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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067092
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】麺類の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20240510BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20240510BHJP
【FI】
A47J27/14 F
A23L7/109 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176923
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】592263931
【氏名又は名称】小林熱機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬之
【テーマコード(参考)】
4B046
4B054
【Fターム(参考)】
4B046LA01
4B046LP80
4B046LQ10
4B054AA17
4B054AB02
4B054AC13
4B054BA04
4B054BC12
4B054CA04
4B054CB05
4B054CC02
4B054CC03
4B054CG08
(57)【要約】
【課題】エアレーションを利用して麺を洗う麺類の洗浄装置において、ポンプへの水の逆流を抑制する。
【解決手段】麺類の洗浄装置1は、水を貯留可能な洗浄槽10と、洗浄槽10の底に取り付けられた複数のエアレーションノズル25と、空気を噴出可能なポンプと、エアヘッダ62とを備える。エアヘッダ62は、空気を流入させる配管を接続するための流入接続口と、空気を排出する配管を接続するための複数の排出接続口62Cとを有する。また、洗浄装置1は、ポンプとエアヘッダ62の流入接続口とを繋ぐ第1配管と、エアヘッダ62の排出接続口62Cとエアレーションノズル25を繋ぐ複数の第2配管64とを備える。エアヘッダ62は、洗浄槽10に貯留される水の水面よりも上に固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽の底に取り付けられた複数のエアレーションノズルと、
空気を噴出可能なポンプと、
空気を流入させる配管を接続するための流入接続口と、空気を排出する配管を接続するための複数の排出接続口とを有するエアヘッダと、
前記ポンプと前記エアヘッダの前記流入接続口とを繋ぐ第1配管と、
前記エアヘッダの前記排出接続口と前記エアレーションノズルを繋ぐ複数の第2配管とを備え、
前記エアヘッダは、前記洗浄槽に貯留される水の水面よりも上に固定されたことを特徴とする麺類の洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄槽を支持する架台部をさらに備え、
前記架台部は、前記洗浄槽の下にポンプ支持部を有し、
前記ポンプは、前記ポンプ支持部に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の麺類の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、テボを受け入れ可能な複数の筒状の洗浄槽を含み、前記エアレーションノズルは、平面視において、筒状の洗浄槽のそれぞれの中心に位置していることを特徴とする請求項1に記載の麺類の洗浄装置。
【請求項4】
前記エアレーションノズルの空気の噴出と停止を切り替える、電磁弁からなるエアバルブと、
スイッチと、
前記スイッチが操作された場合に、前記エアバルブの開閉を切り替えて、設定された所定時間の間、前記エアバルブを開いた状態にするタイマと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の麺類の洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽内に水を噴出可能な噴出部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の麺類の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そば、うどん、きしめん、ひやむぎ、そうめん、中華麺などの麺類の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店などで使用される麺類の茹で洗い装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、麺を茹でる装置と、洗う装置と、冷却をする装置がセットになったものである。