(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067101
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ボール止水栓および浄水ユニット
(51)【国際特許分類】
E03B 7/07 20060101AFI20240510BHJP
F16K 5/06 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
E03B7/07 A
E03B7/07 Z
F16K5/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176933
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(71)【出願人】
【識別番号】502344880
【氏名又は名称】株式会社ナチュラルウィル
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】牧野 樹
【テーマコード(参考)】
3H054
【Fターム(参考)】
3H054AA03
3H054BB03
3H054BB30
3H054CC03
3H054CD01
3H054GG02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】採水を可能とする止水栓を提供すること。
【解決手段】ボール止水栓5は、止水栓本体部と採水部12とを備える。止水栓本体部は、一次側流路25、二次側流路26、一次側流路25および二次側流路26に連通する弁室27を備えるハウジング15と、弁室27内に配置されたボール弁体33と、一方の端部分がボール弁体33に接続され、他方の端部分がハウジング15から突出するスピンドル16とを有する。採水部12は、採水管50と栓51とを備える。採水管50は、採水口と、接続口52と、これらを連通する内部流路53と、を備える。栓51は内部流路53を開閉する。ハウジング15は、一方端が一次側流路25に連通し、他方端がハウジング15の外に露出する分岐路40を備える。採水管50は、分岐路40の開口40aに接続口52が接続された状態で、ハウジング15に取り付けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側配管に接続される一次側流路、二次側配管に接続される二次側流路、および前記一次側流路と前記二次側流路との間で前記一次側流路および前記二次側流路に連通する弁室を備えるハウジングと、前記弁室内に配置されたボール弁体と、前記ハウジングを貫通した状態で当該ハウジングに回転可能に支持され、一方の端部分が前記ボール弁体に接続され、他方の端部分が前記ハウジングから突出するスピンドルと、を有する止水栓本体部と、
採水口、接続口、および前記採水口および前記接続口に連通する内部流路を備える採水管と、前記採水管に支持されて前記内部流路を開閉する栓と、を有する採水部と、
を備え、
前記ハウジングは、一方端が前記一次側流路に連通し、他方端が前記ハウジングから外に開口する分岐路を備え、
前記採水管は、前記分岐路の開口に前記接続口が接続された状態で、前記ハウジングに取り付けられることを特徴とするボール止水栓。
【請求項2】
前記ハウジングは、内部に一次側流路を備える一次側管部と、前記一次側管部の外周面から当該一次側管部の管軸と交差する方向に突出する筒部と、を備え、
前記分岐路は、前記開口が前記外周面における前記筒部の中央に露出し、
前記採水管は、前記筒部に挿入可能な挿入管部分を備え、前記挿入管部分が前記筒部に挿入された状態で前記ハウジングに取り付けられ、
前記接続口は、前記挿入管部分の先端面に露出し、前記採水管が前記ハウジングに取り付けられたときに前記分岐路の前記開口に接続されることを特徴とする請求項1に記載のボール止水栓。
【請求項3】
前記挿入管部分と前記筒部との間には、Oリングが介在することを特徴とする請求項2に記載のボール止水栓。
【請求項4】
前記採水管は、前記筒部の軸線回りに回転可能な状態で、前記ハウジングに取り付けられることを特徴とする請求項2に記載のボール止水栓。
【請求項5】
前記採水管は、前記挿入管部分と、前記挿入管部における前記接続口とは反対側の端部分から前記挿入管部分と交差する方向に屈曲する延設管部分と、を備え、
前記内部流路は、前記挿入管部分および前記延設管部分を経由して延び、
前記採水口は、前記延設管部分に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のボール止水栓。
