(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067013
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】溶接ガンのチップ脱去装置
(51)【国際特許分類】
B23K 11/36 20060101AFI20240509BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B23K11/36
B23K11/11
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187432
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0144288
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523414548
【氏名又は名称】エイトロン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イム、ジョン チャン
【テーマコード(参考)】
4E165
【Fターム(参考)】
4E165BA01
4E165BB02
4E165BB12
4E165BB33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、スポット溶接を行うロボット溶接機において、溶接ガン末端部に設置される消耗性チップを機械的に分離できるようにする溶接ガンのチップ脱去装置を提供する。
【解決手段】水平を維持するメインプレートに結合され、溶接ガンのフィンガーに結合されたチップが挿入される第1の挿入孔が形成されたチップ配置台と、前記チップ配置台の底面に回転可能に配置され、前記第1の挿入孔を通じて挿入されたチップの外周面を圧迫してクランピングし、クランピングされたチップを回転させて溶接ガンから脱去させるチップ脱去ユニットと、および前記チップ脱去ユニットを付勢された状態で回転可能に収容するハウジングと、からなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平を維持するメインプレート610に結合され、溶接ガンのフィンガー10に結合されたチップTIが挿入される第1の挿入孔110が形成されたチップ配置台100と、
前記チップ配置台100の底面に回転可能に配置され、前記第1の挿入孔110を通じて挿入されたチップTIの外周面を圧迫してクランピングし、クランピングされたチップTIを回転させて溶接ガンから脱去させるチップ脱去ユニット200と、および
前記チップ脱去ユニット200を付勢された状態で回転可能に収容するハウジング400と、を含み、
前記チップ脱去ユニット200は、前記ハウジング400の内部に付勢されるように配置され、板面に段差のある収容溝212が形成され、板面中心に前記第1の挿入孔110を通過した前記チップTIが挿入される第2の挿入孔211が形成された回転ボディ210と、前記回転ボディ210の収容溝212に回動可能に配置され、前記第2の挿入孔211に挿入されたチップTIの外周面を圧迫する歯部221を有する付勢された圧迫ラッチ220と、および一側が前記回転ボディ210の軸線と離隔された状態で収容溝212に回動可能に配置され、一次に自体回動を通じて前記圧迫ラッチ220を圧迫させて前記歯部221がチップTIをクランピングし、二次にクランピングされたチップTIとともに前記回転ボディ210をハウジング400上で回転させる動力源と連結されたレバー230と、で構成され、
前記レバー230の一側末端部には、レバー230の回動時に前記圧迫ラッチ220と接触された状態で、圧迫ラッチ220の歯部221を前記回転ボディ210の第2の挿入孔211に挿入されたチップTIに向くようにプッシングするための曲面を有するプッシングカム231が形成されたことを特徴とする、溶接ガンのチップ脱去装置。
【請求項2】
前記収容溝212の一方には、前記レバー230の一側と接触され、前記レバー230の初期位置を維持させる所定の傾斜を有する位置固定片212aが形成され、前記位置固定片212aから折り曲げられて前記チップTIクランピングの後に回動するレバー230の回動力が、前記回転ボディ210へ伝達されるようにすることで回転ボディ210がレバー230と連動して回転されるようにする接触片212bが形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の溶接ガンのチップ脱去装置。
