(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067045
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】配筋データ取得装置、配筋データ取得システム及び配筋データ取得方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/08 20060101AFI20240510BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20240510BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01B11/08 H
G01B11/00 B
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176820
(22)【出願日】2022-11-03
(71)【出願人】
【識別番号】519372663
【氏名又は名称】HMS株式会社
(72)【発明者】
【氏名】コ シンテイ
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA26
2F065BB12
2F065CC14
2F065DD10
2F065EE05
2F065FF04
2F065FF11
2F065QQ31
2F112AD01
2F112CA12
(57)【要約】
【課題】効率的に鮮明な画像データを取得することが可能な配筋データ取得装置、配筋データ取得システム及び配筋データ取得方法を提供する。
【解決手段】本開示における配筋データ取得装置は、所定のセンサで鉄筋構造体の3次元点群データを取得する処理と、前記センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得する処理と前記距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整する処理と、前記カメラで前記鉄筋構造体を撮影して画像データを取得する処理と、を実行する制御部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のセンサで鉄筋構造体の3次元点群データを取得する処理と、
前記センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得する処理と、
前記距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整する処理と、
前記カメラで前記鉄筋構造体を撮影して画像データを取得する処理と、を実行する制御部を備える配筋データ取得装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1レイヤの点群データを少なくとも一時的に削除するとともに、前記第1レイヤよりも奥行方向に所定距離だけ離れた第2レイヤにカメラの焦点距離を調整して前記カメラで画像データを取得する処理を実行する、請求項1に記載の配筋データ取得装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1レイヤ及び前記第2レイヤの点群データを少なくとも一時的に削除するとともに、前記第2レイヤよりもさらに奥行方向に前記所定距離だけ離れた第3レイヤにカメラの焦点距離を調整して前記カメラで画像データを取得する処理を実行する、請求項2に記載の配筋データ取得装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記3次元点群データを解析処理することにより、前記第1レイヤと前記第2レイヤとの距離を算出する、請求項1又は2に記載の配筋データ取得装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1レイヤと前記第2レイヤとの距離を、記憶部に記憶される設計データから取得する、請求項1又は2に記載の配筋データ取得装置。
【請求項6】
前記カメラで撮影される画像を表示可能な表示部を備え、
前記表示部に固定表示される基準表示に対応する位置にある前記鉄筋構造体の前記距離データを取得する、請求項1に記載の配筋データ取得装置。
【請求項7】
ユーザの入力を受け付ける入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部を介したユーザの入力に基づいて、複数のレイヤの何れかに対応するように前記焦点距離を変更する処理を実行する、請求項1に記載の配筋データ取得装置。
【請求項8】
前記制御部は、何れかのレイヤに対応する前記鉄筋構造体の画像を表示部に表示させるとともに、他のレイヤに対応する鉄筋構造体の画像を表示部に表示させないようにする、請求項1に記載の配筋データ取得装置。
【請求項9】