麺を水で洗う洗浄槽では、ポンプからの空気を洗浄槽の底に設置されたエアレーションノズルから噴出し、エアレーションノズルから噴出する空気により発生する対流によって麺を洗うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-023834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗浄槽の底にエアレーションノズルを設置する場合、ポンプの停止後、洗浄槽からポンプに水が逆流するおそれがあるため、ポンプとエアレーションノズルの間には逆止弁を取り付ける必要がある。しかしながら、逆止弁は、経年劣化により故障するおそれも残るため、ポンプへの水の逆流の対策として不十分である。
【0005】
そこで、本発明は、エアレーションを利用して麺を洗う麺類の洗浄装置において、ポンプへの水の逆流を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成する、麺類の洗浄装置は、水を貯留可能な洗浄槽と、洗浄槽の底に取り付けられた複数のエアレーションノズルと、空気を噴出可能なポンプと、空気を流入させる配管を接続するための流入接続口と、空気を排出する配管を接続するための複数の排出接続口とを有するエアヘッダと、ポンプとエアヘッダの流入接続口とを繋ぐ第1配管と、エアヘッダの排出接続口とエアレーションノズルを繋ぐ複数の第2配管とを備える。そして、エアヘッダは、洗浄槽に貯留される水の水面よりも上に固定される。
【0007】
この麺類の洗浄装置では、エアヘッダが、洗浄槽に貯留される水の水面よりも上に配置されるので、ポンプを停止した後に、洗浄槽からポンプへ水が逆流することが抑制される。特に、エアヘッダは、配管よりも大きな空間を有しているので、逆流を抑制しやすい。また、エアヘッダは、水面よりも高い位置に固定されているので、仮に、慣れていない作業者が配管を外して、付け直した場合であっても、洗浄槽からポンプまでの間の経路の一部(エアヘッダ部分)が、必ず水面より高い位置に位置することができ、洗浄槽からポンプへの水の逆流を抑制することができる。
【0008】
前記した麺類の洗浄装置は、洗浄槽を支持する架台部をさらに備えることができる。この場合、架台部は、洗浄槽の下にポンプ支持部を有し、ポンプは、ポンプ支持部に支持されていてもよい。
【0009】
このような構成によれば、ポンプが洗浄槽の下に収納され、洗浄装置をコンパクトにすることができるともに、洗浄装置の移動の際に、配管を外す必要がなく、容易に移動させることができる。
【0010】
洗浄槽は、テボを受け入れ可能な複数の筒状の洗浄槽を含み、エアレーションノズルは、平面視において、筒状の洗浄槽のそれぞれの中心に位置していてもよい。
【0011】
このような構成によれば、テボ内で効率良く水を循環させ、効率良く麺を洗浄することができる。
【0012】
麺類の洗浄装置は、エアレーションノズルの空気の噴出と停止を切り替える、電磁弁からなるエアバルブと、スイッチと、スイッチが操作された場合に、エアバルブの開閉を切り替えて、設定された所定時間の間、エアバルブを開いた状態にするタイマとをさらに備えることが望ましい。
【0013】
このような構成によれば、スイッチを操作する度に、設定された所定時間の間、エアバルブが開かれ、エアレーションノズルからの空気の噴出により、決まった時間だけ麺の洗浄をすることができる。
【0014】
前記した麺類の洗浄装置は、洗浄槽内に水を噴出可能な噴出部をさらに備えることができる。この場合、噴出部は、洗浄槽に上から水を噴出可能な上部噴出部、および、洗浄槽の底から水を噴出可能な下部噴出部、の少なくとも一方を有していてもよい。
【0015】
エアレーションノズルから空気を噴出するとともに、洗浄槽に水を噴出することで、麺を効率良く洗浄することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ポンプを停止した後に、洗浄槽からポンプへ水が逆流することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る洗浄装置の斜視図である。
