(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067009
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】形状記憶機能を有する圧縮パッド及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20240509BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20240509BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240509BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240509BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240509BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20240509BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6567
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186791
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】10 2022 128 911.7
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク グラス
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA03
5H040AA28
5H040AS07
5H040AY05
5H040AY06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組み立てプロセスを容易にする、圧縮パッド並びに対応する製造方法を提供する。
【解決手段】様々な実施形態において、充填剤材料が存在する内部空間を含む、電池セルスタックに対する形状記憶機能を有する圧縮パッド1であって、内部空間が、媒体2で更に充填されるか、又は媒体2が、充填剤材料の中に機械加工され、媒体2が、その強度により、圧縮パッド1が媒体2なしで取るであろう形状と比較して、圧縮パッド1を圧縮形状に保持する、圧縮パッド1が提供される。更に、形状記憶機能を有する圧縮パッド1を製造するための方法、並びに電池セルモジュールを製造するための方法が提供される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルスタック(5)に対する形状記憶機能を有する圧縮パッド(1)であって、
充填剤材料が存在する内部空間を備え、
前記内部空間が、媒体(2)で追加的に充填されるか、又は前記媒体(2)が前記充填剤材料の中に機械加工され、前記媒体(2)が、その強度のために、前記媒体(2)が、前記媒体(2)なしで前記圧縮パッド(1)が取るであろう形状と比較して、前記圧縮パッド(1)を圧縮された形状に保持する、圧縮パッド(1)。
【請求項2】
前記充填剤材料が弾性である、請求項1に記載の圧縮パッド(1)。
【請求項3】
前記媒体(2)が、電池の液体冷却システムの冷却媒体を含む、請求項1又は2に記載の圧縮パッド。
【請求項4】
電池セルスタック(5)に対する形状記憶機能を有する圧縮パッド(1)を製造するための方法であって、
媒体(2)を圧縮パッド(1)の中に導入するステップと、
前記媒体(2)で充填された前記圧縮パッド(1)を圧縮するステップと、
前記圧縮された圧縮パッド(1)を、前記冷却された媒体(2)が、外部からの力が作用しないときに、前記圧縮パッド(1)をその圧縮された形状に保持することができる温度まで冷却するステップと、を含む、方法。
【請求項5】
前記媒体(2)が、電池の液体冷却システムの冷却媒体を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記媒体(2)が、前記圧縮パッド(1)の内部の中に機械加工されている添加剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記温度が、前記電池セルスタック(5)の動作温度を下回る、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電池セルモジュール(8)を製造するための方法であって、