前記センサは、TOFセンサである、請求項1に記載の配筋データ取得装置。
【請求項10】
請求項1に記載の配筋データ取得装置と、
前記データ取得装置にネットワークを介して接続されるサーバと、を備える配筋データ取得システム。
【請求項11】
所定のセンサで鉄筋構造体の3次元点群データを取得し、
前記センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得し、
前記距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整し、
前記カメラで前記鉄筋構造体を撮影して画像データを取得する、配筋データ取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配筋データ取得装置、配筋データ取得システム及び配筋データ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の建設過程において、鉄筋コンクリートに使用される配筋の点検など、各種確認作業は目視で行われていたが、近年では、カメラ等で取得した画像データに基づいて点検作業を行うことが検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、立体的な点検対象物を撮影して画像データを取得する場合には、焦点距離が適切でないために不鮮明な画像となることがあり、鮮明な画像データを取得するのに時間が掛かる、といった問題がある。
【0004】
そこで、本開示は上記技術課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率的に鮮明な画像データを取得することが可能な配筋データ取得装置、配筋データ取得システム及び配筋データ取得方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における配筋データ取得装置は、測所定のセンサで鉄筋構造体の3次元点群データを取得する処理と、前記センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得する処理と、前記距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整する処理と、前記カメラで前記鉄筋構造体を撮影して画像データを取得する処理と、を実行する制御部を備えることを特徴とする。
【0006】
本開示における配筋データ取得システムは、上記の配筋データ取得装置と、前記データ取得装置にネットワークを介して接続されるサーバと、を備える。
【0007】
本開示における配筋データ取得方法は、所定のセンサで鉄筋構造体の3次元点群データを取得し、前記センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得し、前記距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整し、前記カメラで前記鉄筋構造体を撮影して画像データを取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、効率的に鮮明な画像データを取得することが可能な配筋データ取得装置、配筋データ取得システム及び配筋データ取得方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係るデータ取得装置の構成例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るデータ取得システムの構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るデータ取得装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の方法の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る配筋データ取得装置1(以下、単に「装置」とも称する)の一例を示す。
図1に示すように、本例の配筋データ取得装置1は、ヘッド部10と本体部20とを備える。
図1の例では、ヘッド部10と本体部20とがケーブル30によって有線接続されているが、無線通信接続されるものであってもよい。また、ヘッド部10と本体部20とを一体化して単独の装置としてもよいし、ヘッド部10の一部の構成を本体部20に設けたり、本体部20の一部の構成をヘッド部10に設けたりしてもよい。
【0012】
図2に示すように、データ取得装置1は、インターネット等のネットワーク50を介してサーバ等の外部の情報処理装置40と接続され、情報処理システム100を構成することができる。
【0013】
