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  • 特開-螺旋杭操作具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067073
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】螺旋杭操作具
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/80 20060101AFI20240510BHJP
   E02D 7/22 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
E02D5/80 101
E02D7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176880
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000130710
【氏名又は名称】株式会社サンエー
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 一紀
【テーマコード(参考)】
2D041
2D050
【Fターム(参考)】
2D041GA02
2D041GB02
2D050CB45
(57)【要約】
【課題】螺旋杭をよりスムーズに地面にねじ込んだり地面から引き抜いたりできる螺旋杭操作具を提供する。
【解決手段】 螺旋杭操作具1は、本体2と、本体2に連結された把持部3と、を備え、本体2は、螺旋杭Sが挿入される挿入空間Aを規定する被挿入部5と、被挿入部5の内周面に取り付けられた回転規制部材6と、を備える。回転規制部材6は、螺旋杭Sに当接して螺旋杭Sが被挿入部5に対して回転するのを規制する。被挿入部5の下縁には穴開け刃51が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に連結された把持部と、を備え、
前記本体は、螺旋杭が挿入される挿入空間を規定する被挿入部と、前記被挿入部の内周面に取り付けられた回転規制部材と、を備え、
前記回転規制部材は、前記螺旋杭に当接して前記螺旋杭が前記被挿入部に対して回転するのを規制し、
前記被挿入部の下縁には穴開け刃が設けられている螺旋杭操作具。
【請求項2】
前記回転規制部材は、並列配置された一対の長尺部材からなり、各長尺部材は前記被挿入部の長手方向に沿って延びる請求項1に記載の螺旋杭操作具。
【請求項3】
所定の回転方向において、前記螺旋杭が前記長尺部材の上流側部位に当接する位置と下流側部位に当接する位置の間の角度は45°以上である請求項2に記載の螺旋杭操作具。
【請求項4】
前記挿入空間の底部から前記長尺部材の下端までの長さは25cm以上である請求項2又は3に記載の螺旋杭操作具。
【請求項5】
前記被挿入部は、前記被挿入部の長手方向に沿って間隔を空けて並列配置された複数個の筒状部材を備え、前記穴開け刃は前記複数個の筒状部材のうち最下端側の筒状部材の下縁に設けられている請求項1~3の何れかに記載の螺旋杭操作具。
【請求項6】
本体と、
前記本体に連結された把持部と、を備え、
前記本体は、螺旋杭が挿入される挿入空間を規定する被挿入部と、前記被挿入部の内周面に取り付けられた回転規制部材と、を備え、
前記被挿入部は、前記被挿入部の長手方向に沿って間隔を空けて並列配置された複数個の筒状部材を備え、
前記回転規制部材は、前記螺旋杭に当接して前記螺旋杭が前記被挿入部に対して回転するのを規制するものであり、前記回転規制部材は並列配置された一対の長尺部材からなる螺旋杭操作具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋杭を地面にねじ込んだり地面から引き抜いたりするための螺旋杭操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
