(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067081
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】除電装置および除電装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H05F 3/04 20060101AFI20240510BHJP
H01T 19/04 20060101ALI20240510BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H05F3/04 D
H01T19/04
H01T23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176894
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】木田 大輔
【テーマコード(参考)】
5G067
【Fターム(参考)】
5G067DA01
5G067DA18
5G067DA22
5G067EA01
(57)【要約】
【課題】除電装置のパラメータの不用意な変更を抑止可能とする。
【解決手段】除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータPw、Ptl、Pofが、ボタン操作部53が受け付けたユーザの操作に応じて設定される。また、複数のパラメータPw、Ptl、Pofを変更する操作に関して、ロックモードが設けられている。このロックモードでは、複数のパラメータPw、Ptl、Pofを変更するボタン操作部53に対する操作が制限される。また、ロックモードを解除することで、複数のパラメータPw、Ptl、Pofのそれぞれを変更するボタン操作部53に対する操作が許可される(通常モード)。したがって、管理者は、通常モードを実行することで、複数のパラメータを最適化する設定作業を適宜実行できる。一方、管理者は、ロックモードを実行することで、パラメータPw、Ptl、Pofの変更を制限できる。
【選択図】
図11K
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対してイオンを放出して前記対象物を除電する除電装置であって、
電圧の印加に応じてコロナ放電が発生するコロナ放電部と、
前記コロナ放電部に印加する前記電圧を制御する電圧制御部と、
前記コロナ放電部から前記対象物に向かう風を発生するファンと、
前記電圧制御部によって前記コロナ放電部に印加する前記電圧を制御して前記コロナ放電部に前記コロナ放電を発生させつつ前記ファンに前記風を発生させる除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータを表示する表示部と、
ユーザの操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けたユーザの操作に応じて前記複数のパラメータを設定するパラメータ設定部と、
を備え、
前記電圧制御部は、前記コロナ放電部に印加する前記電圧を制御するための前記パラメータである電圧制御パラメータに応じて前記電圧を制御し、
前記ファンは、前記風の風量を指定する前記パラメータである風量パラメータに応じた前記風量を発生し、
前記パラメータ設定部は、前記複数のパラメータのうち対象パラメータを変更する前記操作部に対する操作を制限することで前記対象パラメータを固定するロックモードと、前記対象パラメータを含む前記複数のパラメータのそれぞれを変更する前記操作部に対する操作を許可する通常モードとを有する、除電装置。
【請求項2】
前記電圧制御パラメータは、前記対象パラメータであり、
前記ロックモードでは、前記電圧制御パラメータを変更する前記操作部に対する操作を制限することで前記電圧制御パラメータを固定する、請求項1に記載の除電装置。
【請求項3】
前記風量パラメータは、前記対象パラメータであり、
前記ロックモードでは、前記風量パラメータを変更する前記操作部に対する操作を制限することで前記風量パラメータを固定する、請求項1に記載の除電装置。
【請求項4】
前記風量パラメータに対する前記操作部への操作に応じて、前記パラメータ設定部は、複数の風量値の間で前記風量パラメータを変更し、
前記パラメータ設定部は、前記複数の風量値のうち最小の風量値に前記風量パラメータを固定して前記風量パラメータを変更する前記操作部に対する操作を制限するエコモードをさらに有する、請求項1に記載の除電装置。
【請求項5】
前記操作部が受け付けた前記ロックモードの実行を指示する本体ロック指示および前記除電装置の外部に設けられた外部機器から前記ロックモードの実行を指示する外部ロック指示のそれぞれに応じて、前記パラメータ設定部は前記ロックモードを実行する、請求項1に記載の除電装置。
【請求項6】
前記パラメータ設定部は、前記外部ロック指示によって前記ロックモードを実行した場合、前記外部機器からの解除指示によって前記ロックモードを解除する一方、前記操作部に対する解除指示によっては前記ロックモードを解除しない、請求項5に記載の除電装置。
【請求項7】
前記除電動作の実行環境に関連する環境指標値を監視する環境監視部と、
前記環境監視部が前記環境指標値を監視した結果を保存する監視結果保存部と、
をさらに備える、請求項1に記載の除電装置。
【請求項8】
前記環境監視部は、所定の対象期間における前記環境指標値の統計量を前記対象期間毎に算出して前記監視結果保存部に保存する、請求項7に記載の除電装置。
【請求項9】
前記環境監視部は、前記環境指標値に基づき異常の発生の有無を監視し、前記異常の発生を確認すると、前記異常の発生時刻を前記異常の種類とともに前記監視結果保存部に保存する、請求項7に記載の除電装置。
【請求項10】
前記環境監視部は、所定のサンプリング周期で前記環境指標値を取得しつつ前記環境指標値の異常の有無を監視し、前記異常の発生を確認すると、前記異常の発生時刻より前の第1時刻から前記異常の発生時刻より後の第2時刻までに取得した前記環境指標値を示す波形データを、前記異常の種類とともに前記監視結果保存部に保存する、請求項7に記載の除電装置。
【請求項11】
対象物に対してイオンを放出して前記対象物を除電する除電装置の制御方法であって、
電圧の印加に応じてコロナ放電が発生するコロナ放電部に印加する前記電圧を制御して前記コロナ放電を発生させつつファンに風を発生させる除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータを表示する工程と、
ユーザの操作を受け付ける操作部が受け付けたユーザの操作に応じて前記複数のパラメータを設定する工程と、
前記複数のパラメータのうち対象パラメータを変更する前記操作部に対する操作を制限することで前記対象パラメータを固定するロックモードを実行する工程と、
前記対象パラメータを含む前記複数のパラメータのそれぞれを変更する前記操作部に対する操作を許可する通常モードを実行する工程と、
を備える、除電装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電極に電圧を印加することで発生したイオンを対象物に放出して対象物を除電する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、いわゆるファンタイプの除電装置が記載されている。この除電装置は、円形を有する通気口の内壁に沿って円周方向に配列された4本の放電電極と、各放電電極に電圧を供給する高圧電源部とを備え、高圧電源部から供給される電圧によって放電電極がコロナ放電を生じさせることで、イオンを発生させる。こうして発生したイオンがファンによって発生された風によって対象物に向けて放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような除電装置を用いて対象物を確実に除電するためには、放電電極に印加される電圧を制御するパラメータや、ファンの風量を指定するパラメータ等が最適である必要がある。そこで、除電装置の取り扱いに熟練した管理者が各種のパラメータを最適化する設定作業を、定められたタイミングで実行するといった運用が例えば実行される。しかしながら、除電後の対象物を評価したところ、パラメータの設定作業を行ったにも拘らず、対象物の除電が不十分である事例が確認されていた。かかる事例を調査したところ、除電装置の取り扱いに未熟な作業者が、除電装置のパラメータを不用意に変更していたことが原因の一つであると分かった。そこで、除電装置のパラメータの不用意な変更を抑止できる技術が求められた。特に除電装置のパラメータの変化を人が感知することは難しく、設定作業で最適化されたパラメータを継続的に担保する必要がある。したがって、このような技術の重要性は極めて高い。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、除電装置のパラメータの不用意な変更を抑止可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る除電装置は、対象物に対してイオンを放出して対象物を除電する除電装置であって、電圧の印加に応じてコロナ放電が発生するコロナ放電部と、コロナ放電部に印加する電圧を制御する電圧制御部と、コロナ放電部から対象物に向かう風を発生するファンと、電圧制御部によってコロナ放電部に印加する電圧を制御してコロナ放電部にコロナ放電を発生させつつファンに風を発生させる除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータを表示する表示部と、ユーザの操作を受け付ける操作部と、操作部が受け付けたユーザの操作に応じて複数のパラメータを設定するパラメータ設定部と、を備え、電圧制御部は、コロナ放電部に印加する電圧を制御するためのパラメータである電圧制御パラメータに応じて電圧を制御し、ファンは、風の風量を指定するパラメータである風量パラメータに応じた風量を発生し、パラメータ設定部は、複数のパラメータのうち対象パラメータを変更する操作部に対する操作を制限することで対象パラメータを固定するロックモードと、対象パラメータを含む複数のパラメータのそれぞれを変更する操作部に対する操作を許可する通常モードとを有する。
【0007】
本発明に係る除電装置の制御方法は、対象物に対してイオンを放出して対象物を除電する除電装置の制御方法であって、電圧の印加に応じてコロナ放電が発生するコロナ放電部に印加する電圧を制御してコロナ放電を発生させつつファンに風を発生させる除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータを表示する工程と、ユーザの操作を受け付ける操作部が受け付けたユーザの操作に応じて複数のパラメータを設定する工程と、複数のパラメータのうち対象パラメータを変更する操作部に対する操作を制限することで対象パラメータを固定するロックモードを実行する工程と、対象パラメータを含む複数のパラメータのそれぞれを変更する操作部に対する操作を許可する通常モードを実行する工程と、を備える。
【0008】
このように構成された本発明(除電装置および除電装置の制御方法)では、除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータが、操作部が受け付けたユーザの操作に応じて設定される。また、複数のパラメータを変更する操作に関して、通常モードとロックモードとが設けられている。通常モードでは、複数のパラメータのそれぞれを変更する操作部に対する操作が許可される。したがって、通常モードを実行することで、管理者は、複数のパラメータを最適化する設定作業を適宜実行できる。一方、ロックモードでは、複数のパラメータのうち対象パラメータを変更する操作部に対する操作が制限される。つまり、ロックモードを実行することで、対象パラメータの変更が制限される。こうして、除電装置のパラメータの不用意な変更を抑止することが可能となっている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、除電装置のパラメータの不用意な変更を抑止することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る除電装置の一例の外観を示す前方斜視図。
【
図2】
図1の除電装置の一例の内部構成を示す背面図。
【
図3】電極ユニットコントローラの詳細を示すブロック図。
【
図4】除電装置が備える電気的構成を示すブロック図。
【
図5A】除電装置で設定されるパラメータの一例を表形式で示す図。
【
図5B】除電装置における監視対象の一例を表形式で示す図。
【
図6】装置制御部により実行される閾値イベント監視の一例を示すフローチャート。
【
図7】
図6のフローチャートに従って実行される動作の一例を模式的に示すタイミングチャート。
【
図8A】液晶ディスプレイに表示される風量モニタ画面を模式的に示す図。
【
図8B】液晶ディスプレイに表示される帯電レベルモニタ画面を模式的に示す図。
【
図8C】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランスモニタ画面を模式的に示す図。
【
図8D】液晶ディスプレイに表示される全イベント履歴画面を模式的に示す図。
【
図8E】液晶ディスプレイに表示されるエラー警報イベント履歴画面を模式的に示す図。
【
図8F】液晶ディスプレイに表示される閾値イベント履歴画面を模式的に示す図。
【
図8G】最上位階層に属する各画面を一覧で表示した図。
【
図8H】液晶ディスプレイに表示されるイベント詳細画面を模式的に示す図。
【
図9A】液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図。
【
図9B】液晶ディスプレイに表示される基本設定画面を模式的に示す図。
【
図9C】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス設定画面を模式的に示す図。
【
