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特開2024-67088送迎車置き去り防止方法、送迎車置き去り防止システム、及び送迎車置き去り防止キット
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  • 特開-送迎車置き去り防止方法、送迎車置き去り防止システム、及び送迎車置き去り防止キット 図1
  • 特開-送迎車置き去り防止方法、送迎車置き去り防止システム、及び送迎車置き去り防止キット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067088
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】送迎車置き去り防止方法、送迎車置き去り防止システム、及び送迎車置き去り防止キット
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20240510BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240510BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B21/00 U
B60R11/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176911
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】593157736
【氏名又は名称】株式会社アーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】藤原 悦
【テーマコード(参考)】
3D020
5C086
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BB01
3D020BB02
3D020BC01
3D020BC13
3D020BD05
3D020BE03
5C086AA22
5C086BA22
5C086DA08
5C086FA01
5C086FA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】送迎車内に置き去りにされた幼児等に警告音を鳴らすためのボタンを押すことの指導漏れを抑制する送迎車置き去り防止方法、システム及びを送迎車置き去り防止キット提供する。
【解決手段】降車ボタン1と、アナウンススピーカー2と、車載ホーン7と、コントローラー3とを具備した送迎車Aを用いる送迎車置き去り防止システム100の送迎車置き去り防止方法であって、コントローラー3は、送迎車AのACC電源5がONかOFFかを確認するACC電源確認ステップと、ACC電源5がONの場合に、コントローラー3が降車ボタン1の押されたことを検知すると、アナウンススピーカー2からメッセージ又は電子音を流すアナウンスステップと、ACC電源5がOFFの場合に、コントローラー3が降車ボタン1の押されたことを検知すると、車載ホーン7から警告音を発生させる警告音発生ステップと、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被送迎者が降車時に押圧操作する降車ボタンと、所定のメッセージ、又は電子音を流すアナウンススピーカーと、警告音を発する車載ホーンと、前記降車ボタンからの信号を受けて、前記アナウンススピーカー、又は前記車載ホーンを選択的に作動させるコントローラーとを具備した送迎車を用い、該送迎車への被送迎者の置き去りを防止する送迎車置き去り防止方法であって、
前記コントローラーは、以下の各ステップを実行することを特徴とする送迎車置き去り防止方法。
(1)送迎車のACC電源がONかOFFかを確認するACC電源確認ステップ
(2)前記ACC電源がONの場合に、前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記アナウンススピーカーから前記メッセージ、又は電子音を流すアナウンスステップ
(3)前記ACC電源がOFFの場合に、前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記車載ホーンから警告音を発生させる警告音発生ステップ
【請求項2】
前記車載ホーンの作動を停止する停止スイッチを前記送迎車内に備え、
前記警告音の発生時に、前記コントローラーが、前記停止スイッチが押されたことを検知すると前記警告音を停止する警告音停止ステップを備える請求項1に記載の送迎車置き去り防止方法。
【請求項3】
前記送迎車がテストスイッチを備え、
前記コントローラーが、前記テストスイッチが押されたことを検知すると、前記車載ホーンが警告音を発生させるテストステップを備える請求項1に記載の送迎車置き去り防止方法。
【請求項4】
送迎車への被送迎者の置き去りを防止する送迎車置き去り防止システムであって、
被送迎者が降車時に押圧操作する降車ボタンと、
所定のメッセージ、又は電子音を流すアナウンススピーカーと、
警告音を発する車載ホーンと、
前記降車ボタンからの信号を受けて、前記アナウンススピーカー、又は車載ホーンを選択的に作動させるコントローラーと
