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特開2024-67146保持具、流体圧機器及び流体圧機器セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067146
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】保持具、流体圧機器及び流体圧機器セット
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/12 20060101AFI20240510BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
F16L41/12
F16B2/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176979
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】伊東 喜彦
【テーマコード(参考)】
3H019
3J022
【Fターム(参考)】
3H019DA01
3H019DA12
3J022DA11
3J022EA11
3J022EB02
3J022EB06
3J022FA05
3J022FB08
3J022FB12
3J022HB02
3J022HB06
(57)【要約】
【解決手段】雌型接続部18と雄型接続部50との接続を保持するための保持具10であって、雌型接続部には、スリット22、嵌合孔24及び第1流体流路26が形成され、雄型接続部は、突起部54を有する。保持具は、U字状の保持本体66と、一対のアーム部78に設けられ突起部の外周に形成された係止溝62に入り込むことで突起部が嵌合孔から抜け出ることを阻止する係止凸部68と、を有する。係止凸部のうち、スリットに保持具が装着された状態で開口部44側を向く面には、保持本体の幅方向内方に厚みが薄くなる傾斜面82が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型接続部と雄型接続部との接続を保持するための保持具であって、
前記雌型接続部には、
前記保持具が装着されるスリットと、
前記雌型接続部の外面に開口する開口部を含み、且つ前記スリットを貫通する嵌合孔と、
前記嵌合孔に連通する流体流路と、
が形成され、
前記雄型接続部は、前記嵌合孔に嵌合可能な突起部を有し、
前記保持具は、
互いに離間する方向に弾性変形可能な一対のアーム部を有するU字状の保持本体と、
前記一対のアーム部の少なくともいずれかに設けられ、且つ前記嵌合孔と前記突起部とが嵌合した状態で前記突起部の外周に形成された係止溝に入り込むことで前記突起部が前記嵌合孔から抜け出ることを阻止する係止凸部と、
を有し、
前記係止凸部のうち、前記スリットに前記保持具が装着された状態で前記開口部側を向く面には、前記保持本体の幅方向内方に厚みが薄くなる傾斜面が形成されている、保持具。
【請求項2】
請求項1記載の保持具であって、
前記係止凸部は、前記一対のアーム部の各々に設けられている、保持具。
【請求項3】
請求項1記載の保持具であって、
前記係止凸部は、前記一対のアーム部の延在方向に沿って延びている、保持具。
【請求項4】
請求項1記載の保持具であって、
前記係止凸部は、前記一対のアーム部の少なくともいずれかの先端部に位置する、保持具。
【請求項5】
請求項1記載の保持具であって、
前記保持具は、前記雌型接続部の第1位置決め部に係合する第2位置決め部を備える、保持具。
【請求項6】
請求項5記載の保持具であって、
前記第2位置決め部は、凸部又は凹部である、保持具。
【請求項7】
請求項1記載の保持具であって、
前記保持本体には、ユーザが手指で摘まむことが可能な操作部が設けられている、保持具。
【請求項8】
請求項7記載の保持具であって、
前記保持本体は、前記一対のアーム部を互いに連結する連結部を有し、
前記操作部は、前記連結部に対して前記一対のアーム部とは反対側に位置すると共に前記保持本体の幅方向に沿って延在している、保持具。
【請求項9】
請求項8記載の保持具であって、
前記保持本体は、前記操作部の延在方向に沿って互いに間隔を空けて複数設けられ、
前記係止凸部は、複数の前記保持本体の各々に設けられている、保持具。
【請求項10】
