(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006700
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】胆汁酸ミセル吸着剤、胆汁酸吸着剤、胆汁酸ミセル開裂剤及び脂肪吸収抑制剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20240110BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240110BHJP
A23L 33/21 20160101ALI20240110BHJP
【FI】
A61K36/185
A61P3/04
A23L33/21
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107832
(22)【出願日】2022-07-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】321006774
【氏名又は名称】DM三井製糖株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500101243
【氏名又は名称】株式会社ファーマフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100211100
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕晃
(72)【発明者】
【氏名】井出 将博
(72)【発明者】
【氏名】森田 沙代
(72)【発明者】
【氏名】八田 知春
(72)【発明者】
【氏名】古田 到真
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD20
4B018MD47
4B018MD56
4B018ME01
4B018ME14
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA16
4C088BA19
4C088BA37
4C088MA08
4C088NA14
4C088ZA70
(57)【要約】
【課題】新規な胆汁酸ミセル吸着剤の提供。
【解決手段】ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸ミセル吸着剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸ミセル吸着剤。
【請求項2】
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸吸着剤。
【請求項3】
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸ミセル開裂剤。
【請求項4】
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、脂肪吸収抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胆汁酸ミセル吸着剤、胆汁酸吸着剤、胆汁酸ミセル開裂剤及び脂肪吸収抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活及び生活習慣の変化等に伴い、肥満人口は世界中で増加している。肥満は糖尿病、高血圧、癌等様々な健康リスクを増加させるリスク因子であり、世界レベルでは、年間400万人が肥満に起因する疾患で死亡しているといわれている。
【0003】
肥満を抑制する方法の一つに、小腸での脂質吸収を抑制する方法がある。脂質吸収を抑制する素材は医薬品だけでなく副作用の少ない食品素材でも数多く報告がある。特許文献1には、リノール酸及びオレイン酸からなる群より選択される少なくとも一種を有効成分とする、脂肪吸収抑制剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6928744号
【特許文献2】特許第7008324号
【特許文献3】特開2015-199700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脂質吸収は、例えば、胆汁酸の吸着、又は脂肪酸等で構成された胆汁酸ミセルへの作用等を通して達成され得る(特許文献2及び特許文献3)。
【0006】
本発明の一側面は、新規な胆汁酸ミセル吸着剤の提供を目的とする。本発明の一側面は、新規な胆汁酸吸着剤の提供を目的とする。本発明の一側面は、新規な胆汁酸ミセル開裂剤の提供を目的とする。本発明の一側面は、新規な脂肪吸収抑制剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の各発明を提供する。