図9D】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス設定画面を模式的に示す図。
【
図9E】液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図。
【
図9F】液晶ディスプレイに表示されるFBセンサ設定画面を模式的に示す図。
【
図9G】液晶ディスプレイに表示されるFBイオンバランス設定画面を模式的に示す図。
【
図9H】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランスオフセット設定画面を模式的に示す図。
【
図10A】液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図。
【
図10B】液晶ディスプレイに表示されるイベント拡張設定画面を模式的に示す図。
【
図10C】液晶ディスプレイに表示されるイベント波形保存設定画面を模式的に示す図。
【
図10D】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス波形保存設定画面を模式的に示す図。
【
図10E】液晶ディスプレイに表示されるイベント拡張設定画面を模式的に示す図。
【
図10F】液晶ディスプレイに表示されるイベント履歴保存設定画面を模式的に示す図。
【
図10G】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス履歴保存設定画面を模式的に示す図。
【
図10H】液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図。
【
図10I】液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図。
【
図10J】液晶ディスプレイに表示されるFBセンサ設定画面を模式的に示す図。
【
図10K】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス設定メニュー画面を模式的に示す図。
【
図10L】液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス閾値設定画面を模式的に示す図。
【
図11A】液晶ディスプレイに表示される基本設定画面の一例を示す図。
【
図11B】液晶ディスプレイに表示される基本設定画面の一例を示す図。
【
図11C】液晶ディスプレイに表示されるエコモード設定画面を模式的に示す図。
【
図11D】エコモード設定中の風量モニタ画面を模式的に示す図。
【
図11E】液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面の一例を示す図。
【
図11F】液晶ディスプレイに表示されるパスワード設定状態表示画面を模式的に示す図。
【
図11G】液晶ディスプレイに表示されるパスワード設定画面を模式的に示す図。
【
図11H】液晶ディスプレイに表示される1回目のパスワード入力画面を模式的に示す図。
【
図11I】液晶ディスプレイに表示される2回目のパスワード入力画面を模式的に示す図。
【
図11J】液晶ディスプレイに表示されるパスワード設定成功画面を模式的に示す図。
【
図11K】ロックモード設定中の風量モニタ画面を模式的に示す図。
【
図11L】液晶ディスプレイに表示されるパスワード入力画面を模式的に示す図。
【
図11M】は液晶ディスプレイに表示される帯電レベルモニタ画面を模式的に示す図である。
【
図11N】液晶ディスプレイに表示されるパスワード入力画面を模式的に示す図。
【
図12A】ロックモードの設定制御の一例を示すフローチャート。
【
図12B】
図12Aの設定制御によって設定されたロックモードの解除態様の一例を示すフローチャート。
【
図13A】本体解除制限モードにおける風量モニタ画面を模式的に示す図。
【
図13B】本体解除制限モードにおけるイオンバランス閾値設定画面を模式的に示す図。
【
図14】風量パラメータをロックする各モードの画面を模式的に一覧で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係る除電装置の一例の外観を示す前方斜視図であり、
図2は
図1の除電装置の一例の内部構成を示す背面図である。なお、本明細書では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示しつつ説明を行う。また、X方向の両側のうち一方側を前側Xfと、他方側を後側Xbと適宜称する。
【0012】
図2に示すように、除電装置1は電極ユニット2を備え、電極ユニット2はX方向に並ぶ2個のユニットフレーム21を有する。各ユニットフレーム21は、X方向からの背面視において仮想中心線C(X方向に平行)を中心とする円環の一部を切り欠いた概略形状を有する。2個のユニットフレーム21のうち、前側Xf(
図2の奥側)のユニットフレーム21の内周には4個の電極針Nmが円周状に並び、後側Xb(
図2の手前側)のユニットフレーム21の内周には4個の電極針Npが円周状に並ぶ。4個の電極針Nmと4個の電極針Npとは互いにずれており、電極針Nmと電極針Npとが交互に等角度ピッチで並ぶ。そして、電極針Nmおよび電極針Npへの電圧の印加によってコロナ放電が発生する。その結果、マイナスイオンおよびプラスイオンが発生する。
【0013】
除電装置1は、電極ユニット2の前側Xfに配置されたファン3を備える。ファン3は、各ユニットフレーム21の内側の通風路31を前側Xfに向かって流れる風を発生する。これに対して、電極ユニット2の電極針Nm、Npは通風路31を囲むように並ぶ。したがって、電極針Nm、Npへの電圧の印加に伴って発生したマイナスイオンおよびプラスイオンは、通風路31を流れる風によって、除電装置1から前側Xfに放出される。
【0014】
また、除電装置1は、電極針Nm、Npを清掃するクリーニングユニット4を備える。クリーニングユニット4は、仮想中心線Cを中心に回転可能なクリーナシャフト41を有し、クリーナシャフト41の先端にブラシが取り付けられている。そして、クリーナシャフト41が回転すると、クリーナシャフト41の先端のブラシが電極針Nm、Npに接触して、電極針Nm、Npに付着する汚れがクリーナシャフト41のブラシによって除去される。
【0015】
さらに、除電装置1は、電極ユニット2、ファン3およびクリーニングユニット4を収納するハウジング11を有する。ハウジング11の前側Xfの面には、複数のスリットにより構成されたメッシュ部12が設けられており、電極ユニット2によって発生されたマイナスイオンおよびプラスイオンは、メッシュ部12から前側Xfに放出される。さらに、ハウジング11の前側Xfの面には、操作パネル5が設けられている。
【0016】
この操作パネル5は、電源スイッチ51、液晶ディスプレイ52およびボタン操作部53を有する。また、ボタン操作部53には、上ボタン53u、下ボタン53d、左ボタン53l、右ボタン53rおよび決定ボタン53cが設けられている。ユーザは、電源スイッチ51、上ボタン53u、下ボタン53d、左ボタン53l、右ボタン53rおよび決定ボタン53cを指で押すことで、これらを操作できる。また、ユーザは、液晶ディスプレイ52に表示された内容を目視により確認できる。
【0017】
さらに、除電装置1は、電極ユニット2を制御する電源ユニットコントローラ6(
図3)を備える。
図3は電極ユニットコントローラの詳細を示すブロック図である。電極ユニットコントローラ6は、CPU(Central Processing Unit)61と、電極針Nmに印加される電圧Vmを発生する負極性高圧電源62と、電極針Npに印加される電圧Vpを発生する正極性高圧電源63とを有する。CPU61は、負極性高圧電源62および正極性高圧電源63を制御するためのデジタル信号処理を実行する。このCPU61は、電極針Npに印加される電圧Vp(高電圧)を制御する高電圧制御部611と、電極針Np、Nmへの電圧Vp、Vmの印加によって発生するマイナスイオンとプラスイオンとのバランス(イオンバランス)を制御する第1バランス制御部612とを有する。具体的には、CPU61は、所定のプログラムを実行することで、高電圧制御部611および第1バランス制御部612を構成する。
【0018】
負極性高圧電源62は、一次側回路621および二次側回路622を有するトランスである。一次側回路621には電圧信号Vimが入力され、二次側回路622は、電極ユニット2の各電極針Nmに電気的に接続されている。そして、一次側回路621に入力された電圧信号Vimに応じた電圧Vmが二次側回路622から各電極針Nmに印加される。
【0019】
正極性高圧電源63は、一次側回路631および二次側回路632を有するトランスである。一次側回路631には電圧信号Vipが入力され、二次側回路632は、電極ユニット2の各電極針Npに電気的に接続されている。そして、一次側回路631に入力された電圧信号Vipに応じた電圧Vpが二次側回路632から各電極針Npに印加される。
【0020】
また、電極ユニットコントローラ6は、アースEに短絡された接地電極Teと、接地電極TeとグランドGとの間に設けられた低応答検出回路64とを有する。低応答検出回路64は、接地電極TeとグランドGとを接続する検出抵抗R64を有する。この検出抵抗R64は、接地電極Teを介してアースEから除電装置1に流入する電流Idlを検出するために設けられる。つまり、除電装置1から放出されたマイナスイオンおよびプラスイオンそれぞれの量に差があると、この差に応じた電荷がアースEから接地電極Teに流入して、この電荷による電流Idlが検出抵抗R64に流れる。その結果、検出抵抗R64とグランドGとの間の検出点641には、電流Idlに応じた電圧Vdlが発生する。このように、低応答検出回路64は、アースEから接地電極Teを介してハウジング2内に流入する電荷による電流Idlを検出抵抗R64によって電圧Vdlに変換する。換言すれば、低応答検出回路64は、除電装置1により発生されてアースEに吸収されたマイナスイオンおよびプラスイオンのイオンバランスを示す電圧Vdlを検出する。
【0021】
さらに、電極ユニットコントローラ6は、フロント金網13と、グランドGとの間に設けられた高応答検出回路65を有する。このフロント金網13は、ハウジング11内において、ファン3とメッシュ部12との間に配置され、ファン3によって発生されてマイナスイオンおよびプラスイオンを含む風Wは、フロント金網13を通過してから、除電装置1の前側Xfに放出される。これに対して、高応答検出回路65は、フロント金網13とグランドGとを接続する検出抵抗R65を有する。この検出抵抗R65は、フロント金網13からグランドGに流れる電流Idhを検出するために設けられる。つまり、電極針Nmおよび電極針Npの周囲に発生したマイナスイオンおよびプラスイオンは、風Wとともに移動してフロント金網13に到達する。こうしてフロント金網13に到達したマイナスイオンおよびプラスイオンの一部は、フロント金網13に吸収される。そのため、フロント金網13に吸収されたマイナスイオンおよびプラスイオンそれぞれの量の差に応じた電荷がフロント金網13からグランドGに向かって、この電荷による電流Idhが検出抵抗R65に流れる。その結果、検出抵抗R65とフロント金網13との間の検出点651には、電流Idhに応じた電圧Vdhが発生する。このように高応答検出回路65は、フロント金網13からグランドGに流れる電荷による電流Idhを検出抵抗R65によって電圧Vdhに変換する。換言すれば、高応答検出回路65は、除電装置1により発生されてフロント金網13に吸収されたマイナスイオンおよびプラスイオンのイオンバランスを示す電圧Vdhを検出する。
【0022】
ここで、低応答検出回路64の検出抵抗R64は、高応答検出回路65の検出抵抗R65より大きい。また、アースEの容量は、フロント金網13の容量より大きい。したがって、高応答検出回路65の時定数は、低応答検出回路64の時定数より小さく、換言すれば、高応答検出回路65の応答速度は低応答検出回路64の応答速度より速い。つまり、高応答検出回路65は、イオンバランスの変動のうち高周波の変動を検出し、低応答検出回路64は、イオンバランスの変動のうち当該高周波より低い低周波の変動を検出する。
【0023】
電極ユニットコントローラ6は、このように低応答検出回路64および高応答検出回路65によって検出されたイオンバランスの変動に基づき、電極針Nm、Npに印加される電圧Vm、Vpに対してフィードバック制御を実行することで、イオンバランスを制御する。具体的には、電極ユニットコントローラ6は、イオンバランスの変動(ふらつき)を抑制するように電極針Np、Nmへの電圧Vp、Vmの印加によって発生するマイナスイオンとプラスイオンとのバランス(イオンバランス)を制御する第2バランス制御部66を有し、この第2バランス制御部66によってフィードバック制御が実行される。
【0024】
詳述すると、低応答検出回路64は、低周波でのイオンバランスの変動を示す電圧VdlをCPU61の第1バランス制御部612に出力する。第1バランス制御部612は、電圧Vdlの目標値である目標電圧Vtlを保持しており、電圧Vdlと目標電圧Vtlとの差に応じた電圧信号Vsを生成して、当該電圧信号Vsを第2バランス制御部66に出力する。ちなみに、目標電圧Vtlはゼロボルトに設定されている。つまり、除電装置1から放出されるマイナスイオンおよびプラスイオンそれぞれの量が等しくなって、アースEから除電装置1に流入する電荷がゼロとなる状態が目標状態となる。
【0025】