雌型接続部と、
前記雌型接続部と雄型接続部との接続を保持するための保持具と、を備えた流体圧機器であって、
前記雌型接続部には、
前記保持具が装着されるスリットと、
前記雌型接続部の外面に開口する開口部を含み、且つ前記スリットを貫通する嵌合孔と、
前記嵌合孔に連通する流体流路と、
が形成され、
前記雄型接続部は、前記嵌合孔に嵌合可能な突起部を有し、
前記保持具は、請求項1~9のいずれか1項に記載の保持具である、流体圧機器。
【請求項11】
請求項10記載の流体圧機器と、
前記雌型接続部に接続される雄型接続部を有する接続部材と、
を備える、流体圧機器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具、流体圧機器及び流体圧機器セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流体圧機器本体と嵌合部材との接続を保持するためのU字状のクリップ(保持具)が開示されている。嵌合部材は、外周に環状溝が形成された突起部を有する。流体圧機器本体には、外面に開口すると共に突起部が嵌合する嵌合孔と、突起部を嵌合孔に嵌合した状態で環状溝にクリップを差し込むためのクリップ挿入孔と、が形成されている。嵌合孔には、流体流路が連通している。クリップは、環状溝に差し込まれることにより、突起部が嵌合孔から抜け出ることを阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-269425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来技術において、流体圧機器本体(雌型接続部)と嵌合部材(雄型接続部)とを接続した状態に保持するためには、嵌合孔に突起部を嵌合した後で、クリップをクリップ挿入孔から環状溝に差し込む必要がある。すなわち、2回の操作が必要になり、操作が面倒である。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、雌型接続部と雄型接続部との接続を保持するための保持具であって、前記雌型接続部には、前記保持具が装着されるスリットと、前記雌型接続部の外面に開口する開口部を含み、且つ前記スリットを貫通する嵌合孔と、前記嵌合孔に連通する流体流路と、が形成され、前記雄型接続部は、前記嵌合孔に嵌合可能な突起部を有し、前記保持具は、互いに離間する方向に弾性変形可能な一対のアーム部を有するU字状の保持本体と、前記一対のアーム部の少なくともいずれかに設けられ、且つ前記嵌合孔と前記突起部とが嵌合した状態で前記突起部の外周に形成された係止溝に入り込むことで前記突起部が前記嵌合孔から抜け出ることを阻止する係止凸部と、を有し、前記係止凸部のうち、前記スリットに前記保持具が装着された状態で前記開口部側を向く面には、前記保持本体の幅方向内方に厚みが薄くなる傾斜面が形成されている、保持具である。
【0007】
本発明の第2の態様は、雌型接続部と、前記雌型接続部と雄型接続部との接続を保持するための保持具と、を備えた流体圧機器であって、前記雌型接続部には、前記保持具が装着されるスリットと、前記雌型接続部の外面に開口する開口部を含み、且つ前記スリットを貫通する嵌合孔と、前記嵌合孔に連通する流体流路と、が形成され、前記雄型接続部は、前記嵌合孔に嵌合可能な突起部を有し、前記保持具は、上述した保持具である、流体圧機器である。
【0008】
本発明の第3の態様は、上述した流体圧機器と、前記雌型接続部に接続される雄型接続部を有する接続部材と、を備える、流体圧機器セットである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持具をスリットに装着した状態で、嵌合孔に突起部を挿入すると、突起部が係止凸部の傾斜面に当たり一対のアーム部が互いに離間するように保持本体が弾性変形する。続いて、嵌合孔に突起部をさらに挿入すると、係止溝が係止凸部に位置した時に、弾性変形している保持本体が元の形状に復帰して係止凸部が係止溝に入り込む。これにより、係止凸部によって突起部が嵌合孔から抜け出ることが阻止される。このように、雌型接続部のスリットに予め保持具を装着しておくことにより、突起部を嵌合孔に嵌合する1回の操作で雌型接続部と雄型接続部との接続を保持できるため、操作が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る流体圧機器セットの斜視図である。
