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特開2024-66977画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066977
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/40 20180101AFI20240509BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240509BHJP
【FI】
G16H30/40
G06T7/00 350B
G06T7/00 612
G06T7/00 630
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099174
(22)【出願日】2023-06-16
(62)【分割の表示】P 2022173781の分割
【原出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】本多 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 貴朗
【テーマコード(参考)】
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA25
5L096DA01
5L096DA02
5L096EA35
5L096FA02
5L096GA30
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】機械モデルを用いて得られた解析結果に対する信頼感をより向上させる。
【解決手段】画像生成装置(3)は、対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデル(601)から出力された解析結果(41)と、医用画像内の領域であって、解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報(42)とを取得する取得部(32)と、着目領域情報に基づいて医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成部(31)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得部と、
前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成部と、を備える画像生成装置。
【請求項2】
前記表示画像は、前記機械モデルに入力した前記医用画像に対して、前記着目領域情報が追加された加工画像を含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記着目領域は、前記医用画像がセグメンテーションされた領域を含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記着目領域情報がヒートマップで示される、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記加工画像は、前記着目領域情報が重畳された画像である、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、前記医用画像と前記加工画像が並列した前記表示画像を生成する、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記医用画像と前記加工画像が操作により入れ替え可能である、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記機械モデルは、前記対象者の骨の状態に関する推定を行うモデルであり、
前記医用画像は、前記対象者の骨が写っている画像であり、
前記解析結果は、前記対象者の骨の状態に関する推定結果を含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項9】
前記表示画像は、前記解析結果と前記着目領域情報とがそれぞれ異なる態様のヒートマップで示される、請求項8に記載の画像生成装置。
【請求項10】
前記推定結果は、前記対象者の骨折部位を推定した結果、および、該対象者が骨折する可能性、のうち少なくともいずれかである、請求項8に記載の画像生成装置。
【請求項11】
前記機械モデルは、細胞病理解析モデルであり、
前記医用画像は、前記対象者の細胞を撮像した顕微鏡画像であり、
前記解析結果は、前記対象者の細胞の病的変異に関する情報を含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項12】
前記表示画像は、1つの画面に表示される表示画像である、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項13】
対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得ステップと、
前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成ステップと、を含む画像生成方法。
【請求項14】
請求項1に記載の画像生成装置としてコンピュータを機能させるための画像生成プログラムであって、上記取得部、上記画像生成部としてコンピュータを機能させるための画像生成プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の画像生成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、被験者のレントゲン画像のデータとレントゲン画像が撮影されたときの被験者の年齢の情報とを用いて、レントゲン画像のデータから得られた特徴量と被験者の年齢との対応を示すレントゲン年齢推定モデルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-148729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、学習済の機械モデルを用いてさまざまな画像を解析することが行われている。しかし、機械モデルを用いて得られた解析結果は、その根拠がわからないことが多い。本開示の目的は、機械モデルを用いて得られた解析結果に対する信頼感をより向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る画像生成装置は、対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得部と、前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成部と、を備える。
【0006】
