IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トーヨーカネツ株式会社の特許一覧

特開2024-66967物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体
<>
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図1
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図2
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図3
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図4
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図5
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図6
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図7
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図8
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図9
  • 特開-物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066967
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240509BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B65G1/137 E
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058503
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022176395
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 恭矢
【テーマコード(参考)】
3C100
3F522
【Fターム(参考)】
3C100AA48
3C100BB05
3C100BB24
3C100BB25
3F522AA02
3F522BB29
3F522BB35
3F522CC01
3F522CC05
3F522CC06
3F522GG05
3F522GG09
3F522GG39
3F522GG49
3F522JJ02
3F522JJ04
3F522KK05
3F522LL01
3F522LL02
3F522LL06
3F522LL19
(57)【要約】
【課題】
AMRを採用した物流システムにおいて、いわゆる「出荷準備待ち状態」や「手待ち状態」などの作業の滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることを可能にすることである。
【解決手段】
第1工程の作業を行う第1作業領域からその作業結果の収容箱を第2工程の作業を行う第2作業領域まで搬送する複数の搬送ロボットと、
前記複数の搬送ロボットが走行する走行エリアと、
単一の収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、前記第1工程における単一作業時間である第1単一作業時間と、前記第2工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合に、前記時間差を吸収するように調整するための調整手段と、
を備えた物流システム。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1工程の作業を行う第1作業領域からその作業結果の収容箱を第2工程の作業を行う第2作業領域まで搬送する複数の搬送ロボットと、
前記複数の搬送ロボットが走行する走行エリアと、
単一の収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、前記第1工程における単一作業時間である第1単一作業時間と、前記第2工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合に、前記時間差を吸収するように調整するための調整手段と、
を備えた物流システム。
【請求項2】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部と、
ピッキング作業により前記集品を行うための集品部と、
配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部と、
前記入荷部、前記集品部および前記出荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記入荷部、前記集品部または前記出荷部は、前記入荷品として入荷された1種以上のアイテムを収容した収容箱についての所定の第1工程の作業を行う第1作業領域を有し、
前記入荷部、前記集品部または前記出荷部は、前記第1工程に続く所定の第2工程の作業を行う第2作業領域を有し、
前記入荷部、前記集品部または前記出荷部は、単一の前記収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、前記第1工程における単一作業時間である第1単一作業時間と、前記第2工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合に、前記時間差を吸収するように調整するための調整手段を有する
物流システム。
【請求項3】
前記第2単一作業時間は、前記第1単一作業時間のn倍(nは1を超える正の値)であり、
前記調整手段は、前記第2単一作業時間内に平均n個以上の収容箱に対して作業可能に調整する手段である、請求項1または2に記載の物流システム。
