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特開2024-66950磁性付与方法、および、磁性が付与された構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066950
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】磁性付与方法、および、磁性が付与された構造体
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/06 20060101AFI20240509BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240509BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20240509BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B05D1/06 K
B05D7/00 K
B05D5/12 A
B05D5/12 B
B05D1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176789
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】522315057
【氏名又は名称】株式会社藤村産業
(74)【代理人】
【識別番号】100115510
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 勝
(72)【発明者】
【氏名】藤村 展史
【テーマコード(参考)】
4D075
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA09
4D075AA32
4D075AA43
4D075AA76
4D075AE03
4D075BB05X
4D075BB08X
4D075BB24Z
4D075BB29Z
4D075BB91Z
4D075CA22
4D075CA24
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB11
4D075DB12
4D075DB14
4D075EA02
4D075EA05
4D075EA41
4D075EB01
4D075EB22
(57)【要約】
【課題】非導電性材料および非磁性材料の物品(例えば、レンガ、タイルなど)に磁性を付与すること
【解決手段】本発明に係る磁性付与方法は、非導電性材料の物品10の表面20に砂鉄を付与する工程(S120)と、砂鉄が付与された表面20に被覆膜40を形成する工程(S140~S160)を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性材料の物品に磁性を付与する方法であって、
非導電性材料の物品の表面に砂鉄を付与する工程と、
前記砂鉄が付与された前記表面に被覆膜を形成する工程を含む、磁性付与方法。
【請求項2】
前記被覆膜を形成する工程では、
前記砂鉄が付与された前記表面に導電性プライマーを塗布する工程と、
前記導電性プライマーが塗布された前記表面に、静電気を利用した粉体塗装を行う工程と
を実行する、請求項1に記載の磁性付与方法。
【請求項3】
前記被覆膜を形成する工程では、
前記砂鉄が付与された前記表面に壁紙フィルムを貼り付けることを実行する、請求項1に記載の磁性付与方法。
【請求項4】
前記被覆膜を形成した後、磁石を備えた金具を取り付けることを実行する、請求項1から3の何れか一つに記載の磁性付与方法。
【請求項5】
非導電性材料の物品に磁性を付与する方法であって、
非導電性材料の物品の表面に埋め込み凹部を形成する工程と、
前記埋め込み凹部に磁性部材を配置する工程と、
前記磁性部材を覆うように被覆膜を形成する工程を含む、磁性付与方法。
【請求項6】
前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方であり、
前記被覆膜を形成する工程では、
前記物品の表面に導電性プライマーを塗布する工程と、
前記導電性プライマーが塗布された前記表面に、静電気を利用した粉体塗装を行う工程と
を実行する、請求項5に記載の磁性付与方法。
【請求項7】
前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方であり、
前記被覆膜を形成する工程では、前記物品の表面に、壁紙フィルムを貼り付けることを実行する、請求項5に記載の磁性付与方法。
【請求項8】
非導電性材料の物品に磁性を付与する方法であって、
非導電性材料の物品の裏面に埋め込み凹部を形成する工程と、
前記埋め込み凹部に磁性部材を配置する工程と、
前記磁性部材を覆うように埋設充填部を形成する工程を含む、磁性付与方法。
【請求項9】
前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方であり、