本開示の一態様に係る画像生成方法は、対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得ステップと、前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成ステップと、を含む。
【0007】
本開示の各態様に係る画像生成装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記画像生成装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記画像生成装置をコンピュータにて実現させる画像生成装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、機械モデルを用いて得られた解析結果に対する信頼感をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態1に係る画像生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る画像表示方法S1の流れを示すフローチャートである。
図3】実施形態1に係る表示画像の一例を示す模式図である。
図4】本開示の実施形態2に係る画像遠隔解析システムの構成を示すブロック図である。
図5】ユーザが入力するためのブラウザ画像の一例を示す模式図である。
図6】骨密度解析を依頼するX線画像データの一例を示す模式図である。
図7】解析結果送信部が送信する解析結果のブラウザ画像の一例を示す模式図である。
図8図7に示す表示画像に導出根拠データを追加したブラウザ画像の一例を示す模式図である。
図9図8に示す領域503の画像の拡大模式図である。
図10】現時点及び将来における患者の骨折の虞を表示するブラウザ画像の一例を示す模式図である。
図11図10に示す表示画像に導出根拠データを追加したブラウザ画像の一例を示す模式図である。
図12】細胞病理解析結果とその導出根拠データを追加した表示画像の一例を示す模式図である。
図13】スクロールして表示画像を1つの画面に表示する例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本開示の実施形態1に係る画像生成装置3の構成を示すブロック図である。画像生成装置3は、医用画像を解析する機械モデルから解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報に基づいて、解析結果の根拠を含むように医用画像を変更した表示画像を生成する装置である。画像生成装置3は、通信部50を介して、解析装置60、表示装置70との間で情報通信可能である。解析装置60は、機械モデル601を備える。機械モデル601は、例えば、画像及び数値の少なくとも1つを解析する、学習済(trained)の機械モデルである。表示装置70は、例えば、機械モデル601が解析した結果を表示する。
【0011】
図1に示すように、画像生成装置3は、制御部30、記憶部40及び通信部50を備える。制御部30は、画像生成部31、データ取得部(取得部)32、通信制御部33を備える。
【0012】
データ取得部32は、画像を解析する機械モデル601から出力(導出)された解析結果(解析データ)と、当該解析結果の導出根拠に関する情報(導出根拠データ)と、を取得する。導出根拠データは、一例として、医用画像内の領域であって、解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報である。データ取得部32は、取得した解析データ41と導出根拠データ42を、記憶部40に記録する。
【0013】
画像生成部31は、着目領域情報に基づいて医用画像を変更した表示画像(表示画像データ)を生成する。画像生成部31は、生成した表示画像データ43を記憶部40に記録する。
【0014】
通信制御部33は、記憶部40に記録された表示画像データ43を表示装置70に送信する。この場合、通信制御部33は、表示画像データ43を表示装置70に送信してもよい。あるいは、通信制御部33は、解析に使用した画像データを先に送信し、解析データ41をその後に送信してもよい。これにより、送信速度を早くすることができる。
【0015】
制御部30は、画像生成装置3の全体を統括制御する。制御部30は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリを備える。プロセッサは、例えば、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサを用いて構成することができる。メモリは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の複数種類のメモリを備えていてもよい。一例として、プロセッサは、メモリのROMに記録された各種の制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、画像生成装置3としての機能を実現する。また、プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はPLD(Programmable Logic Device)等で構成されるプロセッサを含んでいてもよい。
【0016】
図2は、一例として、画像生成装置3を用いた画像表示方法S1の流れを示すフローチャートである。図示するように、画像表示方法S1はステップS11からステップS13のステップを含む。
【0017】
データ取得部32は、画像を解析する機械モデル601により導出された解析結果と、当該解析結果の導出根拠に関する情報と、を取得する(S11)。具体的には、例えば、データ取得部32は、対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、医用画像内の領域であって、解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報とを取得する。医用画像内の領域は、例えば、医用画像の外周よりも内側の領域であればよい。着目領域情報は、例えば、医用画像内の領域に全て位置していてもよいし、一部のみが重なっていてもよい。もしくは、着目領域情報が医用画像にない場合(もしくは、例えば、医用画像の全体である場合)には、医用画像内の領域に重なっていなくてもよい。この場合、例えば、着目領域が存在しない旨(もしくは、例えば、医用画像全体が着目領域である旨)を医用画像内の領域よりも外側に表示してもよい。
【0018】
画像生成部31は、取得した解析結果と、当該解析結果の導出根拠に関する情報とを、1つの画面に表示する表示画像を生成する(S12)。具体的には、画像生成部31は、着目領域情報に基づいて医用画像を変更した表示画像を生成する。
【0019】
