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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006696
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】整列ウィンチ
(51)【国際特許分類】
   B65H 54/28 20060101AFI20240110BHJP
   B65H 54/12 20060101ALI20240110BHJP
   B66D 1/38 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H54/28 M
B65H54/28 W
B65H54/12
B66D1/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107826
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】390034588
【氏名又は名称】株式会社鶴見精機
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 堅三
(72)【発明者】
【氏名】青柳 恒紀
【テーマコード(参考)】
3F056
【Fターム(参考)】
3F056AB01
3F056AC00
3F056CB06
3F056DA00
3F056DB01
3F056GB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型で高い整列機能を確保できる整列ウィンチを提供する。
【解決手段】第1方向に沿う第1回転軸を有するとともにワイヤが巻き付けられる外周面を有する回転ドラムを有する巻取部と、回転ドラムの外周部に設けられワイヤがかけ回される滑車と、回転ドラムの回転動作に伴って滑車を第1方向に移動させるシフト機構部と、を有する整列部と、を備え、シフト機構部は、第1回転軸に動力伝達可能に接続されるとともに第1方向に沿って配置され、第2回転軸と、第2回転軸に係合し、第2回転軸の回転により第1方向に移動するスライダと、を有する第1シフト機構部と、第1方向に沿う第3回転軸と、第3回転軸に係合し第3回転軸の回転により第1方向に移動するとともに滑車を回転可能に支持する支持テーブルと、を有する第2シフト機構部と、第1シフト機構部のスライダの移動によって第3回転軸の駆動状態を切替えるスイッチ部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿う第1回転軸を有するとともにワイヤが巻き付けられる外周面を有する回転ドラムを有する巻取部と、
前記回転ドラムの外周部に設けられワイヤがかけ回される滑車と、前記回転ドラムの回転動作に伴って前記滑車を前記第1方向に移動させるシフト機構部と、を有する整列部と、
を備え、
前記シフト機構部は、前記回転ドラムの前記第1回転軸に動力伝達可能に接続されるとともに前記第1方向に沿って配置され、前記回転ドラムと同期して回転駆動される、第2回転軸と、前記第2回転軸に係合し、前記第2回転軸の回転により前記第1方向に移動するスライダと、を有する第1シフト機構部と、
前記第1シフト機構部とは分離された前記第1方向に沿う第3回転軸と、前記第3回転軸に係合し前記第3回転軸の回転により前記第1方向に移動するとともに前記滑車を回転可能に支持する支持テーブルと、を有する第2シフト機構部と、
前記第1シフト機構部の前記スライダの移動によって前記第3回転軸の駆動状態を切替えるスイッチ部と、を備える、整列ウィンチ。
【請求項2】
前記スライダは、軸方向に対して傾斜する傾斜面を有するドグを備え、
前記スイッチ部は、前記第1方向において前記ドグに対向配置される入力部を備え、
前記滑車は前記支持テーブルに対して傾斜可能に支持されるとともに、前記ワイヤの方向を、前記第1回転軸の方向に案内し、
前記第1シフト機構部は、前記第1方向に沿って前記スライダの移動方向を案内するガイド部材を有し、
前記第2回転軸は往復ネジを有するねじシャフトであり、