前記非導電性材料の物品の表面に被覆膜を形成する工程を含む、請求項8に記載の磁性付与方法。
【請求項10】
前記被覆膜を形成する工程では、
前記表面に導電性プライマーを塗布する工程と、
前記導電性プライマーが塗布された前記表面に、静電気を利用した粉体塗装を行う工程と
を実行する、請求項9に記載の磁性付与方法。
【請求項11】
前記被覆膜を形成する工程では、
前記表面に壁紙フィルムを貼り付けることを実行する、請求項9に記載の磁性付与方法。
【請求項12】
非導電性材料の構造体であって、
非導電性材料の物品の表面に付与された砂鉄と、
前記砂鉄が付与された前記表面に形成された被覆膜と
を備える、構造体。
【請求項13】
前記非導電性材料の物品は、レンガ、コンクリートブロック、タイルおよび石膏からなる群から選択された一つであり、
前記被覆膜は、粉体塗装膜および壁紙フィルムの少なくとも一方である、請求項12に記載の構造体。
【請求項14】
非導電性材料の構造体であって、
非導電性材料の物品の表面に形成された埋め込み凹部と、
前記埋め込み凹部に配置された磁性部材と、
前記磁性部材を覆うように形成された被覆膜と
を備え、
前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方であり、
前記被覆膜は、粉体塗装膜および壁紙フィルムの少なくとも一方である、構造体。
【請求項15】
非導電性材料の構造体であって、
非導電性材料の物品の裏面に形成された埋め込み凹部と、
前記埋め込み凹部に配置された磁性部材と、
前記磁性部材を覆うように形成された埋設充填部と
を備え、
前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方である、構造体。
【請求項16】
前記非導電性材料の物品の表面には、被覆膜が形成されており、
前記被覆膜は、粉体塗装膜および壁紙フィルムの少なくとも一方である、請求項15に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性付与方法および磁性が付与された構造体(特に、非導電性材料の構造体(レンガ、タイルなど))に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から粉体塗料は無公害、省資源塗料として、また膜厚が厚く塗装できること、そして耐衝撃性、耐防食性、耐候性などに優れた塗膜性能であること等から広く使用されている。粉体塗料として、静電粉体塗装が現在広く利用されているが、該塗装方法は絶縁部品等の非導電性被塗物には塗膜形成し難いという欠点があり、例えば、プラスチック類、無機質等の被導電性被塗物を使用している建材、ガードフェンス、ガラス、木材等の分野には適用できずに、用途が制限されているのが現状である(例えば、特許文献1参照のこと)。もっとも非導電性被塗物に静電粉体塗膜を形成される方法として、プラスチック成型品に導電性プライマーを付与される方法などが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-106688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、プラスチック成型品のような表面が滑らかなものだけでなく、レンガやコンクリートブロックのような表面が凸凹した非導電性材料の物品に対しても、粉体塗料を行うことができないかについて数々の検討していた。そのような中、レンガのような表面が凸凹した物品に砂鉄を付与し、その砂鉄で表面の凹凸を平らにし、その上で粉体塗料を付与することを思い付いた。そのような砂鉄を用いた表面処理および粉体塗装の試行錯誤を行う上で、非磁性材料からなる物品に磁石(マグネット)を取り付けることができる方法を想到し、本発明に至った。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、非導電性材料および非磁性材料の物品(例えば、レンガ、タイルなど)に磁性を付与する方法およびその構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る磁性付与方法は、非導電性材料の物品に磁性を付与する方法であり、非導電性材料の物品の表面に砂鉄を付与する工程と、前記砂鉄が付与された前記表面に被覆膜を形成する工程を含む。
【0007】
ある好適な実施形態において、前記被覆膜を形成する工程では、前記砂鉄が付与された前記表面に導電性プライマーを塗布する工程と、前記導電性プライマーが塗布された前記表面に、静電気を利用した粉体塗装を行う工程とを実行する。
【0008】
ある好適な実施形態において、前記被覆膜を形成する工程では、前記砂鉄が付与された前記表面に壁紙フィルムを貼り付けることを実行する。
【0009】
ある好適な実施形態では、前記被覆膜を形成した後、磁石を備えた金具を取り付けることを実行する。
【0010】
本発明に係る他の磁性付与方法は、非導電性材料の物品に磁性を付与する方法であり、非導電性材料の物品の表面に埋め込み凹部を形成する工程と、前記埋め込み凹部に磁性部材を配置する工程と、前記磁性部材を覆うように被覆膜を形成する工程を含む。
