(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067047
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】茶葉管理方法、情報システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
A23F 3/06 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A23F3/06 A
A23F3/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176823
(22)【出願日】2022-11-03
(71)【出願人】
【識別番号】000104375
【氏名又は名称】カワサキ機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌志
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真也
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FC10
4B027FE01
4B027FP03
4B027FP10
4B027FP90
4B027FR17
4B027FR18
(57)【要約】
【課題】生産流通履歴の追跡が可能であり、コンテナ内の空間を有効利用も可能で人の手による作業も不要な生葉自動コンテナを提供する。
【解決手段】茶の生葉を投入する生葉投入部と、前記生葉を搬出する生葉搬出部と、前記生葉投入部によって投入された前記生葉を前記生葉搬出部に搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する駆動手段と、を有する生葉自動コンテナにおいて、前記搬送部材の上面に投入された前記生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして、前記駆動手段の駆動量に応じて移動する前記搬送部材の所定寸法を用いる茶葉管理方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶の生葉を投入する生葉投入部と、前記生葉を搬出する生葉搬出部と、前記生葉投入部によって投入された前記生葉を前記生葉搬出部に搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する駆動手段と、を有する生葉自動コンテナにおいて、
前記搬送部材の上面に投入された前記生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして、前記駆動手段の駆動量に応じて移動する前記搬送部材の所定寸法を用いる
茶葉管理方法。
【請求項2】
前記搬送部材が、前記駆動手段で駆動されるキャタピラであり、
前記搬送部材の所定寸法が、前記キャタピラの1枚の幅に相当する寸法である
請求項1に記載の茶葉管理方法。
【請求項3】
前記生葉自動コンテナが、前記生葉の搬送方向に沿うとともに前記搬送部材を挟んで配置された一対の側壁をさらに有し、
前記パラメータには、前記搬送部材の前記所定寸法と直行する前記側壁の高さ方向の第2寸法を更に含む
請求項1に記載の茶葉管理方法。
【請求項4】
前記第2寸法が、投入された前記生葉の高さ寸法であり、前記生葉の保管前後の前記第2寸法の差を測定することにより、前記生葉の萎凋の進行程度を示す
請求項3に記載の茶葉管理方法。
【請求項5】
前記生葉投入部は、刈取群別に紐付けて記憶された茶葉情報、作業情報を基に、所定の条件を満たしているかの判定を行い、当該判定の結果に応じた開始位置に前記生葉を投入する
請求項1に記載の茶葉管理方法。
【請求項6】
前記生葉自動コンテナが、前記生葉投入部との相対位置が固定された検知手段をさらに有し、
前記検知手段が、前記生葉自動コンテナの容器における基準位置または前記容器に対し不動な基準点からの距離を計測し、
前記生葉投入部は、前記検知手段が計測した前記距離に基づき算出された開始位置に前記生葉を投入する
請求項5に記載の茶葉管理方法。
【請求項7】
前記生葉自動コンテナが、表示手段をさらに有し、
前記表示手段が、前記生葉の前記ばらつき範囲を表示する
請求項1~6の何れか一項に記載の茶葉管理方法。
【請求項8】
茶の生葉を投入する生葉投入部と、前記生葉を搬出する生葉搬出部と、前記生葉投入部によって投入された前記生葉を前記生葉搬出部に搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する駆動手段とを有する生葉自動コンテナを含む、製茶品の生産設備を制御する情報システムであって、
前記生葉を加工して前記製茶品を得る製茶過程に含まれる何れかの過程で取得される情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した受信情報に基づき、前記製茶過程における作業の計画、または、前記製茶過程で使用される機器の設定値、を生成する計画設定値生成部と、
前記計画設定値生成部が生成した前記計画または前記設定値を、前記作業の実施者端末または前記機器に送信する送信部と、を有し、
前記生葉自動コンテナにおいて、前記駆動手段の駆動量に応じて移動する前記搬送部材の所定寸法が、前記搬送部材の上面に投入された前記生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして用いられ、
前記搬送部材が前記所定寸法を移動する間、前記生葉搬出部から搬出される前記生葉を一単位とし、
前記計画設定値生成部が、前記一単位または複数単位の生葉を対象に前記生葉の加工条件を設定し、前記計画または前記設定値を生成する
情報システム。