前記第3回転軸はらせん状のガイド溝を有するねじシャフトであり、
前記第2シフト機構部は前記支持テーブルの移動方向を前記第1方向に沿って案内するガイド部材を備え、
前記回転ドラムに接続される第1駆動源と、
前記第2シフト機構部の前記第3回転軸に接続される第2駆動源と、を備える、請求項1に記載の整列ウィンチ。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記第1方向における前記スライダの両側にそれぞれ設けられる、請求項2に記載の整列ウィンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ワイヤを整列しながら巻き取る整列ウィンチに関する。
【背景技術】
【0002】
観測装置などの牽引対象を牽引する際に、牽引対象に接続されたワイヤを整列しながら巻き取る整列ウィンチが用いられる。例えば整列ウィンチは、外周面にワイヤが巻き付けられる胴体を有する回転ドラムを備える巻取部と、ワイヤを保持して軸方向に往復動することによりワイヤの巻き付け位置を規制する整列部と、を備える。
【0003】
このような整列ウィンチにおいて、回転ドラムの外周から引出されるワイヤの延出方向が、回転ドラムの巻付位置の接線方向に対して傾斜するほど、ワイヤを導く回転軸に負荷がかかる。したがって、ワイヤの延出方向は回転ドラムの接線方向に対する傾斜角を一定範囲内とする必要があり、回転ドラムの側方にワイヤが左右に動く為、配置される領域を大きくとる必要があることから、狭い場所への設置が困難である。
【0004】
整列ウィンチにおいて、例えば回転ドラムの側方においてワイヤの引出し方向を規制するガイド機構を用いることも検討されている。例えばガイド機構は外周部にワイヤがかけ回される滑車と、滑車を軸方向に往復移動させる移動機構と、備える。このようなガイド機構において、ドラムと滑車との間のワイヤに、スイッチを設け、巻き取られるワイヤがスイッチを押すことで、滑車の移動機構の駆動状態を切替える、スイッチ装置を用いることも考えられる。しかしながら、このようなスイッチ装置では、ワイヤが一度絡まると、スイッチが正しく機能しないため、正しく整列することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-002815号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、小型で高い整列機能を確保できる整列ウィンチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様にかかる整列ウィンチは、第1方向に沿う第1回転軸を有するとともにワイヤが巻き付けられる外周面を有する回転ドラムを有する巻取部と、前記回転ドラムの外周部に設けられワイヤがかけ回される滑車と、前記回転ドラムの回転動作に伴って前記滑車を前記第1方向に移動させるシフト機構部と、を有する整列部と、を備え、前記シフト機構部は、前記回転ドラムの前記第1回転軸に動力伝達可能に接続されるとともに前記第1方向に沿って配置され、前記回転ドラムと同期して回転駆動される、第2回転軸と、前記第2回転軸に係合し、前記第2回転軸の回転により前記第1方向に移動するスライダと、を有する第1シフト機構部と、前記第1シフト機構部とは分離された前記第1方向に沿う第3回転軸と、前記第3回転軸に係合し前記第3回転軸の回転により前記第1方向に移動するとともに前記滑車を回転可能に支持する支持テーブルと、を有する第2シフト機構部と、前記第1シフト機構部の前記スライダの移動によって前記第3回転軸の駆動状態を切替えるスイッチ部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る整列ウィンチの概略構成を示す斜視図。
図2】同実施形態に係る整列ウィンチの一部を拡大して示す斜視図。
図3】同実施形態に係る整列ウィンチを示す平面図。
図4】同実施形態に係る整列ウィンチを示す正面図。