【請求項3】
前記回転ボディ210には、前記収容溝212をカバーし、中心に前記第1の挿入孔110を通過した前記チップTIが貫通する貫通孔241が形成された固定カバー240が結合されることを特徴とする、請求項1に記載の溶接ガンのチップ脱去装置。
【請求項4】
前記チップ脱去ユニット200には、クランピングされたチップTIが回転する間、前記溶接ガンのフィンガー10から分離されるようにするチップ抜歯手段215が備えられ、
前記回転ボディ210の上面に周に沿って突出するように形成され、所定の長さの傾斜を有する複数個のガイドカム214と、および
前記チップ配置台100の底面に配置された状態で前記ガイドカム214と接触されて転がり運動する複数個のローラー213と、を含み、
前記回転ボディ210がクランピングされたチップTIとともに回転するとき、回転するガイドカム214の傾斜面が転がり運動する前記ローラー213によって押されつつクランピングされたチップTIを溶接ガンのフィンガー10から脱去させることを特徴とする、請求項1に記載の溶接ガンのチップ脱去装置。
【請求項5】
前記チップ脱去ユニット200は、弾性部材402によって支持された状態で、前記ハウジング400の内部に一対に離隔するように配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の溶接ガンのチップ脱去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ガンのチップ脱去装置に関し、さらに詳細には、スポット溶接を行うロボット溶接機において、溶接ガン末端部に設置される消耗性チップを機械的に分離できるようにする溶接ガンのチップ脱去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車車体の溶接ラインなどで鉄板間の溶接または鉄板と構造材とのスポット溶接のためにロボット溶接機が広く用いられる。
ロボット溶接機は、プログラムによって多様なモーションが可能且つ迅速に作業をすることができるので、必須の装備であると言える。
【0003】
ロボット溶接機の溶接ガンの端にはチップがはめ込まれて設置される。チップは放電が起こる部位であるので、使用によって摩耗されるため、周期的に入れ替えなければならない消耗性製品である。
【0004】
チップと溶接ガンのフィンガーは、容易な入れ替えが可能であるように押込み式で結合され、溶接ガンのフィンガーの外周面とチップの内周面にテーパが形成され、溶接ガンのフィンガーにチップを力を入れてはめ込むと、チップがフィンガーに強く結合されるようになり、結合されたチップを若干回転させれば、チップはフィンガーから分離される。
【0005】
上記のように、チップの入れ替え作業のために、従来は、作業者の手作業に依存してきたが、本出願人は、自動化を通じたチップの迅速な入れ替えが行われ得るように、「溶接ガンのチップ脱去装置」を韓国国内登録特許第10-1603943号に開示した。
【0006】
しかし、韓国国内登録特許第10-1603943号には、チップを脱去するためのクランピング手段と、チップ回転手段の構造が複雑し過ぎ、各構造間の機械的な結合が精密に行われなければならないため、作動不良が発生するか、またはメンテナンスが難しい問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国国内登録特許第10-1603943号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点および技術的偏見を解消するために案出されたものであって、ロボット溶接機の溶接ガン末端部に設置される消耗性チップを機械的に分離するチップ脱去装置の構造を単純化することで、作動不良を予防すると同時にメンテナンスが簡単に行われ得る溶接ガンのチップ脱去装置を提供するのにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の溶接ガンのチップ脱去装置は、水平を維持するメインプレートに結合され、溶接ガンのフィンガーに結合されたチップが挿入される第1の挿入孔が形成されたチップ配置台と、前記チップ配置台の底面に回転可能に配置され、前記第1の挿入孔を通じて挿入されたチップの外周面を圧迫してクランピングし、クランピングされたチップを回転させて溶接ガンから脱去させるチップ脱去ユニットと、および前記チップ脱去ユニットを付勢された状態で回転可能に収容するハウジングと、を含む。
【0010】