データ取得装置1は、例えば、配筋を検査するために配筋に関する画像データ等の各種情報を取得することができる。取得した情報は、ネットワーク50を介して外部の情報処理装置40に送信することができる。情報処理装置40は、データ取得装置1から受信したデータに基づいて3次元点群データを生成したり、データベースに記憶したり、配筋の識別、照合、後述の各種検査等の処理を実行したり、表示装置に表示させたり、さらに他の装置に送信したりするなど、各種の情報処理を実行することができる。
【0014】
点検対象となる鉄筋構造体(配筋)は、複数本の鉄筋を柱状に組み合わせた構造体とすることができる。鉄筋構造体は、例えば、鉛直方向に延びる主筋と、水平方向に延びる帯筋とを含み、これらが結束線等によって結束される。検査項目としては、例えば、鉄筋の種類(鋼種)判別、直径、本数、かぶり、あき(隣り合う鉄筋の表面から表面までの最小距離)、定着長さ、納まり等とすることができるが、これに限定されない。本開示において、データ取得の対象となる対象物は、配筋に限られず建設部材とすることができるが、建設部材以外の物体のデータ取得に適用することも可能である。
【0015】
ヘッド部10は、液晶パネル又はタッチパネル等で構成される表示部11を備える。表示部11は、ヘッド部10に設けたRGBカメラ等のカメラやセンサで取得した情報を画像やテキスト情報で表示させたり、ユーザが入力した情報を表示したり、現在のカメラの焦点距離を表示したりすることができる。表示部11は例えば、現在ヘッド部10のカメラを向けている対象物の画像データをリアルタイムで表示させたり、過去に撮影した画像データ等の各種データを表示させたりすることができる。ヘッド部10を把持して作業するユーザは、表示部11に表示されたカメラの撮影画像や、センサで取得した距離情報、識別情報等を確認することができる。なお、ヘッド部10は、各種情報を音声で出力するスピーカ等の音声出力部を備えてもよい。
【0016】
ヘッド部10の表示部11には、2本の直交する直線が表示され、その交点Aが、カメラの焦点を合わせる際の基準点(基準表示)となっている。つまり、交点Aが対象物に位置するように、カメラの向きを調整することで、交点Aの位置にある対象物にカメラの焦点を合わせることができる。2本の直線(交点A)は、表示部に固定表示されるが、ユーザ操作で移動するようにしてもよい。交点Aは、表示部の中心であることが好ましいが、これに限られない。また、カメラの焦点を合わせる位置は、交点Aに重なる対象物に限られず、例えば、タッチパネルである表示部においてユーザがタップ操作等により選択した位置であってもよい。なお、ToFカメラ等のセンサやRGBカメラ、VSLAM用のカメラ等は、ヘッド部10における表示部11の裏側に設けられていることが好ましいが、これに限られるものではない。
【0017】
ヘッド部10は、3次元点群データを取得するためのセンサを備える。センサの種類は、パッシブ、アクティブ、三角測量、同軸測量等の各種形式のセンサであってもよい。本例のヘッド部10は、センサとしてのToFカメラ(Time-of-Flight Camera)モジュールを備え、対象物までの距離(例えば対象物までの最短距離)を測定して距離情報を取得することができる。例えば、建物の柱を構成する鉄筋(配筋)にヘッド部を向けて、測定開始を指示するボタンを選択(押圧)すると、ヘッド部から鉄筋までの距離をToFカメラで測定し、距離情報を取得する。ヘッド部から対象物までの距離が50cm~150cmの範囲となるように、ヘッド部を配置することが好ましいが、これに限られるものではなく、50cm未満に接近してもよいし、150cmを超えて離れてもよい。ToFカメラの場合、例えば1枚の撮影で約30万個の点群データを取得することができる。
【0018】
ヘッド部は、RGBカメラを備える。RGBカメラの焦点距離は、測距センサで取得した距離情報に基づいて設定される。例えば、RGBカメラの焦点距離は、対象物までの距離とすることができ、これによれば、対象物の表面に焦点が設定されるため、対象物の鮮明な画像データを取得することができる。その結果、対象物の鮮明な画像が得られるため、例えば標識(GRコード、ARマーカ)の読み取り精度、対象物を判別する際の精度が高くなる。
【0019】
ヘッド部は、VSLAMカメラモジュールを備える。VSLAMカメラモジュールは、カメラで取得した画像データ(映像データ)に基づいて、3次元での自己位置及び自己姿勢を推定する。VSLAMカメラモジュールは、自己位置、姿勢の推定に加え、周囲の環境地図作成も同時に実行することができる。VSLAMカメラモジュールは、一対のステレオカメラを備えていてもよい。ステレオカメラは、2つのカメラを用いて対象物を異なる方向から(同時に)撮影し、撮影した画像から得られる視差情報を利用することで、対象物までの距離を算出することができる。
【0020】
