IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DMG森精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-工作機械 図1
  • 特開-工作機械 図2
  • 特開-工作機械 図3
  • 特開-工作機械 図4
  • 特開-工作機械 図5
  • 特開-工作機械 図6
  • 特開-工作機械 図7
  • 特開-工作機械 図8
  • 特開-工作機械 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067083
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20240510BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B23Q17/24 A
B23Q11/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176898
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖隆
(72)【発明者】
【氏名】梶原 大地
(72)【発明者】
【氏名】服部 綾太郎
(72)【発明者】
【氏名】多賀 充
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
【Fターム(参考)】
3C011DD01
3C029CC10
(57)【要約】
【課題】クーラントがカメラに付着することを抑制するためにカメラの配置位置を工夫することが求められている。
【解決手段】工作機械は、ワークの加工を行うための加工エリアを区画形成しているカバー体と、ワークにクーラントを吐出するための吐出部と、ワークを回転可能に保持するための第1ワーク主軸と、第1ワーク主軸よりも高い場所に位置し、工具を回転可能に保持するための工具主軸と、加工エリア内に配置されている複数のカメラとを備える。複数のカメラの各々は、第1ワーク主軸よりも高い位置に配置されており、かつ、工具によるワークの加工点が当該カメラの撮影視野に含まれるように加工エリア内の天井よりも低い位置に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークの加工を行うための加工エリアを区画形成しているカバー体と、
前記ワークにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記ワークを回転可能に保持するための第1ワーク主軸と、
前記第1ワーク主軸よりも高い場所に位置し、前記工具を回転可能に保持するための工具主軸と、
前記加工エリア内に配置されている複数のカメラとを備え、
前記複数のカメラの各々は、
前記第1ワーク主軸よりも高い位置に配置されており、かつ、
前記工具による前記ワークの加工点が当該カメラの撮影視野に含まれるように前記加工エリア内の天井よりも低い位置に配置されている、工作機械。
【請求項2】
前記工作機械は、さらに、前記加工エリア内で前記工具主軸を移動することが可能な駆動部を備え、
前記複数のカメラの各々は、前記工具主軸が前記加工エリア内のいずれの場所に位置していたとしても、前記加工点が当該カメラの撮影視野に含まれるように配置されている、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記カバー体には、前記加工エリアに通じる扉が設けられており、
前記複数のカメラの各々は、前記扉を通じて前記加工エリアを視た正面視において、前記扉よりも奥側で、かつ、前記第1ワーク主軸よりも手前側に配置されている、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記工具主軸は、前記正面視において、前記第1ワーク主軸よりも奥側に配置されている、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記複数のカメラは、
第1カメラと、
第2カメラとを含み、
前記第1カメラは、前記加工エリア内の第1側面に設けられており、
前記第2カメラは、前記加工エリア内の第2側面に設けられており、
前記第2側面は、前記第1側面と対向している、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項6】
前記複数のカメラは、さらに、第3カメラを含み、
前記第2カメラおよび前記第3カメラは、前記第2側面において重力方向に並べて設けられている、請求項5に記載の工作機械。
【請求項7】
前記工作機械は、さらに、前記第1ワーク主軸とは反対側から前記ワークを支持するための第2ワーク主軸を備え、