[1]
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸ミセル吸着剤。
[2]
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸吸着剤。
[3]
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸ミセル開裂剤。
[4]
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、脂肪吸収抑制剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、新規な胆汁酸ミセル吸着剤の提供が可能になる。本発明の一側面によれば、新規な胆汁酸吸着剤の提供が可能になる。本発明の一側面によれば、新規な胆汁酸ミセル開裂剤の提供が可能になる。本発明の一側面によれば、新規な脂肪吸収抑制剤の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、血中中性脂肪上昇の抑制効果の確認試験の結果を示すグラフである。
【
図2】
図2(A)及び(B)は、胆汁酸ミセル吸着率の測定結果を示すグラフである。
【
図3】
図3は、胆汁酸ミセル開裂試験の結果を示す写真である。
【
図4】
図4は、胆汁酸ミセル開裂試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本実施形態に係る胆汁酸ミセル吸着剤は、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する。胆汁酸ミセルは、胆汁酸の乳化作用によって形成されるミセルであり、例えば、胆汁酸と、当該胆汁酸に取り囲まれた脂質とで構成される。ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維とゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とはいずれもルミナコイドに該当する成分である。ルミナコイドは、「ヒトの小腸内で消化・吸収されにくく、消化管を介して健康の維持に役立つ生理作用を発現する食物成分」を意味する(一般社団法人日本食物繊維学会)。
【0012】
胆汁酸は、肝臓で生合成される一次胆汁酸、又は、腸内細菌の作用で一次胆汁酸より合成される二次胆汁酸であってよい。一次胆汁酸としては、例えば、ケノデオキシコール酸、グルコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、コール酸、グリココール酸、タウロコール酸等が挙げられる。二次胆汁酸としては、例えば、デオキシコール酸、グリコデオキシコール酸、リトコール酸等が挙げられる。
【0013】
胆汁酸は、コール酸、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、グリコリトコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、及びタウロリトコール酸からなる群より選択される少なくとも1種であってよい。
【0014】
脂質は、単純脂質、複合脂質及び誘導脂質からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよい。単純脂質は、脂肪酸とアルコールとから生成するエステルである。単純脂質としては、グリセリンと脂肪酸とのエステルであるグリセリド(トリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリド等)、高級アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。複合脂質は、脂肪酸とアルコールのほかにリン酸、糖、硫酸、アミン等の極性基をもつ化合物である。誘導脂質は、単純脂質及び複合脂質の加水分解によって生成する化合物のうち脂溶性のものをいう。脂質の具体例としては、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、脂肪酸、コレステロール、糖脂質、アセチルコリン、リン脂質、脂溶性ビタミン等が挙げられる。モノグリセリドとしては、例えば、モノオレイン、モノリノール、モノパルミチン、モノリノレン、モノステアリン等が挙げられる。脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、α-リノレン酸、中鎖脂肪酸、トリアシルグリセロール等が挙げられる。
【0015】