ヘッド部には、ユーザが操作可能な入力部が設けられている。入力部は、表示部と一体のタッチパネルで構成されていてもよいし、1以上の押圧操作可能なボタンであってもよいし、他の構成の入力部であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。本例では、3つの押圧操作可能なボタンB1,B2,B3が設けられている。それぞれのボタンには、予め機能が割り当てられている。例えば、ボタンB1を選択する(押圧する)と、表示部11に表示されるカメラで撮影した(リアルタイムの)画像に写る対象物までの距離を測距センサで測定し、また、測定した距離に応じてカメラの焦点距離を調整し、対象物の表面に焦点(ピント)を合わせるようにしてもよい。そして、その後、ボタンB2を押すことで、現在の焦点距離よりも所定距離(例えば10cm、30cm、1m等)だけカメラから遠い距離に焦点を合わせるようにしてもよい。またボタンB3を選択すると、ボタンB2よりも所定距離だけ遠い距離もしくは短い距離に焦点を合わせるようにしてもよいし、別の機能(静止画像取得、撮影停止等)を実行するようにしてもよい。
【0021】
ヘッド部のボタンと、対応する機能の関係は、ユーザの入力操作に基づいて変更(更新)することができるようにしてもよい。例えば、ユーザの操作によってボタンB1とボタンB2の機能を入れ替えたり、ボタンB3の機能を別の機能に変更したりしてもよい。ボタンの数は3よりも多くてもよいし、少なくてもよい。また、表示部11のタッチパネルから操作できるようにしてもよいし、音声センサから情報を取得できるようにしてユーザが音声入力で各種操作をできるようにしてもよい。
【0022】
ヘッド部10は、表示部11、ボタンB1、カメラ等が設けられたヘッド本体10aと、ユーザが把持する棒状の把持部10bを備えることが好ましいが、ヘッド部10の形状は図示例に限られない。
【0023】
本体部20は、例えば、タッチパネル等で構成される表示部21と、押圧操作するための複数のボタンBを備える。表示部21は、ヘッド部10で取得した各種情報、生成した情報、外部のサーバ等から受信した情報を表示することができる。ボタンBは、ユーザの入力操作を受け付ける。
【0024】
ヘッド部及び本体部で構成される装置1は、例えば
図3に示すように、制御部、記憶部、通信部、出力部(表示部11,21等)、入力部(例えばボタンB等)、情報取得部(撮像部、センサ部)、電力供給部を備える。各部は、ヘッド部に設けても本体部に設けてもよく、両方に設けてもよい。本例の場合、例えば表示部、制御部、記憶部、入力部はヘッド部及び本体部にそれぞれ設けられている。
【0025】
制御部は、各部間のデータの受け渡しや生成処理、算出処理などを行い、装置全体の制御を行う。制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、VPU(Visual Processing Unit)等のプロセッサによって実現される。制御部は、ユーザの入力に基づいてもしくは予め登録された制御指示に基づいて自動的に、カメラを制御して撮影を開始したり、撮影を停止したり、画像データに基づいて3次元点群データを生成したりすることができる。このような制御は、上述のように、記憶部に記憶された情報、サーバから取得した情報、センサ部から取得した情報、あるいはそれらの組み合わせに基づいて行われる。制御部は、記憶部にアクセス可能であり、記憶部に情報を格納したり、記憶部から情報を読み出したりすることができる。制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって、各部の制御、各種データの取得、生成、出力(送信)等を行う。制御部は、ヘッド部と本体部との間での情報の送受信を行うこともできる。例えば制御部は、ヘッド部のカメラで撮像した画像データをヘッド部の記憶部、本体部やサーバ等に送信することができる。制御部は、撮影部で撮影した画像データに基づいて、外部サーバに送信するためのデータを生成する処理部として機能する。例えば、画像データから各鉄筋に付された識別情報等の情報を抽出し、当該識別情報を含む送信データを生成する。なお、ヘッド部から本体部や他の装置等に送信される送信データは、カメラで撮影することにより取得した画像データよりもデータ容量が小さくなっていることが好ましい。すなわち、カメラやセンサ部等で取得した情報をヘッド部もしくは本体部等の制御部で予め処理してデータ量を軽減することにより、各種データを直接サーバ等の外部装置に送信する場合に比べて、通信時の負荷が小さくなり、短時間で容易にサーバに情報を伝達することができる。つまり、サーバではなくエッジ(装置1)側でデータ処理を行うことで、大容量のデータを受け渡しする場合に比べて通信不可、通信時間が小さくなる。なお、装置1は、カメラ及びセンサ部で取得した情報をそのままサーバ等に送信するようにしてもよい。
【0026】