【請求項6】
前記延設管部分は、前記挿入管部分から前記挿入管部分と交差する延設方向に直線状に延びる第1管部と、前記第1管部の途中から前記延設方向と交差する方向に突出する第2管部と、を備え、
前記採水口は、前記第2管部の先端に設けられ、
前記内部流路は、前記挿入管部分、前記第1管部、および前記第2管部をこの順に経由し、
前記第1管部は、前記栓を前記延設方向に進退可能に支持する支持部を備え、
前記支持部は、前記第1管部における前記挿入管部分とは反対側の端面から前記延設方向に延びて前記内部流路に連通する支持孔を備え、
前記栓は、前記支持孔に挿入される軸部を備え、前記軸部の先端部分が前記延設方向で前記第2管部よりも前記挿入管部分の側に位置して前記内部流路を封鎖する閉位置と、前記軸部の先端部分が前記閉位置よりも前記端面の側に位置して前記接続口と前記採水口とを連通させる開位置と、の間で移動することを特徴とする請求項5に記載のボール止水栓
。
【請求項7】
請求項1に記載のボール止水栓と、
前記ボール止水栓の二次側流路に接続された浄水器と、
を有する浄水ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採水が可能なボール止水栓に関する。また、かかるボール止水栓を備える浄水ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
水道水に含まれる塩素などを除去するためのフィルタを備える浄水器が知られている。このような浄水器の中には、特許文献1に記載されているように、水道メータを経由した後に建造物の敷地内を蛇口まで延びる敷地内給水管の途中に設置されるものがある。
【0003】
同文献では、浄水器は、ボール止水栓とともに敷地内給水管の途中に設置される。ボール止水栓は、浄水器の上流側に位置し、通常は開状態とされる。ボール止水栓が開状態のときに、水道水は、ボール止水栓と浄水器とをこの順に経由して蛇口に達する。浄水器を交換する際、或いは、浄水器のフィルタを交換する際には、ボール止水栓は閉状態とされる。交換作業が終了すると、ボール止水栓は開状態とされ、水道水は、再び、ボール止水栓および浄水器を経由して流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、水道水の遊離残量塩素を確認するために、敷地内給水管における浄水器よりも上流側で採水を行いたい場合がある。しかし、敷地内給水管から採水するためには、敷地内給水管における浄水器よりも上流側に採水用の配管を設ける必要がある。従って、採水は、容易ではない。
【0006】
本例の課題は、このような点に鑑みて、採水を可能とする止水栓を提供することにある。また、このような止水栓と浄水器を備える浄水ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のボール止水栓は、一次側配管に接続される一次側流路、二次側配管に接続される二次側流路、および前記一次側流路と前記二次側流路との間で前記一次側流路および前記二次側流路に連通する弁室を備えるハウジングと、前記弁室内に配置されたボール弁体と、前記ハウジングを貫通した状態で当該ハウジングに回転可能に支持され、一方の端部分が前記ボール弁体に接続され、他方の端部分が前記ハウジングから突出するスピンドルと、を有する止水栓本体部と、採水口、接続口、および前記採水口および前記接続口に連通する内部流路を備える採水管と、前記採水管に支持されて前記内部流路を開閉する栓と、を有する採水部と、を備え、前記ハウジングは、一方端が前記一次側流路に連通し、他方端が前記ハウジングから外に露出する分岐路を備え、前記採水管は、前記分岐路の開口に前記接続口が接続された状態で、前記ハウジングに取り付けられるものとすることができる。
【0008】
本発明によれば、ボール止水栓は、止水栓本体部に取り付けられた採水部を備える。採水部において、採水口に連通する内部流路は、一次側配管に接続される一次側流路に、分岐路を介して連通する。従って、ボール止水栓を配管の途中に設置すれば、配管を流れる水を、ボール止水栓を介して、採水口から採水できる。
【0009】