前記複数のカメラの各々は、前記第2ワーク主軸よりも高い位置に配置されている、請求項1または2に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機内にカメラが設けられている工作機械が知られている。一例として、特開2018-94689号公報(特許文献1)は、複数のカメラを用いて加工領域を多方位から監視するための工作機械を開示している。当該工作機械の内部には、加工領域を監視するための3つのカメラが設けられている。当該3つのカメラは、ワークを保持するためのワーク主軸と同じ高さに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-94689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各カメラがワーク主軸と同じ高さに配置されると、ワーク主軸に吐出されたクーラントがカメラに飛散する。その結果、作業者は、加工領域を多方位から観察できなくなってしまう。したがって、クーラントがカメラに付着することを抑制するために、カメラの配置位置を工夫することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一例では、工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械が提供される。上記工作機械は、上記ワークの加工を行うための加工エリアを区画形成しているカバー体と、上記ワークにクーラントを吐出するための吐出部と、上記ワークを回転可能に保持するための第1ワーク主軸と、上記第1ワーク主軸よりも高い場所に位置し、上記工具を回転可能に保持するための工具主軸と、上記加工エリア内に配置されている複数のカメラとを備える。上記複数のカメラの各々は、上記第1ワーク主軸よりも高い位置に配置されており、かつ、上記工具による上記ワークの加工点が当該カメラの撮影視野に含まれるように上記加工エリア内の天井よりも低い位置に配置されている。
【0006】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記加工エリア内で上記工具主軸を移動することが可能な駆動部を備える。上記複数のカメラの各々は、上記工具主軸が上記加工エリア内のいずれの場所に位置していたとしても、上記加工点が当該カメラの撮影視野に含まれるように配置されている。
【0007】
本開示の一例では、上記カバー体には、上記加工エリアに通じる扉が設けられている。上記複数のカメラの各々は、上記扉を通じて上記加工エリアを視た正面視において、上記扉よりも奥側で、かつ、上記第1ワーク主軸よりも手前側に配置されている。
【0008】
本開示の一例では、上記工具主軸は、上記正面視において、上記第1ワーク主軸よりも奥側に配置されている。
【0009】
本開示の一例では、上記複数のカメラは、第1カメラと、第2カメラとを含む。上記第1カメラは、上記加工エリア内の第1側面に設けられている。上記第2カメラは、上記加工エリア内の第2側面に設けられている。上記第2側面は、上記第1側面と対向している。
【0010】
本開示の一例では、上記複数のカメラは、さらに、第3カメラを含む。上記第2カメラおよび上記第3カメラは、上記第2側面において重力方向に並べて設けられている。
【0011】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記第1ワーク主軸とは反対側から上記ワークを支持するための第2ワーク主軸を備える。上記複数のカメラの各々は、上記第2ワーク主軸よりも高い位置に配置されている。
【0012】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】工作機械の外観の一例を示す図である。
図2】工作機械の装置構成の一例を示す図である。
図3】工作機械の制御機構の一例を示す図である。
図4】工作機械の扉側から加工エリアを表した正面図を示す。
図5】工作機械の上方から加工エリアを表した平面図を示す。
図6】工作機械の扉側から加工エリアを表した正面図を示す。
図7】工作機械の上方から加工エリアを表した平面図を示す。
図8】工作機械の扉側から加工エリアを表した正面図を示す。
図9】工作機械の上方から加工エリアを表した平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0015】
<A.工作機械100の外観>
まず、図1を参照して、工作機械100の外観について説明する。図1は、工作機械100の外観の一例を示す図である。
【0016】
工作機械100は、カバー体80を有する。カバー体80は、工作機械100の外観をなすとともに、ワークの加工を行うための加工エリアARを区画形成している。
【0017】
また、工作機械100は、扉90を有する。扉90は、作業者によって手動で開閉可能に構成されてもよいし、モータなどの駆動機構により自動で開閉可能に構成されてもよい。作業工程の一例として、作業者は、扉90を開けることで加工対象のワークを加工エリアARにセットする。その後、作業者は、扉90を閉め、ワークの加工を開始する。ワークの加工が完了すると、作業者は、扉90を開け、加工済みのワークを加工エリアARから取り出す。
【0018】
工作機械100には、操作盤400が設けられている。操作盤400は、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ405と、工作機械100に対する各種操作を受け付ける操作キー406とを有する。
【0019】
<B.方向の定義>
以下では、扉90から加工エリアARに向かう水平方向をX軸方向とも称する。また、X軸方向に直交する水平方向をZ軸方向とも称する。X軸方向およびY軸方向の両方に直交する重力方向をY軸方向とも称する。
【0020】
<C.工作機械100の装置構成>
次に、図2を参照して、工作機械100の装置構成について説明する。図2は、工作機械100の装置構成の一例を示す図である。
【0021】
