(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066999
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】最下階用の排水集合管
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20240509BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20240509BHJP
F16L 41/02 20060101ALI20240509BHJP
F16L 5/04 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16L5/00 N
F16L41/02
F16L5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183291
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2022176507
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏平
(72)【発明者】
【氏名】安部 嘉孝
(72)【発明者】
【氏名】八木 博史
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB10
2D061AC01
2D061AC07
2D061AD01
2D061AD03
3H019BA21
3H019BD05
(57)【要約】
【課題】最適な延焼防止効果を発現し得る樹脂製の最下階用排水集合管を提供する。
【解決手段】最下階用排水集合管1060は、標準上部管1100と最下階用下部管1560とを含み、標準上部管1100は上立管を接続する上立管接続部1110と横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部1120とを含み、最下階用下部管1560は縮径部1660および横主管へ排水を流出させる脚部継手を直接または他の配管を介して接続する継手接続部1570を含み、外層部材1703により覆われている。外層部材1703の最内層には熱膨張性耐火材1712が設けられ、その高さ位置は、最下階用下部管1560の上端(下部管受口の上端)より上で、かつ、外層部材1703の上端(遮音カバー1730の上端)よりも下であって、この熱膨張性耐火材1712の内周には上部管のみまたは延長管のみが存在する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の最下階の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管であって、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方に接続される下部管とを含み、前記下部管は縮径部を備え、
前記上部管と前記下部管との間には、横枝管接続部の有無が限定されない1以上の延長管が接続される場合があり、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上立管を接続する上立管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記下部管は、横主管へ排水を流出させる脚部継手を直接または他の配管を介して接続する継手接続部を含み、
前記下部管の上端よりも上で、前記下部管を含んで前記排水集合管を覆う外層部材の上端よりも下に、熱膨張性耐火材を含み、
前記熱膨張性耐火材の内周には、前記上部管のみまたは前記延長管のみ存在することを特徴とする、排水集合管。
【請求項2】
前記熱膨張性耐火材の内周には、内部突起を備えない直管部分のみが存在することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項3】
前記外層部材の上端には、前記外層部材を前記上部管の外周に密着させるとともに止水性を備える止水部材が設けられて、前記外層部材が前記排水集合管を覆うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項4】
前記熱膨張性耐火材の上端は、前記床スラブ上面よりも下方に位置することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項5】
前記熱膨張性耐火材の下端が前記床スラブ下面よりも上方に位置する、
または、
前記熱膨張性耐火材の下端が前記床スラブ下面よりも上方に位置しない場合には前記外層部材が耐火性能を備える、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項6】
前記下部管の上端と前記横枝管の下面との距離は、30mm以上500mm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項7】
前記下部管の上端と前記床スラブの上面との距離は、5mm以上400mm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項8】
前記熱膨張性耐火材の下端と前記下部管が備える縮径部の開始位置との距離は、5mm以上200mm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項9】
前記熱膨張性耐火材の高さ方向の寸法は、8mm以上50mm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項10】
前記熱膨張性耐火材の体積は、30mm3以上200mm3以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排水集合管。
【請求項11】
前記下部管と前記上部管または前記延長管との嵌合部分における前記下部管の外周に熱膨張性耐火テープをさらに備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の排
水集合管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の最下階の床スラブを貫通して設けられる樹脂製の排水集合管であって、床スラブの上方に突出するとともに上階から排水を流入させる上立管を接続する上立管接続部および床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部を備えた上部管とその上部管の下方に接続される下部管とを含み熱膨張性耐火材(単に熱膨張材または耐火材と記載する場合がある)により所望の耐火構造を実現し得る排水集合管において、特に、(A)転がし配管で床スラブが薄肉スラブであっても、(B)上部管と下部管との重なり位置(たとえば下部管が受口構造を備え上部管の下端が下部管の上端に接続される)を備えていても、最適な延焼防止効果を発現し得る排水集合管に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅やオフィスビルなどには、給水設備および排水設備が設けられる。このうちの排水設備は、建物の各階層を上下に貫く縦管(立て管、上立て管、下立て管)と、各階層内に設置される横管(横枝管、枝管)と、これらを接続する排水配管継手(排水集合管、排水管継手、排水集合継手とも称される)とを備えた排水配管構造が代表的なものとして広く知られている。
【0003】
そして、このような排水配管継手は、建築物に施工された際に、床スラブの貫通孔に配置される管本体(本体部、上部管)を備え、本体部は、上流側の上立て管に接続可能な上方立て管接続部を上端に、横枝管に接続可能な横枝管接続部を側面に、下流側の配管部材に接続可能な下方配管接続部を下端に、それぞれ有する。このような排水配管継手においては、排水配管継手内の排水の流れを変化させる部分(たとえば旋回羽根、整流羽根、羽根部材、偏流板等の内周面への突起物)を備えるものが多い。また、このような排水配管継手として、ひとつまたは複数の樹脂製の射出成形品で形成されたものが広く知られている。
【0004】
このような排水配管継手を用いた排水配管構造が備え付けられた建築物において、階下にて火災等が発生した場合に火炎や煤煙、有毒ガスが排水配管構造の焼損部位または溶損部位を通じて上層階へ流出することを防止するために、排水配管継手に熱膨張性耐火材を、配管材の外周に別途設けたり、三層構造の配管材の中間層に埋設したりして、火災時には床スラブの貫通孔をこの熱膨張性耐火材によって閉塞された状態を維持する(防火区画構造を構成する)ことが行われている。
【0005】