本発明において、前記ハウジングは、内部に一次側流路を備える一次側管部と、前記一次側管部の外周面から当該一次側管部の管軸と交差する方向に突出する筒部と、を備え、前記分岐路は、前記開口が前記外周面における前記筒部の中央に露出し、前記採水管は、前記筒部に挿入可能な挿入管部分を備え、前記挿入管部分が前記筒部に挿入された状態で前記ハウジングに取り付けられ、前記接続口は、前記挿入管部分の先端面に露出し、前記採水管が前記ハウジングに取り付けられたときに前記分岐路の前記開口に接続されるものとすることができる。このようにすれば、止水栓本体部に採水部を取り付けることにより、止水栓本体部の一次側流路を、分岐路を介して、採水部の内部流路に連通させることができる。
【0010】
本発明において、前記挿入管部分と前記筒部との間には、Oリングが介在するものとすることができる。これにより、採水管と、ハウジングとの間から、水が漏れることを防止できる。
【0011】
本発明において、前記採水管は、前記筒部の軸線回りに回転可能な状態で、前記ハウジングに取り付けられるものとすることができる。このようにすれば、採水口の向きを変更することが可能となるので、採水が容易となる。
【0012】
本発明において、前記採水管は、前記挿入管部分と、前記挿入管部における前記接続口とは反対側の端部分から前記挿入管部分と交差する方向に屈曲する延設管部分と、を備え、前記内部流路は、前記挿入管部分および前記延設管部分を経由して延び、前記採水口は、前記延設管部分に設けられているものとすることができる。このようにすれば、採水管が屈曲するので、採水管が直線状に延びる場合と比較して、ボール止水栓が一次側管部分と直交する方向に大きくなることを抑制できる。
【0013】
本発明において、前記延設管部分は、前記挿入管部分から前記挿入管部分と交差する延設方向に直線状に延びる第1管部と、前記第1管部の途中から前記延設方向と交差する方向に突出する第2管部と、を備え、前記採水口は、前記第2管部の先端に設けられ、前記内部流路は、前記挿入管部分、前記第1管部、および前記第2管部をこの順に経由し、前記第1管部は、前記栓を前記延設方向に進退可能に支持する支持部を備え、前記支持部は、前記第1管部における前記挿入管部分とは反対側の端面から前記延設方向に延びて前記内部流路に連通する支持孔を備え、前記栓は、前記支持孔に挿入される軸部を備え、前記軸部の先端部分が前記延設方向で前記第2管部よりも前記挿入管部分の側に位置して前記内部流路を封鎖する閉位置と、前記軸部の先端部分が前記閉位置よりも前記端面の側に位置して前記接続口と前記採水口とを連通させる開位置と、の間で移動するものとすることができる。このようにすれば、栓により、採水管の内部流路を開閉することが容易である。
【0014】
次に、本発明の浄水ユニットは、上記のボール止水栓と、前記ボール止水栓の二次側流路に接続された浄水器と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、配管の途中に浄水ユニットを設置したときに、浄水器の上流側に位置するボール止水栓から採水できる。従って、敷地内給水管における浄水器よりも上流側で水道水の遊離残量塩素を確認すること容易である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配管の途中でボール止水栓を設置することにより、配管からの採水が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用した浄水ユニットの設置例の説明図である。
【
図2】ボール止水栓を一次側管部の側から見た場合の斜視図である。
【
図3】ボール止水栓を二次側管部の側から見た場合の斜視図である。
【
図5】採水管が開状態のボール止水栓の断面斜視図である。
【
図6】採水管が閉状態のボール止水栓の断面斜視図である。
【
図7】採水管の延設管部分の方向を変化させたボール止水栓の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(浄水ユニット)
図1は本発明を適用した浄水ユニットの設置例の説明図である。
図1に示すように、本例の浄水ユニット1は、水道用の配管において、水道メータ2を経由した後に建造物の敷地内を蛇口3まで延びる敷地内給水管4の途中に設置される。浄水ユニット1は、ボール止水栓5と、ボール止水栓5に接続された浄水器6と、を備える。ボール止水栓5は、浄水器6に対して、水道水の流通方向Sの上流側に位置する。浄水器6は、例えば、水道水に含まれる塩素などを除去するためのフィルタを備えるものである。ボール止水栓5は、採水口10を備える。
【0019】
(ボール止水栓)
図2は、ボール止水栓5を一次側管部の側から見た場合の斜視図である。
図3は、ボール止水栓5を二次側管部の側から見た場合の斜視図である。
図4は、ボール止水栓5の縦断面図である。
図2、