工作機械100は、たとえば、回転するワークに工具を接触させてワークを加工する旋削機能と、回転する工具をワークに接触させてワークを加工するミーリング機能とを備えた複合加工機である。
【0022】
複合加工機としての工作機械100は、たとえば、ベッド95と、第1ワーク主軸110と、第2ワーク主軸120と、工具主軸130と、刃物台150とを有する。
【0023】
ベッド95は、工作機械100内に設けられている各種装置を支持するためのベース部材である。図2の例では、ベッド95は、第1ワーク主軸110、第2ワーク主軸120、工具主軸130および刃物台150を支持している。ベッド95は、工場などの床面に設置される。ベッド95は、鋳鉄などの金属から形成されている。
【0024】
第1ワーク主軸110は、ワークWを保持しながら回転可能に構成されている。より具体的には、第1ワーク主軸110には、第1チャック機構112が設けられている。第1チャック機構112は、第1ワーク主軸110に対してワークWを固定するための機構である。また、第1ワーク主軸110は、第1ワーク主軸110の軸方向に沿う軸AX1を中心として回転可能に構成されている。
【0025】
第2ワーク主軸120は、第1ワーク主軸110とは反対側からワークWを支持しながらワークWを回転する。より具体的には、第2ワーク主軸120は、モータなどの各種駆動機構によってZ軸方向に移動可能に構成され、第1ワーク主軸110とは反対側からワークWを支持する。また、第2ワーク主軸120には、第2チャック機構122が設けられている。第2チャック機構122は、第2ワーク主軸120に対してワークWを固定するための機構である。さらに、第2ワーク主軸120は、第2ワーク主軸120の軸方向に沿う軸AX2を中心として回転可能に構成されている。
【0026】
工具主軸130は、第1ワーク主軸110および第2ワーク主軸120よりも高い位置に設けられている。また、工具主軸130は、工具Tを保持しながら回転可能に構成されている。さらに、工具主軸130は、モータなどの各種駆動機構によって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の各方向に移動可能に構成されている。工具主軸130は、第1ワーク主軸110に固定されているワークWに対して、回転中の工具Tを接触させることでミーリング加工を行う。
【0027】
刃物台150は、タレット152を有する。タレット152は、Z軸方向に平行な軸AX3を中心として旋回可能に構成されている。タレット152は、軸AX3を中心とした周方向に間隔を隔てて複数の工具を保持する。また、刃物台150は、モータなどの各種駆動機構によって、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成されている。刃物台150は、第1ワーク主軸110によって回転駆動されているワークWに対して、タレット152に保持される固定工具を接触させることで旋削加工を行う。
【0028】
<D.工作機械100の制御構成>
次に、図3を参照して、工作機械100の制御機構について説明する。図3は、工作機械100の制御機構の一例を示す図である。
【0029】
図3に示されるように、工作機械100は、制御部50と、駆動部210,220,230A,230Bと、カメラ250と、吐出用ポンプ260と、吐出部265とを含む。
【0030】
制御部50は、工作機械100を制御するための装置である。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。図3の例では、制御部50は、CPU(Central Processing Unit)ユニット200と、CNC(Computer Numerical Control)ユニット300と、操作盤400とで構成されている。
【0031】
駆動部210は、第1ワーク主軸110を駆動するための駆動機構である。駆動部210は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図3の例では、駆動部210は、モータドライバ211Cと、モータ212Cとで構成されている。
【0032】
モータドライバ211Cは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ212Cを制御する。これにより、第1ワーク主軸110に保持されているワークは、第1ワーク主軸110の軸方向(すなわち、Z軸方向)を回転中心として回転する。モータ212Cは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0033】
駆動部220は、第2ワーク主軸120を駆動するための駆動機構である。駆動部220は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図3の例では、駆動部220は、モータドライバ221Zと、モータ222Zとで構成されている。
【0034】
モータドライバ221Zは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ222Zを制御する。これにより、モータ222Zは、Z軸方向の任意の位置に第2ワーク主軸120を移動する。モータ222Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0035】