記憶部は、1つ以上のステップを行うためのプログラム、コード等を記憶している。制御部は、当該プログラム等に従って、各部の動作を制御する。記憶部は、システムプログラムが記憶された読取専用の記憶領域である不揮発性記憶装置と、制御部による演算処理のワーク領域として使用される書き換え可能な記憶領域である揮発性記憶装置とを有していてもよい。記憶部は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ、ハードディスクなどによって実現され、揮発性記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やVRAM(Video Random Access Memory)などによって実現される。記憶部は、たとえば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。記憶部は、各種カメラ、センサ、外部装置等から取得した各データや、当該データに基づいて生成したデータを記憶することができる。例えば、測距センサで取得した距離情報、RGBカメラで撮像した静止画・動画等の画像データ、それらに基づいて生成した3次元点群データ等が内蔵メモリ又は外部メモリに記憶されるようにしてもよい。
【0027】
通信部は、装置1を、インターネット等のネットワーク50に接続する。これにより、画像データを含む任意のデータをサーバ等に送信することができ、サーバ等から任意のデータを受信することができる。
【0028】
ここで、カメラで撮影した画像に関するデータは、画像データ自体に限られず、画像データに基づいて生成した編集データ等であってもよく、例えば、画像データを画像処理して抽出した鉄筋の種類、直径、等の情報を含んでいてもよい。また、画像に関するデータは、画像データを取得した時間情報を含むものであってもよい。この通信部は、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0029】
ネットワーク50は、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、無線であることが好ましいが、有線であってもよい。システム100は、装置1とサーバ20との間で通信可能に接続される中継装置を備えていてもよい。装置1は、作業者、監督者が所有するスマートフォン、PC、タブレット端末等の情報処理端末(ユーザ端末)とネットワーク50を介して通信可能であってもよい。
【0030】
電力供給部は、装置1の各部に電力を供給する。電力供給部は、例えば、交換可能な電池、充電可能なバッテリー、発電可能な太陽電池パネル等の発電装置を含んでもよい。電力供給部は装置1の外部に設けられてもよい。
【0031】
図4に示すように、サーバ40は、例えば、制御部41、記憶部42、出力部43、通信部44、入力部45を備え、これらが互いにバス46を介して接続される。サーバ40は、通信部44を介して装置1と通信可能である。サーバ40は、装置1、ユーザ端末等から各種の要求信号を受信すると、制御部41においてプログラムによる処理を実行し、処理結果(例えば、生成された画像や音声等)を適宜装置1ユーザ端末等に送信したり、記憶部42に記憶したりする。なお、上記プログラムの一部または全体は、駐車管理装置10上で実行されてもよい。
【0032】
サーバ40は、例えば、装置1から受信した複数の3次元点群データを統合して、1つの立体的な3次元鉄筋データを生成することができる。
【0033】
ついで、本例におけるデータ取得方法を説明する。
図4に示すように、まず、ユーザがヘッド部の測距センサを対象物に向けてボタン操作等によりデータ取得の開始を指示する入力操作を行うと、装置1の制御部は開始指示を受け付ける(S1)。そして、当該開始指示に基づいて、装置1の制御部はヘッド部のTOFセンサで3次元点群データを取得する(S2)。制御部は、センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得する。例えば、センサからの距離が最も短い対象物表面までの距離を点群データから算出し、距離データを取得する(S2)。制御部は、当該距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整する(S3)。具体的には、距離データの値を、カメラの焦点距離に設定して、焦点を合わせる。そして、カメラで撮影した画像データを取得する(S4)。
【0034】
このような方法により、効率的に(迅速に)適切な焦点距離で撮影された対象物の鮮明な画像データを取得することができる。すなわち、本開示の装置は、高速焦点自動照準機能を備える。当該画像データに基づいて、鉄筋の標識を画像認識して鉄筋種類の識別処理を実行したり、他の点検処理を実行したりするなど、各種の処理を実行することができる。
【0035】