この時、前記チップ脱去ユニットは、前記ハウジングの内部に付勢されるように配置され、板面に段差のある収容溝が形成され、板面中心に前記第1の挿入孔を通過した前記チップが挿入される第2の挿入孔が形成された回転ボディと、前記回転ボディの収容溝に回動可能に配置され、前記第2の挿入孔に挿入されたチップの外周面を圧迫する歯部を有する付勢された圧迫ラッチと、および一側が前記回転ボディの軸線と離隔された状態で収容溝に回動可能に配置され、一次に自体回動を通じて前記圧迫ラッチを圧迫させて前記歯部がチップをクランピングし、二次にクランピングされたチップとともに前記回転ボディをハウジング上で回転させる動力源と連結されたレバーと、で構成されたことが好ましい。
【0011】
また、前記収容溝の一方には、前記レバーの一側と接触され、前記レバーの初期位置を維持させる所定の傾斜を有する位置固定片が形成され、前記位置固定片から折り曲げられて前記チップクランピングの後に回動するレバーの回動力が前記回転ボディへ伝達されるようにすることで回転ボディがレバーと連動して回転されるようにする接触片が形成されたことが好ましい。
【0012】
加えて、前記レバーの一側末端部には、レバーの回動時に前記圧迫ラッチと接触された状態で、圧迫ラッチの歯部を前記回転ボディの第2の挿入孔に挿入されたチップに向くようにプッシングするための曲面を有するプッシングカムが形成されたことが好ましい。
【0013】
そして、前記回転ボディには、前記収容溝をカバーし、中心に前記第1の挿入孔を通過した前記チップが貫通する貫通孔が形成された固定カバーが結合されることが好ましい。
【0014】
一方、前記チップ脱去ユニットには、クランピングされたチップが回転する間、前記溶接ガンのフィンガーから分離されるようにするチップ抜歯手段が備えられ、前記回転ボディの上面に周に沿って突出するように形成され、所定の長さの傾斜を有する複数個のガイドカムと、および前記チップ配置台の底面に配置された状態で前記ガイドカムと接触されて転がり運動する複数個のローラーと、を含み、前記回転ボディがクランピングされたチップとともに回転するとき、回転するガイドカムの傾斜面が転がり運動する前記ローラーによって押されつつクランピングされたチップを溶接ガンのフィンガーから脱去させることが好ましい。
最後に、前記チップ脱去ユニットは、弾性部材によって支持された状態で、前記ハウジングの内部に一対に離隔するように配置されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上記のような構成を有した本発明の溶接ガンのチップ脱去装置によれば、ロボット溶接機の溶接ガン末端部に設置されたチップを機械的に分離するチップ脱去ユニットの機械的な構造を単純化させることで、従来のような複雑な構造によって発生する作動不良を根本的に遮断すると同時に、メンテナンスが容易に行われ得る卓越な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるチップ脱去装置がチップ交換装置に備えられた平面図である。
【
図2】本発明によるチップ脱去装置を示した要部の分解斜視図である。
【
図4】
図3の構成のうちチップ脱去ユニットの分解斜視図である。
【
図6】固定カバーを除去したチップ脱去ユニットの平面図である。
【
図7】
図2のI-I線であって、チップ抜歯手段の構造および作動状態を示す要部の断面図である。
【
図8】
図6の状態でチップがクランピングされて回転する過程を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明によるチップ脱去装置がチップ交換装置に備えられた平面図であり、
図2は、本発明によるチップ脱去装置を示した要部の分解斜視図であり、
図3は、
図2のチップ脱去装置の分解斜視図であり、
図4は、
図3の構成のうちチップ脱去ユニットの分解斜視図であり、
図5は、
図3の結合された要部の断面図であり、
図6は、固定カバーを除去したチップ脱去ユニットの平面図であり、
図7は、
図2のI-I線であって、チップ抜歯手段の構造および作動状態を示す要部の断面図であり、
図8は、
図6の状態でチップがクランピングされて回転する過程を示す作用図である。
【0018】
溶接機の溶接ガン(図示せず)はロボットによって起動される。溶接ガンは、C型クランプと類似した形状を有し、フィンガー10が上下に作動しながら溶接を施行する。通常、上部フィンガー10は垂直形態で設置されるが、下部フィンガー10はそうではない場合が多い。
上部フィンガー10は、垂直方向に起動しながらフィンガー10に結合されているチップTIが接点をなすようにする。