駆動部230Aは、工具主軸130の位置を移動するための駆動機構である。駆動部230Aは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図3の例では、駆動部230Aは、モータドライバ231X~231Zと、モータ232X~232Zとで構成されている。
【0036】
モータドライバ231Xは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ232Xを制御する。これにより、モータ232Xは、X軸方向の任意の位置に工具主軸130を駆動する。モータ232Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0037】
モータドライバ231Yは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ232Yを制御する。これにより、モータ232Yは、Y軸方向の任意の位置に工具主軸130を駆動する。モータ232Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0038】
モータドライバ231Zは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ232Zを制御する。これにより、モータ232Zは、Z軸方向の任意の位置に工具主軸130を移動する。モータ232Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0039】
駆動部230Bは、工具主軸130を回転駆動するための駆動機構である。駆動部230Bは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図3の例では、駆動部230Bは、モータドライバ231A,231Bと、モータ232A,232Bとで構成されている。
【0040】
モータドライバ231Aは、制御部50から目標回転速度の入力を逐次的に受け、モータ232Aを制御する。モータ232Aは、X軸方向を中心として工具主軸130を旋回駆動する。モータ232Aは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0041】
モータドライバ231Bは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ232Bを制御する。モータ232Bは、工具主軸130の軸方向を回転中心として工具主軸130を回転駆動する。モータ232Bは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0042】
カメラ250は、工作機械100の加工エリアAR内に設けられ、加工エリアARを撮影する。カメラ250は、たとえば、操作盤400に接続される。操作盤400は、カメラ250からの動画像を上述のディスプレイ405に表示する。これにより、作業者は、工作機械100内の様子を確認することができる。
【0043】
吐出部265は、工作機械100の加工エリアAR内に設けられ、工具やワークに向けてクーラントを吐出する。吐出部265は、たとえば、CPUユニット300によって制御される。CPUユニット300は、吐出部265に繋がっている吐出用ポンプ260を制御し、吐出部265によるクーラントの吐出量などを制御する。
【0044】
<E.カメラ250の配置位置>
次に、図4および図5を参照して、工作機械100内におけるカメラ250の配置位置について説明する。図4は、加工エリアARを扉90側から表した正面図を示す。図5は、加工エリアARを上方から表した平面図を示す。
【0045】
加工エリアAR内には、複数のカメラ250が配置されている。図4および図5の例では、2つのカメラ250A,250Bが加工エリアAR内に配置されている。
【0046】
上述の吐出部265は、たとえば、工具主軸130に設けられ、第1ワーク主軸110に保持されているワークWに向けてクーラントCLを吐出する。ワークWに吐出されたクーラントCLは、様々な方向に飛散する。カメラ250A,250Bが第1ワーク主軸110よりも低い位置に設けられている場合、飛散したクーラントCLがカメラ250A,250Bに付着する可能性が高くなる。そこで、カメラ250A,250Bは、重力方向において第1ワーク主軸110よりも高い位置に配置される。これにより、クーラントCLが第1ワーク主軸110からカメラ250A,250Bに飛散することを抑制できる。
【0047】
好ましくは、工具主軸130は、第1ワーク主軸110よりも高い位置に設けられている。カメラ250A,250Bは、ワークWの加工時における工具主軸130の位置よりも高い位置に配置されている。これにより、カメラ250A,250BへのクーラントCLの飛散がより抑制される。
【0048】
また、カメラ250A,250Bが加工エリアAR内の天井81に配置されている場合、工具TによるワークWの加工箇所(以下、「加工点P」ともいう。)は、工具主軸130により遮られてしまいカメラ250A,250Bに写らない可能性がある。そこで、カメラ250A,250Bは、加工点Pが撮影視野CA,CBに含まれるように天井81よりも低い位置に配置される。より具体的には、カメラ250A,250Bは、各撮像光軸が第1ワーク主軸110と工具主軸130との間を通るようにワークWを上方から斜めに見下ろすように配置される。これにより、カメラ250A,250Bは、工具主軸130に遮られずに様々な方向から加工点Pを撮影することができる。