電池セル(4)の配置を含む電池セルパッケージ(5)を提供するステップであって、それぞれの圧縮パッド(1)が、2つの電池セル(4)の間に配置され、前記電池セル(4)は、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法に従って製造されている、提供するステップと、
前記電池セルパッケージ(5)をハウジング(6)の中に挿入するステップであって、前記電池セルパッケージ(5)が、前記ハウジング(6)における前記電池セルパッケージ(5)のために提供された設計空間に対してより小さい、挿入するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記圧縮パッド(1)を、前記媒体(2)が前記圧縮パッド(1)をその圧縮された形状にもはや保持することができない温度まで加熱することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記圧縮パッド(1)を前記加熱することが、前記電池セルモジュール(8)を流れる流体によって引き起こされる、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には、電池セルスタック(電池セルパケット)で使用するための形状記憶機能を有する圧縮パッドに関する。更に、本発明は、このような圧縮パッド、並びに追加的に形状記憶機能を伴う圧縮パッドを有する電池セルスタックのための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の航続距離は、それらに取り付けられたトラクション電池によって主に決定される。今日、適切なサイズの高電圧電池は、電池セルモジュール(電池モジュールとも称される)からなる現代の電気自動車を推進するために使用され、その各々が、次いでいくつかの電池セルを含み、各々は、最も小さな自給型エネルギー貯蔵セルを表す。例えば、Porsche Taycanのいくつかのモデルで使用される二重性能電池プラスは、各々12個の個々の電池セルからなる33個のセルモジュールを含む。したがって、トラクション電池は、合計396個の電池セルを備え、リチウムイオンアキュムレータが電池セルとして使用される。トラクション電池は、800ボルトのシステム電圧及び93.4kWhの総容量を有する。
【0003】
一般に、電池を構築するために、複数のセルが並列に配置され、圧縮パッド(圧縮インサートとも称される)が2つのセルの間にそれぞれ配置される、電池モジュールが使用される。電池セルの間に配置される圧縮パッドは、更に重要なタスクを実施し、すなわち、成長するセルの厚さ(膨張)に対する平衡を提供する。膨張は、電池セル、特にリチウムイオンセルの体積変化であり、これは、充電及び放電中に一方で観察することができ、他方では電池セルの経年劣化のためにより遅い時間スケールで観察することができる。膨張は、電池セル内の活性層の構造変化によって引き起こされ、その中に発生するリチウムイオンの再配置によって引き起こされる。膨張は、特に、電池セルに広く使用されている設計であるパウチセルの場合に顕著である。上述のように、電池セル間に圧縮パッドを積み重ね方向に配置することによって、電池モジュール内の電池セルの体積変化を圧縮的に補正することができる。
【0004】
加えて、圧縮可能なパッドによって、電池セルパッケージに力が蓄積され、それによってハウジング(電池又はモジュールハウジング)に歪みが生じる場合がある。良好な事前装填を達成するために、電池セルパッケージの外形寸法は通常、ハウジングの内部寸法とわずかに異なるに過ぎない。現在、大きく圧縮され得る純粋な発泡性パッドが、圧縮パッドとして使用される。したがって、設置中に、その寸法を一時的に低減させるために電池セルパケットが重ね合わされ、この重ね合わされた状態で、電池セルパケットがハウジング内に押し込まれ、それによって電池セルスタックをスライドする動作が複雑になり、それによってプロセス側で比較的複雑になる。次に、電池セルパケットは、内側から挿入されたときに、ハウジングの内側に対して押し付けられ、それによって摩擦力が発生し、特定の状況下では、電池セル又は圧縮パッドのいずれかを損傷し得るため、挿入プロセスは特定の挿入力下で行われる。
【0005】
