(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067087
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/00 20060101AFI20240510BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B65H1/00 501A
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176910
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】藪根 弘和
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA07
3F048BB09
3F048CA03
3F048CA05
3F048CB17
3F048DA01
3F048DC00
3F048DC06
3F048EB02
3F343FA02
3F343FB04
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA17
3F343HD16
3F343KB03
3F343KB20
3F343LA04
3F343LA13
3F343LA14
3F343LC04
3F343LD12
3F343MA02
3F343MA09
3F343MA22
3F343MA26
3F343MA32
(57)【要約】
【課題】サイドフェンスの上下で開き方に差異が生じても用紙幅を正しく検知する。
【解決手段】給紙台11と、給紙台11に積載している用紙に当接するよう用紙幅方向に可動可能なサイドフェンス11cと、サイドフェンス11cのボリューム値(開き量)を検出するポテンショメータ11dと、給紙台の高さ位置に応じた少なくとも2以上の用紙幅の基準値を備え、基準値とポテンショメータ11dが検出したサイドフェンス11cのボリューム値(開き量)に基づき用紙の用紙幅を算出するCPU17aとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙台と、
前記給紙台に積載している用紙に当接するよう用紙幅方向に可動可能なサイドフェンスと、
前記サイドフェンスの開き量を検出する検出部と、
前記給紙台の高さ位置に応じた少なくとも2以上の用紙幅の基準値を備え、
前記基準値と検出部が検出した前記サイドフェンスの開き量に基づき前記用紙の用紙幅を算出する
ことを特徴とする給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドフェンスの上下で開き方に差異が生じても用紙幅を正しく検知する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、複数の用紙格納手段を有し、例えば、A4,B4等の定型紙や、封筒の用紙を格納し、指定された用紙格納手段から該当の用紙を給紙して印刷を行う。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポテンショメータを用いたサイズ検知についてポテンショメータの出力により印刷用紙の用紙幅を検知について記載されている。特許文献1に記載の印刷装置では、給紙台の用紙幅は、サイドフェンスと連動したポテンションメータのボリューム値により検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大容量給紙装置のようにサイドフェンスが垂直方向に長く上下で連動するような機構において、サイドフェンスの開き量は上下で異なる為、給紙台の上下位置によって異なる用紙幅を検知してしまう場合がある。
【0006】
具体的には、サイドフェンスを用紙幅に向かって閉じる際に、下が開いた八の字状や、上が開いた逆八の字状となることがあり、サイドフェンスの開き量だけでは用紙幅を正確に検知できない可能性があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、用紙幅を正確に検知する給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る給紙装置の特徴は、
給紙台と、
前記給紙台に積載している用紙に当接するよう用紙幅方向に可動可能なサイドフェンスと、
前記サイドフェンスの開き量を検出する検出部と、
前記給紙台の高さ位置に応じた少なくとも2以上の用紙幅の基準値を備え、
前記基準値と検出部が検出した前記サイドフェンスの開き量に基づき前記用紙の用紙幅を算出する
ことにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る給紙装置の特徴によれば、サイドフェンスの上下で開き方に差異が生じても用紙幅を正しく検知することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る実施の形態の給紙装置と、印刷装置とを備えた印刷システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す給紙装置のサイド給紙台の内部を示した斜視図である。