通信制御部33は、画像生成部31が生成した表示画像を表示装置70に送信する(ステップS13)。以上の処理方法により、画像を解析する機械モデルにより導出された解析結果と、当該解析結果の導出根拠に関する情報と、を1つの画面に表示することができる。この方法により、一例として、図3に示すような、対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、医用画像内の領域であって、解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報と、が1画面に表示された、表示画像100が生成され、表示装置70に表示される。
【0020】
図3は、実施形態1に係る表示画像(表示画面)100の一例を示す模式図である。具体的には、図3は、画像を解析する機械モデルにより導出された解析結果と、当該解析結果の導出根拠に関する情報と、が1つの画面に表示された表示画像である。解析結果の導出根拠に関する情報とは、機械モデルがなぜそのような解析結果を導出したのかという根拠の少なくとも1つを意味する。例えば、解析結果の導出根拠に関する情報とは、主に画像(医用画像)のどの箇所をもとに解析結果を導出したかを示す情報であってもよいし、どの箇所にどの程度の重みをおいて導出したかを示す情報であってもよい。表示画像とは、表示装置の画面(表示画面)に表示される画像である。表示画像は、ブラウザ画像、即ちブラウザを用いて閲覧可能な、インターネット上に開設されたウェブサイト表示される画像でもよい。表示装置の種類は限定されない。画面は、例えば据置型のパーソナルコンピュータの画面、モバイル端末の画面などであってもよい。
【0021】
図3には、具体的には、骨を含む画像を解析する機械モデル601により導出された解析結果と、当該解析結果の導出根拠に関する情報と、が1つの表示画面(表示画像100を表示している画面)に表示されている。解析結果は領域101に表示されており、骨密度と、その骨密度を若い成人の平均的な骨密度と比較した場合の割合などが含まれている。その解析結果の導出根拠に関する情報は領域102に表示されている。領域102に表示されているのは、機械モデル601により解析された骨を含む画像に、着目領域103が追加された画像である。本実施形態において着目領域とは、画像の解析結果を導出する主要な根拠となった領域である。なお、「将来予測」ボタン105、「戻る」ボタン106、「終了」ボタン107については後述する。
【0022】
図3に示すように、画像を解析する機械モデル601により導出された解析結果と、当該解析結果の導出根拠に関する情報と、を1つの画面に表示することにより、解析結果とともに、機械モデルがなぜそのような解析結果を導出したのかという根拠の少なくとも1つをユーザが確認することができる。
【0023】
以上の画像生成装置3又は画像表示方法S1を用いることにより、画像を解析する機械モデルにより導出された解析結果と、当該解析結果の導出根拠に関する情報と、を1つの画面に表示することができる。これにより、解析結果とともに、機械モデルがなぜそのような解析結果を導出したのかという根拠の1つを併せてユーザが確認することができるため、解析結果だけを表示する場合と比べて、機械モデルを用いて得られた解析結果に対する信頼感をより向上させることができる。
【0024】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、ユーザから画像の解析依頼を受けた解析システム(画像遠隔解析システムともいう)70Aが、骨のX線画像を解析して、骨密度、骨密度の相対的な比較、骨折の可能性(%)などを出力する場合を例にとって、表示画像等の一例について説明する。画像遠隔解析システム70Aは、解析結果とともに、機械モデルがなぜそのような解析結果を導出したのかという根拠の1つを併せてユーザに表示することができる。
【0025】
(画像遠隔解析システム70Aの構成)
図4は、本開示の実施形態2に係る画像遠隔解析システム70Aの構成を示すブロック図である。図示するように、画像遠隔解析システム70Aは、医用データ(例えば、医用の画像データ)を解析する解析装置1A(画像遠隔解析装置)およびユーザ端末20を備え、解析装置1Aとユーザ端末20とは、インターネットを介して通信可能に接続される。
【0026】
解析装置1Aは、通信部15、制御部16、記憶部17を備える。通信部15は、インターネットを介してユーザ端末20と通信を行う。記憶部17は、画像データ301、暗号化患者情報302及び属性情報303を含む取得情報172と、加工画像データ310及び導出根拠データ311を含む解析結果データ173を格納する。記憶部17は、取得部12が取得した画像データ301、暗号化患者情報302、属性情報303を紐付けて格納する。
【0027】
制御部16は、通信制御部11(解析結果送信部)、取得部12、解析部13、生成部(画像生成部)18及び判定部19を備える。通信制御部11は、通信部15を制御する。取得部12は、通信制御部11を介してユーザ端末20から送信されたデータを取得する。また、取得部12は、医用画像を解析する解析部13(機械モデル131)により導出された解析結果(解析データ)と、当該解析結果の導出根拠に関する情報(導出根拠データ)と、を取得する。解析部13は、画像データ301を解析する。制御部16は、実施形態1で説明した制御部30と同様の構成を有していてもよい。
【0028】
生成部18は、解析部13が解析した解析結果の導出根拠に関する情報(以下「導出根拠データ311」という)を生成する。導出根拠データ311とは、機械モデルがなぜそのような解析結果を導出したのかという根拠の少なくとも1つを意味する。例えば、導出根拠データ311とは、主に画像のどの箇所をもとに解析結果を導出したかを示す情報であってもよい。導出根拠データ311は、少なくとも暗号化患者情報302と紐づけられ、記憶部17に格納される。生成部18の機能の具体例については後述する。また、生成部18は、取得部12が取得した解析結果と、着目領域情報(解析結果の導出根拠に関する情報)とが1画面に表示される表示画像(表示画像データ)を生成する。生成部18は、生成した表示画像データを記憶部17に記録する。
【0029】
(判定部19)
判定部19は、取得部12が取得した暗号化患者情報302が、患者識別情報320が実際に暗号化されたものであるか否かを判定する。暗号化患者情報302が実際に暗号化されたものではないと判定された場合は、取得部12は、取得した暗号化患者情報302を削除してもよい。このような判定部19を備えることにより、仮に、ユーザ端末20から送信された暗号化患者情報302が、患者識別情報320を暗号化したものではなかった場合、取得した画像データ301は解析されることなく、暗号化患者情報302および属性情報303とともに削除される。そのため、画像データ301を含む取得情報172が解析装置1Aの内部で保存されることはない。暗号化されたものであるか否かの判定は、例えば、暗号化されたデータの拡張子などから判定してよい。
【0030】
暗号化患者情報302が実際に暗号化されたものではないと判定された場合は、制御部16は、改めて患者識別情報320を暗号化して送付することを依頼するメッセージを、通信制御部11を介してユーザ端末20に送信してもよい。
【0031】
(ブラウザ画像200)