図2】実施形態に係る洗浄装置の平面図である。
図3図2のX-X断面に相当する断面図である。
図4】洗浄槽とオーバーフロー槽を示す、図2のY-Y断面に相当する断面図である。
図5】実施形態に係る洗浄装置の内部構造を示す正面図である。
図6】実施形態に係る洗浄装置の内部構造を示す側面図である。
図7】噴出部に水を供給するための給水系統の図である。
図8】エアレーションノズルに空気を供給するための給気系統の図である。
図9】洗浄槽の別の形態を示す斜視図(a)と、平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、麺類の洗浄装置1は、茹で上げた麺をテボ2に入れた状態のままで洗浄することができる装置である。洗浄装置1は、テボ2を受け入れ可能な複数の洗浄槽10と、オーバーフロー槽30と、空気を噴出可能なポンプの一例としての圧縮機CM(図5参照)とを備えている。
【0019】
図2および図3に示すように、洗浄槽10は、水を貯留可能な筒状の槽であって、底が閉じられている。詳しくは、洗浄槽10は、上が開放された有底の円筒状である。洗浄槽10の底11は、円形の平らな面となっている。洗浄槽10は、底11に開閉可能な蓋付きの排水栓12と、噴出部の一例としての下部噴出部22と、エアレーションノズル25とを有している。洗浄槽10は、排水栓12を閉じることで水をためることができ、排水栓12を開くことで洗浄槽10内の水を排出することができる。
【0020】
洗浄装置1は、6つの洗浄槽10A,10B,10C,10D,10E,10Fを備えている。6つの洗浄槽10A~10Fは、1列3つで、左右2列に配置されている。詳しくは、6つの洗浄槽10A~10Fは、前後に並んだ3つの洗浄槽10A~10Cの列と、前後に並んだ3つの洗浄槽10D~10Fの列とが、左右に並んで配置されている。
【0021】
ここで、本実施形態においては、洗浄槽10A~10Cを「複数の第1洗浄槽」といい、洗浄槽10D~10Fを「複数の第2洗浄槽」という。すなわち、複数の洗浄槽10は、複数の第1洗浄槽としての洗浄槽10A~10Cと、複数の第2洗浄槽としての洗浄槽10D~10Fとを有している。
【0022】
図4に示すように、オーバーフロー槽30は、複数の洗浄槽10から溢れ出た水を回収するための槽である。オーバーフロー槽30は、オーバーフロー回収槽31と、オーバーフロー回収槽31よりも深いオーバーフロー排水槽32とを有している。
【0023】
オーバーフロー回収槽31は、底面31Aを構成する底板に、複数の、具体的には、6つの円形の貫通穴31Bを有している。洗浄槽10は、上端部が、オーバーフロー回収槽31の底面31Aに設けられた貫通穴31Bの縁部に溶接などによって接合されている。なお、図4では、洗浄槽10の上端部(上端面)が、オーバーフロー回収槽31の底面31Aと略面一となっているが、洗浄槽10の上端部は、オーバーフロー回収槽31の底面31Aから上に飛び出していてもよい。
【0024】
オーバーフロー排水槽32は、底に回収した水を排水するための1つの排水口33を有している。図4に仮想線で示すように、洗浄槽10からオーバーフロー回収槽31内に溢れ出た水は、オーバーフロー回収槽31の底面31A上を流れてオーバーフロー排水槽32内に流れ込み、排水口33から排出される。
【0025】
図2に示すように、下部噴出部22は、複数の洗浄槽10に対応して1つずつ設けられている。下部噴出部22は、各洗浄槽10の底11から各洗浄槽10内に水を噴出して、洗浄槽10内の水を水流により撹拌するノズルである。下部噴出部22から水が噴出されることで、水流により麺が洗浄される。下部噴出部22は、各洗浄槽10の底11の中心Cからずれた位置に配置されている。詳しくは、下部噴出部22は、中心Cに対して後ろにずれた位置に配置されている。なお、下部噴出部22は、洗浄槽10の中心Cの位置に設けられていてもよい。
下部噴出部22は、洗浄槽10Aに対応する下部噴出部22Aと、洗浄槽10Bに対応する下部噴出部22Bと、洗浄槽10Cに対応する下部噴出部22Cと、洗浄槽10Dに対応する下部噴出部22Dと、洗浄槽10Eに対応する下部噴出部22Eと、洗浄槽10Fに対応する下部噴出部22Fとを有している。下部噴出部22(22A~22F)は、対応する洗浄槽10(10A~10F)内に水を噴出可能である。
【0026】
ここで、本実施形態においては、下部噴出部22A~22Cは、複数の第1洗浄槽に対応して設けられた複数の第1噴出部であり、下部噴出部22D~22Fは、複数の第2洗浄槽に対応して設けられた複数の第2噴出部である。すなわち、複数の下部噴出部22は、複数の第1噴出部としての下部噴出部22A~22Cと、複数の第2噴出部としての下部噴出部22D~22Fとを有している。