【請求項4】
前記調整手段は、前記平均n個以上の収容箱に対して前記第2工程をまとめて作業可能とする第2作業構成を有する、請求項3に記載の物流システム。
【請求項5】
前記第2作業構成は、単一の収容箱に対して同一作業を行う第2単一作業構成をm個(mはn以上の整数)並べて、前記m個分の同一作業をまとめて作業可能に構成されている、請求項4に記載の物流システム。
【請求項6】
前記第2作業構成は、
m個(mはn以上の整数)の収容箱に対して前記第2工程をまとめて作業可能なm個作業構成と、
前記m個の収容箱を集約して載置する載置バッファと、
前記載置バッファ上の前記m個の収容箱をまとめて前記m個作業構成に対して供給可能なm個供給構成と、
を有する、請求項4に記載の物流システム。
【請求項7】
前記第2作業構成は、
m個(mはn以上の整数)の収容箱に対して前記第2工程を同時に作業可能なm個作業構成と、
前記第1作業領域からの収容箱を各1個搬送してきたm台の搬送ロボットが駐留するパーキングと、
前記m台の搬送ロボットが載置している前記m個の収容箱をまとめて前記m個作業構成に対して供給可能なm個供給構成と、
を有する、請求項4に記載の物流システム。
【請求項8】
請求項1または2に記載の物流システムに対して、前記時間差を調整するように制御する時間差調整制御方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の物流システムに、請求項8に記載の時間差調整制御方法を実行させる物流システム制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の物流システム制御プログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システム、時間差調整制御方法、物流システム制御プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送ライン型の物流システムでは、各所にバッファゾーンやアキュムレーションゾーンを設けて後工程での滞留を防ぐように調整箇所が設けられていたが(特許文献1~6等)、自立(自律)走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot :以下「AMR」と略す)を用いるAMR型の物流システムでは、AMRの走行調整が自在にできることから設ける必要性がなくなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-099021号公報
【特許文献2】特開2005-247554号公報
【特許文献3】特開2018-048031号公報
【特許文献4】特開2016-117581号公報
【特許文献5】特開2016-020276号公報
【特許文献6】特開平09-301509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、AMR型の物流システムであっても、任意の1の作業工程(第1作業工程)における単一の収容箱に対する作業時間(単一作業時間)である第1単一作業時間と、第1作業工程の次の作業工程である第2作業工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間として相互間に差がある場合がある。第2単一作業時間の方が短い場合には、第2作業工程の作業者が第2作業工程の複数分を掛け持ちするなどにより、作業人数を低減させるなどが可能にもなるが、第2単一作業時間の方が長い場合には、システム全体のクリティカル作業となって、全体の作業を遅れさせる要因となり得る。特に、AMRの台数が限定されている場合など全てのAMRがフロアで運用されている場合に、本来予定されている作業時間までにAMRが戻ってくることができずに代わりのAMRも運用ができないケースも考え得ることになる。
【0005】
例えば、AMRでの集品が出荷可能な状態直前まで済んでいてもその後の出荷準備の荷造り等の後工程作業ができていない、いわゆる「出荷準備待ち状態」や、同一のピッキングゾーンに複数台(多数台)のAMRが集結してそのピッキングゾーンにアクセスできない、いわゆる「手待ち状態」となる場合、これらはシステム全体の作業効率の悪化要因となり得る。
【0006】
本発明の目的は、AMRを採用した物流システムにおいて、いわゆる「出荷準備待ち状態」や「手待ち状態」などの作業の滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1の態様に係る物流システムは、第1工程の作業を行う第1作業領域からその作業結果の収容箱を第2工程の作業を行う第2作業領域まで搬送する複数の搬送ロボットと、前記複数の搬送ロボットが走行する走行エリアと、単一の収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、前記第1工程における単一作業時間である第1単一作業時間と、前記第2工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合に、前記時間差を吸収するように調整するための調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様に係る物流システムは、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部と、ピッキング作業により前記集品を行うための集品部と、配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部と、前記入荷部、前記集品部および前記出荷部を制御する制御部と、を備え、前記入荷部、前記集品部または前記出荷部は、前記入荷品として入荷された1種以上のアイテムを収容した収容箱についての所定の第1工程の作業を行う第1作業領域を有し、前記入荷部、前記集品部または前記出荷部は、前記第1工程に続く所定の第2工程の作業を行う第2作業領域を有し、前記入荷部、前記集品部または前記出荷部は、単一の前記収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、前記第1工程における単一作業時間である第1単一作業時間と、前記第2工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合に、前記時間差を吸収するように調整するための調整手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、これらの態様の時間差調整制御方法は、上述の物流システムに対して、前記時間差を調整するように制御する。