【
図3】(a)は、本発明に係る実施の形態の給紙装置が備えるメモリに記憶された給紙台の下限位置での用紙幅基準情報の一例を示しており、(b)は、本発明に係る実施の形態の給紙装置が備えるメモリに記憶された給紙台の上限位置での用紙幅基準情報の一例を示しており、(c)は、用紙幅とボリューム値との関係性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0012】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
<印刷システムの構成>
図1は、本発明に係る実施の形態の給紙装置1と、印刷装置2とを備えた印刷システムの概略構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、給紙装置1は、印刷装置2に対しA4サイズやB5サイズ等の普通の用紙である定形紙または封筒の用紙を供給するもので、印刷装置2内に給紙部として組み込まれていても良い。
【0015】
給紙装置1は、定形紙または封筒の用紙を供給する給紙台11と、給紙ローラ12と、給紙モータ13と、レジストローラ14と、レジストモータ15と、上下動モータ16と、制御部17、ポテンショメータ11dとを備える。
【0016】
給紙台11は、定形紙または封筒の用紙Pが積載されるものである。給紙台11は、サイドフェンス11cを有し、サイドフェンス11cにより、用紙幅方向が規制される。
【0017】
給紙ローラ12は、給紙台11に積載された定形紙または封筒の用紙Pを1枚ずつピックアップしてレジストローラ14に向けて搬送する。給紙ローラ12は、給紙台11の上側に配置されている。
【0018】
給紙モータ13は、エンコード付きモータで、制御部17からの指令に基づいて給紙ローラ12を回転駆動させる。
【0019】
レジストローラ14は、給紙ローラ12の下流側に配置されており、給紙ローラ12により搬送されてきた用紙Pを一旦止め、印刷装置2に向けて搬送する。
【0020】
レジストモータ15も、エンコード付きモータで、制御部17からの指令に基づいてレジストローラ14を回転駆動させる。
【0021】
上下動モータ16は、エンコード付きモータで、制御部17からの指令に基づいて給紙台11を上下動させる。
【0022】
ポテンショメータ11dは、サイドフェンス11cの開きを示すボリューム値を検出する。
【0023】
制御部17は、CPU17aとメモリ17bとを備えている。
【0024】
CPU17aは、メモリ17bに格納されたプログラムによって給紙装置1全体の各部の構成の動作を制御する。また、CPU17aは、給紙台11に置かれた用紙Pである定形紙または封筒の給紙設定に応じて各部、特に給紙モータ13やレジストモータ15、上下動モータ16等に指令を送って、給紙台11に置かれた用紙が印刷装置2へ給紙を行う。また、CPU17aは、後述する基準用紙幅(基準値)とポテンショメータ11dが検出したボリューム値に基づき用紙の用紙幅を算出する。
【0025】
メモリ17bは、CPU17aの動作プログラムを記憶する。また、メモリ17bは、後述する用紙幅基準情報や、給紙台11の給紙台位置(高さ情報)を記憶する。
【0026】
印刷装置2は、給紙装置1の下流側に配置されており、主にベルト搬送部21とインクジェット印刷部22とを備え、給紙装置1から給紙された用紙Pである定形紙または封筒を搬送しつつ、給紙された用紙に対し印刷を行う。
【0027】
ベルト搬送部21は、レジストローラ14により搬送されてきた用紙をベルト上に吸保持して搬送する。ベルト搬送部21のベルトが掛け渡されたローラが図示しないモータにより駆動されることにより、ベルトが回転し、ベルト上の用紙が搬送される。
【0028】
インクジェット印刷部22は、用紙Pの搬送方向と略直交する方向(前後方向)に複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッドを有する。インクジェット印刷部22は、ベルト搬送部21の上方に配置され、ベルト搬送部21により搬送される用紙に対しインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を印刷する。
【0029】
図2は、
図1に示す給紙装置1の給紙台11の周囲を示した斜視図である。
【0030】