図5】同実施形態に係る整列ウィンチを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態に係る整列ウィンチ1を、図1乃至図5を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る整列ウィンチ1の概略構成を示す斜視図である。図2は、整列ウィンチ1の一部を拡大して示す斜視図である。図3は、整列ウィンチ1を示す平面図であり、図4は、整列ウィンチ1を示す正面図である。図5は、整列ウィンチ1を示す側面図である。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小又は省略して示す。
【0010】
図1乃至図5に示すように、整列ウィンチ1は、架台10と、巻取部20と、伝達部30と、整列部40と、を備える。例えば本実施形態において整列ウィンチ1は、船舶に設けられ、海洋に配備する観測装置を牽引する観測ウィンチである。整列ウィンチ1の一例として、回転ドラム23を一つ備える、単胴ウィンチを例示する。
【0011】
架台10は、台座11と、台座11上に設けられる複数の支持フレーム12と、を備える。例えば台座11は、金属材料で構成される複数の板状部材11aと、複数の補強用リブ11bと、を一体に有する。台座11は整列ウィンチ1の設置箇所に締結などにより設置され、上側に設けられた巻取部20及び整列部40を支持する。例えば台座11上の所定箇所に支持フレーム12を介して、巻取部20及び整列部40の各種軸部品が固定される。また、台座11上の所定箇所には第1駆動源21やガイドレール63が固定される。
【0012】
複数の支持フレーム12は、台座11の上面の所定箇所に一体に設けられる。支持フレーム12は、巻取部20及び整列部40の軸部材を所定の位置に回転可能に保持する軸受けを適宜備える。具体例として本実施形態において、回転ドラム23の回転軸の両端を支持する一対の第1支持フレーム12aと、第2回転軸42の両端を回転可能に支持するとともにガイド軸43の両端を支持する一対の第2支持フレーム12bと、第3回転軸62の両端部を回転可能に支持する一対の第3支持フレーム12cと、備える。
【0013】
巻取部20は、第1駆動源21と、駆動部22と、回転ドラム23と、を備える。
【0014】
第1駆動源21は、例えば油圧モータであり、台座11上において、回転ドラム23の一端部に設置される。例えば第1駆動源21は回転ドラム23の軸方向においてフランジ27よりも端部側に設けられる。第1駆動源21は、回転ドラム23の第1回転軸25に接続されるモータシャフトを有し、モータシャフトを回転させることで、回転ドラム23を回転させる。第1駆動源21は、駆動部22に接続され、駆動部22により、所定の条件で駆動される。
【0015】
駆動部22は、操作部22aと、制御部22bと、を備える。例えば操作部22aはユーザが回動操作可能な操作レバーを備える。制御部22bは、操作部22aに接続されるとともに、操作部22aの入力に応じてモータを回転駆動する制御回路を有する。例えば制御回路はシリーズ回路が用いられる。なお、制御回路としてパラレル回路を用いてもよい。
【0016】
回転ドラム23は、第1方向に延びる第1回転軸25と、第1回転軸25の外周に設けられる胴部26と、胴部26の第1方向の両端部に設けられる一対のフランジ27と、を備える。
【0017】
第1回転軸25は、架台10上において、第1方向に沿って配置され、第1支持フレーム12aによって回転可能に支持される。例えば第1回転軸25は台座11上の所定高さにおいて、両端が支持フレーム12の軸受部に支持されることにより、回転可能に支持される。第1回転軸25の一端側は第1駆動源21に接続され、第1駆動源21によって回転駆動される。第1回転軸25の他端側は伝達部30に接続される。すなわち、第1回転軸25の回転力が伝達部30を介して第2回転軸42に伝達可能に構成される。具体的には第1回転軸25に、伝達部30の一部を構成する歯車部材が設けられる。
【0018】
