことが好ましい。
【0015】
(5)のバイオマスの灰処理水の処理設備は、バイオマスの灰処理水のCOD濃度をより簡便に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る灰処理システムの一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るCOD濃度低減槽の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るバイオマスの灰処理水の処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係るバイオマスの灰処理水の処理方法のうちの注入工程の一例の詳細を説明するためのフローチャートである。
【
図5】変形例に係る灰処理部のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<灰処理システム>
以下、本発明の一実施形態に係るバイオマスの灰処理水の処理方法が適用される灰処理システムSの一例について、
図1、2を用いて説明する。本実施形態に係る灰処理システムSは、火力発電所のボイラーにおいて燃料を燃焼することで生じたフライアッシュやクリンカ等の灰を水によって運搬し回収する灰処理を行うための構成である。以下、灰を運搬するための水を灰処理水として説明する。
【0018】
本実施形態に係る燃料は、バイオマス燃料を含む。バイオマス燃料は、廃材や間伐材等から得られる植物系の有機性の燃料であり、例えば木質バイオマスペレットである。また、本実施形態に係る燃料は、他の化石燃料を含んでいてもよい。他の化石燃料は、例えば石炭や重油等が挙げられる。以下において、バイオマス燃料の燃焼により生じた灰は、木質バイオマスペレットが石炭と混焼されて生じた混焼灰であるとして説明する。しかし、バイオマス燃料の燃焼により生じる灰は、混焼灰に限定されず、バイオマス燃料のみの燃焼により生じた灰でもよい。また、上記バイオマス燃料の燃焼後の灰は、灰処理水によって運搬される。
【0019】
灰処理システムSは、処理設備としての灰処理部1と、排水処理部2と、高COD濃度水を除去するシステムである貯水タンクとしてのCOD濃度低減槽4と、を有する。灰処理システムSは、石炭火力発電所の不図示のボイラーに発生するクリンカ等の混焼灰を灰処理水により運搬し、灰処理水から混焼灰を取り出して回収するための構成である。
【0020】
また、本実施形態に係る灰処理システムSでは、灰処理水は、通常、灰処理部1の後述する循環流路内で循環するようにしている。灰処理部1においては、循環流路内を循環させる不図示のポンプの軸封水としての工業用水が注水される。このため、循環流路内の保有水が徐々に上昇し、後述する貯水槽13の水位も上がることから、貯水槽13に貯水される灰処理水を、定期的にCOD濃度低減槽4を介して排水処理部2に流通させ、排水処理が行われる。なお、排水処理を行う後述の排水流路は、灰処理を行う循環流路とは別系統であり、排水処理と灰処理とは互いに独立して行われる。また、本実施形態では、排水処理部2に流通させる灰処理水は、脱硫装置3から排出される排水の希釈にも利用している。
【0021】
灰処理部1は、バイオマス燃料の燃焼後の混焼灰を処理するための構成である。灰処理部1は、クリンカホッパ10と、脱水槽11と、灰沈殿槽12と、貯水槽13と、第1循環流路F1aと、第2循環流路F1bと、第3循環流路F1cと、第4循環流路F1dと、を有する。なお、以下において、便宜上、第1循環流路F1a、第2循環流路F1b、第3循環流路F1c、及び第4循環流路F1dを合わせて循環流路として記載する場合がある。
【0022】
クリンカホッパ10は、上述したボイラーの下部に配置され、ボイラーから排出されたクリンカ等の混焼灰を堆積し、循環流路に払い出すための構成である。クリンカホッパ10は、内部にボイラーから排出されたクリンカ等の混焼灰を堆積させる空間が形成され、空間の下部に落下したクリンカ等の混焼灰を粉砕する不図示のクリンカクラッシャを有する。クリンカホッパ10は、第4循環流路F1dと、第1循環流路F1aと、に接続する。クリンカホッパ10において、クリンカクラッシャにより粉砕されたクリンカ等の混焼灰は、第4循環流路F1dを流通する灰処理水と混合されてスラリー状となり、第1循環流路F1に流通する灰処理水によって脱水槽11に運搬される。