また、高応答検出回路65は、高周波でのイオンバランスの変動を示す電圧Vdhを第2バランス制御部66に出力する。これに対して、第2バランス制御部66は、電圧Vdhの目標値である目標電圧Vthを保持しており、電圧Vdhと目標電圧Vthとの差および電圧信号Vsに応じて電圧Vmをフィードバック制御するための制御信号である電圧信号Vimを生成して、当該電圧信号Vimを負極性高圧電源62の一次側回路621に出力する。ちなみに、目標電圧Vthは、ゼロボルトではなく、所定のオフセット電圧だけゼロからずれた電圧に設定されている。つまり、フロント金網13によるマイナスイオンの吸収のしやすさ、フロント金網13によるプラスイオンの吸収のしやすさとの間には差が存在する。そのため、それぞれ等しい量のマイナスイオンとプラスイオンとがフロント金網13に到達する目標状態において、電流Idhはゼロにならず、電圧VdhはグランドGの電圧(ゼロボルト)に対してオフセット電圧Vo(オフセット量)だけずれる。したがって、電圧Vdhの目標電圧Vthはオフセット電圧Voに設定されている。なお、オフセット電圧Voは、電極針Np、Nmの状態変化(摩耗等)によるプラスイオンとマイナスイオンとの発生比率の変化が反映される電圧信号Vsに応じて、第2バランス制御部66に設定される。
【0026】
こうして、電圧Vdlを目標電圧Vtlに向けて収束させるフィードバック制御と、電圧Vdhを目標電圧Vthに向けて収束させるフィードバック制御とが実行される。換言すれば、電流Idlを目標電流Itl(=Vtl/R97)に収束させるフィードバック制御と、電流Idhを目標電流Ith(=Vth/R95)に収束させるフィードバック制御が実行される。なお、このような制御を実行する第2バランス制御部66は、オペアンプ等のアナログ回路で構成されてもよいし、プロセッサ等のデジタル回路で構成されてもよい。
【0027】
また、電極ユニットコントローラ6は、電極針Np、Nmがコロナ放電を発生するために必要十分となる電圧Vp、Vmを電極針Np、Nmに印加するための制御を、リア金網14を用いて実行する。詳述すると、リア金網14は、ハウジング11の後側Xbの面に設けられて、電極針Nm、Npより後側Xbに位置する。このリア金網14はグランドGに短絡されているため、リア金網14に生じた電荷はリア金網14からグランドGに流れる。なお、リア金網14とグランドGとを電気的に接続する態様は短絡に限られず、抵抗を介してこれらを接続しても構わない。
【0028】
具体的には、電極針Nmとリア金網14との間のコロナ放電によって形成される回路に沿って、当該コロナ放電で発生した電荷に応じた電流Irnがリア金網14からグランドGに流れる。また、電極針Npとリア金網14との間のコロナ放電によって形成される回路に沿って、当該コロナ放電で発生した電荷に応じた電流Irpがリア金網14からグランドGに流れる。これに対して、負極性高圧電源62の二次側回路622がグランドGに接続され、正極性高圧電源63の二次側回路632がグランドGに接続される。したがって、リア金網14からグランドGに到達した電流Irnを主とする電流IgnはグランドGから二次側回路622に流れ、リア金網14からグランドGに到達した電流Irpを主とする電流IgpはグランドGから二次側回路632に流れる。
【0029】
また、電極ユニットコントローラ6は、正極性高圧電源63の二次側回路632とグランドGとの間に設けられた放電量検出回路67を有する。放電量検出回路67は、この二次側回路632とグランドGとを接続する検出抵抗R67を有する。したがって、グランドGから二次側回路632に向かう電流Igpは検出抵抗R67を流れる。その結果、検出抵抗R67と二次側回路632との間の検出点671には、電流Igpに応じた電圧Vgpが発生する。このように放電量検出回路67は、リア金網14からグランドGを介して正極性高圧電源63の二次側回路632に流れる電流Igpを検出抵抗R67によって電圧Vgpに変換する。換言すれば、放電量検出回路67は、電極針Npへの電圧Vpの印加に応じて発生したプラスイオンの量を示す電圧Vgpを検出する。
【0030】
放電量検出回路67は、検出した電圧VgpをCPU61の高電圧制御部611に出力する。高電圧制御部611は、電圧Vgpの目標値である目標電圧Vtpを保持しており、電圧Vgpと目標電圧Vtpとの差に応じて電圧Vpをフィードバック制御するための制御信号である電圧信号Vipを生成して、当該電圧信号Vipを正極性高圧電源63の一次側回路631に出力する。これによって、電圧Vgpを目標電圧Vtpに向けて収束させるフィードバック制御が実行される。その結果、目標電圧Vtpに応じた量のプラスイオンが電極針Npの周囲に発生する。なお、上述の通り、第2バランス制御部66等によってマイナスイオンおよびプラスイオンそれぞれの発生量をバランスさせるフィードバック制御が併せて実行される。そのため、電極針Npの周囲に発生するプラスイオンに追従するように、電極針Nmの周囲にマイナスイオンが発生する。その結果、目標電圧Vtpに応じた量のマイナスイオンが電極針Nmの周囲に発生する。かかる制御は、電極針Nm、Npの摩耗の進行に応じて、電極針Nm、Npに印加される電圧を上昇させて、電極針Nm、Npによるコロナ放電に応じて発生するマイナスイオン量およびプラスイオン量を一定に維持する。
【0031】
図4は除電装置が備える電気的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、除電装置1は、上述した構成の他に、センサユニット71および通信部73をさらに備える。センサユニット71は、温度を検出する温度センサ711と、湿度を検出する湿度センサ712と、イオンバランスを検出するイオンバランスセンサ713とを有する。この除電装置1は、ハウジング11の外側に配置された状態で使用される。したがって、温度センサ711、湿度センサ712およびイオンバランスセンサ713のそれぞれは、除電装置1の外側に配置された対象物の近傍における温度、湿度およびイオンバラスを検出することができる。通信部73は、管理用のコンピュータ等の外部機器との通信を実行する。
【0032】
また、除電装置1は、当該除電装置1での制御を実行するコントローラ8を備える。上述の電極ユニットコントローラ6は、コントローラ8に含まれる。また、コントローラ8は、ファン3を制御するファン制御部81、クリーニングユニット4を制御するクリーニング制御部82、除電装置1に供給される電源を制御する電源制御部83、液晶ディスプレイ52による表示を制御する表示制御部84、ボタン操作部53が受け付けた操作を処理する操作処理部85、センサユニット71からの出力を取得するセンサ出力取得部86、通信部73による通信を制御する通信制御部87、装置制御部88および記憶部89を有する。
【0033】
ファン3は、ファン制御部81により指示された回転数で回転することで所定の風量の風を発生する。特に、ファン制御部81は、互いに異なる風量を示す複数(7段階)の風量指示のうちから一の風量指示をファン3に送信し、ファン3は当該一の風量指示に応じた風量を発生させる。クリーニングユニット4は、クリーニング制御部82の指示に応じて、クリーナシャフト41を回転させて、電極針Nm、Npのクリーニングを実行する。電源制御部83は、電源スイッチ51が受け付けたユーザ操作に応じて、除電装置1の各部への電源の供給あるいは停止を実行する。
【0034】
表示制御部84は、除電装置1の状態を示す画面を液晶ディスプレイ52に表示する。操作処理部85は、ボタン操作部53に対するユーザ操作に基づく制御を実行する。特に、ユーザが液晶ディスプレイ52に表示される画面を確認しつつ、当該画面に対応する操作をボタン操作部53により実行できるように、ボタン操作部53および表示制御部84は協働して制御を行う。具体的には、操作処理部85は、表示制御部84によって液晶ディスプレイ52に表示される画面と、ボタン操作部53から受け付けた操作とに基づき、当該操作が示す指示を判定する。かかる指示としては、例えば、液晶ディスプレイ52に表示する画面の変更が挙げられる。画面の変更が指示された場合には、表示制御部84は当該指示に応じて液晶ディスプレイ52に表示する画面を変更する。さらには、後述するように、除電装置1へのパラメータの設定や、除電装置1で発生するイベントを監視するための閾値の設定が当該指示として挙げられる。
【0035】
センサ出力取得部86は、温度センサ711が検出した温度、湿度センサ712が検出した湿度およびイオンバランスセンサ713が検出したイオンバランスを取得する。また、通信制御部87は、通信部73が外部機器より受信した指示等を取得する。
【0036】
さらに、装置制御部88は、上述した、電極ユニットコントローラ6、ファン制御部81、クリーニング制御部82、電源制御部83、表示制御部84、操作処理部85、センサ出力取得部86および通信制御部87を統括的に制御する。この装置制御部88の制御の具体例は次の通りである。
【0037】
装置制御部88は、上記のセンサユニット71のイオンバランスセンサ713の結果に基づき、電極ユニットコントローラ6の第1バランス制御部612に制御を実行させることができる。つまり、センサユニット71は、センサ出力取得部86に対して着脱可能であり、センサユニット71の使用の有無はユーザの任意である。センサユニット71がセンサ出力取得部86に接続されていない場合には、電極ユニットコントローラ6は
図3を用いて上述した制御を実行する。一方、センサユニット71がセンサ出力取得部86に接続されている場合には、第1バランス制御部612は、電圧Vdlに代えて、イオンバランスセンサ713が検出したイオンバランスを示す電圧値Vibに基づき、電圧信号Vsを生成する。なお、以後では、センサユニット71がセンサ出力取得部86に接続されている前提で、説明することとする。
【0038】
また、上述のようにして操作処理部85が判定したボタン操作部53に対する操作が示す指示に応じて、装置制御部88は、パラメータの設定や、イベント監視のための閾値の設定を行う。さらに、装置制御部88は、除電装置1における監視対象を監視して、その結果の少なくとも一部を監視データDmとして記憶部89に保存する。
【0039】
図5Aは除電装置で設定されるパラメータの一例を表形式で示す図である。この例では、風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofの複数(3個)のパラメータが、操作処理部85が受け付けたボタン操作部53への操作に応じて、装置制御部88によって設定される。風量パラメータPwは、ファン3によって発生される風量である。バランス調整パラメータPtlは、第1バランス制御部612が保持する目標電圧Vtlであり、センサユニット71がセンサ出力取得部86に接続されている場合には、第1バランス制御部612は、イオンバランスセンサ713が出力する電圧値Vibと目標電圧Vtlとの差に応じた電圧信号Vsを生成する。したがって、電極針Nm、Npへの電圧Vm、Vpの印加によって生じるマイナスイオンとプラスイオンとのバランスがこのバランス調整パラメータPtlに応じて調整される。オフセットパラメータPofは、イオンバランスセンサ713のオフセットである。具体的には、このオフセットは、イオンバランスセンサ713が検出したイオンバランス(すなわち、イオンバランスセンサ713の入力)と、イオンバランスセンサ713が当該イオンバランスに応じて出力する電圧(すなわち、イオンバランスセンサ713の出力)との間に設けられる出力オフセットである。このように、これらのパラメータPw、Ptl、Pofは、電極ユニットコントローラ6によって電極針Nm、Npに印加する電圧Vm、Vpを制御して電極針Nm、Npにコロナ放電を発生させつつファン3に風を発生させる除電動作の実行条件を規定する。
【0040】
図5Bは除電装置における監視対象の一例を表形式で示す図である。この例では、温度、湿度、イオンバランス、帯電レベル、イオンレベル、ファン異常および放電異常が装置制御部88によって監視される。温度は、温度センサ711によって検出される。湿度は、湿度センサ712によって検出される。イオンバランスは、イオンバランスセンサ713によって検出される。帯電レベルは、ハウジング11の外部に配置された対象物の帯電レベルであり、低応答検出回路64によって検出される。つまり、アースEから除電装置1に流れ込む電流Idlを低応答検出回路64の検出抵抗R64によって検出した電圧Vdlが帯電レベルを表す。イオンレベルは、除電装置1が発生するイオンの絶対量であり、検出抵抗R67によって検出される。つまり、正極性高圧電源63に流れ込む電流Igpを放電量検出回路67の検出抵抗R67によって検出した電圧Vgpがイオンレベルを表す。ファン異常は、ファン3の回転数の異常であり、ファン3の回転数を制御するファン制御部81により検出される。放電異常は、電極針Nm、Npで発生する放電の異常であり、検出抵抗R67によって検出される。つまり、正極性高圧電源63に流れ込む電流Igpを放電量検出回路67の検出抵抗R67によって検出した電圧Vgpの異常が放電異常を表す。
【0041】
装置制御部88は、除電動作の実行中において、これらの監視対象が所定の閾値が示す範囲から外れると、
図5Bに示す各種イベント(閾値イベント、警報イベントおよびエラーイベント)が発生したと判定して、イベント発生を知らせる画像を液晶ディスプレイ52に表示するように表示制御部84を制御する。ここで、閾値イベントの発生は、操作処理部85が受け付けたボタン操作部53へのユーザ操作に応じて設定された閾値に基づき判定され、閾値イベントの監視対象は、温度、湿度、イオンバランスおよび帯電レベルとなる。警報イベントは、固定された閾値に基づき判定され、警報イベントの監視対象は、イオンレベルとなる。エラーイベントは、固定された閾値に基づき判定され、エラーイベントの監視対象は、ファン異常および放電異常となる。警報イベントとエラーイベントとの違いは、これらのイベントに対してユーザが実行すべき対応作業が明確であるか否かにある。つまり、警報イベントは、ユーザの対応作業が明確なイベントであり、エラーイベントは、ユーザの対応作業が明確でないイベントである。例えば、警報イベントであるイオンレベルの異常が発生した場合には、ユーザは、クリーニングユニットによるクリーニングの実行指示を示す操作を、ボタン操作部53に行えばよい。
【0042】
また、装置制御部88は、閾値イベントを特に詳細な態様で監視する(
図6および
図7)。ここで、
図6は装置制御部により実行される閾値イベント監視の一例を示すフローチャートであり、
図7は
図6のフローチャートに従って実行される動作の一例を模式的に示すタイミングチャートである。
【0043】
