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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067061
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】回路、及び波形センサ
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/12 20060101AFI20240510BHJP
   H03M 1/56 20060101ALI20240510BHJP
   H03M 1/10 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H03M1/12 C
H03M1/56
H03M1/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176856
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 憲仁
(72)【発明者】
【氏名】森下 玄
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA09
5J022BA10
5J022CA10
5J022CB08
5J022CD01
5J022CF01
5J022CF02
5J022CF03
5J022CF07
(57)【要約】
【課題】波形センサでのサンプリングの頻度を向上させること。
【解決手段】特定時点の入力信号のレベルを保持するサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路に保持された前記入力信号のレベルをデジタルデータに変換して出力するアナログ-デジタル変換回路と、をそれぞれ有する第1回路及び第2回路と、第1時点での前記入力信号のレベルを前記第1回路に出力させ、第2時点での前記入力信号のレベルを前記第2回路に出力させる制御部と、を有する、回路を提供する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定時点の入力信号のレベルを保持するサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路に保持された前記入力信号のレベルをデジタルデータに変換して出力するアナログ-デジタル変換回路と、をそれぞれ有する第1回路及び第2回路と、
第1時点での前記入力信号のレベルを前記第1回路に出力させ、第2時点での前記入力信号のレベルを前記第2回路に出力させる制御部と、
を有する、回路。
【請求項2】
前記入力信号は、波形センサのカラムに対応するアンテナコイルで検出された正弦波の信号である、
請求項1に記載の回路。
【請求項3】
第1回路及び第2回路のそれぞれは、
前記入力信号を受ける第1端子と、
一定の傾きで変化する参照信号を受ける第2端子と、を有し、
前記アナログ-デジタル変換回路は、前記参照信号の電圧が変化してから、前記入力信号と前記参照信号とがクロスするまでのカウンタの値を取得する、
請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記第1時点での前記入力信号の振幅と前記第2時点での前記入力信号の振幅との差の極性値に基づいて、一定の正の傾きで変化する第1参照信号と一定の負の傾きで変化する第2参照信号から前記参照信号を選択し、
前記差の値と前記極性値とを乗算した値を合計する積和演算回路を有する、
請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記第1参照信号と前記第2参照信号とは、特定時点でクロスし、
前記積和演算回路は、前記入力信号をグランドとした状態でアナログ-デジタル変換した結果である校正値を、前記差の値から減算した値と、前記極性値と、を乗算した値を合計する、
請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記サンプルホールド回路は、第1の容量にて前記入力信号のサンプリングが完了した場合、前記第1の容量を前記入力信号と切り離してデジタルデータに変換するとともに、第2の容量にて前記入力信号のサンプリングを行う、
請求項1に記載の回路。
【請求項7】
時間とともに変化する一の入力信号を受ける入力部と、特定時点の前記入力信号のレベルを保持するサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路に保持された前記入力信号のレベルをデジタルデータに変換して出力するアナログ-デジタル変換回路と、をそれぞれ有する第1回路及び第2回路と、
第1時点での前記入力信号のレベルを前記第1回路に出力させ、第2時点での前記入力信号のレベルを前記第2回路に出力させる制御部と、