上述したように、集合住宅やオフィスビルなどの多層建物には、各階居室部の衛生機器等からの排水を導入する横枝管が設けられている。横枝管により運搬された排水は、各階に設けられた集合継手により集約される。集合継手により集約された各階における排水は立て管により上階から下階へ運搬される。そして、最下階の集合継手において上階から運搬された排水および最下階の横枝管から運搬された排水が集約されて、その集約された排水は最下階の集合継手の下部に(後述する立管(直管)を介して)接続された脚部継手および横主管を介して下水路に流される。このような多層建物の最下層部(床下)における集合継手と脚部継手との接続については、集合継手の下部を受口として、この受口に挿入する立管(直管)を介して脚部継手を接続して、床下空間の高さ方向の寸法や横主管の高さ方向の配置に応じて、この立管(直管)の長さを調整する場合が多い。また、この最下階においても防火区画構造を構成することが求められている。たとえば、特許第7059432号公報(特許文献1)は、建物の最下階に設けられた床スラブの貫通孔に設置され、防火区画構造を実現するとともに、接続部から排水が漏れ出しにくく、コストの低い集合継手を開示する。
【0006】
この特許文献1に開示された集合継手は、建物の最下階に設けられた床スラブの貫通孔に設置され立管と脚部継手とを接続するための集合継手であって、上方に設けられた立管接続部と側方に設けられた横管接続部と下方に設けられた直管接続部とを備える集合部と、前記直管接続部に接続される直管部とを備え、前記集合部と前記直管部とはポリ塩化ビニル系樹脂で形成され、前記直管部は、上端に受口部が一体に成形された円筒であり、前
記受口部の開口端部から前記直管部の下端までの長さが500mm以下であり、前記受口部と前記直管部との間に環状の突起が設けられ、前記突起は前記直管部の外面に設けられた凹みに対応して前記直管部の内側に設けられ、前記突起と管軸方向に重なる位置に耐火材が設けられ、前記突起および前記耐火材は前記貫通孔に位置し、前記円筒の内径は、前記立管の内径より大きく、かつ、前記直管接続部の内径より小さく、前記直管接続部は、前記受口部に挿入され、前記受口部と接着されて前記直管部と接続されている。
【0007】
特許文献1に開示された集合継手によると、防火区画構造を構成する点に関しては、環状の突起と管軸方向に重なる位置に設けられた耐火材が、建物の火災時に熱膨張することにより集合継手の直管部を変形させて配管構造を閉塞する。これにより、配管構造の内部から火災時の煙が上層階へ移動することを防ぐ役割を有する。
【0008】
また、特開2017-014762号公報(特許文献2)は、建物の床スラブを貫通して配管される排水管継手に対して、重量の増加を抑制しながら床スラブを伝う排水の音を低減することと、火災時に排水管継手を通じて上下の階へ延焼したり煙が拡がったりするのを防止することとを両立させることを、より容易に可能とする排水管継手を開示する。
【0009】
この特許文献2に開示された排水管継手は、建物の床スラブを貫通して配管される排水管継手であって、排水管が接続される継手本体と、前記継手本体の前記床スラブに貫通する部分の外面を被覆する第1の被覆材と、を備え、前記継手本体は、熱可塑性樹脂からなり、前記第1の被覆材は、内側からこの順で配置された、スポンジ材からなる第1の吸音層、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層及び防水性と遮音性の表皮層と、軸方向の少なくとも一箇所において周に沿って設けられた熱膨張材と、を一体で備える。
【0010】
特許文献2に開示された排水管継手によると、火災時には、床スラブ内で外方への膨張が規制された熱膨張材が、熱により軟化した熱可塑性樹脂からなる継手本体を締め付けるように管内方へ膨張して管を閉塞し、火災時に排水管継手を通じて上下の階へ延焼したり煙が拡がったりするのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第7059432号公報
【特許文献2】特開2017-014762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示された集合継手においては、特許文献1の
図2~
図4に示されているような位置に耐火材を備えた集合継手を転がし配管で施工した場合において床スラブの厚みが薄い(たとえば床スラブの厚み75mm)ときには、耐火材が床スラブより下に出てしまうこと(耐火材の管軸方向の長さの全てが床スラブに埋まらないこと)により耐火性能を発揮しにくくなる。なお、特許文献1に開示された集合継手においては、耐火材の外周に遮音カバーを備えるが、内層側に設けられる吸音材と、外層に設けられる遮音材とを備える構造が好適であるとしか記載されておらず、このような遮音カバーが耐火材の外周に設けられているとしても、耐火材が床スラブより下に出てしまうことにより耐火性能を発揮しにくくなることが変わりない。
【0013】
また、特許文献2に開示された排水管継手においては、熱膨張性耐火材は、特許文献2の
図2に示されているように上側パーツ(上部管)と下側パーツ(下部管)との重なり部分に設けられていたり、特許文献2の
図8に示されているように下側パーツと下側パーツに嵌め込まれる内装パーツとの重なり部分に設けられている。このため、樹脂製の継手の上側パーツと下側パーツとが重なる部分、および、下側パーツと内装パーツとが重なる部分では周壁の厚みが増大するために、火災時において厚い周壁が溶けにくく閉塞性能が低下したり、十分な閉塞性能を実現するために熱膨張材の量を増加させなければならない。
【0014】
本発明は、上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、建築物の最下階の床スラブを貫通して設けられる樹脂製の排水集合管であって、(A)転がし配管で床スラブが薄肉スラブであっても、(B)上部管と下部管との重なり位置(たとえば下部管が受口構造を備え上部管の下端が下部管の上端に接続される)を備えていても
、最適な延焼防止効果を発現し得る最下階の排水集合管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る最下階の排水集合管は以下の技術的手段を講じている。
【0016】
本発明に係る排水集合管は、建築物の最下階の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管であって、前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方に接続される下部管とを含み、前記下部管は縮径部を備え、前記上部管と前記下部管との間には、横枝管接続部の有無が限定されない1以上の延長管が接続される場合があり、前記上部管は、上階から排水を流入させる上立管を接続する上立管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、前記下部管は、横主管へ排水を流出させる脚部継手を直接または他の配管を介して接続する継手接続部を含み、前記下部管の上端よりも上で、前記下部管を含んで前記排水集合管を覆う外層部材の上端よりも下に、熱膨張性耐火材を含み、前記熱膨張性耐火材の内周には、前記上部管のみまたは前記延長管のみ存在することを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記熱膨張性耐火材の内周には、内部突起を備えない直管部分のみが存在するように構成することができる。
【0018】
さらに好ましくは、前記外層部材の上端には、前記外層部材を前記上部管の外周に密着させるとともに止水性を備える止水部材が設けられて、前記外層部材が前記排水集合管を覆うように構成することができる。
【0019】
さらに好ましくは、前記熱膨張性耐火材の上端は、前記床スラブ上面よりも下方に位置するように構成することができる。
【0020】
さらに好ましくは、前記熱膨張性耐火材の下端が前記床スラブ下面よりも上方に位置する、または、前記熱膨張性耐火材の下端が前記床スラブ下面よりも上方に位置しない場合には前記外層部材が耐火性能を備えるように構成することができる。
【0021】
さらに好ましくは、前記下部管の上端と前記横枝管の下面との距離は、30mm以上500mm以下であるように構成することができる。
【0022】
さらに好ましくは、前記下部管の上端と前記床スラブの上面との距離は、5mm以上400mm以下であるように構成することができる。
【0023】
さらに好ましくは、前記熱膨張性耐火材の下端と前記下部管が備える縮径部の開始位置との距離は、5mm以上200mm以下であるように構成することができる。
【0024】
さらに好ましくは、前記熱膨張性耐火材の高さ方向の寸法は、8mm以上50mm以下であるように構成することができる。