さらに、ヘッド部10のボタン操作等による入力情報を受け付けて、測距センサで取得した距離に所定値を加算もしくは減算した値の焦点距離で対象物の画像データを取得することも可能である。その場合、表示部11に表示される画像データ(もしくは3次元点群データ)において、特定の範囲の画像データを削除(消去)することも可能である。制御部は、焦点距離に対応する対象物の画像を表示部に表示させるとともに、焦点距離から所定の範囲の外側に位置する対象物の画像を表示部に表示させないようにすることができる。例えば、対象物の表面から奥行方向に10cmの範囲のデータを削除した状態の画像データ(もしくは3次元点群データ)を表示させることも可能である。制御部は、ボタン等の入力部を介したユーザの入力に基づいて、焦点距離を変更する。これによれば、対象物の表面から奥行方向に10cm遠い距離よりも奥側にある部分の画像データを表示させ、確認することができる。また、対象物の最も近い距離の表面を第1レイヤとし、その10cm奥の面を第2レイヤ、さらにその10cm奥の面を第3レイヤといったように、複数のレイヤを設定することも可能である。そして、第1レイヤ~第3レイヤにそれぞれボタンB1~B3を対応させることで、ユーザが選択したボタンに対応するレイヤのデータを取得、表示させたり、また、選択したレイヤ以外のレイヤの画像データを削除した状態で表示部に表示させたりすることができる。なお、上記測距センサで取得した距離データに加算する値は10cmに限られず、5cm、15cm、30cm、等、任意の値に設定可能である。この値は、予めシステム側で決められて記憶部に記憶されていてもいし、ヘッド部、本体部、サーバ等からユーザの入力に基づいて設定されてもよい。すなわち、ユーザが対象物等に応じて任意に変更可能であってもよい。また、これに限られず、本装置、本システムに関する各機能や各パラメータ、各設定情報、設定条件等はユーザの入力に基づいて任意に変更可能であってもよい。
【0036】
ヘッド部のカメラ等で画像データや距離データを取得する際は、対象物に平行に対面し、カメラの撮影方向が地面と水平になるようにすることが好ましい。換言すると、ヘッド部のカメラは、撮影方向(レンズの中心線)が対象物の表面(鉄筋で構成される仮想の壁や柱の表面)に対して鉛直であるように設置することが好ましい。
【0037】
また、ヘッド部のカメラ等で画像データや距離データを取得する際は、例えば、対象物の表面から50cm以上、150cm以下の範囲の距離となるように、ヘッド部を構えることが好ましい。これに限られず、例えば20cm以上、200cm以下の範囲の距離であってもよいし、他の範囲であってもよく、カメラやセンサの性能に応じて適宜変更可能である。
【0038】
本例のシステムにおいては、配筋検査という特定の状況において、3次元(3D)点群データを一括取得(ToFセンサより1枚撮影で30万個点群を取れる)することで、第1レイヤ(対象物において、カメラに最も近い表面の平面レイヤ)の距離を把握できる。そのため、第1レイヤへの最初の焦点合わせ処理を行い、第1レイヤの対象物に照準してRGBカメラの焦点を調整することができる。
【0039】
また、上記第1レイヤ(表面のレイヤ)にRGBカメラの焦点を調整してRGBカメラで画像撮影後、第1レイヤの点群を全体の点群から取除くとともに、第1レイヤから所定距離だけ奥行方向に離れた第2レイヤの点群距離を参照して、第2レイヤに対応する位置に(高速で)RGBカメラの焦点調整を行い撮影することができる。これにより、第2レイヤの対象物画像を鮮明に撮影することができる。
【0040】
上記と同様、第2レイヤから(第1レイヤとは逆側の)所定距離だけ離れた第3レイヤ、さらに奥の第4レイヤ(第3レイヤから所定距離だけ離れたレイヤ)に順次焦点調整しながら撮影を行うことができる。そして、取得した各種データに基づいて、対象物(例えば鉄筋構造体)全体のRGBD画像を合成することができる。あるいは、取得した各種データに基づいて、各レイヤの処理をすることもできる。RGBカメラの焦点調整は第1レイヤ、第2レイヤのように、(ユーザの指示に基づいて、または、システム側で予め設定されて自動的に)隣接するレイヤ間で順次に調整することができ、高速な焦点自動調整が可能となる。
【0041】
上記第1レイヤ、第2レイヤ、・・第nレイヤ、は3次元点群データの解析処理によって自動的にレイヤ分けをすることができる。例えば、3次元点群データから、奥行方向に一定間隔で配置される鉄筋の間隔情報を算出し、当該間隔をレイヤの間隔として設定することで、レイヤ分けすることができる。あるいは、3次元点群データから他の特徴点を検出し、当該特徴点の位置にレイヤを設定するようにしてもよい。なお、予め事前に記憶部に設計データが記憶され、当該設計データからレイヤ間隔を算出(抽出)することができれば、第1レイヤを検出してから、残りのレイヤは設計データを参照して抽出してもよい。この場合は例えば、設計データ自体に予めレイヤを設定しておいてもよいし、設計データにおける鉄筋の間隔や他の特徴点に基づいてレイヤを設定してもよい。