【0019】
前述のように、チップTIは固くクランピングした状態で瓶の蓋を開くように少しだけねじれば、溶接ガンのフィンガー10から容易に脱去(または分離)され得る。本発明の脱去装置は、このような脱去動作が機械的に行われるようにする構成と作用を有する。
【0020】
一方、チップTIが非常に強く結合されている場合は、チップTIを若干ねじるのが足りない場合が多い。そこで、チップTIをねじりながらフィンガー10から取って抜く方向に力を加えればこそチップTIが円滑に脱去される。
【0021】
本発明は、このようにチップTIをクランピングしてねじることと同時に、取って引き抜く動作が連続して行われ得るようにするチップ脱去装置500を提供する。
【0022】
図1乃至
図8に示したように、本発明のチップ脱去装置500は、水平を維持するメインプレート610に結合され、溶接ガンのフィンガー10に結合されたチップTIが挿入される第1の挿入孔110が形成されたチップ配置台100と、前記チップ配置台100の底面に回転可能に配置され、前記第1の挿入孔110を通じて挿入されたチップTIの外周面を圧迫してクランピングし、クランピングされたチップTIを回転させて溶接ガンから脱去させるチップ脱去ユニット200と、および前記チップ脱去ユニット200を付勢された状態で回転可能に収容するハウジング400と、を含む。
【0023】
説明に先立ち、本発明のチップ脱去装置500の一番の特徴は、溶接ガンのチップTIを分離するチップ脱去ユニット200の構造を改善することで作動不良およびメンテナンスが容易に行われることができるようにすることである。
そして、後述する構造を付勢するかまたは弾性を付与する部材は、圧縮バネSを例えて説明し、弾性を有する部材であれば、その種類を限定しない。
また、各構造間の結合のために提供される結合ボルトBは長さおよび種類に限定を置かず、同一の符号を付与する。
【0024】
図1に示されたように、本発明のチップ脱去装置500は、メインプレート610を通じてチップTI交換装置に設置されており、一側には、チップTIを順次に溶接ガンへ供給するためのチップ装着部620が配置されており、他側には、チップ脱去装置500の後述する一対のレバー230を回動させるために動力を付与する動力源としてシリンダ630が備えられている。
【0025】
また、メインプレート610の底部には、チップTIが挟み込まれた溶接ガンの方向性に対応できるようにメインプレート610の水平傾きを操作するためのセンター調整機構640が備えられている。
【0026】
本実施例においては、チップTI交換装置の一部構成であるチップ脱去装置500に特徴があるところ、チップ装着部620、メインプレート610およびセンター調整機構640に関する説明は省略することとする。
【0027】
先ず、後述することになるチップ脱去ユニット200は、同一の構造を有する一対で構成され、
図3および
図5に示されたように、ハウジング400の内部で上側と下側にそれぞれ離隔するように配置され、少なくとも一つの弾性部材402によって支持される。
この時、弾性部材402は、圧縮の際に反発力を発生させる圧縮バネSであることが好ましい。
【0028】
一方、図面上のハウジング400の上側に配置されるチップ配置台100は、メインプレート610との結合のために四角の形状を維持しており、ハウジング400の下側に配置されるチップ配置台100は、ハウジング400との結合のためにハウジング400と対応する円型の形状を維持している。
【0029】
本実施例においては、一対のチップ脱去ユニット200が同一の構造であることによって説明の混線の防止のために、図面上の上側に配置されたチップ脱去ユニット200を対象として説明することとする。
チップ配置台100は、所定の面積を有する四角板状の形態で水平を維持するメインプレート610に結合される。
チップ配置台100の中心部には、溶接ガンのフィンガーに結合されたチップTIが収容されて挿入(貫通)され得るように、図面上の垂直方向に向く円型の第1の挿入孔110が形成されている。
【0030】
チップ脱去ユニット200は、溶接ガンのフィンガー10によってチップ脱去ユニット200に収容されたチップTIをフィンガー10から分離するためのものであって、チップ配置台100の底面に回転可能に配置されてチップ配置台100の第1の挿入孔110を通じて挿入されたチップTIの外周面を圧迫してクランピングし、クランピングされたチップTIをチップTIが挿入された軸線方向を中心に回転させて溶接ガンのフィンガー10からチップTIを脱去させる。