【0010】
また、これらの態様のプログラムは、上述の物流システムに、上述の時間差調整制御方法を実行させる。
【0011】
また、これらの態様のプログラム記憶媒体は、上述のプログラムを、上述の物流システムにより利用可能に記憶する。
【0012】
これらの態様の物流システム若しくは時間差調整制御方法では、またはこれらの態様のプログラム若しくはプログラム記憶媒体によれば、単一の収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、第1工程における単一作業時間である第1単一作業時間と、第2工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合に、時間差を吸収するように調整する。この調整により、いわゆる「待ち状態」の作業の滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることを可能にできる。
【0013】
第3の態様に係る物流システムとして、第1の態様または第2の態様において、前記第2単一作業時間は、前記第1単一作業時間のn倍(nは1を超える正の値)であり、前記調整手段は、前記第2単一作業時間内に平均n個以上の収容箱に対して作業可能に調整する手段であるようにしてもよい。
【0014】
この場合、第2単一作業時間は第1単一作業時間のn倍(nは1を超える正の値)であり、調整手段は、第2単一作業時間内に平均n個以上の収容箱に対して作業可能に調整する。これにより、第2単一作業時間が第1単一作業時間のn倍であっても、第1工程においてn個の収容箱に対して作業している間に、第2工程において、平均n個以上の収容箱に対して作業ができることで、少なくとも第1工程からの収容箱を、第2工程の作業待ちで待たせることが無くなる。すなわち、「待ち状態」の作業の滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【0015】
第4の態様に係る物流システムとして、第3の態様において、前記調整手段は、前記平均n個以上の収容箱に対して前記第2工程をまとめて作業可能とする第2作業構成を有するようにしてもよい。
【0016】
この場合、調整手段は、第2作業構成を有することで、平均n個以上の収容箱に対して第2工程をまとめて作業できる。このため、第1工程においてn個の収容箱に対して作業している間に、第2工程において平均n個以上の収容箱に対して作業ができる。これにより、第1工程からの収容箱を、第2工程の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【0017】
第5の態様に係る物流システムとして、第4の態様において、前記第2作業構成は、単一の収容箱に対して同一作業を行う第2単一作業構成をm個(mはn以上の整数)並べて、前記m個分の同一作業をまとめて作業可能に構成されているようにしてもよい。
【0018】
この場合、第2作業構成が、単一の収容箱に対して同一作業を行う第2単一作業構成をm個(mはn以上の整数)並べて、m個分の同一作業をまとめて作業可能に構成されているので、第1工程においてn個の収容箱に対して作業している間に、第2工程においてm個の収容箱に対して作業ができる。これにより、第1工程からの収容箱を、第2工程の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減可能になる。
【0019】
第6の態様に係る物流システムとして、第4の態様において、前記第2作業構成は、m個(mはn以上の整数)の収容箱に対して前記第2工程をまとめて作業可能なm個作業構成と、前記m個の収容箱を集約して載置する載置バッファと、前記載置バッファ上の前記m個の収容箱をまとめて前記m個作業構成に対して供給可能なm個供給構成とを有するようにしてもよい。
【0020】
この場合、第2作業構成が、m個作業構成と、載置バッファと、m個供給構成と、を有していて、m個供給構成により、載置バッファに載置されたm個の収容箱をまとめてm個作業構成に対して供給できるので、第2単一作業時間内に、m個作業構成により、m個の収容箱に対して作業ができる。このため、第1工程においてn個の収容箱に対して作業している間に、第2工程においてm個の収容箱に対して作業ができる。これにより、第1工程からの収容箱を、第2工程の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減可能になる。
【0021】
第7の態様に係る物流システムとして、第4の態様において、前記第2作業構成は、m個(mはn以上の整数)の収容箱に対して前記第2工程を同時に作業可能なm個作業構成と、前記第1作業領域からの収容箱を各1個搬送してきたm台の搬送ロボットが駐留するパーキングと、前記m台の搬送ロボットが載置している前記m個の収容箱をまとめて前記m個作業構成に対して供給可能なm個供給構成と、を有する。
【0022】
この場合、第2作業構成が、m個作業構成と、パーキングと、m個供給構成と、を有していて、m個供給構成により、m台の搬送ロボットが載置しているm個の収容箱をまとめてm個作業構成に対して供給できるので、第2単一作業時間内に、m個作業構成により、m個の収容箱に対して作業ができる。このため、第1工程においてn個の収容箱に対して作業している間に、第2工程においてm個の収容箱に対して作業ができる。これにより、第1工程からの収容箱を、第2工程の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減可能になる。
