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特開2024-67034臨床試験実施計画を策定するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067034
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】臨床試験実施計画を策定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240509BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014318
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2021504818の分割
【原出願日】2019-08-08
(31)【優先権主張番号】62/716,019
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521036861
【氏名又は名称】リ,ゲン
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ゲン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】臨床試験実施計画を策定するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】疾患または疾病に関するターゲット臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定するためのシステムは、多数の選択されたパラメータを得るために、サブデータベースにおけるパラメータを選択する工程と、望ましい値を決定するために、選択されたパラメータについて、分析を実施する工程と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患または疾病に関するターゲット臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定するためのシステムであって、前記システムは:
記憶装置;
演算装置;
出力装置;および、
入力装置、を含み、それらすべては連携して動作可能であり、
ここで、フィルタリング・パラメータのセットを含むフィルタは、前記入力装置を介して提供され;
ここで、前記フィルタは、前記記憶装置において、サブデータベースを作成するために、臨床試験についての履歴データを含むマスターデータベースに適用され、前記サブデータベースは、前記疾患または前記疾病に関する臨床試験についての履歴データを含み、および後の分析のための十分なデータを有し、
ここで、前記演算装置は、
a)多数の選択されたパラメータを得るために、前記サブデータベースにおけるパラメータを選択する工程と、
b)望ましい値を決定するために、選択されたパラメータについて、分析を実施する工程であって、ここで、前記分析は、
1)選択されたパラメータに関連付けられる値がサブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を決定するための、頻度分析と、
2)選択されたパラメータに関連付けられる、ある値を選択することに関連付けられるリスク、または、複数の値の選択に関連付けられるリスクを定量化するための、定量分析であって、ここで、前記複数の値の各々は、前記選択されたパラメータのうちの1つに関連付けられ、ここで、選択されたパラメータおよび許容可能なリスクに関連付けられた値は望ましい値であり、および、ここで、望ましい値を持つ1つ以上の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを決定する、定量分析と、を含む、工程と、を実行し;および、
ここで、前記出力装置は、前記組み入れ/除外基準のセットを伝達し、および表示する、システム。
【請求項2】
前記フィルタは、疾患/障害の型/段階、年齢、性別、臨床試験のフェーズ、国、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択される、少なくとも1つのパラメータを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記頻度分析における前記頻度は、
【数1】
または、
【数2】
によって計算され、ここで、Nx=aiは、パラメータの値(x)がa(i≦p)である臨床試験の数を指し、
【数3】
および、
【数4】
であり、ここで、pは、サブデータベース中のそのようなパラメータのための値の総数であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記定量分析は、1つ以上の選択されたパラメータのために異なる値を試した結果として生じる、1つ以上の特徴における変化を分析し;ここで、前記1つ以上の特徴は、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の特徴における前記変化は、変数の間の関係を定量的に記載する方程式を使用することにより評価されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記方程式は、
GSER=a*ebN+c、および、
GSER=a*N+c、
からなる群から選択され、ここで、a、b、および、cは、前記サブデータベース中の前記臨床試験のための定数であり、前記サブデータベース中のすべてのデータの回帰分析によって決定することができることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記組み入れ/除外基準のセットを持った臨床試験に対応する点と、前記方程式に対応する曲線との間の隔たりは、前記臨床試験のリスクを定量的に記載するために使用されることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記望ましい値の1つ以上は、前記サブデータベース中の前記臨床試験において最も頻繁に使用されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
非小細胞肺癌に関する第2相臨床試験のための前記方程式は、
【数5】
であることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
工程a)において選択されたパラメータの1つ以上は、前記サブデータベース中の臨床試験の少なくとも50%において使用されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
疾患または疾病に関する臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定する方法であって、前記方法は:
a)サブデータベースを作成するために臨床試験についての履歴データを含んでいるマスターデータベースにフィルタを適用する工程であって、ここで、前記フィルタはフィルタリング・パラメータのセットを含み、および、前記サブデータベースは前記疾患または疾病に関連する臨床試験を包含し、および、後の分析のための十分なデータを有している、工程と、
b)多数の選択されたパラメータを得るために前記サブデータベース中の前記臨床試験からターゲット臨床試験の目標に適合するパラメータを選択する工程と;
c)前記選択されたパラメータの望ましい値を決定するために分析を行なう工程であって、ここで、前記分析は:
1)選択されたパラメータに関連付けられる値が前記サブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を判定するための、頻度分析と、
2)そのような選択されたパラメータのためにある値を選択することに関連付けられるリスク、またはそのような複数の選択されたパラメータのために複数の値を選択することに関連付けられるリスク、を定量化するための、定量分析であって、ここで、前記複数の値の各々は、前記選択されたパラメータのうちの1つに関連付けられ、ここで、選択されたパラメータおよび許容可能なリスクに関連付けられた値は望ましい値であり、および、ここで、望ましい値を持つ複数の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを決定する、定量分析と、を含む、工程と、