【0031】
このためのチップ脱去ユニット200は、
図2乃至
図8に示されたように、回転ボディ210、圧迫ラッチ220、レバー230および固定カバー240を含む。
【0032】
回転ボディ210は、後述するハウジング400の内部直径に対応する所定の厚さを有する円型を維持しており、ハウジング400の内部で弾性部材402によって付勢された状態で配置される。
【0033】
回転ボディ210の図面上の上部板面には圧迫ラッチ220およびレバー230が収容できるように段差のある収容溝212が形成されており、この収容溝212は、圧迫ラッチ220およびレバー230がそれぞれ回動が行われ得るように、回動半径に対する特定された空間を有するように形成される。
【0034】
この時、収容溝212の一方には、
図4および
図6に示されたように後述するレバー230の一側と接触され、レバー230の初期位置を維持させる所定の傾斜を有する位置固定片212aが形成され、位置固定片212aから図面上の上側方向に垂直に折り曲げられて圧迫ラッチ220によるチップTIクランピングの後に回動するレバー230の回動力が回転ボディ210へ伝達されるようにすることで、回転ボディ210がレバー230と連動して回転されるようにする接触片212bが形成される。
【0035】
すなわち、収容溝212の位置固定片212aと接触片212bは、チップTIの抜歯後にレバー230の初期位置が常時的に維持できるようにし、レバー230と回転ボディ210がともに駆動されるようにすることで後述するチップ抜歯手段215によるチップTIの抜歯が行われ得るようにする。
【0036】
加えて、回転ボディ210の板面中心部には、チップ配置台100の第1の挿入孔110を通過したチップTIが挿入できるように回転ボディ210を垂直に貫通する第2の挿入孔211が形成されている。
【0037】
そして、第2の挿入孔211の一側には、後述するラッチの歯部221が第2の挿入孔211の内側に進入できるように収容溝212と連通する開口部211aが形成されている。
【0038】
圧迫ラッチ220は、所定の長さを有するバー(bar)の形状を維持しており、
図4および
図6に示されたように、回転ボディ210の収容溝212上で長手方向の一側(図面上左側)が第1の回動ピンP1を通じて設置されて収容溝212上で回動するようになる。
【0039】
圧迫ラッチ220の長手方向の他側(図面上右側)には、チップ配置台100の第1の挿入孔110を通じて回転ボディ210の第2の挿入孔211に挿入されたチップTIの外周面を圧迫してチップTIをクランピングするための歯部221が形成されており、この歯部221は、チップTIの外周面を食い込むことができるように複数個の尖る山で形成されている。
【0040】
そして、歯部221と隣接した圧迫ラッチ220の他側末端部には、圧迫ラッチ220が後述するレバー230によって回動されてチップTIをクランピングした後、レバー230の圧迫が解除されるとき、圧迫ラッチ220の復元がなされるように歯部221側を付勢する圧縮バネSが配置される。
【0041】
レバー230は、所定の長さを維持した状態で
図4および
図6に示されたように、一側は、回転ボディ210の収容溝212に収容された状態で第2の回動ピンP2によって回動可能に設置され、他側は、後述するハウジング400の外側に露出されている。
【0042】
この時、第2の回動ピンP2は、
図6に示されたように、回転ボディ210の軸線と所定距離Tに離隔するように配置されることが好ましく、これは、第2の回動ピンP2と回転ボディ210の軸線を異に配置することで、レバー230の一次的な自体回動と回転ボディ210とともに回動する二次的な回動が連続的に行われ得るようにするためである。
【0043】
すなわち、レバー230が回転ボディ210の回転に影響を及ぼしていない状態で、第2の回動ピンP2を中心として一次自体回動を通じて圧迫ラッチ220を回動させて歯部221がチップTIを圧迫してクランピングするようにし、レバー230の二次回動が行われるとき、レバー230が回転ボディ210の接触片212bと接触された状態であることで、自体回動はこれ以上行われず、回転ボディ210へ回動力が伝達されるため、クランピングしたチップTIとともに回転ボディ210を後述するハウジング400の内部上で回転させることである(
図8を参照)。
【0044】