【0023】
第8の態様に係る時間差調整制御方法は、第1の態様または第2の態様において、前記時間差を調整するように制御することを特徴とする。
【0024】
第9の態様に係る物流システム制御プログラムは、第1の態様または第2の態様の物流システムに、第8の態様に記載の時間差調整制御方法を実行させることを特徴とする。
【0025】
第10の態様として、第9の態様に記載の物流システム制御プログラムが記憶された記憶媒体を特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、AMRを採用した物流システムにおいて、いわゆる「出荷準備待ち状態」や「手待ち状態」などの作業の滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態による物流システムの構成図である。
図2】ピッキングエリアの構成を簡易化して示すピッキングエリアの模式図である。
図3】ピッキングエリア内のピッキング作業エリアを構成する複数のピッキングゾーンを簡略化して説明する際の、簡略化の内容を示す説明図である。
図4】ピッキングエリア内の複数のピッキングゾーンについて、図3の簡略化を適用して示す説明図である。
図5】実施形態の物流システムの概略制御フローを簡略化して含む機能ブロック図である。
図6図1の出荷準備エリアの一部の拡大図であり、前段階を担当するピッキングエリアで集品された収容箱を受領するエリアの説明図である。
図7】別の例を示す、図6と同様の説明図である。
図8】さらに別の例として、バッファエリアを追加した構成の例を示す、図6と同様の説明図である。
図9】さらに別の例として、バッファエリア内の収容箱内のアイテムをパックPに移し替えることなく直接に出荷箱に詰める構成の例を示す、図6と同様の説明図である。
図10図6~9とは別のエリアに適用した実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の概念は、本発明の概念の特定の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、この発明の概念は、多くの異なる形態で具体化でき、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。同様の番号は、説明全体で同様の要素を指す。
【0029】
以下の実施するための形態では、ピッキングを主に例にとって説明している場合があるが、本技術思想はピッキングに対してのみ適用されるべきものとして限定的に解釈すべきではない。すなわち、本発明は入荷、保管、補充、集品、ピッキング、アソート、搬送、出荷を含む物流システム全体に対して適用可能なものである。
【0030】
以下、[1.システム構成例]、[2.課題解決ポイントの例示]、[3.その他の適用・応用例]について、順に説明する。
【0031】
[1.システム構成例]
図1は、本明細書に提示された実施形態による物流システムの構成図である。同図に示すように、物流システム1は、原料の入荷(入庫)から集配物の出荷(出庫)に向けて利用される順に、入荷(入庫)エリア10A、ピッキングエリア20A、出荷準備エリア40A、出荷待ちエリア50A、出荷(出庫)エリア30Aを備えている。
【0032】
入荷(入庫)エリア10Aは、原料の入荷(入庫)品を積載して入荷バースに駐車された貨物トラック等からの入荷品を荷捌きする環境温度10℃設定の入荷荷捌きエリア(図示符号無し)と、その原料を種類別に環境温度5℃設定の原料冷蔵庫(図示符号無し)および環境温度-25℃設定の原料冷凍庫(図示符号無し)に分けてケースで保管するケース自動倉庫設備(図示符号無し)と、を備え、原料ケース自動補充設備(図示符号無し)を介して、ピッキングエリア20Aに対して、ピッキング(集品)対象品を供給する。
【0033】
逆に、出荷側において、出荷(出庫)エリア30Aは、配送対象の出荷(出庫)品を貨物トラックに積載するための環境温度10℃設定の出荷バース310を有し、その前段階を担当する出荷待ちエリア50Aは、出荷品となる製品等の種類別に環境温度5℃設定の製品冷蔵庫(図示符号無し)および環境温度-25℃設定の製品冷凍庫(図示符号無し)に分けて出荷を待つように構成(制御)されている。
【0034】
さらにその前段階を担当する出荷準備エリア40Aは、さらにその前段階を担当するピッキングエリア20Aにおいてピッキング(集品)されて収容箱に収められ、搬送ロボット走行エリア60を介して搬送ロボットRにより搬送された収容箱、あるいはパーキングエリア601に一時駐車して待機していた搬送ロボットRにより搬送された収容箱、を受領し、出荷に合わせて全ての出荷対象品を揃え、荷造りやラベル貼付などの出荷前最終準備を実施するように構成(制御)されている。
【0035】
ここで、上述のパーキングエリア601には、図示上側と下側のそれぞれにグリッド状に並んだ約40台分の駐車スペースがあり、それぞれに搬送ロボットRが待機中に電力供給を受け得る充電設備が備えられている。なお、駐車スペース毎ではなく、待機中の搬送ロボットRが適宜アクセスできるように、パーキングエリア601内の所定個所に充電設備を備えても良い。また、これらの場合の充電方式としては、有線式や接触式でも可能ではあるが、手間や安全性(メンテナンスフリー)の観点から非接触式(ワイヤレス)が好ましい。
【0036】
図2は、ピッキングエリア20Aの構成を、理解の容易化のため模式的に簡易化して示すピッキングエリアの模式図である。図1も参照しつつ図2に示すように、ピッキングエリア20Aは、ピッキング(集品)対象品を供給するための原料ケース自動補充設備(図示符号無し)と、ピッキング(フロー)ラック200と、複数の作業台(作業テーブル)Tと、その手前側で搬送ロボットRが自由軌道(平面走行自在)で走行するための搬送ロボット走行エリア60と、を備えている。
【0037】