【請求項9】
前記受信部が、前記製茶過程において使用される前記機器から、当該機器における実際の加工条件である実加工条件を含む加工情報をさらに受信し、
前記加工情報と、前記加工条件の設定対象とされた前記一単位または前記複数単位の生葉とを関連付け、前記製茶品の履歴情報を生成する履歴情報生成部、をさらに有する
請求項8に記載の情報システム。
【請求項10】
茶の生葉を投入する生葉投入部と、前記生葉を搬出する生葉搬出部と、前記生葉投入部によって投入された前記生葉を前記生葉搬出部に搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する駆動手段とを有する生葉自動コンテナを含む、製茶品の生産設備を制御するコンピュータで稼働するプログラムであって、
前記生葉を加工して前記製茶品を得る製茶過程に含まれる何れかの過程で取得される情報を受信する受信機能と、
前記受信機能が受信した受信情報に基づき、前記製茶過程における作業の計画、または、前記製茶過程で使用される機器の設定値、を生成する計画設定値生成機能と、
前記計画設定値生成機能が生成した前記計画または前記設定値を、前記作業の実施者端末または前記機器に送信する送信機能と、をコンピュータに実現させるためのものであり、
前記生葉自動コンテナにおいて、前記駆動手段の駆動量に応じて移動する前記搬送部材の所定寸法が、前記搬送部材の上面に投入された前記生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして用いられ、
前記搬送部材が前記所定寸法を移動する間、前記生葉搬出部から搬出される前記生葉を一単位とし、
前記計画設定値生成機能が、前記一単位または複数単位の生葉を対象に前記生葉の加工条件を設定し、前記計画または前記設定値を生成する
プログラム。
【請求項11】
前記受信機能が、前記製茶過程において使用される前記機器から、当該機器における実際の加工条件である実加工条件を含む加工情報を受信する機能をさらに有し、
前記加工情報と、前記加工条件の設定対象とされた前記一単位または前記複数単位の生葉とを関連付け、前記製茶品の履歴情報を生成する履歴情報生成機能、をコンピュータにさらに実現させる
請求項10に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉管理方法、情報システムおよびプログラムに関する。特に、製茶工場等において、茶園で摘採した生茶葉(以下「生葉」という場合がある。)を新鮮な状態で一定時間貯蔵し、その後、この生茶葉を必要に応じて蒸熱工程等の後工程に供給する生茶葉の収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、茶などの農業生産物の生産のための施肥や病害虫防除の農薬散布の時期や量は、農家が、過去の経験という不安定な条件に基づいて行なっていた。このため例えば圃場単位で少しずつ異なる施肥や農薬散布の時期や量を、必ずしも最適なものとすることができず、圃場単位で最適な生育が図れない等の問題があった。この点を改善するものとして、たとえば、特許文献1に開示されているような管理システムが知られている。すなわち特許文献1には、農業生産物の加工前の栽培時の情報を茶栽培管理情報データベースに管理し、製茶時の製茶条件等を荒茶製造管理情報データベースにてそれぞれ管理し、それらのデータベースをリンクさせることで、生産流通履歴の追跡が可能な管理システムが開示されている。
【0003】
また、刈取りを終えた生茶葉は、外気送風が備えられた生葉受入れコンテナと呼ばれるコンテナに投入されることとなるが、刈取群毎の茶葉の量がまちまちであることが通常である。その茶葉の量がまちまちである場合にコンテナに茶葉を刈取群毎に収容する場合には、コンテナの一部にしか茶葉が収容されていない場合も想定され、コンテナのスペースを有効利用することができないという問題が生じる。その問題を解決する手段として、たとえば特許文献2には、コンテナ内のスペースに柱枠1eを設けて、柱枠1eにてスペースを細分化する内容の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-141071号公報
【特許文献2】特開2002-027911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の管理システムによれば、生産流通履歴の追跡が可能になるものの、追跡可能な加工品(荒茶)の単位は、加工前の農産物(生葉)を受け入れた単位(たとえば、茶園ごと、生産者ごと)に限られ、加工前の農産物受け入れの際に、受入単位の農産物が混在しないよう配慮する必要がある。一般的には、異なる単位の農産物(生葉)を受け入れる際に時間差を設け、異なる単位の農産物間に時間的な区切りを設ける方法、異なる単位の農産物(生葉)を受入コンテナに収容する際に、受入コンテナ内の異なる場所に農産物(生葉)を投入し、異なる単位の農産物間に空間的な区切りを設ける方法、を採用することが考えられるが、上記した時間的な区切り、空間的な区切りは、農産物の加工に要する時間を遅延させ、また、受入コンテナの収容量低下を招き、結果、農産物加工のスループットの低下、あるいは、農産物加工設備の稼働率低下を招き、好ましくない。
【0006】
一方、特許文献2に開示の技術によれば、受入コンテナ内の柱枠によってスペースを細分化するので、時間的あるいは空間的な差異を設けることなく、異なる単位の農産物(生葉)を受け入れることが可能になるものの、構造が複雑な上、柱枠を抜き取る作業は人力に依らざるを得ず、更にはスペース内の冷却ムラが大きく、現実的な対策には至ってはいなかった。
【0007】