胆汁酸ミセルは、リパーゼ分解前の脂質と、胆汁酸とで構成される胆汁酸ミセル、又は、リパーゼ分解後の脂質と、胆汁酸とで構成された胆汁酸ミセルであってよい。リパーゼ分解前の脂質は、トリグリセリドであってよい。リパーゼ分解後の脂質は、脂肪酸とモノグリセリドであってよい。胆汁酸ミセルは、脂肪酸、モノグリセリド、及び胆汁酸で構成された胆汁酸ミセルであることが好ましい。
【0016】
胆汁酸ミセル吸着能は、胆汁酸ミセル吸着試験によって測定される各種脂質の吸着率及び各種胆汁酸の吸着率によって評価することができる。例えば、胆汁酸ミセル吸着試験における胆汁酸としては、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸及びグリコデオキシコール酸が用いられる。胆汁酸ミセル吸着試験における脂質としては、オレイン酸及びモノオレインが用いられる。測定方法の詳細は後述する実施例に記載のとおりである。本実施形態に係る胆汁酸ミセル吸着剤において、オレイン酸の吸着率は、例えば、1%以上、10%以上、又は20%以上であってよく、100%以下、90%以下、又は80%以下であってよい。モノオレインの吸着率は、1%以上、5%以上、又は10%以上であってよく、100%以下、90%以下、又は80%以下であってよい。グリココール酸の吸着率は、5%以上、又は10%以上であってよく、100%以下、又は90%以下であってよい。グリコケノデオキシコール酸の吸着率は、1%以上、又は5%以上であってよく、100%以下、又は90%以下であってよい。グリコデオキシコール酸の吸着率は、5%以上、又は10%以上であってよく、100%以下、又は90%以下であってよい。
【0017】
「ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維」は、ゴマ科ゴマ属植物であるゴマ(Sesamum indicum)の種子に含まれる不溶性難消化性食物繊維である。本明細書において「不溶」は、水に対して不溶であることを意味する。本明細書において「難消化性」は、ヒトの消化酵素で分解されないことを意味する。消化酵素としては、例えば、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、ペプシン及びパンクレアチンが挙げられる。
【0018】
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維は、ゴマ由来不溶性難消化性多糖類及びリグニンからなる群より選択される少なくとも一種であってよい。ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維は、例えば、グルカン、アラビナン、キシラン、マンナン、ガラクタン、リグニン、セルロース、ヘミセルロース及びこれらから選択される2種以上の混合物を含むものであってよい。
【0019】
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維の含有量は、本発明による効果がより一層効果的に発揮されることから、胆汁酸ミセル吸着剤の全質量を基準として、1%以上、10%以上、20%以上、30%以上、又は40%以上であってよく、90%以下、80%以下、70%以下、又は60%以下であってよい。具体的には後述する実施例に記載の方法によって、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維の含有量を測定することができる。
【0020】
「ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質」は、ゴマ科ゴマ属植物であるゴマ(Sesamum indicum)の種子に含まれる不溶性難消化性蛋白質である。ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質は、レジスタントプロテインともいう。
【0021】
ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質の含有量は、本発明による効果がより一層効果的に発揮されることから、胆汁酸ミセル吸着剤の全質量を基準として、1%以上、5%以上、10%以上、又は20%以上であってよく、80%以下、70%以下、60%以下、又は50%以下であってよい。
【0022】
ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質の含有量は、ケルダール法又は燃焼法等を用いて測定することができる。具体的なゴマ由来不溶性難消化性蛋白質の含有量の測定方法は、後述する実施例に記載のとおりである。
【0023】
ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維の質量X1に対する、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質の質量X2の比(X2/X1)は、本発明による効果がより一層効果的に発揮されることから、0.01以上、0.1以上、又は0.3以上であってよく、10以下、5以下、又は1以下であってよい。
【0024】
本実施形態に係る胆汁酸ミセル吸着剤、又は、上記有効成分は、例えば、ゴマ原料を酵素で処理して、ゴマ原料の酵素処理物を得る工程(酵素処理工程)、及び、酵素処理物を洗浄して、不溶性画分を得る工程(洗浄工程)を含む方法によって製造することができる。ゴマ原料は脱脂されていてよい。すなわち、酵素処理対象のゴマ原料は、脱脂されたゴマ原料である脱脂ゴマであってよい。
【0025】
ゴマ原料は、ゴマ種子そのものであってもよく、ゴマ種子の処理物であってよい。ゴマとしては、例えば、黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマ等が挙げられる。ゴマ種子の処理としては、焙煎、微粉砕、脱脂及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。ゴマ種子を焙煎する方法は、公知の方法に従って行われてよい。ゴマ種子を微粉砕する方法としては、例えば、ボールミル、チューブミル、ジェットミル、ハンマーミル、粉砕ミル、ピンミル、空気掃引ミル、ディスクミル、振動ミル、石臼、遊星運動ミル等の粉砕機を用いて粉砕する方法等が挙げられる。ゴマ原料は、本発明による効果が更に高まることから、微粉砕処理及び脱脂処理が施されたゴマ原料である脱脂ゴマの微粉砕物であってよい。脱脂ゴマの微粉砕物の市販品としては、例えば、リピスマート(登録商標)(ファーマフーズ社製)が挙げられる。
【0026】
ゴマ原料を脱脂する方法は、公知の方法に従って行われてよい。ゴマ原料を脱脂する方法としては、例えば、圧搾法、溶媒抽出法等が挙げられる。ゴマ原料は、例えば、炭化水素溶媒で脱脂されていてよい。炭化水素溶媒としては、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
【0027】
酵素処理工程では、ゴマ原料を酵素で処理する。処理に用いられる酵素は消化酵素を含んでいてよい。酵素は、α-アミラーゼ、耐熱性α-アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、ペプシン、パンクレアチン、及びプロテアーゼを含んでいてよい。α-アミラーゼは消化性多糖の断片化のために用いることができる。アミログルコシダーゼは、多糖を単糖へ分解するために用いることができる。ペプシン及びパンクレアチンは、タンパク質の消化のために用いることができる。
【0028】
ゴマ原料を酵素で処理する方法としては、例えば、ゴマ原料を上記酵素を含む酵素液に浸漬させる方法等が挙げられる。使用する酵素の使用量は、ゴマ原料の種類、量等に応じて適宜変更することができる。
【0029】
洗浄工程では、水を含む液体で酵素処理物を洗浄して不溶性画分を得る。洗浄は、例えば、エタノール水溶液及び水それぞれを用いて行われてよい。エタノール水溶液中のエタノール濃度は、エタノール水溶液の全体積を基準として、例えば、60~95v/v%、70~95v/v%又は80~95v/v%であってよく、95v/v%であってよい。酵素処理物をエタノール水溶液で洗浄することによって単糖、アミノ酸及び塩を主に除去することができる。酵素処理物、又は、エタノール水溶液洗浄後の酵素処理物を、水で洗浄することによって、水溶性タンパク質及び水溶性食物繊維を主に除去することができる。洗浄後に得られる不溶性画分は、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを含有する。
【0030】
上記有効成分は、ゴマ原料の酵素処理物の不溶性画分であってよく、脱脂ゴマの酵素処理物の不溶性画分であってよい。本発明による効果が更に高まることから、脱脂ゴマの酵素処理物は、脱脂ゴマ微粉砕物の酵素処理物であってよい。酵素処理物の不溶性画分は、酵素処理物中の成分であって、水を含む液体に溶解しない成分をいう。
【0031】
本実施形態に係る胆汁酸ミセル吸着剤は、有効成分以外の他の成分を更に含んでいてもよい。他の成分としては、食品組成物、医薬部外品又は医薬品に使用可能な素材であってよい。食品組成物、医薬部外品又は医薬品に使用可能な素材としては、例えば、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物、油脂、甘味料、ミネラル、ビタミン、香料、賦形剤、結合剤、滑沢剤、開裂剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0032】