胴部26は円筒状に構成され、第1回転軸25の外周に設けられる。胴部26の外周面にはワイヤWの位置を規制する整列溝26aが形成される。整列溝26aはワイヤWの太さに対応した凹みであり、胴部26の周面においてワイヤWの巻き付け方向に沿って形成される。整列溝26aは、例えば胴部26の表面を切削して形成されてもよく、整列溝26aを有するアタッチメント等を胴部26の表面に取り付けることにより形成されてもよい。
【0019】
フランジ27は、胴部26よりも大径の円板状の部材であり、胴部26の軸方向両端に、例えば溶接等によって固定される。例えばフランジ27は、胴部26に想定される最大量のワイヤWを巻き付けた際に、外周に配置されるワイヤWよりも外周側に位置する外縁部を有する。すなわち、ワイヤWが巻きつけられた胴部26の最大径よりも大径となるように構成される。
【0020】
伝達部30は、動力伝達機構として、歯車31、32や回転ベルト33を備え、第1回転軸25の回転力を、第2回転軸42に伝達する。例えば伝達部30は第1回転軸25に装着される第1歯車31と、第2回転軸42に装着される第2歯車32と、ループ状の回転ベルト33と、を備える。
【0021】
第1歯車31は、第1回転軸25の、第1駆動源21とは反対側の端部に設けられ、第1回転軸25の回転に伴って回転する。第1歯車31は外周部に、回転ベルト33の内面の凹凸部に噛み合う歯を有する。
【0022】
第2歯車32は、第2回転軸42の端部に設けられる。第2歯車32は外周部に、回転ベルト33の内面の凹凸部に噛み合う歯を有する。
【0023】
回転ベルト33は、第1回転軸25及び第2回転軸42にそれぞれ装着された第1歯車31及び第2歯車32の外周の歯に係合可能な凹凸部を有する。例えば回転ベルト33は複数のコマ部材が連結されたチェーン状あるいは帯状であって、内周側に、所定のピッチで複数の突起や孔が配置される凹凸部を有する。回転ベルト33は、第1歯車31及び第2歯車32の外周を通るループ状の経路に沿って設けられ、第1回転軸25の回転に伴って送り移動することで、第2歯車32を回転させる。
【0024】
伝達部30は、第1回転軸25の回転により第1の歯車部材を介して回転ベルト33を送り移動することで、当該回転ベルト33に噛み合う第2の歯車部材を介して第2回転軸42を回転させる。すなわち、伝達部30は巻取部20の回転ドラム23の回転動作を整列部40の第2回転軸42へと伝達する。なお、伝達機構部は他に各種の動力伝達機構部品を備えていてもよい。
【0025】
整列部40は、シフト機構部としての第1シフト機構部41と、スイッチユニット50と、シフト機構部としての第2シフト機構部60と、滑車70と、を備える。
【0026】
第1シフト機構部41は、第2回転軸42と、ガイド部材としてのガイド軸43と、スライダ44と、を備える。
【0027】
第2回転軸42は、架台10上に支持され第1方向に延びる、例えばボールねじシャフトである。第2回転軸42は回転ドラム23の側部において、回転ドラム23の第1回転軸25と平行に延びる。第2回転軸42は第1方向に離間して配置される一対の第2支持フレーム12bに、両端部が回転可能に支持される。第2回転軸42は、伝達部30によって第1回転軸25に動力伝達可能に接続され、回転ドラム23の回転動作に応じて回転駆動される。第2回転軸42はスライダ44のスライド孔を通り、架台10の上面より上方の所定高さに支持される。
【0028】
第2回転軸42は、例えば往復ネジであり、外周面に二本のガイド溝42a、42bが形成されている。ガイド溝42a、42bはスライダ44の係合部に係合する凹部である。第2回転軸42は、例えば、右回り及び左回りの双方向にガイド溝42a、42bがそれぞれ形成される。すなわち、第2回転軸42の外周にはスライダ44を一方から他方へ案内する第1のガイド溝42aと、他方から一方へ案内する第2のガイド溝42bと、が形成される。第2回転軸42は、一方向の回転によりスライダ44を軸方向に往復動させる。
【0029】
ガイド軸43は第2回転軸42の上方において、第2回転軸42と平行に延びる。ガイド軸43はスライダ44のガイド孔を通り、両端が一対の第2支持フレーム12bに固定される。
【0030】
スライダ44は、スライドブロック45と、一対のドグ46と、を備える。
【0031】
