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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006709
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】皿移送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/48 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65G17/48 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107856
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】511305106
【氏名又は名称】アイカム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
【テーマコード(参考)】
3F034
【Fターム(参考)】
3F034QA05
3F034QB01
(57)【要約】
【課題】既存の皿搬送装置に対して設置可能であり、複雑な機構を用いることなく効率よく皿を移送可能な皿移送装置を提供する。
【解決手段】下方の皿洗浄装置から積み上げられた皿を、搬送コンベアに移送する皿移送装置であって、皿の移送経路に沿って前記移送経路の両側に配置され、駆動手段によって回動する一対の無端体と、両側の前記無端体にそれぞれ支持されて循環する、前記皿の積み上げ方向に延びる棒状の皿押出ガイドを複数備える皿押出部と、を備え、両側の前記無端体にそれぞれ支持される対向する一対の前記皿押出ガイドによって、皿を前記移送経路に沿って移動させ、前記搬送コンベアに払い出すことを特徴とする皿移送装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方の皿洗浄装置から積み上げられた皿を、搬送コンベアに移送する皿移送装置であって、
皿の移送経路に沿って前記移送経路の両側に配置され、駆動手段によって回動する一対の無端体と、
両側の前記無端体にそれぞれ支持されて循環する、前記皿の積み上げ方向に延びる棒状の皿押出ガイドを複数備える皿押出部と、を備え、
両側の前記無端体にそれぞれ支持される対向する一対の前記皿押出ガイドによって、皿を前記移送経路に沿って移動させ、前記搬送コンベアに払い出すことを特徴とする皿移送装置。
【請求項2】
前記皿押出部は、前記皿洗浄装置から積み上げられた初期位置から前記初期位置の前記移送方向前方に隣接する待機位置に皿を移動させ、次いで前記待機位置から前記搬送コンベア上に皿を払い出すことを、循環する複数の前記皿押出ガイドにより逐次行うことを特徴とする請求項1に記載の皿移送装置。
【請求項3】
前記搬送コンベアの搬送面と同じ高さの載置面を有する乗継板をさらに備え、前記乗継板上に前記待機位置があることを特徴とする請求項2に記載の皿移送装置。
【請求項4】
前記皿押出部によって前記搬送コンベアに皿が払い出される払出位置よりも前記搬送コンベアの搬送方向上流側における搬送コンベアの搬送状況を検出する搬送路センサを備え、
前記搬送路センサが前記搬送コンベア上に何も搬送されていない空の間隙を検出した場合に、前記払出位置に前記空の間隙が到達するタイミングに合わせて前記皿押出部が皿を前記搬送コンベア上に払い出すことを特徴とする請求項1に記載の皿移送装置。
【請求項5】
前記皿押出ガイドの上端に対応する積み上げ上限位置まで皿が積み上げられたことを知らせる積み上げ完了信号を取得した後に、前記搬送路センサによって検出された前記空の間隙が前記払出位置に到達するタイミングに合わせて前記皿押出部が皿を前記搬送コンベア上に払い出すことを特徴とする請求項4に記載の皿移送装置。
【請求項6】
前記積み上げ完了信号として、前記積み上げ上限位置まで積み上げるのに必要な枚数分の排出が完了したことを知らせる信号を、前記皿洗浄装置から取得することを特徴とする請求項5に記載の皿移送装置。
【請求項7】
前記皿洗浄装置から積み上げられた皿の前記皿移送方向における後方位置に移動してきた前記皿押出ガイドを検出する、押出ガイドセンサをさらに備え、
前記押出ガイドセンサが前記皿押出ガイドを検出した場合に、次の皿の払い出しを行うタイミングまで前記皿押出ガイドの移動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の皿移送装置。