本発明の目的は、生産流通履歴の追跡が可能であり、コンテナ内の空間を有効利用も可能で人の手による作業も不要な生葉自動コンテナを提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、上記したような生葉自動コンテナを前提とした、製茶品生産の設備を制御する情報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、茶の生葉を投入する生葉投入部と、前記生葉を搬出する生葉搬出部と、前記生葉投入部によって投入された前記生葉を前記生葉搬出部に搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する駆動手段と、を有する生葉自動コンテナにおいて、前記搬送部材の上面に投入された前記生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして、前記駆動手段の駆動量に応じて移動する前記搬送部材の所定寸法を用いる茶葉管理方法を提供する。
【0010】
前記搬送部材が、前記駆動手段で駆動されるキャタピラであり、前記搬送部材の所定寸法が、前記キャタピラの1枚の幅に相当する寸法であってもよい。
【0011】
前記生葉自動コンテナが、前記生葉の搬送方向に沿うとともに前記搬送部材を挟んで配置された一対の側壁をさらに有し、前記パラメータには、前記搬送部材の前記所定寸法と直行する前記側壁の高さ方向の第2寸法を更に含んでもよい。この場合、前記第2寸法が、投入された前記生葉の高さ寸法であり、前記生葉の保管前後の前記第2寸法の差を測定することにより、前記生葉の萎凋の進行程度を示すものであってもよい。
【0012】
前記生葉投入部は、刈取群別に紐付けて記憶された茶葉情報、作業情報を基に、所定の条件を満たしているかの判定を行い、当該判定の結果に応じた開始位置に前記生葉を投入するものであってもよい。
【0013】
前記生葉自動コンテナが、前記生葉投入部との相対位置が固定された検知手段をさらに有し、前記検知手段が、前記生葉自動コンテナの容器における基準位置または前記容器に対し不動な基準点からの距離を計測し、前記生葉投入部は、前記検知手段が計測した前記距離に基づき算出された開始位置に前記生葉を投入するものであってもよい。
【0014】
上記した茶葉管理方法において、前記生葉自動コンテナが、表示手段をさらに有し、前記表示手段が、前記生葉の前記ばらつき範囲を表示するものであってもよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、茶の生葉を投入する生葉投入部と、前記生葉を搬出する生葉搬出部と、前記生葉投入部によって投入された前記生葉を前記生葉搬出部に搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する駆動手段とを有する生葉自動コンテナを含む、製茶品の生産設備を制御する情報システムであって、前記生葉を加工して前記製茶品を得る製茶過程に含まれる何れかの過程で取得される情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した受信情報に基づき、前記製茶過程における作業の計画、または、前記製茶過程で使用される機器の設定値、を生成する計画設定値生成部と、前記計画設定値生成部が生成した前記計画または前記設定値を、前記作業の実施者端末または前記機器に送信する送信部と、を有し、前記生葉自動コンテナにおいて、前記駆動手段の駆動量に応じて移動する前記搬送部材の所定寸法が、前記搬送部材の上面に投入された前記生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして用いられ、前記搬送部材が前記所定寸法を移動する間、前記生葉搬出部から搬出される前記生葉を一単位とし、前記計画設定値生成部が、前記一単位または複数単位の生葉を対象に前記生葉の加工条件を設定し、前記計画または前記設定値を生成する情報システムを提供する。
【0016】
前記受信部が、前記製茶過程において使用される前記機器から、当該機器における実際の加工条件である実加工条件を含む加工情報をさらに受信し、前記加工情報と、前記加工条件の設定対象とされた前記一単位または前記複数単位の生葉とを関連付け、前記製茶品の履歴情報を生成する履歴情報生成部、をさらに有してもよい。
【0017】
本発明の第3の態様においては、茶の生葉を投入する生葉投入部と、前記生葉を搬出する生葉搬出部と、前記生葉投入部によって投入された前記生葉を前記生葉搬出部に搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する駆動手段とを有する生葉自動コンテナを含む、製茶品の生産設備を制御するコンピュータで稼働するプログラムであって、前記生葉を加工して前記製茶品を得る製茶過程に含まれる何れかの過程で取得される情報を受信する受信機能と、前記受信機能が受信した受信情報に基づき、前記製茶過程における作業の計画、または、前記製茶過程で使用される機器の設定値、を生成する計画設定値生成機能と、前記計画設定値生成機能が生成した前記計画または前記設定値を、前記作業の実施者端末または前記機器に送信する送信機能と、をコンピュータに実現させるためのものであり、前記生葉自動コンテナにおいて、前記駆動手段の駆動量に応じて移動する前記搬送部材の所定寸法が、前記搬送部材の上面に投入された前記生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして用いられ、前記搬送部材が前記所定寸法を移動する間、前記生葉搬出部から搬出される前記生葉を一単位とし、前記計画設定値生成機能が、前記一単位または複数単位の生葉を対象に前記生葉の加工条件を設定し、前記計画または前記設定値を生成するプログラムを提供する。
【0018】