ステップS101では、装置制御部88は、閾値イベントの監視対象の検出値(
図5Bの検出手段による検出値)を、所定のサンプリング周期(例えば100ms)でサンプリングするデータ取得を開始する。このデータ取得によって取得されたサンプリングデータDms(
図7の「サンプリング」の欄)は、記憶部89に一時的に保存される。ステップS102では、装置制御部88は、所定の統計対象期間Tm(例えば1時間)が経過したか否かが判定される。この統計対象期間Tmが経過したと判定すると(ステップS102で「YES」)、装置制御部88は、当該統計対象期間Tmにおいてデータ取得によって取得された複数のサンプリングデータDmsの統計データDmt(
図7の「統計データ作成・記録」の欄)を作成して、監視データDmとして記憶部89に記録する。統計データDmtとしては、例えば最高値、最低値、平均値(例えば、統計対象期間Tmの最後の1分間の平均)あるいは直近値(つまり、統計対象期間Tmの最後の値)が作成される。この統計データDmtは、統計対象期間Tmが経過する度に作成・記録される。なお、統計対象期間Tmにおいて、起動から30秒や除電動作の再開から10秒といった無効期間が含まれる場合には、無効期間のサンプリングデータDmsは、当該統計対象期間Tmの統計データDmtの算出から除外してもよい。
【0044】
ステップS103を実行し、あるいはステップS102で統計対象期間Tmが経過していないと判定すると(ステップS102で「NO」)、ステップS104に進む。ステップS104では、装置制御部88は、閾値が示す正常範囲からサンプリングデータDmsが外れたか否かを判定する。つまり、閾値イベントの監視対象に対しては、下限の閾値と上限の閾値とが設定され、これらの閾値の間が正常範囲となる。サンプリングデータDmsが正常範囲であれば(ステップS104で「NO」)、ステップS102に戻る。
【0045】
一方、サンプリングデータDmsが上限の閾値より大きく、あるいはサンプリングデータDmsが下限の閾値より小さい場合には、装置制御部88は、サンプリングデータDmsが正常範囲から外れて、閾値イベントが発生したと判定する(ステップS104で「YES」)。これに伴って、ステップS105では、装置制御部88は、閾値イベントの内容と発生時刻tv(
図7の「波形データ記録」の欄)とを、監視データDmとして記憶部89に記録する。さらに、装置制御部88は、閾値イベントの発生時刻tvより前の第1時刻t1から発生時刻tvより後の第2時刻t2までに取得したサンプリングデータDmsを示す波形データDmwを、監視データDmとして記憶部89に記録する(ステップS106)。なお、第1時刻t1から発生時刻tvまでの時間および発生時刻tvから第2時刻t2までの時間は例えば30秒である。こうして、ステップS105、S106が完了すると、ステップS102に戻る。
【0046】
図5Aに示した各種パラメータ、閾値およびイベント発生の有無は、液晶ディスプレイ52に表示される。続いては、これらの液晶ディスプレイ52への表示について説明する。なお、下記に示す液晶ディスプレイ52への表示は、装置制御部88からの指示に応じた表示制御部84による液晶ディスプレイ52の制御によって実行される。
【0047】
図8Aは液晶ディスプレイに表示される風量モニタ画面を模式的に示す図である。風量モニタ画面Swは、実行状態表示部911を有する。実行状態表示部911は、除電動作の実行および停止を示し、除電動作の実行中は「RUN」と表示し、除電動作の停止中は「STOP」と表示する。
【0048】
風量モニタ画面Swは、ボタン操作表示部912を有する。
図8Aに示す状態では、ボタン操作表示部912は、左ボタン53lに対応する左ボタン表示部912lと、右ボタン53rに対応する右ボタン表示部912rと、決定ボタン53cに対応する決定ボタン表示部912c(「Menu」)を有する。左ボタン表示部912lは左ボタン53lの操作が有効であることを示し、右ボタン表示部912rは右ボタン53rの操作が有効であることを示し、決定ボタン表示部912cは決定ボタン53cの操作が有効であることを示す。
【0049】
風量モニタ画面Swは、クリーニング方法表示部913を有する。つまり、クリーニング方法表示部913は、決定ボタン53c(
図8Aの「OKボタン」に対応するボタン)を2秒間押すことで、クリーニングを開始できることを示す。したがって、
図8Aの風量モニタ画面Swが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、決定ボタン53cを2秒間押す操作を操作処理部85が受け付けると、クリーニング制御部82は、クリーニングユニット4によるクリーニングを開始する。
【0050】
さらに、風量モニタ画面Swは、設定されているファン3の風量(「Air Vol. Level」)を示す風量表示部914を有する。この風量表示部914は、数値表示部914nと、互いに異なる長さの7本のバーで構成されるバー表示部914bとを有する。風量表示部914は、設定されている風量を、1~7の7段階の数値で示す。バー表示部914bは、設定されている風量に相当する本数のバーをハイライト等によって示す。
【0051】
また、風量モニタ画面Swは、風量調整ボタン表示部915u、915dを有する。風量調整ボタン表示部915uは、上ボタン53uに対応し、上ボタン53uを操作することでファン3の風量を上昇できることを示す。風量調整ボタン表示部915dは、下ボタン53dに対応し、下ボタン53dを操作することでファン3の風量を低下できることを示す。
【0052】
つまり、風量モニタ画面Swが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が上ボタン53uの操作を受け付けると、装置制御部88は、風量パラメータPwの設定値を1段階上昇させる。これに伴って、ファン制御部81は、ファン3の風量を1段階上昇させる。また、風量モニタ画面Swが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が下ボタン53dの操作を受け付けると、装置制御部88は、風量パラメータPwの設定値を1段階低下させる。これに伴って、ファン制御部81は、ファン3の風量を1段階低下させる。
【0053】
図8Bは液晶ディスプレイに表示される帯電レベルモニタ画面を模式的に示す図である。帯電レベルモニタ画面Scは、風量モニタ画面Swと同様に実行状態表示部911およびボタン操作表示部912を有する。また、帯電レベルモニタ画面Scは、ファン3の風量(「FAN」)を数値で表示する風量表示部916と、イオンレベル(「ION」)を百分率で示すイオンレベル表示部917とを有する。
【0054】
帯電レベルモニタ画面Scは、入力端子表示部918と出力端子表示部919とを有する。入力端子表示部918は、除電装置1が有する3個の入力端子に対応する3本のバーを有し、これらのうち使用中の出力端子に対応するバー(
図8Bの例では、「2」と付されたバー)をハイライトで示す。出力端子表示部919は、除電装置1が有する3個の出力端子に対応する3本のバーを有し、これらのうち使用中の出力端子に対応するバー(
図8Bの例では、「2」と付されたバー)をハイライトで示す。3個の入力ピンそれぞれの割り当ては、例えば、入力中に除電動作を停止させる「除電停止入力」、トリガ入力でクリーニングユニット4によるクリーニングを開始する「電極針クリーニング開始入力」およびトリガ入力で波形データDmwを取得する「イベントトリガ入力」が設けられる。イベントトリガ入力によってユーザが要求するタイミングで波形データDmwを取得することができる。3個の出力ピンの割り当ては、例えば、除電動作の実行(RUN)および停止(STOP)の状態を出力する「除電状態出力」、エラーイベントおよび警報イベントの少なくとの一のイベントの発生に伴い当該一のイベントの発生を出力する「エラー・警報イベント出力」および閾値イベントの発生に伴い当該閾値イベントの発生を出力する「閾値イベント出力」が設けられる。なお、これらの入力・出力ピンの割り当ては、ユーザによって変更できるように構成してもよい。
【0055】
また、帯電レベルモニタ画面Scは、帯電レベル(Charge Level)を表示する帯電レベル表示部920を有する。帯電レベル表示部920は、横方向に並ぶ複数のバー921を有し、複数のバー921のうち中央のバー921(最も長いバー921)は、帯電レベルがゼロであることを示し、当該中央のバー921より右側のバー921は、帯電レベルが正であることを示し、当該中央のバー921より左側のバー921は、帯電レベルが負であることを示す。つまり、帯電レベル表示部920は、複数のバー921のうち、帯電レベルに応じたバー921をハイライト等によって示す。さらに、帯電レベル表示部920は、帯電レベルの下限閾値Tclおよび上限閾値Tchを示す。つまり、
図5Bに示すように、帯電レベルは閾値イベントの監視対象の一つであり、これら下限閾値Tclおよび上限閾値Tchは、閾値イベントの発生を検出するために設定された閾値である。そして、帯電レベルが下限閾値Tclから上限閾値Tchまでの正常範囲から外れると、帯電レベルに関して閾値イベントが発生したことを示す「NOTICE」あるいは「HI/LO」等の文字列が帯電レベルモニタ画面Scに表示されるとともに、「Charge Level」との表示態様が変更される(例えば、表示色をオレンジ等に変更される)。
【0056】
図8Cは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランスモニタ画面を模式的に示す図である。イオンバランスモニタ画面Siは、帯電レベルモニタ画面Scと同様に実行状態表示部911、ボタン操作表示部912、入力端子表示部918および出力端子表示部919を有する。また、イオンバランスモニタ画面Siは、温度を数値で表示する温度表示部922と、湿度を百分率で表示する湿度表示部923とを有する。
【0057】
また、イオンバランスモニタ画面Siは、イオンバランス(Ion Balance)を表示するイオンバランス表示部924を有する。イオンバランス表示部924は、イオンバランスを示す電圧を数値で示す。さらに、イオンバランス表示部924は、イオンバランスの下限閾値Tilおよび上限閾値Tihを示す。つまり、
図5Bに示すように、イオンバランスは閾値イベントの監視対象の一つであり、これら下限閾値Tilおよび上限閾値Tihは、閾値イベントの発生を検出するために設定された閾値である。そして、イオンバランスが下限閾値Tilから上限閾値Tihまでの正常範囲から外れると、イオンバランスに関して閾値イベントが発生したことを示す「NOTICE」あるいは「HI/LO」等の文字列がイオンバランスモニタ画面Siに表示されるとともに、「Ion Balance」との表示態様が変更される(例えば、表示色をオレンジ等に変更される)。
【0058】
図8Dは液晶ディスプレイに表示される全イベント履歴画面を模式的に示す図である。全イベント履歴画面Seaは、帯電レベルモニタ画面Scと同様に、ボタン操作表示部912を有する。また、全イベント履歴画面Seaは、現在時刻を表示する時刻表示部925を有する。さらに、全イベント履歴画面Seaは、イベントリスト表示部926を有し、イベントリスト表示部926では、監視データDmに記録された全てのイベント(閾値イベント、警報イベント、エラーイベント)が発生時刻とともに時系列で表示される。なお、イベントリスト表示部926では、閾値イベント、警報イベントおよびエラーイベントの種類の違いは、互いに異なるアイコンEt、Ea、Eeで示されている。ここで、アイコンEtは閾値イベントを示し、アイコンEaは警報イベントを示し、アイコンEeはエラーイベントを示す。また、
図8Dに示すように、アイコンが付されないイベントも存在する。
【0059】
図8Eは液晶ディスプレイに表示されるエラー警報イベント履歴画面を模式的に示す図である。エラー警報イベント履歴画面Seeは、全イベント履歴画面Seaと同様に、ボタン操作表示部912、時刻表示部925およびイベントリスト表示部926を有する。ただし、エラー警報イベント履歴画面Seeのイベントリスト表示部926では、エラーイベントおよび警報イベントのみが表示され、閾値イベントやアイコンが付されないイベントは表示されない。
【0060】
図8Fは液晶ディスプレイに表示される閾値イベント履歴画面を模式的に示す図である。閾値イベント履歴画面Setは、全イベント履歴画面Seaと同様に、ボタン操作表示部912、時刻表示部925およびイベントリスト表示部926を有する。ただし、閾値イベント履歴画面Setのイベントリスト表示部926では、閾値イベントのみが表示され、エラーイベントおよび警報イベントやアイコンが付されないイベントは表示されない。
【0061】
図8Bに示す帯電レベルモニタ画面Scは、除電装置1の起動時に最初に液晶ディスプレイ52に表示される初期画面である。この帯電レベルモニタ画面Scでは、上述の通り、風量表示部916、イオンレベル表示部917、及び帯電レベル表示部920により、除電装置1の除電動作に関する監視対象が表示される。つまり、除電装置1が起動すると、ユーザは追加の操作を必要とせず、除電装置1の除電動作を監視することができる。本例では、帯電レベルモニタ画面Scが最初に影響ディスプレイ52に表示されるが、風量モニタ画面Swが、除電装置1の起動時に最初に液晶ディスプレイ52に表示される初期画面であってもよい。この風量モニタ画面Swが液晶ディスプレイ52に表示された状態では、上述の通り、ボタン操作部53の上ボタン53uおよび下ボタン53dへの操作に応じて風量パラメータPwの設定を行うことができる。つまり、初期画面として風量モニタ画面Swが表示される場合、除電装置1が起動すると、速やかに風量パラメータPwの設定を行って、除電動作を開始することができる。
【0062】
また、
図8Bの帯電レベルモニタ画面Scが表示された状態で、操作処理部85が左ボタン53lの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52の表示を
図8Bの帯電レベルモニタ画面Scから