図2図2は、図1の流体圧機器セットの分解斜視図である。
図3図3は、図2の流体圧機器の雌型接続部の一部省略斜視図である。
図4図4Aは、図2の雌型接続部の横断面図である。図4Bは、図4AのIVB-IVB線に沿った縦断面図である。
図5図5Aは、図2の保持具の斜視図である。図5Bは、図5Aの保持具を異なる方向から見た斜視図である。
図6図6は、スリットに保持具を装着した状態の流体圧機器の一部省略横断面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線に沿った縦断面図である。
図8図8Aは、雌型接続部と雄型接続部との接続の第1動作説明図である。図8Bは、雌型接続部と雄型接続部との接続の第2動作説明図である。
図9図9は、図8BのIX-IX線に沿った横断面図である。
図10図10は、雌型接続部と雄型接続部との接続の第3動作説明図である。
図11図11Aは、第1変形例に係る保持具の斜視図である。図11Bは、第2変形例に係る保持具の斜視図である。
図12図12は、第3変形例に係る保持具の斜視図である。
図13図13は、本発明の第2実施形態に係る流体圧機器セットの分解斜視図である。
図14図14は、本発明の第3実施形態に係る流体圧機器セットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る流体圧機器セット12は、流体圧機器14と、接続部材16とを備える。流体圧機器14は、雌型接続部18を有する機器本体20と、保持具10とを備える。機器本体20は、例えば、エアアクチュエータ、弁部材、配管、マニホールド等として構成されるが、これらに限定されない。
【0012】
雌型接続部18は、ブロック状に形成されている。雌型接続部18は、例えば、直方体形状に形成されている。雌型接続部18には、接続部材16の雄型接続部50が接続される。図2図4Bにおいて、雌型接続部18には、スリット22、嵌合孔24及び第1流体流路26(流体流路)が形成されている。
【0013】
図3及び図4Bにおいて、スリット22は、雌型接続部18の外面のうち雄型接続部50が接続される側の面(取付面28)の近くに位置する。取付面28は、平坦面である。スリット22は、両端が開口する幅狭の溝である。スリット22は、取付面28に対して平行に設けられている。スリット22を形成する雌型接続部18の内面は、互いに向かい合う第1スリット側面30と第2スリット側面32とを含む。第1スリット側面30は、第2スリット側面32と取付面28との間に位置する。スリット22は、保持具10を挿入するための挿入口34を含む。スリット22には、挿入口34から保持具10が装着される(図1及び図2参照)。
【0014】
スリット22内には、挿入口34とは反対側の壁部36(スリット22の底壁部)から挿入口34に向かって延出した支持壁部38が設けられている。支持壁部38の延出端面40は、挿入口34と壁部36との中間に位置する。支持壁部38の両側面の各々には、挿入溝42がそれぞれ形成されている。一対の挿入溝42は、支持壁部38の延出方向に沿って延在すると共に支持壁部38の延出端面40に開口している。一対の挿入溝42は、スリット22の一部である。
【0015】
嵌合孔24は、スリット22の幅方向(図3の上下方向)にスリット22を貫通する。嵌合孔24は、支持壁部38を貫通する。嵌合孔24は、雌型接続部18の取付面28に開口する開口部44を含む(図3参照)。嵌合孔24は、例えば、円形状の孔である。図4Bにおいて、第1流体流路26は、嵌合孔24に連通している。具体的に、第1流体流路26は、嵌合孔24のうちスリット22よりも開口部44とは反対側の部分に繋がっている。第1流体流路26には、例えば、圧縮空気等の流体が流通する。ただし、第1流体流路26を流通する流体は、液体であってもよい。
【0016】
図3及び図4Aに示すように、第1スリット側面30には、保持具10を位置決めするための第1位置決め部46が設けられている。第1位置決め部46は、円形状の凹部48である。凹部48は、第1スリット側面30から取付面28まで延在した貫通孔である。第1位置決め部46は、支持壁部38の延出端面40と挿入口34との間に位置する。第1位置決め部46は、支持壁部38の延出端面40に近接している。
【0017】