特許文献1は、互いに隣接して配置された電池ケース及び複数の電池セルを有する電池を開示し、発泡性圧縮パッドは、組み立てプロセス中に圧縮され、組み立て後に拡張される、2つの隣接する電池セルの間に配置される。
【0006】
特許文献2は、複数の電池セルを有する電池と、2つの隣接する電池セルの間に配置された複数の圧縮及び熱保護パッドとを開示しており、圧縮パッドは温度が上昇するにつれて収縮する。
【0007】
電池セルパケットは、特許文献3から既知であり、複数の電池セルが、2つの終端素子の間に押し込まれ、圧縮パッドが、終端素子と電池セルとの間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0141307号明細書
【特許文献2】3893291
【特許文献3】欧州特許出願公開第2475040号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術から既知のハウジング内の圧縮パッド及び電池セルスタックの組み立て方法から進んで、本発明によって対処された課題は、組み立てプロセスを容易にする、圧縮パッド並びに対応する製造方法を提供するものとしてみなされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。更なる好ましい実施形態は、従属請求項において見出すことができる。
【0011】
本発明は、電池セルスタックの形成に先んじて生じる所定の程度までの圧縮パッドの圧縮に基づく。この圧縮の程度は、追加の媒体又は材料の保持力によって固定され、特に、電池セルスタックの形成及びハウジングにおけるそのアセンブリ中に維持される。圧縮された圧縮パッドの所定の程度は、形成された電池セルスタックが、ハウジングのこの目的のために提供される設計空間に対してより小さく、したがって、ハウジング内により容易に挿入され得るように選択される。その後、圧縮パッドはハウジング内で拡張又は広がり、ハウジング内で定位置に固定するために、電池セル上に所望の圧縮力を蓄積する。
【0012】
圧縮パッドの圧縮された状態を安定化又は「凍結」することは、圧縮パッドを媒体で充填若しくは浸漬することによって、又は媒体を添加剤として圧縮パッドの充填剤材料の中に組み込むことによって達成される。第1の事例では、媒体は、電池の液体冷却システムの冷却媒体、特に、電池モジュールがハウジング内側の冷却媒体によって直接灌流される、直接冷却電池とすることができる。この媒体は、特定の温度で硬くなるか、又は非常に強固になるが、これは、電池におけるその使用目的中に電池セルスタックの動作温度を下回る。他方で、より高い温度、特に電池セルスタックの動作温度の範囲内の温度では、媒体は軟質又は液体である。言い換えれば、この温度では強度は低くなる。
【0013】
圧縮パッドに形状記憶機能を設けるためには、圧縮パッドを媒体と一緒に所定、例えば、最小の厚さに押し付け、この状態で冷却すると、それによって媒体が硬化又は強固となり、圧縮パッドをこの状態で保持する。この状態は、自己持続的に圧縮されており、すなわち、更なる外部からの力なしに、圧縮パッドは電池セルスタック内に取り付けられる。結果として、電池セルスタックはより小さく、特に電池セルスタックへの圧力を蓄積するツールなしで、電池モジュール又は電池ハウジングにより簡単に挿入され得る。
【0014】
この場合、必要な温度ストロークは、選択された媒体に応じて、室温より高い温度(例えば、電池セルスタックの動作温度の範囲内の温度)から室温若しくはより低い温度、又は室温の範囲内の温度から室温より低い温度までのいずれかで実施され得る。
【0015】
本発明による圧縮パッドの形状記憶機能は、媒体によって圧縮された状態で安定化された圧縮パッドを、媒体が軟化又は液化してその保持力が低減する温度まで加熱したときに発揮される。特定の温度から、圧縮パッド内の充填剤材料の拡張力が大きくなると、その形状記憶に従って再び拡張する。拡張している圧縮パッドは、電池モジュール又は電池ハウジングにおける電池セルを圧縮し、それによって組み立てステップを完了する。
【0016】
本発明の動作機構は、圧縮パッドとしてのスポンジ及び媒体としての水に基づいて図示することができる。形状記憶機能を有するスポンジを製造するために、最初に水が充填/飽和され、圧縮され、凍結される。凍結プロセスの完了後、圧縮されたスポンジは、スポンジ内で凍結した水が薄い限り、その形状に保持される。次いで、凍結したスポンジをハウジング内にその設置位置に押し込む。スポンジはより小さいため、ハウジングへの挿入が容易であり、スポンジの左右に、ハウジングの内壁に対するギャップがある。高い周囲室温のためスポンジが解凍され、元の形状に戻ろうとする。これにより、スポンジが、ハウジングの内側壁に拡張し、押し付ける。