前記受信機能が、前記製茶過程において使用される前記機器から、当該機器における実際の加工条件である実加工条件を含む加工情報を受信する機能をさらに有してもよく、前記加工情報と、前記加工条件の設定対象とされた前記一単位または前記複数単位の生葉とを関連付け、前記製茶品の履歴情報を生成する履歴情報生成機能、をコンピュータにさらに実現させるものであってもよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】情報システム100が管理する製茶品の茶木育成から販売に至る過程の全体を示す概念図である。
【
図2】情報システム100の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】キャタピラの搬送面上の茶葉の表示態様である。
【
図8】生葉自動コンテナの制御盤の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、情報システム100が管理する製茶品の茶木育成から販売に至る過程の全体を示す概念図である。
図1において、実線矢印は物の流れを示し、破線矢印は情報の流れを示す。
【0023】
情報システム100は、茶木を育成し収穫し加工して得られる製茶品600を管理する。茶圃場200は、茶木を育成する。茶圃場作業者202は、作業者端末204を携帯し、茶圃場200を管理する茶圃場管理過程、茶木を育成する茶木育成過程、茶木を収穫する摘採過程における各種作業に従事する。
【0024】
作業者端末204は、情報システム100から作業の計画、たとえば、施肥計画、防除計画、収穫計画等を受信する機能を有する。このため、茶圃場作業者202は、当該受信した計画を参照して、作業を行うことができる。
【0025】
茶圃場作業者202は、また、作業者端末204に作業日報等の作業情報を入力することも可能であり、作業者端末204は、入力された作業情報を情報システム100に送信する。茶圃場作業者202は、作業者端末204を介して茶圃場200の基本情報である生産者、茶園の場所、摘採する茶葉の品種等を入力する。その際、生茶葉の刈取群として、刈取りの日付毎、刈取りの場所毎等任意とすることができる。
【0026】
茶圃場200には、摘採機210、施肥機220、防除機230、フィールドサーバ240等茶圃場機器が配置され、茶圃場作業者202は、これら茶圃場機器を利用して、摘採作業、施肥作業、防除作業等の茶圃場作業を行う。茶圃場機器は、茶圃場管理過程で圃場情報を取得し、茶木育成過程で育成情報を取得し、摘採過程で収穫情報を取得し、取得した圃場情報、育成情報および収穫情報を情報システム100に送信する。
【0027】
前記圃場情報として、たとえば茶圃場200の土壌情報が例示でき、前記育成情報として、たとえば茶木の育成状況を示す画像情報や茶木育成過程における気象情報が例示できる。前記収穫情報として、たとえば生葉の収穫予定日時情報、重量情報、品質情報等が例示できる。
【0028】
また、茶圃場機器は、前記した情報を情報システム100に送信するとともに、情報システム100から夫々の機器における設定値を受信し、情報システム100から設定値を受信して自動入力することで、茶圃場作業者202による入力作業が省略または簡略化でき、茶圃場機器の自動運転にも対応することが可能になる。
【0029】
摘採機210は、インターネットなどの通信ネットワークシステムにより有線通信または無線通信を利用して乗用型管理機に接続されており、乗用型管理機との間で情報の通信を行っている。
【0030】
摘採機210からの情報としては、作業者、摘採日時や摘採場所、摘採時の刈面の高さ等の情報であり、作業状態や設定刈面高さ等の情報を乗用型管理機から一定間隔ごとに情報システム100へ自動送信され、情報システム100内の記憶部108に記憶されるように構成されている。摘採機210によって摘採された生茶葉は、輸送車両300により輸送される。
【0031】
施肥機220、防除機230についても摘採機210同様に構成され、それぞれ、茶圃場への施肥に関する情報及び茶圃場への防除に関する情報が情報システム100に通信される。
【0032】
輸送車両300は、茶圃場200で収穫された生葉を輸送する。輸送作業者302は、輸送車両300を操作して生茶葉輸送過程における輸送作業に従事する。輸送作業者302は、作業者端末304を携帯し、作業者端末304は、情報システム100から輸送計画等を受信することで、輸送作業者302は、受信した輸送計画を参照して、輸送作業を行うことができる。輸送作業者302は、また、作業者端末304に作業日報等の作業情報を入力し、作業者端末304は、入力された作業情報を情報システム100に送信する。
【0033】
輸送車両300は、当該輸送過程において輸送情報を取得し、取得した輸送情報を情報システム100に送信する。前記輸送情報として、たとえば、輸送に係る生葉の重量情報、品質情報、到着予定日時情報等が例示できる。また、輸送車両300は、輸送情報を情報システム100に送信するとともに、情報システム100から輸送車両300における設定値、たとえばナビゲーションシステムへの入力値を受信する。この際、情報システム100から設定値を受信して自動入力することで、輸送作業者302による入力作業が省略または簡略化できる。
【0034】
生葉受入400では、輸送された生葉を受け入れる。受入作業者402は、生葉受入400の設備を操作して生葉受入過程における受入作業に従事する。受入作業者402は、作業者端末404を携帯し、作業者端末404は、情報システム100から受入計画等を受信する。受入作業者402は、受信した受入計画を参照して、受入作業を行うことが可能であり、受入作業者402は、作業者端末404に作業日報等の作業情報を入力し、作業者端末404は、入力された作業情報を情報システム100に送信する。
【0035】
