(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067059
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】取付構造、搬送装置、及び入浴装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A61H33/00 310K
A61H33/00 310C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176850
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000182373
【氏名又は名称】酒井医療株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辛島 大輝
【テーマコード(参考)】
4C094
【Fターム(参考)】
4C094AA01
4C094BB01
4C094CC03
4C094GG02
(57)【要約】
【課題】上下に重ねられる2つの部材の接続が外れることを抑制する。
【解決手段】第1部材を下方から支持する第2部材に、第1部材が装脱着可能に取り付けられる取付構造は、孔部と、突出部材と、当接部と、を備える。孔部は、第1部材及び第2部材のうちの一方部材を上下方向に貫通する。突出部材は、第1部材及び第2部材のうちの他方部材に配置され、孔部に挿通可能である。当接部は、第1部材が第2部材に装着された状態において、第1部材の一部よりも上方に配置され、上下方向から見て第1部材の一部と重なる。突出部材は、第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く際、孔部の内部又は上下方向における端部において一方部材と当接する。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材を下方から支持する第2部材に、前記第1部材が装脱着可能に取り付けられる取付構造であって、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの一方部材を上下方向に貫通する孔部と、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの他方部材に配置され、前記孔部に挿通可能な突出部材と、
前記第1部材が前記第2部材に装着された状態において、前記第1部材の一部よりも上方に配置され、上下方向から見て前記第1部材の前記一部と重なる当接部と、
を備え、
前記突出部材は、前記第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く際、前記孔部の内部又は上下方向における端部において前記一方部材と当接する、取付構造。
【請求項2】
上下方向から見て前記突出部材と前記当接部との間において、前記第2部材の上面から上方に突出する凸部をさらに備える、請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記突出部材は、
前記他方部材から上下方向の前記一方部材側に突出する台座部と、
前記台座部よりも上下方向の前記一方部材側に配置され、上下方向に延びる回転軸回りに回転可能なレバー部と、
を有し、
前記レバー部は、前記第1部材が前記第2部材に装着される際、回転により、前記一方部材に掛止された状態と、前記孔部を通過可能な状態と、に切り替え可能である、請求項1に記載の取付構造。
【請求項4】
前記突出部材は、
前記他方部材から軸方向の前記一方部材側に延びる柱部と、
前記柱部の側面から上下方向と垂直な方向に延びる爪部と、
を有し、
前記爪部は、前記第1部材が前記第2部材に装着された状態において、前記一方部材の一部と上下方向に重なる、請求項1に記載の取付構造。
【請求項5】
前記第1部材を付勢する付勢部材をさらに備え、
前記爪部は、少なくとも前記柱部及び前記付勢部材の一方から他方に向かって延び、
前記付勢部材は、前記爪部が延びる方向のうち、前記柱部が前記一方部材の一部と当接する向きに前記第1部材を付勢する、請求項4に記載の取付構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の取付構造を備える、搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送装置と、
前記搬送装置により搬送される被介助者を入浴させるための浴槽と、
を備える、入浴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付構造、搬送装置、及び入浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介助を受ける者(以下、被介助者と呼ぶ。)を入浴させることを目的として、被介助者を担架に乗せたまま、浴槽内の湯に浸からせる入浴装置が知られている。特許文献1のように、被介助者を乗せるシートは、その裏面に配置される鋼材から成る支持部材に接続される。被介助者を載せた担架は、搬送装置により浴槽の上方まで運ばれる。被介助者は、担架ごと浴槽内に浸けられる。
【0003】
ところで、入浴の際、担架も湯に浸かるので、使用後には担架の清掃が必要である。特に、被介助者を載せるベースプレートの清掃が重要である。そのため、ベースプレートを支持フレームなどから取り外せる担架が商品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
介助者が支持部材に対してベースプレートを固定具などで接続することを忘れていても、担架に被介助者を乗せて入浴させることができる。この場合、浮力などによって、ベースプレートが、支持部材からずれて十分に支持されず、支持部材から外れる虞がある。