【0023】
脱水槽11は、灰処理水によって搬送されたクリンカ等の混焼灰を含む灰処理水の貯水及び脱水を行って混焼灰を取得するための構成である。脱水槽11は、第1循環流路F1aと、第2循環流路F1bと、脱水後の混焼灰を外部の灰処理場に搬送するための不図示の搬送部と接続される。脱水槽11の脱水により生じた灰処理水は、第2循環流路F1bを介して灰沈殿槽12に流通する。
【0024】
灰沈殿槽12は、脱水槽11の脱水により生じた灰処理水を貯水し、当該灰処理水に残留している灰を沈殿させるための構成である。灰沈殿槽12は、第2循環流路F1bと、第3循環流路F1cと、接続される。灰沈殿槽12に貯水される灰処理水のうちの上澄み水は、第3循環流路F1cを介して貯水槽13へ流通する。
【0025】
貯水槽13は、灰沈殿槽12において灰が沈殿した後の上澄み水を、循環流路と後述する排水流路に流通する水として貯水するための構成である。また、貯水槽13は、第3循環流路F1cと、第4循環流路F1d及び後述の第1排水流路F2aに接続する。
【0026】
第1循環流路F1aは、クリンカホッパ10と脱水槽11とを接続し、クリンカホッパ10で混焼灰と混合した灰処理水を脱水槽11に供給するための流路である。第1循環流路F1aは、例えば配管により構成される。
【0027】
第2循環流路F1bは、脱水槽11と灰沈殿槽12とを接続し、脱水により脱水槽11から排出された灰処理水を灰沈殿槽12に供給するための流路である。第2循環流路F1bは、例えば配管により構成される。
【0028】
第3循環流路F1cは、灰沈殿槽12と貯水槽13とを接続し、灰沈殿槽12に貯水された灰処理水の上澄み水を貯水槽13に供給するための流路である。第3循環流路F1cは、例えば配管により構成される。
【0029】
第4循環流路F1dは、不図示の弁を介して、貯水槽13と、クリンカホッパ10とを接続する。第4循環流路F1dは、クリンカホッパ10において蓄積するクリンカ等の混焼灰を運搬するために貯水槽13の灰処理水をクリンカホッパ10へ供給するための流路である。第4循環流路F1dは、例えば配管により構成される。本実施形態では、第4循環流路F1dが有する不図示の弁は、作業者等の操作により開閉される。
【0030】
排水処理部2は、脱硫装置3からの排水等に対して浄化等の処理を行うための構成である。排水処理部2は、排水槽20と、排水処理装置21と、第1排水流路F2aと、第2排水流路F2bと、第3排水流路F2cと、第4排水流路F2dと、第5排水流路F3と、を有する。なお、以下において、便宜上、第1排水流路F2aと、第2排水流路F2bと、第3排水流路F2cと、第4排水流路F2dと、第5排水流路F3と、を合わせて排水流路として記載する場合がある。
【0031】
排水槽20は、後述する脱硫装置3からの排水や第2排水流路F2bを介してCOD濃度低減槽4から流通する灰処理水を貯水するための構成である。排水槽20は、第5排水流路F3、第2排水流路F2b、及び第3排水流路F2cと、接続されている。
【0032】
排水処理装置21は、不図示の凝集沈殿層等を有し、脱硫排水を含む排水を浄化処理するための構成である。排水処理装置21で浄化処理された排水は、第4排水流路F2dを介して例えば海域等の外部へ放流される。
【0033】
第1排水流路F2aは、貯水槽13に貯水される灰処理水をCOD濃度低減槽4に供給するための流路である。第1排水流路F2aは、不図示の弁を介して一端部が貯水槽13と接続し、他端部がCOD濃度低減槽4と接続する。第1排水流路F2aは、例えば配管により構成される。本実施形態では、第1排水流路F2aが有する不図示の弁は、作業者等の操作により開閉される。当該弁は、循環流路内の灰処理水の流通の有無にかかわらず、排水流路に送水して貯水槽13の水位を調整するために開閉される。例えば、貯水槽13の水位が上昇したタイミングで弁を開いて排水槽20へ送水を開始し、貯水槽の水位が低下したタイミングで弁を閉じて排水槽20への送水を停止する。