図3に示すように、ボール止水栓5は、止水栓本体部11と、止水栓本体部11に取り付けられた採水部12と、を備える。
【0020】
(止水栓本体部)
図4に示すように、止水栓本体部11は、ハウジング15と、一方の端部分がハウジング15から突出するスピンドル16と、スピンドル16の一方の端部分に固定されたハンドル17と、を備える。スピンドル16は、ハウジング15に回転可能に支持されている。ハウジング15は、一次側管部18、一次側管部18に同軸に設けられた二次側管部19、および一次側管部18と二次側管部19との間に位置する本体部20を有する。
図2に示すように、一次側管部18の開口端部分の内周面には、雌ねじ18aが設けられている。スピンドル16は、本体部20から上方に突出する。
【0021】
以下の説明では、一次側管部18の管軸L1に沿った方向を管軸方向X、スピンドル16の回転軸L2に沿った方向を回転軸方向Zとする。本例において、回転軸方向Zは上下方向である。回転軸方向Zにおいて、本体部20が位置する側を下方Z1、ハンドル17が位置する側を上方Z2とする。
【0022】
また、止水栓本体部11は、二次側管部19の本体部20とは反対側の端部分に回転可能に支持されたナット21を有する。
図1に示すように、一次側管部18には、水道メータ2の側から延設された一次側配管の管継手22が接続される。二次側管部19には、ナット21を利用して、浄水器6が接続される。
【0023】
図4に示すように、一次側管部18の内側には、一次側配管に接続される一次側流路25が設けられている。二次側管部19の内側には、浄水器6(二次側配管)に接続される二次側流路26が設けられている。本体部20の内側には、弁室27が設けられている。弁室27は、一次側流路25と二次側流路26との間に位置するとともに、一次側流路25および二次側流路26に連通する。従って、ハウジング15の内部には、管軸方向Xに沿って、一次側流路25、弁室27、および二次側流路26がこの順に設けられている。
【0024】
一次側流路25と弁室27との境界部分には、一次側弁座31が固定されている。一次側弁座31は、円環状であり、一次側管部18と同軸である。弁室27と、二次側流路26との境界部分には、二次側弁座32が固定されている。二次側弁座32は、円環状であり、二次側管部19と同軸である。弁室27内にはボール弁体33が配置されている。ボール弁体33は、一次側弁座31および二次側弁座32に接触する。
【0025】
ここで、ボール弁体33は、スピンドル16の下端部分に接続されている。スピンドル16は、ハウジング15を貫通して上方Z2に突出しており、スピンドル16とハウジング15との間には、複数本のOリング34が介在する。
【0026】
ボール弁体33には、ボール弁体33をスピンドル16の回転軸L2と直交する方向に貫通する弁体流路35が設けられている。ここで、ハンドル17を操作してスピンドル16を回転させることにより、ボール弁体33は、回転軸L2回りに回転する。
図4に示すように、ボール弁体33が回転軸L2回りに回転して弁体流路35が管軸方向Xに延びた状態となると、一次側流路25と二次側流路26とは弁体流路35を介して連通する。従って、ボール止水栓5は、開状態となる。ボール弁体33が回転軸L2回りに回転してボール弁体33の弁体流路35が管軸方向Xと直交する方向に延びた状態となると、一次側流路25と二次側流路26とは連通しない。従って、ボール止水栓5は、閉状態となる。
【0027】
次に、
図2、
図3に示すように、ハウジング15は、一次側管部18の外周面から、その管軸L1と交差する方向に突出する筒部38を備える。本例は、筒部38は、一次側管部18から下方Z1に突出する。筒部38の軸線L3は、スピンドル16の回転軸L2と平行である。
図4に示すように、筒部38の内周面には、筒部側環状溝39が設けられている。また、ハウジング15は、一方端が一次側流路25に連通し、他方端がハウジング15から外に露出する開口を有する分岐路40を備える。分岐路40の他方端の開口40aは、一次側管部18の外周面であって、筒部38の中央に露出する。
【0028】
(採水部)
図2、3に示すように、採水部12は、採水管50と、栓51と、を備える。採水管50は、採水口10を備える。また、
図4に示すように、採水管50は、接続口52と、採水口10および接続口52を連通させる内部流路53を備える。
【0029】
図2,
図3に示すように、栓51は、採水管50に支持されている。
