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特開2024-67151設備制御システム、設備制御装置、設備制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067151
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】設備制御システム、設備制御装置、設備制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
G05B23/02 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176994
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 健介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223BA02
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA09
3C223FF09
3C223FF23
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、設備、装置、システムなどを使用するユーザの負担を軽減するとともに、表示パネル型操作装置が常備されている設備を、さらにRPAシナリオに基づいて制御する。
【解決手段】RPAシナリオに基づいて得られるシリアル信号で、設備の動作を制御する設備制御システムである。画像認識部512は、前記制御に応答する前記設備の操作状況の画像を認識する。入力ディスプレイ信号利用操り装置611は、前記画像認識部512の前記画像の認識結果と前記RPAシナリオに基づいて生成される前記シリアル信号を設備制御装置101に送信する。前記入力ディスプレイ信号利用操り装置611が含む表示パネルエミュレート機能614は、前記RPAシナリオにより特定された次のシーケンスを実行するためのパネル表示信号を生成し、この信号をエミュレータ表示パネル装置617に与え、前記パネル表示信号は、さらに操作位置エンコーダ618によりエンコードされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ定義したロボテック・プロセス・オートメーション・シナリオ(RPAシナリオ)に基づいて得られる設備制御用のシリアル信号で、操作対象である設備の動作を制御し、
前記制御に対して、現場の設備制御装置と現場表示パネル装置が応答して、前記設備制御装置は、設備を制御しつつ前記設備の応答から設備操作状況を把握し、前記設備操作状況を示す信号をディスプレイ信号として出力する、設備制御システムであって、
前記ディスプレイ信号の画像を認識する画像認識部と、
前記画像認識部による認識結果と前記RPAシナリオに基づいて生成される前記シリアル信号を前記設備制御装置に送信する入力ディスプレイ信号利用操り装置と、を有し、
前記入力ディスプレイ信号利用操り装置は表示パネルエミュレート機能を備え、
前記表示パネルエミュレート機能は、
前記RPAシナリオにより特定される次のシーケンスを実行するための制御信号をパネル表示信号として生成し、このパネル表示信号をエミュレータ表示パネル装置に与え、
さらに前記パネル表示信号を操作位置エンコーダに与えて、前記パネル表示信号を前記シリアル信号にエンコードさせるように構成した、設備制御システム。
【請求項2】
前記シリアル信号は、実行ログに相当するものであり、この実行ログは、前記RPAシナリオのシーケンス情報と共に、実行ログ出力部に出力され、記憶装置に格納される、請求項1記載の設備制御システム。
【請求項3】
前記画像認識部が認識した画像は、OCR処理したデータを含み、このデータも実行ログとして取り扱われる、請求項1記載の設備制御システム。
【請求項4】
前記表示パネルエミュレート機能は、前記エミュレータ表示パネル装置に設定画面を表示し、この設定画面に対して、前記エミュレータ表示パネル装置の表示画像と他の前記現場表示パネル装置の表示画像との座標オフセットを整合するためのデータ入力ボックスを表示させる、請求項1記載の設備制御システム。
【請求項5】
前記表示パネルエミュレート機能は、前記エミュレータ表示パネル装置に設定画面を表示し、この設定画面に対して、前記シリアル信号の出力端子であるシリアルポートを指定するためのボックスを表示させる、請求項1記載の設備制御システム。
【請求項6】
前記表示パネルエミュレート機能は、前記エミュレータ表示パネル装置に設定画面を表示し、この設定画面に対して、前記シリアル信号の出力端子であるシリアルポートを設定するためのボックス、
パリティービットをセットさせるためのボックス、前記シリアル信号のスピードを設定するためのボックス、フロー制御を設定するためのボックス、ストップビットを設定するためのボックス、データのスピードを設定するためのボックス、ビデオキャプチャデバイスを設定するためのボックス、及びフレームレートを設定するためのボックスの少なくとも2つを表示させる、請求項1記載の設備制御システム。
【請求項7】
前記表示パネルエミュレート機能が出力する、前記実行ログを、第3次制御システムにネットワークを介して送信する通信器を備える請求項2記載の設備制御システム。
【請求項8】
ディスプレイ信号の画像を認識する画像認識部と、
前記画像認識部による認識結果とロボテック・プロセス・オートメーション・シナリオ(RPAシナリオ)に基づいて設備制御用のシリアル信号を生成する入力ディスプレイ信号利用操り装置とを備え、
前記入力ディスプレイ信号利用操り装置は表示パネルエミュレート機能を含み、
前記表示パネルエミュレート機能は、
表示パネル制御部と、
エミュレータ表示パネル装置と、
操作位置エンコーダを有し、
表示パネル制御部は、
前記RPAシナリオにより特定される次のシーケンスを実行するための制御信号をパネル表示信号として生成し、このパネル表示信号をエミュレータ表示パネル装置に与え、
さらに前記パネル表示信号を操作位置エンコーダに与えて、前記パネル表示信号を前記シリアル信号にエンコードさせ、
前記シリアル信号を、製造関連設備を制御する制御装置に送信するように構成した、
設備制御装置。
【請求項9】
画像認識部と、入力ディスプレイ信号利用操り装置とを用いた設備制御方法において、
前記画像認識部がディスプレイ信号の画像を認識し、
前記入力ディスプレイ信号利用操り装置が、前記認識の結果とロボテック・プロセス・オートメーション・シナリオ(RPAシナリオ)に基づいて、設備制御用のシリアル信号を生成し、
前記入力ディスプレイ信号利用操り装置が含む表示パネルエミュレート機能が
前記RPAシナリオにより特定される次のシーケンスを実行するための制御信号をパネル表示信号として生成し、このパネル表示信号をエミュレータ表示パネル装置に与え、
さらに前記パネル表示信号を操作位置エンコーダに与え、前記パネル表示信号を前記シリアル信号にエンコードさせ、
前記シリアル信号を、製造関連設備を制御する制御装置に送信する、
設備制御方法。
【請求項10】
現場の設備制御PCに対してイメージの座標データを起点とした指令を現場表示パネル装置又は通信手段が与えた場合、前記設備制御PCから得られる第1の操作状況イメージデータを受取る手段と、
前記第1の操作状況イメージデータに基づいて、ロボテック・プロセス・オートメーション・シナリオ(RPAシナリオ)に基づく次のシナリオを特定するRPAと、
第1の操作状況イメージを表示すると共に、前記RPAが特定した前記次のシナリオに基づいて、前記第1の操作状況イメージを第2の操作状況イメージに変化させるエミュレータ表示パネル装置と、
前記第2の操作状況イメージの少なくとも前記変化した部分の座標データを取り出して、前記現場の設備制御PCへ送信するエンコーダと、を備える設備制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、設備制御システム、設備制御装置、及び設備制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の設備としては、種々の設備がある。これらの設備がとり得る動作期間としては、設備が起動するとき(ウォームアップ時)の動作期間、設備が物を製造しているときの動作期間、設備が停止するとき(クールダウン時)の動作期間、設備が停止中の期間等が存在する。