【0034】
第2排水流路F2bは、COD濃度低減槽4に貯水される灰処理水を排水槽20に供給するための流路である。第2排水流路F2bは、一端部がCOD濃度低減槽4と接続し、他端部が排水槽20と接続する。第2排水流路F2bは、例えば配管により構成される。
【0035】
第3排水流路F2cは、排水槽20と排水処理装置21とを接続し、排水槽20に貯水される排水を排水処理装置21に供給するための流路である。第3排水流路F2cは、例えば配管により構成される。
【0036】
第4排水流路F2dは、排水処理装置21と海域等の外部とを接続し、排水処理装置21において浄化された排水を海域等の外部へ放流するための流路である。第4排水流路F2dは、例えば配管により構成される。
【0037】
第5排水流路F3は、後述する脱硫装置3と排水槽20とを接続し、脱硫装置3において発生した排水を排水槽20へ供給するための流路である。第5排水流路F3は、例えば配管により構成される。
【0038】
脱硫装置3は、ボイラーにおいて燃焼により生じた排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸収除去するための構成である。脱硫装置3からは、定常的に排水が発生する。脱硫装置3において発生した排水は、環境基準を満たすために、排水槽20において灰処理水と混合され薄められた上で排水処理装置21において浄化処理され、排出される。なお、脱硫装置3からの排水のCOD濃度は、10~15ppm程度となっている。
【0039】
COD濃度低減槽4は、灰処理部1から排水処理部2に流通する灰処理水のCOD濃度を低減させるための構成である。COD濃度低減槽4は、上述のように第1排水流路F2aと第2排水流路F2bとに接続されている。
【0040】
本実施形態に係るCOD濃度低減槽4は、
図2に示されるように、第1貯水タンク4aと、第2貯水タンク4bと、第3貯水タンク4cと、第1注入流路F21aと、第2注入流路F22aと、第3注入流路F23aと、第1払出流路F21bと、第2払出流路F22bと、第3払出流路F23bと、を有する。なお、以下において、便宜上、第1貯水タンク4a、第2貯水タンク4b、第3貯水タンク4cを総称して貯水タンクとして記載する場合がある。
【0041】
第1貯水タンク4aは、貯水槽13から流通する灰処理水を溜め置き、COD濃度を下げるための構成である。第1貯水タンク4aは、所定量の水を貯水可能に構成される。所定量は、例えば灰処理システムSの循環流路に所定期間内に注入される水の量で規定される。本実施形態では、循環流路に所定期間内に注入される水は、上述のように不図示のポンプの軸封水である。言い換えると、第1貯水タンク4aは、後述の注入工程(ステップSA10)において、少なくとも所定期間の間は注入し続けることができるような容量が設定される。なお、本実施形態では、所定期間は、後述の実施例により1週間としている。しかし、これに限定されず、例えば所定期間は、1週間以上でもよい。第1貯水タンク4aは、第1注入流路F21aと、第1払出流路F21bと、に接続されている。
【0042】
第2貯水タンク4bは、貯水槽13から流通する灰処理水を溜め置き、COD濃度を下げるための構成である。第2貯水タンク4bは、所定量の水を貯水可能に構成される。言い換えると、第2貯水タンク4bは、後述の注入工程(ステップSA10)において、少なくとも所定期間の間は注入し続けることができるような容量が設定される。第2貯水タンク4bは、第2注入流路F22aと、第2払出流路F22bと、に接続されている。
【0043】
第3貯水タンク4cは、貯水槽13から流通する灰処理水を溜め置き、COD濃度を下げるための構成である。第3貯水タンク4cは、所定量の水を貯水可能に構成される。言い換えると、第3貯水タンク4cは、後述の注入工程(ステップSA10)において、少なくとも所定期間の間は注入し続けることができるような容量が設定される。第3貯水タンク4cは、第3注入流路F23aと、第3払出流路F23bと、に接続されている。
【0044】