図2に示すように、給紙台11には、積載された用紙の一対の側縁を案内する一対のサイドフェンス11c,11cが設けられている。一対のサイドフェンス11cは、用紙の給紙方向に対して平行となるように給紙台11の上面に配置されている。図示はしないが、給紙台11の上面には、サイドフェンス11c,11cごとに、給紙方向に直交する用紙Pの幅方向に沿って案内溝が形成されている。また、サイドフェンス11c,11cごとに、用紙の幅方向に対して平行に配置され、用紙の幅方向に対して平行に移動する給紙フェンスラック11a,11aが、給紙方向について所定間隔をおいて互いに平行に配置されている。そしてサイドフェンス11c,11cの上端と給紙フェンスラック11a,11aは連結されており、給紙フェンスラック11a,11aは中央に配置された共通のピニオン11bに係合して連動するようになっている。このピニオン11bは自由に回転できるようになっており、ユーザーがサイドフェンス11cに対して用紙の幅方向に力を加えれば、一対のサイドフェンス11c,11cは連動し用紙の幅方向に移動する。
【0031】
サイドフェンス11c,11cの開き量(ボリューム値)を検出するポテンショメータ11dが給紙フェンスラック11a,11aの移動に連動するように設けられている。
【0032】
また、図示しないが、用紙が載置される給紙台11は、上下動モータ16の駆動により、サイドフェンス11c,11cに沿って上下方向に移動するように設けられており、図示しない給紙台位置センサにより、給紙台11の上下方向における位置が検出される。検出された給紙台11の給紙台位置(高さ情報)はメモリ17bに記憶される。
【0033】
図3(a)は、本発明に係る実施の形態の給紙装置1が備えるメモリ17bに記憶された給紙台11の下限位置での用紙幅基準情報の一例を示しており、
図3(b)は、本発明に係る実施の形態の給紙装置1が備えるメモリ17bに記憶された給紙台11の上限位置での用紙幅基準情報の一例を示している。
【0034】
図3(a)に示す用紙幅基準情報では、給紙台11の下限位置での基準用紙幅とボリューム値とが関連付けられて記憶されている。同様に、
図3(b)に示す用紙幅基準情報では、給紙台11の上限位置での基準用紙幅とボリューム値とが関連付けられて記憶されている。
【0035】
例えば、給紙台11の上限位置において、基準用紙幅は“B1”である場合、ボリューム値は“b2”であること示している。
【0036】
図3(c)は、用紙幅とボリューム値との関係性を示した図である。
【0037】
図3(c)に示すように、用紙幅とボリューム値とは比例関係となっているので、用紙幅は“D”である場合、用紙幅算出に用いるボリューム値は、“v_calc”であることを示している。
【0038】
CPU17aは、
図3(a)に示した用紙幅基準情報を参照し、ポテンショメータ11dにより検出された現在のボリューム値bnに対応する用紙幅を算出する。
【0039】
そして、CPU17aは、
図3(a),(b)に示した用紙幅基準情報を参照し、下記の(数式1)を用いて、用紙幅算出に用いるボリューム値は、“v_calc”を算出する。
【0040】
v_calc=bn-(b2-b1)×pn ・・・(数式1)
ここで、ポテンショメータ11dにより検出された現在のボリューム値をbn、メモリ17bに記憶された給紙台位置をpnとしている。この給紙台位置pnは、下限位置を1(%)、上限位置を100(%)とした時の現在位置を示している。
【0041】
そして、CPU17aは、
図3(a),(b)に示した用紙幅基準情報を参照し、下記の(数式2)を用いて、用紙幅Eを算出する。
【0042】
E=(B1-C)÷(b1-c)×(v_calc-c)+C ・・・(数式2)
【0043】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0044】
(付記1)
給紙台と、
前記給紙台に積載している用紙に当接するよう用紙幅方向に可動可能なサイドフェンスと、
前記サイドフェンスの開き量を検出する検出部と、
前記給紙台の高さ位置に応じた少なくとも2以上の用紙幅の基準値を備え、
前記基準値と検出部が検出した前記サイドフェンスの開き量に基づき前記用紙の用紙幅を算出する
ことを特徴とする給紙装置。
【0045】
これにより、基準値と、サイドフェンスの開きを示すボリューム値で用紙幅を検出する構成において、給紙台の高さ位置毎に複数の基準値を設け、用紙セット時のような用紙幅検出動時にその時の給紙台高さに応じた基準値を選択し、サイドフェンスの開きを示すボリューム値と組み合わせることで、例えば、サイドフェンスは下が開いた八の字状や、上が開いた逆八の字状となり、サイドフェンスが正確に用紙と平行に当接しなくても正確に用紙幅を算出することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 給紙装置
2 印刷装置
11 給紙台
11a 給紙フェンスラック
11b ピニオン
11c サイドフェンス
11d ポテンショメータ(検出部)
12 給紙ローラ
13 給紙モータ
14 レジストローラ
15 レジストモータ
16 上下動モータ
17 制御部
17b メモリ
21 ベルト搬送部
22 インクジェット印刷部