図5は、ユーザがインターネットを介して解析装置1Aにアクセスしたとき、画像データ301等を入力するために、ウェブページに表示されるブラウザ画像200の一例を示す模式図である。
【0032】
図示するように、ブラウザ画像200には、画像解析の対象を示す<骨密度解析>という文字が最上部に表示される。最上部に表示される文字は、これに限定されず、例えば、解析内容がわかるような表示、すなわち、<骨密度推定>及び<骨密度将来予測>などであってもよい。ブラウザ画像200の左上部には、現在の画面が解析におけるフェーズ又は解析内容がわかるような状況情報が記載されていてもよい。例えば、ブラウザ画像200の左上部には、<受付>、<解析結果>、<将来予測>、<良悪性判定>などを用いることができるが、これに限定されない。
【0033】
また、ブラウザ画像200の左上部には、例えば、入力を受け付ける画面であることを示す<受付>という文字が表示される。その下部には、解析する画像データの入力を促す「解析する画像をここに置いて下さい」という文字と、画像データを貼り付ける(ドラッグアンドドロップする)領域を示す枠205が表示される。さらにその下部には、患者識別情報320および属性情報303等の入力を促す「属性情報をここに入力して下さい」という文字と、入力するボックス206が表示される。ブラウザ画像200の右下には、送信を促す「送信」ボタン204が表示され、右上にはウェブサイトの初期画面に戻る「戻る」ボタン207が表示されている。
【0034】
図6は、画像データ301の一例として、骨密度解析を依頼するX線画像データ300を示す模式図である。X線画像データ300は、腰部X線画像、胸部X線画像等の単純X線画像でもよく、あるいはDXA(Dual energy X-ray Absorptiometry)装置などで撮影されたX線画像であってもよい。DXA法を用いて骨密度を測定するDXA装置では、腰椎の骨密度が測定される場合、対象者の腰椎に対してその正面からX線が照射される。また、DXA装置では、大腿骨近位部の骨密度が測定される場合、対象者の大腿骨近位部に対してその正面からX線が照射される。超音波法は、踵および脛等の骨に超音波を当てて骨密度を測定する方法である。ここで、「腰椎に対してその正面」および「大腿骨近位部に対してその正面」とは、腰椎および大腿骨近位部等の撮影部位に正しく向き合う方向を意図しており、対象者の体の腹側であってもよいし、対象者の背中側であってもよい。MD(micro densitometry)法は手部にX線が照射される。超音波法は、腰椎、大腿骨、踵または脛等の骨に超音波を当てて骨密度を測定する方法である。また、画像データはX線画像でなくとも、骨の情報が含まれる画像であればよい。例えば、MRI(magnetic resonance imaging)画像、CT(computed tomography)画像、PET画像、および超音波画像等から推定され得る。
【0035】
本実施形態では、通信制御部11は、ユーザがインターネットを介して解析装置1Aにアクセスしたとき、ウェブページにブラウザ画像200を表示するとともに、通信部15を介して、暗号化アプリケーションを送信してもよい。ユーザが解析を依頼する画像データ301、患者識別情報320、および属性情報303を入力して「送信」ボタン204をクリックすると、患者識別情報320が暗号化され、画像データ301、属性情報303とともに、暗号化された暗号化患者情報302が解析装置1Aに送信される。そのため、ユーザが患者識別情報320の暗号化処理を行う必要はない。暗号化処理は、ユーザが「送信」ボタン204をクリックしたときに実行されるのではなく、クリックした後に暗号化処理が実行されてもよい。
【0036】
暗号化の手法は公知の手法でよく、限定されない。例えば、公開鍵と秘密鍵を組み合わせた暗号化手法であってもよい。暗号化は、画像遠隔解析システム70Aの運営者であっても復号できない方法であってもよい。これにより、ユーザが画像遠隔解析システム70Aの運営者に画像解析を依頼した場合でも、画像データ301と患者識別情報320との組み合わせが運営者側に流出する虞を低減することができる。
【0037】
取得部12は、ユーザ端末20から送信されたX線画像データ300と暗号化患者情報302、および属性情報303を取得して、解析部13に送信する。
【0038】
解析部13は、取得部12から送信されたX線画像データ300を機械モデル131に入力し、機械モデル131からの出力データを必要に応じて処理して、解析結果データ173を生成する。生成された解析結果データ173は、少なくとも暗号化患者情報302および属性情報303と紐づけられ、記憶部17に格納される。
【0039】
通信制御部11は、暗号化患者情報302および属性情報303と紐づけられた解析結果データ173を記憶部17から取得し、通信部15を介して、ユーザ端末20に送信する。
【0040】
ユーザ端末20が解析結果データ173を受信したとき、暗号化患者情報302は自動的に復号され、患者識別情報320が生成される。暗号化患者情報302が復号されるのは、解析結果データ173が送信されたときでもよいし、ユーザが自分で復号してもよい。
【0041】
これにより、ユーザ端末20は、解析結果データ173を患者の名前又は識別番号等を含む患者識別情報320とともに、画面に表示することができる。
【0042】
図7は、解析結果データ173を受信したユーザ端末20の画面に表示されるブラウザ画像400の一例を示す模式図である。ブラウザ画像400は、生成部18が生成した表示画像データの一例である。ブラウザ画像400には、画像解析の内容を示す<骨密度解析>という文字が最上部に表示される。ブラウザ画像400の左上部には、解析結果を表示する画面であることを示す<解析結果>という文字が表示される。その下部には、患者の情報が表示されてもよい。その下部には、「あなたの骨密度は□/cm2です」という文字が表示される。ボックス401には、推定された骨密度の数値が表示される。さらにその下部に「若い人と比較して□%です」という文字が表示されてもよい。ボックス402には、若い成年の骨密度平均(YAM, Young Adult Mean)に対する比率が表示される。その下部には、「あなたの大腿骨の骨折の可能性は□%です」という文字が表示されてもよい。ボックス406には、骨折の可能性が%で表示される。さらにその下部に「判定」の文字と、ボックス403に「骨量減少」などの文字が表示されてもよい。例えば、YAMに対する比率が80%を下回ると、「骨量減少」と判定され、70%以下であると「骨粗鬆症」の可能性があると判定される。ブラウザ画像400には、「終了」ボタン404、「戻る」ボタン405があってもよい。「戻る」ボタンは、例えば、前画面に戻るものであってもよいし、ホーム画面に戻るものであってもよいし、所定の画面に戻るものであってもよい。
【0043】
(生成部18)
次に、生成部18の詳細について説明する。本実施形態では、生成部18が、解析部13が解析した解析結果の導出根拠データ311を生成する。通信制御部11は、生成部18が生成した導出根拠データ311を含めてユーザ端末20に送信してもよい。