を有する、波形センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路、及び波形センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、タブレット等にて電子ペン等からの無線の正弦波等の波形を検出することにより、当該電子ペン等の位置を検出する技術が知られている。電子ペン等の位置を示すアナログ信号をデジタル信号に変換する技術として、例えば、逐次比較型(SAR、Successive Approximation Register)アナログディジタルコンバータ(ADC、Analog-to-Digital Converter)や、カラムごとにADCを設けるカラムADC等の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5745712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、波形センサでのサンプリングの頻度を向上させることが困難な場合がある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施の態様では、特定時点の入力信号のレベルを保持するサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路に保持された前記入力信号のレベルをデジタルデータに変換して出力するアナログ-デジタル変換回路と、をそれぞれ有する第1回路及び第2回路と、第1時点での前記入力信号のレベルを前記第1回路に出力させ、第2時点での前記入力信号のレベルを前記第2回路に出力させる制御部と、を有する、回路が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一側面によれば、波形センサでのサンプリングの頻度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る波形センサの構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る波形センサの処理の一例を示すタイミングチャートである。
図3】第1実施形態に係る波形センサの処理の一例を示すタイミングチャートである。
図4】第1実施形態に係るサンプルホールド回路の第1容量にてサンプルホールドしている間に、第2容量にてサンプルホールドされている値をAD変換する処理の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係るサンプルホールド回路の第2容量にてサンプルホールドしている間に、第1容量にてサンプルホールドされている値をAD変換する処理の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る波形センサの構成の一例を示す図である。
図7】第2実施形態に係るアナログ信号の電圧の振幅の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る各サンプリング時点における、一つ前のサンプリング時点からのアナログ信号の電圧の振幅の変化量の絶対値の一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る各サンプリング時点における、一つ前のサンプリング時点からのアナログ信号の電圧の振幅の変化量の極性値の一例を示す図である。
図10】第2実施形態に係る各サンプリング時点における、アナログ信号の電圧の振幅の算出結果の一例を示す図である。
図11】第2実施形態に係る波形センサの処理の一例を示すフローチャートである。
図12】第2実施形態に係る波形センサの処理の一例を示すタイミングチャートである。
図13】第3実施形態に係る波形センサの構成の一例を示す図である。
図14】第3実施形態に係る校正値格納ラッチに校正値DCALを格納する処理の一例を示すタイミングチャートである。
図15】第3実施形態に係るアナログ信号のAD変換処理の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0009】
(第1実施形態)
<構成>
図1を参照し、第1実施形態に係る波形センサ1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る波形センサ1の構成の一例を示す図である。波形センサ1は、回路10、及びアンテナコイル群20を有する。
【0010】
アンテナコイル群20に含まれる各アンテナコイルは、例えば、タブレット、スマートフォン、ノートパソコン等の情報処理装置の画面の縦方向または横方向(カラム)での電子ペンから送信される正弦波のアナログ信号を受信する。なお、アンテナコイル群20に含まれる各アンテナコイルのうち、電子ペンに最も近いアンテナコイルからは、最も大きな振幅の正弦波が検出される。そのため、縦方向のカラムを有する波形センサ1と横方向のカラムを有する波形センサ1とを積層する等により、画面上での電子ペンの位置を算出できる。
【0011】
回路10は、アンテナコイル切り替えスイッチ11、ゲインアンプ12、入力信号リセットスイッチ13、RAMP生成回路14、制御部15、バイアス17、及びグローバルカウンタ18を有する。また、回路10は、ADC(Analog-to-Digital Converter)回路16-1、16-2、・・・、16-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「ADC回路16」とも称する。)を有する。なお、nは任意の自然数である。ADC回路16-1、16-2、・・・、16-nのそれぞれは、サンプルホールド回路161-1、161-2、・・・、161-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「サンプルホールド回路161」とも称する。)のそれぞれを有する。