図8Aの風量モニタ画面Swに切り換える。
図8Bの帯電レベルモニタ画面Scが表示された状態で、操作処理部85が右ボタン53rの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52の表示を
図8Bの帯電レベルモニタ画面Scから
図8Cのイオンバランスモニタ画面Siに切り換える。
図8Cのイオンバランスモニタ画面Siが表示された状態で、操作処理部85が右ボタン53rの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52の表示を
図8Cのイオンバランスモニタ画面Siから
図8Dの全イベント履歴画面Seaに切り換える。
図8Dの全イベント履歴画面Seaが表示された状態で、操作処理部85が右ボタン53rの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52の表示を
図8Dの全イベント履歴画面Seaから
図8Eのエラー警報イベント履歴画面Seeに切り換える。
図8Eのエラー警報イベント履歴画面Seeが表示された状態で、操作処理部85が右ボタン53rの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52の表示を
図8Eのエラー警報イベント履歴画面Seeから
図8Fの閾値イベント履歴画面Setに切り換える。つまり、
図8A~
図8Fの風量モニタ画面Sw、帯電レベルモニタ画面Sc、イオンバランスモニタ画面Si、全イベント履歴画面Sea、エラー警報イベント履歴画面Seeおよび閾値イベント履歴画面Setは、同じ階層(最上位階層)に含まれる。除電装置1のユーザにとって、除電装置1の除電動作を確認する作業の頻度は、除電装置1の除電動作の実行条件を規定するパラメータを設定する作業の頻度より高い。このため、除電装置1の表示時点における除電動作を確認できる風量モニタ画面Sw、帯電レベルモニタ画面Sc、およびイオンバランスモニタ画面Si、並びに除電装置1の過去の除電動作を確認できる全イベント履歴画面Sea、エラー警報イベント履歴画面See、および閾値イベント履歴画面Setを、同じ階層に含めることにより、ユーザが各画面を切り替えて表示するのに要する手数を抑えられ、また、同じ階層として、ユーザが表示しやすい最上位階層に各画面を含めることにより、ユーザが当該階層の画面を表示するまでの手数を抑えられる。これによれば、ユーザは、頻度の高い除電動作を確認する作業を容易に実施することができる。また、上述の通り、除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータのうち、風量パラメータPwの設定は、最上位階層に含まれる風量モニタ画面Swに対する操作によって実行できる。これは除電装置1のユーザにとって、他のパラメータと比較して、風量パラメータPwを設定する頻度が高いためである。
【0063】
上述のように、最上位階層には、
図8Gの各画面が属することとなる。ここで、
図8Gは最上位階層に属する各画面を一覧で表示した図である。つまり、風量モニタ画面Sw、帯電レベルモニタ画面Sc、イオンバランスモニタ画面Si、全イベント履歴画面Sea、エラー警報イベント履歴画面Seeおよび閾値イベント履歴画面Setが最上位階層に属する。また、右ボタン53rあるいは左ボタン53lの操作に応じて、
図8Gの矢印に示すように、液晶ディスプレイ52に表示される画面が切り換えられる。
【0064】
また、
図8D~
図8Fの全イベント履歴画面Sea、エラー警報イベント履歴画面Seeあるいは閾値イベント履歴画面Setが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が上ボタン53uの操作を受け付けると、表示制御部84は、イベントリスト表示部926で選択される一のイベント(ハイライト表示されるイベント)を、リストの上側のイベントに切り換え、操作処理部85が下ボタン53dの操作を受け付けると、表示制御部84は、イベントリスト表示部926で選択される一のイベント(ハイライト表示されるイベント)を、リストの下側のイベントに切り換える。こうして、イベントリスト表示部926に表示される複数のイベントのうちから選択する一のイベントを切り換える選択変更操作を実行することができる。さらに、
図8D~
図8Fの全イベント履歴画面Sea、エラー警報イベント履歴画面Seeあるいは閾値イベント履歴画面Setのイベントリスト表示部926から一のイベントが選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン表示部912c(
図8D~
図8Fの「Detail」に対応するボタン)の操作を受け付けると、表示制御部84は、当該一のイベントの詳細を示すイベント詳細画面を表示する。
【0065】
図8Hは液晶ディスプレイに表示されるイベント詳細画面を模式的に示す図である。イベント詳細画面Sedは、全イベント履歴画面Seaと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イベント詳細画面Sedは、イベントの詳細を表示するイベント詳細表示部927を有する。
図8Hの例では、イベント詳細表示部927では、イベントの発生時刻とイベントの内容(イオンレベルに対する警報)とを示す。また、イベント詳細画面Sedが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が決定ボタン表示部912cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52に表示する画面を、当該イベント詳細画面Sedの前に表示していた画面(例えば、エラー警報イベント履歴画面See)に切り換える(すなわち、一つ前の画面に戻す)。
【0066】
上述の通り、除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータ(
図5A)のうち、風量パラメータPwの設定は、最上位階層に含まれる風量モニタ画面Swに対する操作によって実行できる。続いては、これらのパラメータのうち、風量パラメータPw以外のバランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofを設定する方法について説明する。
【0067】
液晶ディスプレイ52に風量モニタ画面Sw、帯電レベルモニタ画面Scおよびイオンバランスモニタ画面Siのいずれかが表示された状態において、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、設定メニュー画面Ssm(
図9A)を表示する。
図9Aは液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図である。設定メニュー画面Ssmは、ボタン操作表示部912を有する。
図9Aに示す状態では、ボタン操作表示部912は、下ボタン53dに対応する下ボタン表示部912dと、上ボタン53uに対応する上ボタン表示部912uと、決定ボタン53cに対応する決定ボタン表示部912c(「OK」)を有する。
【0068】
さらに、設定メニュー画面Ssmは、設定メニューリスト表示部928を有する。設定メニューリスト表示部928では、各種の設定メニューがリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、設定メニューリスト表示部928においてハイライト表示によって選択される一の設定メニューを切り換えられる。
【0069】
設定メニュー画面Ssmの設定メニューリスト表示部928において一の設定メニュー(「A:Basic Setting」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、基本設定画面Ssb(
図9B)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図9Bは液晶ディスプレイに表示される基本設定画面を模式的に示す図である。
図9Bの基本設定画面Ssbは、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、基本設定画面Ssbは、基本設定リスト表示部929を有する。基本設定リスト表示部929では、各種の基本設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、基本設定リスト表示部929においてハイライト表示によって選択される一の基本設定を切り換えられる。
【0070】
図9Bに示すように、基本設定リスト表示部929において一の設定メニュー(「Ion Balance Adjustment」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イオンバランス設定画面Ssi(
図9C)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図9Cは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス設定画面を模式的に示す図である。
【0071】
図9Cのイオンバランス設定画面Ssiは、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イオンバランス設定画面Ssiは、バランス調整パラメータPtlを表示するバランス調整パラメータ表示部930を有する。バランス調整パラメータ表示部930は、バランス調整パラメータPtlを数値で表す数値表示部930nと、バランス調整パラメータPtlを横方向におけるマーク930mの位置で示すマーク表示部930hとを有する。
【0072】
そして、イオンバランス設定画面Ssiが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が上ボタン53uの操作を受け付けると、装置制御部88は、バランス調整パラメータPtlの設定値を1段階上昇させる。また、イオンバランス設定画面Ssiが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が下ボタン53dの操作を受け付けると、装置制御部88は、バランス調整パラメータPtlの設定値を1段階低下させる。これに伴って、
図9Dに示すように、イオンバランス設定画面Ssiの表示が変わる。ここで、
図9Dは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス設定画面を模式的に示す図である。また、イオンバランス設定画面Ssiが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が決定ボタン表示部912cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52に表示する画面を、一つ前の画面、すなわち基本設定画面Ssbに戻す。
【0073】
また、
図9Eに示すように、設定メニュー画面Ssmの設定メニューリスト表示部928において一の設定メニュー(「B:FB Sensor」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、FBセンサ設定画面Ssf(
図9F)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図9Eは液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図であり、
図9Fは液晶ディスプレイに表示されるFBセンサ設定画面を模式的に示す図である。ここで、FBセンサとは、センサユニット71を示す。したがって、イオンバランスセンサ713に係る設定以外に、温度センサ711や湿度センサ712に係る設定が表示されても良い。
【0074】
図9FのFBセンサ設定画面Ssfは、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、FBセンサ設定画面Ssfは、FB設定リスト表示部931を有する。FB設定リスト表示部931では、各種のFB設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、FB設定リスト表示部931においてハイライト表示によって選択される一のFB設定を切り換えられる。
【0075】
図9Fに示すように、FB設定リスト表示部931において一のFB設定メニュー(「Ion Balance」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、FBイオンバランス設定画面Ssfi(
図9G)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図9Gは液晶ディスプレイに表示されるFBイオンバランス設定画面を模式的に示す図である。
【0076】
図9GのFBイオンバランス設定画面Ssfiは、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、FBイオンバランス設定画面Ssfiは、FBイオンバランス設定リスト表示部932を有する。FBイオンバランス設定リスト表示部932では、各種のFBイオンバランス設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、FBイオンバランス設定リスト表示部932においてハイライト表示によって選択される一のFBイオンバランス設定を切り換えられる。
【0077】
図9Gに示すように、FBイオンバランス設定リスト表示部932において一のFB設定メニュー(「Ion Balance Offset」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イオンバランスオフセット設定画面Ssff(
図9H)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図9Hは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランスオフセット設定画面を模式的に示す図である。