d)前記組み入れ/除外基準のセットを出力する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
前記フィルタは、少なくとも1つのパラメータであって、疾患/障害の型/段階、年齢、性別、臨床試験のフェーズ、国、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択される、少なくとも1つのパラメータを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記頻度分析における前記頻度は、
【数6】
または、
【数7】
によって計算され、ここで、Nx=aiは、パラメータの値(x)がai(i≦p)である臨床試験の数を指し、
【数8】
および、
【数9】
であり、ここで、pは、サブデータベース中のそのようなパラメータのための値の総数であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記定量分析は、異なる値を試した結果として1つ以上の特徴において生じる変化を定量的に分析することにより行なわれ、ここで、前記1つ以上の特徴は、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上の特徴における前記変化は、変数の間の関係を定量的に記載する方程式を使用することによって評価されることを特徴とする、請求12に記載の方法。
【請求項16】
前記方程式は、
GSER=a*ebN+cおよび、GSER=a*N+c、
からなる群から選択され、ここで、a、b、および、cは、前記サブデータベース中の前記臨床試験のための定数であり、前記サブデータベース中のすべてのデータの回帰分析によって決定することができることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組み入れ/除外基準のセットを持った臨床試験に対応する点と、前記方程式に対応する曲線との間の隔たりは、前記臨床試験のリスクを定量的に記載するために使用されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記望ましい値の1つ以上は、前記サブデータベース中の臨床試験において最も頻繁に使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
非小細胞肺癌に関する第2相臨床試験のための前記方程式は、
【数10】
であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
工程b)において選択される前記パラメータの1つ以上は、前記サブデータベース中の臨床試験の少なくとも50%において使用されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
疾患または疾病に関する臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定するためのシステムであって、前記システムは:
臨床試験についての履歴データを含むマスターデータベースを包含している記憶装置; 演算装置;
出力装置;および、
入力装置、を含み、それらすべては連携して動作可能であり、
ここで、フィルタが前記入力装置を介して提供され;ここで、前記記憶装置においてサブデータベースを作成するために、前記演算装置は前記マスターデータベースに前記フィルタを適用し、前記サブデータベースは、前記疾患または疾病に関する臨床試験を包含し、および後の分析のための十分なデータを有し、ここで、前記演算装置は、
a)目標に適合する多数の選択されたパラメータを得るために、前記サブデータベースにおいてパラメータを選択する工程と、
b)望ましい値を決定するために、前記選択されたパラメータについて分析を実施する工程と、を実行し、ここで、前記分析は、
選択されたパラメータに関連付けられる値が前記サブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を決定するための、頻度分析を含んでおり、ここで、前記サブデータベース中の臨床試験において最も頻繁に使用される値が、選択されたパラメータの望ましい値として選択され、および、ここで、望ましい値を持つ複数の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを定義する、分析であり、
ここで、前記出力装置は、前記組み入れ/除外基準のセットを伝達し、および表示する、システム。
【請求項22】
選択されたパラメータの1つ以上は、前記サブデータベース中の臨床試験の少なくとも50%において存在することを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/716,019号の利益を主張する。前述の出願の内容と開示のすべては参照により本出願の中へ組み込まれる。
【0002】
本出願の全体にわたって、様々な刊行物が引用される。これら刊行物全体における開示は、本発明が関係する最先端技術をより十分に記載するために本出願への引用によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、臨床試験実施計画の策定(具体的には組み入れ/除外基準)に関する。
【背景技術】
【0004】
臨床試験は医薬品産業において重要な役割を果たす。それらは新しい治療のための安全で効果的な使用の基礎である。臨床試験は医薬開発の最終段階であり、多くがそれらの結果の質および解釈性に左右される。意外にも、毎年何千もの臨床試験が行なわれているにもかかわらず、それらは、しばしば試験を早期に中断させる共通の理由である不十分な患者登録によって予想されたより長くかかる。臨床試験が困難に陥る理由は通常単純である:研究現場が計画どおりに患者を登録しておらず、または、登録すべき患者を見つけることがまったくできていない。患者登録の困難さの根本的原因は、はるかに複雑であり、難解である。従って、患者登録に影響を与える多数の変数を統合的に評価するための革新的なプラットホームを利用できることはとても望ましいことである。これらの変数は、通常以下の大範疇のうちの1つに入る:
・被験体の登録は競合する試験へと流れているか、または流れていきそうか;
・実施計画の策定、および実施計画が実現可能かどうかの評価;
・研究現場は、他の類似の試験と同程度で試験を行なったことがあるかどうか;
・サイト・アクティベーション計画の実行;
・上記の質問に対する答えを踏まえて、計画された登録曲線は現実的かどうか。
【0005】
本発明は、標的とする患者集団に基づいた実現可能な実施計画の策定および/または評価のための技術的な解決策をもたらす。
【0006】
それぞれの臨床試験は実施計画により誘導される。組み入れ/除外基準の決定は実施計画設計の重要な構成要素である。一般的に、組み入れ/除外基準は、年齢、性別、疾病の徴候の詳細などの基準を含む。組み入れ/除外基準はユーザーが患者集団を決定するのを支援する。例えば、糖尿病の実施計画は、通常、血液中のヘモグロビンA1c濃度などの関連する生化学パラメータを含む。現在の臨床開発の実際では、図1に示されるように、実施計画の患者組み入れ/除外基準のセットの決定は、実施計画の策定に対して責任を負う医療専門家の経験、および、臨床試験を後援する臨床開発組織の制度上の学びに大きく依存している。慣例では、実施計画を策定するために長い期間(例えば6~12か月)が必要であり、多くの場合それは決定的でなく、および、一貫性がなく、そのため、いくつもの実施計画修正ラウンドが生じる。そのことは、実施計画の設計が執行のプロセスの間に修正されるに違いないことを意味する。これは財政的に犠牲が大きく、かつ臨床試験が最終結論(統計仮説のセットに対する、承認または却下のいずれか)に達するための時間を有意に遅らせる。加えて、異なるバックグラウンドがある、または異なる訓練を積んだ多数の人々の経験(またはその他のソース)に基づいて組み入れ/除外基準を決定することは、最終成果物、すなわち、実施計画を臨床試験の目標からかけ離れたものにする恐れがある。それは、臨床試験全体の失敗に結びつくことさえある。さらに、参考文献、専門家の見解、および臨床試験の目標などの様々なソースからのインプットを標準化する定量的方法は存在しない。従って、臨床試験の実施計画の策定に関して、統合的な方法において多数の変数を一貫して確実に評価するための、革新的なプラットホームに対する差し迫ったニーズがある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、臨床試験の実施計画を策定するための、具体的には、標的とする患者集団の決定に使用される組み入れ/除外基準を策定するための方法およびシステムを提供する。