【0042】
ここで、現場のスペース制限などで、斜めから対象物を撮影する必要がある場合、上記のように自動的にレイヤを抽出したり、設計データより焦点調整用参考距離を利用したりできない場合もある。その場合、例えば個別の対象物(鉄筋)を照準しながら撮影してから、VSLAMなどの手法で最終的に合成処理を行うことができる。個別照準方法は装置ヘッド部に十字線レーザ光を発射する参照マーカー発生器から十字線レーザーマーカーを個別対象物(例えば配筋)の中心部に照射して、距離センサ(レーザ距離センサ、変位センサ、ToF距離センサ(カメラ)等)から照射している個別対象物までの距離を取得し、RGBカメラの焦点距離を調整し、撮影することができる。このような方法は、部分的に計測データが欠落して、補正処理で欠落部分を補う場合にも利用することができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバの制御部および記憶部は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。また、上述の装置、サーバ等で行われる情報処理は、例えば一部でディープラーニングなどの所謂機械学習による処理を含んでもよい。
【0045】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る駐車管理装置10、サーバ20の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0046】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0047】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0048】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
所定のセンサで鉄筋構造体の3次元点群データを取得する処理と、
前記センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得する処理と、
前記距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整する処理と、
前記カメラで前記鉄筋構造体を撮影して画像データを取得する処理と、を実行する制御部を備える配筋データ取得装置。
(項目2)
前記制御部は、前記第1レイヤの点群データを少なくとも一時的に削除するとともに、前記第1レイヤよりも奥行方向に所定距離だけ離れた第2レイヤにカメラの焦点距離を調整して前記カメラで画像データを取得する処理を実行する、項目1に記載の配筋データ取得装置。
(項目3)
前記制御部は、前記第1レイヤ及び前記第2レイヤの点群データを少なくとも一時的に削除するとともに、前記第2レイヤよりもさらに奥行方向に前記所定距離だけ離れた第3レイヤにカメラの焦点距離を調整して前記カメラで画像データを取得する処理を実行する、項目2に記載の配筋データ取得装置。
(項目4)
前記制御部は、前記3次元点群データを解析処理することにより、前記第1レイヤと前記第2レイヤとの距離を算出する、項目1又は2に記載の配筋データ取得装置。
(項目5)
前記制御部は、前記第1レイヤと前記第2レイヤとの距離を、記憶部に記憶される設計データから取得する、項目1又は2に記載の配筋データ取得装置。
(項目6)
前記カメラで撮影される画像を表示可能な表示部を備え、
前記表示部に固定表示される基準表示に対応する位置にある前記鉄筋構造体の前記距離データを取得する、項目1に記載の配筋データ取得装置。
(項目7)
ユーザの入力を受け付ける入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部を介したユーザの入力に基づいて、複数のレイヤの何れかに対応するように前記焦点距離を変更する処理を実行する、項目1に記載の配筋データ取得装置。
(項目8)
前記制御部は、何れかのレイヤに対応する前記鉄筋構造体の画像を表示部に表示させるとともに、他のレイヤに対応する鉄筋構造体の画像を表示部に表示させないようにする、項目1に記載の配筋データ取得装置。
(項目9)
前記センサは、TOFセンサである、項目1に記載の配筋データ取得装置。
(項目10)
請求項1に記載の配筋データ取得装置と、
前記データ取得装置にネットワークを介して接続されるサーバと、を備える配筋データ取得システム。
(項目11)
所定のセンサで鉄筋構造体の3次元点群データを取得し、
前記センサから前記鉄筋構造体の第1レイヤまでの距離データを取得し、
前記距離データに基づいて、カメラの焦点距離を調整し、
前記カメラで前記鉄筋構造体を撮影して画像データを取得する、配筋データ取得方法。
【符号の説明】
【0049】
1 データ取得装置
10 ヘッド部
20 本体部
40 サーバ