【0044】
解析結果データ173は機械モデル131からの出力に基づいているが、機械モデル131からの出力には、解析の過程は含まれない。そのため、機械モデル131からの出力だけを見ても、その出力の信頼性は判断できないことが一般的である。そこで、導出根拠データ311を含めて解析結果データ173をユーザ端末20に送信することで、ユーザの解析結果に対する信頼感を向上させる一助とすることができる。
【0045】
例えば、導出根拠データ311は、機械モデル131に入力した画像データ301に新たな情報が追加された加工画像データ310(根拠画像データ)であってもよい。例えば、新たな情報は、画像データ301の中で解析結果を導出する主要な根拠となった領域を示す情報であってもよい。加工画像は、入力した画像データに、主要な根拠となった領域を示す情報を追加した画像であってもよい。領域を示す情報とは、例えば着色又は枠囲いなど、領域の範囲がわかる情報である。画像解析では、画像のある領域が主な推定根拠になるケースが多いため、このような領域を示す情報により、推定の根拠になった領域をユーザが確認することができる。この場合、ユーザ端末20に表示される表示画像は、機械モデル131に入力した医用画像に対して、着目領域情報が追加された加工画像を含む。生成部18は、医用画像(画像データ301)と加工画像が並列した表示画像を生成してもよい。このような表示画像により、解析した元の画像と加工画像をユーザが対比することが容易となる。あるいは、制御部16は、医用画像と加工画像とを、ユーザ操作により切り替えて表示してもよい。例えば、制御部16は、切り替えボタンをユーザがクリックすることにより、医用画像と加工画像とを交互に表示してもよい。
【0046】
なお、加工画像データ310は、ユーザが入力した画像データ301の全ての情報を含む必要はない。例えば、加工画像データ310は、入力した画像データ301をトリミングした画像データであってもよく、あるいは、入力した画像データ301よりも解像度が低い画像であってもよい。このようにすることで、送受信するデータの容量を少なくすることができる。
【0047】
図8は、解析結果データ173に加えて、導出根拠データ311をユーザ端末20に送信するブラウザ画像500の一例を示す模式図である。ブラウザ画像500は、生成部18が生成した表示画像データの一例である。ブラウザ画像500は、図7で示す解析結果データ173に、導出根拠データ311(領域503を含む加工画像データ502)が追加されている。
【0048】
具体的には、ブラウザ画像500には、解析結果501とともに、入力した画像データ(図6のX線画像データ300)に、四角形の領域503が追加加工された加工画像データ502が表示されている。図8に示すように、本実施形態では、画像データを解析する機械モデル131により導出された解析結果501と、導出根拠データ311とを含む加工画像データ502と、が1つの画面に表示されている。ブラウザ画像500には、「戻る」ボタン506、「終了」ボタン507、および「将来予測」ボタン505が表示されてもよい。「将来予測」ボタン505の役割については後述する。
【0049】
図9は、図8の領域503の画像の拡大模式図である。領域503には、L1からL4に示す4つの腰椎が含まれている。これは、腰椎L1~L4が解析結果の根拠となった領域であることを示している。実際に、腰椎L1~L4は、その骨密度が全身の骨密度の平均値と関連していることが知られている。即ち、枠囲いされた領域503は、機械モデル131の解析結果が、この腰椎L1~L4の骨密度に基づいて導出されていることを示している。
【0050】
解析結果の根拠となった着目領域は、医用画像がセグメンテーションされた領域を含んでいてもよい。セグメンテーションとは、画像をいくつかの領域に分割することである。セグメンテーションは、機械モデル131の解析処理量を低減するために行われる。即ち、機械モデル131は、セグメンテーションされた領域のみを解析してもよい。セグメンテーションされた領域は、任意の範囲に設定すればよい。セグメンテーションされた領域は、例えば矩形、正方形、円形であってもよい。セグメンテーションされた領域が正方形の場合、機械モデル131の解析処理量を低減することができる。腰椎のX線画像を解析する場合は、例えば、腰椎L1~L4を含む範囲がセグメンテーションされる。そのため、セグメンテーション領域の大きさは画像中の腰椎L1~L4の大きさにより変化してもよい。セグメンテーション領域は、腰椎L1~L4の配列方向において、例えば、腰椎L1~L4よりも少し大きく設定してもよいし、腰椎L1~L4の辺と重なるように設定してもよい。セグメンテーション領域は、例えば、常に所定の寸法であってもよいし、医用画像に応じて寸法を設定してもよい。例えば、セグメンテーション領域は、腰椎L1~4の位置を特定し、当該腰椎L1~L4の配列方向の長さを設定した後に腰椎L1~L4の垂直方向の長さを設定してもよい。セグメンテーションは、機械モデル131が実行してもよい。機械モデル131は、セグメンテーションを行うために、解析領域のアノテーションが付与された画像を学習していてもよい。
【0051】
また、生成部18は、解析結果の根拠となった領域のヒートマップを生成してもよい。この場合、例えば、ヒートマップの外縁がセグメンテーション領域を指すことになる。ヒートマップは、骨密度の大きさを任意の色の濃度で表す方法である。例えば、生成部18は、着目の度合を示すヒートマップを生成してもよい。また、骨密度の数値を示すヒートマップを生成してもよい。また、生成部18は、骨折する可能性(確率)を示すヒートマップを生成してもよい。加工画像は、着目領域情報を示すヒートマップが医用画像に重畳された画像であってもよい。ヒートマップに用いる画像は、静止画でもよく、動画であってもよい。動画で示すことで、例えば、様々なヒートマップを順番にフェードさせることで、各ヒートマップ間の関係を視覚的に認識することが容易となる。また、解析結果が、セグメンテーション領域以外も含む骨密度のヒートマップである場合には、その一部のセグメンテーション領域を枠で囲んでもよい。
【0052】
生成部18は、解析結果の根拠となった領域の情報を解析部13から取得してもよい。具体的には、生成部18は、解析部13から解析結果の根拠となった領域を取得し、その領域を示す情報(領域503を囲む枠線など)を生成してもよい。生成部18は、解析部13から領域内の着目の度合データ、骨密度データ、又は骨折する可能性を示す情報を取得し、ヒートマップを生成してもよい。生成部18は、着目の度合データを示すヒートマップと骨密度データを示すヒートマップと骨折する可能性を示すヒートマップのいずれか複数を生成してもよい。着目の度合データを示すヒートマップと骨密度データを示すヒートマップと骨折する可能性を示すヒートマップを重ねて表示する場合、生成部18は、着目の度合データを示すヒートマップの色と骨密度データを示すヒートマップの色と骨折する可能性を示すヒートマップの色とを異ならせてもよい。