第1注入流路F21aは、一端部が不図示の弁を介して第1排水流路F2aと接続され、他端部が上述のように第1貯水タンク4aに接続されている。第2注入流路F22aは、一端部が不図示の弁を介して第1排水流路F2aと接続され、他端部が上述のように第2貯水タンク4bに接続されている。第3注入流路F23aは、一端部が不図示の弁を介して第1排水流路F2aと接続され、他端部が上述のように第3貯水タンク4cに接続されている。本実施形態では、第1注入流路F21a、第2注入流路F22a、第3注入流路F23aが有する不図示の弁は、作業者等の操作により開閉される。
【0045】
第1払出流路F21bは、一端部が上述のように第1貯水タンク4aに接続され、他端部が不図示の弁を介して第2排水流路F2bの一端部と接続されている。第2払出流路F22bは、一端部が上述のように第2貯水タンク4bに接続され、他端部が不図示の弁を介して第2排水流路F2bの一端部と接続されている。第3払出流路F23bは、一端部が上述のように第3貯水タンク4cに接続され、他端部が不図示の弁を介して第2排水流路F2bの一端部と接続されている。本実施形態では、第1払出流路F21b、第2払出流路F22b、第3払出流路F23bが有する不図示の弁は、作業者等の操作により開閉される。
【0046】
本実施形態に係るCOD濃度低減槽4は、上述の構成により第1貯水タンク4a、第2貯水タンク4b、第3貯水タンク4cについて、不図示の弁を作業者等の操作により開閉することで、それぞれ独立して注入や払出の操作を行うことができる。本発明の一実施形態に係るバイオマスの灰処理水の処理方法は、当該COD濃度低減槽4の構成を用いて行われる。詳細については、後述する。
【0047】
<バイオマスの灰処理水の処理方法>
次に、本実施形態に係るバイオマスの灰処理水の処理方法の一例について、
図3、4を用いて説明する。バイオマスの灰処理水の処理方法は、第1排水流路F2aに設けられたCOD濃度低減槽4において灰処理部1で循環する灰処理水を貯水する貯水槽13から定期的に排水処理部2に排水される灰処理水から高COD濃度水を除去する方法である。
【0048】
より具体的には、本実施形態に係る灰処理システムSでは、貯水槽13の水位が所定の水位よりも上昇したタイミングで排水処理部2へ排水され、COD濃度低減槽4において以下に説明する方法により高COD濃度水が除去される。所定の水位は、例えば貯水槽13の容量の9割の水位で規定される。また、貯水槽13の水位が所定の水位よりも低下したタイミングで排水処理部2への排水を停止する。
【0049】
バイオマスの灰処理水の処理方法は、
図3に示すように、注入工程(ステップSA10)と、排水工程(ステップSA11)と、を含む。
【0050】
注入工程(ステップSA10)は、COD濃度低減槽4の第1貯水タンク4a、第2貯水タンク4b、又は第3貯水タンク4cに灰処理部1の貯水槽13からの灰処理水を注入する工程である。貯水槽13の水位が所定の水位よりも上昇している間は、貯水槽13からの排水が継続してCOD濃度低減槽4に流通するため、注入工程(ステップSA10)も継続して行われる。一方、貯水槽13の水位が所定の水位よりも低下したタイミングで、注入工程(ステップSA10)が終了する。排水工程(ステップSA11)は、灰処理水の注入が完了した時から所定期間経過後に貯水された灰処理水を排水する工程である。
【0051】
まずは、注入工程(ステップSA10)を行う。注入工程(ステップSA10)は、
図4に示される第1注入工程(ステップSB10~ステップSB13)と第2注入工程(ステップSB14~ステップSB17)と第3注入工程(ステップSB18~ステップSB21)とを含む。第1注入工程(ステップSB10~ステップSB13)は、第1貯水タンク4aに所定量以上の灰処理水を注入する工程である。第2注入工程(ステップSB14~ステップSB17)は、第2貯水タンク4bに所定量以上の灰処理水を注入する工程である。第3注入工程(ステップSB18~ステップSB21)は、第3貯水タンク4cに所定量以上の灰処理水を注入する工程である。本実施形態では、第1注入工程、第2注入工程、第3注入工程における注入量は、同じ所定量としている。注入工程(ステップSA10)の詳細については、後述する。
【0052】