【0078】
図9Hのイオンバランスオフセット設定画面Ssffは、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イオンバランスオフセット設定画面Ssffは、イオンバランスオフセット(すなわち、オフセットパラメータPof)の電圧を数値で表示するイオンバランスオフセット表示部933を有する。
【0079】
そして、イオンバランスオフセット設定画面Ssffが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が上ボタン53uの操作を受け付けると、装置制御部88は、オフセットパラメータPofの設定値を1段階(例えば、1V)上昇させる。また、イオンバランスオフセット設定画面Ssffが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が下ボタン53dの操作を受け付けると、装置制御部88は、オフセットパラメータPofの設定値を1段階(例えば、0.1V)低下させる。また、イオンバランスオフセット設定画面Ssffが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が決定ボタン表示部912cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52に表示する画面を、一つ前の画面、すなわちFBイオンバランス設定画面Ssfiに戻す。
【0080】
以上が、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofを設定する方法である。ところで、上述の通り、
図5Bに示した閾値イベントの閾値はユーザによって設定される。さらに、閾値イベントの発生に伴う動作(波形データDmwの保存等)の態様をユーザによって設定することができる。続いては、これらの閾値を設定する方法について説明する。
【0081】
図10Aは液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図である。
図10Aに示すように、設定メニュー画面Ssmの設定メニューリスト表示部928において一の設定メニュー(「E:Advance Setting」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イベント拡張設定画面Se1(
図10B)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Bは液晶ディスプレイに表示されるイベント拡張設定画面を模式的に示す図である。
図10Bのイベント拡張設定画面Se1は、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イベント拡張設定画面Se1は、拡張設定表示部934を有する。拡張設定表示部934では、各種の拡張設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、拡張設定表示部934においてハイライト表示によって選択される一の拡張設定を切り換えられる。
【0082】
図10Bに示すように、拡張設定表示部934において一の拡張設定
(「Event Waveform Setting」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イベント波形保存設定画面Se2(
図10C)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Cは液晶ディスプレイに表示されるイベント波形保存設定画面を模式的に示す図である。
【0083】
図10Cのイベント波形保存設定画面Se2は、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イベント波形保存設定画面Se2は、保存設定表示部935を有する。保存設定表示部935では、各種の波形データDmwの保存が可能なイベントを示す保存設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、保存設定表示部935においてハイライト表示によって選択される一の保存設定を切り換えられる。
図10Cの保存設定表示部935では、イオンバランスの閾値イベントの波形データDmwを保存せず(「Ion Balance Exceeded : OFF」)、帯電レベルの閾値イベントの波形データDmwを保存する(「Chrg Level Exceeded : ON」)ことが示されている。
【0084】
図10Cに示すように、保存設定表示部935において一の保存設定 (例えば、「Ion Balance Exceeded:OFF」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イオンバランス波形保存設定画面Se3(
図10D)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Dは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス波形保存設定画面を模式的に示す図である。
【0085】
図10Dのイオンバランス波形保存設定画面Se3は、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イオンバランス波形保存設定画面Se3は、ON/OFF表示部936を有する。ON/OFF表示部936では、波形保存をON設定およびOFF設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、ON/OFF表示部936においてハイライト表示によって選択される一つを切り換えられる。また、イオンバランス波形保存設定画面Se3が液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が決定ボタン表示部912cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52に表示する画面を、二つ前の画面、すなわちイベント拡張設定画面Se1に戻す。
【0086】
また、
図10Eに示すように、イベント拡張設定画面Se1の拡張設定表示部934において一の設定メニュー(「Event History Setting」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イベント履歴保存設定画面Se4(
図10F)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Eは液晶ディスプレイに表示されるイベント拡張設定画面を模式的に示す図であり、
図10Fは液晶ディスプレイに表示されるイベント履歴保存設定画面を模式的に示す図である。
【0087】
図10Fのイベント履歴保存設定画面Se4は、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イベント履歴保存設定画面Se4は、保存設定表示部937を有する。保存設定表示部937では、各種のイベントを示す保存設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、保存設定表示部937においてハイライト表示によって選択される一の保存設定を切り換えられる。
図10Fの保存設定表示部937では、イオンバランスの閾値イベントの履歴を保存せず(「Ion Balance Exceeded : OFF」)、帯電レベルの閾値イベントの履歴を保存する(「Chrg Level Exceeded : ON」)ことが示されている。
【0088】
図10Fに示すように、保存設定表示部937において一の保存設定 (例えば、「Ion Balance Exceeded:OFF」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イオンバランス履歴保存設定画面Se5(
図10G)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Gは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス履歴保存設定画面を模式的に示す図である。
【0089】
図10Gのイオンバランス履歴保存設定画面Se5は、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イオンバランス履歴保存設定画面Se5は、ON/OFF表示部938を有する。ON/OFF表示部938では、履歴保存をON設定およびOFF設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、ON/OFF表示部938においてハイライト表示によって選択される一つを切り換えられる。また、イオンバランス履歴保存設定画面Se5が液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が決定ボタン表示部912cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52に表示する画面を、二つ前の画面、すなわちイベント拡張設定画面Se1に戻す。
【0090】
図10Hおよび
図10Iは液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面を模式的に示す図である。
図10Iに示すように、設定メニュー画面Ssmの設定メニューリスト表示部928において一の設定メニュー(「B:FB Sensor」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、FBセンサ設定画面Ssf(
図10J)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Jは液晶ディスプレイに表示されるFBセンサ設定画面を模式的に示す図である。
図10Jに示すように、FB設定リスト表示部931において一の設定メニュー(「Ion Balance」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イオンバランス設定メニュー画面Se6(
図10K)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Kは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス設定メニュー画面を模式的に示す図である。
【0091】
図10Kのイオンバランス設定メニュー画面Se6は、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イオンバランス設定メニュー画面Se6は、イオンバランス設定表示部939を有する。イオンバランス設定表示部939では、各種のイオンバランス設定がリスト形式で表示される。また、上述の選択変更操作と同様に、上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作によって、イオンバランス設定表示部939においてハイライト表示によって選択される一のイオンバランス設定を切り換えられる。
【0092】
図10Kに示すように、イオンバランス設定表示部939において一のイオンバランス設定 (「Ion Balance Threshold」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、イオンバランス閾値設定画面Se7(
図10L)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図10Lは液晶ディスプレイに表示されるイオンバランス閾値設定画面を模式的に示す図である。
【0093】
図10Lのイオンバランス閾値設定画面Se7は、上述の設定メニュー画面Ssmと同様に、ボタン操作表示部912を有する。さらに、イオンバランス閾値設定画面Se7は、イオンバランスの閾値を数値(電圧)で表示する閾値表示部940を有する。
【0094】
そして、イオンバランス閾値設定画面Se7が液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が上ボタン53uの操作を受け付けると、装置制御部88は、イオンバランスの閾値の設定値を1段階(例えば、1V)上昇させる。また、イオンバランス閾値設定画面Se7が液晶ディスプレイ52に表示された状態で、操作処理部85が下ボタン53dの操作を受け付けると、装置制御部88は、イオンバランスの閾値の設定値を1段階低下させる。
【0095】
ところで、風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofといったパラメータが現場の作業者に不用意に変えられるのを制限するために、パラメータをロックすることができる。続いては、この点について説明する。
【0096】
図11Aおよび
図11Bは液晶ディスプレイに表示される基本設定画面の一例を示す図である。
図11Bに示すように、基本設定リスト表示部929において一の設定メニュー(「Eco-Mode」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、エコモード設定画面Sl1(
図11C)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図11Cは液晶ディスプレイに表示されるエコモード設定画面を模式的に示す図である。エコモード設定画面Sl1は、ボタン操作表示部912を有するとともに、ON・OFF選択画面941を有する。このON・OFF選択画面941では、ONおよびOFFが表示され、上述と同様に選択変更操作を実行することで、ONおよびOFFの一方をハイライトで表示して選択することができる。
【0097】