【0025】
さらに好ましくは、前記熱膨張性耐火材の体積は、30mm3以上200mm3以下であるように構成することができる。
【0026】
さらに好ましくは、前記下部管と前記上部管または前記延長管との嵌合部分における前記下部管の外周に熱膨張性耐火テープをさらに備えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、建築物の最下階の床スラブを貫通して設けられる樹脂製の排水集合管であって、(A)転がし配管で床スラブが薄肉スラブであっても、(B)上部管と下部管との重なり位置(たとえば下部管が受口構造を備え上部管の下端が下部管の上端に接続される)を備えていても、最適な延焼防止効果を発現し得る最下階の排水集合管を提供を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】(A)本発明の実施の形態に係る標準排水集合管1000(標準上部管1100+標準下部管1500)の上面図、(B)その1B-1B断面図である。
【
図2】外層部材1700を説明するための
図1(B)に示す領域2の拡大図である。
【
図3】
図1(B)における標準上部管1100を枝下の長い枝下延長上部管1101に置き換えた枝下延長排水集合管1001を示す断面図である。
【
図4】(A)
図1(B)において延長管1102および延長管1103を用いた胴伸長排水集合管1002、(B)
図1(B)において枝付き延長管1104を用いた2段式排水集合管1003、(C)
図4(A)において延長管1103を枝付き延長管1104に置き換えた用いた2段式胴伸長排水集合管1004の各断面図である。
【
図5】
図1(B)において耐火材(耐火シート)1713を追加した標準排水集合管1000の断面図である。
【
図6】(A)本発明の実施の形態に係る超高層用排水集合管1040(超高層用上部管1140+標準下部管1500)の上面図、(B)その6B-6B断面図である。
【
図7】外層部材1701を説明するための
図6(B)に示す領域7を左右反転させた拡大図である。
【
図8】
図6(B)において熱膨張性耐火材1712をゴムリング1900の直下に配置した超高層用排水集合管1040の断面図である。
【
図9】(A)本発明の実施の形態に係る最下階用排水集合管1060(標準上部管1100+最下階用下部管1560)の上面図、(B)その9B-9B断面図である。
【
図10】外層部材1703を説明するための
図9(B)に示す領域10の拡大図である。
【
図11】
図1に示す標準排水集合管1000を転がし配管した場合の施工図である。
【
図12】
図1に示す標準排水集合管1000を浮かせ配管した場合の施工図である。
【
図13】
図4(A)に示す胴伸長排水集合管1002を転がし配管した場合の施工図である。
【
図14】
図9(B)に示す最下階用排水集合管1060に延長管1103を用いた胴伸長最下階用排水集合管1061を転がし配管した場合の施工図である。
【
図15】本発明の実施の形態における第1の変形例に係る横枝管接続部1120に外嵌合されて取り付けられる(接続される)横枝管受口2122を含む排水集合管2000(標準上部管2100+標準下部管1500)の上面図、(B)側面図、(C)その15C-15C断面図、(D)その領域15Dの拡大図である。
【
図16】第1の変形例における他の適用例を示す図(その1)である。
【
図17】第1の変形例における他の適用例を示す図(その2)である。
【
図18】本発明の実施の形態における第2の変形例に係る小突起が設けられた排水集合管3000(標準上部管3100+標準下部管1500)の上面図、(B)その18B-18B断面図、(C)その18C-18C断面図、(D)その領域18Dの拡大図、(E)その領域18Eの拡大図、(F)その領域18Fの拡大図である。
【
図19】第2の変形例における小突起の他の形状を示す図である。
【
図20】第2の変形例における他の適用例を示す図(その1)である。
【
図21】第2の変形例における他の適用例を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下において、本発明の実施の形態に係る排水集合管について、
図1~
図14を参照して詳しく説明する。なお、以下の説明において、外周面と外表面と外側、外層側と外周側と外側、内層側と内周側と内側、熱膨張性耐火材と耐火材と熱膨張材、とは、明確に区別して記載していない場合がある。また、断面図においてハッチングの種類により異なる部材を明確に区別していない場合がある。また、本発明の理解が容易になるために、上面図または下面図において、横枝管の方向を0時、3時、6時および9時と時計の時針を利用して特定する場合がある。また、図において矢示とともに一点鎖線に付した(数字+(必要に応じて)アルファベットからなる)符号は、数字が図番を、アルファベットがその図における枝番(A、B、C等)を、それぞれ示し、その符号により特定される図には断面図が示されている。また、図において点線に付した(数字+(必要に応じて)アルファベットからなる)符号は、数字が図番を、アルファベットがその図における枝番(A、B、C等)を、それぞれ示し、その符号により特定される図には拡大図が示されている(ただし、空間を示すアルファベットSを含む符号1410Sが付された点線を除く)。なお、
以下において説明する本実施の形態に係る排水集合管は、特記しない限り、超高層用、最下階用、中間階用(超高層用でもなく最下階用でもないという意味であって標準排水集合管と記載する場合がある)のいずれにも限定されるものではない。また、単に(符号を付さない)排水集合管、上部管および下部管と記載した場合には、中間階用、超高層用および最下階用のいずれにも限定されない排水集合管、上部管および下部管を意味する。
【0030】
<排水集合管における上部管および下部管の組み合わせ>
標準排水集合管1000について示す
図1~
図5、超高層用排水集合管1040について示す
図6~
図8、最下階用排水集合管1060について示す
図9~
図10、および、それらの排水集合管が施工された状態を示す施工図である
図11~
図14を参照して、本実施の形態に係る排水集合管について説明する。
【0031】
まず最初に、本実施の形態に係る排水集合管の組み合わせについて説明する。これらの図(特に
図1)に示す標準排水集合管1000は、偏流板1200を備えない標準上部管1100と、その標準上部管1100の下方に接続される旋回羽根1600を備えた標準下部管1500とが接続されて構成されている。また、これらの図(特に
図6)に示す超高層用排水集合管1040は、偏流板1200を備えた超高層用上部管1140と、その超高層用上部管1140の下方に接続される旋回羽根1600を備えた標準下部管1500とが接続されて構成されている。また、これらの図(特に
図9)に示す最下階用排水集合管1060は、偏流板1200を備えない標準上部管1100と、その標準上部管1100の下方に接続される旋回羽根1600を備えず縮径部1660を備えた最下階用下部管1560とが接続されて構成されている。なお、本発明は、このような組み合わせのみに限定されるものではなく、たとえば、後述するような延長管や枝付き延長管を備える場合がある。
【0032】
これら3種類(標準排水集合管1000、超高層用排水集合管1040、最下階用排水集合管1060)の排水集合管について説明する。これらの3種類の排水集合管は、いずれも建築物の床スラブSの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管である。これらの排水集合管のうちの標準排水集合管1000は、
図1に示すように、床スラブSの上方に突出する標準上部管1100と、標準上部管1100の下方に接続(接着接合)される標準下部管1500とを含み、標準下部管1500は旋回羽根1600を備える。標準上部管1100と標準下部管1500との間には、横枝管接続部1120の有無が限定されない1以上の延長管が接続される場合がある(以下において単に延長管と記載している場合であってもその延長管は横枝管接続部を備えるものも備えないものも含む)。標準上部管1100は、上階から排水を流入させる上立管を接続する上立管接続部1110と、床スラブSの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部1120とを含む。標準下部管1500は、下階へ排水を流出させる下立管を接続する下立管接続部1510を含む。なお、下立管接続部1510は、
図1に示すように標準下部管1500と別体で設けられていても、