次に、排水工程(ステップSA11)を行う。排水工程(ステップSA11)では、第1貯水タンク4a、第2貯水タンク4b、及び第3貯水タンク4cにおいて、注入工程(ステップSA10)により灰処理水の注入が完了した時から所定期間経過後の貯水された灰処理水を排水する工程である。本実施形態に係る所定期間は、例えば1週間である。しかし、所定期間は、1週間に限定されないが、後述する実施例の結果から1週間以上であることが好ましい。
【0053】
<注入工程>
次に、注入工程(ステップSA10)の詳細について、
図4を用いて説明する。注入工程(ステップSA10)においては、まず第1注入工程を開始する(ステップSB10)。即ち、第1注入流路F21aの不図示の弁を開き、第1排水流路F2aと第1注入流路F21aとを介して貯水槽13から第1貯水タンク4aへの灰処理水の注入を開始する。
【0054】
次に、貯水槽13の水位が所定量を下回ったか否か否かを確認する(ステップSB11)。本実施形態では、上述のように貯水槽13の水位が所定量を上回った時に貯水槽13の水位を下げるために排水処理が開始され、COD濃度低減槽4への排水の流通が行われる。また、上述のように貯水槽13の水位が所定量を下回ったときに排水処理が終了されCOD濃度低減槽4への排水の流通が停止する。貯水槽13の水位が所定量を下回った場合(ステップSB11:YES)、注入工程(ステップSA10)を終了する。貯水槽13の水位が所定量を下回っていない場合(ステップSB11:NO)、第1貯水タンク4aに所定量の灰処理水が溜まったか否かを確認する(ステップSB12)。
【0055】
第1貯水タンク4aに所定量の灰処理水が溜まっていない場合(ステップSB12:NO)、ステップSB11に戻り、第1貯水タンク4aに所定量の灰処理水が溜まるまで灰処理水の注入を続ける。第1貯水タンク4aに所定量の灰処理水が溜まった場合(ステップSB12:YES)、第1注入工程を終了する(ステップSB13)。即ち、第1注入流路F21aの不図示の弁を閉じ、貯水槽13からの第1貯水タンク4aへの灰処理水の注入を停止させる。
【0056】
なお、第1貯水タンク4a内の灰処理水は、上述の排水工程(ステップSA11)において所定期間静置される。その後、第1払出流路F21bの不図示の弁を開き、第1貯水タンク4a内の灰処理水は、第1払出流路F21bと第2排水流路F2bとを介して排水槽20へ流通させる。
【0057】
次に、第2注入工程を開始する(ステップSB14)。即ち、第2注入流路F22aの不図示の弁を開き、第1排水流路F2aと第2注入流路F22aとを介して貯水槽13から第2貯水タンク4bへの灰処理水の注入を開始する。
【0058】
次に、貯水槽13の水位が所定量を下回ったか否かを確認する(ステップSB15)。貯水槽13の水位が所定量を下回った場合(ステップSB15:YES)、注入工程(ステップSA10)を終了する。貯水槽13の水位が所定量を下回っていない場合(ステップSB15:NO)、第2貯水タンク4bに所定量の灰処理水が溜まったか否かを確認する(ステップSB16)。
【0059】
第2貯水タンク4bに所定量の灰処理水が溜まっていない場合(ステップSB16:NO)、ステップSB15に戻り、第2貯水タンク4bに所定量の灰処理水が溜まるまで灰処理水の注入を続ける。第2貯水タンク4bに所定量の灰処理水が溜まった場合(ステップSB16:YES)、第2注入工程を終了する(ステップSB17)。即ち、第2注入流路F22aの不図示の弁を閉じ、貯水槽13からの第2貯水タンク4bへの灰処理水の注入を停止させる。
【0060】
なお、第2貯水タンク4b内の灰処理水は、上述の排水工程(ステップSA11)において所定期間静置される。その後、第2払出流路F22bの不図示の弁を開き、第2貯水タンク4b内の灰処理水は、第2払出流路F22bと第2排水流路F2bとを介して排水槽20へ流通させる。
【0061】
次に、第3注入工程を開始する(ステップSB18)。即ち、第3注入流路F23aの不図示の弁を開き、第1排水流路F2aと第3注入流路F23aとを介して貯水槽13から第3貯水タンク4cへの灰処理水の注入を開始する。
【0062】