【請求項8】
前記押出ガイドセンサが前記皿押出ガイドを検出した場合に、皿の排出を停止している前記皿洗浄装置に対して皿の排出を再開させるための信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の皿移送装置。
【請求項9】
前記移送経路を挟んで両側であって、前記無端体と前記無端体に固定される前記皿押出ガイドとの間にそれぞれ対向して配置され、前記移送方向に移送される皿の両側方をガイドする側面ガイドを備えることを特徴とする請求項1に記載の皿移送装置。
【請求項10】
複数の前記皿押出ガイドは、移送対象の皿を移送方向の前後で挟む間隔でそれぞれ配置され、対向する一対の前記皿押出ガイドは、移送方向前方の皿を押し出すとともに、移送方向後方の皿の倒壊を防ぐことを特徴とする請求項1に記載の皿移送装置。
【請求項11】
前記皿押出ガイドは、連続して搬送方向に作動している搬送コンベアに対して皿の払い出しを行い、
一対の前記皿押出ガイドのうち前記搬送方向下流側にある皿押出ガイドが、払い出しを行う際に前記無端体の軌道により前記搬送方向側に移動している際に、前記搬送コンベア上に払い出された皿の前記搬送方向前方側を支持することを特徴とする請求項1に記載の皿移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食器皿を大量に扱う回転寿司店などでは皿の洗浄の自動化が進んでおり、使用された皿を自動的に洗浄する皿洗浄装置が用いられている。皿洗浄装置としては、洗浄された皿が下から順次積み上げられ、積みあがった状態で排出口から排出されるものが用いられている。
【0003】
さらに、特許文献1には、皿排出口から排出された洗浄済みの皿を、自動的に皿洗浄装置から移送する皿移送装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-148417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の皿移送装置の場合、皿の移送先のコンベアも制御して、コンベアを停止させてから皿を移送する必要があり、専用のコンベア装置を用いる必要があった。また、特許文献1の皿移送装置は、皿洗浄装置からコンベアに移送する機構が複雑であった。
【0006】
本発明は、既存の皿搬送装置に対して設置可能であり、複雑な機構を用いることなく効率よく皿を移送可能な皿移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)下方の皿洗浄装置から積み上げられた皿を、搬送コンベアに移送する皿移送装置であって、皿の移送経路に沿って前記移送経路の両側に配置され、駆動手段によって回動する一対の無端体と、両側の前記無端体にそれぞれ支持されて循環する、前記皿の積み上げ方向に延びる棒状の皿押出ガイドを複数備える皿押出部と、を備え、両側の前記無端体にそれぞれ支持される対向する一対の前記皿押出ガイドによって、皿を前記移送経路に沿って移動させ、前記搬送コンベアに払い出すことを特徴とする皿移送装置。
【0009】
(2)前記皿押出部は、前記皿洗浄装置から積み上げられた初期位置から前記初期位置の前記移送方向前方に隣接する待機位置に皿を移動させ、次いで前記待機位置から前記搬送コンベア上に皿を払い出すことを、循環する複数の前記皿押出ガイドにより逐次行うことを特徴とする上記(1)に記載の皿移送装置。
【0010】
(3)前記搬送コンベアの搬送面と同じ高さの載置面を有する乗継板をさらに備え、前記乗継板上に前記待機位置があることを特徴とする上記(2)に記載の皿移送装置。
【0011】
(4)前記皿押出部によって前記搬送コンベアに皿が払い出される払出位置よりも前記搬送コンベアの搬送方向上流側における搬送コンベアの搬送状況を検出する搬送路センサを備え、前記搬送路センサが前記搬送コンベア上に何も搬送されていない空の間隙を検出した場合に、前記払出位置に前記空の間隙が到達するタイミングに合わせて前記皿押出部が皿を前記搬送コンベア上に払い出すことを特徴とする上記(1)に記載の皿移送装置。
【0012】
(5)前記皿押出ガイドの上端に対応する積み上げ上限位置まで皿が積み上げられたことを知らせる積み上げ完了信号を取得した後に、前記搬送路センサによって検出された前記空の間隙が前記払出位置に到達するタイミングに合わせて前記皿押出部が皿を前記搬送コンベア上に払い出すことを特徴とする上記(4)に記載の皿移送装置。