図2に示すように、接続部材16は、例えば、流体圧機器として構成される。この場合、当該流体圧機器としては、例えば、エアアクチュエータ、弁部材、配管、マニホールド等として構成されるが、これらに限定されない。なお、接続部材16は、嵌合孔24を塞ぐためのプラグであってもよい。
【0018】
接続部材16は、雌型接続部18に接続可能な雄型接続部50を有する。雄型接続部50は、ベース部52と、突起部54とを有する。ベース部52は、ブロック状に形成されている。図8Aに示すように、ベース部52には、流体が流通する第2流体流路56が形成されている。
【0019】
突起部54は、ベース部52から突出するように設けられている。突起部54は、ベース部52とは別体の部材であり、ベース部52に対して取り付けられる。ただし、突起部54は、ベース部52に一体成形されていてもよい。突起部54は、円筒状に形成されている。突起部54の内孔58は、ベース部52の第2流体流路56に連通している。
【0020】
図2及び図8Aにおいて、突起部54の外周面には、シール保持溝60と、係止溝62とが形成されている。シール保持溝60は、環状に延在すると共に係止溝62よりも突起部54の突出方向に位置している。シール保持溝60には、環状のシール部材64が配置される。シール部材64は、突起部54を嵌合孔24に嵌合させた状態で、嵌合孔24の内面に気密に接触する(図10参照)。
【0021】
係止溝62は、保持具10の係止凸部68が入り込む溝であって、環状に延在している。換言すれば、係止溝62は、円環状に延在している。ただし、係止溝62は、係止凸部68が入り込むことができれば、環状に延在していなくてもよい。係止溝62の大きさ、形状、位置等は、適宜設定可能である。
【0022】
図1及び図2に示すように、保持具10は、雌型接続部18と雄型接続部50との接続を保持する。図5A及び図5Bに示すように、保持具10は、U字状の保持本体66と、一対の係止凸部68と、位置決めベース部70と、操作部72とを備える。
【0023】
保持具10は、樹脂材料によって一体成形されている。保持具10を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。ポリアセタールは、モノポリマーであってもコポリマーであってもよい。保持具10を構成する樹脂材料の曲げ弾性率は、例えば、2500MPa以上であるのが好ましいが、これに限定されない。
【0024】
保持本体66は、矩形状の横断面を有する。保持本体66は、厚さ方向を向く第1面74と第2面76とを有する。以下、第1面74が向く方向(図5Aの下方)を「第1方向」といい、第2面76が向く方向(図5Aの上方)を「第2方向」ということがある。
【0025】
保持具10がスリット22に装着された状態で、第1面74は開口部44側を向き、第2面76は開口部44とは反対側を向く(例えば、図8A等を参照)。保持本体66は、互いに向かい合うように延在した一対のアーム部78と、一対のアーム部78の端部を互いに繋ぐ連結部80とを有する。一対のアーム部78は、互いに平行に延在している。保持本体66は、一対のアーム部78が互いに離間する方向に弾性変形可能に形成されている。連結部80は、円弧状に湾曲している。ただし、連結部80は、直線状に延在してもよい。
【0026】
一対の係止凸部68は、一対のアーム部78にそれぞれ設けられている。一対の係止凸部68は、一対のアーム部78のうち互いに向かい合う内面から保持本体66の幅方向内方(一対のアーム部78が近接する方向)に向かって突出している。係止凸部68は、アーム部78の延在方向に沿って延びている。係止凸部68は、アーム部78の先端部(連結部80とは反対方向の端部)に設けられている。係止凸部68は、アーム部78の先端部からアーム部78の基端部(連結部80が繋がっている端部)に向かって延在している。
【0027】
係止凸部68のうち第1方向を向く面には、保持本体66の幅方向内方に厚みが薄くなる傾斜面82が形成されている。傾斜面82は、係止凸部68の突出方向に向かって第2方向に傾斜した平坦面である。傾斜面82は、係止凸部68の全長に亘って延在している。
【0028】
係止凸部68のうち第2方向を向く面には、ストッパ面84が形成されている。ストッパ面84は、係止凸部68の突出方向に沿って延在した平坦面である。ストッパ面84は、係止凸部68の全長に亘って延在している。