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑みて、上下に重ねられる2つの部材の接続が外れることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一の態様による取付構造では、第1部材を下方から支持する第2部材に、前記第1部材が装脱着可能に取り付けられる。前記取付構造は、孔部と、突出部材と、当接部と、を備える。前記孔部は、前記第1部材及び前記第2部材のうちの一方部材を上下方向に貫通する。前記突出部材は、前記第1部材及び前記第2部材のうちの他方部材に配置され、前記孔部に挿通可能である。前記当接部は、前記第1部材が前記第2部材に装着された状態において、前記第1部材の一部よりも上方に配置され、上下方向から見て前記第1部材の前記一部と重なる。前記突出部材は、前記第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く際、前記孔部の内部又は上下方向における端部において前記一方部材と当接する。
【0008】
また、本発明の一の態様による搬送装置は、上記の取付構造を備える。
【0009】
また、本発明の一の態様による入浴装置は、上記の搬送装置と、前記搬送装置により搬送される被介助者を入浴させるための浴槽と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、上下に重ねられる2つの部材の接続が外れることを抑制することができる。また、たとえば入浴装置の搬送装置において、この取付構造を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】第1実施形態における支持フレームに対するベースプレートの取付構造の構成例を示す拡大図
【
図5A】第1実施形態において、ベースプレートの外縁部を当接部の下に差し込んだ状態を示す概略図
【
図5B】孔部に台座部及びレバー部を通した状態を示す概略図
【
図5C】レバー部を回転により支持フレームに掛止した状態を示す概略図
【
図6A】第1実施形態において、浮力によりベースプレートが浮いた状態を示す概略図
【
図6B】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に上方に向く力が作用した状態を示す概略図
【
図6C】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に下方に向く力が作用した状態を示す概略図
【
図7A】第1実施形態の変形例においてベースプレートの外縁部を当接部の下に差し込んだ状態を示す概略図
【
図7B】孔部に台座部及びレバー部を通した状態を示す概略図
【
図7C】支持フレーム上にベースプレートを配置した状態を示す概略図
【
図7D】レバー部を回転により支持フレームに掛止した状態を示す概略図
【
図8A】第1実施形態の変形例において、浮力によりベースプレートが浮いた状態を示す概略図
【
図8B】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に上方に向く力が作用した状態を示す概略図
【
図8C】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に下方に向く力が作用した状態を示す概略図
【
図9】第2実施形態における支持フレームに対するベースプレートの取付構造の構成例を示す拡大図
【
図10A】第2実施形態において、ベースプレートの外縁部を当接部の下に差し込んだ状態を示す概略図
【
図10C】付勢部材を弾性変形させた状態で支持フレーム上にベースプレートを配置した状態を示す概略図
【
図11A】第2実施形態において、浮力によりベースプレートが浮いた状態を示す概略図
【
図11B】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に上方に向く力が作用した状態を示す概略図
【
図11C】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に下方に向く力が作用した状態を示す概略図
【
図12A】第2実施形態の変形例においてベースプレートの外縁部を当接部の下に差し込んだ状態を示す概略図
【
図12C】支持フレーム上にベースプレートを配置した状態を示す概略図
【
図12D】爪部で支持フレームを掛止可能にした状態を示す概略図
【
図13A】第2実施形態の変形例において、浮力によりベースプレートが浮いた状態を示す概略図
【
図13B】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に上方に向く力が作用した状態を示す概略図
【
図13C】ベースプレートの支持フレームに支持されていない部分に下方に向く力が作用した状態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書では、後述する搬送装置300を操作する介助者から見て、左右方向をX方向と呼ぶ。なお、X方向は、担架1の長手方向である。X方向のうちの右方を「X1」とし、左方を「X2」とする。また、前後方向をY方向と呼ぶ。なお、Y方向は、担架1の短手方向である。Y方向のうちの前方を「Y1」とし、後方を「Y2」とする。また、上下方向をZ方向と呼ぶ。なお、Z方向は、担架1の厚さ方向である。Z方向のうちの上方を「Z1」とし、下方を「Z2」とする。なお、X方向、Y方向、及びZ方向は、それぞれ直交する。
【0013】
<1.第1実施形態>
図1は、入浴装置100の構成例を示す斜視図である。入浴装置100は、浴槽200と、搬送装置300と、を備える。浴槽200は、搬送装置300により搬送される被介助者を入浴させるための槽であり、上方に開口する。浴槽200には、適温の湯が入れられている。搬送装置300は、被介助者を搬送するための装置である。たとえば、搬送装置300は、被介助者を病室(居室)から脱衣所及び脱衣所から浴室に搬送し、或いは、浴室から脱衣所及び脱衣所から病室(居室)に搬送する。本発明では、たとえば入浴装置100の搬送装置300において、後述する支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造が採用される。
【0014】
