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特開2024-67084CT装置、再構成方法、および再構成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067084
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】CT装置、再構成方法、および再構成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20240510BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240510BHJP
【FI】
G01N23/046
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176902
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】原 拓生
(72)【発明者】
【氏名】山本 輝夫
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001FA29
2G001HA08
2G001HA13
2G001HA14
2G001JA08
2G001PA12
(57)【要約】
【課題】計算時間を短縮して効率的に再構成を実行することができるCT装置、再構成方法、および再構成プログラムを提供する。
【解決手段】逐次近似法を用いて画像を再構成するCT装置100であって、CT装置100は、出力部Oおよび入力部Iが接続された制御部4を含み、制御部4は、順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差分を逆投影して画像を更新し、出力部Oに更新画像を表示する逐次近似処理部442と、逐次近似処理部442による再構成を繰り返す回数を記憶する繰り返し回数記憶部441と、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を、入力部Iを介して入力された繰り返し回数に変更する繰り返し回数変更部445と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逐次近似法を用いて画像を再構成するCT装置であって、
前記CT装置は、出力部および入力部が接続された制御部を含み、
前記制御部は、
順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差分を逆投影して画像を更新し、前記出力部に更新画像を表示する逐次近似処理部と、
前記逐次近似処理部による再構成を繰り返す回数を記憶する繰り返し回数記憶部と、
前記繰り返し回数記憶部に記憶されている繰り返し回数を、前記入力部を介して入力された繰り返し回数に変更する繰り返し回数変更部と、を含むCT装置。
【請求項2】
前記繰り返し回数変更部は、前記繰り返し回数記憶部に記憶されている繰り返し回数を増減可能に構成される請求項1記載のCT装置。
【請求項3】
前記繰り返し回数記憶部が記憶している繰り返し回数再構成が終了する前に、前記逐次近似処理部による再構成を一時停止させる再構成一時停止部をさらに含み、
前記繰り返し回数変更部は、前記再構成一時停止部により再構成が一時停止された場合、前記逐次近似処理部による再構成の繰り返し回数を増加可能に構成される請求項1記載のCT装置。
【請求項4】
前記逐次近似処理部による再構成を終了させる再構成終了部をさらに含む請求項1または2記載のCT装置。
【請求項5】
前記入力部を介した繰り返し回数に関する入力を受け付けるユーザインタフェースを前記出力部に表示するインタフェース表示部をさらに含む請求項1又は2記載のCT装置。
【請求項6】
前記逐次近似処理部が画像を更新する度に、生成された更新画像を繰り返し回数と対応付けて記憶する画像記憶部をさらに含む請求項1または2記載のCT装置。
【請求項7】
逐次近似法を用いてコンピュータまたは電子回路で画像を再構成する方法であって、
前記コンピュータまたは電子回路が、
順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差分を逆投影して画像を更新する逐次近似処理と、
前記逐次近似処理による再構成を繰り返す回数を記憶する繰り返し回数記憶処理と、
前記繰り返し回数記憶処理において記憶されている繰り返し回数を、入力された繰り返し回数に変更する繰り返し回数変更処理と、
を実行する再構成方法。
【請求項8】
逐次近似法を用いてコンピュータまたは電子回路に画像を再構成させる再構成プログラムであって、
前記コンピュータまたは電子回路に、
順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差分を逆投影して画像を更新する逐次近似処理と、