【0003】
さらに各動作期間では、設備の動作状態や動作機能が時間的に変化する複数の工程が存在する。ここで、設備を現在の工程から次の工程に移行させるための操作信号を設備の駆動システムに対して与えるために、手動操作装置を利用している。ここで、「工程」とは、主として設備が例えばものづくりを行う設備であり、部品を配置したり、部品を加工したり、部品を移動させたり、する各段階のことを言う。したがって工程は、設備に対して複数の操作が段階的に手順を踏んで行われるいわゆるものづくりでの工程を指す。
【0004】
この手動操作は、オペレータにより操作される。オペレータは、手動操作装置のボタンやランプ等の表示内容を目視して、次の操作の可否を判断し、工程遷移のための操作を手動で実施している。
【0005】
しかし、この操作システムであると、設備毎に常駐するオペレータが必要である。また、操作を確実なものとするために、オペレータを教育し熟練したオペレータを育成する期間も必要である。その結果、設備の運転を行うために、従来は多くの人手と育成期間が必要であった。
【0006】
そこで、人手と育成期間を軽減するために、設備の各工程を遷移させるための操作手順(或は操作パターン)に着目した技術がある。この技術では、ロボットが、操作手順に従って自動的に各工程で必要な操作信号を出力するというものである。このロボットによる操作は、RPA(Robotic Process Automation)と称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-14215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、設備を制御する手動操作装置として、タッチパネル型操作装置が増加している。しかしこのタッチパネル型操作装置も手動操作を要するものであり、人手不足の解消や、オペレータの教育・育成期間の緩和が得られているとは言えない。またタッチパネル型操作装置は、設備やメーカにより操作画面のレイアウトなどが異なる場合がある。
【0009】
なお、上記のタッチパネル型操作装置は画面に表示されている操作ボタンにユーザが接触するものであるが、クリックパネル型操作装置も存在する。このクリックパネル型操作装置は、ユーザがマウスを操作し、カーソルを所定の操作ボタンの位置に合わせ、マウスを通じてクリック操作を行うタイプである。このため以降は、タッチパネル型操作装置、クリックパネル型操作装置を共通に表わす用語として、表示パネル装置と称することにする。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、設備、装置、システムなどを使用するユーザ(オペレータ)の負担を軽減するとともに、表示パネル装置が常備されている設備をRPAシナリオに基づいて制御する際に、表示パネル装置のディスプレイ信号を有効活用した、設備制御システム、設備制御装置、設備制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の一実施形態によれば、あらかじめ定義したロボテック・プロセス・オートメーション・シナリオ(RPAシナリオ)に基づいて得られるシリアル信号により、操作対象設備の動作を制御する設備制御システムであって、前記制御に応答する前記操作対象設備の操作状況を、設備制御装置を介して表示する現場表示パネル装置からの画像を認識する画像認識部と、前記画像認識部による認識結果と前記RPAシナリオに基づいて生成される前記シリアル信号を前記設備制御装置に送信する入力ディスプレイ信号利用操り装置と、を有し、前記入力ディスプレイ信号利用操り装置は表示パネルエミュレート機能を備え、前記表示パネルエミュレート機能は、前記RPAシナリオにより特定される次のシーケンスを実行するための信号をパネル表示信号として生成し、このパネル表示信号をエミュレータ表示パネル装置に与え、さらに前記パネル表示信号を操作位置エンコーダに与えて、前記パネル表示信号を前記シリアル信号にエンコードさせるように構成した、設備制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態が適用された設備制御システムの一例の概要を示すシステム構成図である。
図2図2も、図1の設備制御システムを示しているが、第2次制御システムの内部構成の一例の概要を示す構成説明図である。
図3図3は、図1及び図2に示した設備制御システムの一動作例をタイムシーケンスで示した動作説明図である。
図4図4は、図3における表示パネル装置とクリック/タッチ変換部の関係を説明するために示す図である。
図5A図5Aは、図2のエミュレータ表示パネル装置のメイン操作画面の例を示す説明図である。
図5B図5Bは、図2のエミュレータ表示パネル装置が閲覧モードオフになったときのメイン操作画面の例を示す説明図である。
図5C図5Cは、図2のエミュレータ表示パネル装置の画面が設定操作画面に切り換えられたときの画面例を示す説明図である。
図5D図5Dは、図2のエミュレータ表示パネル装置の画面がバージョン情報確認画面に切り換えられたときの画面例を示す説明図である。
図6図6は、図5A又は図5Bの画面から図5Cの設定操作画面に移行する時の画面遷移の例を示す説明図である。
図7図7は、図5A又は図5Bの画面から図5Dの設定操作画面に移行する時の画面遷移の例を示す説明図である。
図8図8は、図3の第2次制御システムを第1次制御システムに接続し、スタートさせたときにエミュレータ表示パネル装置の画面に表示される画像の説明図である。
図9図9は、図8のエミュレータ表示パネル装置の画面が設定操作画面に切り換えられたときの画面例を示す説明図である。
図10図10は、図8のエミュレータ表示パネル装置の画面がバージョン情報確認画面に切り換えられたときの画面例を示す説明図である。
図11図11は、本発明の実施形態の他の例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態のさらに他の例を示すと共に音声信号処理の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
<全体概要を説明する>
図1は、一実施形態の設備制御システムを概略的に示している。符号11は工場を示し、符号13は執務室を示している。工場11と執務室13は、社内LAN12で接続されている。工場11内には、第1次制御システム100と、第2次制御システム200と、製造関連設備15が設置されている。製造関連設備15は、直接製造を行う設備の他に、当該設備の環境を整えるための設備(温度制御設備、空調制御設備、材料・部品・燃料などの補給・搬送設備など)を含むものとする。
【0014】
製造関連設備15は、この製造関連設備15が設置された現場に配置されている第1次制御システム100により直接的に制御される。
【0015】
第1次制御システム100は、基本的には、第2次制御システム200内に設けられているロボティック・プロセス・オートメーション・シナリオ(以降RPAシナリオと称する)615(図2に示す)に基づいて制御される。したがって、第2次制御システム200は、製造関連設備15を間接的に制御していると言える。
【0016】
この第2次制御システム200は、執務室13内に設けられている第3次制御システム300により、社内LAN12を介して制御される。したがって、第3次制御システム300は、第2制御システム200、第1次制御システム100を介して製造関連設備15を間接的に制御すると言える。
【0017】
以後、各制御システム100、200、300をさらに説明する。
第1次制御システム100は、設備制御パーソナルコンピュータ(以下設備制御PCと記述する)101と、現場の操作用表示パネル装置(現場表示パネル装置と称してもよい)102と、設備制御PC101との間に設けられた分岐器103、104を有する。
【0018】