園芸用ビニールハウスを圃場に設置する際には、定着杭として螺旋杭を用いられることが多い。螺旋杭を地面にねじ込んだり地面から引き抜いたりするには、螺旋杭の頭部リンクに棒を挿通させてこれを回転させるのが一般的であるが、このような作業は重労働であるのに加え、前屈みの姿勢で行う必要があり、これを何本も行うのは過酷な作業であった。特に、螺旋杭を長年土の中に挿したまま放置しておくと、螺旋杭が錆び付いて固着してしまい、螺旋杭の引き抜きには相当の労力が要求される。
【0003】
そこで、このような螺旋杭のねじ込み作業や引き抜き作業を容易に行えるようにする器具が種々提案されている。例えば、特許文献1に開示の螺旋杭打ち込み機は、作業軸に取り付けられたドライバーソケットに螺旋杭の頭部を装着し、当該作業軸をエンジンにより回転させることで、螺旋杭を地面に対して打ち込み又は地面から引き抜くように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】公開実用新案公報 平2-84846
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のように、螺旋杭の頭部のみを固定して螺旋杭を回転させると、螺旋杭の頭部にのみ負荷がかかり、頭部が引き千切られてしまうという問題が頻発していた。また、エンジン等の動力を利用する場合、螺旋杭が地中の障害物(石等)にぶつかると大きな反動が生じ、使用者が振り回されてしまう等の危険が生じる場合があった。
【0006】
また、螺旋杭を地面にねじ込む場合には、まず螺旋杭の先端を地面に当接させ、この状態で螺旋杭を回し始めるが、螺旋杭の先端を地面に当接させただけでは螺旋杭の姿勢が安定せず、これを回転させても地中に上手くねじ込まれていかないという問題があった。
【0007】
本発明は、螺旋杭をよりスムーズに地面にねじ込んだり地面から引き抜いたりできる螺旋杭操作具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る螺旋杭操作具は、本体と、前記本体に連結された把持部と、を備え、前記本体は、螺旋杭が挿入される挿入空間を規定する被挿入部と、前記被挿入部の内周面に取り付けられた回転規制部材と、を備え、前記回転規制部材は、前記螺旋杭に当接して前記螺旋杭が前記被挿入部に対して回転するのを規制し、前記被挿入部の下縁には穴開け刃が設けられている。
【0009】
本発明に係る螺旋杭操作具は、本体と、前記本体に連結された把持部と、を備え、前記本体は、螺旋杭が挿入される挿入空間を規定する被挿入部と、前記被挿入部の内周面に取り付けられた回転規制部材と、を備え、前記被挿入部は、前記被挿入部の長手方向に沿って間隔を空けて並列配置された複数個の筒状部材を備え、前記回転規制部材は、前記螺旋杭に当接して前記螺旋杭が前記被挿入部に対して回転するのを規制するものであり、前記回転規制部材は並列配置された一対の長尺部材からなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る螺旋杭操作具によれば、螺旋杭が挿入される被挿入部の下縁には穴開け刃が設けられているので、螺旋杭のねじ込みにおける下穴の形成と螺旋杭のねじ込み作業を螺旋杭操作具のみを用いて行うことができ、また予め形成した下穴に螺旋杭を差し込んでねじ込み作業を行うことで、螺旋杭はスムーズに地面にねじ込まれていき、作業効率を上げることができる。更に、螺旋杭を地面から引き抜く際にも、螺旋杭周辺に穴を掘る作業と螺旋杭を引き抜く作業を、螺旋杭操作具のみを用いて行うことができ、また予め螺旋杭周辺に穴を掘る作業を行うことで、螺旋杭を引き抜きやすくでき、これによっても作業効率を上げることができる。更に、螺旋杭のねじ込み作業や引き抜き作業を立ち姿勢のまま行うことができるので、作業者の肉体的負担を軽減できる。
【0011】
本発明に係る螺旋杭操作具によれば、回転規制部材が螺旋杭に当接することで螺旋杭の被挿入部に対する回転が規制されるので、把持部を把持して本体を回転させることで螺旋杭を本体と一体に回転させることができ、これにより螺旋杭のねじ込み作業や引き抜き作業を容易に行うことができる。また、被挿入部は、被挿入部の長手方向に沿って間隔を空けて並列配置された複数個の筒状部材を備えるので、被挿入部に挿入された螺旋杭の挿入深さを隙間を介して外部から目視で確認でき、使い勝手が良い。更に、回転規制部材を並列配置された一対の長尺部材から構成しているので、長尺部材の回転に伴う螺旋杭の回転をスムーズに行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る螺旋杭操作具を螺旋杭と共に示す斜視図。