図6に示す超高層用排水集合管1040で用いられる標準下部管1500のように一体的に設けられていても、いずれでも構わない(これのみが相違点であるために符号(ここでは標準下部管1500の符号1500)を区別していない)。また、これらの排水集合管のうちの超高層用排水集合管1040は、上述した標準排水集合管1000との相違点として、
図6に示すように、床スラブSの上方に突出する標準上部管1100が、偏流板1200を備えた超高層用上部管1140に変更されている。また、これらの排水集合管のうちの最下階用排水集合管1060は、上述した標準排水集合管1000との相違点として、
図9に示すように、標準上部管1100の下方に接続される標準下部管1500が旋回羽根1600ではなく縮径部1660を備えた最下階用下部管1560に変更されている。この最下階用下部管1560は、横主管へ排水を流出させる脚部継手を直接または他の配管を介して接続する継手接続部1570を含む。
【0033】
一例ではあるが、上立管接続部1110には立管受口1112およびゴム輪1114が設けられてこれらを介して上立管と排水集合管とが接続され、横枝管接続部1120には横枝管受口1122およびゴム輪1124が設けられてこれらを介して横枝管と排水集合管とが接続される。
【0034】
なお、本実施の形態に係る排水集合管においては、
図1、
図6および
図9に示すように排水集合管を上から見た上面図において、0時、3時および6時の方向に横枝管接続部1120を備え、9時の方向に横枝管接続部1120を備えないが、横枝管接続部1120は少なくとも1つ備えればよい。また、この排水集合管のように9時以外の3箇所に横枝管接続部1120を設けておいて、横枝管を接続しない方向についての横枝管接続部1120には栓を用いて塞ぐように(この栓は横枝管受口1122およびゴム輪1124を介して塞ぐように)しても構わない。
【0035】
<上部管>
本実施の形態に係る排水集合管を構成する上部管には、排水の逆流防止する任意的な構成として、上階からの排水が横枝管へ逆流することを防止する庇1240を設けたり、横枝管から排水集合管に流入した排水が隣の横枝管へ逆流することを防止するための逆流防止リブが設けられていても構わない。この逆流防止リブは、より具体的には、0時方向の横枝管接続部1120と3時方向の横枝管接続部1120との間に第一逆流防止リブ1310が、3時方向の横枝管接続部1120と6時方向の横枝管接続部1120との間に第二逆流防止リブ1320が、6時方向の横枝管接続部1120と9時方向の横枝管接続部1120との間に第三逆流防止リブ1330が、9時方向の横枝管接続部1120と0時方向の横枝管接続部1120との間に第四逆流防止リブ1340が、それぞれ設けられている。これらの第一逆流防止リブ1310および第二逆流防止リブ1320は、標準排水集合管1000の標準上部管1100の内周(内壁)に位置するように、かつ、軸芯に平行な形状を備えるように、設けられている。
【0036】
ここで、超高層用排水集合管1040を構成する超高層用上部管1140は、横枝管接続部1120を備えない方向(ここでは9時の方向)において、排水の流れを変化させるために内周に突出した偏流板1200を備える。また、この超高層用排水集合管1040において超高層用上部管1140に接続される標準下部管1500は、排水の流れを変化させるために内周に突出した旋回羽根1600を備える。このように超高層用排水集合管1040は、これらの偏流板1200および旋回羽根1600を備える。この偏流板1200の始点である上端を横枝管接続部1120の管軸よりも下に位置させることにより、偏流板1200で旋回成分が付与された排水が横枝管へ逆流することを防止できるとともに、偏流板1200の終点である下端を旋回羽根1600の上端1600Uよりも上に位置させることにより、偏流板1200により誘導された旋回流が旋回羽根1600へ引き継がれて、旋回羽根1600により旋回流に旋回成分がさらに増加されるという作用効果を発現する。
【0037】
この場合において、上述した第三逆流防止リブ1330は、偏流板1200の終点側(下端側)に位置することになり、偏流板1200からの跳ね返り排水が横枝管へ逆流することを(横枝管間における逆流を防止することに替えて/加えて)防止する。また、上述した第四逆流防止リブ1340は、偏流板1200の始点側(上端側)に、位置することになり、偏流板1200からの跳ね返り排水が横枝管へ逆流することを(横枝管間における逆流を防止することに替えて/加えて)防止する。
【0038】
ここで、この終点側逆流防止リブ(第三逆流防止リブ1330)の下端の高さ位置は、横枝管接続部1120の管底よりも下であって(横枝管接続部1120の管底よりも下ということには、横枝管の内径よりも下である場合を排除する意味が含まれるものではない)、かつ、偏流板1200の下端よりも上であることが好ましい。このように終点側逆流防止リブ(第三逆流防止リブ1330)の下端の高さ位置が横枝管接続部1120の管底よりも下であることにより偏流板1200から横枝管への逆流を防止することができて、終点側逆流防止リブ(第三逆流防止リブ1330)の下端の高さ位置が偏流板の下端よりも上であることにより空間を形成することができるために、旋回流を形成しやすくなる点で好ましい。
【0039】
さらに、この始点側逆流防止リブ(第四逆流防止リブ1340)の下端の高さ位置は、偏流板1200の上端(始点)に略一致する。このように偏流板1200の上端(始点)の高さ位置に略一致する位置まで始点側逆流防止リブ(第四逆流防止リブ1340)の下
端が伸びているために、偏流板1200から横枝管への逆流を防止することができるとともに、旋回流を形成しやすくなる点で好ましい。
【0040】
このように、超高層用上部管1140においては、軸芯に平行な形状を備えた逆流防止リブは、横枝管から超高層用排水集合管1040に流入した排水が隣の横枝管に逆流することを防止するための第一逆流防止リブ1310および第二逆流防止リブ1320と、偏流板1200からの跳ね返り排水が横枝管へ逆流することを防止するための終点側逆流防止リブ(第三逆流防止リブ1330)および始点側逆流防止リブ(第四逆流防止リブ1340)との4つの逆流防止リブを備え、この超高層用上部管1140の下方に標準下部管1500が接続されて本実施の形態に係る超高層用排水集合管1040が構成されている。上述したように、第一逆流防止リブ1310および第二逆流防止リブ1320は超高層用排水集合管1040の超高層用上部管1140の内周(内壁)に設けられているが、少なくとも、終点側逆流防止リブ(第三逆流防止リブ1330)は、偏流板1200の横であって超高層用上部管1140の内周(内壁)から離隔した位置に設けられている。また、軸芯に平行な形状を備えているという点では4つの逆流防止リブの形状は類似するが、その他の形状は一致しない場合を含む。
【0041】
一方、標準排水集合管1000および最下階用排水集合管1060を構成する標準上部管1100においては、軸芯に平行な形状を備えた逆流防止リブは、横枝管から標準排水集合管1000または最下階用排水集合管1060に流入した排水が隣の横枝管に逆流することを防止するための第一逆流防止リブ1310、第二逆流防止リブ1320、第三逆流防止リブ1330、第四逆流防止リブ1340であって、限定されるものではないが、いずれの逆流防止リブも標準上部管1100の内周(内壁)に設けられている。
【0042】
上述したように、超高層用排水集合管1040の超高層用上部管1140は、横枝管接続部1120を備えない方向(ここでは9時の方向)において、排水の流れを変化させるために内周に突出した偏流板1200を備える。そして、
図6に示すように、超高層用排水集合管1040は、この偏流板1200が備えられた超高層用上部管1140の外周面に、偏流板1200を形成するための凹みを備える。
【0043】
ここで、限定されるものではないが、超高層用排水集合管1040において、超高層用上部管1140の縦管軸と標準下部管1500の縦管軸とは一致して超高層用排水集合管1040の軸芯を形成しており、凹みは、この軸芯に垂直な面を含むリブ1400を備えるようにすることができる。ここで、凹みは必須の構成であるが、このリブ1400は任意的な構成であって、リブ1400を備えることなく、超高層用上部管1140の外周面に偏流板1200を形成するための凹みを備えるだけであっても構わない。詳しくは後述するが、リブ1400には、複数(ここでは4個)の胴部同径リブ1410と、これらの胴部同径リブ1410とは出っ張り長さが異なる最下段の(1個の)ゴムリング位置決めリブ1412とを含む。胴部同径リブ1410における外径は、胴部の外径(=胴部径)と略同じであって、胴部とは超高層用上部管1140における横枝管接続部1120の直下の直管部分であって、胴部径とはここの外径を意味する。
【0044】