分岐器103は、設備制御PC101からの応答信号(状況通知信号或はディスプレイ信号或は表示パターン信号と称してもよい)の通知ルートに配置されている。応答信号(ディスプレイ信号)は、分岐器103を介して現場表示パネル装置102に入力するとともに、ディスプレイ信号キャプチャユニット105に入力する。一方、分岐器104は、設備制御PC101に対して、タッチ(或はクリック)操作により発生した操作信号(指令信号)の伝送ルートに配置されている。なお、設備制御PC101は、OCR(Optical Character Recognition)処理する機能を有するので、OCR信号を外部に送出することも可能である。
【0019】
上記の操作信号(指令信号)は、シリアル信号として後述する第2次制御システム200から与えられる。第2次制御システム200では、表示パネルに表示されている操作ボタンにユーザがタッチすると、そのタッチ位置の座標データが、指令信号(シリアル信号)になり、第1次制御システム100の設備制御PC101へ送られる。なお上記の「タッチ」の代わりに、マウスにより、画面上のカーソルが前記操作ボタンの位置に移動され、そしてクリック操作されてもよい。以後の説明では、タッチ操作或はクリック操作により発生した信号を、操作信号と称する。
【0020】
上記の座標データ(操作信号)は、分岐器104を介して設備制御PC101を制御する、次に設備制御PC101は、製造関連設備15を制御する。さらに製造関連設備15の動作状況が、分岐器103を現場表示パネル装置102にも与えられる。すると第2次制御システム200内の表示パネル上の操作状況が、現場表示パネル装置102で再生される。したがって、第2次制御システム200内のRPAシナリオに基づく自動的な操作状況は、現場においても現場表示パネル装置102で確認することができる。つまり、現場表示パネル装置102で表示されているディスプレイ信号は、製造関連設備15の制御状態及び制御に基づく設備応答状態を示している。よって現場のユーザは、表示ボタンの点灯位置、表示グラフの状態、或は表示された数値等を目視することにより、製造関連設備15の制御状態及び応答状態を確認することができる。
【0021】
第2次制御システム200は、後で図2を参照して詳細に説明することとし、ここでは、簡単に説明する。
【0022】
第2次制御システム200は、先の分岐器103、ディスプレイ信号キャプチャユニット105を介して、先のディスプレイ信号を受取り、エミュレータ表示パネル装置617(図2に示す)の画面に当該ディスプレイ信号を表示する。これによりユーザは、エミュレータ表示パネル装置617の画面上で製造関連設備15の制御状態及び応答状態を認識することができる。第2次制御システム500は、ロボティック・プロセス・オートメーション・シナリオ(RPAシナリオ)615(図2に示す)を備えており、製造関連設備15に対する複数の工程で必要な各操作信号を、シナリオに沿って発生することができる。操作信号は、操作内容に応じて同時に複数発生する場合もある。
【0023】
この操作信号は、分岐器104を介して設備制御PC101に入力される。設備制御PC101は、操作信号に基づいて製造関連設備15を制御する。製造関連設備15の制御状態及びその応答状態は、設備制御PC101により把握され、制御状態及び応答状態に対応する(制御状態及び応答状態を表す)ディスプレイ信号(表示信号、或は設備状態信号と称してもよい)が分岐器403、ディスプレイ信号キャプチャユニット105を介して、第2次制御システム200に入力される。
【0024】
なおディスプレイ信号は、動作開始時に初期の全画面データが第2次制御システム200に送られる。その後に、製造関連設備15の自動操作が開始された場合は、部分的なディスプレイ信号、つまり操作(タッチ位置或はクリック位置)に応答した一部のディスプレイ信号(設備自身の応答信号も含む)が第2次制御システム200に送られればよい。
【0025】
この第2次制御システム200は、製造関連設備15の状態を表すディスプレイ信号を、さらに第3次制御システム300(執務室13内)に送信することができる。
【0026】
さらに本システムでは、図1に示すように、製造関連設備15の近くにマイクロホン702、スピーカ703のいずれか若しくは両者が配置されてもよい。マイクロホン702とスピーカ703は、第2次制御システム200のオーディオ信号入出力端子701と接続されている。オーディオ信号は、例えば製造関連設備15の異常動作音或は正常動作音を確認するために利用される。またスピーカ703は、遠隔の執務室13から、現場の作業者に指示が与えられる場合に利用される。
【0027】
図2は、第2次制御システム200内の各機能ブロックを示している。
第1次制御システム100から出力された現場表示パネル装置用のディスプレイ信号は、ディスプレイ信号キャプチャユニット105でキャプチャされ、USBケーブル、USB端子511を介して、第2次制御システム200内の画像認識部512に入力される。この画像認識部512は、後で説明する入力ディスプレイ信号利用操り装置(manipulator using input display signal)611、或は表示パネルエミュレート機能614内に組み込まれていてもよい。
第2次制御システム200は、さらに外部への接続機能として、第3次制御システム300と接続するための通信器513、第1次制御システム100に操作用の信号を送るための出力端子514を備える。
【0028】
第2次制御システム200は、内部に画像認識部512に接続された入力ディスプレイ信号利用操り装置(以下単純に操り装置等と称する場合もある)611を備える。操り装置611は、表示パネルエミュレート機能614と、RPAシナリオ615(このシナリオのデータは、バッファ回路或は記憶装置613に格納されていてもよい)を備える。さらに、操り装置611は、システム全体の動作順序、セキュリティー機能などを統括制御するシステム制御部(システムCPUと称してもよい)612、記憶装置613を備える。また、システム制御部(システムCPUと称してもよい)612は、記憶装置613に格納されているソフトウエアに基づいて、エミュレート機能614に種々の動作を実行させることができる。
【0029】
上記の表示パネルエミュレート機能614は、表示パネル制御部616を含み、この表示パネル制御部616を介して、エミュレータ表示パネル装置617、クリック/タッチ変換部(操作位置エンコーダと称してもよい)618を制御する。さらに、表示パネルエミュレート機能614は、RPAシナリオに基づいて第1次制御システム100を操ることで、製造関連設備15を制御する。
【0030】
さらに表示パネルエミュレート機能614は、表示パネル制御部616の動作状況をログデータとして出力する。例えば製造関連設備15を制御するために出力端子514を介して出力した操作信号を実行ログ(操作ログと称してもよい)として、出力部622から出力することができる。この場合、実行ログには、操作信号の他に操作工程を識別するためにRPAシナリオのシーケンス情報(例えば工程番号)も含めている。また、実行ログとしては、操作信号の実行ログだけでなく、画像認識部512で認識されたディスプレイ信号(文字、グラフなどの表示信号)と、これに対応するシーケンス情報も含まれる。
【0031】
また、操作工程の途中でクラッシュが生じた場合は、クラッシュログとして出力部623から出力することができる。この場合も、クラッシュログには、シナリオの工程を識別するためにRPAシナリオのシーケンス情報(例えば工程番号)も含めている。
【0032】
上記の実行ログやクラッシュログは、記憶装置613に格納される。上記のようにログの種類としては、表示パネルエミュレート機能614が、外部から入力したディスプレイ信号を認識した場合の実行ログ(受信時ログ)と、現場表示パネル装置102を制御するための実行ログ(出力時ログ)と、クラッシュログが少なくとも存在する。これらのログデータは、発生した時間時刻など、上記した各種の参考情報を含む。このため過去のログデータを、種々の解析や検証のために活用することができる。
【0033】