図2図1の螺旋杭操作具の下方部位を拡大して示す拡大斜視図。
図3図1の螺旋杭操作具に螺旋杭を挿入した状態を示す横断面図。
図4図1の螺旋杭操作具を図3に示す状態から反時計回りに旋回させた状態を示す横断面図。
図5図1の螺旋杭操作具を用いて螺旋杭を地面に打ち込む際の手順を説明する図。
図6図1の螺旋杭操作具を用いて螺旋杭を地面に打ち込む際の手順を説明する図。
図7図1の螺旋杭操作具を用いて螺旋杭を地面から引き抜く際の手順を説明する図。
図8】比較例に係る螺旋杭操作具に螺旋杭を挿入した状態を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る螺旋杭操作具について説明する。図1を参照して、本発明の実施形態に係る螺旋杭操作具(以下、単に「操作具」という)1は、螺旋杭Sを手動で地面にねじ込んだり地面から引き抜いたりする際に使用されるものであって、本体2と、把持部3と、上下方向D1に延びて本体2と把持部3とを連結する支持軸4と、を備える。本体2は、螺旋杭Sが挿入される挿入空間Aを規定する被挿入部5と、被挿入部5の内周面に取り付けられた回転規制部材6と、を備える。把持部3は支持軸4の上端に位置し、水平方向に延びている。
【0014】
被挿入部5は、被挿入部5の長手方向(上下方向)D1に沿って間隔(隙間G)を空けて並列配置された複数個の筒状部材7を備え、挿入空間Aは隙間Gを介して外部に露出している。本実施形態では、これら複数個の筒状部材7は筒状部材7A,7B,7Cを含み、それぞれ円筒形状を有している。また、被挿入部5の下縁(換言すると、最下端側に位置する筒状部材7Aの下縁)には穴開け刃51が設けられ、これにより被挿入部5は穴開け部材としても機能する。本実施形態においては、穴開け刃51は波形状を有している。また、穴開け刃51は底面視円形状をなしている。
【0015】
回転規制部材6は、被挿入部5に挿入された螺旋杭Sに当接して被挿入部5に対する螺旋杭Sの回転を規制するものであって、本実施形態では被挿入部5の長手方向D1に沿って延びる一対の長尺部材61から構成され、各長尺部材61は複数個の筒状部材7に掛け渡されるように設けられている。
【0016】
より具体的に、一対の長尺部材61は、水平方向に間隔を空けて向かい合うように配置され、長手方向D1に延びる被挿入部5の中心軸に対して線対称に設けられている。図2に示す様に、本実施形態では、一対の長尺部材61は横断面L字状を有し、その角部61a同士が対向するように配置されている。角部61aは直角であるのが好ましいが、これに限定されない。また、各長尺部材61の下端61bは、被挿入部5の下縁に設けられた穴開け刃51よりも上方に位置するのが好ましい。
【0017】
図1に示す様に、一対の長尺部材61の上端部位は支持軸4の両側面に固定されており、螺旋杭Sを操作具1の被挿入部5へ下方から挿入すると、螺旋杭Sの頭部S1が連結具4の下端41に当接し、これによって螺旋杭Sの被挿入部5(挿入空間A)への最大挿入深さが規制される。即ち、本実施形態においては、連結具4の下端41が、螺旋杭Sが挿入される挿入空間Aの底部として機能している。
【0018】
そして、螺旋杭Sを操作具1の被挿入部5(挿入空間A)へ下方から挿入し、操作具1を螺旋杭Sに対して相対的に所定方向(時計回り)に回転させると、螺旋杭Sは図3に示すように一対の長尺部材61に当接し、操作具1が螺旋杭Sに対して空回りするのが防止され、螺旋杭Sは操作具1と共に回転する。また、図3に示す状態から操作具1を逆方向(反時計回り)に回転させると、図4に示す様に一対の長尺部材61は約90°回転した後に螺旋杭Sに当接し、その後は操作具1が螺旋杭Sに対して空回りするのが防止され、螺旋杭Sは操作具1と共に回転する。即ち、螺旋杭Sと長尺部材61の間には、約90°の遊びが設定されている。換言すると、操作具1の所定の回転方向において、螺旋杭Sが長尺部材61の上流側部位に当接する位置と、下流側部位に当接する位置の間の角度が約90°に設定されている。
【0019】