ここで、この凹み(リブの有無を問わない)は、突起物(偏流板1200)に排水が当たって発生する振動または騒音を低減する機能を備えるようにすることができる。さらに、突起物(偏流板1200)に排水が当たって発生する振動または騒音を低減する作用効果は、凹み(リブの有無を問わない)に滞留する空気(リブ1400を備える場合にはリブ1400の間に形成される空間1410Sに滞留する空気)により発現させることができる。
【0045】
ここで、突起物(偏流板1200)に排水が当たって発生する振動または騒音を低減する作用効果は、凹み(リブの有無を問わない)を含めて超高層用排水集合管1040を覆う部材、または、凹み(リブの有無を問わない)に嵌め込んだ部材により、により発現させることができる。また、限定されるものではないが、リブがない凹みに滞留する空気を封止するカバー材(制振性能および/または遮音性能を備えるカバー材であるとさらに好ましい)、または、リブ1400の間に形成される空間1410Sに滞留する空気を封止するカバー材(制振性能および/または遮音性能を備えるカバー材であるとさらに好まし
い)、を設けることにより、偏流板1200に排水が当たって発生する振動または騒音を低減する作用効果を発現させることができる。また、リブがない凹みに制振性能および/または遮音性能を備えた素材、または、リブ1400の間に形成される空間1410Sに制振性能および/または遮音性能を備えた素材、を設けることにより、偏流板1200に排水が当たって発生する振動または騒音を低減する作用効果を発現させることができる。
【0046】
また、限定されるものではないが、凹みがリブ1400を有する場合において、リブ1400は、横枝管接続部1120の上面から下面までの間に複数(ここでは5個)設けられ、最下段リブ(ゴムリング位置決めリブ1412)の外径は、最下段リブ以外の通常リブ(胴部同径リブ1410)の外径と異なるようにすることができる。この場合において、通常リブ(胴部同径リブ1410)の外径は、超高層用上部管1140における横枝管接続部1120よりも下側の胴部の外径(=胴部径)と略同じであることが好ましい。このように、複数の(ここでは4個の)通常リブ(胴部同径リブ1410)の外径は、超高層用上部管1140における横枝管接続部1120よりも下側の胴部の外径(=胴部径)と略同じすることにより、3方向(9時の方向以外の3方向)に横枝管接続部1120の外径と略同じか少し大きな直径を最大直径として有するΩ字形状等の穴を備えた上部管カバーを被せる際に、通常リブ(胴部同径リブ1410)が存在することにより、9時方向も他の3方向と同じ外径であるために、上部管カバーを超高層用上部管1140に巻着させる作業性が向上するので好ましい。
【0047】
<下部管>
本実施の形態に係る排水集合管を構成する下部管のうちの標準下部管1500が上述した旋回羽根1600を備えることに対して、最下階用下部管1560は旋回羽根1600を備えず縮径部1660を備える。縮径部1660は、継手接続部1570から直接または他の配管を介して接続される脚部継手への排水の流入速度を減速させる。この縮径部1660の内径は、最下階用排水集合管1060に接続される立て管の内径よりも小さい。
【0048】
<外層部材>
ここで、これらの排水集合管に巻き付けられる外層部材(外層カバー)について
図2、
図7および
図10を参照して説明する。なお、標準排水集合管1000には
図2に示す外層部材1700が、超高層用排水集合管1040には
図7に示す外層部材1701が、最下階用排水集合管1060には
図10に示す外層部材1703が、それぞれ設けられる。形状は異なるが同じ機能を備える部材にはこれらの3図において同じ符号を付して、これら同じ符号を付した部材については繰り返し説明しない。
【0049】
これらの外層部材1700、外層部材1701および外層部材1703は、本願出願人により出願された、たとえば特開2021-167557号公報に開示された外層部材700に対応する(ただし熱膨張性耐火材の形態および位置等が異なる)。この排水集合管は、燃焼した場合に、その熱によって熱膨張性耐火材1712が径方向の内側に膨張し、樹脂製の排水集合管がその中空部を押しつぶして排水集合管を閉塞するようになっている。これによって、これらの排水集合管を用いた排水配管構造は、火災時に火炎、煙等が流通しないように管路を遮断できるようになっている。
【0050】
図2、
図7および
図10に示すように、これらの外層部材は、3層構造を備え、排水集合管の外表面から、制振材1714(または熱膨張性耐火材1712)、耐火性無機繊維によって形成された振動絶縁体1720、遮音カバー1730の順に、排水集合管の上部管および/または下部管の外周面に設けられている。この3層構造における最内層1710は、熱膨張性耐火材1712および制振材1714のいずれかである。
【0051】
最内層に位置する熱膨張性耐火材1712は、たとえば、ブチルゴムを主成分とする樹脂分、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、含水無機物及び金属炭酸塩を含有する樹脂組成物、または、エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛および無機充填剤を含有する樹脂組成物等から形成される。最内層に位置する制振材1714は、ブチル系(ブチルゴム等)またはアスファルト系(ゴムアスファルト、改質アスファルト等)の材料を含んで形成される。最外層に位置する遮音カバー1730は、ゴム系(EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等)、エラストマー系または樹脂系の材料を含ん
で形成され(ゴム等の軟質材料のみならず硬質の塩ビ製でも構わない)、中間層に位置する振動絶縁体1720は、耐火性を備えた無機繊維の集合体(多孔質材料)からなる。
【0052】
ここで、無機繊維としては、人造鉱物繊維が挙げられ、たとえば、グラスウール、ロックウールまたはセラミックファイバー等であって、これらは振動絶縁性能が高い点に加えて吸音性能が高い点でも好ましい。排水集合管の上部管または下部管を流下する排水による振動(たとえば偏流板1200、旋回羽根1600に当たって発生する騒音、振動)を、制振材1714で抑制した上で、さらに、このロックウール等で形成された振動絶縁体1720により振動を遮断して(および/または振動に伴う騒音を吸収して)、さらに、EPDM製等のゴムカバーで形成された遮音カバー1730により振動に伴う騒音の伝搬を遮断する。ここで、ロックウールとは天然岩石または高炉スラグなど鉄鋼スラグなどを主原料として製造されたものの総称であって、グラスウールとはガラス繊維で構成された綿状のものの総称であって、ともに耐火性および遮炎性を有する。
【0053】
なお、以下においては、制振材1714としてブチルゴムを採用し、振動絶縁体1720としてロックウールを採用し、遮音カバー1730としてEPDM製のゴムカバーを採用した場合について説明する場合があるが、これらの材料は一例に過ぎない。また、外層部材1700は(最内層:熱膨張性耐火材1712または制振材1714、中間層:振動絶縁体1720、最外層:遮音カバー1730)は、排水集合管の外径(より詳しくは上部管の横枝管接続部1120の下方の直管部分である胴部の外径)に対応したリング状で弾性を備えた(EPDM製等の)リング弾性材(ゴムリング1900)を介して、排水集合管の外表面に当接することが、止水性を担保できる点で好ましい。止水性を担保するという点からは、リング弾性材(ゴムリング1900)に代えて、パッキン構造を採用することもできる。さらに、ゴムリング1900を介して、排水集合管の外表面に外層部材が接着接合される場合において、接着接合性能が確保できる時間が経過するまでは、たとえば、熱収縮チューブ1910を用いて、排水集合管からゴムリング1900および外層部材の位置がずれないようにすることも好ましい。なお、組み立て作業効率向上のために、外層部材の遮音カバー1730とゴムリング1900とを(同素材ではあっても)別部材としている。
【0054】
<熱膨張性耐火材>
上述したような3層構造を備える外層部材の最内層1710には、熱膨張性耐火材1712が設けられている。本発明の特徴は、この熱膨張性耐火材の位置である。これについて以下に詳しく説明する。熱膨張性耐火材1712の態様は、耐火パテ、耐火シート、耐火テープ等のいずれにも限定されるものではない。
【0055】
この熱膨張性耐火材1712の高さ位置は、
図1および
図2に示すように、標準排水集合管1000を構成する標準下部管1500の上端(下部管受口1502の上端)より上で、かつ、外層部材1700の上端(遮音カバー1730の上端)よりも下であることが好ましく、