【0011】
ある好適な実施形態において、前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方である。前記被覆膜を形成する工程では、前記物品の表面に導電性プライマーを塗布する工程と、前記導電性プライマーが塗布された前記表面に、静電気を利用した粉体塗装を行う工程とを実行する。
【0012】
ある好適な実施形態において、前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方である。前記被覆膜を形成する工程では、前記物品の表面に、壁紙フィルムを貼り付けることを実行する。
【0013】
本発明に係る別の磁性付与方法は、非導電性材料の物品に磁性を付与する方法であり、非導電性材料の物品の裏面に埋め込み凹部を形成する工程と、前記埋め込み凹部に磁性部材を配置する工程と、前記磁性部材を覆うように埋設充填部を形成する工程を含む。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方である。前記非導電性材料の物品の表面に被覆膜を形成する工程を含む。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記被覆膜を形成する工程では、前記表面に導電性プライマーを塗布する工程と、前記導電性プライマーが塗布された前記表面に、静電気を利用した粉体塗装を行う工程とを実行する。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記被覆膜を形成する工程では、前記表面に壁紙フィルムを貼り付けることを実行する。
【0017】
本発明に係る非導電性材料の構造体は、非導電性材料の物品の表面に付与された砂鉄と、前記砂鉄が付与された前記表面に形成された被覆膜とを備える。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記非導電性材料の物品は、レンガ、コンクリートブロック、タイルおよび石膏からなる群から選択された一つである。前記被覆膜は、粉体塗装膜および壁紙フィルムの少なくとも一方である。
【0019】
本発明に係る他の非導電性材料の構造体は、非導電性材料の物品の表面に形成された埋め込み凹部と、前記埋め込み凹部に配置された磁性部材と、前記磁性部材を覆うように形成された被覆膜とを備えている。前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方である。前記被覆膜は、粉体塗装膜および壁紙フィルムの少なくとも一方である。
【0020】
本発明に係る別の非導電性材料の構造体は、非導電性材料の物品の裏面に形成された埋め込み凹部と、前記埋め込み凹部に配置された磁性部材と、前記磁性部材を覆うように形成された埋設充填部とを備えている。前記磁性部材は、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレート及び永久磁石プレートから群から選択される少なくとも一方である。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記非導電性材料の物品の表面には、被覆膜が形成されている。前記被覆膜は、粉体塗装膜および壁紙フィルムの少なくとも一方である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る磁性付与方法によると、非導電性材料の物品の表面に砂鉄を付与した後、砂鉄が付与された表面に被覆膜を形成することにより、非導電性材料(および非磁性材料の物品)に磁性を付与することができる。その結果、その磁性が付与された物品に磁石(例えば、ネオジム磁石)を取り付けることで、穴をあけたりシールを貼らなくても、収納フックを配置することができる。
【0023】
また、本発明に係る他の磁性付与方法によると、非導電性材料の物品の表面に埋め込み凹部を形成した後、埋め込み凹部に磁性部材を配置し、そして、磁性部材を覆うように被覆膜を形成する。その結果、その磁性が付与された物品に磁石(例えば、ネオジム磁石)を取り付けることで、穴をあけたりシールを貼らなくても、収納フックを配置することができる。
【0024】
さらに、本発明に係る別磁性付与方法によると、非導電性材料の物品の裏面に埋め込み凹部を形成した後、埋め込み凹部に磁性部材を配置し、そして、磁性部材を覆うように埋設充填部を形成する。その結果、その磁性が付与された物品に磁石(例えば、ネオジム磁石)を取り付けることで、穴をあけたりシールを貼らなくても、収納フックを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る非導電性材料の構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図2】レンガ12Aを示す図(図面代用写真)である。
図3】コンクリートブロック12Bを示す図(図面代用写真)である。