図2は、搬送装置300の構成例を示す斜視図である。搬送装置300は、ベース脚部310と、支柱部320と、把持部330と、支持アーム340と、担架1と、を有する。ベース脚部310は、搬送装置300を支える脚部であり、床面に接地する複数のキャスター(符号省略)を有する。搬送装置300は、キャスターを転がすことで、床面をスムーズに移動できる。支柱部320は、ベース脚部310から上方に延び、上下方向に伸縮可能である。たとえば、支柱部320は、上下方向に延びるアクチュエータを有する。アクチュエータのシリンダ及びロッドの一方はベース脚部310に固定される。アクチュエータの他方を含む部分には、把持部330が配置される。但し、この例示は、支柱部320が上下方向に伸縮不能である構成を排除しない。この場合、たとえば、浴槽200全体が上下方向に移動可能な構成であってもよい。また、支柱部320は、担架1の右側に配置される。但し、この例示に限定されず、支柱部320は、担架1の左側に配置されてもよい。把持部330は、搬送装置300を操作・移動させる介助者が把持するハンドルである。支持アーム340は、支柱部320に固定され、担架1を支持する。支持アーム340は、第1アーム341と、第2アーム342と、第3アーム343と、を有する。第1アーム341は、支柱部320から前方に延びる。第2アーム342は、第1アーム341の前端部から下方に延びる。第3アーム343は、第2アーム342の下端部から前方に延び、担架1に対して装着脱可能に接続される。たとえば、第3アーム343は、担架1の後述する支持フレーム2の挿入部(図示省略)に固定可能に挿入され、担架1を支持する。
【0015】
次に、
図3及び
図4を参照して、担架1の構成を説明する。
図3は、担架1の断面図である。
図4は、第1実施形態における支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造の構成例を示す拡大図である。なお、
図3は、
図2の一点鎖線III-IIIに沿う担架1の断面構造を示している。
図4は、
図3の破線で囲まれた部分IVの拡大図である。
【0016】
担架1は、被介助者を載せるための台であり、搬送装置300により移送される。担架1は、支持フレーム2と、前後一対で配置される柵部31と、前後一対で配置されるハンドル部32と、ベースプレート4と、マット部5と、を備える。すなわち、搬送装置300は、これらを備える。
【0017】
支持フレーム2は、ベースプレート4を下方から支持する。なお、ベースプレート4は、本発明の「第1部材」の一例であり、支持フレーム2は本発明の「第2部材」の一例である。また、第1実施形態では、ベースプレート4が本発明の「一方部材」の一例であり、支持フレーム2が本発明の「他方部材」の一例である。そのため、第1実施形態では、上方が本発明の「上下方向の一方部材側」に対応し、下方が本発明の「上下方向の他方部材側」に対応する。
【0018】
支持フレーム2は、たとえば金属製である。支持フレーム2は、左右方向に延びる複数のフレーム(符号省略)と、前後方向に延びる複数のフレーム(符号省略)と、第3アーム343が挿入される上述の挿入部と、を有する構造体である。但し、この例示に限定されず、支持フレーム2は、挿入部を有して左右方向及び前後方向に広がるプレート形状であってもよい。
【0019】
また、支持フレーム2は、当接部21を有する。当接部21は、ベースプレート4が支持フレーム2に装着された状態において、ベースプレート4の一部よりも上方に配置され、上下方向から見てベースプレート4の一部と重なる。本実施形態では、当接部21は、支持フレーム2の上下方向に延びる部分を貫通するボルトに螺合される袋ナットであり、凹部41の内部に向かって右方に突出する。当接部21は、
図4において、ベースプレート4の外縁部(左端部)よりも上方に配置され、上下方向から見てベースプレート4の外縁部(左端部)と重なる。但し、この例示は、当接部21が袋ナット以外の部材である構成を排除しない。また、支持フレーム2に対する当接部21は、本実施形態のように別体であってもよいし、或いは一体であってもよい。
【0020】
柵部31は、担架1に乗る被介助者の落下を防止する。柵部31は、支持フレーム2の前後方向両側に配置され、上方に突出し、左右方向に延びる。ハンドル部32は、担架1に乗る被介助者が把持可能な取っ手である。ハンドル部32は、支持フレーム2の左右両側において被介助者の上半身側に配置され、斜め上方に突出する。
【0021】
ベースプレート4は、マット部5を介して、担架1に横たわる被介助者を支持する。ベースプレート4は、たとえば、樹脂製の担架カバーであり、ブロー成型などで形成される。ベースプレート4は、左右方向及び前後方向に広がる板状であり、後述する連結構造6により支持フレーム2に対して装脱着可能に取り付けられされる。つまり、搬送装置300の担架1は、支持フレーム2にベースプレート4が装脱着可能に取り付けられされる取付構造を有する。
【0022】
ベースプレート4の上面には、下方に凹む凹部41が配置される。
図4では、凹部41は、ベースプレート4の外縁部(左端部)に配置されている。凹部41は、連結構造6の上部(たとえば後述するレバー部62など)を収容する。凹部41の底面には、孔部42が配置される。第1実施形態では、孔部42は、左右方向と平行な長手方向をする長孔である。孔部42は、ベースプレート4を上下方向に貫通する。
【0023】
マット部5は、ベースプレート4上に装脱着可能に配置される。マット部5は、担架1のクッション部分であり、担架1に横たわる被介助者に接する。マット部5は、ウレタンフォームなどの高反発発泡樹脂部材などの緩衝材と、該緩衝材を覆うカバー部材と、を有する。マット部5の右側には、被介助者の頭部及び首部を支持する枕部51が配置される。
【0024】
次に、
図4に示すように、連結構造6は、支持フレーム2にベースプレート4を連結可能であり、本実施形態では支持フレーム2に配置される。連結構造6は、台座部61と、レバー部62と、ボルト63と、袋ナット64と、を有する。台座部61及びレバー部62は、たとえば樹脂製であり、支持フレーム2に配置され、孔部42に挿通可能である。なお、第1実施形態において、台座部61及びレバー部62は、本発明の「突出部材」の一例である。つまり、第1実施形態において、本発明の「突出部材」は、台座部61と、レバー部62と、を有する。台座部61は、支持フレーム2から上方に突出し、孔部42内に収容可能である。レバー部62は、台座部61よりも上方に配置され、上下方向に延びる回転軸R周りに回転可能である。好ましくは、ベースプレート4が支持フレーム2に装着された状態において、レバー部62は、孔部42の外縁部よりも上方に位置する。ボルト63は、台座部61、レバー部62、及び支持フレーム2の一部を上下方向に貫通する。ボルト63の上端部に配置されるヘッドは、レバー部62を掛止する。袋ナット64は、ボルト63の下端部に螺合される。これにより、台座部61及びレバー部62は、支持フレーム2の一部に連結される。