図4に示すように、栓51は、頭部55と、頭部55の中央から一方側に突出する軸部56と、を備える。軸部56は、頭部55の側から先端側に向かって大径軸部分57と、大径軸部分57よりも外径寸法が小さい小径軸部分58と、を備える。また、軸部56は、大径軸部分57の途中から外周側に突出する環状突出部分59を備える。軸部56の先端に位置する小径軸部分58には環状溝が設けられており、環状溝にはOリング60が取り付けられている。環状突出部分59には、環状溝が設けられており、環状溝にはOリング61が取り付けられている。大径軸部分57における環状突出部分59よりも小径軸部分58の側の外周面には、雄ねじ57aが設けられている。
【0030】
次に、採水管50は、筒部38に挿入可能な挿入管部分65を備える。挿入管部分65は、筒部38と同軸で、筒部38の軸線L3に沿った方向に延びる。接続口52は、挿入管部分65の先端面に露出する。挿入管部分65の外周面には、第1環状溝65aおよび第2環状溝65bが設けられている。第1環状溝65aおよび第2環状溝65bのうち、挿入管部分65の先端に近い第1環状溝65aには、Oリング67が取り付けられている。第2環状溝65bには、金属製のC形止め輪68が取り付けられている。
【0031】
また、採水管50は、挿入管部分65における接続口52とは反対側の端部分から挿入管部分65と交差する方向に屈曲する延設管部分66を備える。
図2、
図3に示すように、本例では、延設管部分66は、挿入管部分65の端部分からスピンドル16の回転軸L2と直交する方向に屈曲する。
【0032】
採水口10は、延設管部分66に設けられている。より詳細には、延設管部分66は、挿入管部分65から挿入管部分65と交差する延設方向Yに直線状に延びる第1管部71と、第1管部71分の途中から延設方向Yと交差する方向に突出する第2管部72と、を備える。延設方向Yは、スピンドル16の回転軸L2と直交する方向である。
図2、
図3、
図4に示す状態では、第1管部71の延設方向Y(
図4参照)は、管軸方向Xと同一である。採水口10は、第2管部72の先端に設けられている。
【0033】
図5は、採水管50が開状態のボール止水栓5の断面斜視図である。
図6は、採水管50が閉状態のボール止水栓5の断面斜視図である。
図5、
図6では、採水部12は部分断面図となっている。
図5に示すように、内部流路53は、挿入管部分65、第1管部71、および第2管部72をこの順に経由して延びる。内部流路53は、挿入管部分65と第1管部71との間に第1屈曲部分53aを備え、第1管部71と第2管部72との間に第2屈曲部分53bを備える。また、
図4、
図5に示すように、内部流路53は、第1屈曲部分53aから第2屈曲部分53bに向かって内径寸法が小さい第1小径流路部分73と、第1小径流路部分73よりも内径寸法が大きい第2小径流路部分74と、第2小径流路部分よりも内径寸法が大きい大径流路部分75と、大径流路部分75よりも内径寸法が小さい第3小径流路部分76と、を備える。
【0034】
図5に示すように、第2小径流路部分74は、第1管部71の延設方向Yにおいて、第2管部72よりも挿入管部分65の側に位置する。大径流路部分75は、延設方向Yと直交する方向から見た場合に、第2管部72と重なる。
図4に示すように、第3小径流路部分76を規定する第1管部71の内周壁面には雌ねじ71aが設けられている。雌ねじ71aは、栓51の軸部56に設けられた雄ねじ58aと螺合可能である。
【0035】
ここで、
図4、
図5に示すように、第1管部71は、栓51を延設方向Yに進退可能に支持する支持部77を備える。支持部77は、第1管部71における挿入管部分65とは反対側の端面71bから延設方向Yに延びて内部流路53に連通する支持孔78を備える。支持孔78は、端面71bの側から内部流路53の側に向かって大径孔部分80と、大径孔部分80よりも内径寸法が小さい小径穴部分81とを備える。小径穴部分81は、内部流路53の第3小径流路部分76に段差なく連続する。ここで、第1管部71の外径寸法は、延設方向Yを挿入管部分65の側から端面71bの側に向かって、段階的に、大きくなる。
【0036】
栓51は、その軸部56が支持孔78に挿入された状態で、第1管部71に支持される。軸部56が支持孔78に挿入される際に、軸部56の雄ねじ58aと、第1管部71の雌ねじ71aとは、螺合する。また、軸部56が第1管部71に支持されたときに、軸部56と第1管部71との間には、第1Oリング60および第2Oリング61が介在する。栓51は、軸部56の軸線回りに回転させられることにより、支持孔78に沿って移動する。
【0037】