前記逐次近似処理による再構成を繰り返す回数を記憶する繰り返し回数記憶処理と、
前記繰り返し回数記憶処理において記憶されている繰り返し回数を、入力された繰り返し回数に変更する繰り返し回数変更処理と、
を実行させる再構成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、逐次近似法を用いて画像を再構成するCT装置、再構成方法、および再構成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CT装置は、放射線として例えばX線ビームを照射する放射線源と、この放射線源に対向して設けられ、X線ビームを検出する検出器とを備える。放射線源と検出器との間には、被検査物が載置される検査台が設けられ、被検査物に対してX線ビームが照射される間にこの検査台が1回転することにより、全方位からの透視画像が得られる。この透視画像を再構成することにより、被検査物の断面が像であるCT画像が得られる。
【0003】
再構成方法として、画質を良くする目的で逐次近似法が用いられる場合がある。逐次近似法では、被検体の所望の断面の上に設定した被検体全体を含む再構成領域に対し、初期の再構成像を設定し、経路ごとにこの再構成像を再投影する。再投影データと測定投影データの差分を求め、求めた差分データを再構成像上に逆投影して更新する。そして、繰り返し回数に基づいて、経路を変えて再投影ないし逆投影を繰り返すことで、差分は次第に0に近づき、再構成像が被検体の断面像として得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-141608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
逐次近似法を用いて画像を再構成する場合、予め設定された繰り返し回数を満たすと再構成画像が出力される。一般に逐次近似法においては再構成する回数を増やすことで画像が鮮明になる。ただし、繰り返し計算が収束してしまった場合、さらに繰り返し計算を行っても画像に変化はないため、無駄な再構成を繰り返すことになる。また、繰り返し計算を続けることで発散し、画像が乱れる可能性もある。
【0006】
そのため、ユーザは、再構成中の画像を確認して必要な画質が得られたと判断した時点で、繰り返し処理を中断して再構成画像を出力する。ユーザは、経験的に処理時間と画質とを考慮して繰り返し処理を中断するが、その時点で繰り返し計算が収束しているとは限らない。いったん繰り返し計算を終了して再構成画像を出力した後に画像が不十分であると判断した場合には、繰り返し計算を1回目からやり直して再構成する必要が生じる。
【0007】
本実施形態は、上記課題を解決すべく、計算時間を短縮して効率的に再構成を実行することができるCT装置、再構成方法、および再構成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のCT装置は、逐次近似法を用いて画像を再構成するCT装置であって、次のような構成を備える。
(1)前記CT装置は、出力部および入力部が接続された制御部を含み、前記制御部は、順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差分を逆投影して画像を更新し、前記出力部に更新画像を表示する逐次近似処理部と、前記逐次近似処理部による再構成を繰り返す回数を記憶する繰り返し回数記憶部と、前記繰り返し回数記憶部に記憶されている繰り返し回数を、前記入力部を介して入力された繰り返し回数に変更する繰り返し回数変更部と、を含む。
【0009】
実施形態のCT装置は、さらに次のような構成を備えてもよい。
(1)前記繰り返し回数変更部は、前記繰り返し回数記憶部に記憶されている繰り返し回数を増減可能に構成される。
【0010】
(2)前記繰り返し回数記憶部が記憶している繰り返し回数の再構成が終了する前に、前記逐次近似処理部による再構成を一時停止させる再構成一時停止部をさらに含み、前記繰り返し回数変更部は、前記再構成一時停止部により再構成が一時停止された場合、前記逐次近似処理部による再構成の繰り返し回数を増加可能に構成される。
【0011】
(3)前記逐次近似処理部による再構成を終了させる再構成終了部をさらに含む。
【0012】
(4)前記入力部を介した繰り返し回数に関する入力を受け付けるユーザインタフェースを前記出力部に表示するインタフェース表示部をさらに含む。
【0013】
(5)前記逐次近似処理部が画像を更新する度に、生成された更新画像を繰り返し回数と対応付けて記憶する画像記憶部をさらに含む。
【0014】