本実施形態に係る胆汁酸ミセル吸着剤は、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを含む組成物を有効成分として含有するものであってよい。当該組成物は、ゴマ原料又はその処理物であってよい。当該組成物は、本発明による効果が更に高まることから、脱脂ゴマ又は脱脂ゴマ処理物であってよく、脱脂ゴマ微粉砕物であってもよい。
【0033】
本実施形態に係る胆汁酸ミセル吸着剤の形状は制限されず、固体(粉末、顆粒等)、液体(溶液、懸濁液等)、ペースト等のいずれの形状であってもよく、散剤、丸剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、液剤、懸濁剤等のいずれの剤形であってもよい。
【0034】
胆汁酸ミセル吸着剤の投与対象は、ヒト、又は動物であってよく、好ましくはヒトである。胆汁酸ミセル吸着剤は、肥満患者用、食後高脂血症患者用、高脂血症患者用等として用いられてよく、肥満等の健康上の問題のない健常者用として用いられてもよい。
【0035】
胆汁酸ミセル吸着剤は、経口投与されることが好ましい。胆汁酸ミセル吸着剤が経口投与される場合、有効成分が1回当たり0.1mg以上となるように投与されるのが好ましく、10mg以上となるように投与されるのがより好ましく、100mg以上となるように投与されるのが更に好ましい。また、有効成分が1日当たり0.3mg以上となるように投与されるのが好ましく、30mg以上となるように投与されるのがより好ましく、300mg以上となるように投与されるのが更に好ましい。また、有効成分が1回当たり10g以下となるように投与されるのが好ましく、1g以下となるように投与されるのが更に好ましい。また、有効成分が1日当たり30g以下となるように投与されるのが好ましく、3g以下となるように投与されるのがより好ましい。この範囲であれば、胆汁酸ミセル吸着効果がより効果的に発揮される。
【0036】
上述した有効成分は、胆汁酸吸着作用も有している。すなわち、本発明の一実施形態によれば、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸吸着剤が提供される。
【0037】
一実施形態に係る胆汁酸吸着剤において、有効成分及びその含有量、投与対象、投与量等の具体的な態様は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤における態様と同様であってよい。すなわち、一実施形態に係る胆汁酸吸着剤は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤に関する説明において、「胆汁酸ミセル吸着剤」を「胆汁酸吸着剤」と読み替えたものであってよい。
【0038】
胆汁酸吸着能は、胆汁酸吸着試験によって測定される胆汁酸吸着率によって評価することができる。胆汁酸吸着率の測定方法の詳細は後述する実施例に記載のとおりである。本実施形態に係る胆汁酸吸着剤において、胆汁酸吸着率は、例えば、1%以上、10%以上、又は20%以上であってよく、100%以下、90%以下、又は80%以下であってよい。
【0039】
上述した有効成分は、胆汁酸ミセル開裂作用も有している。すなわち、本発明の一実施形態によれば、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸ミセル開裂剤が提供される。
【0040】
一実施形態に係る胆汁酸ミセル開裂剤において、有効成分及びその含有量、投与対象、投与量等の具体的な態様は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤における態様と同様であってよい。すなわち、一実施形態に係る胆汁酸ミセル開裂剤は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤に関する説明において、「胆汁酸ミセル吸着剤」を「胆汁酸ミセル開裂剤」と読み替えたものであってよい。
【0041】
胆汁酸ミセル開裂能は、胆汁酸ミセル開裂試験によって測定される胆汁酸ミセル開裂率によって評価することができる。胆汁酸ミセル開裂率の測定方法の詳細は後述する実施例に記載のとおりである。本実施形態に係る胆汁酸ミセル開裂剤において、胆汁酸ミセル開裂率は、例えば、1%以上、又は10%以上であってよく、100%以下、又は90%以下であってよい。
【0042】
上述した有効成分は、体内への脂肪の吸収を抑制する作用も有している。すなわち、本発明の一実施形態によれば、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、脂肪吸収抑制剤が提供される。
【0043】