さらに表示パネルエミュレート機能614は、動作モード設定部624に接続されている。この動作モード設定部624は、表示パネルエミュレート機能614に対して、外部から動作モードを設定する場合に利用される。例えば、表示パネルエミュレート機能614に対して、第3次制御システム300から、一時停止指令を与えたり、記憶装置613に対し新しいソフトウエアを書き込ませたり、RPAシナリオの一部の修正、書き換え、追加などを行うことが可能である。またRPAシナリオ615は、そのシナリオの一部の修正、書き換えの他に、別のRPAシナリオを格納しているメモリカードと交換可能としていてもよい。
【0034】
また表示パネルエミュレート機能614は、後でも詳しく説明するが、自身の機能を、操作画面を通じて各種設定することが可能である。例えば、エミュレータ表示パネル装置617の動作と、第1次制御システム100の現場表示パネル装置102の動作との整合性を得ることができる。設定する項目としては、信号方式、シリアルポートの設定、表示パネル座標のオフセット設定、ディスプレイ信号キャプチャデバイスの設定、フレームレートなどがある。
【0035】
また、オーディオ信号入出力端子701は、音声処理部704に接続されており、この音声処理部704は、通信器513を介して執務室の業務用PC301と連携することができる。音声処理部704は、表示パネルエミュレート機能614と一体に構成されていてもよいし、独立して設けられていてもよい。さらに音声処理部704の入出力データは、記憶装置613に記憶されてもよい。
【0036】
図3は、上記した第1次制御システム100、第2次制御システム200、第3制御システム300の相互の関連動作を時間経過に沿って示している。図2及び図3を参照してシステム動作の概要を説明する。
<第1工程操作の説明>
今、ユーザが、第3次制御システム300の業務用PC301の表示パネルを利用して、製造関連設備15に対して、ある操作を行ったとする。図の例では、操作内容は、製造関連設備15の起動操作、或は物づくり開始操作、などいずれでもよいものとする。
【0037】
業務用PC301は、オペレータからの起動操作或は物づくり開始操作などの操作指示の操作内容を判定し(S11)、作業開始信号を第2次制御システム200に送信する。すると、第2次制御システム200の表示パネルエミュレート機能614が、作業開始信号の内容を認識する(S21)。次に表示パネルエミュレート機能614は、複数のRPAシナリオ615の中から作業に対応するシナリオを特定する(S31)。例えば、表示パネルエミュレート機能614は、作業開始信号に含まれる作業コードと、この作業コードが付加されて管理されているRPAシナリオを特定し、特定情報を表示パネル制御部616に通知する。
【0038】
表示パネル制御部616は、シナリオを認識し、当該シナリオに対応する初期操作画面を表示するためのディスプレイ信号を記憶装置613から読出し、エミュレータ表示パネル装置617に与える。
【0039】
さらに表示パネルエミュレート機能614は、表示パネル制御部616を介して、シナリオに設定されている第1操作工程を実行するための操作信号(座標データ)を発生する。この操作信号はエミュレータ表示パネル装置617に与えられ、エミュレータ表示パネル装置617の画面は、操作信号を反映した状態に変化する。また同時に、操作信号(座標データ)は、クリック/タッチ変換部(操作位置エンコーダ)618により、所定のフォーマットのシリアル信号に変換されて、出力端子514へ出力される(S22)。
【0040】
第1次制御システム100では、上記のシリアル信号を受取る。なお、現場表示パネル装置102の表示状態は、第1次制御システム100の電源がオンされた時点で、初期画面が表示されている。
【0041】
現場表示パネル装置102の表示状態は、上記のシリアル信号を受けた時点で、先のエミュレータ表示パネル装置617と同じ表示状態となる(S51)。
【0042】
さらに上記のシリアル信号は、設備制御PC101にも入力される。設備制御PC10は、シリアル信号に基づいて操作内容を判断し、操作(制御)信号を製造関連設備15に与える(S41)。
【0043】
製造関連設備15は、設備制御PC101からの制御信号に基づいて動作し、その応答動作を実行する(S61)。この応答動作は、設備制御PC101により確認される(S42)。確認方法は各種あり、例えばセンサ、エンコーダなどの出力状態で確認される。
【0044】
設備制御PC101は、応答動作を確認すると、確認信号(具体的には例えば動作完了ボタン表示用の例えば座標データ)を現場表示パネル装置102と表示パネルエミュレート機能614に返信する(S43)。これにより現場表示パネル装置102は、第1工程の動作が実行されたことを示す表示を行う(S52)。なおこの実施形態では、座標データがVGA信号をも示す(含む)ものとする。また表示パネルエミュレート機能614は、第1工程の動作が実行されたことを認識し(S23)、エミュレータ表示パネル装置617を制御する。これにより、エミュレータ表示パネル装置617も第1工程の動作が実行されたことを示す状況表示を行う(S23)。
【0045】
さらに第2次制御システム200は、第3次制御システム300にも第1工程の動作が実行されたことを示す表示情報を送信する。この時の表示情報は、先の座標データ(シリアル信号)と同じフォーマットでもよいし、他のフォーマットでもよい。
【0046】
これにより、第3次制御システム300の業務用PC301に接続された表示装置と、第2次制御システム200に設置されているエミュレータ表示パネル装置617と、第1次制御システム100に設けられている現場表示パネル装置102には、同じ内容の情報が表示される(S12)。
【0047】
さらに第2次制御システム200(具体的には操り装置611或は表示パネルエミュレート機能614)は、少なくとも上記した、第1工程の動作を指示するシリアル信号を出力端子514へ出力したことと、第1工程の動作が実行されたことを認識したことを示す実行ログを発生する。この実行ログは、例えば記憶装置613に保存される。記憶装置613のデータは、定期的にシステム制御部612により制御されて、第3次制御システム300に送信されるか、又は第3次制御システム300からの要請に応答して送信される。
<第2工程操作の説明>
さらに上記の表示パネルエミュレート機能614は、RPAシナリオの次の工程操作(第2工程操作)のためのシナリオを確認する(S23)。
【0048】
そして、このシナリオの確認に基づいて、表示パネルエミュレート機能614は、表示パネル制御部616を介して、シナリオに設定されている第2操作工程を実行するための操作信号(座標データ)を発生する。この操作信号はエミュレータ表示パネル装置617に与えられ、エミュレータ表示パネル装置617の画面は、当該操作信号を反映した状態に変化する。また同時に、操作信号は、クリック/タッチ変換部(操作位置エンコーダ)618により、所定のフォーマットのシリアル信号に変換されて、出力端子514へ出力される(S24)。
【0049】
この場合も第1次制御システム100では、上記のシリアル信号に基づいて、現場表示パネル装置102の表示状態がエミュレータ表示パネル装置617と同じ表示状態となる(S53)。また上記のシリアル信号は、設備制御PC101に入力される。設備制御PC101は、シリアル信号に基づいて操作内容を判断し、設備操作のための制御信号を製造関連設備15に与える(S44)。
【0050】
製造関連設備15は、設備制御PC101からの制御信号に基づいて動作し、その応答動作を実行する(S62)。この応答動作は、設備制御PC101により確認される(S45)。
【0051】
設備制御PC101は応答動作を確認すると、確認信号(具体的には動作確認ボタン表示用の座標データ)を現場表示パネル装置102と表示パネルエミュレート機能614に返信する(S46)。これにより現場表示パネル装置102は、第2工程の動作が実行されたことを示す表示を行う(S54)。また表示パネルエミュレート機能614は、第2工程の動作が実行されたことを認識し(S25)、エミュレータ表示パネル装置617を制御する。これにより、エミュレータ表示パネル装置617も第2工程の動作が実行されたことを示す表示を行う。
【0052】
さらに第2次制御システム200は、第3次制御システム300にも第2工程の動作が実行されたことを示す表示情報を送信する。また、さらに上記の表示パネルエミュレート機能614は、RPAシナリオの次の工程操作(第2工程操作)のためのシナリオを確認する(S25)。