【0053】
機械モデル131は、例えばX線画像データ300をニューラルネットワークモデル(NNM, Neural Network Model)によって解析する。NNMでは、画像をいったん細かい領域に分割してそれぞれを数値化し、複数の領域をプーリング処理してより大きい領域に統合してまた数値化するという処理を繰り返している。そこで、機械モデル131は、処理結果に影響を与える数値(例えば相対的に大きな数値)をもつ領域を根拠となる領域であるとして抽出してもよい。
【0054】
図8に示す例では、解析の対象となるX線画像データ300に、解析結果の根拠となった領域503を重畳して表示した加工画像データ502を説明した。しかし、加工画像データはこれに限定されない。例えば、解析装置1は、解析対象の画像における解析結果の根拠となった領域の位置情報(座標など)をユーザ端末に送信し、ユーザ端末に解析対象の画像に領域表示した加工画像データを表示させてもよい。
【0055】
図8に示すような画面は、医師が患者に解析結果を説明する場合に用いることができる。つまり、単に解析結果を患者に説明するだけではなく、画像データのどの領域を根拠にこのような解析結果が出されたのかを説明することができる。そのため、医師の解析結果に対する信頼感を向上させることができるだけでなく、患者も解析結果に納得しやすくなるという効果が得られる。
【0056】
図8に示す例では、解析結果501と、導出根拠データ311を含む加工画像データ502とが1つの画面に表示されている。しかし、「1つの画面」とは、画面に同時に表示されなくてもよい。例えば、画面を上下又は左右にスクロールして表示されるものであってもよい。つまり、画面を上下又は左右にスクロールして表示される範囲を「1つの画面」と称する。
【0057】
図10は、解析部13が解析した、画像データから推定される患者の現時点における骨折が予想される骨の部位とその部位が骨折する可能性と、その患者のその部位が3年後に骨折する可能性とを表示するブラウザ画像700の一例を示す模式図である。なお、将来の時期は3年後に限定されず、任意の時期(例えばX年後)でもよい。ブラウザ画像700は、生成部18が生成した表示画像データの一例である。これは、図8に示すブラウザ画像500の右下にある「将来予測」ボタン505をクリックすることで表示される。
【0058】
ブラウザ画像700は、画像解析の対象を示す<骨密度解析>という文字が最上部に表示される。ブラウザ画像700の左上部には、将来予測を表示する画面であることを示す<将来予測>という文字が表示される。その下部には、患者の情報が表示されてもよい。その下部には、「あなたの大腿骨の骨折可能性は□%です」という文字が表示される。ボックス701には、現時点で推定された大腿骨の骨折可能性の数値が表示される。さらにその下部に「3年後の大腿骨の骨折可能性は□%です」という文字が表示されてもよい。ボックス702には、3年後に予測された骨折可能性の数値が表示される。また、この画像に、推定根拠又は予測根拠に関する情報を併せて表示してもよい。
【0059】
図11は、図10に示す表示画像に導出根拠データを追加したブラウザ画像800の一例を示す図である。ブラウザ画像800は、生成部18が生成した表示画像データの一例である。図11に示すように、ブラウザ画像800には、機械モデル131が導出した、現時点と3年後の大腿骨の骨折可能性を表示する領域801に加えて、その導出根拠データを示す画像802が表示されている。
【0060】
このようなブラウザ画像800は、医師が患者に現時点及び将来の骨折可能性を説明する場合に用いることができる。推定根拠又は予測根拠に関する情報を併せて表示した場合は、患者への説得力が増加する効果が得られる。
【0061】
(機械モデル131)
次に、機械モデル131について説明する。機械モデル131は、対象者の骨の状態に関する推定を行うモデルであり、入力する画像データは骨が含まれる画像であり、解析結果として当該骨の状態に関する推定結果を出力する。例えば、機械モデル131は、骨のX線画像から、骨密度、骨密度の相対的な比較、骨折の可能性などの、骨の状態に関する推定結果又は計算結果を出力するように学習された学習済モデルである。骨密度は、画像データに含まれる骨部位の計算された骨密度でもよく、画像データから推定された、全身の平均的な骨密度でもよい。画像から骨密度を計算する方法は、公知の方法を用いることができる。骨密度の相対的な比較とは、推定された骨密度の、YAMに対する比率である。骨折の可能性とは、特定の部位(例えば大腿骨頸部など)の骨が骨折する可能性である。骨の状態に関する推定結果は、画像が撮影された時点での推定結果でもよく、その時点から所定の期間が経過した時点での予測であってもよい。
【0062】
機械モデル131は、画像データを撮像した時点で推定される骨密度、画像データを撮像した時点から所定の期間が経過した時点で予測される骨密度、画像データを撮像した時点で推定される骨折部位とその可能性、及び画像データを撮像した時点から所定の期間が経過した時点で予測される骨折部位とその可能性、のうちの少なくともいずれかを推定結果として出力してもよい。
【0063】
(機械モデル131の学習方法)
次に、機械モデル131の学習方法について説明する。機械モデル131の学習、例えば、骨密度を推定する学習は、骨密度が特定された骨のX線画像を教師データとして行ってもよい。骨折の可能性を推定する学習は、骨のX線画像とその患者がその後所定の期間内に骨折したかどうかのデータを教師データとして行ってもよい。骨密度の相対的な比較は学習する必要はなく、推定された骨密度をYAMで割って求める。また、将来的な予測の学習は、骨密度が特定された骨のX線画像とその患者がその後所定の期間後にどの程度の骨密度となったか、あるいは骨折したか否かのデータを教師データとして用いて行ってもよい。教師データに、教師データとなった患者の、運動量、食事内容、喫煙、飲酒等の生活習慣を含めることにより、さらに精度の良い推定又は予測が可能な機械モデル131を構築することができる。
【0064】
なお、実施形態2では、機械モデル131として骨密度などの骨の状態に関する推定を行うように学習した機械モデルを例にとって説明した。この場合は、入力する画像データは骨のX線画像であり、出力は当該骨の状態に関する推定結果である。しかし、機械モデル131はこのようなモデルに限られない。例えば、機械モデル131は、細胞病理解析モデルであってもよい。この場合、入力する医用画像は対象者の細胞を撮像した顕微鏡画像であり、解析結果は当該細胞の病的変異に関する情報であってもよい。
【0065】
