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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067165
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】情報伝達装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 21/00 20060101AFI20240510BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G09B21/00 C
G06K19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177017
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古木 星哉
(57)【要約】
【課題】電子部品が配置された領域への異物の侵入を抑制することができる情報伝達装置を提供する。
【解決手段】情報伝達装置1は、複数の開口121が表面120に形成された筐体10と、開口121ごとに配置された複数のピン2と、ピン2を開口121内で移動させる駆動部3と、複数のピン2と駆動部3の間に介在し、駆動部3の駆動に追従する介在部材4と、を備えて概略構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口が表面に形成された筐体と、
前記開口ごとに配置された複数のピンと、
前記ピンを前記開口内で移動させる駆動部と、
複数の前記ピンと前記駆動部の間に介在し、前記駆動部の駆動に追従する介在部材と、
を備えた情報伝達装置。
【請求項2】
前記駆動部を制御して前記ピンの前記開口からの突出と非突出との組み合わせを生成し、ユーザに情報を伝達する制御部を備えた、
請求項1に記載の情報伝達装置。
【請求項3】
前記介在部材は、シート形状を有し、前記駆動部による前記ピンの駆動に追従して弾性変形を行い、駆動の終了によって前記ピンを駆動前の状態に復帰させる、
請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項4】
前記筐体は、複数の前記ピン、前記駆動部及び前記介在部材が配置される本体と、前記本体に取り付けたり前記本体から取り外したりできるように構成され、複数の前記開口が設けられた表面部と、を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、点字ピンにより点字を表示する表示部と、点字ピンを表示部の表面の開口から突出又は埋没させる駆動部と、表示部の表面を覆うシリコンゴムと、を備えた表示機能付きICカードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このシリコンゴムは、点字ピンが駆動部によって表面から突出すると、点字ピンの上部形状に沿って突出する。またシリコンゴムは、点字ピンが配置される開口を塞いで水やごみの侵入を防ぐこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-073465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のICカードは、シリコンゴムが表面に露出しているので、ユーザの爪などが引っかかってシリコンゴムが破損し、水などの異物が駆動部などの電子部品が配置された領域に侵入する可能性がある。
【0006】
従って本発明の目的は、電子部品が配置された領域への異物の侵入を抑制することができる情報伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、複数の開口が表面に形成された筐体と、開口ごとに配置された複数のピンと、ピンを開口内で移動させる駆動部と、複数のピンと駆動部の間に介在し、駆動部の駆動に追従する介在部材と、を備えた情報伝達装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子部品が配置された領域への異物の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、情報伝達装置の一例を示す斜視図であり、図1(b)は、駆動部の一例について説明するための図である。
図2図2(a)は、情報伝達装置の断面図の一例であり、図2(b)は、表面部を筐体から取り外した断面図の一例であり、図2(c)は、情報伝達装置のブロック図の一例である。
図3図3(a)は、変形例に係る介在部材の一例を示す断面図であり、図3(b)は、他の変形例に係る介在部材の一例を示す図である。
図4図4(a)は、情報伝達装置の駆動前の状態の一例を示す図であり、図4(b)は、駆動後の状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る情報伝達装置は、複数の開口が表面に形成された筐体と、開口ごとに配置された複数のピンと、ピンを開口内で移動させる駆動部と、複数のピンと駆動部の間に介在し、駆動部の駆動に追従する介在部材と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この情報伝達装置は、介在部材によってピンが配置された領域と駆動部が配置された領域とを分けるので、ピンが直接駆動される場合と比べて、駆動部を含む電子部品が配置された領域への異物の侵入を抑制することができる。
【0012】
[実施の形態]
(情報伝達装置1の概要)