【0025】
次に、
図4及び
図5A~
図5Cを参照して、第1実施形態における支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造を説明する。なお、
図5A~
図5Cは、本実施形態において、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付工程を説明するための概略図である。また、
図5A~
図5Cでは、マット部5、ボルト63、及び袋ナット64の図示を省略している。
【0026】
まず、
図5Aに示すように、ベースプレート4の外縁部を当接部21の下方に差し込み、ベースプレート4を左方に移動させながら孔部42を下方に移動させる。そして、
図5Bに示すように、台座部61及びレバー部62を孔部42に通す。そして、
図4に示すように、支持プレート2上にベースプレート4を配置する。そして、
図5Cに示すように、回転によりレバー部62をベースプレート4に掛止する。この掛止により、ベースプレート4は、支持フレーム2に連結される。
【0027】
なお、支持フレーム2からベースプレート4を外す際には、上述の取付工程を逆順(たとえば、
図5C→
図4→
図5B→
図5A)で実施すればよい。
【0028】
ここで、介助者などは、レバー部62がベースプレート4に掛止されているか否かを認識し忘れることがある。そのため、
図4のように、レバー部62をベースプレート4に掛止していない状態で、被介助者を担架1に乗せて入浴させる虞がある。この場合、浮力Fbにより、ベースプレート4が浮いてしまう可能性がある。また、高身長から低身長の被介助者にいずれにも担架1を使用可能にするため、支持フレーム2は、ベースプレート4のうち、被介助者の上半身(頭部及び首部を含む)を支持する部分の左端部(腰部の端部)から左右方向の中央部までを支持している(
図3参照)。このようにすれば、たとえば低身長の被介助者に対応する場合、枕部51を大きく右方に移動させることができる。ベースプレート4の右側の部分は支持フレーム2で支持されていないため、この部分に上下方向の力Fu,Fdが作用すると、ベースプレート4が傾いて右側の部分が支持フレーム2から離れる懸念がある。但し、これらの場合でも、ベースプレート4は、支持フレーム2から外れ難くなっている。
【0029】
詳細には、孔部42、台座部61及びレバー部62,及び当接部21を有する上述の取付構造では、台座部61及びレバー部62は、ベースプレート4が上下方向と垂直な面に対して傾く際、当接部21がベースプレート4の一部(たとえば左端部)に当接するとともに、孔部42の内部又は上下方向における端部においてベースプレート4と当接する。こうすれば、
図6A~
図6Cに示すように、ベースプレート4が支持フレーム2から外れることを抑制できる。従って、上下に重ねられる2つの部材の接続が外れることを抑制することができる。なお、
図6Aは、第1実施形態において担架1を浴槽200内に浸けた時、浮力Fbによりベースプレート4が浮いた状態を示す概略図である。
図6Bは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に上方に向く力Fuが作用した状態を示す概略図である。
図6Cは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に下方に向く力Fdが作用した状態を示す概略図である。なお、
図6A~
図6Cでは、マット部5、ボルト63、及び袋ナット64の図示を省略している。
【0030】
たとえば、
図6Aに示すように、浮力Fbなどによって、ベースプレート4全体が上方に移動しようとする際、当接部21がベースプレート4の一部(たとえば外端部)に当接して、ベースプレート4の一部の上方への移動を防止する。一方、ベースプレート4の他の部分は上方に移動する。そのため、当接部21との当接部分を支点としてベースプレート4が上下方向と垂直な面から傾き、その状態で台座部61,レバー部62がベースプレート4(たとえば孔部42の内面)と当接する。従って、上述の2箇所での当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。よって、ベースプレート4が支持フレーム2から自然に外れることを抑制できる。
【0031】
また、
図6Bに示すように、ベースプレート4の一部分(たとえば、上下方向から見て台座部61及びレバー部62よりも右側の部分)などに上方に向かう力Fuが作用した場合、ベースプレート4の外縁部が支持フレーム2の上面に当接し、この当接箇所を支点として、ベースプレート4が上下方向と垂直な面に対して傾く虞がある。そのため、台座部61,レバー部62がベースプレート4(たとえば孔部42の内面)と当接する。従って、上述の2箇所での当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。よって、ベースプレート4が支持フレーム2から外れることを抑制できる。
【0032】
また、
図6Cに示すように、ベースプレート4のうちの支持フレーム2に支持されていない部分などに下方に向かう力Fdが作用した場合、支持フレーム2の端部とベースプレート4との接触位置を支点として、ベースプレート4が上下方向と垂直な面に対して傾く虞がある。そのため、当接部21がベースプレート4の一部(たとえば外端部)に当接するとともに、台座部61,レバー部62がベースプレート4(たとえば孔部42の内面)と当接する。従って、上述の2箇所での当接により、ベースプレート4の上方への移動が防止される。よって、ベースプレート4が支持フレーム2から外れることを抑制できる。
【0033】
また、レバー部62は、ベースプレート4が支持フレーム2に装着される際、回転により、ベースプレート4に掛止された状態(
図5C参照)と、孔部42を通過可能な状態(
図4参照)と、に切り替え可能である。こうすれば、ベースプレート4が支持フレーム2に装着される際、レバー部62を回転によりベースプレート4に掛止された状態にすることで、ベースプレート4を支持フレーム2に連結できる。一方、レバー部62が孔部42を通過可能な状態(つまり、ベースプレート4に掛止されていない状態)である場合、手動でベースプレート4が支持フレーム2から取り外すことができる。但し、後者の場合でも、ベースプレート4の一部と当接部21との当接、及び、台座部61及びレバー部62とベースプレート4との当接により、ベースプレート4が支持フレーム2から自然に外れることを抑制できる。