【0012】
ADC回路16-1、16-2、・・・、16-nのそれぞれは、第1端子160A-1、160A-2、・・・、160A-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「第1端子160A」とも称する。)のそれぞれと、第2端子160B-1、160B-2、・・・、160B-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「第2端子160B」とも称する。)のそれぞれと、を有する。
【0013】
また、回路10は、ラッチ19-1、19-2、・・・、19-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「ラッチ19」とも称する。)を有する。なお、回路10は、一つのチップ(集積回路)として実装されてもよい。
【0014】
アンテナコイル切り替えスイッチ11は、アンテナコイル群20に含まれる各アンテナコイルのうち、回路10へ信号を出力するアンテナコイルを切り替える(選択する)。
RAMP生成回路14は、時間に対して線形(一次関数的)に電圧が増加または減少する(一定の傾きで変化する)信号(RAMP信号、参照信号)を各ADC回路16へ出力する。
【0015】
制御部15は、各ADC回路16へ信号を送信して、各ADC回路16を制御する。制御部15は、同一(各ADC回路16で共通)のオートゼロ信号AZと、ADC回路16毎のサンプリングのタイミングを指定する制御信号TH[1:n](TH[1]~TH[n])とを各ADC回路16へ送信する。
【0016】
制御部15は、ある時点tにおいてオートゼロ信号AZをLOWに設定(変更)することにより、各サンプルホールド回路161のスイッチをオンにし、アナログ信号SIGを各ADC回路16に入力させる(取り込ませる)。そして、制御部15は、異なる各時点で各サンプルホールド回路161のスイッチを順にオフにし、各時点でのアナログ信号SIGの振幅の値を各サンプルホールド回路161に記録させる。そして、制御部15は、各サンプルホールド回路161に記録された値をAD変換して出力させる。より具体的には、制御部15は、各時点t、・・・、tにおけるアナログ信号SIGの入力電圧VINP[1:n]を、各ADC回路16のサンプルホールド回路161-1、161-2、・・・、161-nに記録させ、記録させた各値(レベル、振幅の値)をAD変換させて出力させる。これにより、例えば、最大250kHzでサンプリングできるADC回路を、一のカラムに対して32個設けることにより、当該一のカラムを8MHzでサンプリングできる。
【0017】
バイアス17は、各ADC回路16へ電力を供給する。グローバルカウンタ18は、各ラッチ19へカウンタ用の信号を供給する。
【0018】
ADC回路16は、アンテナコイル群20に含まれる一のアンテナコイルからのアナログ信号SIGを入力する第1端子(第1入力部)160Aと、RAMP生成回路14からのRAMP信号を入力する第2端子(第2入力部)160Bを有する。ADC回路16は、アナログ信号SIGをデジタル(離散的)信号に変換する。
【0019】
ADC回路16は、いわゆるシングルスロープのADCを有している。そのため、ADC回路16は、第2端子160Bに入力されたRAMP信号の電圧が変化している間、カウンタを開始する。そして、ADC回路16は、第2端子160Bに入力されたRAMP信号の電圧が第1端子160Aに入力されてサンプルホールドされたアナログ信号SIGの電圧(画素電圧)を超える(クロスする)と、比較器が反転し、その結果、カウンタ値がラッチ19に保持される。そのため、カウンタが開始されてから停止されるまでの時間が長くなる程大きな値となるカウンタの値(カウンタコード)が取得される。第1実施形態の場合、カウンタの値は、アナログ信号SIGの電圧に対応するデジタル値である。
【0020】
<処理(動作)>
次に、図2から図5を参照し、第1実施形態に係る波形センサ1の処理の一例について説明する。図2及び図3は、第1実施形態に係る波形センサ1の処理の一例を示すタイミングチャートである。図4は、第1実施形態に係るサンプルホールド回路161の第1容量にてサンプルホールドしている間に、第2容量にてサンプルホールドされている値をAD変換する処理の一例を示す図である。図5は、第1実施形態に係るサンプルホールド回路161の第2容量にてサンプルホールドしている間に、第1容量にてサンプルホールドされている値をAD変換する処理の一例を示す図である。
【0021】
図2及び図3には、ADC回路16の数nが16であり、時間を横軸とした場合の、一のアンテナコイルからのアナログ信号SIGの電圧の振幅の波形201、オートゼロ信号AZ、入力信号リセットスイッチ13の状態RS、制御部15から各ADC回路16への制御信号TH[1]~[16]、グローバルカウンタ18の値(Global Counter)の一例が示されている。
【0022】
また、図2には、ADC回路16-1における、アナログ信号SIGが入力される第1端子160Aでの入力電圧VINP[1]の波形202と、RAMP信号が入力される第2端子160Bでの入力電圧VINM[1]の波形203(共通のRAMP信号の電圧の波形)との比較が示されている。なお、ADC回路16は、いわゆるシングルスロープのADCであるため、波形302と波形303とがクロスした際のアナログ信号SIGの電圧に対応するデジタル値がAD変換して出力される。なお、入力電圧VINP[1:n]は、各ADC回路16-1~nにおける最初の増幅器AMP(1st AMP)の入力端子へ入力される信号にそれぞれ対応している。そのため、入力電圧VINP[1]は、ADC回路16-1における最初の増幅器AMPの入力端子へ入力される信号に対応している。