次に、貯水槽13の水位が所定量を下回ったか否かを確認する(ステップSB19)。貯水槽13の水位が所定量を下回った場合(ステップSB19:YES)、注入工程(ステップSA10)を終了する。貯水槽13の水位が所定量を下回っていない場合(ステップSB19:NO)、第3貯水タンク4cに所定量の灰処理水が溜まったか否かを確認する(ステップSB20)。
【0063】
第3貯水タンク4cに所定量の灰処理水が溜まっていない場合(ステップSB20:NO)、ステップSB19に戻り、第3貯水タンク4cに所定量の灰処理水が溜まるまで灰処理水の注入を続ける。第3貯水タンク4cに所定量の灰処理水が溜まった場合(ステップSB20:YES)、第3注入工程を終了する(ステップSB21)。即ち、第3注入流路F23aの不図示の弁を閉じ、貯水槽13からの第3貯水タンク4cへの灰処理水の注入を停止させ、ステップSB10に戻る。
【0064】
なお、第3貯水タンク4c内の灰処理水は、上述の排水工程(ステップSA11)において所定期間静置される。その後、第3払出流路F23bの不図示の弁を開き、第3貯水タンク4c内の灰処理水は、第3払出流路F23bと第2排水流路F2bとを介して排水槽20へ流通させる。
【0065】
上述のように注入工程(ステップSA10)では、第1注入工程と、第2注入工程と、第3注入工程と、をこの順に繰り返す。
【0066】
以上説明した本実施形態に係るバイオマスの灰処理水の処理方法によれば、以下の効果が得られる。火力発電設備では、燃焼により生じた灰処理のために水を用いることがある。灰処理のために用いられた水は、脱硫装置から排出される排水を薄めるために用いられる場合がある。この場合、灰処理水の化学的酸素要求量(COD)の濃度は、例えば外部の海域等への放流時において環境基準値を満たすためにも低濃度であることが望ましい。
【0067】
しかし、近年では大気中の二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルのために、火力発電設備において木質バイオマス等のバイオマス燃料が用いられることがあり、火力発電設備において木質バイオマスが燃焼する場合、灰処理水系統内のCOD濃度が上昇する場合がある。
【0068】
これは、バイオマス燃焼による灰からの未燃分の溶出が要因として考えられる。木質バイオマスの灰と水の混合によって生じた高濃度COD水は、通常の排水処理装置では浄化が追いつかないおそれがあるため、排水処理装置の浄化処理能力で環境基準値を達成可能なCOD濃度に抑える必要がある。
【0069】
従って、既存の火力発電設備において木質バイオマス等を燃焼する場合、高濃度COD水は、排水処理装置に流通する前に排水の基準を満たすように別途処理を行う必要があり、当該処理のための設備の改造や新設等のコストや手間がかかることが予想される。
【0070】
灰処理水は、所定期間溜め置かれることでCOD濃度が低下することがわかっており、本発明の一実施形態に係る排水工程(ステップSA11)は、COD濃度低減槽4において灰処理水を1週間溜め置いてから排出するような構成としている。このため、本発明の一実施形態に係る灰処理水の処理方法によれば、設備の改造や新設等のコストや手間を省きつつバイオマスの灰処理水のCOD濃度をより簡便に低減することができる。
【実施例0071】
以下、条件を変えて行った4つの検体の実験の実施例に基づいて本発明の内容を更に詳細に説明する。本発明の内容は以下の実施例の記載に限定されない。
【0072】
検体A~Dについて、それぞれ異なる採取日で灰処理部の貯水槽の灰処理水を採取し、採取日当日にCOD濃度の測定を行った。COD濃度の測定は、JIS K0102の100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)によって行った。具体的には、試料を硫酸酸性とし、酸化剤として過マンガン酸カリウムを加え、沸騰水浴中で30分間反応させて消費された過マンガン酸の量を求め、相当する酸素の量(mg/L)で表して行った。以下、異なる採取日で採取した灰処理水である検体A~Dについて、COD濃度の測定結果を表1にまとめた。
【0073】
【0074】