【0029】
位置決めベース部70は、連結部80の内面(一対のアーム部78の内面を互いに繋ぐ面)から一対のアーム部78の間の空間に向かって突出している。位置決めベース部70は、連結部80の延在方向の中央に位置する。位置決めベース部70は、保持本体66の厚みよりも薄い。位置決めベース部70は、保持本体66の第1面74に段差無く繋がる面86を有する。当該面86には、第2位置決め部88が設けられている。
【0030】
第2位置決め部88は、保持具10をスリット22に装着する時に第1位置決め部46に係合することにより、保持具10を雌型接続部18に対して位置決めする(図7参照)。第2位置決め部88は、円形状の凸部90である。凸部90は、先端部がテーパー状に縮径している。これにより、凸部90は、第1位置決め部46である凹部48に入り込み易くなる(図7参照)。なお、本実施形態では、第1位置決め部46が凹部48であり第2位置決め部88が凸部90である例を示しているが、第1位置決め部46が凸部であり第2位置決め部88が凹部であってもよい。
【0031】
操作部72は、ユーザが手指で摘まむことができるような大きさ及び形状に形成されている。操作部72は、保持本体66の厚さと同じ厚さを有する。操作部72は、連結部80の内面とは反対側の外面から外方に突出した突出部92と、突出部92の突出端部に設けられた操作本体94とを有する。操作本体94は、保持本体66の幅方向に延在している。操作本体94の両端面には、凹凸形状の滑り止め部96が設けられている。
【0032】
図6及び図7に示すように、流体圧機器14において、保持具10は、雌型接続部18と雄型接続部50とを接続する前に、予めスリット22に装着されている。具体的に、保持具10は、保持本体66の第1面74が第1スリット側面30(開口部44側)を向くようにスリット22の挿入口34からスリット22内に挿入される。この時、一対の係止凸部68は、支持壁部38の一対の挿入溝42にそれぞれ挿入される。続いて、第2位置決め部88(凸部90)が第1位置決め部46(凹部48)に係合(嵌合)することにより、保持具10は、雌型接続部18に対して適切な位置に取り付けられる。保持具10がスリット22に装着された状態で、一対の係止凸部68は、嵌合孔24に位置する。
【0033】
雌型接続部18と雄型接続部50とを接続する場合、図8Aに示すように、取付面28の開口部44から嵌合孔24に突起部54を挿入する。そうすると、突起部54の先端部が一対の傾斜面82に接触する。そして、嵌合孔24に突起部54をさらに挿入すると、図8B及び図9に示すように、突出部92が一対の傾斜面82を互いに離間する方向に押圧するため、保持本体66は、弾性変形して一対のアーム部78が互いに離間する方向に変位する。これにより、一対の係止凸部68の間隔が広くなるため、突起部54は一対の係止凸部68の間を挿通できるようになる。
【0034】
その後、図10に示すように、突起部54の係止溝62が一対の係止凸部68に位置した時に、突起部54から係止凸部68に作用していた力が解除されるため、保持本体66は元の形状に復帰して一対の係止凸部68が係止溝62に入り込む。これにより、雌型接続部18と雄型接続部50との接続が完了する。
【0035】
雌型接続部18と雄型接続部50とが互いに接続された状態で、シール部材64は嵌合孔24を形成する雌型接続部18の内面に気密(流体が液体の場合は液密)に接触する。雌型接続部18の第1流体流路26は、嵌合孔24と突起部54の内孔58を介して雄型接続部50の第2流体流路56に連通する。第1流体流路26と第2流体流路56との間で流体が流れることにより、雌型接続部18と雄型接続部50とが離間する方向に力が作用する。しかしながら、この時、係止溝62の溝側面が係止凸部68のストッパ面84に接触するため、突起部54が嵌合孔24から抜け出ることはない。すなわち、本実施形態では、突起部54を嵌合孔24に差し込むという1回の操作によって、雌型接続部18と雄型接続部50とが互いに接続されると共に突起部54が嵌合孔24から抜け出ることが抑えられる。
【0036】