本発明は、CT装置以外にも、コンピュータまたは電子回路が各処理を実行する再構成方法の発明や、コンピュータまたは電子回路に各処理を実行させる再構成プログラムの発明として捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るCT装置を示す模式図である。
図2】実施形態に係る制御部を示す機能ブロック図である。
図3】実施形態に係る再構成部を示す機能ブロック図である。
図4】実施形態に係るCT装置の動作を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係るインタフェース表示部が表示するユーザインタフェースの一例であり、(a)および(b)ともにダイアログボックスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.実施形態]
[1-1.実施形態の構成]
以下、実施形態に係る再構成方法を用いるCT装置100の構成について、図1乃至図3を参照しつつ説明する。CT装置100は、被検査物Wに放射線を照射し、被検査物Wを透過した放射線を検出する。この検出結果に基づき、CT装置100は、被検査物WのCT画像を生成する。図1に示すように、CT装置100は、被検査物Wが載置される検査台1と、被検査物Wの透視画像を撮像する放射線源2および検出器3と、を備える。さらに、CT装置100は、検査台1、放射線源2、検出器3の動作を制御する制御部4を備える。
【0017】
検査台1は、被検査物Wを載置する載置面を有する台である。検査台1は、移動機構11と回転機構12を備える。移動機構11は、載置面を平行な方向または垂直な方向に移動させる。移動機構11としては、例えば、サーボモータによって駆動されるボールねじ機構を用いることができる。移動機構11は、サーボモータの駆動により、検査台1の載置面に平行な方向または垂直な方向に被検査物Wを移動させる。移動機構11の移動によって、放射線ビームの光軸に被検査物Wを合わせることができる。
【0018】
回転機構12は、検査台1の載置面に垂直な方向を軸に載置面を回転させる。回転機構12は、移動機構11の下に設けられ、例えば、モータ等の駆動源を含んでなるアクチュエータである。なお、移動機構11の上に回転機構12が設けられてもよい。回転機構12は、載置面に垂直な軸を中心に当該載置面を回転させる。この回転によって、被検査物Wを全方位から撮像して透視画像を取得し、これら透視画像からCT画像を再構成することができる。
【0019】
放射線源2は、被検査物Wに放射線ビームを照射する。放射線ビームは、焦点を頂点として角錐形状に拡大する放射線の束である。放射線源2は、例えばX線管であり、放射線は、例えばX線である。検出器3は、放射線源2に対向して設けられる。よって、放射線源2と検出器3の間に、検査台1および被検査物Wが位置する。検出器3は、放射線の透過経路に応じて減弱した放射線強度の二次元分布を検出し透視画像を出力する。検出器3は、例えばフラットパネルディテクタ(FPD)により構成される。
【0020】
制御部4は、図2に示すように、検査台制御部41と、放射線源制御部42と、検出器制御部43と、を備える。検査台制御部41は、検査台1の移動機構11および回転機構12を制御する処理部である。放射線源制御部42は、放射線源2を制御する処理部である。検出器制御部43は、検出器3を制御する処理部である。さらに、制御部4は、検出器3が収集したデータを取り込み、このデータを再構成し、CT画像を生成する画像処理部44を備える。
【0021】
制御部4は、所定のプログラムで動作するコンピュータおよびドライバ回路により構成される。コンピュータは、HDDまたはSSDといったストレージ、RAM、CPUなどにより構成される。また、制御部4の各処理をコンピュータが実行するCT装置100の制御方法や再構成方法として捉えることもでき、制御方法や再構成方法の各処理をコンピュータに実行させるCT装置100の制御プログラムや再構成プログラムとして捉えても良い。なお、ハードウェアでの処理範囲や、プログラムを含むソフトウェアでの処理範囲に関しても適宜設定可能であり、特定の態様に限定されない。
【0022】
なお、制御部4には入力部Iおよび出力部Oが接続される、オペレータは入力部Iを介して制御部4にCT装置100の各構成を制御させる。また、出力部Oは、画像処理の結果やGUIを表示するディスプレイ等の表示部である。出力部Oは、例えば、再構成により生成された更新画像を繰り返し回数に対応付けて表示するように構成される。
【0023】
検査台制御部41は、検査台1の移動機構11および回転機構12を制御する。具体的には、検査台1に載置された被検査物Wを放射線ビームの光軸に合わせ、被検査物Wを放射線ビームの照射中に1回転させるように検査台1を制御する。放射線源制御部42は、放射線源2を制御し、被検査物Wに放射線ビームを照射させる。すなわち、検査台制御部41および放射線源制御部42の制御により、被検査物Wを回転させながら放射線ビームを照射させ、全方位からの被検査物Wのデータを検出器3に取得させる。検出器制御部43は検出器3にデータ収集指示を送信し、被検査物Wのデータ収集を開始させる。