【0013】
(6)前記積み上げ完了信号として、前記積み上げ上限位置まで積み上げるのに必要な枚数分の排出が完了したことを知らせる信号を、前記皿洗浄装置から取得することを特徴とする上記(5)に記載の皿移送装置。
【0014】
(7)前記皿洗浄装置から積み上げられた皿の前記皿移送方向における後方位置に移動してきた前記皿押出ガイドを検出する、押出ガイドセンサをさらに備え、前記押出ガイドセンサが前記皿押出ガイドを検出した場合に、次の皿の払い出しを行うタイミングまで前記皿押出ガイドの移動を停止させることを特徴とする上記(1)に記載の皿移送装置。
【0015】
(8)前記押出ガイドセンサが前記皿押出ガイドを検出した場合に、皿の排出を停止している前記皿洗浄装置に対して皿の排出を再開させるための信号を出力することを特徴とする上記(7)に記載の皿移送装置。
【0016】
(9)前記移送経路を挟んで両側であって、前記無端体と前記無端体に固定される前記皿押出ガイドとの間にそれぞれ対向して配置され、前記移送方向に移送される皿の両側方をガイドする側面ガイドを備えることを特徴とする上記(1)に記載の皿移送装置。
【0017】
(10)複数の前記皿押出ガイドは、移送対象の皿を移送方向の前後で挟む間隔でそれぞれ配置され、対向する一対の前記皿押出ガイドは、移送方向前方の皿を押し出すとともに、移送方向後方の皿の倒壊を防ぐことを特徴とする上記(1)に記載の皿移送装置。
【0018】
(11)前記皿押出ガイドは、連続して搬送方向に作動している搬送コンベアに対して皿の払い出しを行い、一対の前記皿押出ガイドのうち前記搬送方向下流側にある皿押出ガイドが、払い出しを行う際に前記無端体の軌道により前記搬送方向側に移動している際に、前記搬送コンベア上に払い出された皿の前記搬送方向前方側を支持することを特徴とする上記(1)に記載の皿移送装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、既存の皿搬送装置に対して設置可能であり、複雑な機構を用いることなく効率よく皿を移送可能な皿移送装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の皿移送装置の外観構成を示す外観構成図である。
図2図1に示した皿移送装置が設置される搬送コンベア側から見た皿移送装置の外観構成図である。
図3】皿移送装置のケース内の内部構造を示す内部構造図である。
図4】皿移送装置のケース内の内部構造の拡大図である。
図5】皿移送装置の皿押出機構の詳細図である。
図6】皿洗浄装置から排出された洗浄済みの皿が搬送コンベアに移送される様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態の皿移送装置1の外観構成を示す外観構成図である。図2は、図1に示した皿移送装置1が設置される搬送コンベア60側から見た皿移送装置1の外観構成図である。図3は、皿移送装置1のケース50内の内部構造を示す内部構造図である。図4は、皿移送装置1のケース50内の内部構造の拡大図である。図5は、皿移送装置1の皿押出機構の詳細図である。図6は、皿洗浄装置70から排出された積みあがった洗浄済みの皿が搬送コンベア60に移送される様子を示す図である。
【0022】
本実施形態の皿移送装置1は、回転寿司店など多数の皿を利用する店舗の厨房などで用いられる皿洗浄装置70によって洗浄された皿Dを、所定位置に皿を搬送する搬送コンベア60に移送する装置である。皿洗浄装置70は洗浄済みの皿を下から積み上げて排出口72から排出する。本実施形態の皿移送装置1によって皿が排出口72から搬送コンベア60に自動で逐次移送されることで、皿の洗浄や、洗浄済みの皿の所定位置への搬送が自動的に連続して可能となる。
【0023】
本実施形態の皿移送装置1は、皿押出部2と、無端体であるチェーン4(第1のチェーン41及び第2のチェーン42)と、駆動手段である駆動モータ8と、側面ガイド10と、乗継板12と、搬送路センサ14と、押出ガイドセンサ16、制御部30と、ケース50と、フレーム52、などを有する。皿押出部2と、チェーン4と、駆動モータ8などによって皿押出機構100が構成される。皿移送装置1は皿押出機構100を、皿Dを移送する移送経路Aを挟んで対向する位置に左右対称に一対備える。ただし図4図6においては分かりやすくするために、片側(皿の移送方向視において左側)の皿押出機構100のみ示し、他方(同右側)を省略している。
【0024】