【0008】
一実施形態では、本発明は、定量分析に基づいて組み入れ/除外基準を策定する、および/または、最適化するための方法およびシステムを提供する。
【0009】
一実施形態では、本発明は、疾患または疾病に関するターゲット臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定するためのシステムを開示し、該システムは:
記憶装置;
演算装置;
出力装置;および、
入力装置、を含み、それらすべては連携して動作可能であり、
ここで、フィルタリング・パラメータのセットを含むフィルタは、入力装置を介して提供され;
ここで、フィルタは、記憶装置において、サブデータベースを作成するために、臨床試験についての履歴データを含むマスターデータベースに適用され、前記サブデータベースは、前記疾患または疾病に関する臨床試験についての履歴データを含み、および後の分析のための十分なデータを有し、ここで、演算装置は、
a)多数の選択されたパラメータを得るために、サブデータベースにおけるパラメータを選択する工程と、
b)望ましい値を決定するために、選択されたパラメータについて分析を実施する工程であって、該分析は、
1)選択されたパラメータに関連付けられる値がサブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を決定するための、頻度分析と、
2)選択されたパラメータに関連付けられる、ある値を選択することに関連付けられるリスク、または複数の値を選択することに関連付けられるリスクを定量化するための、定量分析であって、ここで、前記複数の値の各々は、前記選択されたパラメータのうちの1つに関連付けられ;ここで、選択されたパラメータおよび許容可能なリスクに関連付けられた値は望ましい値であり、および、ここで、望ましい値を持つ1つ以上の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを定義する、定量分析と、を含む、工程と、を実行し;および、
ここで、出力装置は、組み入れ/除外基準のセットを伝達、および表示する。
【0010】
一実施形態では、後の分析のために必要とされる十分な臨床試験の数、および患者の数は、統計的に意味のある結果に到達するような分析を行なうのに十分なデータがあることを意味する。一実施形態では、後の分析のために必要とされる十分な数は、研究中の疾患または疾病、臨床試験の履歴データ、およびターゲット臨床試験の目標などの他の因子に左右される。しかしながら、「十分な」、「十分さ」の解釈、および他の相当語は、制限することなく、本発明の実施例において典型的に示されるような範囲を含むものとする。
【0011】
一実施形態では、本発明は、疾患または疾病に関するターゲット臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定する方法を開示し、該方法は:
a)サブデータベースを作成するために、臨床試験についての履歴データを含んでいるマスターデータベースにフィルタを適用する工程であって、ここで、フィルタはフィルタリング・パラメータのセットを含み、および、前記サブデータベースは、前記疾患または疾病に関する臨床試験を包含し、および後の分析のための十分なデータを有する、工程と、
b)多数の選択されたパラメータを得るためにサブデータベース中の臨床試験からターゲット臨床試験の目標に適合するパラメータを選択する工程と;
c)選択されたパラメータの望ましい値を決定するために分析を行なう工程であって、ここで該分析は、
1)選択されたパラメータに関連付けられる値がサブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を判定するための、頻度分析と、
2)そのような選択されたパラメータのためにある値を選択することに関連付けられるリスク、またはそのような複数の選択されたパラメータのために複数の値を選択することに関連付けられるリスク、を定量化するための、定量分析であって、ここで、前記複数の値の各々は、選択されたパラメータのうちの1つに関連付けられる、定量分析と、を含む分析であり;ここで、選択されたパラメータおよび許容可能なリスクに関連付けられた値は、望ましい値であり、および、ここで、望ましい値を持つ複数の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを定義する、工程と、
d)組み入れ/除外基準のセットを出力する工程と、を含む。
【0012】
要約すると、本発明は、定量的に履歴データを分析することによって、実行可能な臨床試験実施計画を策定または設計するための方法およびシステムを提供する。一実施形態では、本発明は、組み入れ/除外基準として使用される選択されたパラメータのセットのために値を判定するための方法およびシステムを提供する。一実施形態では、本発明は、定量分析に基づいて組み入れ/除外基準を策定および/または最適化するための方法およびシステムを提供する。一実施形態では、本発明は、臨床試験の目標を潜在的リスクの定量分析と整合させる方法およびシステムを開示する。一実施形態では、本発明は、一貫性、客観性、証明可能性を備えた、および短期間内に納まる、信頼できる高品質の臨床実施計画のための最終的な組み入れ/除外基準を速やかに策定することができる方法およびシステムを開示する。一実施形態では、方法およびシステムは、2か月未満の期間内の臨床実施計画のために最終的な組み入れ/除外基準を設定することができる。一実施形態では、方法およびシステムは、1か月未満の期間内の臨床実施計画のために最終的な組み入れ/除外基準を設定することができる。一実施形態では、疾患または疾病は、代謝病または疾患、呼吸器疾患・疾患、または神経疾患・疾患、およびランダム化臨床試験によって研究される他の疾患または疾病である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】当該技術分野において、臨床試験の設計のために典型的に使用されるプロセスを概略的に説明するダイヤグラムである。
図2】本発明の一実施形態による、サブデータベースの作成を示す。
図3A】本発明の一実施形態による、パラメータの選択とモード値の決定を示す。
図3B】本発明の一実施形態による、パラメータの選択と望ましい値の決定を示す。
図4A】本発明の一実施形態による、隔たり(distance)の典型的な計算を示す。
図4B】本発明の一実施形態による、隔たりの典型的な計算を示す。
図5】一実施形態による、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)スコアによるベースラインにおける患者の分布を示す。
図6A】第2相NSCLC臨床試験についての総現場登録率(Gross Site Enrollment Rate)(GSER)と研究現場数(the number of Investigator Sites)(N)の関係を示すバブルチャートである(バブル/円のサイズは、臨床試験における登録サイクルタイム(enrollment cycle time)(ECT)を示す)。
図6B】第2相NSCLC臨床試験についてGSERとNの関係を定量的に記載する式を示す。
図7A】第2相NSCLC臨床試験と同じセットについてGSERとNの関係を示すGSERバブルチャートである(バブル/円のサイズは臨床試験における登録サイクルタイム(ECT)を示す)。
図7B】GSERとNの関係を定量的に記載する式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、臨床試験実施計画を、具体的には、標的とされる患者集団を決定するために使用される組み入れ/除外基準を、策定するための方法とシステムを提供する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、定量分析に基づいて組み入れ/除外基準を策定する、および/または最適化するための方法およびシステムを提供する。一実施形態では、本発明は、臨床試験の目標を潜在的リスクの定量分析と整合させることを可能にする。一実施形態では、臨床試験の目標の1つは、総現場登録率(GSER)、および現場有効性指標(Site Effectiveness Index)(SEI)などの他の因子をほとんど熟考せずに、短期間の内に患者の登録を完了することである。一実施形態では、臨床試験の目標のうちのいくつかは、ある範囲内に予算を維持するように、GSERとSEIの比較的高いレベルを確かなものにすることである。一実施形態では、ターゲット臨床試験の目標は、複数の因子に異なる重みを割り当てることによって、それらを均衡させることである。