図11Cに示すように、ON・OFF選択画面941でONが選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると(換言すれば、エコモードの設定指示を受け付けると)、装置制御部88は、風量パラメータPwを最小(レベル1)に設定して風量パラメータPwを固定する(エコモード)。これによって、エコモードが解除(OFF)されない限りは、風量パラメータPwが最小に固定される。すなわち、エコモードは、エコモード設定画面Sl1においてOFFが選択された状態で操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付ける(換言すれば、エコモードの解除指示を受け付ける)まで継続される。さらに言えば、風量パラメータPwの設定を変更する風量モニタ画面Sw(
図8A)とは異なるON・OFF表示画面941に対するユーザ操作、特にOFFを選択する操作を操作処理部85が受け付けない限り、エコモードは解除されない。また、
図11Dに示すように、エコモードが設定されていることを示すアイコンAeが風量モニタ画面Swに表示されることとなる。ここで、
図11Dはエコモード設定中の風量モニタ画面を模式的に示す図である。
図11Dの風量モニタ画面Swに示すように、エコモードの設定に伴って、風量表示部914の数値表示部914nが示す風量パラメータPwの値は「1」となり、風量表示部914のバー表示部914bでは、1本のバーのみがハイライト等によって示される。また、エコモードの設定前に風量モニタ画面Swに表示されていた風量調整ボタン表示部915u、915dが、エコモードの設定後に伴って風量モニタ画面Swから消えて、風量パラメータPwの変更が制限されている(換言すれば、無効化されている)ことが風量モニタ画面Swに示される。
【0098】
また、
図11Eは液晶ディスプレイに表示される設定メニュー画面の一例を示す図である。
図11Eに示すように、設定メニュー画面Ssmの設定メニューリスト表示部928において、一の設定メニュー(「F:Password」)が選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52にパスワード設定状態表示画面Slp(
図11F)を表示する。ここで、
図11Fは液晶ディスプレイに表示されるパスワード設定状態表示画面を模式的に示す図である。パスワード設定状態表示画面Slpは、ボタン操作表示部912と、パスワード設定状態表示部942を有し、ロックモードを実行するためのパスワードを設定するために設けられている。この例では、パスワードが設定されていないことがパスワード設定状態表示部942に示されている(「Password Setting : OFF」)。
【0099】
図11Fに示すように、パスワード状態表示画面942の項目(「Password Setting : OFF」)が表示されている状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52にパスワード設定画面Slo(
図11G)を表示する。ここで、
図11Gは液晶ディスプレイに表示されるパスワード設定画面を模式的に示す図である。パスワード設定画面Sloは、ボタン操作表示部912を有するとともに、ON・OFF選択画面9421を有する。このON・OFF選択画面9421では、ONおよびOFFが表示され、上述と同様に選択変更操作を実行することで、ONおよびOFFの一方をハイライトで表示して選択することができる。例えば、ON・OFF選択画面9421でONが選択された状態で、操作処理部85が決定ボタン53cの操作を受け付けると、表示制御部84は、液晶ディスプレイ52にパスワード入力画面Sle(
図11Hおよび
図11I)を表示する。ここで、
図11Hは液晶ディスプレイに表示される1回目のパスワード入力画面を模式的に示す図であり、
図11Iは液晶ディスプレイに表示される2回目のパスワード入力画面を模式的に示す図である。このパスワード入力画面Sleは、ボタン操作表示部912と、パスワード入力部943とを有し、ボタン操作部53に対するユーザによるパスワードの入力および決定ボタン表示部912cの操作を操作処理部85が受け付けるのに応じて、パスワード入力部943に対してパスワードが入力される。1回目のパスワード入力画面Sle(
図11H)のパスワード入力部943に対して入力されたパスワードと、2回目のパスワード入力画面Sle(
図11I)のパスワード入力部943に対して入力されたパスワードとが一致すると、パスワード設定成功画面Sls(
図11J)が液晶ディスプレイ52に示される。ここで、
図11Jは液晶ディスプレイに表示されるパスワード設定成功画面を模式的に示す図である。パスワード設定成功画面Slsは、ボタン操作表示部912の決定ボタン表示部912cと、成功結果表示部944とを有し、成功結果表示部944にパスワードの設定に成功した旨が表示される。
【0100】
このパスワード設定に伴って、風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofがパスワード設定時点の設定値に固定されて、これらの変更が制限される(ロックモード)。具体的には、ロックモードの設定中は、風量モニタ画面Swが液晶ディスプレイ52に表示された状態で風量パラメータPwを変更するための上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作を操作処理部85が受け付けたとしても、装置制御部88は、当該操作に応じた風量パラメータPwの変更を制限する(つまり、当該操作を無視して、風量パラメータPwを変更しない)。また、ロックモードの設定中は、イオンバランス設定画面Ssiが液晶ディスプレイ52に表示された状態でバランス調整パラメータPtlを変更するための上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作を操作処理部85が受け付けたとしても、装置制御部88は、当該操作に応じたバランス調整パラメータPtlの変更を制限する(つまり、当該操作を無視して、バランス調整パラメータPtlを変更しない)。さらに、ロックモードの設定中は、イオンバランスオフセット設定画面Ssffが液晶ディスプレイ52に表示された状態にオフセットパラメータPofを変更するための上ボタン53uあるいは下ボタン53dの操作を操作処理部85が受け付けたとしても、装置制御部88は、当該操作に応じたオフセットパラメータPofの変更を制限する(つまり、当該操作を無視して、オフセットパラメータPofを変更しない)。また、
図11Kに示すように、ロックモードが設定されていることを示すアイコンAlが風量モニタ画面Swに表示されることとなる。ここで、
図11Kはロックモード設定中の風量モニタ画面を模式的に示す図である。同様に、ロックモードの設定中は、帯電レベルモニタ画面Scおよびイオンバランスモニタ画面Siにおいて、アイコンAlが表示される。なお、本実施形態においては、風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtl、およびオフセットパラメータPofの変更が制限されるが、これらに加えて所定の操作が無視されてもよい。ロックモードにおいては、例えば、クリーニングを指示する操作、除電動作の開始と停止とを指示する操作、または、ネットワーク設定を変更する操作、が無視される構成であってもよい。
【0101】
また、ロックモードの設定中に、上述ように、風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtlあるいはオフセットパラメータPofを変更する操作、すなわち、上ボタン53uあるいは下ボタン53dを押す操作を、操作処理部85が受け付けると、表示制御部84は、パスワード入力画面Sle(
図11L)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図11Lは液晶ディスプレイに表示されるパスワード入力画面を模式的に示す図である。
図11Lのパスワード入力画面Sluは、ボタン操作表示部912と、パスワード入力部945とを有し、ボタン操作部53に対するユーザによるパスワードの入力および決定ボタン表示部912cの操作を操作処理部85が受け付けるのに応じて、パスワード入力部943に対してパスワードが入力される。パスワード入力画面Sluのパスワード入力部945に対して正しいパスワードが入力されると、装置制御部88は、一時的にロックモードを解除したうえで、表示制御部84は、風量モニタ画面Swを液晶ディスプレイ52に表示する。ロックモードの一時解除中は、アイコンAlが例えばグレーアウトで表示されたり、解錠された錠を示すアイコンで表示されたりする。これによって、風量モニタ画面Swに対する操作によって風量パラメータPwを変更・設定できる。ただし、風量モニタ画面Swから他の画面に遷移すると、ロックモードが再び設定される。
【0102】
また、ロックモード中においても、液晶ディスプレイ52に表示される画面を上述の最上位階層の画面の間で変更することは制限されない。したがって、風量モニタ画面Swが液晶ディスプレイ52に表示された状態で、ボタン操作部53rの操作を操作処理部85が受け付けると、表示制御部84は、帯電レベルモニタ画面Sc(
図11M)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図11Mは液晶ディスプレイに表示される帯電レベルモニタ画面を模式的に示す図である。ただし、帯電レベルモニタ画面Scが液晶ディスプレイ52に表示されている状態で、液晶ディスプレイ52の画面を設定メニュー画面Ssmに変更する決定ボタン53cの操作を操作処理部85が受け付けると、装置制御部88は、表示制御部84は、パスワード入力画面Sle(
図11N)を液晶ディスプレイ52に表示する。ここで、
図11Nは液晶ディスプレイに表示されるパスワード入力画面を模式的に示す図である。また、
図11Nのパスワード入力画面Sleに対して正しいパスワードが入力されると、装置制御部88は、一時的にロックモードを解除したうえで、表示制御部84は、設定メニュー画面Ssmを液晶ディスプレイ52に表示する。そして、この設定メニュー画面Ssmから、上述のパスワード設定画面Slo(
図11G)に液晶ディスプレイ52の表示を変更するユーザ操作を操作処理部85が受け付けると、液晶ディスプレイ52に当該パスワード設定画面Sloが表示される。さらに、パスワード設定画面SloのON・OFF表示画面941のパスワード設定画面SloでOFFが選択された状態で決定ボタン53cを押すユーザの操作を操作処理部85が受け付けると、
図11Nと同様のパスワード入力画面Sluが液晶ディスプレイ52に表示される。そして、このパスワード入力画面Sluのパスワード入力部945に正しいパスワードが入力されると、ロックモードを完全に解除することができる。これに伴って、アイコンAlの表示が消える。このように、各パラメータPw、Ptl、Pofの設定を変更する画面Sw、Ssi、Ssff(
図8A、
図9C、
図9H)とは異なるパスワード入力画面Sluに対するユーザ操作、特にパスワード入力操作を操作処理部85が受け付けない限り、ロックモードは解除されない。
【0103】
以上に示す実施形態では、除電動作の実行条件を規定する複数のパラメータ(風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtl、オフセットパラメータPof)が、ボタン操作部53が受け付けたユーザの操作に応じて設定される。また、複数のパラメータPw、Ptl、Pofを変更する操作に関して、ロックモードが設けられている。このロックモードでは、複数のパラメータPw、Ptl、Pofを変更するボタン操作部53に対する操作が制限される。また、ロックモードを解除することで、複数のパラメータPw、Ptl、Pofのそれぞれを変更するボタン操作部53に対する操作が許可される(通常モード)。したがって、管理者は、通常モードを実行することで、複数のパラメータを最適化する設定作業を適宜実行できる。一方、管理者は、ロックモードを実行することで、パラメータPw、Ptl、Pofの変更を制限できる。こうして、除電装置1のパラメータの不用意な変更を抑止することが可能となっている。
【0104】
また、電極針Nm、Npに印加する電圧Vm、Vpを制御するためのバランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPof(電圧制御パラメータ)の変更は、ロックモードによって制限される。かかる構成では、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofが不用意に変更されるのを抑制することができる。
【0105】
また、ファン3の風量を指定する風量パラメータPwの変更は、ロックモードによって制限される。つまり、除電装置1が使用される現場の作業者によっては、ファン3からの風を不快に感じて、風量を下げるために風量パラメータPwを変更する事例が確認された。これに対して、上記のように構成することで、風量パラメータPwが不用意に変更されるのを抑制できる。
【0106】
また、風量パラメータPwに対するボタン操作部53への操作に応じて、装置制御部88(パラメータ設定部)は、複数(7段階)の風量値の間で風量パラメータPwを変更する。しかも、装置制御部88は、複数の風量値(レベル1~7)のうち最小の風量値(レベル1)に風量パラメータPwを固定して風量パラメータPwを変更するボタン操作部53に対する操作を制限するエコモードをさらに有する。つまり、除電装置1では、ファン3によるエネルギー消費が大きい。これに対して、エコモードを実行することで、ファン3によるエネルギー消費を抑えて、除電装置1が発生する環境負荷を低減することができる。なお、エコモードの実行中には、ファン3によるエネルギー消費を抑える以外に、画面輝度等によるエネルギー消費を抑えてもよい。
【0107】
ちなみに、装置制御部88に対するロックモードの実行の指示は、上記のボタン操作部53に対する操作によって行うほか、外部機器から通信部73を介して行うことができる。この点について、
図12Aおよび
図12Bを用いて詳述する。