スライドブロック45は、例えば方体状に構成される。スライドブロック45は、第2回転軸42が通るスライド孔45aとガイド軸43が通るガイド孔45bとを有し、第2回転軸42及びガイド軸43に支持される。スライド孔45aは第1方向に貫通する貫通孔であり、内面に、ガイド溝42aに係合する突起などの係合部が設けられている。ガイド孔45bは第1方向に貫通する貫通孔である。スライダ44は、ガイド軸43によって移動方向が第1方向に案内され、第2回転軸42の回転に伴って第1方向に移動する。スライドブロック45の、回転ドラム23側とは反対側の側面部に、一対のドグ46が設けられる。
【0032】
ドグ46は、スライドブロック45の、軸方向に直交する並列方向における一方側の側面に固定されるプレート状部材である。ドグ46は軸方向に並んで二つ設けられる。ドグ46は、矩形板状で、軸方向(移動方向)の両端部が軸方向及び並列方向に対して傾斜する傾斜面である押圧面46aを有する。
【0033】
スイッチユニット50は、例えば一対のドグ46の軸方向の両側に対応する位置に設けられる一対のスイッチ部51を有する。一対のスイッチ部51は、後述する支持テーブル64の、回転ドラム23側の側縁にブラケット53を介してそれぞれ設けられる。
【0034】
各スイッチ部51は、先端部がスライダ44側に向けて配置される。スイッチ部51の先端部は、スライダ44のドグ46に対して軸方向に対向配置される受面52を有する。スイッチ部51は、受面52とドグ46の押圧面46aとの当接状態に応じて、第3回転軸62の駆動状態を切替える。例えば受面52は湾曲していてもよく、平面状であってもよい。一例として先端部に設けられる入力軸の軸周りに回転可能に設けられる円環状の入力部材の周面が受面52を構成する。
【0035】
スイッチユニット50は、第2駆動源に接続される。スイッチユニット50は、第1シフト機構部41のスライダ44の移動によって第3回転軸62の駆動を切替える。スイッチユニット50は、一対のスイッチ部51によって、第3回転軸62の正逆回転の駆動を切替える。すなわち、各スイッチ部51が、所定の移動方向に、滑車70が移動するように、第2駆動源61を駆動する。
【0036】
第2シフト機構部60は、第2駆動源61と、第3回転軸62と、複数のガイドレール63と、支持テーブル64と、を備える。
【0037】
第2駆動源61は、台座11上において、回転ドラム23の一端部に設置される。第2駆動源61は第3回転軸62の一端側に接続される、例えばステップモータである。第2駆動源61は第3回転軸62に接続されるモータャフトを有し、モータシャフトを回転させることで、第3回転軸62を回転させる。第2駆動源61は、第3回転軸62を正逆回転駆動する。第2駆動源61は、スイッチユニット50の各スイッチ部51に接続され、スイッチユニット50によって所定の条件で駆動される。
【0038】
例えば第2駆動源61は、一方のドグ46が、一方側に移動することにより、一方のスイッチ部51の受面52が一方側に押されると、第3回転軸62を、支持テーブル64が一方側に移動する回転方向に回転する。また、他方のドグ46が、他方側に移動することにより、他方のスイッチ部51の受面52が他方側に押されると、第2駆動源61は、第3回転軸62を、支持テーブル64が他方側に移動さする回転方向に回転する。
【0039】
第3回転軸62は、第1回転軸25及び第2回転軸42と平行に第2方向に延びるボールねじシャフトである。第3回転軸62は、例えば外周面に一本のらせん状のガイド溝62aが形成される。第3回転軸62は第2駆動源61によって所定のタイミングで回転駆動される。第3回転軸62は、第1方向に離間して配置される一対の第3支持フレーム12cに、両端部が回転可能に支持される。例えばガイド溝62aは、支持テーブル64の係合部に係合する、凹部である。第3回転軸62は、回転により支持テーブル64を第1方向に移動させる。
【0040】
複数のガイドレール63は、第3回転軸62の両側部に1本ずつ設けられる。ガイドレール63は、架台10の台座11上面において第3回転軸62と平行に延びる突起部である。一対のガイドレール63は、支持テーブル64の裏側に係合することで、支持テーブル64の移動方向を第1方向に案内する。