【0016】
一実施形態では、サブデータベースを作成するために、実施計画が策定される臨床試験の目標および特徴に適合するプリセットパラメータを包含しているフィルタは、マスターデータベースに適用される。一実施形態では、図2に表現されるように、目標が完全に達成されたことをサブデータベースが表現するまで、フィルタはさらに調節される。一実施形態では、サブデータベースが得られない可能性があり、そのことは、元々計画されたような目標の達成がいくつかの困難または高いリスクにさらされており、目標のうちのいくつかをさらに調節する必要があるかも知れないことを示している。一実施形態では、サブデータベースは、統計解析のために十分なデータと情報を含む。一実施形態では、サブデータベースは、統計的に有意な分析結果を提供するために十分な数の臨床試験を包含している。一実施形態では、サブデータベースが、大きいデータ量、それも必要であると考えられるよりもはるかに多くのデータ量を包含している時、後の分析は、適切な量の、最も関連の深い、および/または、最近の、データ/情報を用いて行なわれる。
【0017】
一実施形態では、サブデータベースの作成のために使用されるフィルタに含まれるパラメータは、限定されないが、疾患/障害の型/段階、患者の年齢と性別、臨床試験のフェーズ、国、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム(ECT)、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(Adjusted Site Enrollment Rate)(ASER)、を含む。一実施形態では、フィルタはユーザーによってプリセットされる。一実施形態では、フィルタの1つ以上のパラメータは、ターゲット臨床試験の目標の点から見てさらに修正される。一実施形態では、フィルタの1つ以上のパラメータは、後の1つの分析(複数の分析)のために十分なデータが得られるようにさらに修正される。
【0018】
一実施形態において、組み入れ/除外基準は、図3Aまたは図3Bで示すように、サブデータベースから生成される。まず、頻度または定量分析は、パラメータが含まれるべきかどうかを決定する。次に、後の頻度および/または定量分析によって値が決定される。一実施形態において、望ましい値(選択される値)は、モード値に等しい。一実施形態では、サブデータベース中の臨床試験の少なくとも50%において使用されるパラメータは、そのような組み入れ/除外基準のために選択される。一実施形態では、あるパラメータがターゲット臨床試験の目標に適合する場合、すなわち、そのようなパラメータ選択に関連付けられるリスクが許容可能である場合、50%より少ない臨床試験でしか使用されていなくても、それは選択されてもよい。一実施形態では、許容リスクは、定量分析によって定量化されるようなリスクのレベルを指し、それはターゲット臨床試験の目標の点から見て所望のレベルまたは範囲内にある。一実施形態では、ターゲット臨床試験の目標には様々な優先事項があってもよく、例えば、スポンサーが患者の登録を完了する時間を最優先事項としてもよく、および、全体費用について敏感にならなくてもよい。
【0019】
一実施形態では、定量分析は、サブデータベース中の臨床試験の結果(特徴)をベースラインにおける臨床試験の結果に対して比較することにより行なわれる。一実施形態では、統計的な意味のある関係が確立可能であるために、十分なデータがある。一実施形態では、定量可能な結果は、制限することなく、下記の1つ以上を含む:患者数、研究現場の数(N)、登録サイクルタイム(ECT)、総現場登録率(GSER)、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)。
【0020】
本明細書に使用されるように、現場有効性指標(SEI)は以下のように決定され、
【0021】
【数1】
式中、Etは、現場iが患者登録を締め切った時間(日付)であり、Stは、現場iが患者登録を開始した時間(日付)であり、Nmaxは、研究(試験)の患者の登録中に登録を開始した研究現場の最大数であり、Etは、臨床研究(試験)が患者登録を締め切った時間(日付)であり、Stは、臨床研究(試験)が患者登録を開始した時間(日付)であり、Etは、臨床研究(試験)が患者登録を終了した時間(日付)である。
【0022】
一実施形態では、登録サイクルタイム(ECT)、すなわち登録開始日から始まり、登録締切日で終了する期間(Et-St)の数式は以下とおりであり、
登録サイクルタイム=総登録数/[(総現場登録率(GSER)x(研究現場の最大数(Nmax)]
式中、GSERは、とりわけサイト選択(実績)に関連するが、SEIは研究の始動(過程)に関連する。
【0023】
一実施形態では、現場有効性指標(SEI)と登録サイクルタイム(ECT)などの他の変数との関係は、
ECT=TE/[ASER x SEI x Nmax
のように記載することができ、
式中、調節済み現場登録率(ASER)は、以下のように決定され、
【0024】
【数2】
式中、TEは総登録数(Total Enrollment)である。ターゲット臨床試験が計画段階にある時、TEは、ターゲット臨床試験において登録されるべき患者の、標的とされる総数を指す。履歴データの評価にとっては、TEは臨床試験において実際に登録された患者の総数である。
【0025】
パラメータの選択
一実施形態では、本発明は、臨床試験実施計画を策定するための方法とシステムを開示する。臨床試験実施計画は様々なパラメータを含み得る。例えば、年齢下限は、ある種の臨床試験用実施計画テンプレートにパラメータとして含まれ得る。一実施形態では、本発明は、組み入れ/除外基準として選択されるべきパラメータを判定する方法とシステムを開示する。一実施形態では、パラメータが臨床試験において使用された頻度は方程式(1)によって計算され:
【0026】
【数3】
式中、Nは、そのようなパラメータを持った臨床試験の数であり、および、Nwoは、そのようなパラメータを持たない臨床試験の数である。
【0027】
一実施形態では、頻度は、方程式(2)に従い、登録した患者数の重みを検討することによって計算され:
【0028】
【数4】
であり、ここで、
【0029】
【数5】
および、f+fwo=1.0
である。
【0030】
一実施形態において、Fが0.5または50%以上である場合、当該パラメータは実施計画の策定のための1つの包含/除外パラメータ(選択されたパラメータ)として選択される。一実施形態では、あるパラメータは、そのようなパラメータを持たない結果と比較して、違いがまったく観察されないか、または非常に限られた違いしか観察さないことを定量分析が示す時、取り除かれ得る。一実施形態では、あるパラメータは、そのようなパラメータを持った結果が臨床試験の目標に適合することを定量分析が示す時、たとえそのようなパラメータが履歴上で臨床試験の50%未満においてしか使用されていなくとも、維持するか、または加えることができる。一実施形態では、そのようなパラメータ選択による大幅な利点は、限定されないが、より短いECT、より高い登録率、より明確に決定された患者集団、を含む。
【0031】
一実施形態では、本発明は、頻度(F)に従って値を位置付ける方法を開示する。
【0032】
選択されたパラメータのための値の決定
一実施形態では、選択されたパラメータのための値は頻度分析によって決定される。値aの群からパラメータ値(x)を選ぶことができるとし、ここで、iは1からpまでの範囲の整数であるとき、頻度は方程式(3)によって計算することができ:
【0033】
【数6】
式中、Nx=aiは、パラメータ値(x)がaiである臨床試験の数である。
【0034】
一実施形態では、周波数分析は重み平均頻度で、方程式(4)に従って計算することができ:
【0035】
【数7】
式中、
【0036】
【数8】
および、