【0017】
本発明によれば、充填剤材料が存在する内部空間を備える、電池セルスタック用の形状記憶機能を有する圧縮パッドがまず提供され、内部空間は、充填剤材料で更に充填されるか、又は媒体が充填剤材料の中に機械加工され、媒体は、その強度により、圧縮パッドが媒体なしで取るであろう形状と比較して、圧縮された形状に圧縮パッドを保持する。結果として、本明細書に記載の圧縮パッドの状態は、圧縮状態に対応し、圧縮状態は、いわば、冷却された媒体によって固定される。
【0018】
圧縮パッドの更なる実施形態によると、充填剤は弾性であり得る。例えば、充填剤材料は、発泡性プラスチックなどのプラスチックを含むことができる。
【0019】
圧縮パッドの更なる実施形態によれば、媒体は、電池の液体冷却システムの冷却媒体を含むことができる。冷却媒体は、冷却媒体に好適な特性(熱容量、粘度、引火点)を有する非導電性液体であってもよい。媒体として冷却媒体を使用するときに、冷却流体は充填剤材料からその環境に放出され、設置後及び遅れての圧縮後に電池の冷却媒体の中に放出されるため、冷却システムにおける電気自動車で使用されるのと同じ冷却媒体を都合よく使用することができる。結果として、例えば、そこから逸れた冷却媒体が圧縮パッドの内部空間に存在していた場合に、他の液体による電気自動車の冷却回路において循環する冷却媒体の望ましくない汚染が回避され得る。
【0020】
本発明によれば、電池セルスタックに対する形状記憶機能を有する圧縮パッドを製造するための方法が更に提供されている。方法は、まず、圧縮パッドの中への媒体を挿入することを含む。媒体を挿入することは、媒体の圧縮パッドの中への充填又は媒体による圧縮パッドの浸漬を含むことができる。代替的に、挿入ステップはまた、例えば、その充填剤材料に、添加剤の形態の媒体を圧縮パッドの中に組み込むことを含むことができる。
【0021】
次のステップでは、本発明による製造方法は、媒体で充填された圧縮パッドを圧縮することを含む。圧縮パッドは、例えば、電池セルスタック内の電池セルの積層方向に沿ったその拡張に関して、目標サイズにもたらされる。
【0022】
更なるステップにおいて、本発明による方法は、外部からの力が作用しないときに、冷却媒体に圧縮パッドをその圧縮形状に保持させることができる温度まで圧縮パッドを冷却することを含む。言い換えれば、圧縮パッドにおいて位置する媒体の冷却は、保持力の増加に向かってその材料特性の変化をもたらす。媒体は、その保持力が圧縮パッドの充填剤材料の拡張力を超えるほど硬くなるか、又は強くなり、それによって圧縮された形状に留まることができる。
【0023】
媒体はまた、低温貯蔵デバイスとして使用されてもよく、圧縮パッドがよりゆっくりと温まり、それによって圧縮パッドが拡張するまでの時間が延長される。例えば、圧縮パッドは、圧縮及び凍結され得るが、低い熱質量により、周囲温度を通して急速に加熱及び膨張し、その後に端部位置に設置され得る。この圧縮パッドが冷却媒体中で予め飽和されている場合、その熱質量を増大させることができる。繰り返すと、これは、圧縮パッドが加熱されて拡張するまでの時間を延ばすことができる。
【0024】
本発明による製造方法の更なる実施形態によれば、媒体は、電池の液体冷却システムの冷却媒体を含み得る。
【0025】
本発明による製造方法の更なる実施形態によれば、媒体は、圧縮パッドの内部に組み込まれる添加剤とすることができる。したがって、添加剤は、圧縮パッド又は圧縮パッド自体の充填剤材料の製造に組み込まれ得る。
【0026】
本発明による製造方法の更なる実施形態によると、圧縮パッドが冷却される温度は、電池セルスタックの動作温度を下回ることができる。
【0027】
本発明によれば、本発明による圧縮パッドが取り付けられる、電池セルスタックに基づいて電池セルモジュールを製造するための方法が更に提供される。方法は、最初に、電池セルの配置を有する電池セルパケットを提供することを含み、それぞれの圧縮パッドは、本発明による圧縮パッドを製造するための前述の方法の実施形態に従って製造された2つの電池セルの間に配置される。
【0028】
方法は、電池セルパッケージをハウジングに挿入することを更に含み、電池セルパッケージは、ハウジング内に提供される設計空間に対してより小さい。
【0029】