図4】本発明の実施形態に係る磁性付与方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本実施形態に係る静電粉体ハンドガン30の構成を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る磁性付与方法を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る非導電性材料の構造体100の構成を示す断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図9】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図10】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図11】本発明の別の実施形態に係る磁性付与方法を説明するためのフローチャートである。
図12】本発明の実施形態に係る非導電性材料の構造体100の構成を示す断面図である。
図13】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図14】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図15】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図16】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図17】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
図18】本発明の実施形態に係る構造体100を示す図(図面代用写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のために、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を正確に反映していない場合がある。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。加えて、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る非導電性材料の構造体100の構成を示す図(図面代表写真)である。本実施形態の構造体100は、非導電性材料の物品10(ここでは、例えば、レンガ、ブロック(コンクリートブロック)、タイル、石膏などの母材)から構成されており、その物品(母材)10の表面20に付与された砂鉄と、砂鉄が付与された表面20に形成された被覆膜40とから構成されている。本実施形態の構造体100の表面20(40)には、フック51付き磁石(磁石部材)50が取り付けることができる。本実施形態の磁石50は、例えば、ネオジム磁石である。
【0028】
図2は、本実施形態の非導電性材料の物品10の一種であるレンガ(レンガブロック)12Aの表面22Aを示す図(図面代表写真)である。また、図3は、本実施形態の非導電性材料の物品10の一種であるコンクリートブロック(ブロック)12Bの表面22Bを示す図(図面代表写真)である。図2および図3に示すように、レンガブロック12Aおよびコンクリートブロック12Bの表面は、ざらざらしており、また一部に穴もあいており、このままでは、
導電性プライマーを付与したとしても粉体塗装を行うことは極めて困難である。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る磁性付与方法(非導電性材料の磁性化方法、または、磁性化構造体の製造方法)を説明するためのフローチャートを示している。
【0030】
まず、非導電性材料の物品10として、図2に示したレンガブロック12A(または、コンクリートブロック12B)を用意する(工程S100)。この非導電性材料の物品10(レンガブロック12A、コンクリートブロック12B)は市販のもの(市販の建築用資材)で構わない。
【0031】
次に、物品10(12A又は12B)の表面20に砂鉄を付着させる(工程S120)。具体的には、物品10の表面20(22A、22B)に平滑になるように砂鉄を付着し、砂鉄を固定(接着)させる上で、プライマー(または、焼付け塗装用プライマーを用いて砂鉄を物品10の表面20に付着・定着させる。本実施形態のプライマーは、例えば、焼付け塗装用塗装プライマー(製品名:ミッチャクロンBK・X、株式会社染めQテクノロジィ製)であり、アクリル樹脂(熱硬化性樹脂)をベースにした金属向けプライマーである。これは、クリヤー状の粘稠液であり、比重0.88、標準塗布量は6~8μm、60~80g/m2であり、吹付塗装で付与することができる。本実施形態では、噴霧器(スプレー)を使用して、表面20にプライマーを付与することができる。砂鉄および焼付け塗装用プライマーを物品10の表面20に付着した後、乾燥させて定着させる。また、本実施形態の焼付け塗装用プライマー(商品名:ミッチャクロンBK・X)は、高温焼付け、常温乾燥にも対応(2コート2ベークまで)できる焼付け塗装(180℃/30分)用プライマーであり、接着剤のような働きをする。