皿押出部2は、チェーン4に支持されて循環する、左右に対向する一対の棒状の皿押出ガイド20によって皿を押し出す。皿押出部2は、皿洗浄装置70の排出口72から積みあがった洗浄済みの皿Dを、搬送コンベア60に向けて押し出し、最終的に搬送コンベア60上に移動させる。そして、複数組の対となる皿押出ガイド20によって、積み上がった皿を順番に逐次搬送コンベア60に移送する。
【0025】
皿押出部2による搬送コンベア60への移送は、図6に示すように、皿洗浄装置70から排出されて積み上げられる初期位置から、初期位置の移送方向前方側に隣接する、乗継板12上の待機位置への移動と、待機位置から搬送コンベア60上の払出位置への移動を段階的に行うことで行われる。ここで払出位置は、皿押出部2によって搬送コンベア60上に押し出されたときの皿のコンベア上の載置位置である。また、本実施形態において払出位置に皿を払い出すとは、皿押出ガイド20によって乗継板12上から搬送コンベア60のプレート上に滑らせながら押し出す(送り出す)ことをいう。また、本実施形態の皿移送装置1は、連続して動作する搬送コンベア60に対して皿押出ガイド20が皿を払い出す。また、本実施形態の皿移送装置1からの移送先となる搬送コンベア60は、皿が乗継板12から払出位置に移動する際に倒れず、安定して払い出し可能な程度の速度(低速)で連続作動するものであることが好ましい。なお、図2、3、6においては待機位置にある皿Dが搬送コンベア60に払い出された直後の払出位置にある皿を破線で示している。払い出された皿はその後、連続作動状態の搬送コンベア60によって搬送され搬送方向下流側に移動する。
【0026】
本実施形態の皿押出部2は、図4などに示すように、皿押出機構100の片側につき、第1の皿押出ガイド21、第2の皿押出ガイド22、第3の皿押出ガイド23、第4の皿押出ガイド24の4つの皿押出ガイド20を有する。図4などにおいて省略されている反対側の皿押出部2についても、左右対称に同様に第1の皿押出ガイド21~第4の皿押出ガイド24を備える。
【0027】
各皿押出ガイド20は、排出口72から排出される皿が積みあがる上下方向(皿の積み上げ方向)に延びる棒状のガイドである。左右一対の皿押出ガイド20が積み上がった複数の皿の縁に当接し、ガイドの下端の位置から上方にある皿を搬送コンベア60の方向に押し出して移動させる。皿押出ガイド20の下端の位置は、搬送コンベア60に皿を滑らせる乗継板12の上面の位置に合わせた位置となっている。つまり、排出口72から積み上がった皿のうち、皿押出ガイド20によって押し出される皿の一番下の皿が、載っている皿の上から乗継板12に円滑に乗り移れる位置にある皿になるように、押出ガイド20の下端の位置が調整されて配置されている。
【0028】
皿押出ガイド20の長さは特に限定されないが、搬送コンベア20で積み上げた状態で搬送する際に、安定して搬送可能な皿の枚数に対応した長さとすればよい。皿の形状によっても異なるが、皿20枚程度に対応する長さとすればよい。また、本実施形態では、皿押出ガイド20の上端の位置を、皿の積み上げ上限位置とする。後述するように、洗浄装置70側で排出する皿の枚数をカウントし、積み上げ上限位置に達する枚数分の皿が排出されると皿洗浄装置70からの排出が停止されることにより、積み上げ上限位置まで皿を積み上げることができる。
【0029】
本実施形態の各皿押出ガイド20は、チェーン4の一部に設けられるアタッチメントにブラケット6を介してそれぞれ固定される。なお、チェーン4と皿押出ガイド20の固定手段は本実施形態の方法に限定されず、固定可能な手段、構造を適宜選択してよい。
【0030】
また、各皿押出ガイド20は、押し出される皿Dの前後を挟む間隔でチェーン4に固定されている。これにより、皿の移送方向後方の皿押出ガイド20が皿を押し出すとともに、皿の前方にある皿押出ガイド20によって皿が移送方向前方に倒壊することも防止される。つまり、本実施形態の皿押出ガイド20は、押出方向後方の皿が倒れてくることを防ぎつつ、押出方向前方の皿を押し出すものであり、前後の皿押出ガイド20で皿を挟んで積みあがった皿を確実に安定して搬送コンベア60に移動させることができる。
【0031】
例えば図6に示す状態では、排出口72上の初期位置の皿が、一対の第1の皿押出ガイド21によって押し出されるが、その移送方向前方に一対の第4の皿押出ガイド24がある。第4の皿押出ガイド24は、図6の状態から待機位置の皿を搬送コンベア60上に払い出す動作に移るが、後方の第1の皿押出ガイド21によって押し出される皿の前方も支持することができる。そのため、皿の上から乗継板12に移る際の振動などによって、積みあがった皿が移送方向にずれたり倒れたりすることを防ぐことができ、上下に積み上がった状態を維持しつつ移送方向に確実に皿を移動させることができる。