本実施形態によれば、保持具10をスリット22に装着した状態で、嵌合孔24に突起部54を挿入すると、突起部54が係止凸部68の傾斜面82に当たり一対のアーム部78が互いに離間するように保持本体66が弾性変形する。続いて、嵌合孔24に突起部54をさらに挿入すると、係止溝62が係止凸部68に位置した時に、弾性変形している保持本体66が元の形状に復帰して係止凸部68が係止溝62に入り込む。これにより、係止凸部68によって突起部54が嵌合孔24から抜け出ることが阻止される。このように、雌型接続部18のスリット22に予め保持具10を装着しておくことにより、突起部54を嵌合孔24に嵌合する1回の操作で雌型接続部18と雄型接続部50との接続を保持できるため、操作が簡単である。
【0037】
次に、第1~第3変形例に係る保持具10A~10Cについて説明する。なお、これら変形例において、上述した保持具10と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
(第1変形例)
図11Aに示すように、第1変形例に係る保持具10Aは、一対の係止凸部68aを有する。係止凸部68aの傾斜面82aは、アーム部78の先端方向から見て、第1方向(図11Aの下方)に向かって凸となるように円弧状に湾曲している。このような傾斜面82aであっても、上述した傾斜面82と同様の効果を奏する。
【0039】
(第2変形例)
図11Bに示すように、第2変形例に係る保持具10Bは、一対の係止凸部68bを有する。係止凸部68bの突出端部は、アーム部78の先端方向から見て、半円状に形成されている。この場合、係止凸部68bの傾斜面82bは、アーム部78の先端方向から見て、第1方向(図11Aの下方)に向かって凸となるように円弧状に湾曲する。このような傾斜面82bであっても、上述した傾斜面82と同様の効果を奏する。
【0040】
(第3変形例)
図12に示すように、第3変形例に係る保持具10Cは、金属材料によって一体成形されている。保持具10Cを構成する金属材料としては、例えば、ばね用ステンレス鋼が挙げられるが、これに限定されない。保持具10Cは、例えば、金属薄板を所定形状に折り曲げ加工することにより形成される。
【0041】
保持具10Cは、U字状の保持本体66aと、一対の係止凸部68cと、位置決めベース部70aと、操作部72aとを備える。保持具10Cの各構成要素の機能は、上述した保持具10Cの各構成要素の機能と同じである。保持本体66aは、互いに向かい合うように延在した一対のアーム部78aと、一対のアーム部78aの端部を互いに繋ぐ連結部80aとを有する。
【0042】
一対の係止凸部68cは、一対のアーム部78aの先端部にそれぞれ設けられている。係止凸部68cは、アーム部78aの先端部から先端方向(連結部80aとは反対方向)に向かって延出している。係止凸部68cは、アーム部78aの先端方向から見て、三角筒状に形成されている。係止凸部68cは、保持本体66aの幅方向内方に突出している。係止凸部68cは、傾斜面82cと、ストッパ面84aとを有する。
【0043】
傾斜面82cは、係止凸部68cの突出方向に向かって第2方向に傾斜した平坦面である。ただし、傾斜面82cは、上述した保持具10Aの傾斜面82a(図11A参照)又は保持具10Bの傾斜面82b(図11B参照)のように、アーム部78aの先端方向から見て円弧状に形成されてもよい。ストッパ面84aは、第2方向を向く平坦面である。
【0044】
位置決めベース部70aは、連結部80aの第1方向(図12の下方)の端部から一対のアーム部78aの間の空間に突出している。位置決めベース部70aには、第1方向に突出した第2位置決め部88aが設けられている。第2位置決め部88aは、円形状の凸部90aである。
【0045】
操作部72aは、連結部80aの第2方向(図12の上方)の端部から一対のアーム部78aとは反対方向に突出した突出部92aと、突出部92aの突出端部に設けられた操作本体94aとを含む。操作本体94aは、平板状に延在している。
【0046】
このような変形例によれば、保持本体66aは、一対のアーム部78aが互いに離れる方向に弾性変形する。そのため、保持具10Cは、上述した保持具10と同様の効果を奏する。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る流体圧機器セット12Aについて説明する。本実施形態において、上述した第1実施形態に係る流体圧機器セット12と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。後述する第3実施形態についても同様である。