【0032】
次に、砂鉄を付着させた表面20(22A,22B)に導電性プライマー(通電プライマー)を塗布する(工程S140)。導電性プライマーは、非導電材料に粉体塗装を行うために導電性を付与するプライマーであり、導電素材を含む熱硬化性樹脂である。本実施形態の導電性プライマーは、例えば、通電プライマー(商品名:サイキックプライマー、有限会社ブレイヴオート(屋号:カーベック)製)である。
【0033】
続いて、導電性プライマーが塗布された表面20に、静電気を利用した粉体塗装を行う(工程S160)。図5は、粉体噴霧装置(ハンドガン)30の構成の一例を示す図である。図5に示したハンドガン30は、噴霧装置本体部31と、噴霧ヘッド32と、持ち手35、コンプレッサライン37を備えている。噴霧装置本体部31には、粉体塗料収納部34と、粉体塗料供給部36とが設けられており、粉体塗料はヘッド32に送られて、ヘッド32の先から対象物(物品10の表面20)に付与される。ハンドガン30は、静電気を発生させて、帯電した粉体塗料を対象物(10)に付与させることができる。
【0034】
本実施形態の粉体塗料(着色粉体)は、熱硬化性粉体塗料(例えば、ポリエステル樹脂製のもの)である。熱硬化性粉体塗料の場合、加熱することで架橋反応が起きて塗膜になり、再加熱しても軟化することがないので利用可能である。その粉体塗料を帯電させ、接地(アース)された対象物(物品10の表面20(被塗物))に吹付けをする。すると粉体塗料は静電気の力で対象物(20)に付着する。静電気の力で粉状の塗料を付着させるものであるので、対象物(20)は電気が流れる物(典型的には導電性素材)であることが求められる。そのために、本実施形態では、事前に、導電性プライマー(通電プライマー)を塗布している。本実施形態の粉体塗料として好適なものは、ポリエステル樹脂製のものである。その平均粒径は、例えば、数μm~数十μm程度であるが、粉体塗料として機能するのであれば粒径は特にこだわるものではない。
【0035】
次に、粉体塗装(工程S160)の後、焼付け(焼付け乾燥)を行う(工程S180)。粉体塗装における焼付け乾燥は、例えば、160℃~180℃の温度が必要であり、そのような温度を設定できる乾燥炉(焼成炉)に、粉体塗装工程後のグレーチング1000を入れる。本実施形態では、乾燥炉(焼成炉)の温度を160℃~200℃(粉体塗料の仕様に従ったもの)とし、乾燥(焼成)時間を15分~20分として、焼付け乾燥を行う。
【0036】
焼付け乾燥の後、乾燥炉(焼成炉)から取り出すことで、砂鉄が付与された表面20(22A、22B)において、粉体塗装の被覆膜40が形成された磁性化された構造体100(非導電性材料からなる物品、例えばレンガブロック、コンクリートブロック)を作製することができる。焼き付け後の構造体100(粉体塗装の被覆膜40で覆われた構造体100)は、砂鉄がこぼれ落ちることもなく、また、摩擦などにも強くなっている。この磁性化された構造体100は、図1に示すように、磁石50を取り付けることができる。
【0037】
なお、物品10の表面20に付与する砂鉄の量が多すぎると、加熱炉(焼成炉)での焼成時に砂鉄が流動してしまって、粉体塗装の被覆膜40がきれいに形成されないことがあるので、実験などによって適切な条件(砂鉄の量、厚さ、加熱温度)を求めておくことが望ましい。また、砂鉄の量が少なすぎると、磁石50の付着力が弱くなったり、物品10の表面20の平滑性が悪くなることがあるので注意する。砂鉄の量は、各種条件に依存するが、例えば、厚さ0.3mm~2mm程度になるように物品10の表面20に付与させることがよい。
【0038】
本実施形態に係る磁性付与方法(磁性構造体100の製造方法)によると、非導電性材料の物品10の表面20に砂鉄を付与した後、砂鉄が付与された表面20に被覆膜40を形成することにより、非導電性材料(および非磁性材料の物品)に磁性を付与することができる。その結果、その磁性が付与された物品10(構造体100)に磁石(例えば、ネオジム磁石)を取り付けることで、穴をあけたりシールを貼らなくても、収納フック50(51)を配置することができる。
【0039】
次に、図6から図10を参照しながら、本発明の他の実施形態に係る磁性付与方法(非導電性材料の磁性化方法、または、磁性化構造体の製造方法)および磁性化構造体100について説明する。
【0040】
図6は、本発明の実施形態に係る磁性付与方法(非導電性材料の磁性化方法、または、磁性化構造体100の製造方法)を説明するためのフローチャートを示している。図7は、本実施形態の磁性化構造体100の断面構造を模式的に示している。図8から図10は、本実施形態の磁性化構造体100を示す図(図面代表写真)である。
【0041】