栓51は、内部流路53を封鎖する閉位置51Aと、接続口52と採水口10とを連通させる開位置51Bとの間で移動する。
図4、
図6に示すように、閉位置51Aでは、栓51は、軸部56の先端部分(小径軸部分58)が、内部流路53の第2小径流路部分74に嵌った状態となる。これにより、小径軸部分58は、内部流路53を封鎖する。開位置51Bでは、
図5に示すように、栓51は、軸部56の先端部分(小径軸部分58)が
、内部流路53の大径流路部分75の径方向内側に位置する。これにより、接続口52と採水口10とが連通する。
【0038】
(採水管のハウジングへの取付け)
図4に示すように、採水管50は、挿入管部分65が筒部38に挿入されてハウジング15に取り付けられれる。採水管50がハウジング15に固定されたときに、Oリング67は、挿入管部分65と筒部38との間に介在する。また、挿入管部分65の第2環状溝65bに取り付けられたC形止め輪68の外周側は、筒部側環状溝39に挿入される。これにより、採水管50は、筒部38の軸線L3回りに回転可能な状態でハウジング15に取り付けられる。また、挿入管部分65が筒部38に挿入されると、挿入管部分65の先端面の接続口52が、ハウジング15(一次側管部18)の外周面における筒部38の中央に露出する分岐路40の開口40aに接続される。これにより、止水栓本体部11の一次側流路25と採水部12の内部流路53とが連通した状態となる。
【0039】
(作用効果)
本例のボール止水栓5は、止水栓本体部11と、採水部12と、を備える。止水栓本体部11は、一次側配管に接続される一次側流路25、浄水器6(二次側配管)に接続される二次側流路26、および一次側流路25と二次側流路26との間で一次側流路25および二次側流路26に連通する弁室27を備えるハウジング15と、弁室27内に配置されたボール弁体33と、ハウジング15を貫通した状態でハウジング15に回転可能に支持されたスピンドル16と、を有する。スピンドル16は、一方の端部分がボール弁体33に接続され、他方の端部分がハウジング15から突出する。採水部12は、採水口10、接続口52、および採水口10および接続口52に連通する内部流路53を備える採水管50と、採水管50に支持されて内部流路53を開閉する栓51と、を有する。ハウジング15は、一方端が一次側流路25に連通し、他方端がハウジング15から外に露出する開口40aを有する分岐路40を備える。採水管50は、分岐路40の開口40aに接続口52が接続された状態で、ハウジング15に取り付けられる。
【0040】
すなわち、本例のボール止水栓5は、止水栓本体部11に支持された採水部12を備える。採水部12において、採水口10に連通する内部流路53は、一次側配管に接続される一次側流路25に、分岐路40を介して連通する。従って、ボール止水栓5に流入する水を、採水口10から取水できる。よって、ボール止水栓5とボール止水栓5の二次側管部19に接続された浄水器6とを備える浄水ユニット1を敷地内給水管4の途中に設置すれば、浄水器6に流入する水道水を、浄水器6の上流側に位置するボール止水栓5の採水口10から採水できる。従って、浄水器6よりも上流側で、敷地内給水管4を流れる水の浮遊残留塩素濃度が基準濃度に達しているか否かを確認する際に、採水が容易である。
【0041】
また、本例では、ハウジング15は、内部に一次側流路25を備える一次側管部18と、一次側管部18の外周面から当該一次側管部18の管軸L1と交差する方向に突出する筒部38と、を備える。分岐路40は、開口40aが外周面における筒部38の中央に露出する。採水管50は、筒部38に挿入可能な挿入管部分65を備え、挿入管部分65が筒部38に挿入された状態でハウジング15に取り付けられる。接続口52は、挿入管部分65の先端面に露出し、採水管50がハウジング15に取り付けられたときに分岐路40の開口40aに接続される。従って、止水栓本体部11に採水部12を取り付けることにより、止水栓本体部11の一次側流路25を、分岐路40を介して、採水部12の内部流路53に連通させることができる。
【0042】
また、本例では、挿入管部分65と筒部38との間には、Oリング67が介在する。従って、採水管50と、ハウジング15との間から、水が漏れることを防止できる。
【0043】
ここで、
図7は、採水管50の延設管部分66の延設方向Yを変化させたボール止水栓5の斜視図である。本例では、ボール止水栓5は、C形止め輪68を備える。挿入管部分65には第2環状溝65bが設けられ、C形止め輪68は、第2環状溝65bに取り付けられる。ハウジング15の筒部38の内周面には、筒部側環状溝39が設けられる。挿入管部分65が筒部38に挿入されたときに、C形止め輪68の外周側が筒部側環状溝39に挿入される。これにより、採水管50は、筒部38の軸線L3回りに回転可能な状態で、ハウジング15に取り付けられる。従って、