を備え、
前記コントローラーは、前記送迎車のACC電源がONかOFFかを確認し、前記ACC電源がONの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記アナウンススピーカーから前記メッセージ、又は電子音を流し、前記ACC電源がOFFの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記車載ホーンから警告音を発生させることを特徴とする送迎車置き去り防止システム。
【請求項5】
送迎車に付設して前記送迎車への被送迎者の置き去りを防止する送迎車置き去り防止キットであって、
被送迎者が降車時に押圧操作する降車ボタンと、
所定のメッセージ、又は電子音を流すアナウンススピーカーと、
前記降車ボタンからの信号を受けて、前記アナウンススピーカー、又は前記送迎車に備え付けの車載ホーンを選択的に作動させるコントローラーと
を備え、
前記コントローラーは、前記送迎車のACC電源がONかOFFかを確認し、前記ACC電源がONの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記アナウンススピーカーから前記メッセージ、又は電子音を流し、前記ACC電源がOFFの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記車載ホーンから警告音を発生させることを特徴とする送迎車置き去り防止キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送迎車内への幼児等の置き去り事故を防止する技術に関し、特に、送迎車内に幼児が置き去りにされたことを車載ホーンによる警告音で知らせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、幼稚園の送迎バスに置き去りになった幼児が死亡する事故が相次ぎ、また送迎車内に置き去りになった幼児を検知する装置の設置が義務化の運びとなったことで、置き去り防止装置が、各種提案されている(非特許文献1乃至非特許文献3参照)。
【0003】
例えば、非特許文献1では、バスのエンジンがOFFになると、AIカメラが車内の監視をスタートし、社内に取り残された人間を検知してブザーで警告するバス置き去り防止システムが掲載されている。
【0004】
ところが、非特許文献1のようなシステムでは、AIカメラによる検知漏れが完全には拭いきれないという問題がある。
【0005】
そこで、非特許文献2では、エンジン停止後に車内を監視する超音波センサーに加えて、エンジン停止時にブザーを鳴らすようにし、運転手が車内後部に設けたブザーを操作しなければブザーを停止できないようにして、運転手にバス後部までの見回りを促すよう構成した車内置き去り防止システムが掲載されている。
また、幼稚園等では、幼児が置き去りにされた場合に、幼児自身に送迎車のハンドルのホーンスイッチを押させて、車載ホーンを鳴らすよう指導することも行われている。
【0006】
さらに、非特許文献3では、置き去りにされた幼児がハンドルのホーンスイッチの代わりに押すSOSボタンが掲載されている。
非特許文献3のSOSボタンでは、園児バスにあと付けでき、ハザードランプと車載ホーンにより外部に異常を知らせると同時に、ウインドウを少し開けて車内の温度上昇を抑えるように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】株式会社TCIのホームページにおける「SOS-0001」のページ(令和4年10月20日検索)<https://www.tci-car-item.com/sos-0001>
【非特許文献2】加藤電機株式会社のホープページにおける「ホーネット車内置き去り防止システム」のページ
【非特許文献3】PRTIMESに株式会社トモキスペシャルパーツが2022年10月22日に掲載したページ<https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000110777.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1のAIカメラや、非特許文献2の超音波カメラで監視するシステムは、装置が高価になるという問題がある。また、非特許文献2のバス置き去り防止システムでは、運転手がブザーを停止する操作に慣れると、ブザーを停止することのみが目的化し、見回りが疎かになる虞が有る。さらに、これらが機能しない場合には、幼児が車載ホーンを鳴らすことが必要となるが、ホーンスイッチを押すには力がいるため、人が気づくまで車載ホーンを鳴らし続けるには、幼児にとって負担が大きいという問題が有る。
また、非特許文献3のSOSボタンでは、定期的に園児への指導が必要なところ、転入したばかりの園児や、指導時に欠席していた生徒への指導が漏れる虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、経済的で、運転手の見回りやカメラ検知がうまく機能せず、車載ホーンを鳴らす指導が漏れた場合にも、幼児に車載ホーンを鳴らさせることが可能な置き去り防止技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、被送迎者が降車時に押圧操作する降車ボタンと、所定のメッセージ、又は電子音を流すアナウンススピーカーと、警告音を発する車載ホーンと、前記降車ボタンからの信号を受けて、前記アナウンススピーカー、又は前記車載ホーンを選択的に作動させるコントローラーとを具備した送迎車を用い、該送迎車への被送迎者の置き去りを防止する送迎車置き去り防止方法であって、