【0027】
エアレーションノズル25は、複数の洗浄槽10に対応して1つずつ設けられている。エアレーションノズル25は、各洗浄槽10の底11から空気を噴出するノズルである。エアレーションノズル25から空気が噴出されることで、洗浄槽10内の水が空気の上昇により撹拌されるとともに、麺が泡に接触することによって洗浄される。エアレーションノズル25は、各洗浄槽10の底11の、中心Cに配置されている。エアレーションノズル25は、中心Cからずれて配置されていてもよい。エアレーションノズル25は、洗浄槽10Aに対応するエアレーションノズル25Aと、洗浄槽10Bに対応するエアレーションノズル25Bと、洗浄槽10Cに対応するエアレーションノズル25Cと、洗浄槽10Dに対応するエアレーションノズル25Dと、洗浄槽10Eに対応するエアレーションノズル25Eと、洗浄槽10Fに対応するエアレーションノズル25Fとを有している。エアレーションノズル25(25A~25F)は、対応する洗浄槽10(10A~10F)内に空気を噴出可能である。
【0028】
ここで、本実施形態においては、エアレーションノズル25A~25Cを「複数の第1洗浄槽に対応して設けられた複数の第1エアレーションノズル」といい、エアレーションノズル25D~25Fを「複数の第2洗浄槽に対応して設けられた複数の第2エアレーションノズル」という。すなわち、複数のエアレーションノズル25は、複数の第1エアレーションノズルとしてのエアレーションノズル25A~22Cと、複数の第2エアレーションノズルとしてのエアレーションノズル25D~22Fとを有している。
【0029】
図5および図6に示すように、洗浄装置1は、洗浄槽10の下に配置された排水槽40をさらに備えている。排水槽40は、排水栓12を開くことによって洗浄槽10内から排出された水を受けるための槽である。排水槽40は、底に水を排出するための排水栓41を有している。なお、排水栓41は、常に開いているものであってもよいし、蓋などによって開閉可能なものであってもよい。排水槽40は、洗浄槽10やオーバーフロー槽30などを支持する架台部Fに対して着脱可能に設けられている。また、架台部Fは、洗浄槽10および排水槽40の下に、ポンプ支持部F1を有する。圧縮機CMは、ポンプ支持部F1に支持されている。ポンプ支持部F1が圧縮機CMを支持することで、圧縮機CMが洗浄槽10および排水槽40の下に収納され、洗浄装置1をコンパクトにすることができる。また、洗浄装置1の移動の際に、配管を外す必要がなく、容易に移動させることができる。
【0030】
次に、下部噴出部22に水を供給するための給水系統の構成について説明する。
図7に模式的に示すように、洗浄装置1は、下部噴出部22A~22Cに水を供給するための第1給水系統50Aと、下部噴出部22D~22Fに水を供給するための第2給水系統50Bとをさらに備えている。
【0031】
第1給水系統50Aは、一次接続管51と、下部用ヘッダ52Bと、二次接続管54と、第1開閉バルブ55Aと、下部用一次調整バルブ56Bと、下部用二次調整バルブ58とを備えている。また、第2給水系統50Bは、一次接続管51と、下部用ヘッダ52Bと、二次接続管54と、第2開閉バルブ55Bと、下部用一次調整バルブ56Bと、下部用二次調整バルブ58とを備えている。第1給水系統50Aと第2給水系統50Bは、略左右対称の構造を有している。そのため、以下では、第1給水系統50Aについて説明し、第2給水系統50Bについては、適宜、説明を省略する。
【0032】
一次接続管51は、水道などの給水源Wからの水を下部用ヘッダ52Bに供給するための管である。一次接続管51は、給水源Wと下部用ヘッダ52Bとを接続する。
【0033】
下部用ヘッダ52Bは、給水源Wから給水された水を下部噴出部22A~22Fに分配するための機器である。
二次接続管54は、水を下部用ヘッダ52Bから下部噴出部22に供給するための管である。二次接続管54は、各下部噴出部22A~22Fに対応して設けられ、下部用ヘッダ52Bと、対応する下部噴出部22とを接続する。
【0034】
開閉バルブ55A,55Bは、通電することにより全開となり、通電を停止することにより全閉となる電磁弁である。第1開閉バルブ55Aは、下部噴出部22A~22Cの水の噴出と水の噴出の停止とを切り替えるバルブであり、第2開閉バルブ55Bは、下部噴出部22D~22Fの水の噴出と水の噴出の停止とを切り替えるバルブである。第1開閉バルブ55Aは、第1給水系統50Aの一次接続管51に設けられ、第2開閉バルブ55Bは、第2給水系統50Bの一次接続管51に設けられている。