また、図3及び図4に示す様に、長尺部材61は、螺旋杭Sが挿入空間Aの挿入された状態において、挿入空間Aの径方向における長尺部材61の内側端部(ここでは、角部61a)が螺旋杭Sの頭部S1の水平方向両端S11よりも当該径方向内側に位置するように構成されている。
【0020】
図1を参照して、一般的な螺旋杭Sの頭部S1から螺旋部S2の上部湾曲部21までの長さL1は24cm程度であることから、挿入空間Aの底部(即ち、連結具4の下端41)から長尺部材61の下端61bまでの長さL2は25cm以上であるのが好ましい。このように設定することで、螺旋杭Sを操作具1の被挿入部5(挿入空間A)へ最大挿入深さまで挿入すると、螺旋杭Sの頭部S2に加え、上部湾曲部S21も長尺部材61に当接することから、頭部S2にのみ長時間に亘って負荷がかかって頭部S2がねじ切れてしまうリスクを低減できる。
【0021】
なお、螺旋杭Sには種々の長さのものが提供されているが、螺旋杭Sの全体長さに関わらず頭部S1から螺旋部S2の上部湾曲部S21までの長さL1はほぼ同一であり、螺旋部S2の長さ(螺旋の数)が異なるのみであるので、上記長さL1を25cm以上とすることで、様々な長さの螺旋杭Sに対応できる。
【0022】
また、隣合う筒状部材7間の隙間Gの幅寸法L3(図2)は、4cm以下であるのが好ましい。このように隙間Gの幅寸法L3を4cm以下とすることで、螺旋杭Sを操作具1に挿入した際に、螺旋杭Sの頭部S1が隙間Gから外部に飛び出して螺旋杭Sが不安定になるのを防止できる。
【0023】
次に、操作具1を用いた螺旋杭Sの地面へのねじ込み方法について説明する。まず、操作具1の下端(穴開け刃51)を地面に当接させる。把持部3を把持して操作具1を水平方向に往復旋回させ、図5に示す様に地面に下穴Hを開ける。下穴Hの深さとしては15cm程度とするのが好ましい。
【0024】
ここで、上述したように、長尺部材61の下端61bを穴開け刃51よりも上方に位置づけることで、長尺部材61は穴開け刃51による下穴Hの形成を妨げない。また、円筒部材7Aと円筒部材7Bの間には隙間Gが設けられていることから、下穴Hを開ける際に発生した余分な土は隙間Gを介して操作具1の外方へ排出され、穴開け作業をスムーズに行うことができる。
【0025】
次に、図6に示す様に、螺旋杭Sの先端を下穴Hに差し込み、螺旋杭Sに操作具1をかぶせるようにして螺旋杭Sを操作具1の被挿入部5に挿入する。この状態で操作具1を所定方向(時計回り)に回転させると、上述したように螺旋杭Sの頭部S1及び螺旋部S2の上部湾曲部S21が長尺部材61に当接し(図3)、螺旋杭Sは地面にねじ込まれていく。
【0026】
操作具1の下端が地面に接する深さまで螺旋杭Sが地面にねじ込まれた後は、螺旋杭Sは、地面にねじ込まれるに従い操作具1から下方に向けて抜けていく。このとき、挿入空間Aに挿入されている螺旋杭Sは隙間Gを介して外部から視認可能であることから、作業者は螺旋杭Sがどの程度まで地面にねじ込まれたかを目視で確認することができ、使い勝手が良い。
【0027】
ここで、下穴Hを開けるのは次の理由による。上述したように、螺旋杭Sを地面にねじ込む場合、通常は螺旋杭Sの先端を地面に当接させた状態で螺旋杭Sを回し始めるが、これでは螺旋杭Sの姿勢が安定せず、螺旋杭Sを回転させても地中に上手くねじ込まれていかない。これは、螺旋杭Sの先端が、螺旋杭Sの長手方向中心軸上に位置していないためである。即ち、螺旋杭Sをその中心軸を中心に回転させると、螺旋杭Sの先端は円形の軌跡を描く。
【0028】
これに対し、下穴Hを設けて螺旋杭Sを差し込むことで、螺旋杭Sの姿勢が安定し、この状態で螺旋杭Sを回転させれば螺旋杭Sはスムーズに地面にねじ込まれていく。
【0029】
次に、操作具1を用いて螺旋杭Sを地面から引き抜く方法について説明する。まず、図7に示す様に、地面から露出している螺旋杭Sの頭部S1に操作具1を被せ、穴開け刃51を地面に当接させる。把持部3を把持して水平方向に往復旋回させ、螺旋杭Sの周りの土をほぐして穴を掘る。
【0030】
ここで、上述したように長尺部材61と螺旋杭Sの間には所定量(90°)の遊びが設けられていることから、図7に示す様に操作具1を螺旋杭Sの頭部S1に被せて地面に当接させた状態であっても、操作具1を水平方向に往復旋回させて螺旋杭Sの周りの土をほぐすことができる。ここで、長尺部材61と螺旋杭Sの間における遊びは、必ずしも90°である必要はないが、45°以上であるのが好ましい。このように45°以上の遊びを設けることで、螺旋杭Sが操作具1に挿入された状態であっても操作具1を往復旋回させて螺旋杭Sの周囲に穴を開けることができる。