【0034】
好ましくは、
図6A~
図6Cに示すように、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造は、凸部22を有する。凸部22は、上下方向から見て、台座部61及びレバー部62と当接部21との間において、支持フレーム2の上面から上方に突出する。なお、ベースプレート4の下面には、ベースプレート4が支持フレーム2に装着される際に凸部22が収容される窪みが配置される。こうすれば、ベースプレート4の外縁部が支持フレーム2の上面に当接した状態でベースプレート4が上下方向と垂直な面に対して傾く際、上下方向から見て、ベースプレート4の外縁部が台座部61及びレバー部62(つまり右方)に向かって移動することを抑制できる。従って、ベースプレート4が支持フレーム2から自然に外れることを効果的に抑制できる。但し、この例示は、凸部22及び上述の窪みが省略される構成を排除しない。
【0035】
<1-1.第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例を説明する。なお、第1実施形態の変形例では、支持フレーム2が本発明の「一方部材」の一例であり、ベースプレート4が本発明の「他方部材」の一例である。そのため、第1実施形態では、下方が本発明の「上下方向の一方部材側」に対応し、上方が本発明の「上下方向の他方部材側」に対応する。
【0036】
第1実施形態の変形例では、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造は、孔部42に代えて、孔部23を備える。孔部23は、長手方向をする長孔であり、支持フレーム2を上下方向に貫通する。
【0037】
また、連結構造6は、ベースプレート4側に配置される。たとえば、台座部61は、ベースプレート4から下方に突出し、孔部23内に収容可能である。レバー部62は、台座部61よりも下方に配置され、上下方向に延びる回転軸R周りに回転可能である。好ましくは、ベースプレート4が支持フレーム2に装着された状態において、レバー部62は、孔部23の外縁部よりも下方に位置する。
【0038】
次に、
図7A~
図7Dを参照して、第1実施形態の変形例における支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造を説明する。なお、
図7A~
図7Dは、第1実施形態の変形例において、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付工程を説明するための概略図である。また、
図7A~
図7Dでは、マット部5、ボルト63、及び袋ナット64の図示を省略している。
【0039】
まず、
図7Aに示すように、ベースプレート4の外縁部を当接部21の下方に差し込み、ベースプレート4を左方に移動させながら台座部61及びレバー部62を下方に移動させる。そして、
図7Bに示すように、台座部61及びレバー部62を孔部23に通す。そして、
図7Cに示すように、支持フレーム2上にベースプレート4を配置する。そして、
図7Dに示すように、回転によりレバー部62を支持フレーム2に掛止する。この掛止により、ベースプレート4は、支持フレーム2に連結される。
【0040】
なお、支持フレーム2からベースプレート4を外す際には、上述の取付工程を逆順(たとえば、
図7D→
図7C→
図7B→
図7A)で実施すればよい。
【0041】
ここで、第1実施形態の変形例においても、レバー部62が支持フレーム2に掛止されていない状態でも、ベースプレート4は、支持フレーム2から外れ難くなっている。詳細には、台座部61及びレバー部62は、ベースプレート4が上下方向と垂直な面に対して傾く際、孔部42の内部又は上下方向における端部において支持フレーム2と当接する。こうすれば、
図8A~
図8Cに示すように、ベースプレート4が支持フレーム2から外れることを抑制できる。なお、
図8Aは、第1実施形態の変形例において、浮力Fbによりベースプレート4が浮いた状態を示す概略図である。
図8Bは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に上方に向く力Fuが作用した状態を示す概略図である。
図8Cは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に下方に向く力Fdが作用した状態を示す概略図である。また、
図8A~
図8Cでは、マット部5、ボルト63、及び袋ナット64の図示を省略している。
【0042】
たとえば、
図8Aでは、浮力Fbなどによって、ベースプレート4全体が上方に移動する際、当接部21とベースプレート4の一部(たとえば外端部)との当接、及び、台座部61,レバー部62と支持フレーム2(たとえば孔部23の内面)との当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。また、
図8Bでは、ベースプレート4の外縁部と支持フレーム2の上面との当接、及び、台座部61及びレバー部62と支持フレーム2(たとえば孔部23の内面)との当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。また、
図8Cでは、当接部21とベースプレート4の一部(たとえば外端部)との当接、及び、台座部61及びレバー部62と支持フレーム2(たとえば孔部23の内面)との当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。
【0043】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。
図9は、第2実施形態における支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造の構成例を示す拡大図である。なお、
図9は、
図3の破線で囲まれた部分IVに対応している。また、
図9では、マット部5の図示を省略している。
【0044】