【0037】
【数9】
である。
【0038】
一実施形態では、a1のパラメータ値を持つ臨床試験において登録された患者のパーセンテージは、次の式によって計算される。
【0039】
【数10】
【0040】
一実施形態では、選択されたパラメータのための値の頻度が最大の時、値は選択されたパラメータのための望ましい値として選択される。一実施形態において、望ましい値は、モード値に等しい。一実施形態では、値の調節が、ターゲット臨床試験の目標、または重要な優先度を持つある種の目標に適合するということを定量分析が示す時、値はさらに調節され得る。一実施形態では、そのような調節は、結果として、例えばより短いECT、より高いGSER、より明確に決定された母集団をもたらし得る。
【0041】
定量分析
いくつかの実施形態では、ターゲット臨床試験のために選択されたパラメータまたは組み入れ/除外基準のセットのための値を選択することのリスクは、評価または計算することができる。いくつかの実施形態において、リスクとは、選択されたパラメータ、または組み入れ/除外基準のセットのために値を選択することが、履歴データの分析に基づいた臨床試験の目標の達成に及ぼす影響を意味する。
【0042】
一実施形態では、他の何らかの値を選ぶことと比較した、ある値、例えば、モード値を選ぶことに対応するリスクは、その選択がターゲット臨床試験の目標の1つ以上の結果(特徴)に及ぼす影響によって定量化され、ここで、結果(特徴)は、限定されないが、GSER、N、ECT、SEI、と他の定量可能な測定値または結果を含む。一実施形態では、ターゲット臨床試験の目標はまた、これらの定量可能な測定値に密接に関連するか、または、そこから導き出され得る、登録の予算と臨床試験全体の予算も含む。
【0043】
一実施形態では、モード値は、最も理想的な状態、すなわちリスクが最小である状態に相当する。一実施形態では、モード値は必ずしも最も理想的状態ではない。一実施形態では、ターゲット臨床試験の1つの目標が、より短い期間(ECTの小さな値)内に患者の登録を完了することである場合、ある1つの値を選択することが、別の値よりも、より小さなECTに結びつくとき、それは低いリスクを示し;それがより大きなECTに結びつくとき、それはより高いリスクを示す。一実施形態では、ターゲット臨床試験の1つの目標が、制限された予算内、および妥当な登録期間内(典型的にはGSERの値が高く、およびNとTEの値が小さい)に患者の登録を完了することである場合、ある1つの値を選択することが、他の値よりも、ECTが妥当な登録期間内にありながらN/TEを減少させるとき、それは低いリスクを示し;他の場合には、それはより高いリスクまたは不確実性を示す。
【0044】
一実施形態では、臨床試験実施計画、具体的には、組み入れ/除外基準の各々のリスクまたは不確実性は、定量的に測定することができる。一実施形態では、研究現場(N)対、総現場登録率(GSER)のグラフは、次式によって適合され得て:
GSER=a*ebN+c、または、GSER=a*N+c、
式中、a、b、および、cは、ある疾患または疾病についての臨床試験の集合のための定数パラメータであり;bは、臨床試験の集合ための負の定数である。一実施形態では、現場レベルの登録率の最小限はcである。
【0045】
一実施形態では、GSERは、次式のように、現場有効性指標(SEI)と調節済み現場登録率(ASER)に関連する:GSER=SEI x ASER
【0046】
一実施形態では、臨床試験のためのGSERとNの関係は、サブデータベース中のすべてのデータに基づいて、GSER=a*N+cを使用する回帰分析によって得ることができ、ここで、a、b、および、cは、臨床試験のための定数パラメータである。
【0047】
一実施形態において、変数の間の関係(例えば、GSERとN)は、様々な方程式によって説明され得るが、定量分析に対して最も適合する式が選ばれる。
【0048】
一実施形態では、組み入れ/除外基準のセットを持つ臨床試験に対応する点に関連付けられるリスク(K)は、最も適合する方程式(曲線)に対する隔たりの計算によって定量的に評価される。曲線からのより長い隔たりは、より高いリスクを示す。一実施形態では、図4Aに示されるように、座標(A、B)を持つ点(P)から曲線への隔たり(D)は、次式によって計算される。
【0049】
【数11】
一実施形態では、座標(A、B)を持つ点(P)から曲線への隔たり(D)は、次式によって計算される。
【0050】
【数12】
一実施形態では、図4Bに示されるように、座標(A、B)を持つ点(P)からC=(x(t)、y(t))である曲線C上の点Qへの隔たり(D)は、次式によってされる。
【0051】
【数13】
一実施形態では、ある組み入れ/除外基準のセットを持った臨床試験に対応する座標(A、B)を持った点(P)の隔たり(D)は、曲線からの最短距離(shortest distance)である。
【0052】
いくつかの実施形態において、組み入れ/除外基準の特定のセットを持った2つ以上の臨床試験があってもよい。そのような実施形態では、曲線までの隔たりの中央値または平均は、特定の組み入れ/除外基準のセットを持つすべての臨床試験のために計算される。一実施形態では、その組み入れ/除外基準のセットに合致する履歴上の臨床試験のデータは、リスクまたは隔たりの計算に先立って、単一の点として平均化される。いくつかの実施形態では、特定の組み入れ/除外基準のセットに正確に合致する履歴上の臨床試験がなくてもよい。そのような実施形態では、特定の組み入れ/除外基準のセットと部分的に合致する履歴上の臨床試験からのデータが、リスクまたは隔たりを計算するために使用される。
【0053】
一実施形態では、隔たりの中央値は履歴データ中の点すべての分析により計算され、リスクの定量化のためにさらに使用することができる。一実施形態では、隔たりの中央値よりも長い隔たりは、中央値よりも高いリスクを示す。一実施形態では、平均に対する比較において統計的有意性を有している隔たりは、統計的に有意なリスクを示す。
【0054】
一実施形態では、2つ以上の因子間の相互作用は定量的に評価される。一実施形態では、相互作用は、選択されたパラメータを含む組み入れ/除外基準の可能なセットの各々に対応する全面的なリスクのマッピングにより評価される。一実施形態では、ターゲット臨床試験のために選択された組み入れ/除外基準の最終的なセットは、最小または許容可能なリスクを持ったものである。
【0055】
一実施形態では、本発明は、疾患または疾病に関連するターゲット臨床試験ための組み入れ/除外基準のセットの策定のためのシステムを開示し、該システムは:
記憶装置;
演算装置;
出力装置;および、
入力装置、を含み、それらすべては連携して動作可能であり、
ここで、フィルタリング・パラメータのセットを含むフィルタは、入力装置を介して提供され;
ここで、フィルタは、記憶装置において、サブデータベースを作成するために、臨床試験についての履歴データを含むマスターデータベースに適用され、前記サブデータベースは、前記疾患または疾病に関する臨床試験についての履歴データを含み、および後の分析のための十分なデータを有し、ここで、演算装置は、
a)多数の選択されたパラメータを得るために、サブデータベースにおけるパラメータを選択する工程と、
b)望ましい値を決定するために、選択されたパラメータについて分析を実施する工程であって、該分析は、
1)選択されたパラメータに関連付けられる値がサブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を決定するための頻度分析と、
2)選択されたパラメータに関連付けられる、ある値を選択することに関連付けられるリスク、または複数の値を選択することに関連付けられるリスクを定量化するための、定量分析であって、ここで、前記複数の値の各々は、前記選択されたパラメータのうちの1つに関連付けられ;ここで、選択されたパラメータおよび許容可能なリスクに関連付けられた値は望ましい値であり、および、ここで、望ましい値を持つ1つ以上の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを定義する、定量分析と、を含む、工程と、を実行し;および、
ここで、出力装置は、組み入れ/除外基準のセットを伝達、および表示する。
【0056】
一実施形態では、フィルタは少なくとも1つのパラメータを含み、ここで該パラメータは、疾患/障害の型/段落、年齢、性別、臨床試験のフェーズ、国、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択される。