【0023】
また、図2には、ADC回路16-1からラッチ19-1への出力状態COMPOUT[1]、ADC回路16-1でのAD変換結果(ADC1変換結果)が示されている。
【0024】
なお、入力信号リセットスイッチ13の状態RSは、図1に示すように、HIGH(ハイ、H、1)の場合はグランド(接地)、LOW(ロー、L、0)の場合はアンテナコイルと接続されていることを示している。また、出力状態COMPOUT[1]は、LOW(L、0)の場合は出力されていない状態、HIGH(H、1)の場合は出力されている状態を示している。
【0025】
また、図3には、ADC回路16-13における、アナログ信号SIGが入力される第1端子160Aでの入力電圧VINP[13]の波形301と、RAMP信号が入力される第2端子160Bでの入力電圧VINM[13]の波形203(共通のRAMP信号の電圧の波形)との比較が示されている。また、図3には、ADC回路16-13からラッチ19-13への出力状態COMPOUT[13]、ADC回路16-13でのAD変換結果(ADC13変換結果)が示されている。なお、入力電圧VINP[13]は、ADC回路16-13における最初の増幅器AMPの入力端子へ入力される信号に対応している。
【0026】
(パイプラインで動作させる構成の一例)
波形センサ1は、図4及び図5に示されるように、サンプルホールド回路161及びADC回路16をパイプラインで動作させてもよい。これにより、例えば、サンプルホールド回路161に含まれる複数の容量に含まれる一の容量にてサンプルホールドする処理と、当該複数の容量に含まれる他の容量にてサンプルホールドされている値をAD変換する処理とを並行して実行できる。
【0027】
図4及び図5の例では、サンプルホールド回路161は、容量1611、容量1612、スイッチ1613、スイッチ1614、スイッチ1615、及びスイッチ1616等を有する。なお、サンプルホールド回路161が有する容量及びスイッチ等の数は、図4及び図5の例に限定されない。
【0028】
図4の例では、サンプルホールド回路161の容量1611にてサンプルホールドしている間に、容量1612にてサンプルホールドされている値がADC回路16にてAD変換される。そして、容量1612にてサンプルホールドされている値がAD変換されると、スイッチ1613、スイッチ1614、スイッチ1615、及びスイッチ1616のオンとオフとがそれぞれ切り替えられ、図5の状態に遷移する。
【0029】
図5の例では、サンプルホールド回路161の容量1612にてサンプルホールドしている間に、容量1611にてサンプルホールドされている値がADC回路16にてAD変換される。そして、容量1611にてサンプルホールドされている値がAD変換されると、スイッチ1613、スイッチ1614、スイッチ1615、及びスイッチ1616のオンとオフとがそれぞれ切り替えられ、再度図4の状態に遷移する。
【0030】
(第2実施形態)
第1実施形態では、全てのサンプルホールド回路161にてサンプルホールドしたのち、AD変換する例について説明した。第2実施形態では、1つ前の電圧と今の電圧の差電圧を、各ADC回路16における最初の増幅器AMPに取り込むことにより、RAMP信号(ランプ波)のダイナミックレンジを第1実施形態と比較して狭める例について説明する。シングルスロープのADCにおいてAD変換を行う期間は、ランプ波を増減させる期間に応じて変化する。ランプ波のダイナミックレンジが減少すると、ランプが増減する期間が減少する。そのため、第2実施形態によれば、第1実施形態と比較して、AD変換の処理を行う期間を短縮できる。そのため、サンプリングの頻度をさらに向上させることができる。以下では、第2実施形態のうち第1実施形態と異なる点を主に説明する。なお、第2実施形態の構成、第1実施形態の構成のうちの少なくとも一部(例えば、上述した、パイプラインで動作させる構成)は、適宜組み合わせることができる。
【0031】
<構成>
図6を参照し、第2実施形態に係る波形センサ1の構成について説明する。図6は、第2実施形態に係る波形センサ1の構成の一例を示す図である。第2実施形態に係る波形センサ1は、図1の第1実施形態に係る波形センサ1と比較して、RAMP生成回路14、制御部15の代わりに、RAMP生成回路14A、制御部15Aを有する点が異なる。また、積和演算回路21を有する点が異なる。また、各ADC回路16-1、16-2、・・・、16-nが、上下ランプ切り替えスイッチ162-1、162-2、・・・、162-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「上下ランプ切り替えスイッチ162」とも称する。)と、符号判定機163-1、163-2、・・・、163-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「符号判定機163」とも称する。)と、を有する点が主に異なる。なお、図6の例では、符号判定機163は、いわゆるDラッチを用いて実現されている。
【0032】