【0024】
画像処理部44は、データ取り込み部44aと、再構成部44bと、を備える。データ取り込み部44aは、検出器3が収集した被検査物Wのデータを取り込む処理部である。データ取り込み部44aは、検出器3が被検査物Wのデータ収集を終了すると同時にデータを取り込み記憶する。再構成部44bは、データ取り込み部44aが取り込んだデータに基づいて、逐次近似法により画像の再構成を行う処理部である。
【0025】
再構成部44bの詳細な構成について、図3を参照して説明する。再構成部44bは、繰り返し回数記憶部441、逐次近似処理部442、画像記憶部443、インタフェース表示部444、繰り返し回数変更部445、再構成一時停止部446、再構成終了部447、を有する。繰り返し回数記憶部441は、逐次近似処理部442による再構成を繰り返す回数を記憶する記憶部である。繰り返し回数記憶部441には、ユーザが入力部Iを介して予め入力した繰り返し回数が記憶されている。なお、繰り返し回数記憶部441に、繰り返し回数のデフォルト値を記憶させておくことで、ユーザによる初回の繰り返し回数の入力を省略する構成としても良い。
【0026】
逐次近似処理部442は、順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差分を逆投影して画像を更新する処理部である。逐次近似処理部442は、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数に基づいて再構成処理を行う。逐次近似処理部442は、更新画像を生成する度に、生成された更新画像を画像記憶部443と出力部Oに出力する。画像記憶部443は、生成された更新画像を繰り返し回数と対応付けて記憶する記憶部である。また、出力部Oは、生成された更新画像を繰り返し回数と対応付けて表示し、各繰り返し回数における更新画像をユーザが確認できる状態とする
【0027】
インタフェース表示部444は、繰り返し回数に関する入力を受け付けるユーザインタフェースを出力部Oに表示する処理部である。繰り返し回数に関する入力は、テキストボックス等による数値入力、表示される数値の選択、および表示されるボタンの選択を含む。インタフェース表示部444により出力されるユーザインタフェースは、例えばダイアログとしても良く、もともとプログラム画面に組み込まれていても良い。
【0028】
ユーザインタフェースは、例えば、設定された繰り返し回数や現在の繰り返し回数など、繰り返し回数に関する情報を表示し得る。また、再構成を中止または終了するか否かを選択するボタンを含み得る。さらに、現在の繰り返し回数から増減させた繰り返し回数を入力ためのテキストボックスや、入力した繰り返し回数を反映するためのボタンを含み得る。ユーザは、入力部Iを介してユーザインタフェースに対する入力を行うことができる。
【0029】
繰り返し回数変更部445は、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を、入力部Iを介して入力された繰り返し回数に変更するための処理部である。すなわち、繰り返し回数変更部445は、インタフェース表示部444が表示したユーザインタフェースにおいて入力された繰り返し回数に基づいて、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を変更する。インタフェース表示部444が出力したインタフェースを介してユーザが繰り返し回数の変更を行った場合、繰り返し回数変更部445は、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を、入力部Iを介してユーザが入力した値に変更する。この繰り返し回数変更部445による繰り返し回数の変更は、逐次近似処理部442の処理中であっても適用可能に構成されている。
【0030】
再構成一時停止部446は、逐次近似処理部442による再構成を一時的に停止させる処理部である。再構成一時停止部446は、繰り返し回数記憶部441が記憶している繰り返し回数の再構成が終了する前に、逐次近似処理部442による再構成を一時停止させる。例えば、再構成一時停止部446は、繰り返し回数N-1の再構成が終了した時点で、再構成を一時停止するように構成できる。具体的には、繰り返し回数記憶部441に記憶される繰り返し回数が100の場合、再構成一時停止部446は、99回目の再構成が終了した時点で逐次近似処理部442による再構成を一時停止する。一時停止とは、再構成処理を終了させずに、再構成処理を中断させることを意味する。
【0031】