図7に示すように、止水栓本体部11に対する採水管50の延設管部分66の延設方向Yを所望の方向に向けることができる。これにより、採水口10の向きを変更することが可能となるので、採水が容易となる。
【0044】
また、採水管50は、挿入管部分65と、挿入管部分65における接続口52とは反対側の端部分から挿入管部分65と交差する方向に屈曲する延設管部分66と、を備える。内部流路53は、挿入管部分65および延設管部分66を経由して延びる。採水口10は、延設管部分66に設けられている。これにより、採水管50が屈曲するので、採水管50が直線状に延びる場合と比較して、ボール止水栓5が一次側管部18と直交する方向に大きくなることを抑制できる。
【0045】
さらに、延設管部分66は、挿入管部分65から挿入管部分65と交差する延設方向Yに直線状に延びる第1管部71と、第1管部71分の途中から延設方向Yと交差する方向に突出する第2管部72と、を備える。採水口10は、第2管部72の先端に設けられる。内部流路53は、挿入管部分65、第1管部71、および第2管部72をこの順に経由する。第1管部71は、栓51を延設方向Yに進退可能に支持する支持部77を備える。支持部77は、第1管部71における挿入管部分65とは反対側の端面71bから延設方向Yに延びて内部流路53に連通する支持孔78を備える。栓51は、支持孔78に挿入される軸部56を備える。栓51は、軸部56の先端部分が延設方向Yで第2管部72よりも挿入管部分65の側に位置して内部流路53を封鎖する閉位置51Aと、軸部56の先端部分が閉位置51Aよりも端面71bの側に位置して接続口52と採水口10とを連通させる開位置51Bと、の間で移動する。このようにすれば、栓51により、採水管50の内部流路53を開閉できる。
【0046】
(変形例)
ここで、採水管50を接続する筒部38の突出方向は、下方Z1に限られない。例えば、一次側管部18から、管軸L1およびスピンドル16の回転軸L2と直交する方向(横方向)に突出してもよい。
【0047】
なお、ボール止水栓5は、浄水ユニット1としてではなく、単独で配管の途中に設置してもよいことは勿論である。この場合には、配管の途中に設置したボール止水栓5の採水口10から採水を行うことにより、配管の管路内の空気抜きを行うことが可能となる。また、水処理プラントの配管の途中にボール止水栓5を設置すれば、ボール止水栓5の採水口10から採水を行うことにより、水処理プラントを経由して流れる水の水質検査を所望の位置で行うことが可能となる。
【0048】
また、ボール止水栓5を、液体注入用バルブとして、配管の終端に設置してもよい。配管を流れる液体は、例えば、医薬用に調製された液体、或いは、食品や飲料に用いられる液体である。この場合には、ボール止水栓5を開状態として配管を流れる液体を配管から液体貯留槽に注入する前に、ボール止水栓5の採水口10から採水を行うことにより、液体の成分などを検査することが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1…浄水ユニット、2…水道メータ、3…蛇口、4…敷地内給水管、5…ボール止水栓、
6…浄水器、10…採水口、11…止水栓本体部、12…採水部、15…ハウジング、16…スピンドル、17…ハンドル、18…一次側管部、19…二次側管部、20…本体部、21…ナット、22…管継手、25…一次側流路、26…二次側流路、27…弁室、31…一次側弁座、32…二次側弁座、33…ボール弁体、34…Oリング、35…弁体流路、38…筒部、39…筒部側環状溝、40…分岐路、40a…開口、50…採水管、51…栓、51A…閉位置、51B…開位置、52…接続口、53…内部流路、53a…第1屈曲部分、53b…第2屈曲部分、55…頭部、56…軸部、57…大径軸部分、57a…雄ねじ、58…小径軸部分、58a…雄ねじ、59…環状突出部分、60…第1Oリング、61…第2Oリング、65…挿入管部分、65a…第1環状溝、65b…第2環状溝、66…延設管部分、67…Oリング、68…C形止め輪、71…第1管部、71a…雌ねじ、71b…端面、72…第2管部、73…第1小径流路部分、74…第2小径流路部分、75…大径流路部分、76…第3小径流路部分、77…支持部、78…支持孔、80…大径孔部分、81…小径穴部分、L1…管軸、L2…回転軸、L3…軸線