【0035】
下部用一次調整バルブ56Bは、下部用ヘッダ52Bに供給される水の流量を調整可能なバルブであり、一次接続管51と下部用ヘッダ52Bとの接続部分に設けられている。下部用二次調整バルブ58は、下部噴出部22から噴出される水の流量を調整可能なバルブであり、下部用ヘッダ52Bと各二次接続管54との接続部分に、下部噴出部22A~22Fのそれぞれに対応して設けられている。
【0036】
次に、エアレーションノズル25に空気を供給するための給気系統の構成について説明する。
図8に模式的に示すように、洗浄装置1は、エアレーションノズル25A~25Cに空気を供給するための第1給気系統60Aと、エアレーションノズル25D~25Fに空気を供給するための第2給気系統60Bとをさらに備えている。
【0037】
第1給気系統60Aは、第1配管61と、エアヘッダ62と、第2配管64と、第1エアバルブ65Aと、一次エア調整バルブ66Bと、二次エア調整バルブ68とを備えている。また、第2給気系統60Bは、第1配管61と、エアヘッダ62と、第2配管64と、第2エアバルブ65Bと、一次エア調整バルブ66Bと、二次エア調整バルブ68とを備えている。第1給気系統60Aと第2給気系統60Bは、略左右対称の構造を有している。そのため、以下では、第1給気系統60Aについて説明し、第2給気系統60Bについては、適宜、説明を省略する。
【0038】
エアヘッダ62は、圧縮機CMから給気された空気をエアレーションノズル25A~25Fに分配するための機器である。エアヘッダ62は、内部に空間を有する分配管62Aと、流入接続口62Bと、複数の排出接続口62Cとを有する。
【0039】
流入接続口62Bは、空気を流入させる配管を接続するためのジョイントであり、第1配管61が、一次エア調整バルブ66Bを介して接続されている。第1配管61は、圧縮機CMと流入接続口62Bとを繋ぐ。
【0040】
排出接続口62Cは、空気を排出する配管を接続するためのジョイントであり、本実施形態では、4つ設けられている。4つの排出接続口62Cのうちの3つは、それぞれ、二次エア調整バルブ68を介して、第2配管64が接続されている。各第2配管64は、排出接続口62Cとエアレーションノズル25(25A~25F)をつなぐ。
【0041】
エアバルブ65A,65Bは、通電することにより全開となり、通電を停止することにより全閉となる電磁弁である。第1エアバルブ65Aは、エアレーションノズル25A~25Cの空気の噴出と空気の噴出の停止とを切り替えるバルブであり、第2エアバルブ65Bは、エアレーションノズル25D~25Fの空気の噴出と空気の噴出の停止とを切り替えるバルブである。第1エアバルブ65Aは、第1給気系統60Aの第1配管61に設けられ、第2エアバルブ65Bは、第2給気系統60Bの第1配管61に設けられている。
【0042】
一次エア調整バルブ66Bは、エアヘッダ62に供給される空気の流量を調整可能なバルブであり、第1配管61とエアヘッダ62との接続部分に設けられている。二次エア調整バルブ68は、エアレーションノズル25から噴出される空気の流量を調整可能なバルブであり、エアヘッダ62と各第2配管64との接続部分に、エアレーションノズル25A~25Fのそれぞれに対応して設けられている。
【0043】
図1に示すように、エアヘッダ62は、洗浄槽10に貯留される水の水面よりも上に配置されている。一例として、エアヘッダ62は、オーバーフロー回収槽31の、左右に立ち上がる壁の上面に固定される。洗浄槽10から溢れた水は、オーバーフロー回収槽31の底面31A上を流れてオーバーフロー排水槽32に入るので、洗浄槽10に貯留される水の水面は、オーバーフロー回収槽31の底面31Aと同等の高さとなる。エアヘッダ62はこの底面31Aよりも十分に高い位置に固定される。
なお、エアヘッダ62は、オーバーフロー回収槽31の壁の上面を形成する、金属板からなるフランジの下に隠すように配置してもよい。このようにすると、目立たず、作業の邪魔にもなりにくいので望ましい。この場合にも、洗浄槽10に貯留される水の水面よりも上に配置するようにするとよい。
【0044】