RAMP生成回路14Aは、切片を特定の電圧(例えば、電源電圧の半分程度の電圧)とし、時間に対して線形(一次関数的)に電圧が増加する信号(上りRAMP信号)と、時間に対して線形(一次関数的)に電圧が減少する信号(下りRAMP信号)と、を各ADC回路16へ出力する。
【0033】
制御部15Aは、各ADC回路16へ信号を送信して、各ADC回路16を制御する。制御部15Aは、一つ前のサンプリング時点でサンプリングされたデータの取り込みをADC回路16毎に指示するオートゼロ信号AZ[1:n](AZ[1]~AZ[n])を各ADC回路16へ送信する。また、制御部15Aは、第1実施形態に係る制御部15と同様に、ADC回路16毎のサンプリングのタイミングを指定する制御信号TH[1:n](TH[1]~TH[n])を各ADC回路16へ送信する。また、制御部15Aは、各ADC回路16の符号判定機163を制御する同一(各ADC回路16で共通)の信号GTを各ADC回路16へ送信する。
【0034】
図6の例では、図1の第1実施形態と同様に、ADC回路16は、いわゆるシングルスロープのADCを有している。そのため、ADC回路16は、第2端子160Bに入力されたRAMP信号の電圧が第1端子160Aに入力されてサンプルホールドされたアナログ信号SIGの電圧(画素電圧)を超える(クロスする)と、比較器が反転してカウンタが停止する。第2実施形態の場合、カウンタの値は、アナログ信号SIGの電圧の変化量(アナログ信号SIGの電圧の波形を微分した値)に対応するデジタル値である。
【0035】
<処理(動作)>
次に、図7から図10を参照し、第2実施形態に係る波形センサ1の処理の一例について説明する。図7は、第2実施形態に係るアナログ信号SIGの電圧の振幅の一例を示す図である。図8は、第2実施形態に係る各サンプリング時点における、一つ前のサンプリング時点からのアナログ信号SIGの電圧の振幅の変化量の絶対値の一例を示す図である。図9は、第2実施形態に係る各サンプリング時点における、一つ前のサンプリング時点からのアナログ信号SIGの電圧の振幅の変化量の極性値の一例を示す図である。図10は、第2実施形態に係る各サンプリング時点における、アナログ信号SIGの電圧の振幅の算出結果の一例を示す図である。
【0036】
制御部15Aは、各ADC回路16(以下で、「ADC回路16-i」と称する。なお、iは、1からnまでの自然数である。)でのサンプリング時点tから一つ前のサンプリング時点ti-1でADC回路16-iに対するオートゼロ信号AZ[i]をLOWに設定(変更)することにより、アナログ信号SIGをADC回路16-iに入力させる(取り込ませる)。
【0037】
そして、制御部15Aは、サンプリング時点tでADC回路16-iに対する制御信号TH[i]をLOWに設定(変更)することにより、ADC回路16-iのスイッチをオフにし、時点ti-1から時点tまでのアナログ信号SIGの振幅の変化量(差電圧)を示す値をサンプルホールド回路161-iに記録させる。そして、制御部15Aは、サンプルホールド回路161-iに記録されたレベルに応じたカウンタ値をAD変換した値DOUT[i]を積和演算回路21へ出力させる。
【0038】
また、制御部15Aは、サンプリング時点tからADC回路16-iでの次回のサンプリング時点までの間に、時点ti-1から時点tまでのアナログ信号SIGの振幅の変化量の極性(符号。+か-か)を示す値SIGN[i]を符号判定機163-iにより積和演算回路21へ出力させる。なお、例えば、符号判定機163からの出力がLOWの場合は-1、HIGHの場合は+1とする。
【0039】
そして、積和演算回路21は、ある時点tでのアナログ信号SIGの振幅を示す値CODE[i]を、以下の式(1)のように算出する。
【数1】
【0040】
式(1)によれば、ADC回路16-1からADC回路16-iまでの各ADC回路16について値DOUTと値SIGNとを乗算した値が算出され、各ADC回路16での当該値が加算(合計)される。
【0041】
図7には、横軸を時間、縦軸をアナログ信号SIGの電圧としたアナログ信号SIGの波形701の一例が示されている。図8には、ADC回路16の数nを32とし、横軸を各サンプリング時点、縦軸を各ADC回路16でのAD変換結果の値DOUT[i]とした、図7のアナログ信号SIGの波形701に対する振幅の変化量の絶対値DOUT[i]の波形801の一例が示されている。
【0042】
図9には、ADC回路16の数nを32とし、横軸を各サンプリング時点、縦軸を各ADC回路16でのSIGN[i]の値とした、図7のアナログ信号SIGの波形701に対する振幅の変化量の極性SIGN[i]の波形901の一例が示されている。図10には、ADC回路16の数nを32とし、横軸を各サンプリング時点、縦軸をアナログ信号SIGの振幅を示す値CODE[i]の値とした、図7のアナログ信号SIGの波形701に対するCODE[i]の波形1001の一例が示されている。上述した処理により、正弦波であるアナログ信号SIGがCODE[i]によりデジタル化(復元)されていることが分かる。
【0043】
次に、図11及び図12を参照し、第2実施形態に係る波形センサ1の処理のより詳細な一例について説明する。図11は、第2実施形態に係る波形センサ1の処理の一例を示すフローチャートである。図12は、第2実施形態に係る波形センサ1の処理の一例を示すタイミングチャートである。なお、図11の処理の順番は、矛盾しない限り、適宜変更してもよい。
【0044】