【0053】
次のシナリオが存在する場合には、上記した第1工程操作、第2工程操作と同様な操作が繰り返される。ステップS26、S55、S47、S63、S48、S45、S56、S27は、第n工程操作が実行された場合のシーケンスを表している。表示パネルエミュレート機能614は、ステップS22において、シナリオの最終工程を確認した場合は、エミュレータ表示パネル装置617にシナリオ(操作工程)が全て達成されたことを表示させる。また表示パネルエミュレート機能614は、最終工程が完了したことを第3次制御システム300にも通知する。なおシナリオの各工程は、シーケンス情報により識別されている。
【0054】
この段階で、第3次制御システム300は、表示パネルエミュレート機能614に対して、記憶装置613に格納されているログデータを要求してもよい(S15)。
【0055】
上記の第1から第n工程操作がさらに繰り返される場合は、RPAシナリオの最終シナリオに、第1工程操作に戻るための指示が記述されている。さらに繰り返し操作を制限するための時間情報、期間情報、繰り返しの上限回数情報が最終シナリオに含まれていてもよい。
【0056】
図4は、図2図3で示したエミュレータ表示パネル装置617とクリック/タッチ変換部(操作位置エンコーダ)618の関係を説明するための図である。ここでは、特にクリック/タッチ変換部(操作位置エンコーダ)618の機能ブロックを示している。エミュレータ表示パネル装置617が、操作(タッチ或はクリック)されると、タッチ或はクリック位置の位置データが取得(検知)される(68a)。
【0057】
タッチパネルの場合、例えば表示パネル内には、画像を表示するために画素電極が2次元に配列されている。またタッチ位置を検知するために、表示パネル内には、タッチ検出電極が2次元に配列されている。タッチ位置検出機能は、タッチ操作があると、検出電極と共通電極との間の容量変化が生じることを検出する。つまり、容量変化した検出電極が読出しラインを介して検出され、この時の検出信号がタッチ位置検出データとして利用される。
【0058】
一方、クリック位置検出機能は、画像内で特定のパターン及びレベルのカーソル(ポインタ)を表示する。そしてこの機能は、ユーザのマウス操作に応じて画像上の任意の位置にカーソルを移動可能なカーソル移動制御回路を有する。さらにこの機能は、カーソルの画面上の座標データの変化を常時追跡し、カーソルの現在位置データを把握するカーソル追跡回路を備える。そしてこの機能は、マウスからのクリック操作があったときの現在位置データ(座標データ)をラッチするラッチ回路を有する。このラッチ回路の出力が、クリック位置検出データ(座標データ)として用いられる。
【0059】
次に上記のクリック又はタッチ位置検出データ(座標データ)は、座標取得部68aに一旦保持される。次に座標変換機能68bにより、予め設定しているオフセット値に基づいて、現場表示パネル装置102に整合する座標データに変換される。この座標データは、操作信号送出機能68cにより、操作信号として第1次制御システム100の分岐器104へ送信される。このとき操作信号送出機能68cは、このときの操作信号を実行ログとして出力部622へ出力する。
【0060】
上記したように、本システムでは、表示パネルエミュレート機能614は、クリック/タッチ変換部(操作位置エンコーダ)618を有するために、現場表示パネル装置102に整合する座標データ(操作信号)を送信することができる。
【0061】
図5A図5B図5C図5Dは、上記したエミュレータ表示パネル装置617が表示可能な各種の画面617a、617b、617c、617dの例を示している。これら画面例は、エミュレータ表示パネル装置617が、各種のタイプの現場表示パネル装置102に整合するための高い整合能力を持つように工夫されていることを示している。
【0062】
図5Aは、図3のエミュレータ表示パネル装置617のメイン操作画面617aの例を示す説明図である。メイン操作画面617aにおいて、表示領域67aには、操作の「開始ボタン」を表示し、表示領域67bには、操作の「停止ボタン」を表示する。
【0063】
メイン操作画面617aが表示された場合は、タイトルバーとして「タッチパネルエミュレータ」が表示される。またメニューバーが表示され、メニューバーの領域には「ファイル(F)」67g、「ヘルプ(H)」67hと言う表記がなされている。この表記は、後述する設定画面に移行するための操作ボタンである。これらはウィンドウズ(登録商標)の機能が利用されている。
【0064】
画面内において、
表示領域67dには、製造設備が加工しようとする個体識別番号(ここでは「0123」)を表示する。
表示領域67eには、製造設備が加工しようとする製品識別名(ここでは「abcd」)を表示する。
表示領域67fには、製造設備が加工するための圧力などのセンサ設定値もしくは加工している最中のセンサ値(ここでは「9876」)を表示する。
表示領域67cには、製造設備が加工している最中のセンサ値の変化をグラフ形式で表示する。
上記は第2次制御システム200が第1次制御システム100に接続され、設備15の試運転などが行われた後、調整を行う段階での画面例である。この画面は一例であり、制御目的や監視目的に対するユーザの要望に応じて任意に変更可能である、また、複数項目が同時に表示された状態、或は個別の項目が単一で表示された状態に切り替え可能であってもよい。例えば、緊急時に特別な操作が行われる場合は、RPAシナリオの切り替わりとともに、自動的に表示形態も切り替わる。この場合は、緊急用のRPAシナリオが読み出され、対応するビデオデータが記憶装置613から読み出される。このケースでは、第1次制御システム側の現場表示パネル102は、緊急時に表示する画像データを最初から備えるものとする。
【0065】
図5B図3のエミュレータ表示パネル装置617の閲覧モードオフを表示した場合の画面617bの例を示す図である。閲覧モードオフの画面617bが表示された場合は、タイトルバーとして「タッチパネルエミュレータ閲覧モードオフ」が表示される。この画面617bにおいても、メニューバーの領域に、設定画面に移行するため操作ボタンである「ファイル(F)」67g、「ヘルプ(H)」67h」がある。
【0066】
図5Cは、メニューバーの「ファイル(F)」67gがタッチ又はクリックされた場合に表示される設定画面617cである。
【0067】
この画面617cには、出力端子514からシリアル信号として出力される操作信号のための設定部が存在する。即ち、
ボックス67jは、シリアルポートを設定するためのボックスであり、複数あるシリアルポートの中から対応する第1次制御システム100へ接続するポートが選択される。
ボックス67kは、シリアル信号に付加するパリティービットを選択するためのボックスである。
ボックス67mは、シリアル信号の1秒当たりの伝送ビット数を選択するためのボックスである。
ボックス67nは、フロー制御を実行するための制御データの指定を行うボックスである。本システムを構成する第1次制御システムは各種存在し、このため第1次制御システムにより処理速度の違いがあり、その多様性に対応するためにこの設定部が存在する。
フロー制御が使用される場合は、事前に例えば、次のような準備が行われている。設計者又はユーザは、システムのRPAシナリオA1に基づくシリアル信号を第1次制御システムに送信する。次ぎに第1次制御システムから戻ってくるディスプレイ信号の応答時間を予め測定する。そして次のRPAシナリオA2に基づく次のシリアル信号を送信する場合、前記応答時間に応じて設定する。即ち、当該次のシリアル信号が、バッファ回路から出力される遅延時間を適切なタイミングに設定し、第1次制御システムが確実に当該シリアル信号を受取れるように設定する。なお上記設定用のプログラムは、入力ディスプレイ信号利用操り装置611に導入されているものとする。
【0068】
ボックス67pは、システム間の非同期動作に対応するためにシリアル信号の最後にストップビットを設定するためのボックスである。なおボックスは、必ずしもボックスである必要はなく、操作を実現するためのマークであればよい。
【0069】