ピッキング(フロー)ラック200は、原料ケース自動補充設備側(背面側)からピックアップ用の間口側(前面側)にかけて下がっていて、いわゆるフローラック(flow rack)構成のピッキングラックであり、環境温度-15℃に設定されている。このピッキング(フロー)ラック200の間口から集品可能な各種アイテムを、集品を担当する複数の作業員Mが、それぞれが担当する作業台(作業テーブル)Tにおいて、それぞれが担当する収容箱Bにピッキング(集品)を行う。
【0038】
ここで、アイテムとは、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含む作業対象の単位を指し、前述のケース自動倉庫設備ではケース単位で作業処理の対象単位とされ、前述の原料ケース自動補充設備を介して、そのアイテム毎に対応して定められたピッキング(フロー)ラック200の間口に対して、ケース単位、すなわちアイテム単位で供給(補充)される。
【0039】
図3は、ピッキングエリア20A内で、ピッキング作業エリア210を構成する複数のピッキングゾーンを、理解の容易化のため簡略化して説明する際の、簡略化の内容を示す説明図である。
【0040】
図2で前述のピッキング(フロー)ラック200は、実際には、各作業員が担当する作業台Tと対応して区分けされていて、その区分けされた作業領域であるピッキングゾーンZにおいて、図3に示すように、各担当の作業員Mによって、アイテム対応の所定の間口から集品対象の各アイテムが取り出される。
【0041】
以下の説明では、主に、図3(a)内左側に示す、アイテム毎に間口に区分けされたピッキング(フロー)ラック200を、先入れ先出し(FIFO)のフローラック構成の奥行方向(アイテムの取出し順に区分けされた方向)を水平断面のイメージで簡略化して、同図内右側のように示す。
【0042】
また、図1の詳細部分を拡大すると判明するが、図3(b)内左側に示すように、実際の作業台Tは、作業員Mに対して左右対称の2台の作業台で構成され、作業箱Bを搭載した搬送ロボットRは、左右両端に到着(アクセス)して、左右それぞれアクセスした作業台Tに作業箱Bを供給し、それらの作業箱Bが作業台Tの作動で、作業員Mがいる中央部に運ばれ、作業員Mは、中央部に運ばれてきた作業箱Bに対して、必要な集品作業を行う。
【0043】
しかし、以下の説明では、主に、同図内右側に示すように、作業台Tを1台に簡略化する。すなわち、収容箱を搭載(搬送)して来た搬送ロボットRは、図示右端に到着(アクセス)して作業台Tに収容箱を供給し、その収容箱が作業台Tの作動で作業員Mがいる中央部に運ばれ、作業員Mは、中央部に運ばれてきた収容箱に対して、必要な集品作業を行う。目的の集品を終了した収容箱は、図示左端にアクセスしている搬送ロボットRに引き渡され、次のアクセス先まで搬送される。
【0044】
図4は、ピッキングエリア20A内の複数のピッキングゾーンZ1、Z2について、図3の簡略化を適用して示す説明図である。同図に示すように、ピッキングゾーンZ1では、ピッキング(フロー)ラック201の間口から集品可能な各種アイテムについて、担当の作業員Mが、作業台Tにおいて、担当する収容箱に集品を行う。同様に、ピッキングゾーンZ2では、ピッキング(フロー)ラック202の間口から集品可能な各種アイテムについて、担当の作業員Mが、作業台Tにおいて、担当する収容箱に集品を行う。なお、前述の図2の作業員Mと作業台Tも、この簡略化されたイメージで示してある。
【0045】
図5は、実施形態の物流システム1の概略制御フローを簡略化して含む機能ブロック図である。同図において、太幅2重線構成の点線矢印は、物(アイテム等)の流れ方向を示し、単線の点線矢印は、制御の流れ方向を示す。
【0046】
同図に示すように、物流システム1は、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部10(入荷(入庫)エリア10Aに対応)と、集品を行うための集品部20(ピッキングエリア20Aに対応)と、配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部30(出荷準備エリア40A+出荷待ちエリア50A+出荷(出庫)エリア30Aに対応)と、入荷部10、集品部20および出荷部30を制御する制御部Cと、を備えている。
【0047】
制御部Cは、上記の入荷部10、集品部20および出荷部30に対応して、入荷部10を制御する入荷制御(入荷制御工程)10C、集品部20を制御する集品制御(集品制御工程)20C、および、出荷部30を制御する出荷制御(出荷制御工程)30Cを行う。
【0048】
ここで、および以下の説明において、「~部を制御する」とは、「~部をデータベース管理下とする」と言うことを指し、「~部において作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、そのアイテムのID(以下「アイテムID」)に関連付けて、そのアイテムの各時点での状況を把握して更新し(データベースに記憶して状況に合わせて更新し)、後工程のための参照データとすること」を最小要件とする。ここでの「状況」には、各アイテムがどの工程まで作業・処理対象となったか等の情報が含まれる。この場合、この最小要件を満足すれば、少なくとも「参照データを得る」と言う点において、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0049】
すなわち、後工程における制御のための参照データを得ることが最小要件なので、実際の作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、その作業・処理を例えばプログラム制御により全自動で実施する場合はもちろんのこと、その作業・処理の一部または全部を作業員等の人手で実施したとしても、(自然法則に基づいて)参照データを得てシステム全体が作動するので、システム全体として、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0050】