第2実施形態では、担架1の支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造が第1実施形態及びその変形例と異なる。以下では、第2実施形態について、第1実施形態及びその変形例と異なる構成を説明する。また、第1実施形態及びその変形例と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。また、第2実施形態では、ベースプレート4が本発明の「一方部材」の一例であり、支持フレーム2が本発明の「他方部材」の一例である。そのため、第2実施形態では、上方が本発明の「上下方向の一方部材側」に対応し、下方が本発明の「上下方向の他方部材側」に対応する。
【0045】
第2実施形態では、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造は、孔部42を備える。孔部42は、長手方向をする長孔であり、ベースプレート4を上下方向に貫通する。
【0046】
また、第2実施形態では、連結構造6に代えて、上述の取付構造は、鈎部7を有する。なお、鈎部7は、第2実施形態における本発明の「突出部材」の一例である。鈎部7は、支持フレーム2に配置され、孔部42に挿通可能である。鈎部7は、掛止により、ベースプレート4の上方への移動を防止できる。鈎部7は、柱部71と、爪部72と、を有する。柱部71は、支持フレーム2から上方に延びる。爪部72は、柱部71の側面から上下方向と垂直な方向に延びる。爪部72は、ベースプレート4が支持フレーム2に装着された状態において、ベースプレート4の一部と上下方向に重なる。たとえば、爪部72は、少なくとも柱部71及び後述する付勢部材8の一方から他方に向かって延びる。
図9では、爪部72は、柱部71の上端部から当接部21に向かって左方に延びる。こうすれば、ベースプレート4の少なくとも一部が上方に移動する際、爪部72がベースプレート4の一部を掛止する。これにより、ベースプレート4が支持フレーム2から自然に外れることを抑制できる。
【0047】
また、第2実施形態では、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造は、ベースプレート4を付勢する付勢部材8をさらに備える。付勢部材8は、本実施形態では板バネであるが、板バネ以外の部材(スプリングコイル、弾性ゴム等)であってもよい。付勢部材8は、当接部21よりも下方において当接部21と支持フレーム2との間に配置される。ベースプレート4が支持フレーム2に装着された状態において、付勢部材8は、ベースプレート4の外端部(左端部)に当接する。付勢部材8は、爪部72が延びる方向のうち、柱部71がベースプレート4の一部(たとえば孔部42の内面)と当接する向きにベースプレート4を付勢する。
図9では、付勢部材8は、ベースプレート4を右方に付勢する。こうすれば、付勢部材8は、上述のようにベースプレート4を付勢することにより、ベースプレート4(特に孔部42の内面)を柱部71に当接させて、爪部72をベースプレート4の一部と上下方向に重ならせることができる。従って、浮力などによりベースプレート4が上方に移動する際、爪部72は、より確実にベースプレート4の一部を掛止できる。
【0048】
次に、
図9及び
図10A~
図10Cを参照して、第1実施形態の変形例における支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造を説明する。なお、
図10A~
図10Cは、第2実施形態において、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付工程を説明するための概略図である。また、
図10A~
図10Cでは、マット部5の図示を省略している。
【0049】
まず、
図10Aに示すように、ベースプレート4の外縁部を当接部21の下方に差し込んで付勢部材8に当接させ、ベースプレート4を左方に移動させながら孔部42を下方に移動させる。そして、
図10Bに示すように、ベースプレート4の外縁部で付勢部材8を弾性変形させつつ、鈎部7を孔部42に通す。そして、
図10Cに示すように、支持フレーム2上にベースプレート4を配置する。そして、
図9に示すように、付勢部材8の弾性力により、ベースプレート4が右方に付勢される。この付勢により、ベースプレート4の一部(たとえば孔部42の内面)が柱部71に当接する。爪部72は、上下方向から見てベースプレート4の一部と重なり、つまり、ベースプレート4の一部と掛止可能になる。
【0050】
なお、支持フレーム2からベースプレート4を外す際には、上述の取付工程を逆順(たとえば、
図9→
図10C→
図10B→
図10A)で実施すればよい。
【0051】
ここで、第2実施形態においても、ベースプレート4は、支持フレーム2から外れ難くなっている。詳細には、鈎部7は、ベースプレート4が上下方向と垂直な面に対して傾く際、孔部42の内部又は上下方向における端部においてベースプレート4と当接する。こうすれば、
図11A~
図11Cに示すように、ベースプレート4が支持フレーム2から外れることを抑制できる。なお、
図11Aは、第2実施形態において、浮力Fbによりベースプレート4が浮いた状態を示す概略図である。
図11Bは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に上方に向く力Fuが作用した状態を示す概略図である。
図11Cは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に下方に向く力Fdが作用した状態を示す概略図である。また、
図11A~
図11Dでは、マット部5の図示を省略している。
【0052】
たとえば、
図11Aでは、浮力Fbなどによって、ベースプレート4全体が上方に移動する際、爪部72とベースプレート4(たとえば孔部42の外縁部)との当接(、及び、当接部21とベースプレート4の一部(たとえば外端部)との当接)により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。また、
図11Bでは、ベースプレート4の外縁部と支持フレーム2の上面との当接、及び、爪部72とベースプレート4(たとえば孔部42の外縁部)との当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。また、