生葉受入400では、当該受入過程において受入情報を取得し、取得した受入情報を情報システム100に送信する。前記受入情報として、たとえば、輸送に係る生葉の重量情報、品質情報、到着予定日時情報等が例示できる。
【0036】
また、生葉受入400では、受入情報を情報システム100に送信するとともに、情報システム100から生葉受入400の設備における設定値を受信する。この際、情報システム100から設定値を受信して自動入力することで、受入作業者402による入力作業が省略または簡略化できる上、生葉受入400を無人で自動制御することもできる。
【0037】
生葉受入400には、茶圃場作業者202により入力された茶圃場の基本情報、摘採機210からの作業情報、生茶葉輸送過程における輸送作業情報等を生茶葉に紐付けられた状態で、製茶工程の初工程である生葉自動コンテナ20に受入情報と共にして、投入先コンテナを指定して投入される。その際、刈取群毎の生茶葉の投入域を識別させてもよく、生茶葉の刈取群は、刈取りの日付毎、刈取りの場所毎、生産者毎等任意とすることができる。
【0038】
製茶ライン500は、受け入れた生葉を加工する。ライン作業者504は、生葉を製茶品に加工することに従事する。ライン作業者504は、作業者端末502を携帯し、作業者端末502は、情報システム100から加工計画等を受信する。ライン作業者504は、受信した加工計画を参照して、加工作業を行うことが可能であり、ライン作業者504は、作業者端末502に加工作業の日報等の作業情報を入力し、作業者端末502は、入力された作業情報を情報システム100に送信する。製茶ライン500は、情報システム100から加工計画等を受信して無人で自動制御してもよい。製茶ライン500は加工作業の日報等の作業情報を自動的に情報システム100に送信するものでもよい。
【0039】
製茶ライン500により加工された生葉は、製茶品600として取扱業者700を介して小売店800に出荷され、消費者900によって購入される。なお、製茶ライン500については後に詳述する。
【0040】
取扱業者700は、流通販売過程で取得される情報、たとえば、製茶品600の売上、在庫、在庫回転率、小売店800から取得する消費者900のニーズに関連するニーズ情報等の流通販売情報を情報システム100に送信する。
【0041】
図2は、情報システム100の構成を示す機能ブロック図である。情報システム100は、製茶品の生産設備を制御する情報システムであり、たとえば、サーバ等のコンピュータハードウェアおよびソフトウェアによって構成される。情報システム100は、制御部114,受信部102、送信部104、計画設定値生成部106、記憶部108、履歴情報生成部116を有する。
【0042】
受信部102は、生葉を加工して製茶品600を得る製茶過程に含まれる何れかの過程で取得される情報を受信する。
【0043】
計画設定値生成部106は、受信部102が受信した受信情報に基づき、製茶過程における作業の計画、または、製茶過程で使用される機器の設定値、を生成する。
【0044】
送信部104は、計画設定値生成部106が生成した計画または設定値を、対応する作業の実施者端末または機器に送信する。
【0045】
記憶部108は、受信部102が受信した受信情報、計画設定値生成部106が生成した計画または設定値を記録する。
【0046】
本実施の形態の情報システム100では、後に説明する生葉自動コンテナ20おいて、駆動手段の一例であるモータの駆動量(回転)に応じて移動する搬送部材(一例としてキャタピラ2を例示する)の所定寸法を、搬送部材の上面に投入された生葉のばらつき範囲を推定するパラメータとして用いる。この場合、搬送部材が当該所定寸法を移動する間、生葉の搬出口5から搬出される生葉を一単位とし、計画設定値生成部105は、当該一単位または複数単位の生葉を対象に生葉の加工条件を設定し、前記した計画または設定値を生成する。
【0047】
また、受信部102は、製茶過程において使用される機器から、当該機器における実際の加工条件である実加工条件を含む加工情報を受信することができ、この場合、履歴情報生成部116は、前記した実加工条件を含む加工情報と、計画設定値生成部106で加工条件の設定対象とされた生葉(前記した一単位または複数単位の生葉)とを関連付け、製茶品600の履歴情報を生成する。当該履歴情報は、記憶部108に記録することができ、製茶品600を出荷した後等において、トレーサビリティデータとして利用することが可能である。
【0048】
製茶ライン520は、
図9に示すように受入コンテナ530、蒸熱機532、蒸葉処理機534、葉打機536、粗揉機538、揉捻機540、中揉機542、精揉機544、乾燥機546等から構成されており、インターネットなどの通信ネットワークシステムにより有線通信または無線通信を利用して情報システム100に接続されている。
【0049】
従って、製茶ライン520は、情報システム100を介して製茶ライン520の工程前までに行った茶葉の育成、摘採機における刈取り時の作業情報、生茶葉輸送過程における輸送作業情報のすべてを茶園や作業者等の刈取群別に紐付けて受信することができる。
【0050】
投入先のコンテナを指定されて投入された生茶葉は、製茶ライン520の初工程である生葉自動コンテナ20(
図3に示す)に移送される。生葉自動コンテナ20は、各茶園で摘採された生茶葉をその鮮度を保ちつつ一定時間貯蔵するためのものであり、
図3に示すように、収容空間と、キャタピラと、検知手段と、送風手段等から主に構成されている。
【0051】
生葉自動コンテナ20は、側壁1とキャタピラ2により収容部を構成している。側壁1は、上枠、下枠及び柱枠等にて支持されたものであり、キャタピラ2は、複数枚のパンチングメタル板等から成る搬送面を図示しないモータで駆動させ、生茶葉を搬出口5へ搬送可能なものであり、側壁1とキャタピラ2により区画された収容空間4内に茶葉が収容される。また、収容した生茶葉に対して下方から送風するための送風手段としての送風ファン3も配設され、キャタピラ2の搬送面上の生茶葉に常時冷却風を通過させている。