【0031】
また、筒状部材7Aと筒状部材7Bの間には隙間Gが設けられていることから、余分な土は隙間Gを介して操作具1の外へ排出される。このように、螺旋杭Sを中心に穴を掘ることで、螺旋杭Sを抜きやすくできる。
【0032】
ある程度の深さまで穴が開いたら、把持部3を把持して操作具1を所定方向とは逆方向(反時計回り)に回転させる。すると、螺旋杭Sの頭部S1が長尺部材61に当接し(図4)、螺旋杭Sが操作具1に対して相対的に回転するのが規制され、螺旋杭Sは操作具1と共に反時計回りに回転し、地面から引き抜かれていく。なお、螺旋杭Sの固着が酷く、このようにしても螺旋杭Sが固着して回転しない場合には、土を掘る作業に戻ると良い。
【0033】
そして、このようにして引き抜かれる螺旋杭Sは、操作具1の挿入空間A内を上昇していき、螺旋杭Sが挿入空間Aの底部まで上昇すると、螺旋杭Sは頭部S1に加えて上部湾曲部S21も長尺部材61に当接する。これにより頭部S1にのみ継続して負荷がかかるのを防止でき、頭部S1が引きちぎられてしまうリスクを低減できる。また、螺旋杭Sが挿入空間Aの底部まで上昇した後は、螺旋杭Sと共に操作具1も上方に持ち上げられていく。
【0034】
このように、本実施形態に係る操作具1によれば、立ち姿勢のまま螺旋杭Sを操作できるので、螺旋杭Sの地面へのねじ込み作業や地面からの引き抜き作業を容易にできる。
【0035】
また、操作具1の下縁には穴開け刃51が設けられているので、下穴Hの形成も、地面に設置された螺旋杭Sの周りに穴を開ける作業も、操作具1を用いて行うことができ、使い勝手が良い。
【0036】
更に、回転規制部材6を一対の長尺部材61から構成し、挿入空間Aの径方向における長尺部材61の内側端部(角部61a)が螺旋杭Sの頭部S1の水平方向両端S11よりも内側に位置するように構成しているので、螺旋杭Sは長尺部材61にぐらつきなく当接し、把持部1を把持して本体2を回転させた際に螺旋軸Sを効率的に回転させることができる。即ち、図8に示す様に長尺部材161を用い、螺旋杭Sの頭部S1を長尺部材161の平坦内面161aに当接させるように構成した場合には、長尺部材161と螺旋杭Sとの接触面積が小さくなり、螺旋杭Sは長尺部材61に対してぐらつきやすくなる。これに対し、本実施形態では長尺部材61と螺旋杭Sの接触面積が大きくなる(接触箇所が上下方向D1に長くなる)ことから、螺旋杭Sは長尺部材61に対してぐらつき難くなる。
【0037】
また、長尺部材61が螺旋杭Sの頭部S1だけでなく上部湾曲部S21にも当接して螺旋杭Sを回転させるので、頭部S1を千切れにくくできる。
【0038】
以上、本発明の実施形態に係る螺旋杭操作具について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0039】
例えば、穴開け刃51の形状は波形状に限定されず、例えば鋸刃形状であっても構わない。また、各長尺部材61は横断面L字状のものに限定されず、例えば円筒状のものや四角柱状のものであっても構わない。
【0040】
更に、筒状部材7Aを除く筒状部材7(筒状部材7Bや7C)は、円筒状に限定されず、例えば角筒状であっても構わない。筒状部材7の個数も3個に限定されず、2個でも4個以上であっても構わない。
【0041】
上記実施形態では、支持軸4の下端41が収容空間Aの底部として機能するが、支持軸4とは異なる部材を設け、当該部材を収容空間Aの底部とすることもできる。或いは、図1に示すものとは異なる形状の支持軸を用い、当該支持軸の下端とは異なる部位を収容空間Aの底部として機能させることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 螺旋杭操作具
2 本体
3 把持部
5 被挿入部
6 回転規制部材
7 筒状部材
61 長尺部材
51 穴開け刃
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8