一実施形態に係る脂肪吸収抑制剤において、有効成分及びその含有量、投与対象、投与量等の具体的な態様は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤における態様と同様であってよい。すなわち、一実施形態に係る脂肪吸収抑制剤は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤に関する説明において、「胆汁酸ミセル吸着剤」を「脂肪吸収抑制剤」と読み替えたものであってよい。
【0044】
上述した有効成分は、体内への脂肪の吸収を抑制することにより、血中中性脂肪上昇を抑制することができる。すなわち、本発明の一実施形態によれば、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、血中中性脂肪上昇抑制剤が提供される。
【0045】
一実施形態に係る血中中性脂肪上昇抑制剤において、有効成分及びその含有量、投与対象、投与量等の具体的な態様は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤における態様と同様であってよい。すなわち、一実施形態に係る血中中性脂肪上昇抑制剤は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤に関する説明において、「胆汁酸ミセル吸着剤」を「血中中性脂肪上昇抑制剤」と読み替えたものであってよい。
【0046】
血中中性脂肪上昇抑制能は、血中中性脂肪上昇抑制試験によって測定される血中トリグリセリド濃度によって評価することができる。血中トリグリセリド濃度の測定方法の詳細は後述する実施例に記載のとおりである。本実施形態に係る血中中性脂肪上昇抑制剤において、血中トリグリセリド濃度は、例えば、1%以上、又は10%以上であってよく、100%以下、又は90%以下であってよい。
【0047】
上述した胆汁酸ミセル吸着剤、胆汁酸吸着剤、胆汁酸ミセル開裂剤、脂肪吸収抑制剤又は血中中性脂肪上昇抑制剤は、例えば、抗肥満、ダイエット、コレステロール値の低減、血圧上昇抑制、抗高脂血症、粥状動脈硬化症予防、脂肪肝防止、腎硬化症防止、黄疸改善、及び体質改善等の用途に用いることができる。
【0048】
上述した胆汁酸ミセル吸着剤、胆汁酸吸着剤、胆汁酸ミセル開裂剤、脂肪吸収抑制剤又は血中中性脂肪上昇抑制剤は、胆汁酸ミセル吸着用、胆汁酸吸着用、胆汁酸ミセル開裂用、脂肪吸収抑制用又は血中中性脂肪上昇抑制用の食品組成物、医薬部外品、又は医薬品として用いてもよく、動物へ使用する場合、飼料、飼料添加物として用いることもできる。上記の各剤は、食品組成物、医薬部外品、医薬品、飼料又は飼料添加物等の各製品の一成分として用いてもよい。すなわち、本発明の一実施形態によれば、ゴマ由来不溶性難消化性食物繊維と、ゴマ由来不溶性難消化性蛋白質とを有効成分として含有する、胆汁酸ミセル吸着用、胆汁酸吸着用、胆汁酸ミセル開裂用、脂肪吸収抑制用又は血中中性脂肪上昇抑制用の食品組成物、医薬部外品、医薬品、飼料又は飼料添加物が提供される。
【0049】
胆汁酸ミセル吸着用、胆汁酸吸着用、胆汁酸ミセル開裂用、脂肪吸収抑制用又は血中中性脂肪上昇抑制用の食品組成物は、健康食品、機能性表示食品、特別用途食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品であってもよい。食品組成物の具体例としては、例えば、米類、パン類、麺類、乳製品、豆製品、菓子類、ドリンク類、油脂食品、調味料、サプリメント類等が挙げられる。
【0050】
胆汁酸ミセル吸着用、胆汁酸吸着用、胆汁酸ミセル開裂用、脂肪吸収抑制用又は血中中性脂肪上昇抑制用の医薬品又は医薬部外品としては、素錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル)等が挙げられる。
【0051】
胆汁酸ミセル吸着用、胆汁酸吸着用、胆汁酸ミセル開裂用、脂肪吸収抑制用又は血中中性脂肪上昇抑制用の飼料又は飼料添加物としては、ドッグフード、キャットフード等のコンパニオンアニマル用飼料、家畜用飼料、家禽用飼料、養殖魚介類用飼料等が挙げられる。「飼料」には、動物が栄養目的で経口的に摂取するもの全てが含まれる。より具体的には、養分含量の面から分類すると、粗飼料、濃厚飼料、無機物飼料、特殊飼料の全てを包含し、また公的規格の面から分類すると、配合飼料、混合飼料、単体飼料の全てを包含する。また、給餌方法の面から分類すると、直接給餌する飼料、他の飼料と混合して給餌する飼料、又は飲料水に添加し栄養分を補給するための飼料の全てを包含する。
【0052】
上記の各製品における有効成分の含有量は、上述した胆汁酸ミセル吸着剤、胆汁酸吸着剤、胆汁酸ミセル開裂剤、脂肪吸収抑制剤又は血中中性脂肪上昇抑制剤における有効成分の好適な投与量を摂取できる範囲で、各製品に応じて適宜設定されてよい。上記の各製品の製造方法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。