なお、上記のアイテムIDは、例えば入荷時点でデータベースに登録され、あるいは事前に登録済みの情報を示すものであり、例えば入荷品に付される所定の番号の他に、品種名を含む種類、数量、産地、消費期限、賞味期限等の特性を示す。このデータベースへの登録は、例えば入荷品に付されたバーコードの読み取り、入荷品の箱に内蔵されたIC内の情報の読み取り、その他、各種タグ、各種貼付、付帯品からの情報取得によって行われる。
【0051】
図5の説明に戻り、同図に示すように、入荷部10は、入荷品を入荷する作業を行う入荷作業部11(入荷荷捌きエリアに対応)と、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)と、集品部20での集品に必要になる複数種類のアイテムを、集品部20に補充するアイテム補充部13(原料ケース自動補充設備に対応)と、を有する。
【0052】
これに対して、制御部Cでは、入荷部10を制御する入荷制御(入荷制御工程)10Cとして、入荷作業部11(入荷荷捌きエリアに対応)を制御する入荷作業制御(入荷作業制御工程)11Cと、アイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)を制御するアイテム保管制御(アイテム保管制御工程)12Cと、アイテム補充部13(原料ケース自動補充設備に対応)を制御するアイテム補充制御(アイテム補充制御工程)13Cと、を行う。
【0053】
集品部20は、アイテム補充部13により補充されたアイテムを集品のために一時保管する集品準備部21(ピッキング(フロー)ラック200に対応)と、集品担当の作業員が集品準備部21のアイテムを収容箱に集品する集品作業を行って、出荷品となるアイテムを集品した収容箱の準備を進める集品作業部22(ピッキング作業エリア210に対応)と、集品作業に供する収容箱を搬送するために、搬送ロボットRが自由軌道(平面走行自在)で走行し、出荷部30のパーキングエリア601(図1参照)まで延びて存在(延在)する搬送走行部23(搬送ロボット走行エリア60に対応)と、を有する。
【0054】
これに対して、制御部Cでは、集品部20を制御する集品制御(集品制御工程)20Cとして、集品準備部21(ピッキング(フロー)ラック200に対応)を制御する集品準備制御(集品準備制御工程)21Cと、集品作業部22(ピッキング作業エリア210に対応)を制御する集品作業制御(集品作業制御工程)22Cと、搬送走行部23(搬送ロボット走行エリア60に対応)を制御する搬送走行制御(搬送走行制御工程)23Cと、を行う。
【0055】
出荷部30は、集品部20で集品された収容箱を受領して、配送対象となる出荷品となる出荷態様に纏める出荷準備部31(出荷準備エリア40Aに対応)と、出荷態様の出荷品に含まれるアイテムの種類別特性に合わせて保管する出荷品保管部32(出荷待ちエリア50Aに対応)と、配送等のために出荷品を揃える作業を行う出荷作業部33(出荷(出庫)エリア30Aに対応)と、を有する。
【0056】
これに対して、制御部Cでは、出荷部30を制御する出荷制御(出荷制御工程)30Cとして、出荷準備部31(出荷準備エリア40Aに対応)を制御する出荷準備制御(出荷準備制御工程)31Cと、出荷品保管部32(出荷待ちエリア50Aに対応)を制御する出荷品保管制御(出荷品保管制御工程)32Cと、出荷作業部33(出荷(出庫)エリア30Aに対応)を制御する出荷作業制御(出荷作業制御工程)33Cと、を行う。
【0057】
[2.課題解決ポイントの例示]
なお、以下の説明において、対応図面上では見易さを重視して使用している丸囲み数字は、丸1は(01)、丸2は(02)、丸3は(03)、・・・のように、半角カッコ内の数字で代用して説明する。
【0058】
図6は、図1で前述の出荷準備エリア40Aの一部の拡大図であり、前段階を担当するピッキングエリア20Aにおいてピッキング(集品)された収容箱を受領するエリアの拡大図である。
【0059】
同図(a)に示すように、ここでは、搬送ロボット走行エリア60を介して搬送ロボットRにより搬送された収容箱B、あるいはパーキングエリア601に一時駐車して待機していた搬送ロボットRにより搬送された収容箱B、を受領する。
【0060】
この場合、複数の搬送ロボットRは、ピッキング(集品)作業(第1工程の作業)を行うピッキングエリア(第1作業領域)20Aから、その作業結果の収容箱Bを、出荷準備エリア40Aの入り口で作業員が次の作業(出荷準備作業)を行う作業台まで搬送する。
【0061】
ここで、本実施形態では、単一の収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、ピッキングエリア(第1作業領域)20Aでの集品作業(第1工程)における単一作業時間である第1単一作業時間と、出荷準備エリア40Aの入り口の作業台(第2作業領域)で作業員が行う次の作業(第2工程)における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合について説明する。
【0062】
より具体的には、例えば第1単一作業時間に対して、第2単一作業時間がn倍(nは1を超える正の値)である場合について説明する。ここでは、この時間差を調整する調整手段として、平均n個以上の収容箱に対して第2工程をまとめて作業可能とする第2作業構成を有する。
【0063】
さらに具体的には、上記第2作業構成として、単一の収容箱に対して同一作業を行う第2単一作業構成を、m個(mはn以上の整数)並べて、m個分の同一作業をまとめて作業可能な構成を有する。
【0064】
そして、最初の具体例として、m(=n=2)として、単一の収容箱に対して同一作業を行う第2単一作業構成を2個並べた例について、説明する。
【0065】
図6(b)は、同図(a)の(01)の作業台周辺(作業エリア)の拡大図であり、同図(c)は、同図(b)の垂直断面図に相当する。
【0066】
図6(b)に示すように、作業者Mが、図示の上下(作業者Mから見て左右)対称の2個の作業台に、それぞれ1個の収容箱Bを、それぞれを搬送してきた2台の搬送ロボットから受領し、その2個の収容箱Bを中心部に集める(この構成は、図3(b)左側で前述の作業台Tに類似)。