ステップS101において、制御部15Aは、入力信号リセットスイッチ13の状態RSをLOWとすることで、アンテナコイルからのアナログ信号SIGを各ADC回路16に入力させる(取り込ませる)。続いて、制御部15Aは、オートゼロ信号AZ[1:n]及び制御信号TH[1:n]をすべてHIGHに設定することで、初期化する(ステップS102)。続いて、制御部15Aは、ADC回路16の番号(インデックス)iに1を設定する(ステップS103)。
【0045】
続いて、制御部15Aは、一つ前のサンプリング時点ti-1において、ADC回路16-iへのオートゼロ信号AZ[i]をLOWに設定することにより、時点ti-1でのアナログ信号SIG[i-1]をサンプルホールド回路161-iに取り込ませる(ステップS104)。
【0046】
続いて、制御部15Aは、サンプリング時点tでADC回路16-iに対する制御信号TH[i]をLOWに設定(変更)することにより、ADC回路16-iのスイッチをオンにし、時点ti-1から時点tまでのアナログ信号SIGの振幅の変化量の絶対値を示す値をサンプルホールド回路161-iに記録(サンプルホールド)させる(ステップS105)。
【0047】
続いて、制御部15Aは、iがnと等しいか否かを判定する(ステップS106)。iがnと等しくない場合(ステップS106でNO)、制御部15Aは、iの値を1つインクリメントし(ステップS107)、ステップS104の処理に進む。
【0048】
一方、iがnと等しい場合(ステップS106でYES)、制御部15Aは、信号GTをHIGHに設定することにより、各ADC回路16のセカンドアンプの出力結果をSIGN用の信号としてラッチする(ステップS108)。
【0049】
続いて、制御部15Aは、信号GTをLOWに設定することにより、各ADC回路16の極性を示す値SIGN[1:n]を保持する(ステップS109)。続いて、制御部15Aは、各ADC回路16の出力の極性を示す値SIGN[1:n]に基づいて、上りRAMP信号と下りRAMP信号から、各ADC回路16に用いるRAMP信号をそれぞれ選択(決定)する(ステップS110)。
【0050】
続いて、各ADC回路16は、選択された各ADC回路16用のRAMP信号を用いて、サンプルホールド回路161で保持されているレベルに応じたカウンタ値をAD変換した値DOUTをAD変換して積和演算回路21へ出力する(ステップS111)。
【0051】
続いて、積和演算回路21は、各ADC回路16でのAD変換結果値DOUTと、各ADC回路16での極性値SIGNとを、式(1)により積和演算する(ステップS112)。ここで、各ADC回路16での極性値SIGNは、各ADC回路16での各サンプリング時点における、一つ前のサンプリング時点からのアナログ信号SIGの電圧の振幅の変化量(電圧の差)の極性値である。一つ前のサンプリング時点から今回のサンプリング時点までにアナログ信号SIGの電圧の振幅が増加している場合は、極性値は+1である。一方、一つ前のサンプリング時点から今回のサンプリング時点までにアナログ信号SIGの電圧の振幅が減少している場合、極性値は-1である。
【0052】
図12には、ADC回路16の数nが16であり、時間を横軸とした場合の、一のアンテナコイルからのアナログ信号SIGの電圧の振幅1201、入力信号リセットスイッチ13の状態RS、オートゼロ信号AZ[1]~[16]、制御部15Aから各ADC回路16への制御信号TH[1]~[16]、信号GT、グローバルカウンタ18の値(Global Counter)の一例が示されている。また、図12には、上りRAMP信号(URAMP)の波形1202、下りRAMP信号(DRAMP)の波形1203が示されている。
【0053】
ADC回路16-1の極性値SIGN[1]は、-1であるため、下りRAMP信号がADC回路16-1に対するRAMP信号として選択されている。
【0054】
また、図12には、ADC回路16-1における、アナログ信号SIGが入力される第1端子160Aでの入力電圧VINP[1]の波形1211と、RAMP信号が入力される第2端子160Bでの入力電圧VINM[1]の波形1212(RAMP信号の電圧の波形)との比較が示されている。なお、ADC回路16は、いわゆるシングルスロープのADCであるため、波形1211と波形1212とがクロスした際のアナログ信号SIGの電圧に対応するデジタル値がAD変換して出力される。
【0055】
また、図12には、ADC回路16-1の極性値SIGN[1]、ADC回路16-1からラッチ19-1への出力状態COMPOUT[1]、ADC回路16-1でのAD変換結果(ADC1変換結果)が示されている。
【0056】
(第3実施形態)
第2実施形態では、例えば、ADC回路16の出力が比較的0に近い等の場合に、デバイスノイズ等により出力の極性を示す値SIGNに誤りが生じる可能性がある。この場合、図11のステップS110の処理において、RAMP信号の選択に誤りが生じるため、アナログ信号SIGが入力される第1端子160Aでの入力電圧VINPの波形と、RAMP信号が入力される第2端子160Bでの入力電圧VINMの波形がクロスしなくなる。この場合、ADC回路16は、いわゆるシングルスロープのADCであるため、カウンタの最大値がAD変換結果として出力される。そのため、比較的大きなAD変換誤差が発生する。
【0057】