前記コントローラーは、以下の各ステップを実行することを特徴とする。
(1)送迎車のACC電源がONかOFFかを確認するACC電源確認ステップ
(2)前記ACC電源がONの場合に、前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記アナウンススピーカーから前記メッセージ、又は電子音を流すアナウンスステップ
(3)前記ACC電源がOFFの場合に、前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記車載ホーンから警告音を発生させる警告音発生ステップ。
ここで、「被送迎者」とは、保育園や幼稚園、小学校、学習塾、お稽古事の教室その他の施設においてマイクロバス等の車両により送迎される幼児や児童の他、送迎されるすべての人を含むものとする。
また、「ACC電源」とは、アクセサリー電源ともいい、プッシュスタートボタン式の車の様にエンジンを停止すると電気が流れなく電源や、差し込み式キーの車の様にエンジンが停止した状態でも電気を流すことが可能でキーを抜くと電気が流れなくなる電源のように、運転者が送迎車を離れる際に電源をOFFにできる電源すべてを含むものとする。
【0010】
本発明の送迎車置き去り防止方法は、ACC電源がONの場合にコントローラーが降車ボタンの押されたことを検知すると、アナウンススピーカーからメッセージ、又は電子音を流すよう構成したので、幼児が送迎車から降車する際にACC電源をONにしておき、幼児に降車ボタンを押させると、スピーカーから「おります。」や電子音等の所定のアナウンスを流すことができる。これを毎日繰り返すことで、非常時に押しボタンを押すことを幼児が思いつきやすくなる。
そして、ACC電源がOFFの場合に、コントローラーが降車ボタンの押されたことを検知すると、送迎車の車載ホーンから警告音が発生するようにしたので、送迎車に置き去りにされた幼児が、押し慣れた降車ボタンを押すだけで容易に車載ホーンを鳴らし続けることができる。
また、幼児には、置き去りになった際に降車ボタンを押すよう定期的に指導することとなるが、降車の度に降車ボタンを押させることが、定期的な指導を受けていない転入生等に対し、非常時に降車ボタンを押すよう指導するきっかけとなる。
【0011】
本発明の送迎車置き去り防止方法は、前記車載ホーンの作動を停止する停止スイッチを前記送迎車内に備え、前記警告音の発生時に、前記コントローラーが、前記停止スイッチが押されたことを検知すると前記警告音を停止する警告音停止ステップを備えることが好ましい。こうすることで、警告音を停止させるために運転手等が送迎車の中に入る必要が生じるので、運転手に送迎車内の点検を促すことができる。
【0012】
本発明の送迎車置き去り防止方法は、前記送迎車がテストスイッチを備え、前記コントローラーが、前記テストスイッチが押されたことを検知すると、前記車載ホーンが警告音を発生させるテストステップを備えることが好ましい。こうすることで、降車ボタンを押す代わりにテストスイッチを押すことによって、車載ホーンの動作確認ができる。
【0013】
本発明は、送迎車への被送迎者の置き去りを防止する送迎車置き去り防止システムであって、被送迎者が降車時に押圧操作する降車ボタンと、所定のメッセージ、又は電子音を流すアナウンススピーカーと、警告音を発する車載ホーンと、前記降車ボタンからの信号を受けて、前記アナウンススピーカー、又は車載ホーンを選択的に作動させるコントローラーとを備え、前記コントローラーは、前記送迎車のACC電源がONかOFFかを確認し、前記ACC電源がONの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記スピーカーから前記メッセージ、又は電子音を流し、前記ACC電源がOFFの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記車載ホーンから警告音を発生させることを特徴とする送迎車置き去り防止システムを含む。
【0014】
本発明は、送迎車に付設して前記送迎車への被送迎者の置き去りを防止する送迎車置き去り防止キットであって、被送迎者が降車時に押圧操作する降車ボタンと、所定のメッセージ、又は電子音をアナウンスするアナウンススピーカーと、前記降車ボタンからの信号を受けて、前記アナウンススピーカー、又は前記送迎車に備え付けの車載ホーンを選択的に作動させるコントローラーとを備え、前記コントローラーは、前記送迎車のACC電源がONかOFFかを確認し、前記ACC電源がONの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記スピーカーから前記メッセージ、又は電子音をアナウンスさせ、前記ACC電源がOFFの場合に前記コントローラーが前記降車ボタンの押されたことを検知すると、前記車載ホーンから警告音を発生させることを特徴とする送迎車置き去り防止キットを含む。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の送迎車置き去り防止方法、送迎車置き去り防止システム、又は送迎車置き去り防止キットによれば、経済的に送迎車に導入することが可能で、車内に残された幼児が、容易に車載ホーンを鳴らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一の実施形態に係る送迎車置き去り防止システムのシステム概要図である。