図6および
図7に示すように、超高層用排水集合管1040を構成する標準下部管1500の上端(下部管受口1502の上端)より上で、かつ、外層部材1701の上端(遮音カバー1730の上端)よりも下であることが好ましく、
図9および
図10に示すように、最下階用排水集合管1060を構成する最下階用下部管1560の上端(下部管受口1502の上端)より上で、かつ、外層部材1703の上端(遮音カバー1730の上端)よりも下であることが好ましい。そして、この熱膨張性耐火材1712の内周には、上部管のみまたは延長管のみが存在する(たとえば排水集合管の内周面に突起する内部突起を備えないし受口等で二重構造になっていない)。
【0056】
この熱膨張性耐火材1712の内周には、内部突起(たとえば、偏流板や旋回羽根)を備えない直管部分のみが存在することが好ましい。ただし、本発明の特徴的な構成の容易な理解のために、後述する
図8においては熱膨張性耐火材1712の内周に偏流板1200が存在する図を用いている。
【0057】
外層部材の上端には、外層部材を上部管の外周に密着させるとともに止水性を備える止水部材(上述したゴムリング1900)が設けられて、外層部材が排水集合管を覆うことが好ましい。
【0058】
熱膨張性耐火材1712の上端は、
図12~
図14に示すように床スラブSの上面よりも下方に位置することが好ましい。
【0059】
熱膨張性耐火材1712の下端は、
図11~
図14に示すように床スラブSの下面よりも上方に位置する、または、熱膨張性耐火材1712の下端が床スラブSの下面よりも上方に位置しない場合には外層部材が耐火性能(外層部材の中間層を形成する耐火性無機繊維によって形成された振動絶縁体1720)を備える。
【0060】
このような位置に熱膨張性耐火材1712を備えることにより、(2)旋回羽根等の内周面への突起物の上下位置により耐火材の上下位置が決定されることなく、(3)旋回羽根等の内周面への突起物の存在による閉塞性能の低下を抑制して、(4)上部管と下部管との重なり位置(たとえば下部管が受口構造を備え上部管の下端が下部管の上端に接続される)を備えていても、最適な延焼防止効果を発現し得る。
【0061】
上述した位置に熱膨張性耐火材1712を備えることにより、他の位置に設ける場合よりも少ない量の耐火材で最適な延焼防止効果を発現し得る。より具体的には、熱膨張性耐火材1712の高さ方向の寸法は、8mm以上50mm以下であったり、熱膨張性耐火材1712の体積は、30mm3以上200mm3以下であったりする。
【0062】
さらに、高さ方向についての具体的な寸法等について説明する。下部管の上端(下部管受口1502の上端)と横枝管の下面との(枝下長さを示す)距離L(1)は、30mm以上500mm以下であることが好ましい。なお、下部管の上端(下部管受口1502の上端と横枝管接続部1120の下面と絶対値は(距離L(1)に対して)微差であるために、本発明におけるL(1)は下部管の上端(下部管受口1502の上端)と横枝管接続部1120の下面との距離Lであっても構わない。このようにL(1)を定義すると、横枝管の種類に関係なく、上部管に横枝管を接続するための1以上の横枝管接続部を備える排水集合管(横枝管を接続していないという意味での)単体でのL(1)を限定することができる点で好ましい。また、熱膨張性耐火材1712の下端と標準下部管1500が備える旋回羽根1600の上端との距離L(2)は、5mm以上200mm以下であることが好ましく、熱膨張性耐火材1712の下端と最下階用下部管1560が備える縮径部1660の開始位置との距離L(2)は、5mm以上200mm以下であることが好ましい。
【0063】
なお、下部管の上端(下部管受口1502の上端)と横枝管の下面との(枝下長さを示す)距離L(1)は、延長管を備えない場合において30mm以上150mm以下であって、延長管を備える場合において150mm以上500mm以下であることが好ましいとも言える。
【0064】
より具体的には、延長管を備えない場合、
・
図1に示すように標準排水集合管1000においてはL(1)=45mm(L(1)の下限値30mmに最も近い値)、L(2)=36mm、
・
図3に示すように標準排水集合管1000の標準上部管1100を枝下の長い枝下延長上部管1101に置き換えた枝下延長排水集合管1001においてはL(1)=135mm(延長管を備えない場合のL(1)の上限値150mmに最も近い値)、L(2)=36mm、
・
図6に示すように超高層用排水集合管1040においてはL(1)=135mm、L(2)=36mm、
・
図9に示すように最下階用排水集合管1060においてはL(1)=45mm、L(2)=36mm、
である。
【0065】
なお、
図8には、
図6(B)において熱膨張性耐火材1712をゴムリング1900の直下に配置した超高層用排水集合管1040の断面図を示している。この
図8に示す場合においてL(2)=126mmであるが、この場合には偏流板1200と熱膨張性耐火材1712とが高さ方向で重なりを有するために、(内周面への突起物の一例である)偏流板1200の存在により閉塞性能が低下するために好ましくないので、偏流板1200と熱膨張性耐火材1712とが高さ方向で重なりを避けることが好ましい。ここでは、本発
明の特徴的な構成の容易な理解のために、超高層用排水集合管1040における最大のL(2)を説明することを目的として
図8を示したに過ぎない。
【0066】
次に、延長管を備える場合には、
・
図4(A)に示すように延長管1102および延長管1103を用いた胴伸長排水集合管1002においてはL(1)=355mm、L(2)=36mm、
・
図4(B)に示すように標準排水集合管1000の標準上部管1100と標準下部管1500との間に枝付き延長管1104を用いた2段式排水集合管1003においてはL(1)=220mm(延長管を備える場合のL(1)の下限値150mmに最も近い値)、L(2)=36mm、
・
図4(C)に示すように
図4(A)における延長管1103を枝付き延長管1104に置き換えた2段式胴伸長排水集合管1004においてはL(1)=480mm(L(1)の上限値500mmに最も近い値)、L(2)=36mm、
である。
・さらに、
図14に示すように、(
図9(B)に示す)最下階用排水集合管1060に延長管1103を用いた胴伸長最下階用排水集合管1061においては、L(2)=136mm(L(2)の上限値200mmに最も近い値)である。
【0067】
さらに、
図5に示すように、熱膨張性耐火材1712に加えて(下部管と上部管または延長管との嵌合部分における下部管の外周である)下部管受口1502の外周に熱膨張性耐火テープ1713を備えることも好ましい。このように追加の耐火材を備える場合(
図5に示す標準排水集合管1000の場合)には、L(2)=5mm(L(2)の下限値5mm)である。この熱膨張性耐火テープ1713は、延長管の有無を問わず超高層用排水集合管1040および最下階用排水集合管1060にも同様に設けることができる。
【0068】
図1に示す標準排水集合管1000におけるL(1)=45mmおよび
図9に示す最下階用排水集合管1060におけるL(1)=45mmに基づいて、本発明においてはL(1)の下限値を30mmと設定し、
図4(C)に示す2段式胴伸長排水集合管1004におけるL(1)=480mmに基づいて、本発明においてはL(1)の上限値を500mmと設定している。なお、
図4(C)における下部管である標準下部管1500を最下階用下部管1560へ変更して最下階用排水集合管1060においてL(1)=480mmとすることができるために、本発明においては最下階用排水集合管1060におけるL(1)の上限値を500mmと設定している。このように、本発明においては、標準排水集合管1000および最下階用排水集合管1060のいずれであっても、下部管の上端(下部管受口1502の上端)と横枝管の下面との(枝下長さを示す)L(1)は、30mm以上500mm以下であることが好ましい。さらに、超高層用排水集合管1040の場合には
図6に示すようにL(1)=135mmであるため、L(1)についての好ましい範囲(30mm≦L(1)≦500mm)に含まれるものである。
【0069】
図5に示す熱膨張性耐火材1712に加えて熱膨張性耐火テープ1713を備える標準排水集合管1000(上述の通り熱膨張性耐火材1712に加えて熱膨張性耐火テープ1713を備える超高層用排水集合管1040であっても最下階用排水集合管1060であっても構わない)におけるL(2)=5mmに基づいて、本発明においてはL(2)の下限値を5mmと設定し、
図14に示す胴伸長最下階用排水集合管1061におけるL(2)=136mmに基づいて(延長管1103をさらに延長する場合を考慮して)、本発明においてはL(2)の上限値を200mmと設定している。なお、