また、タッチ/クリックパネル座標オフセットに対応するためのボックス67q、67rが用意されている。即ち、第1次制御システム100の現場表示パネル装置102の各種ボタンの表示座標データと、エミュレータ表示パネル装置617の各種ボタンの表示座標データは、必ずしも1対1で対応しているわけではない。現場表示パネル装置102とエミュレータ表示パネル装置617の対応する操作ボタンの操作位置では、座標にオフセットがある。そこで、本システムでは、画面上で、例えば左上のX座標とY座標、右下のX座標とY座標のオフセット値を入力可能としている。このときの調整は、現場表示パネル装置102とエミュレータ表示パネル装置617の両方をユーザが目視して調整してもよい。
【0070】
上記ように、少なくとも表示パネルエミュレート機能614は、エミュレータ表示パネル装置617に設定画面を表示し、この設定画面に対して、エミュレータ表示パネル装置617の表示画像と他の現場表示パネル装置102の表示画像との座標オフセットを整合するためのデータ入力ボックス67q、67rを表示させることができる。
【0071】
また、本システムのエミュレータ表示パネル装置617は、操作画面モードと、閲覧画面モードを持つことができる。そこで、閲覧モードのオン、オフ設定ボタンも設けられている。さらにまた、第1次制御システム100から第2次制御システム200は、ディスプレイ信号キャプチャユニット105を介してディスプレイ信号を受取る。そこで、ディスプレイ信号キャプチャユニット105のデバイスIDを指定することも可能である。そのためのボックス67tが用意されている。
【0072】
また、ディスプレイ信号を処理する(受信する)フレームレートを設定するためのボックス67uも設けられている。これは、設備によっては、図3で説明した1つ1つの操作工程の時間区間が長いものがある。このような場合は、1操作工程で多数回同じ画面の内容(操作状況)を監視(認識)する必要が無い。そこで、このような場合は、フレームレートを調整可能としている。
【0073】
上記の各設定について、例えばユーザがマニュアルや仕様書を確認した上で確定することができるように次のボタンが用意されている。設定が誤っていない場合は、当該設定を確定するための「OK」ボタン、設定が誤っている場は、当該設定をキャンセルするための「キャンセル」ボタンが用意されている。
【0074】
図5Dは、図3のエミュレータ表示パネル装置617のさらに他の操作画面617dの例を示す説明図である。この画面617dは、画面617a,或は617bにおいて、メニューバーの領域「ヘルプ(H)」67h」が選択されたときに表示される画面である。
【0075】
この画面617dでは、表示パネルエミュレート機能614のバージョン情報が表示される。
【0076】
図6は、図5Cの画面を表示させるまでの画面遷移の例を示している。図5A図5Cと同一部分には同一符号を付している。画面617aの「ファイル(F)」67gがクリック又はタッチ操作されると、画面617aにピクチャーインされたメニュー画面P11が表示される。このメニュー画面P11には、項目として「設定U」、「スナップショットS」、「終了X」が表示される。
【0077】
項目の「設定U」がクリック又はタッチ操作されると、先に説明した各種設定用の画面617cが表示される。ユーザは、この画面617cを利用して、表示パネルエミュレート機能614の各種設定を行う。設定終了後、「OK」ボタン、或は「キャンセル」ボタンが操作されると、元の、画面617aに戻る。
【0078】
なお、項目の「スナップショットS」が操作された場合は、操作時点のディスプレイ信号(或は設備状況信号)が、その時点の時間情報・設備IDと共にたとえば記憶装置613に保存される。項目「終了X」が操作された場合は、ウィンドウが閉じられ、アプリケーションが終了する。
【0079】
図7は、図5Dの画面617dを表示させるまでの画面遷移の例を示している。図5A図5Dと同一部分には同一符号を付している。図5Dの画面617dを表示させる場合は、
画面617aの「ヘルプ(H)」67hがクリック又はタッチ操作されると、画面617aにピクチャーインされたメニュー画面P12が表示される。このメニュー画面P12には、「バージョン情報A」が記述されている。ユーザが、この「バージョン情報A」をクリック又はタッチ操作すると、画面617dが表示される。この画面617dには、入力ディスプレイ信号利用操り装置611の例えば商品名とそのバージョン情報、及び製造メーカ名が表示される。画面617dにおいて、「OK」ボタンが操作されると、元の、画面617aに戻る。
【0080】
図4から図7での説明は、第2次制御システム200が第1次制御システム100に接続され、設備15の例えば試運転などが行われた後、調整を行う段階での画面の例である。
【0081】
次に図8から図10において、初めて第2次制御システム200が第1次制御システムに接続された場合、或は第2次制御システム200が交換された場合のエミュレータ表示パネル装置617の画面の変化について説明する。特に本システムでは、エミュレータ表示パネル装置617と現場表示パネル装置102とが、設備を操作する操作機能上で、整合している必要がある。このために、エミュレータ表示パネル装置617に対して種々の項目を設定する必要がある。
【0082】
図8は、図3の第2次制御システム200を第1次制御システム100に接続し、スタートさせたときにエミュレータ表示パネル装置617の画面に表示される画像例を示している。また、図9図8のエミュレータ表示パネル装置617の画面が設定操作画面に切り換えられたときの画面例を示す。さらに、図10図8のエミュレータ表示パネル装置の画面がバージョン情報確認画面に切り換えられたときの画面例を示す。以下、なお図4から図7と同一部分には、同一符号を付して説明する。
【0083】
図8に示すように、第2次制御システム200を第1次制御システム100に接続し、電源をオンすると、エミュレータ表示パネル装置617には、第1次制御システム100の現場表示パネル装置102の操作画面と同じ画面が表示される。このディスプレイデータは、第1次制御システム100の設備制御PC101から送られてきても良いし、予め記憶装置613に記録されているデータであってもよい。
【0084】
このように、制御対象となる製造関連設備15側の現場表示パネル装置102の操作画面と同じ画面を表示することにより、ユーザは、第2次制御システム200を誤った第1次制御システムに接続することが防止される。
【0085】
また、現場表示パネル装置102の操作画面のみならず、製造関連設備15の外観映像あるいは、その特徴的な外観イメージ映像、或は特徴を表すマーク映像が表示されるように構成しても、ユーザは、第2次制御システム200を誤った第1次制御システムに接続することが防止される。
【0086】
次にユーザは、エミュレータ表示パネル装置617と現場表示パネル装置102との整合を行うための設定を行う。例えばメニューバーの領域の「ファイル(F)」67gに対するタッチ或はクリックを行うと、画面617aにピクチャーインされたメニュー画面P11が表示される。このメニュー画面P11には、項目として「設定U」、「スナップショットS」、「終了X」が表示される。
【0087】
ユーザが「設定U」をタッチ又はクリックすると、設定画面617cが表示される。この画面には、図6で説明した設定画面と同様に各種の設定用のボックス(マーク)が表示される。図6と同一部分には、同一符号を付して説明は省略するが、図6の設定画面とのボックスの配置位置と、図9の設定画面とのボックスの配置位置は異なってもよい。
【0088】
またボックス67wが表示されているが、これは、1単位となるデータ(D)のデータ長を設定するためのボックスである。図の例では、8ビットが設定されている。なおこの表示例は一例であり、バイト長、単位となるバイト数が使用されてもよく、第2次制御システムの取り扱い説明書に従うことになる。
【0089】
上記の設定画面617cは、図5C図6で説明した設定画面と置き換えてもよい。図9の画面は、上部から、閲覧モードのオンオフに関する設定領域、タッチパネルのタッチ信号の方式や、タッチパネルの座標設定に関する設定領域、シリアルポートに関する設定領域、画像信号に関する設定領域が枠で区分されている。このため、ユーザにとって各種設定時の作業の種類が分かり易い。
【0090】