また、図7および図8に示すように、洗浄装置1は、タイマとしての第1タイマTM1および第2タイマTM2と、スイッチとしての第1スイッチSW1および第2スイッチSW2と、第1パイロットランプPL1と、第2パイロットランプPL2とをさらに備えている。これらのタイマTM1,TM2、スイッチSW1,SW2、パイロットランプPL1,PL2は、給水系統と給気系統とで別に設けられているのではなく、1つの各タイマTM1,TM2を給水系統と給気系統の両方の制御に用いている。
【0045】
第1タイマTM1は、第1開閉バルブ55Aおよび第1エアバルブ65Aの開閉を切り替えて、設定された所定時間の間、第1開閉バルブ55Aおよび第1エアバルブ65Aを開いた状態にするタイマであり、第2タイマTM2は、第2開閉バルブ55Bおよび第2エアバルブ65Bの開閉を切り替えて、設定された所定時間の間、第2開閉バルブ55Bおよび第2エアバルブ65Bを開いた状態にするタイマである。第1タイマTM1および第2タイマTM2は、電源Pに接続されている。
【0046】
第1タイマTM1は、第1スイッチSW1が操作されると第1開閉バルブ55Aおよび第1エアバルブ65Aに通電し、予め設定された所定時間が経過したときに第1開閉バルブ55Aおよび第1エアバルブ65Aへの通電を停止する。これにより、洗浄装置1は、第1スイッチSW1が操作されると第1開閉バルブ55Aが全開となって下部噴出部22A~22Cから対応する洗浄槽10A~10C内に水を噴出し、所定時間が経過すると第1開閉バルブ55Aが全閉となって下部噴出部22A~22Cからの水の噴出を停止する。また、洗浄装置1は、第1スイッチSW1が操作されると第1エアバルブ65Aが全開となってエアレーションノズル25A~25Cから対応する洗浄槽10A~10C内に空気を噴出し、所定時間が経過すると第1エアバルブ65Aが全閉となってエアレーションノズル25A~25Cからの空気の噴出を停止する。
【0047】
また、第2タイマTM2は、第2スイッチSW2が操作されると第2開閉バルブ55Bおよび第2エアバルブ65Bに通電し、予め設定された所定時間が経過したときに第2開閉バルブ55Bおよび第2エアバルブ65Bへの通電を停止する。これにより、洗浄装置1は、第2スイッチSW2が操作されると第2開閉バルブ55Bが全開となって下部噴出部22D~22Fから対応する洗浄槽10D~10F内に水を噴出し、所定時間が経過すると第2開閉バルブ55Bが全閉となって下部噴出部22D~22Fからの水の噴出を停止する。また、洗浄装置1は、第2スイッチSW2が操作されると第2エアバルブ65Bが全開となってエアレーションノズル25D~25Fから対応する洗浄槽10D~10F内に空気を噴出し、所定時間が経過すると第2エアバルブ65Bが全閉となってエアレーションノズル25D~25Fからの空気の噴出を停止する。
【0048】
このように洗浄装置1は、スイッチSW1,SW2が操作されると所定時間の間だけ下部噴出部22から対応する洗浄槽10に水を噴出し、エアレーションノズル25から洗浄槽10に空気を噴出して麺を洗浄可能に構成されている。なお、所定時間は、麺の種類、粉の質、加水量、茹で加減、洗浄水の温度、水質などに応じて任意に設定することができる。また、所定時間(タイマTM1,TM2の設定時間)は、個別に設定することができる。
【0049】
第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、例えば、押しボタンスイッチである。
【0050】
第1パイロットランプPL1は、第1開閉バルブ55Aおよび第1エアバルブ65Aに通電されている間だけ点灯し、第1開閉バルブ55Aおよび第1エアバルブ65Aへの通電が停止されているときは消灯する。これにより、第1パイロットランプPL1は、下部噴出部22A~22Cが対応する洗浄槽10A~10C内に水を噴出し、エアレーションノズル25A~25Cから対応する洗浄槽10A~10C内に空気を噴出している間だけ、言い換えると、洗浄槽10A~10Cで麺の洗浄が行われている間だけ点灯する。
【0051】
また、第2パイロットランプPL2は、第2開閉バルブ55Bおよび第2エアバルブ65Bに通電されている間だけ点灯し、第2開閉バルブ55Bおよび第2エアバルブ65Bへの通電が停止されているときは消灯する。これにより、第2パイロットランプPL2は、下部噴出部22D~22Fが対応する洗浄槽10D~10F内に水を噴出し、エアレーションノズル25D~25Fから対応する洗浄槽10D~10F内に空気を噴出している間だけ、言い換えると、洗浄槽10D~10Fで麺の洗浄が行われている間だけ点灯する。
【0052】
以上のように構成された洗浄装置1の作用効果について説明する。