第3実施形態では、第2実施形態においてデバイスノイズ等により出力の極性を示す値SIGNに誤りが生じた場合のエラー訂正機能を搭載し、AD変換誤差を低減させる。以下では、第3実施形態のうち第2実施形態と異なる点を主に説明する。
【0058】
<構成>
図13を参照し、第3実施形態に係る波形センサ1の構成について説明する。図13は、第3実施形態に係る波形センサ1の構成の一例を示す図である。第3実施形態に係る波形センサ1は、図6の第2実施形態に係る波形センサ1と比較して、RAMP生成回路14A、制御部15A、積和演算回路21の代わりに、RAMP生成回路14B、制御部15B、積和演算回路21Bを有する点が異なる。
【0059】
また、第3実施形態に係る波形センサ1は、図6の第2実施形態に係る波形センサ1と比較して、各ADC回路16-1、16-2、・・・、16-nのそれぞれに対応付けて、各ADC回路16用の校正値を格納する校正値格納ラッチ30-1、30-2、・・・、30-n(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「校正値格納ラッチ30」とも称する。)のそれぞれを有する点が主に異なる。
【0060】
各校正値格納ラッチ30にて格納される各ADC回路16用の校正値DCAL[i]は、各ADC回路16にて生じているデバイスノイズ等に応じた、各ADC回路16でのAD変換結果の値DOUT[i]を校正するための値である。
【0061】
制御部15Bは、校正値格納ラッチ30への制御信号DCAL_LATCHを送信する点が第2実施形態の制御部15Aと異なる。
【0062】
RAMP生成回路14Bは、切片を特定の負の値とし時間に対して線形(一次関数的)に電圧が増加する信号(冗長化上りRAMP信号)と、切片を特定の正の値とし時間に対して線形(一次関数的)に電圧が減少する信号(冗長化下りRAMP信号)と、を各ADC回路16へ出力する。これにより、デバイスノイズ等により出力の極性を示す値SIGNに誤りが生じてRAMP信号の選択に誤りが生じた場合であっても、アナログ信号SIGが入力される第1端子160Aでの入力電圧VINPの波形と、RAMP信号が入力される第2端子160Bでの入力電圧VINMの波形がクロスするようになる。
【0063】
積和演算回路21Bは、ある時点tでのアナログ信号SIGの振幅を示す値CODE[i]を、以下の式(2)のように算出する。
【数2】
【0064】
式(2)によれば、ADC回路16-1からADC回路16-iまでの各ADC回路16について値DOUTを校正値DCALで校正した値(DOUT[i]-DCAL[i])と、と値SIGNとを乗算した値が算出され、各ADC回路16での当該値が加算(合計)される。なお、DOUT[i]-DCAL[i]の値は正常時は0以上の値となり、デバイスノイズ等によるエラー発生時には負の値となる。また、エラー発生時には極性値SIGNは正負の符号が誤っている(正負が逆になっている)。そのため、DOUT[i]-DCAL[i]の値に、極性値SIGN[i]の値を乗算することにより、エラー発生時に正負の符号が訂正される。
【0065】
<処理(動作)>
第3実施形態に係る波形センサ1は、アナログ信号SIGのAD変換処理を行う前に、校正値格納ラッチ30に校正値DCALを格納する処理を行う。
【0066】
<<校正値格納ラッチ30に校正値DCALを格納する処理>>
図11及び図14を参照し、第3実施形態に係る校正値格納ラッチ30に校正値DCALを格納する処理の一例について説明する。図14は、第3実施形態に係る校正値格納ラッチ30に校正値DCALを格納する処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0067】
校正値格納ラッチ30に校正値DCALを格納する処理は、第1端子160Aへの入力がアナログ信号SIGの代わりにグランド(GND)となっている以外は、図11に示した第2実施形態に係る波形センサ1でのアナログ信号SIGのAD変換処理を行う処理と同様である。そのため、校正値格納ラッチ30に校正値DCALを格納する処理のフローチャートの一例は、図11において「アナログ信号SIG」を「グランド(GND)」等と読み替えればよい。
【0068】
第3実施形態に係る波形センサ1は、図11のステップS101の代わりに、入力信号リセットスイッチ13の状態RSをHIGHに設定(切り替え)ることにより各ADC回路16が有するアナログ信号SIGを入力するための第1端子160Aに、グランド(GND)を入力させる。そして、第3実施形態に係る波形センサ1は、この状態で図11のステップS102以降の処理と同様の処理により、グランドが入力されている状態での各サンプルホールド回路161で保持されているレベルに応じたカウンタ値をAD変換した値DOUTをAD変換する。そして、第3実施形態に係る波形センサ1は、校正値格納ラッチ30への制御信号DCAL_LATCHをHIGHに設定することにより、値DOUTのデータを校正値格納ラッチ30へ格納させる。
【0069】
図14には、ADC回路16の数nが16であり、時間を横軸とした場合の、第1端子160Aに入力される電圧の振幅1401、入力信号リセットスイッチ13の状態RS、オートゼロ信号AZ[1]~[16]、制御部15Bから各ADC回路16への制御信号TH[1]~[16]、信号GT、グローバルカウンタ18の値(Global Counter)の一例が示されている。また、図14には、冗長化上りRAMP信号(URAMP)の波形1402、冗長化下りRAMP信号(DRAMP)の波形1403が示されている。