図10は、画面617aの「ヘルプ(H)」67hがクリック又はタッチ操作され、画面617aにピクチャーインされたメニュー画面P12が表示された状態と、このメニュー画面P12の「バージョン情報A」がクリック又はタッチ操作された場合を示している。
画面P12の「バージョン情報A」が操作されると、「バージョン情報」を確認するための画面617dが表示される。この画面617dには、入力ディスプレイ信号利用操り装置611の例えば商品名とそのバージョン情報、及び製造メーカ名が表示される。画面617dにおいて、「OK」ボタンが操作されると、元の、画面617aに戻る。
【0091】
図11は本発明の実施形態の他の例を示す図である。先の図1図2に示した実施形態は、第1次制御システム100と第2次制御システム200とが一対一の構成例を示した。しかし、第1次制御システム100と第2次制御システム200とが複数対一の関係であってもよい。このような構成を実現した場合、第2次制御システム200において、図5Aから図5D図6図7において説明した各種の設定機能が有効に活用される。
【0092】
図11の例は、複数(2つ)の第1次制御システム100A,100Bがそれぞれ設備15A、15Bを制御することを想定した図である。この場合、第2次制御システム200と、第1次制御システム100A,100Bの間に第1次制御システムを任意に選択できる選択スイッチ1100が配置される。
【0093】
この選択スイッチ1100は、第2次制御システム200を第1次制御システム100Aに接続した状態と、第1次制御システム100Bに接続した状態とを選択的に得ることができる。図11の例は、第2次制御システム200が第1次制御システム100Bに接続した状態を示している。つまり、選択スイッチ1100が、第1次制御システム100Bを選択している様子を示している。
【0094】
この実施形態では、第2次制御システム200の操り装置611内には、第1次制御システム100A用のRPAシナリオ615Aと、第1次制御システム100Bの用のRPAシナリオ615Bが用意されている。また、第2次制御システム200のシステム制御部612からは、上記の選択スイッチ1100のシステム制御状態を切り替えるためのスイッチ制御信号が出力されている。選択スイッチ1100の切り替えタイミングは、第1次制御システム100Aの設備15Aを制御・監視するのに必要な期間の繰り返し周波数と、第1次制御システム100Bの設備15Aを制御・監視するのに必要な期間の繰り返し周波数とに、関係して設定されている。例えば30秒のうち「10秒」を設備15Aの制御・監視に割り当て、30秒を設備15Bの制御・監視に割り当てるような設定も可能となる。この場合、設備15Aと設備15Bの制御・監視のタイミングで、エミュレータ表示パネルの背景画面の色が変化してもよい。
【0095】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。入力ディスプレイ信号利用操り装置611は、さらに現場表示パネル装置102の輝度を制御する操作機能を有してもよい。例えば輝度を明るくする期間は、例えば現場にユーザが居るときのみに設定することもできる。この設定は、第3次制御システム300のオペレータが行ってもよい。この機能を持つことで、節電及び操作ボタンなどの秘匿を行うことが可能となる。
【0096】
本システムでは、操作状況や設備動作状況の表示は、パネルに表示されるボタン等の表示信号の座標データが利用されている。定期的、或は、ランダムに、ボタン等の表示位置を変更するとともに、操作信号及び設備動作状況信号を表示するための座標データも容易に変更することが可能である。これにより、設備の操作に関する秘匿処理が可能である。同時に表示パネル装置の輝度を落として、外部から画像が把握されないようにすることで、秘匿処理が一層向上する。
【0097】
上記の対策を行うために、送信側と受信側に座標データの整合用(同期用)ソフトウエアを付加する。例えば、エミュレータ表示パネル装置617と現場表示パネル装置102に、ソフトウエア切替えボタン(通常は表示されていなくてもよい)が設けられている。例えば、RPAシナリオが多数回(予め設定された回数)繰り替えされたときに発生する特別なシナリオが設定されている。この特別なシナリオは、設備操作のためのタッチ位置或はクリック位置を示す座標データではなく、前記ソフトウエア切替えボタンを指定するための座標データ(動作モード切替用の座標データ)を発生させるためのシナリオである。エミュレータ表示パネル装置617と現場表示パネル装置102及び現場設備制御PC101は、上記の座標データを認識したときは、それぞれの操作ボタンの座標位置がシフトする。また、動作モード切替用の座標データに応じて、現場設備制御PC101は、RPAシナリオ用の座標データに対する認識機能が切り替わるアダプタを備えている。これにより、RPAシナリオの動作状態の秘匿機能を実現することが可能となる。
この例は、一例であり、本システムは、上記のように座標データとRPAシナリオを用いるシステムである。このため、システム制御のための種々の対策が、座標データの変更とその変更に対する応答機能(アダプタ)を設けることで、操作状況に対する秘匿性を得ることができる。
【0098】
また、図5A図5Bでは、設備の動作状況がエミュレータ表示パネル装置617に表示された例を示したが、これ以外に、任意の画像(例えば風景画像など)が表示されてもよい。さらに、「設備の動作状況表示」と「風景画像表示」が任意に切り替えされてもよい。
【0099】
この機能を設けることで、特に第2次制御システムと第3次制御システムとが遠隔の場合、或は両者間のネットワークが外部ネットワーク(インターネットを含む)を利用している場合は、有用となる。またこのような操作(或は制御)システムは、他の分野においても適用可能である。
【0100】
上記した設備制御システム、設備制御装置、設備制御方法によると、ディスプレイ信号を用いて第1次制御システムの現場表示パネル装置と、第2次制御システムの入力ディスプレイ信号利用操り装置が、相互に、操作状況の把握と設備動作状況の把握を行うことができる。また現場表示パネル装置、エミュレータ表示パネル装置が設備操作信号を共有することができる。ディスプレイ信号は、一般に称されるコマンド(機械言語)と異なり、ユーザが視覚により表示器上で認識可能である。また、RPAシナリオも、ディスプレイ信号から操作状況の把握と設備動作状況を判断するとともに次の工程のシーンを決定可能である。このために、設備が言語の異なる種々の国のものであり、第1次制御システムの現場パネル表示装置に表示される言語と第2次制御システムで使用される言語が異なる場合でも、座標データにより、操作状況の把握と設備動作状況の把握を行うことができる。即ち、
上記実施形態では、表示パネルの座標データが種々の命令や指令等の信号となり得る。また、座標データが通知・応答等の信号となり得るところにユニーク性がある。そして表示装置が用いられることで、ソフトウエアが異なる場合、言語が異なる場合、コマンド形式が異なる場合があっても各制御システムに対して、RPAシナリオを作成することで、本システムは容易に適用することが可能である。
【0101】
図12は、本発明の実施形態のさらに他の例を示すと共に音声信号処理の動作を説明する図である。第3次制御システム300は、社内LAN12を介して、複数の工場(第1工場11A、第2工場11B、第3工場11C)の動作状況を選択的、或は同時に監視可能とする機能を備えている。なお社内LAN12は、外部のインターネットに置き換わってもよい。
【0102】
第3次制御システム300の業務用PC301は、表示装置311と接続され、表示装置311に複数の工場(11A、11B、11C)のエニュミレータ表示パネル装置617と同様な操作状況を示す画像321、322、323を表示することができる。操作状況を示す画像321、322、323の下部には、第1工場、第2工場、第3工場の例えば工場名が表示される。
【0103】