【0052】
生葉自動コンテナ20の搬出口5には、キャタピラ2で搬送された生茶葉を掻き落とすための掻き落とし装置6が配設されている。この掻き落とし装置6は、先端に形成された爪が回転して、搬出口の生茶葉を生葉自動コンテナ20から掻き落とすよう構成されている。
【0053】
走行台車7は、具備する車輪が生葉自動コンテナ20の上部を転動することにより、上部に配設された走行コンベア8と共に生葉自動コンテナ20の前後方向に移動可能なものである。尚、走行台車7は、生葉自動コンテナ20における前後端近傍に配設されたリミットスイッチ(不図示)により、その移動範囲が制限されており、走行台車7が規定範囲外に移動してしまうのを防止している。
【0054】
走行コンベア8は、具備する車輪が走行台車7上に固定されたガイドレール上を転動することにより、走行台車7上を生葉自動コンテナ20の幅方向に移動しつつ、搬送コンベア9及び振分けコンベア10で搬送された生茶葉を生葉自動コンテナ20内に投入するものである。尚、走行コンベア8は、前後方向に往復動可能とされたものである。
【0055】
搬送コンベア9は、所定角度傾斜して配設されたもので、その下端に配設されたホッパ11内に収容された生茶葉を上端まで搬送し、上端から振分けコンベア10上に落下させるものである。尚、搬送コンベア9の途中には、生茶葉に送風するための冷却ファン12が設けられている。
【0056】
振分けコンベア10は、搬送コンベア9における上端の下方に基端が位置するとともに、下方に走行コンベア8が位置するよう配設されたものであり、基端を軸に揺動自在とされている。そして、走行コンベア8が生葉自動コンテナ20の幅方向に移動すると先端がそれに追従し、常に走行コンベア8上に生茶葉を供給し得るよう構成されたものである。
【0057】
なお、キャタピラ2は「生葉を生葉搬出部に搬送する搬送部材」の一例であり、搬出口5および掻き落とし装置6は「生葉搬出部」の一例である。走行コンベア8は「生葉投入部」の一例であり、図示しないモータは「搬送部材を駆動する駆動手段」の一例である。
【0058】
生葉自動コンテナ20を制御する制御盤13は
図8で示すように受信部13-1、送信部13-2、制御部13-3、判定部13-4、記憶部13-5、検知部13-6、表示部等13-7から構成される。
【0059】
受信部13-1は、情報システム100を介して茶葉の育成、摘採機における刈取り時の作業情報等のすべてを茶園や作業者等の刈取群別に紐付けて受信することができる。
【0060】
送信部13-2は、記憶部に記憶された情報等を情報システム100に送信する。
【0061】
制御部13-3は、生茶葉を投入すべきボックスを特定することの他、走行台車7及び走行コンベア8の動作を制御して生茶葉の投入を行わせしめるものである。即ち、一括投入又は分割投入のような投入方法においては、走行コンベア8の移動と走行台車7の前進又は後退とを交互に繰り返し行わせつつ、生茶葉を投入すべきボックスの前側端と後ろ側端との間で走行台車7を所定回数往復動させて生葉自動コンテナ20に生茶葉を積み上げ、検知手段が満杯を検知するまで生茶葉を投入するよう制御する。
【0062】
また制御部13-3は、刈取群毎(例えば圃場毎、生産者毎、茶品種毎等)に走行コンベア8に設けられた茶葉の有無を検知するセンサ(図示なし)が茶葉を検知している間、走行コンベア8は茶葉投入部16よりキャタピラ2上に投入を続けるように構成される。
【0063】
判定部13-4は、投入先コンテナに投入された生茶葉に対し、刈取群別に紐付けて記憶された摘採機210からの情報、作業情報を基に、後述するトレーサビリティを保つ必要性を判断するための「所定の条件」を満たしているかを判定する。そして、判定結果を基に、投入先コンテナから搬送コンテナへの移送順番を決定すると共に、茶葉投入部16の開始位置を判定する。
【0064】
記憶部13-5は、受信部が受信した、茶葉の育成、摘採機における刈取り時の作業情報のすべてを茶園や作業者等の刈取群別に紐付けて記憶する。また、茶葉投入部16よりキャタピラ2上に投入される投入量及び検知手段によってキャタピラ2に対する茶葉投入部16の位置も記憶する。
【0065】
検知部13-6は、生葉自動コンテナ20に投入される生茶葉の満杯を検知する他、収容コンテナの端部15の柱枠と走行コンベア8の距離を計測(
図4のa)する検知手段14,茶葉高さを計測する検知手段17を含んで構成される。
【0066】
表示部13-7は、キャタピラ2上の搬送面上に収容された茶葉の態様を表示できるように構成されている。
【0067】
また、走行コンベア8に設けられた検知手段14は、例えば距離センサ等により構成され、収容コンテナの端部15の柱枠と走行コンベア8の距離を計測(
図4のa)し、制御盤内の記憶部に記憶する。走行コンベア8には茶葉をキャタピラ2の搬送面に投入する茶葉投入部16が設けられているため、前記検知手段14によって測定されたキャタピラ2の搬送面に対する茶葉投入部16の位置も常に記憶されることとなる。
【0068】
上記のように茶葉投入部16とキャタピラ2の搬送面の位置は紐付けられているため、茶葉投入部16から投入されたキャタピラ2の搬送面における位置(
図4のb)も茶葉投入部16の位置から推測することができる。
【0069】