採取後1週間以上経過すると、B~Dの検体においてCOD濃度が少なくとも13%以上の減少がみられ、1か月後は、検体A、Bにおいて、COD濃度が38~56%減少し、4~5割程度の減少がみられた。このため、木質バイオマスペレットの混焼灰と水が混合すると高濃度COD水になるが、自然放置するとCOD濃度が低下する特性を確認することができた。
【0075】
なお、本発明の一実施形態に係る灰処理水の処理方法における所定期間は、処理前の灰処理水のCOD濃度が排水処理装置21によって環境基準値を満たす濃度まで下がるように設定される。例えば、COD濃度低減槽4に注入される灰処理水のCOD濃度が200ppmで、排水処理部2で環境基準値を満たして処理可能なCOD濃度が180ppmである場合は、所定期間は、1週間に設定される。
【0076】
[変形例]
上述の実施形態では、注入工程(ステップSA10)における第1注入工程と、第2注入工程と、第3注入工程と、の切替は、COD濃度低減槽4の各貯水タンクの不図示の弁を作業者等の操作により開閉することにより行われていたが、これに限らない。例えば、第1注入工程と、第2注入工程と、第3注入工程と、の切替は、各貯水タンクへの注入量に基づいて各貯水タンクの不図示の弁を制御装置の制御により開閉することによって行ってもよい。
【0077】
以下に、変形例に係るバイオマスの灰処理水の処理方法について説明する。なお、変形例に係るバイオマスの灰処理水の処理方法に関する構成が上述の実施形態と同様の構成の場合は、同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
【0078】
以下、変形例に係るバイオマスの灰処理水の処理方法が適用される、灰処理システムSBの一例について、
図5を用いて説明する。灰処理システムSBは、バイオマスの灰処理水の処理設備としての灰処理部1と、排水処理部2と、COD濃度低減槽4Bと、を有する。
【0079】
変形例に係るCOD濃度低減槽4Bは、第1貯水タンク4Baと、第2貯水タンク4Bbと、第3貯水タンク4Bcと、第1注入流路F21aと、第2注入流路F22aと、第3注入流路F23aと、第1払出流路F21bと、第2払出流路F22bと、第3払出流路F23bと、制御装置14と、注入部15と、排水部としての払出部16と、を有する。
【0080】
変形例に係る第1貯水タンク4Baは、貯水量を測定可能な水位計4a1を有する。変形例に係る第2貯水タンク4Bbは、貯水量を測定可能な水位計4b1を有する。変形例に係る第3貯水タンク4Bcは、貯水量を測定可能な水位計4c1を有する。水位計4a1、水位計4b1、水位計4c1は、例えば電極式水位計でもよいしフロート式水位計でもよい。水位計4a1、水位計4b1、水位計4c1は、後述する制御装置14と通信可能に接続され、制御装置14は、水位計4a1、水位計4b1、水位計4c1の測定結果を取得して制御動作を実行可能である。
【0081】
変形例に係る注入部15は、電動弁15aと、電動弁15bと、電動弁15cと、を有する。電動弁15a、電動弁15b、電動弁15cは、それぞれ第1注入流路F21a、第2注入流路F22a、第3注入流路F23aに設けられ、開閉することでそれぞれの流路内の灰処理水の流通を制御できる。
【0082】
また、電動弁15a、電動弁15b、電動弁15cは、後述する制御装置14と通信可能に接続され、制御装置14は、電動弁15a、電動弁15b、電動弁15cの開閉動作を制御できる。なお、注入部15が有する弁は、電動に限らず、例えば空気圧や油圧を利用して開閉可能な弁でもよい。
【0083】
変形例に係る払出部16は、電動弁16aと、電動弁16bと、電動弁16cと、を有する。電動弁16a、電動弁16b、電動弁16cは、それぞれ第1払出流路F21b、第2払出流路F22b、第3払出流路F23bに設けられ、開閉することでそれぞれの流路内の灰処理水の流通を制御できる。
【0084】
また、電動弁16a、電動弁16b、電動弁16cは、後述する制御装置14と通信可能に接続され、制御装置14は、電動弁16a、電動弁16b、電動弁16cの開閉動作を制御できる。なお、払出部16が有する弁は、電動に限らず、例えば空気圧や油圧を利用して開閉可能な弁でもよい。
【0085】