図11Cでは、当接部21とベースプレート4の一部(たとえば外端部)との当接、及び、爪部72とベースプレート4(たとえば孔部42の外縁部)との当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。
【0053】
<2-1.第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例を説明する。なお、第2実施形態の変形例では、支持フレーム2が本発明の「一方部材」の一例であり、ベースプレート4が本発明の「他方部材」の一例である。そのため、第1実施形態では、下方が本発明の「上下方向の一方部材側」に対応し、上方が本発明の「上下方向の他方部材側」に対応する。
【0054】
第2実施形態の変形例では、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造は、孔部42に代えて、孔部23を備える。孔部23は、長手方向をする長孔であり、支持フレーム2を上下方向に貫通する。
【0055】
鈎部7は、ベースプレート4に配置され、孔部23内に収容可能である。ベースプレート4が支持フレーム2に装着された状態において、柱部71は、ベースプレート4の下面から下方に延びる。爪部72は、柱部71の下端部から右方に延び、支持フレーム2と掛止可能である。
【0056】
次に、
図12A~
図12Dを参照して、第2実施形態の変形例における支持フレーム2に対するベースプレート4の取付構造を説明する。なお、
図12A~
図12Dは、第2実施形態の変形例において、支持フレーム2に対するベースプレート4の取付工程を説明するための概略図である。また、
図12A~
図12Dでは、マット部5の図示を省略している。
【0057】
まず、
図12Aに示すように、ベースプレート4の外縁部を当接部21の下方に差し込んで付勢部材8に当接させ、ベースプレート4を左方に移動させながら鈎部7を下方に移動させる。そして、
図12Bに示すように、ベースプレート4の外縁部で付勢部材8を弾性変形させつつ、鈎部7を孔部23に通す。そして、
図12Cに示すように、支持フレーム2上にベースプレート4を配置する。そして、
図12Dに示すように、付勢部材8の弾性力により、ベースプレート4が右方に付勢される。この付勢により、ベースプレート4の一部(たとえば孔部23の内面)が柱部71に当接する。爪部72は、上下方向から見て支持フレーム2の一部と重なり、つまり、支持フレーム2の一部と掛止可能になる。
【0058】
【0059】
ここで、第2実施形態の変形例においても、ベースプレート4は、支持フレーム2から外れ難くなっている。詳細には、鈎部7は、ベースプレート4が上下方向と垂直な面に対して傾く際、孔部23の内部又は上下方向における端部において支持フレーム2と当接する。こうすれば、
図13A~
図13Cに示すように、ベースプレート4が支持フレーム2から外れることを抑制できる。なお、
図13Aは、第2実施形態の変形例において、浮力Fbによりベースプレート4が浮いた状態を示す概略図である。
図13Bは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に上方に向く力Fuが作用した状態を示す概略図である。
図13Cは、ベースプレート4の支持フレーム2に支持されていない部分に下方に向く力Fdが作用した状態を示す概略図である。なお、
図13A~
図13Dでは、マット部5の図示を省略している。
【0060】
たとえば、
図13Aでは、浮力Fbなどによって、ベースプレート4全体が上方に移動する際、鈎部7と支持フレーム2(たとえば孔部23の内面)との当接(、及び、当接部21とベースプレート4の一部(たとえば外端部)との当接)により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。また、
図13Bでは、ベースプレート4の外縁部と支持フレーム2の上面との当接、及び、鈎部7と支持フレーム2(たとえば孔部23の内面)との当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。また、
図13Cでは、当接部21とベースプレート4の一部(たとえば外端部)との当接、及び、鈎部7と支持フレーム2(たとえば孔部23の内面)との当接により、ベースプレート4の上方への移動が抑制される。
【0061】
<3.備考>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0062】
たとえば、上述の第1実施形態、第2実施形態、及びこれらの変形例では、本発明の「第1部材」及び「第2部材」はそれぞれ、ベースプレート4及び支持フレーム2である。但し、この例示に限定されず、本発明の「第1部材」は、マット部5であってもよい。この場合、本発明の「第2部材」は、ベースプレート4(つまり樹脂製の担架カバー)であってもよい。或いは、ベースプレート4(つまり樹脂製の担架カバー)は省略され、本発明の「第2部材」は支持フレーム2とされてもよい。
【0063】
また、上述の第1実施形態、第2実施形態、及びこれらの変形例では、担架1のうちの被介助者の上半身を支持する部分における取付構造を説明した。但し、この例示に限定されず、該取付構造は、担架1の他の部分(たとえば、臀部を支持する部分、下肢部を支持する部分)にも適用可能である。
【0064】
また、上述の第1実施形態、第2実施形態、及びこれらの変形例では、被介助者を乗せる担架1の例を説明した。ただし、この例示に限定されず、上述の技術は、被介助者を座位姿勢で乗せる車椅子に使用されてもよい。
【0065】
<4.総括>
以下では、これまでに説明した実施形態について総括的に述べる。
【0066】
たとえば、本明細書に開示されている取付構造は、
第1部材を下方から支持する第2部材に、前記第1部材が装脱着可能に取り付けられる取付構造であって、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの一方部材を上下方向に貫通する孔部と、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの他方部材に配置され、前記孔部に挿通可能な突出部材と、
前記第1部材が前記第2部材に装着された状態において、前記第1部材の一部よりも上方に配置され、上下方向から見て前記第1部材の前記一部と重なる当接部と、
を備え、