【0070】
ADC回路16-1の極性値SIGN[1]は、-1であるため、冗長化下りRAMP信号がADC回路16-1に対するRAMP信号として選択されている。
【0071】
また、図14には、ADC回路16-1における、アナログ信号SIGが入力される第1端子160Aでの入力電圧VINP[1]の波形1411と、RAMP信号が入力される第2端子160Bでの入力電圧VINM[1]の波形1412(RAMP信号の電圧の波形)との比較が示されている。なお、ADC回路16は、いわゆるシングルスロープのADCであるため、波形1411と波形1412とがクロスした際のアナログ信号SIGの電圧に対応するデジタル値がAD変換して出力される。
【0072】
また、図14には、ADC回路16-1の極性値SIGN[1]、ADC回路16-1からラッチ19-1への出力状態COMPOUT[1]、ADC回路16-1でのAD変換結果(ADC1変換結果)DOUT[1]が示されている。
【0073】
また、図14には、制御信号DCAL_LATCHの状態、校正値格納ラッチ30-1にて格納される校正値DCAL[1]が示されている。
【0074】
<<アナログ信号SIGのAD変換処理を行う>>
図11及び図15を参照し、第3実施形態に係るアナログ信号SIGのAD変換処理の一例について説明する。図15は、第3実施形態に係るアナログ信号SIGのAD変換処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0075】
第3実施形態に係る波形センサ1は、上述した校正値格納ラッチ30に校正値DCALを格納する処理を行った後、図11に示した第2実施形態に係る波形センサ1と同様の処理を行う。ただし、図11のステップS112において、式(1)の代わりに式(2)により積和演算する点が異なっている。
【0076】
図15には、ADC回路16の数nが16であり、時間を横軸とした場合の、第1端子160Aに入力される電圧の振幅1501、入力信号リセットスイッチ13の状態RS、オートゼロ信号AZ[1]~[16]、制御部15Bから各ADC回路16への制御信号TH[1]~[16]、信号GT、グローバルカウンタ18の値(Global Counter)の一例が示されている。また、図15には、冗長化上りRAMP信号(URAMP)の波形1502、冗長化下りRAMP信号(DRAMP)の波形1503が示されている。
【0077】
また、図15には、ADC回路16-1の極性値SIGN[6]が示されている。図15では、ADC回路16-6の極性値SIGN[6]は、デバイスノイズ等によるエラーのため-1であると誤判定されている例が示されている。そのため、冗長化下りRAMP信号がADC回路16-6に対するRAMP信号として選択されている。
【0078】
また、図15には、ADC回路16-6における、アナログ信号SIGが入力される第1端子160Aでの入力電圧VINP[6]の波形1511と、RAMP信号が入力される第2端子160Bでの入力電圧VINM[6]の波形1512(RAMP信号の電圧の波形)との比較が示されている。なお、ADC回路16は、いわゆるシングルスロープのADCであるため、波形1511と波形1512とがクロスした際のアナログ信号SIGの電圧に対応するデジタル値がAD変換して出力される。
【0079】
また、図15には、ADC回路16-1からラッチ19-1への出力状態COMPOUT[6]、ADC回路16-6でのAD変換結果(ADC6変換結果)DOUT[6]が示されている。
【0080】
<インターリーブ動作をさせる例>
第2実施形態、及び第3実施形態において、回路10を複数設けて、インターリーブ動作をさせてもよい。これにより、サンプリングの対象とする期間をより長くすることができるため、位置検出等の精度が向上する。この場合、波形センサ1は、例えば、回路10におけるアンテナコイル切り替えスイッチ11、ゲインアンプ12、及び入力信号リセットスイッチ13の1つのセットを複数の回路10で共通化してもよい。そして、各回路10にて、それぞれことなる期間のアナログ信号SIGをAD変換してもよい。
【0081】
<その他>
上述した例では、タブレット等にて電子ペン等からの無線の正弦波等の波形を検出する例について説明したが、本開示の波形センサ1は、これに限定されない。本開示の波形センサ1は、例えば、正弦波等の投光波と受光波の位相差に基づいて測定対象までの距離を測定するTOF(Time of Flight)センサにおける受光波を検出するためのADC等にも適用(利用)できる。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1 波形センサ
10 回路
11 スイッチ
12 ゲインアンプ
13 入力信号リセットスイッチ
14、14A、14B RAMP生成回路
15、15A、15B 制御部
16 ADC回路
161 サンプルホールド回路
160A 第1端子
160B 第2端子
162 スイッチ
163 符号判定機
1611 容量
1612 容量
1613 スイッチ
1614 スイッチ
1615 スイッチ
1616 スイッチ
17 バイアス
18 グローバルカウンタ
19 ラッチ
20 アンテナコイル群
21、21B 積和演算回路
30 校正値格納ラッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15