【0041】
支持テーブル64は、滑車ベース65と、滑車フレーム66と、を備える。
【0042】
滑車ベース65は矩形板状に構成され、第1方向及び第2方向に延びる上下一対の主面を構成する。滑車ベース65の上面には滑車フレーム66及びダンパ67が設けられる。滑車ベース65の裏側には、一対のガイドレール63上に係合するレール部65aが設けられる。また、滑車ベース65の裏側には、第3回転軸62に係合する支持片65bが設けられる。
【0043】
支持片65bは、滑車ベース65の裏面に固定されるとともに、第3回転軸62が通るスライド孔を有する。スライド孔は第1方向に貫通する貫通孔であり、内面に、ガイド溝62aに係合する突起などの係合部が設けられている。
【0044】
レール部65aは、下方に開口するとともに第1方向に沿って形成される係合溝65dを有する。係合溝65dがガイドレール63上に係合することで、支持テーブル64の移動方向がガイドレール63によって第1方向に案内される。
【0045】
滑車フレーム66は、支持テーブル64上に回動可能に支持される一対の支持プレート68と、一対の支持プレート68間に渡って設けられ第1方向と交差する方向に滑車支持軸69と、ダンパ67と、を備える。支持プレート68は、支持テーブル64の上面に回動軸68aを介して回動可能に取付けられ、ダンパ67によって支持される。支持プレート68は、ワイヤWの接線方向に沿って斜め上方に延出し、ワイヤWの巻付け状態に応じて、支持テーブル64に対して所定の範囲で回動可能に支持される。支持プレート68は、ワイヤWの張力によって、傾斜角度が調整可能に接続される。
【0046】
滑車支持軸69は、一対の支持プレート68間に渡って設けられ、第1方向と交差する方向に延出する。滑車支持軸69は、滑車70の孔部に挿入され、滑車70を回転可能に支持する。すなわち、滑車70プレート及び滑車支持軸69は、滑車70を傾斜可能かつ回転可能に支持する。
【0047】
第2シフト機構部60は、第3回転軸62の回転により、ガイドレール63に案内されて、支持テーブル64が第1方向に移動することで、滑車70を第1方向に移動させるとともに、滑車70を回転可能かつ傾斜可能に支持する。
【0048】
滑車70は、回転ドラム23の外周部に設けられる。例えば滑車70は、回転ドラム23の側方において、上側が回転ドラム23側に近接するように、傾斜して設けられる。例えば滑車70は、円盤形状に構成され、外周部にワイヤWを保持する滑車溝71を有する。滑車70は、回転ドラム23の第1回転軸25と交差する方向の滑車支持軸69によって、回転可能に支持される。
【0049】
滑車70は、滑車溝71の一部にワイヤWを保持することで、ワイヤWの位置及び延出方向を規制する。例えば滑車70は、回転ドラム23の胴部26から、接線方向に引き出されるワイヤWの姿勢を、軸方向に向けて案内する。すなわち、滑車70の外周の一部でワイヤWを保持することで、ワイヤWの向きを変える。
【0050】
滑車70は、第2シフト機構部60によって、回転可能、かつ傾動可能に支持される。滑車70は、第2シフト機構部60によって傾動可能に支持されるとともに、第2シフト機構部60のシフト移動によって軸方向に移動する。
【0051】
このように構成された整列ウィンチ1は、例えば回転ドラム23にワイヤWを巻き付けて、ワイヤWが接続される牽引対象物を牽引する。
【0052】
例えばユーザによる駆動部22の入力操作によって、第1駆動源21が作動して運転開始すると、第1駆動源21に接続された回転ドラム23が所定の巻き取り方向に回転することで、ワイヤWを巻き取る。巻き取られたワイヤWは、胴部26の外周面に形成された整列溝26aに配置されて整列される。回転ドラム23の回転動作は、伝達部30を介して、第2回転軸42へ伝達される。したがって、第2回転軸42は回転ドラム23に同期して回転する。
【0053】
そして、第2回転軸42が回転すると、ガイド軸43によってスライドの位置が第1方向に沿うように規制されることで、第2回転軸42のガイド溝42a、42bに係合してスライダ44が第1方向に往復移動する。