前記突出部材は、前記第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く際、前記孔部の内部又は上下方向における端部において前記一方部材と当接する構成(第1の構成)とされる。
【0067】
第1の構成によれば、突出部材は、第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く際、当接部が第1部材の一部(たとえば外縁部)に当接するとともに、孔部の内部又はその上下方向における端部において第1部材と当接する 。こうすれば、第1部材が第2部材から外れることを抑制できる。従って、上下に重ねられる2つの部材の接続が外れることを抑制することができる。
【0068】
たとえば、浮力などによって、第1部材全体が上方に移動する際、当接部が第1部材の一部(たとえば外端部)に当接して、第1部材の一部の上方への移動を防止する。一方、第1部材の他の部分は上方に移動する。そのため、当接部との当接部分を支点として第1部材が上下方向と垂直な面から傾き、その状態で、突出部材が一方部材(たとえば孔部の内面)と当接する。従って、上述の2箇所での当接により、第1部材の上方への移動が抑制される。よって、第1部材が第2部材から自然に外れることを抑制できる。
【0069】
また、第1部材の一部分(たとえば、上下方向から見て突出部材を挟んで当接部とは反対側の部分)などに上方に向かう力が作用した場合、第1部材の外縁部が第2部材の上面に当接し、この当接箇所を支点として、第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く虞がある。そのため、突出部材が一方部材(たとえば孔部の内面)と当接する。従って、上述の2箇所での当接により、第1部材の上方への移動が抑制される。よって、第1部材が第2部材から外れることを抑制できる。
【0070】
また、第1部材のうちの第2部材に支持されていない部分などに下方に向かう力が作用した場合、第2部材の端部と第1部材との接触位置を支点として、第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く虞がある。そのため、当接部が第1部材の一部(たとえば外端部)に当接するとともに、突出部材が一方部材(たとえば孔部の内面)と当接する。従って、上述の2箇所での当接により、第1部材の上方への移動が防止される。よって、第1部材が第2部材から外れることを抑制できる。
【0071】
なお、第1の構成の取付構造は、上下方向から見て前記突出部材と前記当接部との間において、前記第2部材の上面から上方に突出する凸部をさらに備える構成(第2の構成)にしてもよい。
【0072】
第2の構成によれば、第1部材の外縁部が第2部材の上面に当接した状態で第1部材が上下方向と垂直な面に対して傾く際、上下方向から見て、第1部材の外縁部が突出部材に向かって移動することを抑制できる。従って、第1部材が第2部材か自然に外れることを効果的に抑制できる。
【0073】
また、第1又は第2の構成の取付構造は、
前記突出部材は、
前記他方部材から上下方向の前記一方部材側に突出する台座部と、
前記台座部よりも上下方向の前記一方部材側に配置され、上下方向に延びる回転軸回りに回転可能なレバー部と、
を有し、
前記レバー部は、前記第1部材が前記第2部材に装着される際、回転により、前記一方部材に掛止された状態と、前記孔部を通過可能な状態と、に切り替え可能である構成(第3の構成)にしてもよい。
【0074】
第3の構成によれば、第1部材が第2部材に装着される際、レバー部を回転により一方部材に掛止された状態にすることで、第1部材を第2部材に連結できる。一方、レバー部が孔部を通過可能な状態(つまり、一方部材に掛止されていない状態)である場合、手動で第1部材を第2部材から取り外すことができる。但し、後者の場合でも、第1部材の一部と当接部との当接、及び、突出部材と上述の一方部材との当接により、第1部材が第2部材から自然に外れることを抑制できる。
【0075】
また、第1又は第2の構成の取付構造は、
前記突出部材は、
前記他方部材から軸方向の前記一方部材側に延びる柱部と、
前記柱部の側面から上下方向と垂直な方向に延びる爪部と、
を有し、
前記爪部は、前記第1部材が前記第2部材に装着された状態において、前記一方部材の一部と上下方向に重なる構成(第4の構成)にしてもよい。
【0076】
第4の構成によれば、第1部材の少なくとも一部が上方に移動する際、爪部が一方部材の一部を掛止する。これにより、第1部材が第2部材から自然に外れることを抑制できる。
【0077】
また、第4の構成の取付構造は、
前記第1部材を付勢する付勢部材をさらに備え、
前記爪部は、少なくとも前記柱部及び前記付勢部材の一方から他方に向かって延び、
前記付勢部材は、前記爪部が延びる方向のうち、前記柱部が前記一方部材の一部と当接する向きに前記第1部材を付勢する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0078】
第5の構成によれば、付勢部材は、上述のように第1部材を付勢することにより、一方部材(特に孔部の内面)を柱部に当接させて、爪部を一方部材の一部と上下方向に重ならせることができる。従って、浮力などにより第1部材が上方に移動する際、爪部は、より確実に一方部材の一部を掛止できる。
【0079】
また、本明細書に開示されている搬送装置は、第1から第5のいずれかの構成の取付構造と、を備える構成(第6の構成)とされる。
【0080】
また、本明細書に開示されている入浴装置は、第6の構成の搬送装置と、前記搬送装置により搬送される被介助者を入浴させるための浴槽と、を備える構成(第7の構成)とされる。
【符号の説明】
【0081】
100・・・入浴装置、200・・・浴槽、300・・・搬送装置、310・・・ベース脚部、320・・・支柱部、330・・・把持部、340・・・支持アーム、341・・・第1アーム部、342・・・第2アーム部、343・・・第3アーム部、1・・・担架、2・・・支持フレーム、21・・・当接部、22・・・凸部、23・・・孔部、31・・・柵部、32・・・ハンドル部、4・・・ベースプレート、41・・・凹部、42・・・孔部、5・・・マット部、51・・・枕部、6・・・連結構造、61・・・台座部、62・・・レバー部、63・・・ボルト、64・・・袋ナット、7・・・鈎部、71・・・柱部、72・・・爪部、8・・・付勢部材、R・・・回転軸