【0032】
搬送コンベア60に皿を払い出した押出ガイド20は、後述のチェーン4の回転に伴って折り返して、移送経路A側とは反対側の装置の外側を移送方向とは反対方向に移動する。そして初期位置の皿の後方位置に戻り、再び皿を押し出す動作を繰り返す。
【0033】
一対の押出ガイド20の、移送方向に直交する水平方向における位置は、皿に当接する位置であれば特に限定されず、具体的には、平面視において、それぞれ移送経路Aの(皿の)中心の位置より外側で、皿の最も外側の位置よりも内側の範囲内であればよい。駆動力が効率よく皿に作用するために、移送経路Aの中央寄りの左右対称の位置であることが好ましい。
【0034】
チェーン4は、駆動モータ8の駆動力によって回動し、各皿押出ガイド20を循環移動させる無端体(無端回転体)である。本実施形態のチェーン4は上下に配置される第1のチェーン41と第2のチェーン42で構成される。以下の説明において、チェーン4と記載した場合には第1のチェーン41と第2のチェーン42の両方を指すものとする。
【0035】
上述の通りチェーン4は、移送経路Aを挟んで両側に配置される。すなわち第1のチェーン41と第2のチェーン42で構成されるチェーン4が、移送経路Aの両側に対向して配置される。両側のチェーン4は、移送経路A側において同じ方向に移動するように、駆動モータ8によって互いに逆方向に回動される。
【0036】
図4図5に示すように、第1のチェーン41と第2のチェーン42は、前後一対の回転軸5aに軸支される上下のスプロケット5bにそれぞれ巻き回されて、皿の移送経路Aに沿って配置される。回転軸5aの一方は駆動モータ8に接続され、駆動力が伝達されてチェーン4を駆動する。他方の回転軸5aはチェーン4に従動して回転する。本実施形態では移送方向前方の回転軸5aが駆動モータ8によって駆動される駆動軸である。なお、チェーン4を回動できればどちらの回転軸5aが駆動軸であってもよい。
【0037】
チェーン4には、各皿押出ガイド20を固定する位置にアタッチメント付きチェーンが配置されている。本実施形態ではアタッチメント付きチェーンに取り付けられるブラケット6によって各皿押出ガイド20がチェーン4に支持される。本実施形態では、上下2つのチェーン(41、42)によって皿押出ガイド20が支持されるので、各皿押出ガイド20が安定して皿を移動させることができる。なお、移送経路Aを挟んで両側に対向して同じ数のチェーンが配置されていれば、チェーンの数は2つずつに限られず、片側1つずつでもよいし、片側に3つ以上配置してもよい。
【0038】
本実施形態において、チェーン4に支持されて移動する皿押出ガイド20は、連続して搬送方向に作動している搬送コンベア60に対して皿の払い出しを行うことができる。その際に、一対の押出ガイド20のうち、コンベアの搬送方向下流側(移送方向視左側)にある皿押出ガイド20が、払い出しを行って、チェーン4の軌道によりコンベアの搬送方向側に移動している際に、搬送コンベア60上に払い出された皿の搬送方向前方側に当接し続けて皿を支えることができる。これにより、搬送コンベア60で搬送され始めの期間においても皿を皿押出ガイド20によって支持できるので、より安定して皿を移送することができる。
【0039】
駆動モータ8は、回転軸5a、スプロケット5bを介してチェーン4を回転駆動させる。本実施形態では駆動モータ8は移送方向前方に配置され、前方側の回転軸5a及びスプロケット5bを回転させる。本実施形態では、左右の皿押出機構100がそれぞれ駆動モータ8を備えるが、一方だけ駆動モータを配置して、チェーンやギアなどの伝達体で他方の回転軸5aに駆動力を伝達して回転させても良い。また、本実施形態では駆動モータ8を回転軸5aに直接接続しているが、これに限られず、駆動モータ8を回転軸5aとずれた位置に配置し、チェーンなどの伝達体を介して回転軸5aに駆動力を伝達するようにしてもよい。
【0040】