再構成一時停止部446が再構成を一時停止するタイミングは、繰り返し回数N-1に限定されず、繰り返し回数N-2や繰り返し回数N-10など任意に設定可能である。例えば、繰り返し回数N-1や繰り返し回数N-2において再構成を一時停止させることで、再構成処理の終盤においてユーザに繰り返し計算の内容を確認させることができる。また、繰り返し回数Nの再構成が終了する前に、すなわちN回目の再構成の途中で再構成を一時停止する構成としても良い。具体的には、繰り返し回数記憶部441に記憶される繰り返し回数が100の場合、再構成一時停止部446は、100回目の再構成の途中で逐次近似処理部442による再構成を一時停止することもできる。
【0032】
再構成終了部447は、逐次近似処理部442による再構成を終了させる処理部である。インタフェース表示部444が出力したインタフェースを介してユーザが再構成を終了する旨の選択をした場合、再構成終了部447は、繰り返し回数が所定の回数に到達していなくとも、逐次近似処理部442による再構成を終了させる。
【0033】
[1-2.実施形態の作用]
本実施形態の再構成手順について、図4および5を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態の画像再構成方法により画像を再構成する処理を示すフローチャートである。図5は、インタフェース表示部444が出力するダイアログの例を示す。なお、以下の説明では、再構成の繰り返しに関するフローについて具体的に説明し、CT装置100の制御や再構成の演算処理に関する説明については省略する。
【0034】
まず、再構成処理を実行する際には、ユーザは入力部Iを介して再構成の繰り返し回数Nを例えば100と入力し、繰り返し回数記憶部441は入力された値を記憶する(ステップS01)。その後、再構成を開始する旨の入力を受け付けると、データ取り込み部44aが取り込んだデータに基づいて、逐次近似処理部442が再構成を開始する(ステップS02)。逐次近似処理部442が画像の更新を行う度に、画像記憶部443が生成された更新画像を繰り返し回数と紐づけて記憶する。また、逐次近似処理部442は、生成された更新画像を出力部Oに出力し、出力部Oが更新画像を表示する(ステップS03)。
【0035】
出力部Oに更新画像が表示されると、インタフェース表示部444は、繰り返し回数に関する入力を受け付けるインタフェースを生成し出力部Oに表示する(ステップS04)。インタフェース表示部444は、例えば図5(a)に示すダイアログボックスD1を、出力部Oが表示する更新画像の上に重ねて表示しても良い。図5(a)に示すダイアログボックスD1は、繰り返し回数の変更に関する入力を受け付けるインタフェースである。
【0036】
ダイアログボックスD1には、ユーザに確認させるために予め設定された繰り返し回数と、現在の再構成の繰り返し回数が表示されていてよい。ダイアログボックスD1は、再構成の中止を選択させる中止ボタンB1を含む。また、ダイアログボックスD1は、繰り返し回数の変更値を入力するテキストボックスT1と、テキストボックスT1に入力された値を適用するための回数変更ボタンB2を含む。
【0037】
図4に示す通り、ユーザが入力部Iを介して中止ボタンB1を選択すると、再構成終了部447は、繰り返し回数が所定の回数に到達していなくとも、逐次近似処理部442による再構成を終了させる(ステップS05 YES)。再構成が中止されると、中止される前の再構成により得られた更新画像が出力部Oに出力され、再構成処理が終了される。中止ボタンB1が選択されない場合には、再構成処理は継続される(ステップS05 NO)。
【0038】
逐次近似処理部442は、図4の例では繰り返し回数N-1に至るまで再構成処理を続けるが、繰り返し回数がN-1に至る前であっても(ステップS06 NO)、ユーザは繰り返し回数Nを変更可能である(ステップS11 YES)。すなわち、例えば図5(a)に示すダイアログボックスD1において、ユーザがテキストボックスT1に、80や200等、予め設定されている繰り返し回数である100を増減させる繰り返し回数を入力し、回数変更ボタンB2を選択して反映する(ステップS12)。
【0039】
すると、図4に示す通り、繰り返し回数変更部445は、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を、入力部Iを介してユーザが入力した値に変更して記憶させ(ステップS01)、再構成処理を継続する。なお、繰り返し回数Nの変更が行われない場合には(ステップS11 NO)、あらかじめ設定された繰り返し回数N-1まで再構成処理は継続される。
【0040】
繰り返し回数記憶部441が記憶している繰り返し回数N-1の再構成が終了すると(ステップS06 YES)、再構成一時停止部446は逐次近似処理部442による再構成を一時停止させる(ステップS07)。出力部Oに繰り返し回数N-1における更新画像が表示されると、インタフェース表示部444は、再構成の終了や繰り返し回数に関する入力を受け付けるインタフェースを生成し出力部Oに表示する(ステップS08)。