【0054】
スライダ44が第1方向に移動すると、スライダ44に設けられたドグ46が、第1方向に対向配置されたスイッチ部51を、進行方向に押圧する。スライダ44の両側にそれぞれドグ46及びスイッチ部51が設けられているため、往路及び復路のいずれかによって、どちらか一方のスイッチがどちらか一方に向けて押圧される。
【0055】
スイッチ部51の入力により、第2駆動源61が駆動され、第3回転軸62が回転し、第3回転軸62の回転によって支持テーブル64が第1方向に移動する。このときの移動速度や移動のピッチは、予めワイヤWの巻き付け位置と巻き付け速度などの条件に応じて設定されている。
【0056】
以上により、回転ドラム23の回転と同期して、滑車70が往復移動することとなり、ワイヤWが整列される。
【0057】
なお、滑車70の角度はワイヤWが引っ張られることによって調整され、自動的に、接線方向に沿う姿勢に維持される。例えばワイヤWの巻き付け量が大きくなればワイヤWの巻付け位置が径方向の外側に移動するが、常に巻き付け位置に向けてワイヤWが引っ張られることで滑車70の方向が接線方向に沿うように、調整される。
【0058】
本実施の形態に係る整列ウィンチ1によれば、滑車70によりワイヤWの延出方向を変更することで、側部のエリアを省スペース化でき、装置の小型化が可能となる。また、上記実施形態にかかる整列ウィンチ1は、回転ドラム23の回転によってスイッチ部51を切替えて第3回転軸62を回転駆動するため、ワイヤWが絡まった場合に、スイッチ部51が正確に機能する。したがって、例えばワイヤWの移動によってスイッチが入力される構成に比べて、ワイヤWの状態に依存せず高い整列機能を確保できる。
【0059】
また、第1駆動源21と第2駆動源61を分離することにより、第1駆動源の動きが第3回転軸に伝達しない。このため、第1駆動源21と第2駆動源61は各々別の動力源にする事ができ、回転ドラム23及び第3回転軸62の動きが安定し、整列機能を向上することができる。
【0060】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば単胴としたが複数の胴を有していてもよい。また、駆動源や軸あるいは各部の詳細な形状は上記に限られるものではなく適宜変更して実施可能である。
【0061】
例えば上記実施形態において、第1駆動源21を油圧モータとし、第2駆動源を電気モータとしたがこれに限られるものではなく、適宜選択可能である。
【0062】
また、上述したドグ46は、二つ設けられる例を示したが、これに限定されない。ドグ46は、一つの部材で形成されてもよい。その場合、押圧面46aは、ドグ46の第1方向の両端に設けられる。
【0063】
また、各回転軸の支持構造や動力伝達機構の部品において、形状や配置を変更して実施することが可能である。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0065】
1…整列ウィンチ、10…架台、11…台座、11a…板状部材、11b…補強用リブ、12…支持フレーム、12a…第1支持フレーム、12b…第2支持フレーム、12c…第3支持フレーム、20…巻取部、21…第1駆動源、22…駆動部、22a…操作部、22b…制御部、23…回転ドラム、25…第1回転軸、26…胴部、26a…整列溝、27…フランジ、30…伝達部、31…第1歯車、32…第2歯車、33…回転ベルト、40…整列部、41…第1シフト機構部、42…第2回転軸、42a…第1のガイド溝、42b…第2のガイド溝、43…ガイド軸、44…スライダ、45…スライドブロック、45a…スライド孔、45b…ガイド孔、46…ドグ、46a…押圧面、50…スイッチユニット、51…スイッチ部、52…受面、60…第2シフト機構部、61…第2駆動源、62…第3回転軸、62a…ガイド溝、63…ガイドレール、64…支持テーブル、65…滑車ベース、65a…レール部、65b…支持片、65d…係合溝、66…滑車フレーム、67…ダンパ、68…支持プレート、69…滑車支持軸、70…滑車、71…滑車溝。
図1
図2
図3
図4
図5