正確に、レバー230の一次自体回動は、回転ボディ210の接触片212bと接触されるまで回動されつつチップTIを圧迫してクランピングし、二次回動は、レバー230が接触片212bを押しつつ回転ボディ210の回転が行われ得るようにすることで、後述するチップ抜歯手段215の動作が具現できるようにすることである。
【0045】
さらに、レバー230の自体回動は、
図5に示されたように、ハウジング400の内部に配置されて各回転ボディ210を付勢する弾性部材402の反発力による回転ボディ210とチップ配置台100との間の摩擦の影響によってさらに安定的に行われるようになる。
【0046】
上記のようなレバー230の動作が行われ得るように、レバー230の図面上の左側末端部には、レバー230の回動時に圧迫ラッチ220の歯部221が形成された部位と接触された状態で、圧迫ラッチ220をプッシングして回動させることで、歯部221が回転ボディ210の第2の挿入孔211の開口部211aに進入されて第2の挿入孔211に挿入されたチップTIのクランピングが行われるように圧迫ラッチ220の方向に向く所定の曲面を有するプッシングカム231が形成されている。
【0047】
加えて、レバー230の他側には、
図1に示されたように、レバー230を回転ボディ210の収容溝212上で回動が行われ得るようにする動力源として流体圧力によって作動するシリンダ630が配置され、レバー230の他側末端部がシリンダ630のロード630aとリンクで連結される。
【0048】
このようになれば、レバー230は、シリンダ630ロード630aの移動によって第2の回動ピンP2を中心として回転ボディ210の収容溝212上で回動するようになる。
【0049】
固定カバー240は、回転ボディ210の上面に配置されて上面をカバーすることで、収容溝212に収容された圧迫ラッチ220とレバー230が外部へ露出することを遮断し、圧迫ラッチ220とレバー230の安定した回動が行われ得るようにする。
また、固定カバー240の中心には、第1の挿入孔110を通じて第2の挿入孔211に挿入されるチップTIが貫通する貫通孔241が形成されている。
【0050】
加えて、固定カバー240の外側周は、
図2および
図4に示されたように、回転ボディ210の上面周に複数個で形成された、後述するガイドカム214が露出され得るようにガイドカム214の内側面と対応する形状を有する溝(符号なし)が形成される。
【0051】
一方、チップ脱去ユニット200には、クランピングされたチップTIが回転ボディ210によって回転する間、溶接ガンのフィンガー10から分離されるようにするチップ抜歯手段215が用意される。
【0052】
チップ抜歯手段215は、
図4および
図7に示されたように、回転ボディ210の上面に周に沿って突出するように形成され、所定の長さの傾斜を有する複数個のガイドカム214と、チップ配置台100の底面に配置された状態でチップ配置台100と回転ボディ210が結合されるとき、ガイドカム214の表面と接触されて転がり運動する複数個のローラー213で構成される。
【0053】
この時、ガイドカム214は、回転ボディ210の上面周に沿って突出するように2つに形成されており、ガイドカム214の傾斜は同一の円周方向に向くように形成されている。
【0054】
本実施例においては、ガイドカム214が回転ボディ210に2つが形成されたものと示したが、これに限定されず、回転ボディ210の形状および構造に応じて2つまたは3つ以上に形成されてもよい。
【0055】
ローラー213は、ガイドカム214の表面と線接触が行われ得るように円筒のバー(bar)の形状をなしており、
図7に示されたように、チップ配置台100の底面に形成された溝(符号なし)に挿入された状態でガイドカム214の傾斜面に支持されて転がり運動するようになる。
【0056】
上記のようなチップ抜歯手段215は、
図7に示されたように、回転ボディ210がクランピングされたチップTIとともに回転するとき、回転するガイドカム214の傾斜面が転がり運動するローラー213によって漸進的に押されるようにすることで、結局、回転ボディ210を後述するハウジング400の内側に収容させて溶接ガンのフィンガー10に結合されたクランピングされたチップTIの脱去が行われるようにする。
【0057】
ハウジング400は上、下が開口された円筒の形状で結合ボルトBを通じてチップ配置台100と結合され、
図2および
図3のように、内部で一対のチップ脱去ユニット200を付勢された状態で回転可能に収容する。
【0058】