洗浄装置1の使用者は、まず、別途設けられた水道から各洗浄槽10に水を入れる。また、圧縮機CMの電源を入れる。そして、麺が茹で上がった場合には、麺が入ったテボ2を洗浄槽10のいずれかに入れる。同時に茹で上がった麺の玉が複数あり、それが3つ以下である場合には、各玉が入った複数のテボを、左右の片側の列の洗浄槽10に入れる。例えば、3つのテボ2を、洗浄槽10A,10B,10Cに入れる。なお、各エアレーションノズル25から噴出する空気の流量と、各下部噴出部22から噴出する水の流量は、予め、一次エア調整バルブ66B、二次エア調整バルブ68、下部用一次調整バルブ56Bおよび下部用二次調整バルブ58により調整しておく。
【0053】
そして、テボ2を入れた洗浄槽10に対応するスイッチSW1,SW2を押す。これにより、タイマTM1,TM2のうち、操作されたスイッチSW1,SW2に対応するものが作動し、第1開閉バルブ55Aおよび第2開閉バルブ55Bの少なくとも一方が所定時間、開くとともに、第1エアバルブ65Aおよび第2エアバルブ65Bの少なくとも一方が、所定時間、開く。例えば、3つのテボを、洗浄槽10A,10B,10Cに入れた場合には、スイッチSW1のみを押せば、第1開閉バルブ55Aと第1エアバルブ65Aが所定時間、開く。これにより、操作されたスイッチSW1,SW2に対応する下部噴出部22から、洗浄槽10内に水が噴出されるとともに、エアレーションノズル25から空気が噴出される。洗浄槽10内では、下部噴出部22から噴出される水の勢いにより水が循環して、テボ2内の麺が洗浄されるとともに、エアレーションノズル25からの空気によって、効率的に麺を洗浄することができる。
【0054】
そして、店舗の営業を終了する場合など、洗浄装置1の使用を終了する場合には、排水栓12を開いて洗浄槽10内の水を抜き、装置の洗浄をした上で、圧縮機CMの電源を切る。
【0055】
このように、洗浄槽10の水を全て抜いておけば、使用後に洗浄槽10内の水が圧縮機CMに戻ることは無いが、洗浄槽10の水を抜かずに、圧縮機CMの電源を切って放置してしまった場合や、停電により、同様の状況に陥ることもある。
【0056】
このような場合、仮にエアヘッダ62を含めて、第1給気系統60Aおよび第2給気系統60Bが、洗浄槽10に貯留される水の水面よりも下にあった場合には、洗浄槽10内の水が圧縮機CMに逆流する。そして、第1給気系統60Aおよび第2給気系統60Bに逆流防止弁が設けられていた場合にも、逆流防止弁の故障などにより、洗浄槽10内の水が圧縮機CMに逆流するおそれが残る。しかし、本実施形態の洗浄装置1では、エアヘッダ62を洗浄槽10に貯留される水の水面よりも上に配置しているため、洗浄槽10内の水は、エアヘッダ62まで上がることができず、圧縮機CMに逆流しにくい。特に、エアヘッダ62は、分配管62A内に配管よりも大きな空間があるため、気温や気圧の変化により配管内の水が動いたとしても、分配管62A内が水で埋まることは考えにくく、逆流を効果的に抑制することができる。また、エアヘッダ62は、水面よりも高い位置に固定されているので、仮に、慣れていない作業者が配管を外して、付け直した場合であっても、洗浄槽10から圧縮機CMまでの間の経路の一部(エアヘッダ62の部分)が、必ず水面より高い位置に位置することができ、洗浄槽10から圧縮機CMへの水の逆流を抑制することができる。
【0057】
また、エアレーションノズル25は、円筒状の洗浄槽10の中心に位置しているので、テボ2内で効率良く水を循環させ、効率良く麺を洗浄することができる。
【0058】
また、スイッチSW1,SW2を操作する度に、設定された所定時間の間、エアバルブ65A、65Bが開かれ、エアレーションノズル25からの空気の噴出および下部噴出部22からの水の噴出により、決まった時間だけ麺の洗浄をすることができるので、使用者の熟練度によらずに、一定の条件で麺の洗浄をすることができる。
【0059】
また、パイロットランプPL1,PL2が麺の洗浄が行われている間だけ点灯するので、例えば、スイッチSW1,SW2を操作した後、パイロットランプPL1,PL2が点灯している間は他の作業をすることができ、パイロットランプPL1,PL2が消灯したら麺を洗浄槽10から取り出し、水を切って盛りつけるという作業に戻ることができるため、大変便利である。
【0060】