図7に示すように、本実施形態の磁性化構造体100では、非導電性材料の物品10の表面(上面22)に埋め込み凹部21が形成されている。埋め込み凹部21には、磁性部材(特に、磁性プレート)29が配置されている。そして、本実施形態の構成においては、磁性部材(磁性プレート)29を覆うように被覆膜40が形成されている。本実施形態の磁性部材29は、磁石に付く材料(強磁性体材料)からなる部材(板部、特に、鉄プレート)である。磁性プレート29(鉄プレート)の厚さは、0.5mm以上であることが好ましい(または、1mm以上、3mm以上、5mm以上であってもよい)。厚い方が磁石50の付着力を向上させることができる。磁性部材29は、強磁性材料から構成されており、例えば、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレートである。また、磁性部材(磁性プレート)29として、磁石(例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石)の部材(永久磁石プレート)を配置することも可能である。磁石のプレートを配置するときは、磁性化構造体100に取り付ける磁石50のS極・N極と、埋め込む磁石プレート(29)のS極・N極が互いに付くように配置しておくことがポイントとなる。ネオジム磁石のプレートは磁力が強いという利点がある。また、フェライト磁石のプレートは、比較的低価格で、さびにくいという利点がある。なお、永久磁石としては、フェライト磁石、コバルト磁石、アルニコ磁石、ネオジム磁石などを挙げることができ、形状としては、板状、丸型、角型、リング型、瓦型などを挙げることができる。
【0042】
まず、非導電性材料の物品10として、図2に示したレンガブロック12A(または、コンクリートブロック12B)を用意する(工程S200)。上述したように、この非導電性材料の物品10(レンガブロック12A、コンクリートブロック12B)は市販のもの(市販の建築用資材)で構わない。
【0043】
次に、非導電性材料の物品10の表面(上面)22を切削することにより、埋め込み凹部21を形成する(工程S210)。具体的には、非導電性材料の物品(レンガブロック12A、コンクリートブロック12B)の表面(上面)22を切削器具(カッター、グラインダーなど)で削って、磁性プレート(鉄プレート)29に対応した埋め込み凹部(溝部、凹部、開口部)21を形成する。なお、埋め込み凹部21を備えたレンガブロック(または、コンクリートブロック)を型などによって形成する手法を採用してもよい。
【0044】
次に、埋め込み凹部21に磁性部材(ここでは、鉄プレート)29を埋め込む(工程S220)。鉄プレート29は、接着剤(例えば、耐熱接着パテなど)を使用して、埋め込み凹部21に配置して固定(接着)する。本実施形態の接着剤は、例えば、高温用耐熱パテ(商品名:ヒートメタル、旭エンジニアリング株式会社製)を用いることができる。
【0045】
次に、磁性部材(鉄プレート)29を埋め込んだ後、表面(上面)22が平らに仕上がるように(平滑になるように)、焼付け塗装用プライマー(商品名:ミッチャクロンBK・X)及び/又は無機材料(例えば、アルミナ)を用いて表面処理(平滑処理)を行う(工程S230)。図7において、磁性部材(鉄プレート)29が埋設されている箇所が、埋め込み部25である。そして、図8は、その様子を示している。
【0046】
次に、物品10の表面22に導電性プライマー(通電プライマー)を塗布する(工程S240)。この通電プライマーの塗布工程(工程S240)は上述した通りである。その後、粉体塗装(工程S260)および焼き付け乾燥(工程S280)を行う。上述したとおりに、粉体塗装(工程S260)および焼き付け乾燥(工程S280)を実行する。
【0047】
このようにして、粉体塗装の被覆膜40が形成された磁性化された構造体100(非導電性材料からなる物品、例えばレンガブロック、コンクリートブロック)を作製することができる。そして、粉体塗装の被覆膜40で覆われた構造体100)は、図9に示すようなものとなる。焼き付け後の構造体100(粉体塗装の被覆膜40で覆われた構造体100)は、表面が被覆膜(塗布膜・塗装膜)40で覆われているので、見栄えもきれいであるとともに、摩擦などにも強くなっている。この磁性化された構造体100は、図10に示すように、磁石50を取り付けることができる。
【0048】
次に、図11から図15を参照しながら、本発明の別の実施形態に係る磁性付与方法(非導電性材料の磁性化方法、または、磁性化構造体の製造方法)および磁性化構造体100について説明する。
【0049】
図11は、本発明の実施形態に係る磁性付与方法(非導電性材料の磁性化方法、または、磁性化構造体100の製造方法)を説明するためのフローチャートを示している。図12は、本実施形態の磁性化構造体100の断面構造を模式的に示している。図13から図15は、本実施形態の磁性化構造体100を示す図(図面代表写真)である。
【0050】