【0041】
インタフェース表示部444は、例えば図5(b)に示すダイアログボックスD2を、出力部Oが表示する更新画像の上に重ねて表示する。図5(b)に示すダイアログボックスD2は、再構成を終了するか否か、および繰り返し回数の変更を行うか否かをユーザに選択させるインタフェースである。ダイアログボックスD2は、例えば、繰り返し回数が100に設定されている場合、繰り返し回数99回目の再構成が終了した場合に表示される。
【0042】
ダイアログボックスD2には、ユーザに確認させるために予め設定された繰り返し回数と、現在の再構成の繰り返し回数が表示されていてよい。ダイアログボックスD2には、「次の計算で再構成を終了しますか?」というメッセージMが表示される。メッセージMの近傍には、ユーザが次の計算で再構成を終了させるための終了ボタンB3が表示される。また、ダイアログボックスD2は、ダイアログボックスD1と同様に、繰り返し回数の変更値を入力するテキストボックスT1と、テキストボックスT1に入力された値を適用するための回数変更ボタンB2を含む。
【0043】
図4に示す通り、ユーザは、繰り返し回数100回を超えて再構成を行いたい場合(ステップS09 YES)には、テキストボックスT1に、例えば200等、予め設定されている繰り返し回数を超える計算回数を入力し、回数変更ボタンB2を押して反映する(ステップS12)。なお、ダイアログボックスD2では、テキストボックスT1に予め設定された繰り返し回数を下回る値が入力された場合、エラーメッセージを表示しても良い。繰り返し回数変更部445は、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を、入力部Iを介してユーザが入力した値に変更して記憶させ(ステップS01)、再度ステップS02以降に進む。
【0044】
一方、繰り返し回数100回目の再構成で再構成処理を終了しても良い場合には、ユーザが終了ボタンB3を押下する(ステップS09 NO)。すると、設定されている繰り返し回数Nは変更されず、繰り返し回数100回目の再構成が行われる(ステップS10)。繰り返し回数100回目の再構成が終了すると再構成処理は終了する。
【0045】
[1-3.実施形態の効果]
(1)本実施形態のCT装置100は、逐次近似法を用いて画像を再構成するCT装置100であって、CT装置100は、出力部Oおよび入力部Iが接続された制御部4を含み、制御部4は、順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差分を逆投影して画像を更新し、出力部Oに更新画像を表示する逐次近似処理部442と、逐次近似処理部442による再構成を繰り返す回数を記憶する繰り返し回数記憶部441と、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を、入力部Iを介して入力された繰り返し回数に変更する繰り返し回数変更部445と、を含む。
【0046】
従来のCT装置において、いったん繰り返し計算を終了した後に、再構成処理が不十分であると判断した場合には、繰り返し計算を1回目からやり直して再構成する必要が生じていた。再構成処理における計算結果は常に同一であるため、そもそも処理時間の長い逐次近似法において繰り返し計算を1回目からやり直すことは、ユーザにとって大きな負担となっていた。
【0047】
一方、CT装置100の制御部4は、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を、入力部Iを介して入力された繰り返し回数に変更する繰り返し回数変更部445を含む。そのため、逐次近似処理部442による再構成が行われている最中であっても、繰り返し回数を変更することが可能となる。すなわち、繰り返し計算を終了することなく、繰り返し回数を変更できるため、繰り返し計算を1回目からやり直す必要がない。以上より、計算時間を短縮して効率的に再構成を実行することができるCT装置100、置再構成方法、および再構成プログラムを提供することが可能となる。
【0048】
(2)繰り返し回数変更部445は、繰り返し回数記憶部441に記憶されている繰り返し回数を増減可能に構成される。
【0049】
CT装置100では、繰り返し回数を増加させることも、低減させることも可能である。すなわち、ユーザが再構成中に繰り返し計算が収束に向かっていない、と判断した場合には、繰り返し計算を増加させることが可能となる。また、例えば、繰り返し計算を100回に設定した場合であっても、繰り返し計算50回目において収束に向かいつつあると判断した場合には、最終的な繰り返し計算を80回に低減させて変更させることもできる。以上のように、実際の再構成の更新画像を確認して、再構成処理を終了させずに、繰り返し回数を増減することが可能となる。従って、繰り返し計算をやり直す必要が無く、また繰り返し計算の発散を抑制することが可能となる。