また、第1開閉バルブ55Aおよび第1エアバルブ65Aに対応して第1タイマTM1と第1スイッチSW1を備え、第2開閉バルブ55Bおよび第2エアバルブ65Bに対応して第2タイマTM2と第2スイッチSW2を備えるので、洗浄槽10A~10Cおよび洗浄槽10D~10Fのうちの片方のみを使用して麺を洗浄することができる。これにより、例えば、一方のタイマが故障し、すぐに修理ができないような状況であっても、他方の系統を使用して麺の洗浄作業を行うことができる。
【0061】
以上に一実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
【0062】
例えば、前記実施形態では、給水系統と給気系統を2つの系統に分け、各系統に開閉バルブ55A,55Bおよびエアバルブ65A,65Bとそれらを制御するタイマTM1,TM2を設けていたが、給水系統と給気系統を2つの系統に分けず、1つの系統とし、1つの開閉バルブおよびエアバルブと、当該開閉バルブおよびエアバルブを制御するタイマにより、すべてのエアレーションノズルからの空気の噴出および噴出の停止、ならびに、噴出部からの水の噴出および噴出の停止を制御してもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、水を洗浄槽10の底から吹き上げるように噴出していたが、洗浄槽10の水面より上から水を水面に向けて噴出する上部噴出部をさらに設けてもよい。また、下部噴出部を設けずに、上部噴出部だけを設けてもよい。また、噴出部は設けず、水道から、使用者の操作により、適宜、水を供給できるようにしてもよい。また、下部噴出部22は、水を勢いよく噴出するものではなくてもよい。例えば、洗浄槽10の一部に、緩やかに水を供給する給水口を設けてもよい。
【0064】
また、洗浄装置1は、一次接続管51にエジェクタをさらに備えていてもよい。エジェクタは、水流で発生する負圧により水流に外部の空気を取り込む機器である。エジェクタを備えることで、下部噴出部22から噴出される水の中に気泡を取り込むことができるので、麺の表面にできたぬめりを取り除く効果をさらに高めることができる。
【0065】
また、前記実施形態では、洗浄槽10を、テボ2の形状に合わせた円筒状としたが、平面視で四角い大きな洗浄槽としてもよい。例えば、図9(a),(b)に示すように、洗浄槽110は、平面視で長方形の形を有し、底面111と、底面111から一方の側壁に向けて延びる傾斜面112を有する形状であってもよい。この場合に、底面111には、長手方向に沿って複数のエアレーションノズル25を並べて設けるとよい。排水口および排水口を閉じる排水栓12、ならびに、下部噴出部22は、適宜な箇所に設けることができる。
【0066】
また、前記実施形態では、洗浄装置1は、6つの洗浄槽10を備えていたが、洗浄槽の数は、任意である。また、洗浄槽の配置も任意である。
また、前記実施形態では、洗浄槽10が円筒状であったが、角筒状であってもよい。また、洗浄槽は、筒状であって、底に近づくほど径が小さくなるような形状などであってもよい。また、前記実施形態では、洗浄槽10の底11が平らな面であったが、これに限定されず、例えば、洗浄槽の底は、半球面状などの曲面であってもよい。
【0067】
また、前記実施形態では、複数の洗浄槽10は、形状、大きさが同一であったが、これに限定されない。例えば、複数の洗浄槽は、一部の洗浄槽の形状が、他の洗浄槽の形状と異なっていてもよい。また、複数の洗浄槽は、一部の洗浄槽の大きさが、他の洗浄槽の大きさと異なっていてもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、開閉バルブ55A,55Bおよびエアバルブ65A,65Bは、タイマTM1,TM2で制御されていたが、手動で開閉するようにハンドルを設けてもよい。また、前記実施形態において、ポンプの一例として圧縮機CMを示したが、空気を噴出可能であれば、ポンプの構成は任意である。例えば、ブロワーと呼ばれるポンプであってもよい。
【0069】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 洗浄装置
10(10A~10F) 洗浄槽
25(25A~25F) エアレーションノズル
61 第1配管
62 エアヘッダ
62B 流入接続口
62C 排出接続口
64 第2配管
65A 第1エアバルブ
65B 第2エアバルブ
CM 圧縮機
F 架台部
F1 ポンプ支持部
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
TM1 第1タイマ
TM2 第2タイマ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9