図14における下部管である最下階用下部管1560を標準下部管1500へ変更して標準排水集合管1000としたり、
図14における上部管である標準上部管1100を超高層用上部管1140へ変更するとともに
図14における最下階用下部管1560を標準下部管1500へ変更して超高層用排水集合管1040としたりすることによりL(2)=136mmとすることができるために、本発明においては標準排水集合管1000および超高層用排水集合管1040におけるL(2)の上限値を200mmと設定している。
【0070】
ここで、下部管の上端(下部管受口1502の上端)と床スラブSの上面との距離L(3)は、5mm以上400mm以下であることが好ましい。
【0071】
なお、下部管の上端(下部管受口1502の上端)と床スラブSの上面との距離L(3)は、延長管を備えない場合において5mm以上50mm以下で、延長管を備える場合において50mm以上400mm以下であることが好ましいとも言える。
【0072】
より具体的には、
・最薄の床スラブS(スラブ厚t(S)=75mm)に標準排水集合管1000を転がし配管した場合の施工図である
図11、
・最薄の床スラブS(スラブ厚t(S)=75mm)に標準排水集合管1000を浮かせ配管した場合の施工図である
図12(熱膨張性耐火材1712の上端と床スラブSの上面とが面一かつ熱膨張性耐火材1712の高さ方向の寸法が最小8mm)、
・最厚の床スラブS(スラブ厚t(S)=350mm)に胴伸長排水集合管1002を転がし配管した場合の施工図である
図13(熱膨張性耐火材1712の下端と床スラブSの下面とが面一)、
・最薄の床スラブS(スラブ厚t(S)=75mm)に
図9(B)に示す最下階用排水集合管1060に延長管1103を用いた胴伸長最下階用排水集合管1061を転がし配管した場合の施工図である
図14(下部管との嵌合部が最薄の床スラブS(t(s)=75mm)の下面よりも下方に位置しておりL(2)=136mm)
を参照して(施工図においてはモルタルMにより貫通孔と排水集合管との間隙を埋設している)、
・
図11に示すようにt(S)=75mm、L(3)=43.5mm(延長管を備えない場合のL(3)の上限値50mmに最も近い値)であって、
・
図12に示すようにt(S)=75mm、L(3)=8mm(L(3)の下限値5mmに最も近い値)であって、
・
図13に示すようにt(S)=350mm、L(3)=350mm(L(3)の上限値400mmに最も近い値)であって、
・
図14に示すようにt(S)=75mm、L(3)=145mmである。
【0073】
図12におけるL(3)=8mmに基づいて、本発明においてはL(3)の下限値を5mmと設定し、
図13におけるL(3)=350mmに基づいて、本発明においてはL(3)の上限値を400mmと設定している。なお、
図12および
図13に示した標準排水集合管1000における標準上部管1100を超高層用上部管1140に変更することにより標準排水集合管1000を超高層用排水集合管1040としたり、
図12および
図13に示した標準排水集合管1000における標準下部管1500を最下階用下部管1560に変更することにより標準排水集合管1000を最下階用排水集合管1060としたりしてL(3)=8mmおよびL(3)=350mmとすることができるために、本発明においては超高層用排水集合管1040および最下階用排水集合管1060においても、L(3)の下限値を8mm、L(3)の上限値を400mmと設定している。
【0074】
このように下部管の上端(下部管受口1502の上端)と床スラブSの上面との距離L(3)が5mm以上400mm以下であると、(1)転がし配管で床スラブSが薄肉スラブ(t(S)=75mm)であっても、熱膨張性耐火材1712が床スラブSより下に出てしまうことがなく最適な延焼防止効果を発現し得る。なお、熱膨張性耐火材1712が床スラブSより下に出てしまっても、外層部材が耐火性能(外層部材の中間層を形成する耐火性無機繊維によって形成された振動絶縁体1720を備えるために、最適な延焼防止効果を発現し得ることになる。
【0075】
以上のようにして、本実施の形態に係る排水集合管によると、建築物の最下階の床スラブを貫通して設けられる樹脂製の排水集合管であって、(A)転がし配管で床スラブが薄肉スラブであっても、(B)上部管と下部管との重なり位置(たとえば下部管が受口構造を備え上部管の下端が下部管の上端に接続される)を備えていても、最適な延焼防止効果を発現し得る最下階の排水集合管を提供を提供することができる。
<第1の変形例>
以下において、上述した実施の形態に係る排水集合管に適用可能な第1の変形例について、
図15~
図17を参照して説明する。なお、この第1の変形例においても後述する第
2の変形例においても、上述した実施の形態と同じ構造については同じ符号を付している。それらについての説明は、上述した説明と重複するために、これら2つの変形例においては繰り返して説明しない。
【0076】
この第1の変形例は、上述した横枝管接続部1120に内嵌合されて取り付けられる(接続される)横枝管受口1122(横枝管接続部1120と横枝管受口1122との接続部において横枝管接続部1120が受け口(雌側:外側)で横枝管受口1122が挿し口(雄側:内側))に替えて、横枝管接続部1120に外嵌合されて取り付けられる(接続される)横枝管受口2122(横枝管接続部1120と横枝管受口2122との接続部において横枝管接続部1120が挿し口(雄側:内側)で横枝管受口2122が受け口(雌側:外側))を備える点が異なる。
【0077】
このような第1の変形例に係る排水集合管2000の一例を、
図15に示す。この排水集合管2000(標準上部管2100+標準下部管1500)の上面図を
図15(A)に、その側面図を
図15(B)に、その15C-15C断面図を
図15(C)に、その領域15Dの拡大図を
図15(D)にそれぞれ示す。上述した実施の形態における図に対して、上立管接続部1110に設けられた立管受口1112およびゴム輪1114を介して上立管Uが接続され、横枝管接続部1120に設けられた横枝管受口1122およびゴム輪1124を介して(3時方向の)横枝管S(2)および(6時方向の)横枝管S(3)が接続されている。そして、本変形例においては、(0時方向の)横枝管S(1)が、横枝管接続部1120に設けられた横枝管受口2122およびゴム輪2124を介して排水集合管2000に接続されている。
【0078】
図15に示すように、横枝管受口2122は(横枝管受口1122と異なり)、横枝管接続部1120に外嵌合される(横枝管接続部1120と横枝管受口2122との接続部において横枝管接続部1120が挿し口(雄側:内側)で横枝管受口2122が受け口(雌側:外側))。一例ではあるが、横枝管接続部1120に呼び径100の横枝管S(1)を接続する際に、横枝管受口2122が横枝管接続部1120に外嵌合により取り付けられる。上述したように、限定されるものではないが、ゴム輪2124を備えたゴム輪受口を使用することが好ましい。このようなゴム輪受口を使用することで、納まりを良くすることが可能となる。なお、この横枝管受口2122は、一体型の成形品となる。
【0079】
さらに限定されるものではないが、
図15に示す横枝管受口2122に接続される横枝管S(1)側の軸芯は、横枝管接続部1120の軸芯に対して、上方に偏芯させている。なお、横枝管受口2122において、横枝管接続部1120側の口径と、横枝管S(1)側の口径とが一致するものであっても異なるものであっても構わない。特徴的な構成であるのは、横枝管受口2122は(横枝管受口1122と異なり)、横枝管接続部1120に外嵌合される点である。なお、次の
図16を参照して説明するが、この
図15に示す排水集合管2000は、9時方向以外に3つの横枝管接続部1120を備え、それらのうちの0時方向の横枝管接続部1120のみに横枝管受口2122を外嵌合により取り付けているが、このような1方向のみに横枝管受口2122を適用するものに限定されるものではない。
【0080】
図16は、この第1の変形例における他の適用例を示す図(その1)である。
【0081】
図16(A)に上面図および
図16(B)に側面図をそれぞれ示す、排水集合管2001(標準上部管2101+標準下部管1500)のように、横枝管接続部1120を1口備える標準上部管2101においてその1つの横枝管接続部1120に横枝管受口2122を外嵌合により取り付けている。
【0082】
また、
図16(C)に上面図および
図16(D)に側面図をそれぞれ示す、排水集合管2002(標準上部管2102+標準下部管1500)のように、横枝管接続部1120を2口備える標準上部管2102においてその2つの横枝管接続部1120に横枝管受口2122を外嵌合により取り付けている。