なお、上記では、検知手段14が走行コンベア8に設けられている例を説明したが、検知手段14は、生葉投入部である茶葉投入部16との相対位置が固定されえていればよく、また、検知手段14が計測する距離として、収容コンテナの端部15の柱枠と走行コンベア8の距離を例示したが、検知手段14と生葉自動コンテナ20の容器における基準位置からの距離、たとえば、端部15からの距離、側壁1からの距離、柱枠1eからの距離、その他、コンテナ容器に対し不動な基準点からの距離を計測するものであればよい。このように検知手段14によってコンテナ容器に不動な基準点からの距離を計測することで、茶葉投入部16の位置を知ることができ、刈取群別に紐付けて記憶された茶葉情報、作業情報を基に判定された開始位置に生葉を投入することができる。
【0070】
また、茶葉投入部16の位置、茶葉投入部16の開口長さ(
図4のc)、前述の茶葉投入時間により投入茶葉がキャタピラ2の搬送面に散らばる位置(
図4のd)も推定が可能である。実機との相関からd=茶葉投入部16の開口長さ×定数で表すことが可能であるが、収容空間を構成する駆動部材の一部であるキャタピラ2の1枚分の幅をパラメータとして用いて、その幅を以って茶葉の散らばる位置を管理することもできる。例えば、
図4の場合であれば、投入茶葉がキャタピラ2の搬送面に散らばる位置は、茶葉群Aがキャタピラ8枚分、空間が5枚分あり、茶葉群Bがキャタピラ8枚分であると推定される。このように収容空間を構成する駆動部材の一部の寸法を用いてキャタピラ上に広がる茶葉のばらつきを管理することができれば、駆動手段であるモータの角度に対する茶葉のばらつき位置が正確に把握できるため、刈取群毎のトレーサビリティを維持することができる。
【0071】
また、茶葉群A、茶葉群Bを搬出される生葉を一単位ごとの情報データとして捉えれば、このデータは、次工程以降への生葉の流通履歴を追跡可能なデータとして機能するものと言える。
【0072】
実施例においてはキャタピラ2の幅をパラメータとして利用したが、キャタピラ2の幅でなくとも駆動手段としてステップモータを使用し、一定の角度ずつ動くモータの一定角度に対応するキャタピラ幅を使用するものであっても良い。
【0073】
このように、駆動部材上に収容される茶葉の位置を駆動手段の回転角度と紐付けて推定することで、駆動手段の回転角度を検知し、キャタピラの動作数を把握することで、キャタピラの搬送面上の茶葉の位置も推定することができ、正確に茶葉を次工程に移送させることが可能となる。
【0074】
上記キャタピラ2上の搬送面へのばらつきを推定された茶葉の位置は、制御盤13の記憶部内に記憶され、例えば表示部13-7において、
図6(1)のように表示される。
【0075】
しかしながら、
図4に示す方法のみではコンテナの収容空間4の効率的な利用という観点からは改善が望まれるため、本発明においては、刈取群毎の生茶葉が「所定の条件」を満たす場合においては、
図5に示すように投入茶葉がキャタピラ2の搬送面に散らばる位置を重ねて管理を行っている。
【0076】
前記「所定の条件」とは、生茶葉が重なった場合においてもトレーサビリティを保つことが可能な範囲の条件であり、そのひとつの条件として茶葉の品種及び圃場が同一であることが必須条件として挙げられる。茶葉の品種が異なれば茶葉の成分も異なり、圃場が異なれば、土壌の状態、気象条件が異なるためである。
【0077】
また、茶葉の品種が同一でも茶葉に含まれるタンニン量は約5%のバラツキが生じることが知られているため、生葉段階で茶葉の成分分析を行い、測定した成分の基準値を定め、その基準値±3%程の幅を「所定の条件」とすることで、茶葉の品種のみの条件よりもより精度高くトレーサビリティを保つこともできる。
【0078】
更に、品種が同一であっても茶葉への施肥、防除の程度により茶葉の品質が異なるため、「所定の条件」に施肥機、防除機による作業情報を含んでもよい。例えば、茶葉の品種、圃場が同一で、且つ防除を全く行うことが無かった所謂無農薬の茶葉であれば、茶葉の品質特性は類似しており、販売時にも「茶品種+無農薬」として売られていることから、消費者のニーズ要望の対象も「茶品種+無農薬」として要望されるためである。
【0079】
このように本発明においては、刈取群別に紐付けて記憶された摘採機210からの作業情報、施肥機260又は防除機280の作業情報等を基に、トレーサビリティを保つ必要性を判断するための「所定の条件」を満たしているかを判定し、その判定結果に応じて茶葉投入部16から投入されるキャタピラ2への茶葉のばらつきを推定することが可能なように構成されている。
【0080】
このような構成とすることで、「所定の条件」を満たさないものは、刈取り群毎の茶葉の性状が異なることから、トレーサビリティを保つ必要性が高いものと判断され、
図4のように茶葉同士が重なり合わないように投入されて、トレーサビリティの精度を向上させることができる。
【0081】
また、「所定の条件」を満たすものは、刈取り群毎の茶葉の性状が類似することから、トレーサビリティを保つ必要性が低いものと判断される。その場合には、
図5のように刈取り群毎の茶葉同士を重ねて投入し、生葉自動コンテナのコンテナ内の効率を重視することができる。
【0082】
具体的には、
図5に示すように茶葉群Aと茶葉群Bに対して、茶葉投入部16の位置がfずれ、茶葉群Aと茶葉群Bは重なった位置にて茶葉がコンテナの収容空間4内に収容される。
【0083】
この場合、キャタピラ2上の搬送面上の茶葉群の位置範囲はgとなり、茶葉群Aと茶葉群Bは上下方向で一部重なりが生じることとなる。本発明においては、このような場合であっても茶葉投入部16の位置、茶葉投入部16の開口面積、茶葉投入時間により投入茶葉がキャタピラ2の搬送面に散らばる位置の推定が可能である。この場合、キャタピラ2の幅をパラメータとすれば、茶葉群Aのキャタピラ8枚分に加え、茶葉群Bの4枚分を合わせ、キャタピラ12枚分の幅に位置しているものと推定できる。このように刈取群毎の茶葉同士が混合した場合であっても、駆動部材上に収容される茶葉の位置を駆動部材の回転角度と紐付けて推定することで、駆動部材に特別なセンサを用いることなく、「所定の条件」を満たす条件下において刈取群毎のトレーサビリティを維持することができる。