図12は、機械モデル131が細胞病理解析モデルである場合の、細胞病理解析結果とその導出根拠データを追加した表示画像であるブラウザ画像900の一例を示す模式図である。ブラウザ画像900は、生成部18が生成した表示画像データの一例である。図12に示すブラウザ画像900には、画像解析の内容を示す<細胞病理解析>という文字が最上部に表示される。ブラウザ画像900の左上部には、細胞が良性か悪性化を判定した結果を表示する画面であることを示す<判定結果>という文字が表示される。その下部には、患者の情報が表示されてもよい。その下部の領域901には、「悪性である可能性は□%です」という文字が表示される。ボックスには、細胞が悪性である可能性の数値が表示される。さらに、領域901の右側には、導出根拠データとして、解析した画像に判定結果を導出する主要な根拠となった領域903が追加された画像902が表示されている。領域903は、機械モデル131が悪性であると判断した細胞を含む領域である。また、ブラウザ画像900には、「終了」ボタン904、「戻る」ボタン905が表示されていてもよい。
【0066】
また、1画面とは、画面スクロールによって表示される画面であってもよい。図13は、スクロールして表示画像を1つの画面に表示する例を示す模式図である。図13の実線で示す領域1301は、ユーザ端末20(表示装置)の表示領域である。点線で示す領域1302は、1つの画面である。領域1302の上部には、図8で説明した、骨密度の解析結果501のデータが表示されている。領域1302の下部には、図8で説明した、根拠導出データである加工画像データ502が表示されている。領域1301には、最初にこの領域1302を表示したときには、図13の上側に示すように、骨密度の解析結果501のデータが表示される。しかし、ユーザが領域1302を上にスクロールすると、図13の上側に示すように、加工画像データ502が現れる。このような構成でも、ユーザが画面をスクロールするだけで、解析結果とその導出根拠データを表示させることができる。
【0067】
以上の実施形態2に係る画像遠隔解析システム70Aの構成によれば、導出根拠データ311を解析結果データ173と併せてユーザに提供することができる。そのため、ユーザの解析結果に対する信頼感を向上させることができるという効果を奏する。また、患者に説明する際に、患者が解析結果に納得しやすいという効果が得られる。
【0068】
次に、実施形態2に係る、制御部16が実行する画像遠隔解析方法S2の流れについて説明する。画像遠隔解析方法S2は、ステップS21からステップS24を含む(図示せず)。
【0069】
通信制御部11は、ユーザが解析装置1Aにアクセスしたとき、通信部15を介して、解析対象の画像データ301、患者識別情報320、属性情報303を含む取得情報172を入力する入力画面であるブラウザ画像200をウェブページに表示する(S21)。
【0070】
取得部12は、ブラウザ画像200に入力され、ユーザ端末20から送信された取得情報172に含まれる画像データ301、属性情報303、患者識別情報320が暗号化された暗号化患者情報302を取得する(S22)。
【0071】
解析部13は、取得部12から送られた画像データ301を、機械モデル131を用いて解析する(S23)。
【0072】
通信制御部11は、解析部13が解析した解析結果データ173と、導出根拠データ311と、暗号化患者情報302とをユーザ端末20に送信するステップである(S24)。
【0073】
以上の画像遠隔解析方法S2によれば、導出根拠データ311を解析結果データ173と併せてユーザに提供することができる。そのため、ユーザの解析結果に対する信頼感を向上させることができるという効果を奏する。また、患者に説明する際に、患者が解析結果に納得しやすいという効果が得られる。
【0074】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像遠隔解析システム70A(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0075】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0076】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0077】
また、上記各部の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各部として機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各部の機能を実現することも可能である。
【0078】
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0079】
本開示では、医用画像を解析して、解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報に基づいて医用画像を変更することについて説明したが、これに限定されない。例えば、医用画像が含まれずに、数値や下記に示す情報のデータのみを入力情報として学習済みの機械モデルを用いて解析してもよい。この場合、解析結果が出力される過程で着目された着目要素情報を解析結果とともに表示画像に表示してもよい。また、着目要素情報は、入力情報の一部を強調したものであってもよい。例えば、年齢、性別の情報が着目要素であったとき、年齢、性別の項目または数値を目立つ色でハイライトする、などであってもよい。
【0080】
入力情報としては、年齢、性別、体重、身長、骨折の有無、骨折箇所、骨折歴、家族(例えば両親)の骨折歴、基礎疾患(例えば、食物および/または薬剤アレルギー、骨粗しょう症の発症と関係がある疾患および関係のない疾患等)、喫煙歴、飲酒習慣(例えば、飲酒頻度および飲酒量等)、職業歴、運動歴、既往歴(例えば骨疾患の既往歴)、月経(例えば、周期および有無など)、閉経(例えば、可能性および有無など)、人工関節(例えば、脊椎インプラント又は膝関節などの種類、有無、及び置換手術の時期)、血液検査の結果、尿検査の結果、服用している薬剤、遺伝子配列などが挙げられる。
【0081】
(まとめ)
(態様1)
本開示の態様1に係る画像生成装置は、対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得部と、前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成部と、を備える。
【0082】
(態様2)
本開示の態様2に係る画像生成装置は、上記態様1において、前記表示画像は、前記機械モデルに入力した前記医用画像に対して、前記着目領域情報が追加された加工画像を含む。
【0083】
(態様3)
本開示の態様3に係る画像生成装置は、上記態様1又は2において、前記着目領域は、前記医用画像がセグメンテーションされた領域を含む。
【0084】
(態様4)
本開示の態様4に係る画像生成装置は、上記態様1から3のいずれか1つにおいて、前記着目領域情報がヒートマップで示される。
【0085】
(態様5)
本開示の態様5に係る画像生成装置は、上記態様2において、前記加工画像は、前記着目領域情報が重畳された画像である。
【0086】
(態様6)