図2】本発明の一の実施形態に係る送迎車置き去り防止方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
(送迎車置き去り防止システム100)
図1は、本発明の一の実施形態に係る送迎車置き去り防止システム100を示している。送迎車置き去り防止システム100は、幼稚園や保育園その他の施設へ幼児や児童等の被送迎者を送迎した際に、送迎車に非送迎者が置き去りになることを防止するためのシステムである。送迎車置き去り防止システム100は、送迎車Aに、送迎車置き去り防止装置10を取り付けることにより構築される。
【0019】
送迎車置き去り防止装置10は、降車ボタン1と、アナウンススピーカー2と、コントローラー3とを主に備え、少なくともACC電源5と、ハンドルホーンスイッチ6と、車載ホーン7と、バッテリー8とを具備した送迎車Aに取り付けられる。送迎車Aは、例えばマイクロバス等の送迎バスからなる。
【0020】
降車ボタン1は、送迎車A車内におけるドア近傍の幼児の手の届く位置に配設される。降車ボタン1は、押しボタン11と、LEDライト12(LEDライトは備えなくてもよい旨、段落0037に記載しています。)とを有し、コントローラー3を介して、ACC電源5、又はバッテリー8から給電され、押しボタン11が押されると、LEDライト12が点灯するとともに、アナウンススピーカー2、又は車載ホーン7を選択的に作動するよう構成されている。押しボタン11は、幼児であっても押すことが可能に設定されている。
【0021】
コントローラー3は、図1に示すように降車ボタン1、アナウンススピーカー2、ACC電源5,及びクラクションスピーカー7、送迎車備え付けのバッテリー8と電気配線により連結され、ACC電源5、又はバッテリー8から供給された電力を、降車ボタン1、アナウンススピーカー2へ適宜供給するよう構成されている。コントローラー3は、送迎車Aに備え付けの電気配線に割り込んで車載ホーン7に連結されている。図1では、送迎車Aがヒューズボックスやリレーヒューズボックス等の電源ボックス9と車載ホーン7の間にコントローラー3を連結した例を示しているが、ハンドルホーンスイッチ6と、車載ホーン7が
電源ボックス9を介さずに電気配線で連結されている場合は、当該電気配線の途中にコントローラー3を割り込ませてもよい。
尚、車載ホーンのコントロールには、いわゆるプラスコントロールとマイナスコントロールがあり、図1の例では、プラスコントロールを示しているが、マイナスコントロールの場合は、コントローラー3と車載ホーンマイナス側にリレーを取り付ける必要がある。
【0022】
コントローラー3は、例えば、直方体の樹脂製のケーシングの内部にリレーや音声ICを配設したアナログ、及び/又はデジタル回路からなる制御回路を有し、ACC電源5がONの場合に降車ボタン1が押されると、アナウンススピーカー2から所定のアナウンスを流し、ACC電源5が0FFの場合に降車ボタン1が押されると、送迎車Aの備え付けの車載ホーン7を連続して鳴らせるよう構成されている。
【0023】
また、コントローラー3はケーシング外面に車載ホーンの警告音を停止する停止スイッチ31と、クラクションスピーカー7が鳴ることをテストするテストスイッチ32を有しており、例えば、送迎車Aの運転席の足元等の壁面にコントローラー3を配設することで、運転手が足元で車載ホーン7のテストができるよう構成されている。尚、図1中の符号BEは、アースを示している。
【0024】
(送迎車置き去り防止方法)
図2は、本実施形態の送迎車置き去り防止システム100を用いて行う送迎車置き去り防止方法のフローを示している。
【0025】
(ACC電源確認ステップS1)
ACC電源確認ステップS1は、コントローラー3が、ACC電源5がOFFか否かを確認するステップである。コントローラー3は、内部のリレー回路等にACC電源5からの12Vや24Vの電圧が供給されると、降車ボタン1とアナウンススピーカー2とを導通した状態で待機し、内部のリレー回路等に、このACC電源5から電圧が供給されていない場合は、降車ボタン1と車載ホーン7を導通した状態で待機する。
【0026】
(降車ボタン確認ステップS2)
降車ボタン確認ステップS2は、ACC電源5がONの場合に、降車ボタン1が押されたかどうかを判定するステップである。
送迎車Aが幼稚園等の施設に到着し、幼児(被送迎者)を降車させる際には、送迎車Aのエンジンを停止しない状態で、あるいは、少なくともACC電源5をONにした状態で、幼児を降車させる。幼児には、降車の際に降車ボタン1を押すように予め指導しておく。このように、日頃から被送迎者に降車ボタン1を押させることで、被送迎者が送迎車Aに置き去りにされ、閉じ込まれた際に降車ボタン1を押すことに容易に想到させることができる。また、予め指導を行う際に欠席していた幼児や急な転入生等には、初回送迎時の降車の際にボタンを押すよう指導することとなるが、ここで、置き去りにされた場合にも降車ボタン1を押すよう指導することができる。