側面ガイド10は、皿押出部2によって押出方向に押し出される、積みあがった皿Dの側方をガイドする板状のガイドである。側面ガイド10は移送経路Aの皿が通過する領域の両側に配置されており、移動する皿Dが左右に倒れないようにガイドする。本実施形態の側面ガイド10は、皿押出ガイド20のブラケット6が通過する位置で分割されており、上下方向に配置される3つの板で構成される。側面ガイド10は、上下方向において皿が通過する範囲(皿押出ガイド20の下端の位置付近から上端の位置付近までの範囲)に配置されることが好ましい。また、側面ガイド10は、移送方向において、初期位置の皿の側方の位置付近から搬送コンベア60の手前の位置までの範囲に形成されることが好ましい。これにより排出口72の位置から搬送コンベア60に払い出される手前まで、積み上げられた皿の両側方が支持される。
【0041】
乗継板12は、排出口72上の初期位置と搬送コンベア60の間を接続し、皿を上面に載せて滑らせて移動させるための板である。乗継板12の上面(皿の載置面)は、搬送コンベア60の搬送面であるプレート上面と同じ高さになるように配置されている。また、乗継板12の上面は皿が安定して移動できるように水平であることが好ましい。これにより、搬送コンベア60と皿移送装置1との間の段差を無くし、皿移送装置1から搬送コンベアに60移る際の振動や衝撃を最小限とすることができ、積みあがった皿を安定して搬送コンベア60に移送できる。なお、搬送コンベア60の皿移送装置1側の側壁61には、必要に応じて乗継用凹部62などを設けて、乗継板12が水平に配置されるようにすることが好ましい。
【0042】
乗継板12は、図6に示すように、排出口72上の初期位置と搬送コンベア60上の払出位置の間に、皿1枚分の大きさに対応する1つの待機位置を有する長さに形成される。なお、乗継板12の長さはこれに限られず、2つ以上の待機位置を有する長さとしてもよい。その場合は乗継板12の長さに応じた適宜の長さのチェーン4や適宜の数の押出ガイド20が配置されればよい。
【0043】
搬送路センサ14は、皿押出部2によって皿移送装置1の待機位置にある皿Dを押し出してコンベア60に載せるタイミングを決定するためのセンサである。本実施形態の搬送路センサ14は、搬送コンベア60上に搬送されている物(皿)の有無を検出することにより、搬送コンベア上の何も搬送されていない間隙を検出する。
【0044】
具体的には、搬送路センサ14は、搬送コンベア60上の払出位置よりも搬送方向上流側に配置される。そして搬送路センサ14は、搬送コンベアの搬送方向において上流側に配置される第1搬送路センサ14aと、下流側に配置される第2搬送路センサ14bの2つのセンサで構成される。第1搬送路センサ14aと第2搬送路センサ14bは、皿1枚分の直径以上の間隔をあけて配置される。後述する制御部30によって、第1搬送路センサ14aが何も搬送されていない空区間を検出してから、その空区間の先頭位置が第2搬送路センサ14bに到達するタイミングまでに、第1搬送路コンベア14aが何も(皿を)検出しなかった(空区間のままであった)場合に、少なくとも皿の直径以上の間隙があることを検出できる。後述の制御部30による制御によって、その間隙が払出位置に到達するタイミングに合わせて皿押出ガイドを20動かすことで、何も搬送されていない搬送コンベア60上に確実に皿を払い出すことができる。なお、上記間隙の検出や、間隙が払出位置に到達するタイミングは、制御部30にあらかじめ搬送コンベア60の搬送速度の情報を記憶させておけばよい。また、制御部30が搬送速度情報を、搬送コンベア60から取得するようにしてもよい。
【0045】
押出ガイドセンサ16は、皿押出ガイド20が所定位置に到達したことを検出するセンサである。本実施形態の押出ガイドセンサ16は、皿押出ガイド20のブラケット6に配置された位置検出用のドグ7を検出することで、皿押出ガイド20が所定位置に到達したことを検出する。本実施形態の所定位置は、初期位置に積みあがった皿の移送方向後方の位置である。図4図6に示すように、初期位置に対応する位置に配置される押出ガイドセンサ16が、押出ガイド20の位置に対応するドグ7を検出することで、初期位置の皿の後方に押出ガイド20が来たことを検出することができる。押出ガイドセンサ16は、皿押出ガイド20の位置を検出できればどのようなセンサでもよいが、例えば磁気型や静電容量型等の公知の非接触型の近接センサを用いることができる。また、リミットスイッチなどの接触型のスイッチを用いてもよい。
【0046】
制御部30は、皿移送装置1の動作を制御する。また、制御部30は、後述のように皿洗浄装置70から皿の積み上げ上限位置まで皿が積み上げられたことを知らせる積上げ完了信号を取得する処理や、皿洗浄装置70に皿の排出を再開させるための信号を出力する処理を行う。詳しい制御の詳細については後述する。