ハウジング400の一面の上、下には、一対のチップ脱去ユニット200の各構成のうちシリンダ630との連結のために、各レバー230が外部に露出するように、シリンダ630によってレバー230の回動が第2の回動ピンP2を中心として行われるとき、レバー230の設定された回転半径を制御する一対の回動溝401が形成されている。
【0059】
以下、添付の図面を参照して、本発明によるチップ脱去装置500を利用して溶接ガンのチップTIが脱去(分離)される過程を説明すれば、次のとおりである。
説明に先立ち、一対のチップ脱去ユニット200のうち図面上の上側に配置されたチップ脱去ユニット200の駆動を例えて説明する。
先ず、入れ替え対象になる溶接ガンのフィンガー10に結合されたチップTIをチップ配置台100の第1の挿入孔110に挿入する。
【0060】
この時、チップTIは、
図5に示された点線のように、チップ配置台100の第1の挿入孔110と固定カバー240の貫通孔241および回転ボディ210の第2の挿入孔211を貫通して配置される。
【0061】
チップTIの挿入が完了すれば、シリンダ630が駆動してロード630aを移動させることによって、レバー230を
図8(a)の状態で矢印方向に
図8(b)のように回動させる一次回動が行われるようにし、この過程で挿入されたチップTIがクランピングされる。
この時、レバー230の回動は、回転ボディ210の接触片212bと接触されるまで行われる。
そして、レバー230は、第2の回動ピンP2を中心として自体回転するため、回転ボディ210の回転には影響を与えない。
【0062】
また、レバー230が回動する過程でプッシングカム231が圧迫ラッチ220を図面上の下側方向に圧迫することによって圧迫ラッチ220が
図8(b)のように圧縮バネSの付勢されながら回動するようになり、この過程で、圧迫ラッチ220の歯部221がチップTIの外周面に強力に押込まれることで、
図8(b)のように圧迫ラッチ220を通じたチップTIのクランピングを完了する。
その後、レバー230は、シリンダ630のさらに増加された負荷によって
図8(b)に示された矢印方向に二次回動を開始するようになる。
【0063】
この時、レバー230は一側が
図8(b)のように接触片212bと接触された状態であることによって、二次回動時に接触片212bを押しながら回転ボディ210を
図8(c)のように最大値に回転させる。
【0064】
レバー230の二次回動が行われる過程で、チップ抜歯手段215のローラー213は、
図7(a)の状態で回転ボディ210が回転するとき、ガイドカム214の傾斜面に乗って転がり運動するため、ガイドカム214が漸進的に押されるようにすることで、回転ボディ210を
図7(b)に示された間隔tだけハウジング400の内部で矢印方向に下降させる。
【0065】
この過程で、圧迫ラッチ220によってクランピングされたチップTIが回転ボディ210の下降と連動することによって溶接ガンのフィンガー10から脱去される。
【0066】
ここで、一対のチップ脱去ユニット200の各レバー230が
図2に示されたように、一つのロード630aに結合された状態であることによって駆動が同時に行われることはもちろん、もし、単一のチップ脱去ユニット200の駆動を所望する場合には、ロード630aに単一のレバー230のみ連結すれば可能である。
【0067】
その後、ロード630aがシリンダ630の駆動によって初期位置に復帰すれば、レバー230および圧迫ラッチ220もともに連動して
図8(a)のように初期位置に復帰しつつ溶接ガンのフィンガー10から脱去されたチップTIを排出するようになる。
【0068】
これまで述べられたように、本発明のチップ脱去装置は、ロボット溶接機の溶接ガン末端部に設置されたチップを機械的に分離するチップ脱去ユニットの機械的な構造を単純化させることで、従来のような複雑な構造によって発生する作動不良を根本的に遮断すると同時に、メンテナンスが容易に行われ得る卓越な効果がある。
【符号の説明】
【0069】
10 フィンガー
100 チップ配置台
110 第1の挿入孔
200 チップ脱去ユニット
210 回転ボディ
211 第2の挿入孔
211a 開口部
212 収容溝
212a 位置固定片
212b 接触片
213 ローラー
214 ガイドカム
215 チップ抜歯手段
220 圧迫ラッチ
221 歯部
230 レバー
231 プッシングカム
240 固定カバー
241 貫通孔
400 ハウジング
401 回動溝
402 弾性部材
500 チップ脱去装置
610 メインプレート
620 チップ装着部
630 シリンダ
630 うちシリンダ
630a ロード
630a 630ロード
640 センター調整機構