変形例に係る制御装置14は、灰処理システムSBのCOD濃度低減槽4Bの動作を制御するための構成である。制御装置14は、例えば水位計4a1、水位計4b1、水位計4c1による測定結果に基づき、電動弁15a、電動弁15b、電動弁15c、電動弁16a、電動弁16b、電動弁16cの開閉動作を制御し本実施形態に係る灰処理水の処理方法を実行できる。制御装置14は、制御部14aと、入力部14bと、出力部14cと、記憶部14dと、電源部14eと、を有する。
【0086】
制御部14aは、例えばCPU等のプロセッサ等で構成される。当該プロセッサが行う演算処理によりCOD濃度低減槽4Bの動作が実現される。なお、制御部14aの構成は、これに限らず、制御回路により構成され、制御回路の動作によりCOD濃度低減槽4Bの各種の動作が実現されてもよい。
【0087】
入力部14b及び出力部14cは、有線又は無線により電気的に不図示の入出力インターフェースに接続されるユーザインターフェースである。入力部14bは例えば制御装置14の操作ボタンやキーボード等によって構成され、出力部14cは、制御装置14の操作のための画像を表示するモニタ14c1や音等を発するブザー14c2等によって構成される。モニタ14c1は、例えば各貯水タンクの注入状況や静置経過時間等の状況を表示してもよい。ブザー14c3は、例えば貯水タンクの注入工程(ステップSA10)が完了したタイミングで作業者に注入工程完了を報せるために音を発してもよい。なお、入力部14b及び出力部14cは、タッチパネルのように表示機能と入力機能が一体となった構成でもよい。
【0088】
また、記憶部14dは、例えば、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)や、揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)等によって構成される主記憶装置と、磁気ディスク、光ディスク、高磁気ディスク或いは半導体メモリ等で構成される補助記憶装置と、によって構成される。本実施形態に係る記憶部14dには、制御装置14が実行する各種のプログラムや、所定期間等の設定情報が記憶されている。
【0089】
電源部14eは、不図示の電源回路を介して、制御装置14に電力を供給する。
【0090】
<バイオマスの灰処理水の処理方法>
次に、バイオマスの灰処理水の処理方法に含まれる注入工程(ステップSA10)の一例について説明する。上述の実施形態では、注入工程(ステップSA10)が作業者等の操作により行われていたが、本変形では、注入工程(ステップSA10)が制御装置14の制御部14aにより行われている点で異なるが、それ以外の構成は同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0091】
注入工程(ステップSA10)は、貯水槽13の水位が所定の水位よりも上昇している間は、第1注入工程と、第2注入工程と、第3注入工程と、をこの順に繰り返す。なお、本変形例に係る制御装置14は、貯水槽13の水位が所定の水位より上昇しているか否かの情報を作業者による入力部14bへの入力により取得してもよいし、貯水槽13に別途水位計を設けて当該水位計から取得してもよい。本変形例に係る灰処理水の処理方法では、制御装置14によってCOD濃度低減槽4Bの各貯水タンクの切替を自動で行うことができ、バイオマスの灰処理水のCOD濃度をより簡便に低減しつつ、より効率的に灰処理水の処理方法を運用することができる。
【0092】
[その他の変形例]
また、上述の実施形態では、COD濃度低減槽4の各貯水タンクについて、注入完了後からの経過時間に基づいて、注入するタンクを切り替えていたが、これに限らない。例えば、COD濃度低減槽4の各貯水タンクの貯水量に基づいて、注入するタンクを切り替えてもよい。
【0093】
また、本実施形態に係るCOD濃度低減槽4は、注入するタンクを3つ備えていたが、灰処理システムSの仕様に応じて4つ以上のタンクを備えて、注入するタンクを切り替えてもよい。
【0094】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。