【0050】
(3)繰り返し回数記憶部441が記憶している繰り返し回数の再構成が終了する前に、逐次近似処理部442による再構成を一時停止させる再構成一時停止部446をさらに含み、繰り返し回数変更部445は、再構成一時停止部446により再構成が一時停止された場合、逐次近似処理部442による再構成の繰り返し回数を増加可能に構成される。
【0051】
従来のCT装置では、設定した繰り返し回数分の再構成を終えると、再構成処理そのものが終了されていた。従って、ユーザは、処理終了後の更新画像を確認して繰り返し計算が足りないと判断した場合には、1回目の再構成からやり直す必要があった。
【0052】
しかし、CT装置100では、繰り返し回数記憶部441が記憶している繰り返し回数Nの再構成が終了する前に、再構成一時停止部446が、再構成を一時停止する。そのため、再構成処理の終盤において再構成処理の終了が保留された状態とすることができ、ユーザの選択がない限りは再構成処理は終了されない。この状態で、ユーザが繰り返し計算が足りないと判断した場合には、入力部Iを介して入力した値に繰り返し回数を増加することが可能となる。
【0053】
(4)逐次近似処理部442による再構成を終了させる再構成終了部447をさらに含む。
【0054】
再構成終了部447により、繰り返し回数が所定の回数に到達していなくとも、逐次近似処理部442による再構成を終了させることができる。従って、ユーザが更新画像を確認して十分な繰り返し計算が行われていると判断した場合には、再構成処理を終了させることが可能となる。
【0055】
(5)入力部Iを介した繰り返し回数に関する入力を受け付けるユーザインタフェースを出力部Oに表示するインタフェース表示部444を更に含む。
【0056】
インタフェース表示部444は、例えば繰り返し回数N-1に至るまでは繰り返し回数を増減可能に構成されたユーザインタフェースを表示する。また、インタフェース表示部444は、再構成一時停止部446が逐次近似処理部442による再構成を一時停止させた場合には、繰り返し回数を増加可能に構成されたユーザインタフェースを表示する。従って、インタフェース表示部444が計算の状況に合わせて表示するユーザインタフェースを用いることにより、ユーザは繰り返し回数に関する入力を容易に行うことが可能となる。
【0057】
(6)逐次近似処理部442が画像を更新する度に、生成された更新画像を繰り返し回数と対応付けて記憶する画像記憶部443をさらに含む。
【0058】
画像記憶部443が、生成された更新画像を繰り返し回数と対応付けて記憶するため、例えばユーザが再構成処理を中断した場合であっても、中断した回数における更新画像を取り出すことが可能となる。
【0059】
[3.他の実施形態]
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0060】
(1)上述の通り、繰り返し回数記憶部441に、繰り返し回数のデフォルト値を記憶させておくことで、ユーザによる初回の繰り返し回数の入力を省略する構成とすることもできる。このデフォルト値とは任意の値でもよく、また繰り返し回数を未設定、すなわち無限としても良い。繰り返し回数を無限として再構成処理をスタートした後に、ユーザが繰り返し回数を後から入力し、繰り返し回数変更部445が繰り返し回数を入力された値に変更しても良い。
【0061】
(2)上述の通り、CT装置100は、画像記憶部443を含み、逐次近似処理部442が画像を更新する度に、生成された更新画像を繰り返し回数と対応付けて記憶する。CT装置100に、画像検索部をさらに設け、繰り返し回数により更新画像を検索可能に構成しても良い。例えば繰り返し回数100回で再構成を行い、100回目の更新画像が発散していた場合に、発散前の更新画像が50回目である場合に、更新画像を検索して収束したデータを得ることが可能となる。従って、再度再構成処理を行う必要がなくなるため効率的な再構成処理を行うことができる。
【0062】
100:CT装置
I:入力部
O:出力部
W:被検査物
1:検査台
11:移動機構
12:回転機構
2:放射線源
3:検出器
4:制御部
41:検査台制御部
42:放射線源制御部
43:検出器制御部
44:画像処理部
44a:データ取り込み部
44b:再構成部
441:繰り返し回数記憶部
442:近似処理部
443:画像記憶部
444:インタフェース表示部
445:繰り返し回数変更部
446:再構成一時停止部
447:再構成終了部
D1、D2:ダイアログボックス
B1:中止ボタン
B2:回数変更ボタン
B3:終了ボタン
T1:テキストボックス
M:メッセージ
図1
図2
図3
図4
図5