【0057】
一実施形態では、頻度分析における頻度は、以下の式によって計算され、
【0058】
【数14】
または、
【0059】
【数15】
式中、Nx=aiは、パラメータ値(x)がa(i≦p)である臨床試験の数であり、
【0060】
【数16】
および、
【0061】
【数17】
であり、ここで、pはサブデータベースにおけるそのようなパラメータのための値の総数である。
【0062】
一実施形態では、定量分析は、1つ以上の選択されたパラメータについて異なる値を試した結果として生じる、1つ以上の特徴における変化を分析し;ここで、1つ以上の特徴は、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択される。
【0063】
一実施形態では、1つ以上の特徴における変化は、変数の間の関係を定量的に記載する方程式を使用することにより評価される。
【0064】
一実施形態では、方程式は、
GSER=、a*ebN+c、および、
GSER=a*N+c、
からなる群から選択され、ここで、a、b、および、cは、サブデータベース中の臨床試験のための定数であり、サブデータベース中のすべてのデータの回帰分析によって決定することができる。
【0065】
一実施形態では、組み入れ/除外基準のセットを持った臨床試験に対応する点と、方程式に対応する曲線との間の隔たりは、臨床試験のリスクを定量的に記載するために使用される。
【0066】
一実施形態では、望ましい値の1つ以上は、サブデータベース中の臨床試験において最も頻繁に使用される。
【0067】
一実施形態では、非小細胞肺癌に関する第2相臨床試験ための方程式は、
【0068】
【数18】
である。
【0069】
一実施形態では、工程a)において選択されたパラメータの1つ以上は、サブデータベース中の臨床試験の少なくとも50%において使用されている。
【0070】
一実施形態では、本発明は、疾患または疾病に関するターゲット臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定する方法を開示し、該方法は:
a)サブデータベースを作成するために臨床試験についての履歴データを含んでいるマスターデータベースにフィルタを適用する工程であって、ここで、フィルタはフィルタリング・パラメータのセットを含み、および、前記サブデータベースは、前記疾患または疾病に関する臨床試験を包含し、および後の分析のための十分なデータを有する、工程と、
b)多数の選択されたパラメータを得るためにサブデータベース中の臨床試験からターゲット臨床試験の目標に適合するパラメータを選択する工程と;
c)選択されたパラメータの望ましい値を決定するために分析を行なう工程であって、該分析は、
1)選択されたパラメータに関連付けられる値がサブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を判定するための、頻度分析と、
2)そのような選択されたパラメータのためにある値を選択することに関連付けられるリスク、またはそのような複数の選択されたパラメータのために複数の値を選択することに関連付けられるリスク、を定量化するための、定量分析であって、ここで、前記複数の値の各々は、選択されたパラメータのうちの1つに関連付けられ;ここで、選択されたパラメータおよび許容可能なリスクに関連付けられた値は望ましい値であり、および、ここで、望ましい値を持つ複数の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを定義する、定量分析と、を含む、工程と、
組み入れ/除外基準のセットを出力する工程と、を含む。
【0071】
一実施形態では、フィルタは少なくとも1つのフィルタリング・パラメータを含み、ここで該フィルタリング・パラメータは、疾患/障害の型/段階、年齢、性別、臨床試験のフェーズ、国、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択される。
【0072】
一実施形態では、頻度分析における頻度は次式、
【0073】
【数19】
または、
【0074】
【数20】
によって計算され、ここで、Nx=aiは、パラメータの値(x)がai(i≦p)である臨床試験の数を指し、
【0075】
【数21】
および、
【0076】
【数22】
であり、ここで、pは、サブデータベース中のそのようなパラメータのための値の総数である。
【0077】
一実施形態では、定量分析は、異なる値を試した結果として1つ以上の特徴において生じる変化を定量的に分析することにより行なわれ、ここで、1つ以上の特徴は、臨床試験の数、患者の数、研究現場の数、登録サイクルタイム、現場有効性指標(SEI)、調節済み現場登録率(ASER)、総現場登録率(GSER)、および、臨床試験を特徴づけるために使用可能な任意の他のパラメータ、からなる群から選択される。
【0078】
一実施形態では、1つ以上の特徴における変化は、変数の間の関係を定量的に記載する方程式を使用することにより評価される。
【0079】
一実施形態では、方程式は、
GSER=、a*ebN+c、および、GSER=a*N+c、
からなる群から選択され、ここで、a、b、および、cは、サブデータベース中の臨床試験のための定数で、サブデータベース中のすべてのデータの回帰分析によって決定することができる。
【0080】
一実施形態では、組み入れ/除外基準のセットを持った臨床試験に対応する点と、方程式に対応する曲線との間の隔たりは、臨床試験のリスクを定量的に記載するために使用される。
【0081】
一実施形態では、望ましい値の1つ以上は、サブデータベース中の臨床試験において最も頻繁に使用される。
【0082】
一実施形態では、非小細胞肺癌に関する第2相臨床試験ための方程式は、
【0083】
【数23】
である。
【0084】
一実施形態では、工程b)において選択されたパラメータの1つ以上は、サブデータベース中の臨床試験の少なくとも50%において使用されている。
【0085】
一実施形態では、本発明は、疾患または疾病に関する臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定するためのシステムを開示し、該システムは:
臨床試験についての履歴データを含むマスターデータベースを包含している記憶装置;
演算装置;
出力装置;および、
入力装置、を含み、それらすべては連携して動作可能であり、
ここで、フィルタは入力装置を介して提供され;ここで、記憶装置においてサブデータベースを作成するために、演算装置はマスターデータベースにフィルタを適用し、前記サブデータベースは、前記疾患または疾病に関する臨床試験を包含し、および後の分析のための十分なデータを有し、
ここで、演算装置は、
a)多数の選択された目標と合致するパラメータを得るために、サブデータベースにおけるパラメータを選択する工程と、
b)望ましい値を決定するために、選択されたパラメータについて分析を実施する工程と、を実行し、ここで、前記分析は、
サブデータベース中の臨床試験において使用される選択されたパラメータと値が関連付けられる頻度を決定するための頻度分析を含んでおり、ここで、サブデータベース中の臨床試験において最も頻繁に使用される値が、選択されたパラメータための望ましい値として選択され、および、ここで、望ましい値を持つ複数の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを定義する、分析であり、
ここで、出力装置は、組み入れ/除外基準のセットを伝達し、および表示する。
【0086】
一実施形態では、選択されたパラメータの1つ以上は、サブデータベース中の臨床試験の少なくとも50%において存在している。
【0087】
<実施例>
本発明は、続く実験的な詳細への参照により、一層よく理解されるだろうが、詳述された具体的な実験が単に例証であり、および本発明を本明細書に記載されるように制限することを意図せず、それは後に続く請求項により決定される、ということは、当業者に容易に認識されるであろう。
【0088】