【0049】
なお、工具主軸130は、上述の駆動部230Aによって駆動されてもよい。この場合、工具主軸130の位置は、加工エリアAR内で変わる。その点を考慮して、カメラ250A,250Bは、工具主軸130が加工エリアAR内のいずれの場所に位置していたとしても加工点Pが撮影視野CA,CBに含まれるように配置される。異なる言い方をすれば、カメラ250Aと加工点Pとを結ぶ直線が工具主軸130の移動可能領域に遮られないようにカメラ250Aが配置され、カメラ250Bと加工点Pとを結ぶ直線が工具主軸130の移動可能領域に遮られないようにカメラ250Bが配置される。これにより、カメラ250A,250Bは、工具主軸130の位置に関わらず加工点Pを撮影することができる。なお、カメラが3つ以上存在する場合には、少なくとも2つのカメラにより工具主軸の位置に関わらず加工点Pを撮影することができるように各カメラを配置してもよい。
【0050】
カメラ250Aは、加工エリアAR内の側面82A(第1側面)に設けられている。カメラ250Bは、加工エリアAR内の側面82B(第2側面)に設けられている。側面82Aおよび側面82Bは、加工エリアARを構成する壁の一部であり、互いに対向している。カメラ250Aが側面82Aに設けられ、カメラ250Bが側面82Bに設けられることで、カメラ250A,250Bは、互いに反対方向から加工点Pを撮影することができる。
【0051】
また、カメラ250A,250Bは、正面83から扉90を通じて加工エリアARを視た正面視において、扉90よりも奥側で、かつ、第1ワーク主軸110よりも手前側に配置されている。異なる言い方をすれば、カメラ250A,250Bは、当該正面視において、扉90と第1ワーク主軸110との間に配置されている。これにより、カメラ250A,250Bは、第1ワーク主軸110よりも奥側に配置されている装置に邪魔されずに手前側から加工点Pを撮影することができる。
【0052】
第1ワーク主軸110よりも奥側に配置されている装置の一例としては、工具主軸130が挙げられる。この場合、各装置は、扉90側から「カメラ250A,250B→第1ワーク主軸110→工具主軸130」の順に配置されることになる。これにより、カメラ250A,250Bは、工具主軸130に邪魔されずに手前側から加工点Pを撮影することができる。
【0053】
なお、上述では、第1ワーク主軸110と、工具主軸130と、カメラ250A,250Bとの位置関係について主に説明を行ったが、第2ワーク主軸120と、工具主軸130と、カメラ250A,250Bとの位置関係についても同様のことが言える。
【0054】
一例として、カメラ250A,250Bは、重力方向において第2ワーク主軸120よりも高い位置に配置されている。これにより、クーラントCLが第2ワーク主軸120からカメラ250A,250Bに飛散することを抑制できる。
【0055】
また、カメラ250A,250Bは、正面83から扉90を通じて加工エリアARを視た正面視において、扉90よりも奥側で、かつ、第2ワーク主軸120よりも手前側に配置されている。異なる言い方をすれば、カメラ250A,250Bは、当該正面視において、扉90と第2ワーク主軸120との間に配置されている。これにより、カメラ250A,250Bは、第2ワーク主軸120よりも奥側に配置されている装置に邪魔されずに手前側から加工点Pを撮影することができる。
【0056】
第2ワーク主軸120よりも奥側に配置されている装置の一例としては、工具主軸130が挙げられる。この場合、各装置は、扉90側から「カメラ250A,250B→第2ワーク主軸120→工具主軸130」の順に配置されることになる。これにより、カメラ250A,250Bは、工具主軸130に邪魔されずに手前側から加工点Pを撮影することができる。
【0057】
<F.画像の用途>
次に、上述のカメラ250A,250Bから得られる動画像の用途について説明する。
【0058】
一例として、上述のカメラ250A,250Bから得られた動画像は、操作盤400のディスプレイ405に表示される。このとき、操作盤400は、操作キー406に対するユーザ操作に応じて、カメラ250A,250Bの動画像を切り換える。これにより、作業者は、複数の方向から加工点Pの様子を確認することができる。
【0059】
他の例として、工作機械100は、所定の加工異常が発生したタイミングを含む所定時間の動画像を記憶する。より具体的には、工作機械100は、カメラ250A,250Bから得られた動画像を揮発性の記憶領域に順次記憶していく。当該記憶領域での動画像のデータサイズが所定量を超えると、工作機械100は、古い動画像を新しい動画像で上書きする。そして、工作機械100は、所定の加工異常が発生したことに基づいて、当該発生タイミングを含む所定時間の動画像を不揮発性の記憶領域に移す。これにより、加工異常が発生した前後の動画像が保存され、作業者は、加工点Pの周辺で発生した加工異常の原因を探ることができる。
【0060】
なお、カメラ250Aの性能とカメラ250Bの性能とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。カメラ250A,250Bのパーツは、動画像の用途に応じて適宜変えられる。一例として、画角がより広いレンズがカメラ250A,250Bに採用されてもよいし、最大撮影倍率がより高い亜レンズがカメラ250A,250Bに採用されてもよい。
【0061】