図12に示すように、本実施形態の磁性化構造体100では、非導電性材料の物品10の表面(下面24)に埋め込み凹部21が形成されている。埋め込み凹部21には、磁性部材(磁性プレート)29が配置されている。そして、本実施形態の構成においては、磁性部材29を覆うように被覆膜40が形成されている。本実施形態の磁性部材29は、磁石に付く材料(強磁性体材料)からなる板部(特に、鉄プレート)である。磁性部材29(鉄プレート)の厚さは、0.5mm以上であることが好ましい(または、1mm以上、3mm以上、5mm以上であってもよい)。厚い方が磁石50の付着力を向上させることができる。磁性部材29は、強磁性材料から構成されており、例えば、鉄プレート、ニッケルプレート、コバルトプレート、強磁性体の合金プレートである。また、磁性部材(磁性プレート)29として、磁石(例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石)の部材(プレート)を配置することも可能である。磁石のプレートを配置するときは、磁性化構造体100に取り付ける磁石50のS極・N極と、埋め込む磁石プレート(29)のS極・N極が互いに付くように配置しておくことがポイントとなる。
【0051】
まず、非導電性材料の物品10として、比較的薄いタイル(または、薄い石膏、レンガなど)を用意する(工程S300)。この比較的薄い非導電性材料の物品10(タイルなど)は市販のもの(市販の建築用資材)で構わない。
【0052】
次に、非導電性材料の物品10の表面(下面)24を切削することにより、埋め込み凹部21を形成する(工程S310)。具体的には、非導電性材料の物品(タイルなど)10の下面24を切削器具(カッター、グラインダーなど)で削って、磁性プレート(鉄プレート)29に対応した埋め込み凹部(溝部、凹部、開口部)21を形成する。なお、埋め込み凹部21を備えたタイル10(または、石膏など)を型などによって形成する手法を採用してもよい。
【0053】
次に、埋め込み凹部21に磁性プレート(ここでは、鉄プレート)29を埋め込む(工程S320)。鉄プレート29は、接着剤(例えば、耐熱接着パテなど)を使用して、埋め込み凹部21に配置して固定(接着)する。本実施形態の接着剤は、例えば、高温用耐熱パテ(商品名:ヒートメタル、旭エンジニアリング株式会社製)を用いることができる。
【0054】
次に、磁性プレート(鉄プレート)29を埋め込んだ後、下面24が平らに仕上がるように(平滑になるように)、焼付け塗装用プライマー(商品名:ミッチャクロンBK・X)及び/又は無機材料(例えば、アルミナ)を用いて磁性プレート29を覆うように埋設充填部26を形成する。図12において、磁性プレート(鉄プレート)29が埋設されている箇所が、埋め込み部25である。そして、図13は、その様子を示している。
【0055】
次に、物品10の上面(表面)22に導電性プライマー(通電プライマー)を塗布する(工程S340)。この通電プライマーの塗布工程(工程S340)は上述した通りである。その後、粉体塗装(工程S360)および焼き付け乾燥(工程S380)を行う。上述したとおりに、粉体塗装(工程S360)および焼き付け乾燥(工程S380)を実行する。
【0056】
このようにして、粉体塗装の被覆膜40が形成された磁性化された構造体100(非導電性材料からなる物品、例えばタイル、石膏など)を作製することができる。そして、粉体塗装の被覆膜40で覆われた構造体100は、図14に示すようなものとなる。焼き付け後の構造体100(粉体塗装の被覆膜40で覆われた構造体100)は、表面が被覆膜(塗布膜・塗装膜)40で覆われているので、見栄えもきれいであるとともに、摩擦などにも強くなっている。この磁性化された構造体100は、図15に示すように、磁石50を取り付けることができる。
【0057】
本実施形態の手法では、タイルなどの比較的薄い物品10(構造体)の裏面24を削って、磁性プレート(鉄プレート)29を裏から埋め込むことによって行われる。磁性プレート(鉄プレート)29と上面22との距離が大きすぎると磁石50が強く付かない。逆に距離が小さいと磁石50が強く付くが、上面22がひび割れたり欠けたり、損傷のリスクが増す。本実施形態の構成では、上面(表面)22を粉体塗装の被覆膜40で補強・保護することにより、そのリスクを減らすことができる。
【0058】
図16および図17は、本実施形態の構造体100における磁石50の吸着力の様子を示す。図16は、レンガ10から構成された構造体100(図10に示したもの)であり、溶液2リットル(2kg)が入ったペットボトルを磁石50で吊すことができる。図17は、タイル10から構成された構造体100(図15に示したもの)であり、こちらも、溶液2リットル(2kg)が入ったペットボトルを磁石50で吊すことができる。この実施例からも、本実施形態の構造体100の磁力(磁石50が保持する力)の大きさ(強力さ)を理解することできる。
【0059】
また、上述した実施形態では、構造体100(物品10)の表面20を保護する被覆膜40として、粉体塗装による膜を用いたが、それだけに限らず、図18に示すように、構造体100(物品10)の表面20を保護する被覆膜として、壁紙フィルム40を用いることができる。本実施形態の壁紙フィルム40は、フィルム状の構造のもの他、シート状のものなども含まれ、例えば、粘着剤付き化粧塩ビのフィルム(例えば、商品名:ダイノック、3M製))を挙げることができる。壁紙フィルム40は、剥離紙の上に粘着剤(アクリル系樹脂)があり、その上にエンボス・印刷フィルム層(塩化ビニル系樹脂)が積層されている構造をしている。なお、図18に示したものは、ケイ酸カルシウム(通称ケイカル)の壁材の見本に、鉄プレート29を埋め込んで、その表面に壁紙(壁紙フィルム)を張ったものである。また、それ以外の壁紙フィルム40を使用してもよい。加えて、構造体100(物品10)の表面20を保護する粉体塗装の被覆膜40を形成した上に、壁紙フィルム40を形成してもよい。