【0048】
図13に示すように、第2実施形態に係る流体圧機器セット12Aは、流体圧機器14Aと、接続部材16aとを備える。流体圧機器14Aは、機器本体20aと、保持具10Dとを備える。機器本体20aの雌型接続部18aは、接続部材16aの雄型接続部50aの2つの突起部54が嵌合する2つの嵌合孔24を有する。2つの嵌合孔24は、スリット22の延在方向に間隔を空けて配置されている。
【0049】
保持具10Dは、2つの保持本体66と、1つの操作部72bとを備える。各保持本体66には、一対の係止凸部68と、位置決めベース部70とが設けられている。操作部72bは、各保持本体66から突出した2つの突出部92と、これら突出部92の突出端部を繋ぐように延在した操作本体94bとを有する。すなわち、2つの保持本体66は、操作部72bを介して互いに繋がっている。
【0050】
第2実施形態に係る流体圧機器セット12Aにおいて、第1実施形態に係る流体圧機器セット12と同様の構成については同様の作用効果を奏する。
【0051】
本実施形態によれば、保持本体66は、操作部72bの延在方向に沿って互いに間隔を空けて複数設けられている。
【0052】
このような構成によれば、雌型接続部18aに複数の嵌合孔24が形成されると共に雄型接続部50aが複数の突起部54を有する場合であっても、1つの保持具10Dによって雌型接続部18aと雄型接続部50aの接続を保持できる。
【0053】
(第3実施形態)
図14に示すように、第3実施形態に係る流体圧機器セット12Bは、流体圧機器14Bと、接続部材16aとを備える。流体圧機器14Bは、機器本体20bと、保持具10Eとを備える。機器本体20bの雌型接続部18bは、接続部材16aの雄型接続部50aの2つの突起部54が嵌合する2つの嵌合孔24を有する。2つの嵌合孔24は、スリット22の深さ方向に間隔を空けて配置されている。
【0054】
保持具10Eは、保持本体66bと、一対の係止凸部68dと、位置決めベース部70と、操作部72とを備える。保持本体66bの一対のアーム部78bは、上述した保持具10の一対のアーム部78よりも長く形成されている。一対の係止凸部68dは、上述した保持具10の一対の係止凸部68よりも長く形成されている。アーム部78b及び係止凸部68dの長さは、保持具10Eをスリット22に装着した状態で、2つの嵌合孔24に係止凸部68dが位置するような長さを有する。
【0055】
第3実施形態に係る流体圧機器セット12Bにおいて、上述した流体圧機器セット12、12Aと同様の構成については同様の作用効果を奏する。
【0056】
上述した保持具10、10A~10Eにおいて、係止凸部68、68a~68dは、一対のアーム部78、78a、78bの一方にのみ設けられてもよい。また、保持具10、10A~10Eにおいて、操作部72、72a、72bは、省略されてもよい。この場合、スリット22に装着された保持具10、10A~10Eを取り外すことができないように保持具10、10A~10Eを構成してもよいし、特殊な工具等を用いることにより保持具10、10A~10Eをスリット22から取り外すことができるように構成してもよい。
【0057】
[実施形態から得られる発明]
上記の実施形態及び第1~第3変形例から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0058】
(1)雌型接続部(18、18a、18b)と雄型接続部(50、50a)との接続を保持するための保持具(10、10A~10E)であって、前記雌型接続部には、前記保持具が装着されるスリット(22)と、前記雌型接続部の外面に開口する開口部(44)を含み、且つ前記スリットを貫通する嵌合孔(24)と、前記嵌合孔に連通する流体流路(26)と、が形成され、前記雄型接続部は、前記嵌合孔に嵌合可能な突起部(54)を有し、前記保持具は、互いに離間する方向に弾性変形可能な一対のアーム部(78、78a、78b)を有するU字状の保持本体(66、66a、66b)と、前記一対のアーム部の少なくともいずれかに設けられ、且つ前記嵌合孔と前記突起部とが嵌合した状態で前記突起部の外周に形成された係止溝(62)に入り込むことで前記突起部が前記嵌合孔から抜け出ることを阻止する係止凸部(68、68a~68d)と、を有し、前記係止凸部のうち、前記スリットに前記保持具が装着された状態で前記開口部側を向く面には、前記保持本体の幅方向内方に厚みが薄くなる傾斜面(82、82a~82c)が形成されている。