【0047】
制御部30は、プロセッサ31と、メモリ32等を備える。プロセッサ31は、例えばCPUであり、メモリ32に記憶されているプログラムを実行して、皿移送装置1のさまざまな動作や処理を制御する。メモリ32は様々な情報を記憶する記憶装置であり、皿移送装置1の制御プログラムなどを格納する。なお、制御部30として、ASIC(application specific integrated circuit)を備え、プロセッサ31がメモリ32に記憶されるプログラムを実行して実現される機能の一部又はすべてがASICによって実現されてもよい。
【0048】
また、制御部30は上述の積上げ完了信号の取得や、皿洗浄装置70に皿の排出を再開させるための信号を出力するために、皿洗浄装置70と有線又は無線で通信する。
【0049】
ケース50は、皿押出ガイド20やチェーン4や駆動モータ8などの皿押出機構100を覆う筐体である。本実施形態のケース50は、皿が払い出される側とは反対側に開閉扉50aを有する。皿移送装置1内に滞留している皿を手動で取り出す場合には、開閉扉50aを開けて皿を取り出すこともできる。なお、本実施形態では図1図2に示すように左右の機械構造部分をそれぞれ覆った2つの独立したケースで構成されるが、ケース上部や後方が閉じた一体型のケースであってもよい。
【0050】
フレーム52は、皿押出機構100などの機械構造を支持し、皿移送装置1を搬送コンベア60側に固定する枠状の部材である。フレーム52の左右の台座に皿押出機構100が対称に固定され、搬送コンベア60側に延びるフレーム部分が搬送コンベア60の下面側に固定されることで、皿移送装置1を所定位置に固定できる。
【0051】
さらに皿移送装置1は、図4に示すように、初期位置における、押出ガイド20より下方側にある皿の周囲(移送方向前方側や両側方)を囲むガイド板56を備えてもよい。初期位置の皿が押出ガイド20によって押し出される際に、ガイドより下の皿に上の皿から水平方向の力が作用しても、その下側の皿が動かないようにガイド板56によって支持されるので、スムーズに皿を押し出すことができる。また、押出ガイド20の下方の皿が崩れることも防止できる。
【0052】
次に、本実施形態の皿移送装置1の動作の流れを説明する。なお、以下の各部の動作の説明において特に記載がない場合には、左右両側の皿押出機構100の各部が左右対称に動作するものとして説明する。また、自動運転開始後であり、初期位置と乗継板12上の待機位置に皿が積み上がっている状態から、皿を順次移動させる動作を説明するが、皿移送装置1を最初に動作させる場合には、適宜手動で操作して皿を積み上げるなどの準備を行ってから、自動運転に切り替えればよい。
【0053】
制御部30は、まず初期位置の皿の積み上げが完了した積み上げ完了信号を皿洗浄装置70から取得する。積み上げ完了信号は、皿洗浄装置70が排出する皿の枚数をカウントし、押出ガイド20の上端の位置に対応する積み上げ上限位置に達する所定枚数の皿を排出した場合に出力される信号である。皿洗浄装置70は、所定枚数の皿を排出すると、皿の積み上げを一時停止するとともに、積み上げ完了信号を出力する。積み上げ完了信号取得後は皿の排出が停止しているので、皿移送装置1において皿を押し出す処理が可能になる。
【0054】
次に制御部30は、搬送コンベア60上の、皿の払い出しが可能な所定の間隙の有無を搬送路センサ14(第1搬送路センサ14a及び第2搬送路センサ14b)によって検出する。搬送路センサ14によって所定の間隙を検出した場合に、その間隙が皿移送装置1前方の払出位置に到達した際に皿を払い出せるように、タイミングを合わせて駆動モータ8を駆動させ、押出ガイド20を動かして待機位置の皿を払い出す。間隙が払出位置に到達するタイミングは、あらかじめ制御部30に登録しておいた搬送コンベア60の搬送速度に基づいて求めることができる。待機位置の皿が払出位置に押し出されるとともに、別の後方の押出ガイド20によって、ガイドに当接している分の初期位置の皿が待機位置に押し出される。
【0055】
制御部30は、駆動モータ8を駆動させて押出動作を開始した後、押出ガイドセンサ16が次の皿押出ガイド20のドグ7を検出した場合に、駆動モータ8を停止させて、押出ガイド20の移動を停止させる。例えば図6の状態から駆動モータ8が駆動された場合には、第1の押出ガイド21が初期位置の皿を乗継板12上の待機位置に向かって移動させると、次に第2の皿押出ガイド22が初期位置の皿の位置に向かって移動する。そして、第2の皿押出ガイド22のドグ7が押出ガイドセンサ16によって検出されると、制御部30は駆動モータ8を停止させる。