図12Aはロックモードの設定制御の一例を示すフローチャートであり、
図12Bは
図12Aの設定制御によって設定されたロックモードの解除態様の一例を示すフローチャートである。
図12Aおよび
図12Bのフローチャートは、装置制御部88の制御によって実行される。
【0108】
図12AのステップS201では、装置制御部88は、ロックモードの実行指示の入力の有無を確認する。具体的には、ロックモードの実行指示を示す操作のボタン操作部53への実行に応じて、操作処理部85がロックモードの実行指示を受け付けると、装置制御部88は、ロックモードの実行指示が入力されたと判定して(ステップS201で「YES」)、ステップS202に進む。
【0109】
あるいは、通信部73が外部機器からロックモードの実行指示を受信して、通信制御部87がロックモードの実行指示を受け付けると、装置制御部88は、ロックモードの実行指示が入力されたと判定して(ステップS201で「YES」)、ステップS202に進む。ここで、外部機器からのロックモードの実行指示としては、パスワードによる指示(パスワード指示)およびパスワードによらない指示(非パスワード指示)とが設けられている。つまり、外部機器には、ロックモードの実行を指示するためのアプリケーションがインストールされている。これに対して、当該アプリケーションに対して上述と同じ要領でパスワードが入力されると、外部機器は、通信部73にパスワード指示を送信する。一方、当該アプリケーションに設けられた非パスワード指示のための操作が実行されると、外部機器は、通信部73に非パスワード指示を送信する。そして、パスワード指示あるいは非パスワード指示が通信部73を介して通信制御部87により受け付けられる。
【0110】
ステップS202では、装置制御部88は、ステップS201で確認された実行指示が外部機器から入力されたか否かを判定する。操作処理部85がロックモードの実行指示を受け付けた場合(ステップS202で「NO」の場合)には、装置制御部88はステップS203に進む。一方、通信制御部87が外部機器からロックモードの実行指示(パスワード指示/非パスワード指示)を受け付けた場合(ステップS202で「YES」の場合)には、装置制御部88は、当該実行指示がパスワード指示であるか否かを判定する(ステップS204)。そして、通信制御部87が外部機器からパスワード指示を受け付けている場合(ステップS204で「YES」)、装置制御部88はステップS203に進む。
【0111】
ステップS203では、装置制御部88は、操作処理部85あるいは通信制御部87が受け付けたパスワード入力が成功したか否かを、上述と同じ要領で判定する。そして、パスワード入力が成功した場合(ステップS203で「YES」の場合)には、装置制御部88は、本体解除可能モードによりロックモードを実行する(ステップS205)。ここで、本体解除可能モードとは、上述と同じ要領で、操作処理部85が受け付けたボタン操作部53に対する操作に応じてロックモードの解除を実行する(換言すれば、許可する)モードである。これに伴って、表示制御部84は、
図11Kあるいは
図11Mに示す、ロックモードが設定されていることを示すアイコンAlを液晶ディスプレイ52に表示する。
【0112】
一方、通信制御部87が外部機器から非パスワード指示を受け付けている場合(ステップS204で「NO」の場合)には、装置制御部88は、本体解除制限モードによりロックモードを実行する(ステップS206)。ここで、本体解除制限モードとは、上述と同じ要領で、操作処理部85が受け付けたボタン操作部53に対する操作に応じたロックモードの解除を制限する(換言すれば、禁止する)モードである。
【0113】
これに伴って、表示制御部84は、本体解除制限モードによるロックモードを実行中であることを示す風量モニタ画面Sw(
図13A)あるいはイオンバランス閾値設定画面Se7(
図13B)を示す。ここで、
図13Aは本体解除制限モードにおける風量モニタ画面を模式的に示す図であり、
図13Bは本体解除制限モードにおけるイオンバランス閾値設定画面を模式的に示す図である。
図13Aの風量モニタ画面Swおよび
図13Bのイオンバランス閾値設定画面Se7のそれぞれでは、アイコンAlは表示されない。また、本体解除可能モードでの風量モニタ画面Swを示す
図11Kと
図13Aとの対比から分かるように、
図13Aの風量モニタ画面Swでは、決定ボタン表示部912cが消えており、決定ボタン53cの操作が無効であることが示されるとともに、風量調整ボタン表示部915u、915dが消えており、
図13Aの風量モニタ画面Swでは、風量パラメータPwを設定する操作が無効であることが示されている。さらに、クリーニング方法表示部913が消えており、クリーニングの実行が制限されていることが示されている。また、本体解除可能モードでのイオンバランス閾値設定画面Se7を示す
図11Mと
図13Bとの対比から分かるように、
図13Bのイオンバランス閾値設定画面Se7では、決定ボタン表示部912cが消えており、決定ボタン53cの操作が無効であることが示されている。
【0114】
図12BのステップS301では、装置制御部88は、ロックモードの解除指示の入力の有無を確認する。具体的には、ロックモードの解除指示を示す操作のボタン操作部53への実行に応じて、操作処理部85がロックモードの解除指示を受け付けると、装置制御部88は、ロックモードの解除指示が入力されたと判定して(ステップS301で「YES」)、ステップS302に進む。あるいは、通信部73が外部機器からロックモードの解除指示を受信して、通信制御部87がロックモードの解除指示を受け付けると、装置制御部88は、ロックモードの解除指示が入力されたと判定して(ステップS301で「YES」)、ステップS302に進む。ここで、外部機器からのロックモードの解除指示は、上述のアプリケーションへの操作によって実行される。
【0115】
ステップS302では、装置制御部88は、実行中のロックモードが本体解除可能モードによって設定されているか否かを判定する。実行中のロックモードが本体解除可能モードによって設定されている場合(ステップS302で「YES」の場合)には、装置制御部88は、操作処理部85あるいは通信制御部87が受け付けたパスワードが正しいか否かを、上述と同じ要領で判定する(ステップS303)。そして、当該パスワードが正しい場合(ステップS303で「YES」の場合)には、装置制御部88はロックモードを解除する(ステップS304)。
【0116】
実行中のロックモードが本体解除制限モードによって設定されている場合(ステップS302で「NO」の場合)には、装置制御部88は、ステップS301で確認したロックモードの解除指示を外部機器から通信制御部87が受け付けたか否かを判定する(ステップS305)。操作処理部85が当該解除指示を受け付けた場合(ステップS305で「NO」の場合)には、装置制御部88はロックモードの解除指示を無視する。一方。通信制御部87が当該解除指示を受け付けた場合(ステップS305で「YES」の場合)には、装置制御部88はロックモードを解除する(ステップS304)。
【0117】
かかる例では、装置制御部88は、ボタン操作部53が受け付けたロックモードの実行を指示する本体ロック指示および除電装置1の外部に設けられた外部機器からロックモードの実行を指示する外部ロック指示のそれぞれに応じて、パラメータ設定部はロックモードを実行して、パラメータPw、Ptl、Pofの変更を制限する(ステップS205、S206)。かかる構成では、除電装置1および外部機器の両方から除電装置1にロックモードを実行させることができ、管理者の利便性が向上する。なお、外部機器から指示可能なロックモードとして、ボタン操作部53に対する操作が全て無視される、すなわち、除電装置1からロックモードを解除することができないモード(本体解除制限モード)が設定されてもよい。
【0118】
この際、装置制御部88は、外部機器からの外部ロック指示によってロックモードを実行した場合、外部機器からの解除指示によってロックモードを解除する一方、ボタン操作部53に対する解除指示によってはロックモードを解除しないような制御を実行できる(ステップS206)。これによって、管理者は、外部機器からの外部ロック指示によって装置制御部88にロックモードを実行させることで、現場の作業者によるボタン操作部53への操作によるロックモードの解除を制限できる。その結果、除電装置1のパラメータPw、Ptl、Pofの不用意な変更をより確実に抑止できる。
【0119】
ところで、除電装置1の実行条件を規定するパラメータPw、Ptl、Pofに変化が無くても、対象物の除電が不十分となる可能性は残る。例えば、作業者が除電装置1の位置を変えたり、除電装置1の周囲の温度や湿度が変動したり、強帯電物が除電装置1の近くに配置されたりといった環境の影響がその要因となる。ただし、対象物の除電が不十分であると事後的に判明した時点では、どのような環境の影響が要因となったかを把握することが難しかった。
【0120】
これに対して、上記の実施形態では、除電動作の実行環境に関連する
図5Bの監視対象(環境指標値)が装置制御部88(環境監視部)によって監視される。そして、装置制御部88による監視結果である監視データDmが記憶部89(監視結果保存部)に保存される。かかる構成では、管理者は、記憶部89に保存された監視データDmを参照することで、対象物の除電に影響した要因を分析することができる。
【0121】
また、装置制御部88は、所定の統計対象期間TmにおけるサンプリングデータDmsの統計データDmt(統計量)を統計対象期間Tm毎に算出して記憶部89に監視データDmとして保存する。かかる構成では、管理者は、統計データDmtを参照することで、対象物の除電に影響した要因を効率的に分析することができる。
【0122】
また、装置制御部88は、サンプリングデータDmsに基づき異常の発生の有無を監視し、異常(イベント)の発生を確認すると、異常の発生時刻tvを異常の種類とともに監視データDmとして記憶部89に保存する。かかる構成では、管理者は、対象物の除電中に発生した異常を簡便に把握することができる。
【0123】
また、装置制御部88は、所定のサンプリング周期でサンプリングデータDmsを取得しつつサンプリングデータDmsの異常の有無を監視し、異常の発生を確認すると、異常の発生時刻tvより前の第1時刻T1から異常の発生時刻tvより後の第2時刻T2までに取得したサンプリングデータDmsを示す波形データDmwを、異常の種類とともに監視データDmとして記憶部89に保存する。かかる構成では、管理者は、波形データDmwを参照することで、対象物に生じた異常の要因を詳細に分析することができる。
【0124】
また、上記のように、風量パラメータPwをロックするモードとして、エコモード、本体解除可能モードによるロックモードおよび本体解除制限モードによるロックモードが設けられている。さらに、各モードに対応した画面が用意されている(
図14)。ここで、
図14は風量パラメータをロックする各モードの画面を模式的に一覧で示す図である。エコモード、本体解除可能モードによるロックモードおよび本体解除制限モードによるロックモードそれぞれにおける風量モニタ画面Swの詳細は上述の通りである。
【0125】
以上に説明するように本実施形態では、除電装置1が本発明の「除電装置」の一例に相当し、液晶ディスプレイ52が本発明の「表示部」の一例に相当し、ボタン操作部53が本発明の「操作部」の一例に相当し、電極針Nmおよび電極針Npが本発明の「コロナ放電部」の一例に相当し、ファン3が本発明の「ファン」の一例に相当し、電極ユニットコントローラ6が本発明の「電圧制御部」の一例に相当し、装置制御部88が本発明の「パラメータ設定部」および「環境監視部」の一例に相当し、記憶部89が本発明の「監視結果保存部」の一例に相当し、風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofが本発明の「複数のパラメータ」および「対象パラメータ」の一例に相当し、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofが本発明の「電圧制御パラメータ」の一例に相当し、
図5Bに示す監視対象それぞれのサンプリングデータDmsが本発明の「環境指標値」の一例に相当し、統計対象期間Tmが本発明の「対象期間」の一例に相当し、発生時刻tvが本発明の「発生時刻」の一例に相当し、第1時刻T1が本発明の「第1時刻」の一例に相当し、第2時刻T2が本発明の「第2時刻」の一例に相当する。
【0126】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、風量パラメータPw、バランス調整パラメータPtlおよびオフセットパラメータPofの全てをロックモードによって固定する「対象パラメータ」にする必要はない。したがって、風量パラメータPwは対象パラメータから外して、ロックモード設定中において風量モニタ画面Swから変更できるように構成してもよい。
【0127】
図5Bに示した監視対象の具体例は、上記に限られない。したがって、上記以外の項目を監視対象に含めてもよいし、上記の項目の一部を監視対象から外してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
この発明は、電極に電圧を印加することで発生したイオンを対象物に放出して対象物を除電する技術全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1…除電装置
52…液晶ディスプレイ
53…ボタン操作部(操作部)
Nm…電極針(コロナ放電部)
Np…電極針(コロナ放電部)
ファン3…ファン
6…電極ユニットコントローラ(電圧制御部)
88…装置制御部(パラメータ設定部、環境監視部)
89…記憶部(監視結果保存部)
Pw…風量パラメータ
Ptl…バランス調整パラメータ(電圧制御パラメータ)
Pof…オフセットパラメータ(電圧制御パラメータ)
Dms…サンプリングデータ(環境指標値)
Tm…統計対象期間(対象期間)
tv…発生時刻
T1…第1時刻
T2…第2時刻