本開示の態様6に係る画像生成装置は、上記態様2又は5において、前記画像生成部は、前記医用画像と前記加工画像が並列した前記表示画像を生成する。
【0087】
(態様7)
本開示の態様7に係る画像生成装置は、上記態様2、5、6のいずれか1つにおいて、前記表示画像と前記加工画像が操作により入れ替え可能である。
【0088】
(態様8)
本開示の態様8に係る画像生成装置は、上記態様1から7のいずれか1つにおいて、前記機械モデルは、前記対象者の骨の状態に関する推定を行うモデルであり、前記医用画像は、前記対象者の骨が写っている画像であり、前記解析結果は、前記対象者の骨の状態に関する推定結果を含む。
【0089】
(態様9)
本開示の態様9に係る画像生成装置は、上記態様1から8のいずれか1つにおいて、前記表示画像は、前記解析結果と前記着目領域情報とがそれぞれ異なる態様のヒートマップで示される。
【0090】
(態様10)
本開示の態様10に係る画像生成装置は、上記態様8において、前記推定結果は、前記対象者の骨折部位を推定した結果、および、該対象者が骨折する可能性、のうち少なくともいずれかである。
【0091】
(態様11)
本開示の態様11に係る画像生成装置は、上記態様1から7のいずれか1つにおいて、前記機械モデルは、細胞病理解析モデルであり、前記医用画像は、前記対象者の細胞を撮像した顕微鏡画像であり、前記解析結果は、前記対象者の細胞の病的変異に関する情報を含む。
【0092】
(態様12)
本開示の態様12に係る画像生成装置は、上記態様1から11のいずれか1つにおいて、前記表示画像は、1つの画面に表示される表示画像である。
【0093】
(態様13)
本開示の態様13に係る画像生成方法は、対象者を撮像した医用画像を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得ステップと、前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成ステップと、を含む。
【0094】
(態様14)
本開示の態様14に係るプログラムは、請求項1に記載の画像生成装置としてコンピュータを機能させるための画像生成プログラムであって、上記取得部、上記画像生成部としてコンピュータを機能させるための画像生成プログラムである。
【0095】
(態様15)
本開示の態様15に係る記録媒体は、請求項14に記載の画像生成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体である。
【符号の説明】
【0096】
70,70A・・・画像遠隔解析システム
1A・・・解析装置
3・・・画像生成装置
11,33・・・通信制御部
12・・・取得部
13・・・解析部
131・・・機械モデル
14・・・解析結果送信部
15,50・・・通信部
16,30・・・制御部
17,40・・・記憶部
18・・・生成部
19・・・判定部
20・・・ユーザ端末
31・・・画像生成部
32・・・データ取得部(取得部)
41・・・解析データ
42・・・導出根拠データ
43・・・表示画像データ
60・・・解析装置
601・・・機械モデル
70・・・表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者を撮像した医用画像のセグメンテーションされた領域を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された、前記セグメンテーションされた領域を含む着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得部と、
前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成部と、を備える画像生成装置。
【請求項2】
前記表示画像は、前記機械モデルに入力した前記医用画像に対して、前記着目領域情報が追加された加工画像を含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記着目領域は、前記医用画像がセグメンテーションされた領域の全てを含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記着目領域情報がヒートマップで示される、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記加工画像は、前記着目領域情報が重畳された画像である、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、前記医用画像と前記加工画像が並列した前記表示画像を生成する、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記医用画像と前記加工画像が操作により入れ替え可能である、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記機械モデルは、前記対象者の骨の状態に関する推定を行うモデルであり、
前記医用画像は、前記対象者の骨が写っている画像であり、
前記解析結果は、前記対象者の骨の状態に関する推定結果を含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項9】
前記表示画像は、前記解析結果と前記着目領域情報とがそれぞれ異なる態様のヒートマップで示される、請求項8に記載の画像生成装置。
【請求項10】
前記推定結果は、前記対象者の骨折部位を推定した結果、および、該対象者が骨折する可能性、のうち少なくともいずれかである、請求項8に記載の画像生成装置。
【請求項11】
前記機械モデルは、細胞病理解析モデルであり、
前記医用画像は、前記対象者の細胞を撮像した顕微鏡画像であり、
前記解析結果は、前記対象者の細胞の病的変異に関する情報を含む、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項12】
前記表示画像は、1つの画面に表示される表示画像である、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項13】
対象者を撮像した医用画像のセグメンテーションされた領域を解析する機械モデルから出力された解析結果と、前記医用画像内の領域であって、前記解析結果が出力される過程で着目された、前記セグメンテーションされた領域を含む着目領域に関する着目領域情報とを取得する取得ステップと、
前記着目領域情報に基づいて前記医用画像を変更した表示画像を生成する画像生成ステップと、を含む画像生成方法。
【請求項14】
請求項1に記載の画像生成装置としてコンピュータを機能させるための画像生成プログラムであって、上記取得部、上記画像生成部としてコンピュータを機能させるための画像生成プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の画像生成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。