【0056】
次に、制御部30は、押出ガイド20の移動中、つまり皿押出ガイド20によって皿が押し出されている最中に皿が積み上がってこないように、皿の排出を一時停止していた皿洗浄装置70に対して、皿の排出を再開させるための信号を出力し、積み上げ上限位置までの皿の排出を再開させる。その後、制御部30が積み上げ完了信号を皿洗浄装置70から取得する。以降は同様にして、制御部30が、駆動モータ8の駆動を制御して、払出の間隙に皿を排出する動作を繰り返すことで、皿洗浄装置70から搬送コンベア60に皿を順次移送することができる。以上が、本実施形態の皿移送装置1の皿を移送する動作の流れである。
【0057】
なお、本実施形態では、皿押出ガイド20の上端の位置を積み上げ上限位置とし、押出ガイド20によって初期位置から押し出される皿、つまり、ガイドの下端から積み上げ上限位置までの枚数分(例えば20枚)の皿を、皿洗浄装置70が排出したら、皿洗浄装置70は積み上げを一時停止して、積み上げ完了信号を出力する。そして、皿移送装置1が積み上げ完了信号を取得したら、皿の移送動作に移るとしたが、積み上げ上限位置までの皿の積み上げの検出方法はこれに限られない。積み上げ上限位置まで皿を積み上げたら、皿押出ガイド20によって皿を押し出せるように、皿洗浄装置1からの皿の排出を一時停止できれば、他の方法でもよい。例えば、皿移送装置1に、積み上げ上限位置に皿が到達したことを検出するセンサを設けてもよい。この場合は、センサが上限位置に到達したことを検出したら、制御部30が皿洗浄装置1に皿の排出を停止させる信号を出力するようにすればよい。
【0058】
また、本実施形態では積み上げ上限位置を、皿押出ガイド20の上端の位置としたが、これに限られず、少なくとも皿押出ガイド20の下端の位置より上の位置であれば任意の位置としてよく、ガイドの上端より下でもよいし、上端より上でもよい。押出ガイド20によって皿を初期位置から移動させた後に、再び積み上げ上限位置まで積み上げるために必要な枚数を予め数えて登録しておき、皿洗浄装置70がその枚数分の皿を排出したら一時停止する動作とすれば、任意の位置まで皿を積み上げることができる。
【0059】
本実施形態では、皿押出ガイド20は、第1の皿押出ガイド21~第4の皿押出ガイド24の4つを備えるとして説明したが、これに限定されない。移送経路の長さや、チェーン4の循環軌道の長さ、移送する皿の大きさなどに応じて、適宜の数とすればよい。
【0060】
本実施形態では、押出ガイド20を初期位置の皿の後方の所定位置で一時停止させるために、押出ガイドセンサ16がドグ7を検出することにより行うとしたが、この方法に限られない。押出ガイド20が所定位置に到達した際に停止させることができるものであれば、他の公知の手段を用いて押出ガイド20を停止させてもよい。たとえば、押出ガイド20が等間隔で配置されている場合には、モータの回転数と移動距離の対応関係を予め把握しておき、その配置間隔の距離ごとに押出ガイドを移動・停止させるようにしてもよい。
【0061】
本実施形態では、皿移送装置1は搬送コンベア60にフレーム52によって固定するとしたが、搬送コンベア60に対して動かないように確実に固定できれば搬送コンベア60以外に対して固定してもよいし、脚部を設けて自立するようにしてもよい。
【0062】
以上の本実施形態の皿移送装置1によれば、人の手を使うことなく、皿洗浄装置70から搬送コンベア60に自動的に順次皿を確実に移送することができる。また、本実施形態の皿移送装置1によれば、搬送コンベア60が連続して動作している状態で皿を移送することができるので、簡単な制御で効率よく皿を移送することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 皿移送装置
100 皿押出機構
2 皿押出部
20 皿押出ガイド
21 第1の皿押出ガイド
22 第2の皿押出ガイド
23 第3の皿押出ガイド
24 第4の皿押出ガイド
4 チェーン
41 第1のチェーン
42 第2のチェーン
6 ブラケット
7 ドグ
8 駆動モータ
10 側面ガイド
12 乗継板
14 搬送路センサ
16 押出ガイドセンサ
30 制御部
50 ケース
52 フレーム
60 搬送コンベア
70 皿洗浄装置
72 排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6