【0084】
上記のようにキャタピラ2上の搬送面にばらつきを推定され、刈取群毎の茶葉群が異なる場合で、茶葉群が上下方向に重なりが生じた場合の茶葉の位置は、制御盤の記憶部内に記憶を基づき、例えば
図6(2)のように表示される。
【0085】
このような構成にすれば、茶葉群Aの上部に茶葉群Bが重なる両茶葉群の位置関係の様子を画面表示により把握することができる。また制御盤13が生葉自動コンテナ20と離れた位置にあったとしても、表示画面により容易に把握することができる。
【0086】
一方、茶葉群Aと茶葉群Bが上下方向で一部重なりが生じた状態にて収容コンテナの搬出口5まで移送された場合には、キャタピラ2で搬送された生茶葉を掻き落とすための掻き落とし装置6にて搬出口5より掻き落とされ、次行程に向けて移送される。
【0087】
この際駆動手段であるモータを一定速度にて駆動させたとしても
図4の場合においては、茶葉群Aと茶葉群Bの間には茶葉が投入されていないキャタピラ2があるため、茶葉群Aと茶葉群Bはトレーサビリティを維持することができる。
【0088】
図7は、キャタピラ2の搬送面の拡大図である。この図においては、駆動部材2上に収容され、掻き落とし装置6により搬出口5より掻き落とされた茶葉群Aと、駆動部材2上に収容されている茶葉群Bを表している。この実施例においては、駆動手段であるモータ18が1回転に対し、その外周に配置された駆動部材2は8枚で構成されている。実施例の構成の茶葉群Bであれば、キャタピラ2の4枚分に茶葉が散らばっており、それは駆動手段(モータ18)の180°分の回転角度であることがわかる。この場合、茶葉群Aと茶葉群Bはキャタピラ1枚分の空間しか設けられていないような場合には、駆動手段であるモータが一定速度の場合には、茶葉群Aと茶葉群Bが混合してしまう可能性が高くなる。しかし、駆動部材2上に収容される茶葉のばらつきを駆動手段(モータ18)の回転角度と紐付けて推定していれば、茶葉群Aが投入されているキャタピラの幅分のみ駆動手段を駆動させ、一次休止後、更に、茶葉群Bが投入されているキャタピラの幅分のみ駆動手段を駆動することで、茶葉群間の空間が小さくても茶葉群同士は混合せず、刈取群毎のトレーサビリティを維持することができるのである。
【0089】
その他別の実施例として、
図4に示すように、生茶葉のキャタピラ2の搬送面からの高さ(
図4に示すe、
図5に示すe1、e2)を走行コンベア8に設けられた非接触センサ等に構成された茶葉高さ検知手段17より検知することもできる。
【0090】
この場合は、
図6(2)のように表示された茶葉群の形態は、生茶葉のキャタピラ2の搬送面からの高さを反映させて
図6(3)のように実形態により近い態様にて表示することもできる。
【0091】
また、茶葉高さを検知手段17より検知することで、生葉自動コンテナ20を茶葉保管用に用いた場合には、生茶葉の保管前後の生茶葉の高さの差を測定することにより、茶葉の萎凋の進行具合を把握することもできる。
【0092】
また、生葉自動コンテナ20における対向する側壁1に投光手段及び受光手段をそれぞれ設置して、生茶葉の高さを検知するよう構成してもよく、他の汎用的なセンサを用いてもよい。
【0093】
前述のように生葉自動コンテナ20の搬出口5から掻き落とされた生茶葉は、
図9にて示すように蒸熱機532、蒸葉処理機534、葉打機536、粗揉機538、揉捻機540、中揉機542、精揉機544、乾燥機546へと順次移行され、荒茶として完成される。そして、前述の茶葉の育成、刈取り等の作業条件等は情報システム100を介して製茶ライン最終工程機から排出される荒茶完成に至るまでの各工程機での製茶条件が紐付けて記憶することも可能となる。
【0094】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0095】
たとえば、上記した実施の形態では、「生葉を生葉搬出部に搬送する搬送部材」の一例としてキャタピラ2を例示し、「搬送部材を駆動する駆動手段」の一例として、モータを例示し、「生葉搬出部」の一例として搬出口5および掻き落とし装置6を例示したが、これに限られない。その他の部材についても上記実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えた構成も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1…側壁、1e…柱枠、2…キャタピラ、2…駆動部材、3…送風ファン、4…収容空間、5…搬出口、6…掻き落とし装置、7…走行台車、8…走行コンベア、9…搬送コンベア、10…振分けコンベア、11…ホッパ、12…冷却ファン、13…制御盤、13-1…受信部、13-2…送信部、13-3…制御部、13-4…判定部、13-5…記憶部、13-6…検知部、13-7…表示部、14…検知手段、15…収容コンテナの端部、16…茶葉投入部、17…検知手段、18…モータ、20…生葉自動コンテナ、100…情報システム、102…受信部、104…送信部、106…計画設定値生成部、108…記憶部、114…制御部、200…茶圃場、202…茶圃場作業者、204…作業者端末、210…摘採機、220…施肥機、230…防除機、240…フィールドサーバ、260…施肥機、280…防除機、300…輸送車両、302…輸送作業者、304…作業者端末、400…生葉受入、402…受入作業者、404…作業者端末、500…製茶ライン、502…作業者端末、504…ライン作業者、520…製茶ライン、530…受入コンテナ、532…蒸熱機、534…蒸葉処理機、536…葉打機、538…粗揉機、540…揉捻機、542…中揉機、544…精揉機、546…乾燥機、600…製茶品、700…取扱業者、800…小売店、900…消費者。