【実施例0053】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0054】
試験例1:ゴマ由来不溶性画分の精製
脱脂ゴマ微粉砕物であるリピスマート(登録商標)(ファーマフーズ社製)28.8gを石油エーテルで脱脂し、25.0gの残渣を得た(1回目石油エーテル1750mL、25℃、30分。2回目石油エーテル1500mL、25℃、30分)。この全量をpH6.0の0.08Mリン酸緩衝液1250mLに懸濁した。α-アミラーゼ(商品名「ターマミル120L」、ノボザイム社製)2.5mL(95℃、30分)で処理した。2N塩酸でpH4.3に調整し、アミログルコシダーゼ(商品名「アミログルコシダーゼ溶液from Aspergillus niger」、シグマアルドリッチ社製)2.5mL(60℃、30分)で処理した。2N塩酸でpH2.0に調整し、ペプシン(商品名「ペプシン ブタ胃粘膜由来」、シグマアルドリッチ社製)100mg(37℃、4時間)で処理した。3N水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整し、パンクレアチン(商品名「パンクレアチン」、富士フィルム和光純薬社製)1000mg(37℃、16時間)で処理した。その後、95v/v%エタノールと純水でそれぞれ洗浄し、不溶性画分を10.61g得た。不溶画分中の成分量は、表1に示すとおりであり、不溶性画分100gあたり不溶性難消化性食物繊維を56.5g、不溶性難消化性蛋白質を21.8g含んでいた。不溶性難消化性蛋白質は、不溶性画分からケルダール法により測定した。不溶性難消化性食物繊維の含有量は、不溶性画分に含まれる蛋白質をケルダール法により測定して重量を差し引くことで測定した。
【表1】
【0055】
試験例2:ゴマ由来不溶性画分の血中中性脂肪上昇抑制効果(in vivo)
ラットの体重を測定し、リピスマート換算で120mg/kgのゴマ由来不溶性画分を投与できるように投与用量を計算した。また、コントロールとして、ゴマ由来不溶性画分を添加せずに試験例1の酵素処理及び洗浄処理を行ったもの(コントロール液)を用意し、高脂肪食として、コーン油30mLをコール酸400mg、コレステロールオリエート10g及び純水30mLと混合し、10分間超音波処理し、エマルジョン化して、乳化コーン油を得た。
【0056】
Wister Rat(雄性、6週齢)をゴマ由来不溶性画分群とコントロール群の2群(各群27匹)に分けゴマ由来不溶性画分群には、試験液400μLを経口投与した(投与用量:44.16mg(ヒト換算で約368g/日))。コントロール群にはコントロール液400μLを経口投与した。いずれの群についても、経口投与から10分後、乳化コーン油を1mL経口投与した。脂質負荷食の投与から7.5時間後まで1.5時間毎に採血した。血液を30分静置した後、遠心分離(2500rpm×10分)を行った。血清を取り出し、血中トリグリセリド濃度[mg/mL]を測定した。血中トリグリセリド濃度の測定はラボアッセイTMトリグリセライド(富士フィルム和光純薬社製)の測定法に則って行った。結果は
図1に示す。
【0057】
コントロール群の被験体のうち2匹が、ゴマ由来不溶性画分群の被験体のうち4匹が試験続行不可能の状態になったため、試験対象から除外した。ゴマ由来不溶性画分群の血中トリグリセリド値は、コントロール群よりも、脂質負荷食投与後3時間後に有意に低値(P=0.04)を示し、4.5時間後に低下傾向(P=0.06)を示したことから、脂肪の吸収が抑制されたことが確認された。上記の結果より、ゴマ由来不溶性画分が脂質吸収抑制効果を有することを確認した。
【0058】
試験例3:ゴマ由来不溶性画分の胆汁酸吸着試験(in vitro)
コニカルチューブに純水10mLを加え、さらに胆汁粉末(富士フィルム和光純薬社製)が2mg/mL、サンプルが12mg/mLとなるように添加した。サンプルはゴマ由来不溶性画分又はセルロースを用い、コントロールとしてサンプルを添加しない群を用意した。各コニカルチューブを37℃の湯浴中で1時間低速で攪拌した後、GA-55ガラスフィルター(ADVANTEC社製)でろ過して上清を取り出した。総胆汁酸―テストワコー(富士フィルム和光純薬社製)を用いて上清中の総胆汁酸濃度(560nm吸光度)を測定し、各サンプルの胆汁酸吸着率を以下の式で求めた。
胆汁酸吸着率(%)=(1-サンプルの吸光度/コントロールの吸光度)×100
【0059】
結果は表2の通りであった。ゴマ由来不溶性画分はセルロースよりも高い胆汁酸吸着能を有することが確認された。
【表2】
【0060】
試験例4:ゴマ由来不溶性画分の胆汁酸ミセル吸着試験(in vitro)