【0060】
図18に示した構成例では、略鉛直方向に位置づけた構造体100の壁紙フィルム40(表面20)の上に、フック51付きの磁石(ネオジム磁石)50を磁力で貼り付け、そのフック51にフック付きハンガー55を付けた様子を示している。このハンガー55に、タオル59(または衣服)を吊しても、磁石50は構造体100から外れない。
【0061】
また、図18に示した構成例では、略鉛直方向に構造体100を配置したが、天井に構造体100を配置して、そこから、フック付きの磁石50が吊されるようなものにしてもよい。そのような位置に構造体100および磁石50を設けることで、限られた狭いスペースでも、洗濯物・衣服などを効率良く吊すことができて、非常に便利である。
【0062】
また、部屋の壁面に、本実施形態の構造体100(レンガブロック、コンクリートブロック、タイル、石膏など)を置くことにより、壁面の任意の箇所を磁石に付けることができるようになり、非常に便利となる。また、図7又は図12に示した構造体100は、母材10の表面に鉄プレート(磁性プレート)29を張り付けるのではなく、母材10の中に埋め込む(または裏から入れ込む)ことにより、次のようなメリットを得ることができる。すなわち、(1)全体の形、大きさが変わらないようにすることができる、(2)表面が平らなままにすることができる、(3)使用する鉄プレート(磁性プレート)29の分の厚さの範囲を広げることができる、(4)鉄プレート(磁性プレート)29の母材10への密着を強くすることができる、(5)鉄プレート(磁性プレート)29の大きさや形を母材10に合わせなくていいので、大きさや形を自由に選べることができる。特に、家の中で壁を比較的強く磁性化させようとした場合、鉄プレート(磁性プレート)29を埋め込む利点は大きい。
【0063】
本実施形態の他の磁性付与方法(磁性構造体100の製造方法)によると、非導電性材料の物品10の表面(上面)22に埋め込み凹部21を形成した後、埋め込み凹部21に磁性プレート29を配置し、そして、磁性プレート29を覆うように被覆膜40を形成する。その結果、その磁性が付与された物品10(構造体100)に磁石50(例えば、ネオジム磁石)を取り付けることで、穴をあけたりシールを貼らなくても、収納フックを配置することができる。
【0064】
さらに、本実施形態の別の磁性付与方法(磁性構造体100の製造方法)によると、非導電性材料の物品10の裏面24に埋め込み凹部21を形成した後、埋め込み凹部21に磁性プレート29を配置し、そして、磁性プレート29を覆うように埋設充填部26を形成する。その結果、その磁性が付与された物品(構造体100)に磁石50(例えば、ネオジム磁石)を取り付けることで、穴をあけたりシールを貼らなくても、収納フックを配置することができる。
【0065】
さらに、上述した実施形態では、建築部材(レンガ、タイル、コンクリートブロック、石膏など)に対して本実施形態の磁性化方法(磁性構造体の製造方法)を用いたが、広く、非金属部材または非導電性部材(無機素材部材(セラ
ミック、石、ガラスなど))にも、本実施形態の手法を適用することが可能である。本実施形態の手法で、非導電性部材(非金属部材)が無機素材部材であるとき、それは瓦、自然石などであってもよい。また、非導電性部材(非金属部材)が有機物から構成された部材であっても、200℃程度の熱に耐えることができて、化学的に安定しているものであれば、対象の部材することができ、そのようなものとしては、例えば、耐熱プラスチック、FRP(繊維強化プラスチック)から構成された部材などを挙げることができる。
【0066】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。また、上述した実施形態の各特徴は、相互に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、非導電性材料および非磁性材料の物品(例えば、レンガ、タイルなど)に磁性を付与する方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 物品(母材)
12A レンガ(レンガブロック)
12B コンクリートブロック
21 埋め込み凹部
22 上面
24 裏面(下面)
25 埋め込み部
26 埋設充填部
29 磁性プレート(鉄プレート)
30 静電粉体ハンドガン
40 被覆膜(塗布膜、壁紙フィルム)
50 磁石
51 フック
100 磁性構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18