本出願の全体にわたって、様々な参照文献または刊行物が引用される。これらの参考文献または刊行物のそれらの全体における開示は、本発明が関係する最先端技術をより十分に記載するために本出願への引用によって本明細書に組み込まれる。用語「含む(comprising)」は、「含む(Including)、(containing)」または「特徴とする(characterized by)」と同義であるが、それは包括的または非限定的であり、および、付加的な、もしくは明記されない要素または方法の工程を除外するものではないことに留意されたい。
【0089】
実施例1
臨床試験データを包含しているマスターデータベースをフィルタリングすることによって非小細胞肺癌(NSCLC)臨床試験についてのサブデータベースを作成した。フィルタは以下のパラメータを包含した:
a)疾患/障害はNSCLCである;
b)それは第2相臨床試験である;
c)臨床試験はそれぞれ、99~201人の患者を無作為化した;および、
d)臨床試験はそれぞれ、10~96の範囲内の研究現場の総数を有している。
【0090】
合計178の臨床試験を選択してサブデータベースに含めさせ、実施計画のための組み入れ/除外基準を設定するために、それをさらに使用した。
【0091】
実施例2
実施例1からのサブデータベースを用いて、各々の項目の各々の値についての頻度は計算され得る。モード値、つまり最高頻度を伴う値は、次に判定され得る。一実施形態では、最小リスクに対応する望ましい値はモード値と等しい。
【0092】
年齢下限値の判定:パラメータとして下限年齢を含む163の試験がサブデータベース中にある。それらの間で、年齢下限が18である(すなわち、患者の年齢は18歳以上である)、148の試験を特定した。下限年齢についてのモード値は、表1に示されるように、サブデータベースの中で最も数多くの臨床試験において使用された値である、「18」となる。この場合、最小リスクに対応する望ましい値は、モード値に等しい。
【0093】
上限年齢値の判定:パラメータとして上限年齢を含む163の試験がある。表2に示されるように、「N/A」(上限年齢はない)は年齢上限の値として142の試験において指定された。従って、年齢上限の値は「N/A」になるように決定される。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
疾病段階の値の判定:サブデータベースは、表3に示されるように、組み入れ/除外基準のためのパラメータとして疾病段階を含む147の試験を包含している。それらの間で、「IIIB/IV」の疾病段階は78の試験において指定される。疾病段階の値は「IIIB/IV」になるように決定される。
【0097】
【表3】
【0098】
ECOGパフォーマンス・スコアの値の判定:これは、表4に示されるような癌臨床試験への組み入れ/除外基準の共通パラメータである。ECOGパフォーマンススコア(またECOGスコア)を含む144の試験において、81の試験が、ECOGパフォーマンス・スコア0および1であるNSCLC患者を含めていた。ECOGパフォーマンス・スコアの値は「0および1」になるように決定される。
【0099】
【表4】
【0100】
余命の値の判定:パラメータとして平均寿命を含む58の試験のサブデータベースにおいて、54の試験が、3か月以上の余命がある患者を含んでいた。余命の値は「3か月以上」になるように決定される。
【0101】
同様に、第2相NSCLC臨床試験ための組み入れ/除外基準の網羅的なリストは、よく計画することができる。
【0102】
一実施形態において、特定のパラメータは、それを追加することがターゲット臨床試験の目標に適合する場合、追加することができる。一実施形態において、特定のパラメータは、それを削除することがターゲット臨床試験の目標に適合する場合、削除することができる。例えば、178の試験の大多数は余命を含まなかったとしても、そのようなパラメータが実施計画のために必要かどうかは定量分析により評価され得る。
【0103】
臨床試験実施計画のための包括的な組み入れ/除外基準のセットを実利的に策定することができる一方、すべての臨床の策定において実際に機能しうる「1サイズで全てに適合(one size fit all)」アプローチは存在しない。一実施形態において、包括的な組み入れ/除外基準のセットは、初期テンプレートとして役立ち得る。しかしながら、これらの組み入れ/除外基準は、特定の臨床試験の1つ以上の目標に適合させるために、さらに、検証され、および/または、修正されることを必要とし得る。これらの目標は、限定されないが、医療のニーズ、規制当局の要求、またはいくつかの因子の組み合わせを含む。
【0104】
臨床試験の目標に対する可能性のある変更の影響は、定量的に記載することができる。GSERとNの間の1つの典型的な定量的関係は、米国特許公開第20160042155号においてLIにより開示された。
【0105】
実施例3
一実施形態では、組み入れ/除外基準は、履歴データに基づいた組み入れ/除外基準を使用した結果として生じる患者の特徴を、ベースラインにおける患者のものと比較することによって、および、必要ならば組み入れ/除外基準を修正(または微調整すること)によって、さらに検証される。
【0106】
【表5】
【0107】
一実施形態では、フィルタパラメータ(すなわち、主要な組み入れ/除外基準)に合致する患者群についての情報は、サブデータベースに収集される。臨床試験の始まりにおける、これらの募集された/選択された患者の特徴は、患者のベースラインの特徴である。これらの特徴は、実施計画への組み入れ/除外基準のセットによって、その特定の疾病の疫学によるのと同様に、左右される。
【0108】
表5に示されるようなECOGパフォーマンス・スコアは凡例として使用される。
【0109】
具体例2では、144の試験のうちの81は、ECOGスコアが0および1の患者を含めたのに対し、144の試験のうちの52は、ECOGスコアが0、1、および2の患者を含めた。言いかえれば、ECOGスコア0および1はモード値である。ECOGスコア0、1、および2も、試験設計において頻繁に使用された。ECOGスコア0、1、および2を組み入れ/除外基準として使用することは、より多くのターゲット患者集団をもたらし、より短い期間内に患者の募集を終えることを可能にし得る。
【0110】
ECOGパフォーマンス・スコアの特定の値を選択することのインパクトは定量的に評価することができる。
【0111】
ベースラインとして合計で5,415人の、ECOGスコアが「0、1、または2」の患者が、35の第2相NSCLC臨床試験から選ばれた。それらの患者の中で、図5に示されるように、0、1および2のECOGスコアに対応する患者はそれぞれ1,654人(30.5%)、3,046人(56.3%)、および715人(13.2%)いた。
【0112】
一実施形態では、表6に示されるように、ECOGスコアが2の患者を含めるように患者集団を拡張することは、履歴データに基づいて計算したところ、登録サイクルタイム中央値を11.1%、577日から513日に削減させる結果となった。登録サイクルタイムの削減(11.1%)は患者集団の膨張(13.2%)に比例する。一実施形態において、中央値は、データサンプルの下位半分から上位半分を区分する値である。
【0113】
【表6】
【0114】
一実施形態では、望ましい値は、臨床試験の目標と優先事項の点から見て変更される。目標のうちの1つがより短いECTとより多くの母集団を達成することである場合、ECOGスコア0、1、2が選択されるべきであり、すなわち、このシナリオにおけるECOGスコアの望ましい値はモード値ではなく第2の最も頻繁に用いられている値である。目標は狭く定義された母集団をターゲットとすることである場合、ECOGスコア0および1が選択されるべきであり、すなわち、ECOGスコアの望ましい値はモード値である。
【0115】
一実施形態では、上に記載されたさらなる修正のアプローチは、他のパラメータに適用される。一実施形態では、より多くの患者集団をターゲットとする組み入れ/除外基準を持つ臨床試験は、必ずしもより短いECTに結びつくとは限らない。患者集団の組成、および/または発展しているケアの水準は、標的とされる患者集団のサイズに、可能性として、大きな影響を与え得る因子のいくつかの例である。他のすべての因子が互角か同様の影響がある時、患者集団の増加する拡大は登録サイクルタイムの削減に結びつき得る。
【0116】
さらに調節され得る組み入れ/除外基準は医学界によって大規模に研究されなければならない。
【0117】
実施例4
リスクの大きい組み入れ/除外基準の判定と回避