<G.変形例1>
次に、図6および図7を参照して、カメラ250の配置に係る変形例1について説明する。図6は、加工エリアARを扉90側から表した正面図を示す。図7は、加工エリアARを上方から表した平面図を示す。
【0062】
上述の図4および図5に示される例では、カメラ250Aが側面82Aに設けられ、カメラ250Bが側面82Bに設けられていた。これに対して、本変形例では、カメラ250Aおよびカメラ250Bが同一面に設けられている。図6および図7の例では、カメラ250Aおよびカメラ250Bは、同一の側面82Bに設けられている。その他の事項については上述の通りであるので、以下ではそれらの事項については説明を繰り返さない。
【0063】
カメラ250Aおよびカメラ250Bは、たとえば、加工エリアAR内の側面82Bにおいて重力方向に並べて配置されている。このとき、カメラ250Aおよびカメラ250Bは、互いに所定距離を隔てて配置される。これにより、カメラ250Aおよびカメラ250Bは、所定距離の視差がある状態で加工点Pを撮影することができる。作業者は、カメラ250A,250Bの動画像を切り換えて表示することで、距離感を把握しやすくなる。
【0064】
なお、図6および図7の例では、カメラ250Aおよびカメラ250Bは、側面82Bに設けられているが、側面82Aに設けられてもよい。
【0065】
<H.変形例2>
次に、図8および図9を参照して、カメラ250の配置に係る変形例2について説明する。図8は、加工エリアARを扉90側から表した正面図を示す。図9は、加工エリアARを上方から表した平面図を示す。
【0066】
上述の図4および図5の例では、2つのカメラ250A,250Bが加工エリアAR内に配置されていた。これに対して、本変形例では、3つのカメラ250A~250Cが加工エリアAR内に配置されている。その他の事項については上述の通りであるので、以下ではそれらの事項については説明を繰り返さない。
【0067】
本変形例では、カメラ250Aは、加工エリアARの側面82Aに設けられている。また、カメラ250Bおよびカメラ250Cは、側面82Aと対向する側面82Bに設けられている。作業者は、カメラ250A~250Cの動画像を切り換えて表示することで、様々な方向から加工点Pを確認することができる。
【0068】
また、カメラ250Bおよびカメラ250Cは、重力方向に並べて側面82Bに設けられる。このとき、カメラ250Bおよびカメラ250Cは、互いに所定距離を隔てて配置される。これにより、カメラ250Bおよびカメラ250Cは、所定距離の視差がある状態で加工点Pを撮影することができる。作業者は、カメラ250B,250Cの動画像を切り換えて表示することで、距離感を把握しやすくなる。
【0069】
なお、図8および図9の例では、3つのカメラ250A~250Cが加工エリアAR内に配置される例について説明を行ったが、4つ以上のカメラが加工エリアAR内に配置されてもよい。
【0070】
<I.変形例3>
上述では、工作機械100が旋削機能とミーリング機能とを備えた複合加工機である前提で説明を行った。しかしながら、工作機械100は、複合加工機である必要は無い。一例として、工作機械100は、横形または縦形のマシニングセンタであってもよい。
【0071】
マシニングセンタとしての工作機械100は、上述の第1ワーク主軸110と上述の第2ワーク主軸120とを有さずに、工具主軸130のみを有する。そのため、加工エリアAR内でのカメラ250A,250Bの配置位置は、工具主軸130との位置関係で決められる。
【0072】
より具体的には、カメラ250A,250Bは、ワークWの加工時における工具主軸130の位置よりも高い位置に配置されている。これにより、カメラ250A,250BへのクーラントCLの付着を抑制することができる。好ましくは、カメラ250A,250Bは、互いに同じ高さに並べて配置される。
【0073】
また、カメラ250A,250Bは、ワークWの加工点Pが撮影視野CA,CBに含まれるように加工エリアAR内の天井81よりも低い位置に配置される。これにより、カメラ250A,250Bは、工具主軸130に遮られずに加工点Pを撮影することができる。
【0074】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
50 制御部、80 カバー体、81 天井、82A 側面、82B 側面、83 正面、90 扉、95 ベッド、100 工作機械、110 第1ワーク主軸、112 第1チャック機構、120 第2ワーク主軸、122 第2チャック機構、130 工具主軸、150 刃物台、152 タレット、200 CPUユニット、210 駆動部、211C モータドライバ、212C モータ、220 駆動部、221Z モータドライバ、222Z モータ、230A 駆動部、230B 駆動部、231A モータドライバ、231B モータドライバ、231X モータドライバ、231Y モータドライバ、231Z モータドライバ、232A モータ、232B モータ、232X モータ、232Y モータ、232Z モータ、250 カメラ、250A カメラ、250B カメラ、250C カメラ、260 吐出用ポンプ、265 吐出部、300 CPUユニット、300 CNCユニット、400 操作盤、405 ディスプレイ、406 操作キー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9