【0067】
そして、作業者Mは、この2個の収容箱Bから、2個同時に、内部のアイテムを、背面に準備済みの空のパックPに移し替え、空となった収容箱(空循環箱、空収容箱:以下「空箱」)Eを、中心部の前面にある下降用のスライド(スライドテーブル:傾斜台)Sに
押し出す。
【0068】
この場合、(01)の作業エリアにおける左右対称の2個の作業台にそれぞれ単位時間に1個ずつの計2個の収容箱Bが届けられ、その単位時間の間に、単独では1個しか収容箱Bから空のパックPへの移し替え作業ができないとしても、2個同時に移し替え作業ができる構成になっていることにより、集品作業(第1工程の作業)を行うピッキングエリア(第1作業領域)20Aからの収容箱Bを、出荷準備エリア40Aの入り口の作業台(作業エリア:第2作業領域)で作業員Mが行う次の作業(第2工程)の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【0069】
なお、同図(a)の(02)や(03)の作業エリアでも、同様の関係となり、(01)~(03)の3個の作業エリアにおいて、単位時間に計2個×3か所=6個の収容箱Bが届けられるが、それに対して、それぞれ2個づつを同時に移し替え出来る計3個(3か所)の構成により、単位時間に計6個の移し替えが可能になり、作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【0070】
図7は、別の例を示す、図6と同様の説明図である。図6の例では、作業者Mの背面側にアイテムを移し替えるパックPを用意したが、この例では、2か所の隣り合う作業エリアの間に、空のパックPの供給ルートと、移し替えられたアイテムが入っているパック(実のパック)Pを、その次の出荷準備工程であるプッシャー(図示符号無し)による段積み用並べ替え作業の工程に進める出荷前順立てルートとを設けている。
【0071】
ここでは、空のパックPは、2か所の作業エリアの間に供給され、2人の作業者Mは、必要になったときに、空のパックPを手元に引き寄せて、搬送ロボットRが搬送してきた収容箱Bの中のアイテムを、そのパックPに移し替えて、出荷前順立てルートに送り出している。また、アイテムが取り出された空箱Eは、図6で前述の例と同様に、下降用のスライドSに押し出される。また、ここでの構成には、搬送ロボットRの走行面である搬送ロボット走行エリア60の下の層に、空箱Eの回収のための搬送ルートである回収ルートが設けられている。
【0072】
なお、前述したように、上記の例は、第1単一作業時間に対して、第2単一作業時間がn倍(nは1を超える正の値)である例であり、さらには、第2作業構成として、単一の収容箱に対して同一作業を行う第2単一作業構成を、m個(mはn以上の整数)並べて、m個分の同一作業をまとめて作業可能な構成を有する例であり、さらに具体例として、m(=n=2)として、単一の収容箱に対して同一作業を行う第2単一作業構成を2個並べた例について、説明したが、ここでの倍数であるmやnとしては、各種の組合せが可能である。
【0073】
[3.その他の適用・応用例]
図8は、図7の例の構成を(03)および(04)の作業エリアとして、図示の上下(作業者目線では左右)対称の作業エリア(01)および(02)の作業エリアをさらに加えた例に相当するが、ここではさらに上述のmやnの別の例について、追加説明する。
【0074】
すなわち、図8は、同図に示すように、さらに別の例として、バッファエリア602を追加した構成の例を示す、図6と同様の説明図である。
【0075】
図6図7の例では、搬送ロボットRによって(01)等の作業エリアに搬送された各2個の収容箱Bは、到着次第、作業者Mの手元である中心部まで届けられて、第2工程における第2作業としてアイテムの移し替えに供されたが、図8の例では、それぞれ最大4個の収容箱Bを載置して保留できる図示上下(作業者目線で左右)の2組のバッファエリア602、すなわち1つの作業エリアで最大(m=4×2=)8個のバッファエリア602を有し、第2工程として第2作業時間内に最大8個分のアイテムのパックPへの移し替え作業ができる第2作業構成となっている。
【0076】
この場合、第2作業構成において、第2単一作業時間内に、バッファエリア(載置バッファ)602に載置された最大(m=4×2=)8個の収容箱Bに対してまとめて作業ができるため、集品作業(第1工程の第1作業)を行うピッキングエリア(第1作業領域)20Aからの収容箱Bを、出荷準備エリア40Aの入り口の作業台(作業エリア:第2作業領域)で作業員Mが行う次の作業(第2工程)の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【0077】
また、上述した図8の例では、タイミングの調整作業にバッファエリア(載置バッファ)602を利用したが、図7の例と同様に、バッファエリア(載置バッファ)602が無く、搬送された各2個の収容箱Bが、到着次第、作業者Mの手元である中心部まで届けられる構成であっても、この図8の例で対応できる。
【0078】
すなわち、バッファエリア(載置バッファ)602を設置するまでもなく、m台以上の搬送ロボットRを駐留できるパーキングエリア(パーキング)601を備えているので、これを利用して、m台の搬送ロボットRが載置しているm個の収容箱Bに対してまとめて作業ができるため、集品作業(第1工程の第1作業)を行うピッキングエリア(第1作業領域)20Aからの収容箱Bを、出荷準備エリア40Aの作業エリア(第2作業領域)で作業員Mが行う次の作業(第2工程)の作業待ちで待たせることが無くなり、システム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【0079】
図9は、さらに別の例を示す、図6と同様の説明図である。この例では、搬送されてきた収容箱B内のアイテムを一旦パックに移し替える構成の前述した図6~8の例とは異なり、収容箱B内のアイテムをパックに移し替えることなく、直接に出荷箱Fに詰める作業工程を第2工程としている。