【0083】
さらに、
図16(E)に上面図および
図16(F)に側面図をそれぞれ示す、排水集合管2003(標準上部管2103+標準下部管1500)のように、横枝管接続部1120を3口備える標準上部管2103においてその3つの横枝管接続部1120に横枝管受
口2122を外嵌合により取り付けている。この
図16(C)に示す排水集合管2003は、
図15に示した排水集合管2000において3時方向および6時方向の横枝管接続部1120にも横枝管受口2122を外嵌合により取り付けたものである。
【0084】
図17は、この第1の変形例における他の適用例を示す図(その2)である。
【0085】
図17(A)に上面図および
図17(B)に側面図をそれぞれ示す、超高層用排水集合管2040(超高層用上部管2140+標準下部管1500)のように、横枝管接続部1120を3口備える超高層用上部管2140においてそのなかの1つ(ここでは0時方向の)横枝管接続部1120に横枝管受口2122を外嵌合により取り付けている。
【0086】
また、
図17(C)に上面図および
図17(D)に側面図をそれぞれ示す、最下階用排水集合管2060(標準上部管2100+最下階用下部管1560)のように、横枝管接続部1120を3口備える標準上部管2100においてそのなかの1つ(ここでは0時方向の)横枝管接続部1120に横枝管受口2122を外嵌合により取り付けている。
【0087】
さらに、
図17(E)に上面図および
図17(F)に側面図をそれぞれ示す、2段枝排水集合管2080(標準上部管1100+2段下枝用胴部管2180+標準下部管1500)のように、標準上部管1100には横枝管接続部1120を3口備えており、その3つの横枝管接続部1120に横枝管受口2122を外嵌合により取り付けて、2段下枝用胴部管2180には横枝管接続部1120を3口備えており、その3つの横枝管接続部1120に横枝管受口1122を取り付けている。この
図17(E)に示す2段枝排水集合管2080において、上段側に横枝管受口1122を取り付けて、下段側に横枝管受口2122を外嵌合により取り付けても構わないし、上下2段で横枝管接続部1120を6口備えるが、その6つのいずれの横枝管接続部1120に横枝管受口2122を外嵌合により取り付けても構わない。なお、標準上部管1100と2段下枝用胴部管2180とは、1つの樹脂成形品であっても2つの樹脂成形品であってもそれ以外の数の樹脂成形品から構成されていても構わない。また、段数は2段に限定されるものでなくても構わない。
【0088】
以上のように、本変形例に係る横枝管接続部1120に外嵌合される横枝管受口2122は、標準排水集合管にも超高層用排水集合管にも最下階用排水集合管にも多段枝排水集合管にも適用することができる。
<第2の変形例>
以下において、上述した実施の形態に係る排水集合管に適用可能な第2の変形例について、
図18~
図21を参照して説明する。
【0089】
上述した実施の形態に係る排水集合管1000を構成する上部管1100には、排水の逆流防止する任意的な構成として、上階からの排水が横枝管へ逆流することを防止する庇1240を設けていた。この第2の本変形例においては、この庇1240が設けられている高さ方向の位置付近に小突起を備える点が異なる。上立管Uから排水集合管1000の内部に勢い良く排水が流れ込む場合、排水流が筒型の水膜を形成したまま排水集合管1000の内部を流れ落ちる場合がある。この場合、筒型の水膜となった排水流が横枝管との接続部を遮るように通過するので、横枝管から排水集合管1000に流れ込む排水の障害となる問題点があったり、横枝管への排水の逆流が生じる問題点があったりすることを回避するために、この小突起は、このような水膜を切断するものである。
【0090】
このような小突起を備えた第2の変形例に係る排水集合管3000の一例を、
図18に示す。この排水集合管3000(標準上部管3100+標準下部管1500)の上面図を
図18(A)に、その18B-18B断面図を
図18(B)に、その18C-18C断面図を
図18(C)に、その領域18Dの拡大図を
図18(D)に、その領域18Eの拡大図を
図18(E)に、その領域18Fの拡大図を
図18(F)に、それぞれ示す。
【0091】
図18に示すように、小突起3010は、庇1240が設けられている高さ方向の位置付近に1箇所(ここでは9時方向)設けられている。この小突起3010は、限定されるものではないが、曲面で形成され、上方向に尖った形状を備える。なお、この小突起の形状はこの
図18に示す形状に限定されるものではなく、たとえば、
図19に示す形状であっても構わない。ここで、
図19(A)、
図19(C)、
図19(E)および
図19(G)は
図18(D)に対応する図であって、
図19(B)、
図19(D)、
図19(F)お
よび
図19(H)は
図18(E)に対応する図である。これらの
図18および
図19に示すように、小突起3010、小突起3020、小突起3022のように曲面を備えて構成されていても構わないし、小突起3030および小突起3032のように曲面を備えず平面のみで(角張った形状、尖った形状等で)構成されていても構わない。このように小突起の形状は、水膜切断機能さえ備えれば、限定されるものではない。なお、上述した実施の形態において説明したように、庇1240は上階からの排水が横枝管へ逆流することを防止する機能を備え、たとえば、小突起に当たって跳ねた排水が横枝管へ逆流することを防止することができるように設けることも可能である。
【0092】
次に、
図20を参照して、小突起の位置および数について説明する。
【0093】
図20(A)に上面図および
図20(B)に20B-20B断面図をそれぞれ示す、排水集合管3001(標準上部管3101+標準下部管1500)のように、小突起3010は、横枝管接続部1120よりも上流側の位置(ここでは庇1240が設けられている高さ方向の位置付近)に1箇所(ここでは旋回羽根1600が位置する0時方向)設けられている。また、
図20(C)に上面図および
図20(D)に20D-20D断面図をそれぞれ示す、排水集合管3002(標準上部管3102+標準下部管1500)のように、小突起3010は、庇1240が設けられている高さ方向の位置付近に3箇所(ここでは庇1240が位置する3時方向以外)設けられている。このように小突起の位置および個数は(庇1240と重なる等の設置できない場合を除けば)、限定されるものではない。なお、
図20における小突起は
図18における小突起3010と同じ形状であって、
図20における領域18D、領域18Eおよび領域18Fは、
図18(D)、
図18(E)および
図18(F)に対応しており、それらの領域の拡大図を示す(ただし、
図20(C)における領域18Dの方向と
図18(D)の方向とが一致しない場合がある)。
【0094】
また、
図21(A)に上面図、
図21(B)に21B-21B断面図および
図21(C)に21C-21C断面図をそれぞれ示す、最下階用排水集合管3060(標準上部管3100+最下階用下部管1560)のように、小突起3010を設けることもできる。なお、
図21における小突起は
図18における小突起3010と同じ形状であって、
図21における領域18D、領域18Eおよび領域18Fは、
図18(D)、
図18(E)および
図18(F)に対応しており、それらの領域の拡大図を示す。
【0095】
以上のように、本変形例に係る排水集合管の上部管に設けられる水膜切断用の小突起は、水膜切断機能さえ備えれば、その形状もその個数も限定されるものではなく、さらに、標準排水集合管にも最下階用排水集合管にも適用することができる。
【0096】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、建築物の最下階の床スラブを貫通して設けられる樹脂製の排水集合管に好ましく、(A)転がし配管で床スラブが薄肉スラブであっても、(B)上部管と下部管との重なり位置(たとえば下部管が受口構造を備え上部管の下端が下部管の上端に接続される)を備えていても、最適な延焼防止効果を発現し得ることができる点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0098】
1000 排水集合管
1100 上部管
1200 偏流板(第一突起物)
1310 第一逆流防止リブ
1320 第二逆流防止リブ
1330 第三逆流防止リブ(終点側逆流防止リブ)
1340 第四逆流防止リブ(始点側逆流防止リブ)
1410 胴部同径リブ
1412 ゴムリング位置決めリブ
1500 下部管
1600 旋回羽根(第二突起物)
1700 外層材