図の例は、第1工場、第2工場、第3工場の操作状況を示す画像321、322、323が同時に表示された例を示している。この表示は「同時」と記載されたボタン324を操作することで得られる。ここで、スクロールボタン325の左方向或は右方向矢印を、タッチ或はクリックすると、画面は、左方向或は右方向へスライドする。さらに画面をスライドさせた状態で、「拡大」ボタン326をタッチ或はクリックすると、中央に位置する画面が拡大表示される。図の例の場合は、「拡大」ボタン326が操作されると、第2工場の画面が拡大表示される。
【0104】
なお、表示装置311には、エニュミレータ表示パネル装置617と同じ内容の画面が表示される。また、執務室内に設置された第3次制御システム300からも、図6図7図9図10で説明したような各種設定を行う事も可能となっている。
【0105】
次に、音声処理系統について説明する。製造関連設備15の近辺で集音されたオーディオ信号は、執務室の表示装置311に設けられているスピーカ337から出力される。また前記集音されたオーディオ信号は、業務用PC301に組み込まれた解析装置351によっても解析可能である。
【0106】
解析装置351は、オーディオ信号の例えば周波数やレベルを解析し、設備が安定して動作しているときの波形のデータと、その波形が得られているときのRPAシナリオのシーン識別データをペアにして記憶装置に記憶している。そして、オーディオ信号の波形のデータが、設備の安定時とは異なる模様或は値となった場合は、解析装置351は、表示装置311に対して「警告」の表示を行う。またこの時の音声をスピーカ327から出力してもよい。図の例は、第1工場のための画面321に「警告」321wが表示された例を示している。このような場合、執務室の管理者は、マイク用スイッチMSW1をオンにし、現場のスピーカ703を介して、現場に注意或は対処法を音声で指示することが可能である。
【0107】
上記で説明した第3次制御システム300には、図1図2図3で説明し第2次制御システム200の機能が設けられてもよい。
また、上記システムのこれまでの説明は、先に存在する第1次制御システム100に対して、新しく第2次制御システム200を接続すると言う想定で説明した。しかし、本発明は、このようなケースに適用されるだけでなく、先に存在する第2次制御システム200に対して、新しく別の第1次制御システム100が接続される場合にも適用可能であることは勿論である。
【0108】
先の図4から図10において説明したように、第2次制御システム200の入力ディスプレイ信号を利用する操り装置611は、第1次制御システムに対して極めて柔軟な適応能力を有する。これは、双方のシステム100と200とを整合させるための各種の整合用の情報を入力することができる設定画面を備えるからである。またRPAシナリオは、ダウンロードにより、或は外部からのインストールにより、さらには、メモリカードにより変更することが可能であるからである。なお、設定画面における設定情報は、例示したものに限らず、各種の制限情報なども追加できるように設計してもよい。例えば、設備からの各種の計測データの変動幅に応じて、次のシナリオの選択が切り替わってもよい。つまり、設備に対する運転操作が変化してもよいことを意味する。
【0109】
したがって、この意味から本システムは、製造設備にかぎらず、操作パネルを備える各種の移動体(飛翔体も含む)に関しても適用可能であることは勿論である。
【0110】
上記した本発明の代表的な観点をまとめる。
A1:あらかじめ定義したロボテック・プロセス・オートメーション・シナリオ(RPAシナリオ)に基づいて得られる設備制御用のシリアル信号で、操作対象である設備の動作を制御する。この制御に基づき、第1次制御システム100の現場の設備制御装置101が設備15を制御し、設備15の応答から設備操作状況を把握して、現場表示パネル装置102に設備操作状況を示すと共に、設備操作状況を示す信号をディスプレイ信号として出力する、設備制御システムである。
そして、第2次制御システム200は、前記ディスプレイ信号の画像を認識する画像認識部512と、前記画像認識部512による認識結果と前記RPAシナリオ615に基づいて生成される前記シリアル信号を前記設備制御装置101に送信する入力ディスプレイ信号利用操り装置611と、を有する。この入力ディスプレイ信号利用操り装置611は表示パネルエミュレート機能614を備える。さらに
前記表示パネルエミュレート機能614は、
前記RPAシナリオ615により特定される次のシーケンスを実行するための制御信号をパネル表示信号として生成し、このパネル表示信号をエミュレータ表示パネル装置617に与え、
さらに前記パネル表示信号を操作位置エンコーダ618に与えて、前記パネル表示信号を前記シリアル信号にエンコードさせるように構成している。
【0111】
A2:A1において、前記シリアル信号は、実行ログに相当するものであり、この実行ログは、前記RPAシナリオのシーケンス情報と共に、実行ログ出力部622に出力され、記憶装置に格納される。
【0112】
A3:A1において、前記画像認識部512が認識した画像は、OCR処理したデータを含み、このデータも実行ログとして取り扱われる。
【0113】
B1:上記A1-A3のいずれかにおいて、前記入力ディスプレイ信号利用操り装置611は、前記設備の近辺に配置されたマイクロホン702で集音したオーディオ信号を、ネットワーク12を介して遠隔に配置された、業務用PC301に送信する機能を備え、前記業務用PCは、前記オーディオ信号を出力するスピーカ若しくは前記オーディオ信号を解析する解析装置351を含む。
【0114】
B2:B1において、前記業務用PCは、表示装置311を含み、前記表示装置301にはマイクロホン328を接続可能であり、このマイクロホン328から前記ネットワークを介して、前記製造関連設備の近辺のスピーカ723に音声出力を得られるように構成している。
【0115】
B3:B1において、前記業務用PCは、表示装置311を含み、前記表示装置は、複数の工場の各エミュレータ表示パネル装置が表示する画像をモニタリング可能であり、同時に複数画像或は単独画像を見ることができるように構成している。
【0116】
A1又はB1において、前記設備は、移動体である。
【0117】
A1又はB1において、前記現場表示パネル装置は、前記エミュレータ表示パネル装置の設置より後に設置されたものである、または、前記現場表示パネル装置は、前記エミュレータ表示パネル装置の設置より先に設置されたもののいずれかである。
【0118】
また本システムにおいては、以下のような特徴的な観点も備える。即ち、第2次制御システムにおいては、現場の設備制御PCに対して第1の操作イメージの座標データを起点とした指令を与える現場表示パネル装置から、前記第1の操作イメージデータを受取る手段を備える。次に前記第1の操作イメージデータに基づいて、RPAシナリオに基づく次のシナリオを特定するRPAを備えている。さらに、前記第1の操作イメージを表示すると共に、前記RPAが特定した前記次のシナリオに基づいて、前記第1の操作イメージを第2の操作イメージに変化させるエミュレータ表示パネル装置を備える。そして、前記第2の操作イメージの少なくとも前記変化した部分の座標データを取り出して、前記現場の設備制御PCへ送信するエンコーダを備えるものである。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
【0120】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0121】
100…第1次制御システム、101・・・設備制御PC、102・・・現場表示パネル装置、103、104・・・分岐器、105・・・ディスプレイ信号キャプチャユニット、
200・・・第2次制御システム、300・・・第3次制御システム、301・・・業務用PC、302・・・通信器、
511・・・USB端子、512・・・画像認識部、513・・・通信器、514・・・出力端子、611・・・入力ディスプレイ信号利用操り装置、612・・・システム制御部、613・・・記憶装置、614・・・表示パネルエミュレート機能、615・・・RPAシナリオ、616・・・表示パネル制御部、617・・・エミュレータ表示パネル装置、618・・・操作位置エンコーダ、622・・・実行ログ出力部、623・・・クラッシュログ出力部、624・・・動作モード設定部。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12