コニカルチューブに純水5mLを加え、さらに、3種の胆汁酸と2種の脂質を表3に記載の濃度で各コニカルチューブに添加し、混合した。
【表3】
【0061】
各コニカルチューブをホモジナイザーで3分間攪拌することでミセル化し、サンプルを12mg/mLになるように添加した。サンプルは、試験例1で得られた脱脂ゴマ微粉砕物(リピスマート)由来不溶性画分、脱脂ゴマ未粉砕物由来不溶性画分、脱脂ゴマ微粉砕物(リピスマート)及びセルロース(商品名:セルロース粉末,38μm,(400mesh)通過、富士フィルム和光純薬社製)を用い、コントロールとしてサンプルを添加しない群を用意した。
【0062】
脱脂ゴマ未粉砕物由来不溶性画分は、脱脂ゴマ微粉砕物であるリピスマートに代えて、脱脂後粉砕を行わないゴマを用いたこと以外は、試験例1に記載の方法と同様の方法で得られた不溶性画分である。
【0063】
脱脂ゴマ微粉砕物由来不溶性画分、脱脂ゴマ未粉砕物由来不溶性画分、脱脂ゴマ微粉砕物(リピスマート)及びセルロースそれぞれが添加されたコニカルチューブを37℃で3時間静置し、遠心分離(3000rpm×15min)後、上清をデカント法で回収した。LC-MS(製品名LCMS-8045、島津製作所製)により上清中の脂質量と胆汁酸量を測定し、以下の式から各サンプルの胆汁酸ミセル中の脂質又は胆汁酸の吸着率を求めた。この試験において上清を30分静置しても油層の形成は見られなかった。
脂質吸着率(%)=(1-サンプルの脂質量/コントロールの脂質量)×100
胆汁酸吸着率(%)=(1-サンプルの胆汁酸量/コントロールの胆汁酸量)×100
【0064】
結果は
図2の通りであり、脱脂ゴマ微粉砕物由来不溶性画分、脱脂ゴマ未粉砕物由来不溶性画分、及び脱脂ゴマ微粉砕物がコントロールと比べて胆汁酸ミセル中のオレイン酸と、モノオレインを吸着可能であることが示された。脱脂ゴマ微粉砕物由来不溶性画分、脱脂ゴマ微粉砕物ではセルロースよりも胆汁酸ミセル中の脂質又は胆汁酸吸着率が高かった。また、脱脂ゴマ未粉砕物由来不溶性画分は、脱脂ゴマ微粉砕物由来不溶性画分及び脱脂ゴマ微粉砕物よりも効果は劣るものの、セルロースよりも、胆汁酸ミセル中のオレイン酸吸着率、及び胆汁酸ミセル中のオレイン酸とモノオレイン吸着率の合計値が高かった。したがって、ゴマ由来不溶性画分、特に脱脂ゴマ微粉砕物由来不溶性画分及び脱脂ゴマ微粉砕物が、高い胆汁酸ミセル吸着能を有することが確認された。
【0065】
試験例5:ゴマ由来不溶性画分の胆汁酸ミセル開裂試験(in vitro)
コニカルチューブに純水30mLを加え、さらに、胆汁酸(タウロコール酸ナトリウム)0.75g、脂質(オレイン酸/モノオレイン。分子量2:1)3gを添加した。コニカルチューブをホモジナイザーで5分間16,000rpmで攪拌することでミセル化し、ゴマ由来不溶性画分を0.6g添加した。また、コントロールとして、ゴマ由来不溶性画分を添加しない群を用意した。各コニカルチューブを37℃で振とうし、振とう0時間後、1時間後に振とう溶液を10mL採取し、30分静置した。30分静置後の各溶液の外観は
図3の写真の通りであり、コントロール群ではクリーミングが起こり溶液上層に厚いミセルの層が形成されていた。ゴマ由来不溶性画分群では、振とう0時間後の30分静置によりコントロール群と同様にクリーミングが見られたが、1時間後に30分静置を行うと合一が進み薄い油層が形成されていた。この結果より、ゴマ由来不溶性画分は胆汁酸ミセル開裂に寄与することが確認された。
【0066】
また、振とう1時間後の溶液を分取し、十分に混和した後に吸光度計(製品名UV-1800、島津製作所製)を用いて各溶液の吸光度(500nm)を測定した結果が、
図4である。また、以下の式からサンプルの胆汁酸ミセル開裂率を求めた。なお、不溶性画分は、分取した溶液を遠心フラッシュして上清を回収、十分に混和した後に吸光度を測定した。
胆汁酸ミセル開裂率(%)=(1-サンプルの吸光度/コントロールの吸光度)×100
【0067】
図4に示すように、ゴマ由来不溶性画分群はコントロール群と比較して、経時的に吸光度が減少した。ミセル数が減少すると、吸光度が減少することから、この結果はゴマ由来不溶性画分が胆汁酸ミセルの開裂に寄与する裏付けとなる。また、ゴマ由来不溶性画分群の胆汁酸ミセル開裂率は66%であることが確認された。
【0068】
さらに、振とう1時間後の溶液からヘキサン抽出により脂肪酸を回収し、脂肪酸メチル化キット(ナカライ)にてメチル化した後オレイン酸量をGC(製品名7890B、Agilent製)で測定した結果が、表4である。ゴマ由来不溶性画分群では、コントロール群と殆ど同等の溶液中オレイン酸量を示していたことから、上記の胆汁酸ミセル開裂試験では、ゴマ由来不溶性画分による胆汁酸ミセル吸着の影響がないことが確認された。
【表4】