本発明による製造方法の更なる実施形態によれば、方法は、圧縮パッドを、媒体に圧縮パッドをその圧縮された形状にもはや保持することができない温度まで加熱することを更に含むことができる。言い換えれば、本発明による方法は、熱を供給することによって圧縮パッドを拡張することを含み、それによって媒体の強度を低減させることができる。
【0030】
本発明による製造方法の更なる実施形態によれば、圧縮パッドの加熱は、電池セルモジュールを流れる流体(液体又はガス)によって生じ得る。例えば、電池セルが電池セルモジュール内に組み立てられるとき、これは、電池セルモジュールを通過する温風によって発生し得る。
【0031】
上述した特徴及び以下でこれから説明される特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、それぞれ指定された組み合わせ内で使用されるだけでなく、他の組み合わせ内で、又は単独で使用され得ることは言うまでもない。
【0032】
本発明の追加の利点及び構成は、本明細書及び添付の図面から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】形状記憶機能を有する圧縮パッドを製造するための本発明による方法の実施例を示す。
【
図1B】形状記憶機能を有する圧縮パッドを製造するための本発明による方法の実施例を示す。
【
図1C】形状記憶機能を有する圧縮パッドを製造するための本発明による方法の実施例を示す。
【
図2A】電池セルモジュールを製造するための本発明による方法の実施例を示す。
【
図2B】電池セルモジュールを製造するための本発明による方法の実施例を示す。
【
図2C】電池セルモジュールを製造するための本発明による方法の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
形状記憶機能を有する圧縮パッドを製造する方法は、好適な圧縮パッド1を提供することから始まる。このパッドでは、方法の後フェーズで保持力を提供する媒体2が既に組み込まれているか、又は圧縮パッド1がこの媒体2で充填若しくは飽和されている。
【0035】
図1Aでは、圧縮の開始を示す。この目的のために、媒体2を備える圧縮パッド1は、プレス機の2つのプレスアーム3の間に配置され得る。
図1Bでは、所望の程度まで圧縮パッド1の圧縮が行われる。
図1Cでは、圧縮パッド1が圧縮状態のままである間、温度降下がある。熱の減少は、媒体2の材料特性を変化し、その結果、媒体2は、より強固又はより堅くなり、圧縮パッド1の拡張力を、その元の寸法(
図1A)に対して相殺する保持力を及ぼし、特定の温度から保持力を超える。圧縮パッド1が、媒体2を一緒に保持するためにその圧縮状態のままである安定した状態が達成されると、製造作業が完了し、圧縮された圧縮パッド1を取り外すことができる。
【0036】
圧縮された圧縮パッド1は、
図2A~2Cに示されるように、その後、電池セルモジュール又は電池を製造するために使用することができる。
図2Aでは、電池セルスタック5が最初に構築され、図示の例では、4つの電池セル4を備え、圧縮された圧縮パッド1が各電池セル4に側方に当接する。電池セル4は、例えば、圧縮パッド1に接着されてもよく、又はメッシュ状の鞘など、一時的に支持構造によって囲まれてもよい。
図2Bは、電池セルモジュール8又は電池を形成するために、電池セルスタック5がハウジング6に挿入される組み立てステップを示す。電池セルスタック5はより小さいため、特に摩擦力なしに、非常に単純に電池スタック5及びハウジング6の側壁に挿入することができる。組み立てフェーズでは、電池セルスタック5とハウジング6の側壁との間にギャップ7が提供される。電池セルスタック5がハウジング6に挿入された後、圧縮パッド1の拡張ステップが実行される。圧縮パッドは、室温を通して受動的に、又は、例えば、電池モジュール8の液体冷却システムの冷却流体のような、冷却チャネル9を通して流体を通過させることによって能動的に、加熱される。加熱の結果として、媒体2の材料特性は、その保持力が減少し、圧縮パッド1の拡張力が優るように変化する。結果として、圧縮されるか又は一緒に押される圧縮パッド1は拡張し、次に同時にハウジング6内で電池セル4を押し付ける(ギャップ7は消える)。
【0037】
圧縮された圧縮パッド1が元の状態に拡張することができるように、媒体2が熱によってその保持力を失う動作は、軟化、溶融、又は再昇華など、異なるプロセスによって開始され得る。