【0059】
(2)上記の保持具であって、前記係止凸部は、前記一対のアーム部の各々に設けられてもよい。
【0060】
このような構成によれば、突起部によって一対のアーム部を互いに離間する方向に均等に弾性変形させることができる。
【0061】
(3)上記の保持具であって、前記係止凸部は、前記一対のアーム部の延在方向に沿って延びてもよい。
【0062】
このような構成によれば、保持具をスリットに装着した時に係止凸部を嵌合孔に位置させ易くなる。
【0063】
(4)上記の保持具であって、前記係止凸部は、前記一対のアーム部の少なくともいずれかの先端部に位置してもよい。
【0064】
このような構成によれば、一対のアーム部を効率よく弾性変形させることができる。
【0065】
(5)上記の保持具であって、前記保持具は、前記雌型接続部の第1位置決め部(46)に係合する第2位置決め部(88、88a)を備えてもよい。
【0066】
このような構成によれば、保持具をスリットに装着する時に、第2位置決め部を第1位置決め部に係合させることにより保持具をスリットに簡単に装着できる。
【0067】
(6)上記の保持具であって、前記第2位置決め部は、凸部又は凹部であってもよい。
【0068】
このような構成によれば、保持具の構成を簡単にできる。
【0069】
(7)上記の保持具であって、前記保持本体には、ユーザが手指で摘まむことが可能な操作部(72、72a、72b)が設けられてもよい。
【0070】
このような構成によれば、操作部を摘まむことによりスリットから保持具を簡単に取り外すことができる。また、スリットから保持具を取り外した後で、雄型接続部の突起部を雌型接続部の嵌合孔から抜くことができる。
【0071】
(8)上記の保持具であって、前記保持本体は、前記一対のアーム部を互いに連結する連結部(80、80a)を有し、前記操作部は、前記連結部に対して前記一対のアーム部とは反対側に位置すると共に前記保持本体の幅方向に沿って延在してもよい。
【0072】
このような構成によれば、保持具をスリットに装着した装着状態で操作部をスリットの外側に露出させことができる。また、操作部が保持本体の幅方向に沿って延在しているため、ユーザは、操作部を摘まみ易い。
【0073】
(9)上記の保持具であって、前記保持本体は、前記操作部の延在方向に沿って互いに間隔を空けて複数設けられ、前記係止凸部は、複数の前記保持本体の各々に設けられてもよい。
【0074】
このような構成によれば、雌型接続部に複数の嵌合孔が形成されると共に雄型接続部が複数の突起部を有する場合であっても、1つの保持具によって雌型接続部と雄型接続部との接続を保持できる。
【0075】
(10)雌型接続部と、前記雌型接続部と雄型接続部との接続を保持するための保持具と、を備えた流体圧機器(14、14A、14B)であって、前記雌型接続部には、前記保持具が装着されるスリットと、前記雌型接続部の外面に開口する開口部を含み、且つ前記スリットを貫通する嵌合孔と、前記嵌合孔に連通する流体流路と、が形成され、前記雄型接続部は、前記嵌合孔に嵌合可能な突起部を有し、前記保持具は、上述した保持具である。
【0076】
(11)流体圧機器セット(12、12A、12B)であって、上述した流体圧機器と、前記雌型接続部に接続される雄型接続部を有する接続部材(16、16a)と、を備える。
【0077】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0078】
10、10A~10E…保持具
12、12A、12B…流体圧機器セット
14、14A、14B…流体圧機器
16、16a…接続部材
18、18a、18b…雌型接続部
22…スリット
24…嵌合孔
26…第1流体流路(流体流路)
44…開口部
46…第1位置決め部
48…凹部
50、50a…雄型接続部
54…突起部
62…係止溝
66、66a、66b…保持本体
68、68a~68d…係止凸部
72、72a、72b…操作部
78、78a、78b…アーム部
80、80a…連結部
82、82a~82c…傾斜面
88、88a…第2位置決め部
90、90a…凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14