臨床試験では、ある疾病の徴候を持つ患者集団の狭く定義された部分を登録することを、しばしば要求される。そのような試験は、特殊患者集団における試験と名付けられてもよい。これらの臨床試験は実行するのが運用上難しいことはよく理解される。現在、オペレーショナル・リスクを判定し、かつ測定する計量的手法はない。さらに、これらのリスクについて、臨床試験のスポンサーおよび世界中の監督官庁といったステイクホルダーの間で連絡・意思疎通(communicate)する方法はない。これらの障害は、しばしば、極端に長期化した登録サイクルタイム、および/または、試験の失敗に結びつく。時に、そのような臨床試験は、ターゲットとされた又は定義された患者集団が存在しないか、または、小さすぎ、妥当な時間枠内で十分な数の患者を募集することができないために、失敗する。
【0118】
一実施形態では、本発明は、1つの図内に、総サイト登録率(GSER)、研究現場(N)、および各臨床試験における登録数の間の関係をマッピングすることによってそのような試験ための適切な組み入れ/除外基準を判定するためのアプローチを提供する。そのアプローチは、臨床試験の失敗に結びつく恐れのある組み入れ/除外基準、および/また、リスク(risk(s))、に関連するオペレーショナル・リスクを測定する。一実施形態では、実施例1におけるすべての基準を満たす臨床試験のためのGSERとNの間の関係は、以下のように記載され得る:
【0119】
【数24】
【0120】
年齢:実施例2では、望ましい年齢下限と年齢上限の初期値は、それぞれ「18」と「N/A」である。ターゲット臨床試験の目標が、狭く定義された群に焦点を当てることである場合、それは、運用上の実現可能性に対して様々な度合いの影響がある様々なリスクを招くだろう。例えば、70歳以上の年輩の患者をターゲットとする第2相NSCLC試験は、163のうち5あった。これらの試験は、図6Aにおいて明るく着色された円(bubbles)に相当する。図6Aにおいて示されたGSERバブルチャートによると、上記5つの臨床試験のうち3つは、パターンから非常にかけ離れており、すなわち、対応するGSERは理想曲線からかなり低く、それらは目標とされた合計登録を完了するためにより長いECTを必要とする恐れがある。
【0121】
本発明は、図6Bにおけるパターンを記載する新しい計量的手法を提供する。定量的な関係性は、ユーザーが、特定の組み入れ/除外基準を選択することに関連付けられるリスクをより容易に理解し、およびリスクを定量化することを、視覚的に助けることができる。図6Bは、適格患者の年齢を制限することが招くリスクを描写する。
【0122】
70歳以上の年輩の患者を含む試験のための登録サイクルタイムの中央値は822日であるが、全178試験の登録サイクルタイムの中央値は618日である。従って、ターゲット臨床試験の年齢上限の値として70歳を選択することは、ECTに影響を与えるリスクに関連付けられる。より短いECTがターゲット臨床試験の目標のうちの1つであるならば、年齢上限として70歳を選ぶことは、ターゲット臨床試験の目標を達成しない、より高いリスクに関連付けられる。
【0123】
実施例5
ECOGスコア:具体例2において、初期組み入れ/除外基準は、ECOGスコアの値として「0および1」を含む。実施例3で記述されるようなベースラインの患者の特徴に基づく検証/修正方法を使用すること、ECOGスコアを「0、1、および2」へと拡張することは、より短いECTに結びつく。対照的に、組み入れ/除外基準として2のECOGスコアを使用した臨床試験のETCは劇的により長くなった。値2のECOGスコアを備えた患者を登録することをターゲットとする第2相NSCLC試験のうちの2つは、明るく着色された円(bubbles)で示され、図7Aによるパターンから有意に乖離している。
【0124】
一実施形態では、客観的にリスクを記載する定量的関係は、図7Bにおいて示される。定量的な関係性は、ユーザーが、特定の組み入れ/除外基準を選択することに関連付けられるリスクをより容易に理解し、およびリスクを定量化することを、視覚的に助けることができる。図7Bは、適格患者のECOGスコアを制限することが招くリスクを描写する。ECOGスコアが2の患者だけを含む試験の登録サイクルタイム中央値は、1,445日であり、その一方で全178の試験の登録サイクルタイム中央値は、618日である。
【0125】
一実施形態では、第2相NSCLC臨床試験が70歳より年長の患者集団をターゲットとすること、または、ECOGパフォーマンス・スコアが2の患者集団をターゲットとすることは(それらを特殊母集団臨床試験と呼ぶ)、有意に、より長いECTに結びつく、定量化可能なリスクを招くことを意味する。
【0126】
実施例6
因子間相互作用:一実施形態では、ある種のパラメータの値は、他のものの値に有意な影響を及ぼし得る。現在、そのリスクを記載、および/または定量化する方法はない。当データベース中には、70歳以上であり、およびECOGスコアが2の患者を含めることをターゲットとする1つの第2相NSCLC臨床試験がある。121人の患者を登録する初期計画に対し、その臨床試験は、54人の患者を登録した後に、「期待されたよりも遅い募集のために、研究は中止された」という注意を添えて、終了された。本明細書に記載された方法を使用することによって潜在的リスクを検知することができたかもしれないが、それは1500万ドルの節約になった可能性がある。
【0127】
一実施形態では、上に記載された方法は、どのような臨床試験のための臨床試験実施計画を設計することにも、または、既存の実施計画の設計を最適化することにも、拡張することができる。上記の実施例では、膵臓癌の臨床試験実施計画ための組み入れ/除外基準のセットが検討された。表7に見られるように、いくつかのパラメータ値は先行する臨床試験から逸脱しており、そのことはチームに客観的な議論を促し、結果として改良された設計をもたらした。
【0128】
【表7】
【0129】
一実施形態では、表7に示されるように、組み入れ/除外基準のセットは本発明の定量分析に基づいて設定される。表7の第2の列にリストされた先行の実施計画における元の値との比較において、本発明は、パフォーマンス・スコアの値として、カルノフスキー(Karnofsky)ではなく、ECOGを選択する。余命は新しく選択されたパラメータであり、余命の値として「3か月」がセットされる;ビリルビン・レベルに見合う望ましい値は「1xULN」よりもむしろ「1.5xULN」である;「白血球数」もまた、もう一つの新しく選択されたパラメータであり、望ましい値は「3500/mm3」である。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患または疾病に関するターゲット臨床試験に向けた組み入れ/除外基準のセットを策定するためのシステムであって、前記システムは:
記憶装置;
演算装置;
出力装置;および、
入力装置、を含み、それらすべては連携して動作可能であり、
ここで、フィルタリング・パラメータのセットを含むフィルタは、前記入力装置を介して提供され;
ここで、前記フィルタは、前記記憶装置において、サブデータベースを作成するために、臨床試験についての履歴データを含むマスターデータベースに適用され、前記サブデータベースは、前記疾患または前記疾病に関する臨床試験についての履歴データを含み、および後の分析のための十分なデータを有し、
ここで、前記演算装置は、
a)多数の選択されたパラメータを得るために、前記サブデータベースにおけるパラメータを選択する工程と、
b)望ましい値を決定するために、選択されたパラメータについて、分析を実施する工程であって、ここで、前記分析は、
1)選択されたパラメータに関連付けられる値がサブデータベース中の臨床試験において使用された頻度を決定するための、頻度分析と、
2)選択されたパラメータに関連付けられる、ある値を選択することに関連付けられるリスク、または、複数の値の選択に関連付けられるリスクを定量化するための、定量分析であって、ここで、前記複数の値の各々は、前記選択されたパラメータのうちの1つに関連付けられ、ここで、選択されたパラメータおよび許容可能なリスクに関連付けられた値は望ましい値であり、および、ここで、望ましい値を持つ1つ以上の選択されたパラメータが組み入れ/除外基準のセットを決定する、定量分析と、を含む、工程と、を実行し;および、
ここで、前記出力装置は、前記組み入れ/除外基準のセットを伝達し、および表示する、システム。
【外国語明細書】