【0080】
この例では、一列で最大5個のシュート(同じ出荷箱Fに入る同じオーダ内で指定された)単位の、4列のバッファエリア602を、それぞれの作業エリアに有し、その作業エリアを全体で3組備えている。
【0081】
このシュート単位の最大5個の収容箱Bから出荷箱Fに、第2工程として第2作業時間内にアイテムを詰め替えられる場合、単位時間当たり第1工程としての集品作業において5(=m)個の収容箱Bに対して集品作業している間に、第2工程においてm個の収容箱Bに対して作業ができる。これにより、集品作業(第1工程)からの収容箱Bを、第2工程の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減可能になる。
【0082】
図8図9の例において、集品作業(第1工程)において単位時間当たりn個の収容箱に対して作業している間に、後続の第2工程においてm個の収容箱に対して作業ができ、m≧nであれば、第1工程からの収容箱を、第2工程の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減可能になる。
【0083】
図10は、上述の図6~9の例とは別のエリアに適用した実施形態を示す説明図である。上述した図6~9の例とは異なり、ピッキングエリア20Aでの集品作業の工程内において、搬送ロボットRによる収容箱Bの搬送作業を第1工程における第1作業とし、搬送された収容箱Bにアイテムを集品するピッキング作業エリア210内での作業員Mによる集品作業を第2工程における第2作業とした例を示す。
【0084】
同図に示すように、この例では、作業員Mが集品作業を行う作業台Tの中央部の前後に、それぞれ最大5(=m≧n)個の収容箱Bを載置して保留できるバッファエリアGを備えている。このため、例えば同一種のアイテムをまとめて一緒に集品するなどにより、集品作業の加速が可能になる。
【0085】
これにより、搬送ロボットRによる収容箱Bの搬送作業(第1工程の第1作業)においてn個の収容箱Bを搬送して作業台Tに供給している間に、作業員Mによる集品作業(第2工程の第2作業)においてm個の集品作業ができれば、搬送ロボットR(第1工程)からの収容箱Bを、作業員Mによる集品作業(第2工程の第2作業)の作業待ちで待たせることが無くなり、作業滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減可能になる。
【0086】
なお、上述した例では、集品部20での集品作業や出荷部30での出荷準備作業の例を挙げたが、本発明の適用範囲はこれらに限られない。
【0087】
入荷部10、集品部20、出荷部30のいずれかの内部にとどまる関係であっても、入荷部10と集品部20との間、集品部20と出荷部30との間など、相互間であっても、入荷品として入荷された1種以上のアイテムを収容した単一の収容箱に対する作業時間である単一作業時間として、先行する作業の工程(第1工程)の作業(第1作業)の単一作業時間である第1単一作業時間と、その第1工程に後続する第2工程における単一作業時間である第2単一作業時間との間で、単一作業時間としての時間差がある場合に、時間差を吸収するように調整が必要であり、本発明によれば、この種の調整が可能になる。
【0088】
そして、これらの調整により、いわゆる「待ち状態」の作業の滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減可能にできる。
【0089】
上述のように、本発明によれば、AMRを採用した物流システムにおいて、いわゆる「出荷準備待ち状態」や「手待ち状態」などの作業の滞留によるシステム全体の作業効率の悪化を低減させることが可能になる。
【0090】
本発明の概念は、主に、いくつかの実施形態を参照して説明してきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上述のもの以外の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の各態様に係る物流システムおよび各種制御は、入荷・集品・出荷・搬送の対象となるアイテムをデータベース管理するシステムについてのものであり、その意味で自然法則を利用しており、プログラム制御でハードウェアを作動させる点で工業的価値を有し、また、搬送の行為(役務)やアイテム自体は商取引の対象である点で経済的価値を有しており、これらの技術分野において、幅広い産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0092】
1 物流システム
10 入荷部
10A 入荷(入庫)エリア
10C 入荷制御(工程)
11 入荷作業部
11C 入荷作業制御(工程)
12 アイテム保管部
12C アイテム保管制御(工程)
13 アイテム補充部
13C アイテム補充制御(工程)
20 集品部
20A ピッキングエリア
20C 集品制御(工程)
21 集品準備部
21C 集品準備制御(工程)
22 集品作業部
22C 集品作業制御(工程)
23 搬送走行部
23C 搬送走行制御(工程)
30 出荷部
30A 出荷(出庫)エリア
30C 出荷制御(工程)
31 出荷準備部
31C 出荷準備制御(工程)
32 出荷品保管部
32C 出荷品保管制御(工程)
33 出荷作業部
33C 出荷作業制御(工程)
40A 出荷準備エリア
50A 出荷待ちエリア
60 搬送ロボット走行エリア
200、201、202 ピッキング(フロー)ラック
210 ピッキング作業エリア
310 出荷バース
601 パーキングエリア
B 収容箱
C 制御部
E 空箱(空循環箱、空収容箱)
F 出荷箱(発送箱、送付箱)
M 作業員
P パック
R 搬送ロボット(AMR)
S スライド(スライドテーブル:傾斜台)
T 作業台(作業テーブル)
Z、Z1、Z2 ピッキングゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10