【0027】
(アナウンスステップS3)
アナウンスステップS3は、ACC電源5がONの状態で降車ボタン1が押された場合に、アナウンススピーカー2から所定のメッセージを流すステップである。ACC電源5がONの状態で、被送迎者が降車ボタン1の押しボタン11を押すと、LEDライト12が点灯し、同時に「おります。」等の、音声ICに予め記録された所定のメッセージが流される。押しボタン11が解放されると、LEDライト12は消える。複数の被送迎者が順に押しボタンを押すたびに、LEDライト12が点灯し、メッセージが流される。
【0028】
(降車ボタン確認ステップS4)
降車ボタン確認ステップS4は、ACC電源5がOFFの場合に、降車ボタン1が押されたかどうかを確認するステップである。
幼児等が、幼稚園等に到着した後、居眠りしている等の理由により降車せず、これを運転手等が見逃して送迎車Aのエンジン、及びACC電源5をOFFにしてドアをロックし送迎車Aを離れると、幼児等は、送迎車A内に取り残されることとなる。幼児等が取り残されたことに気づくと、幼児等は普段から降車ボタンに押し慣れているので、降車ボタン1を押すことに容易に想到する。
【0029】
(警告音発生ステップS5)
警告音発生ステップS5は、コントローラー3が、降車ボタン確認ステップS4において降車ボタン1が押されたことを認識した場合に、車載ホーン7から警告音を発生させるステップである。降車ボタン1が一度押されると、警告音は、鳴り続ける。
このように、警告音を発することにより、周囲の人間に送迎車に被送迎者が取り起されたことを知らせることができる。
【0030】
(停止スイッチ確認ステップS6)
停止スイッチ確認ステップS6は、警告音の発生時に、コントローラー3が停止スイッチ31の押されたことを検知するステップである。
【0031】
(警告音停止ステップS7)
警告音停止ステップS7は、停止スイッチ確認ステップS6で、コントローラー3が停止スイッチ31の押されたことを検知すると、警告音を停止するステップである。
警告音発生ステップS5により、車載ホーン7が警告音を発生させたことに送迎車Aの運転手や幼稚園の職員等が気付くと、運転手等が送迎車Aのドアを開けコントローラー3に設けられた停止スイッチ31を押す。コントローラー3が停止スイッチ31の押されたことを検知すると、警告音が停止する。
【0032】
(テストステップS8)
テストステップS8は、コントローラー3が、テストスイッチ32が押されたことを検知すると、車載ホーン7が警告音を発生させるステップである。
運転手は、送迎終了後、送迎車を離れる際に、運転席の足元に設けられたテストスイッチ32を押すことで、車載ホーン7が正確に動作することを確認できる。
【0033】
以上、本実施形態に係る送迎車置き去り防止方法では、ACC電源確認ステップS1によりACC電源5のONが確認され、降車ボタン確認ステップS2で降車ボタン1がONであることが確認されると、アナウンスステップS3で通常の降車時用のアナウンスを流し、ACC電源確認ステップS1によりACC電源5のOFFが確認され、降車ボタン確認ステップS4で降車ボタン1がONであることが確認されると、警告音発生ステップS5で車載ホーン7から警告音を発生するようにしたので、日頃、送迎車Aから降車する際に、被送迎者に降車ボタン1を押させて所定のアナウンスを流させるようにすることで、降車ボタン1を押すことを習慣づけておき、被送迎者が送迎車内に置き去りにされた際に、降車ボタン1を押すことに容易に想到させられる。
【0034】
また、本実施形態では、警告音が発せられた場合に、停止スイッチ31が押されたことを検知する停止スイッチ確認ステップS6と、停止スイッチ31が押された場合に警告音を停止する警告音停止ステップS7を設け、停止スイッチ31を送迎車A内に配設したので、警告音を停止するために、送迎車Aの中に入って停止スイッチ31を操作する必要があり、運転手に送迎車内にはいることを促すことができる。
【0035】
また、停止スイッチ31を降車ボタン1とは別に設けたため、被送迎者が誤って、警告音を停止することを抑制できる。
【0036】
さらに、運転席の付近にテストスイッチ32を配設するようにしたので、運転者が容易にクラクションスピーカーから警告音が鳴ることを確認できるので、運転者がこの確認を怠ることを抑制できる。
【0037】
以上、本発明は、上述した実施形態に限らず、例えば、降車ボタンは、LEDライトを備えなくてもよいし、ドア近傍以外の場所に設置してもよく、複数設けてもよい。コントローラーは、運転手の足元以外に設置してもよいし、停止スイッチやテストスイッチは、コントローラーから離れた位置に設けてもよい。警告音とともに、ハザードランプを点滅させることもできるし、別途送迎車の屋根等に設けた警告灯を併用してもよい。上述した非特許文献1乃至3の技術と併用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 降車ボタン
2 アナウンススピーカー
3 コントローラー
32 テストスイッチ
5 ACC電源
7 車載ホーン
A 送迎車
図1
図2