図1(a)は、実施の形態に係る情報伝達装置の一例を示す斜視図であり、図1(b)は、駆動部の一例について説明するための図である。図2(a)は、実施の形態に係る情報伝達装置の図1(a)のA-A線で切断した断面を矢印方向から見た断面図の一例であり、図2(b)は、表面部を筐体から取り外した断面図の一例であり、図2(c)は、情報伝達装置のブロック図の一例である。なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また図2(c)では、主な信号、情報、電流や電圧の流れを矢印で示している。また図3(a)、図4(a)及び図4(b)に示す断面図は、図2(a)及び図2(b)の断面図を部分的に拡大し、説明する内容に応じて変更した図である。
【0013】
本実施の形態の情報伝達装置1は、一例として、電気的に接続された電子機器からの指示に基づくピン2の突出及び非突出の組み合わせによってユーザに情報を伝達するように構成されている。つまり情報伝達装置1は、ピン2の突出、非突出の組み合わせにより、ユーザの皮膚を変形させて情報を伝達する装置である。なお本実施の形態の情報伝達装置1は、一例として、図1(a)に示すように、4行4列でピン2が並ぶ構成であるがこれに限定されない。
【0014】
情報伝達装置1は、一例として、点字を形成することによって情報を伝達するがこれに限定されない。情報伝達装置1は、例えば、スイッチと共に配置され、ピン2の突出及び非突出の組み合わせによってスイッチの機能をユーザに伝達するように構成されても良い。
【0015】
情報伝達装置1は、図1(a)~図2(c)に示すように、複数の開口121が表面120に形成された筐体10と、開口121ごとに配置された複数のピン2と、ピン2を開口121内で移動させる駆動部3と、複数のピン2と駆動部3の間に介在し、駆動部3の駆動に追従する介在部材4と、を備えて概略構成されている。なお本実施の形態の情報伝達装置1は、複数のピン2ごとに駆動を行っているがこれに限定されず、2以上のピン2をまとめて駆動する構成であっても良い。
【0016】
また情報伝達装置1は、図2(a)~図2(c)に示すように、駆動部3を制御してピン2の開口121からの突出と非突出との組み合わせを生成し、ユーザに情報を伝達する制御部7を備えている。さらに情報伝達装置1は、制御部7の制御によって駆動部3の複数の電極から電流Iを供給する電極を切り替える切替部6を備えている。
【0017】
筐体10は、複数のピン2、駆動部3及び介在部材4が配置される本体11と、本体11に取り付けたり本体11から取り外したりできるように構成され、複数の開口121が設けられた表面部12と、を有している。
【0018】
この本体11は、一例として、樹脂材料を用いて上面100が解放された箱形状に形成されている。この上面100に設けられた取付開口101は、表面部12が取り付けられる開口である。また本体11は、枠部16が取付開口101に沿って取り付けられている。この枠部16は、表面部12を支持している。
【0019】
さらに本体11は、図2(a)及び図2(b)に示すように、押子5の移動をガイドする複数の第1のガイド14、及びピン2の移動をガイドする複数の第2のガイド15を有している。
【0020】
第1のガイド14は、押子5に応じて設けられている。この第1のガイド14は、一例として、押子5の形状に応じた円筒形状を有しているがこれに限定されず、押子5が角柱形状であれば角筒形状とされる。
【0021】
第2のガイド15は、ピン2に応じて設けられている。この第2のガイド15は、一例として、後述するピン2のフランジ20bの形状に応じた円筒形状を有しているがこれに限定されず、フランジ20bが矩形状を有する板であれば角筒形状とされる。外側に近いピン2は、図2(a)及び図2(b)に示すように、第2のガイド15と枠部16とによって移動がガイドされる。
【0022】
筐体10は、図2(a)及び図2(b)に示すように、収容部13を有している。この収容部13は、駆動部3、介在部材4、押子5、第1のガイド14、第2のガイド15、枠部16、支持部材36a~支持部材36eが配置されている。この収容部13は、介在部材4を境に第1の領域131と第2の領域132に分かれている。第1の領域131には、駆動部3などの電子部品が配置されている。
【0023】
(ピン2の構成)
ピン2は、一例として、金属材料や樹脂材料を用いて形成されている。ピン2は、図1(b)に示すように、表面部12の開口121に挿入される凸部20aと、凸部20aの下部に設けられたフランジ20bと、を有している。
【0024】
本実施の形態のピン2は、4行4列で等間隔に配置されている。図1(b)では、ピン2の行方向の配列を第1の行21~第4の行24で示している。
【0025】
凸部20aは、一例として、円柱形状を有している。またフランジ20bは、一例として、円板形状を有している。なおピン2の形状は、これらに限定されず、凸部20aのみでも良いし、凸部20aの上面200が半円形状などの丸みを帯びた面形状であっても良い。
【0026】
ピン2は、フランジ20bの下面201が介在部材4の表面40と接触している。フランジ20bは、開口121よりも大きいので筐体10からのピン2の抜けを抑制している。またピン2の表面120からの突出量は、一例として、およそ1mm程度である。
【0027】
(駆動部3の構成)
駆動部3は、一例として、形状記憶合金を用いてピン2を駆動するように構成されている。駆動部3は、本体11の収容部13の第1の領域131に配置されている。
【0028】
具体的には、駆動部3は、図1(b)に示すように、第1の行21~第4の行24ごとに配置された4つの導電線35と、第1の行21に配置された電極31a~電極31eと、第2の行22に配置された電極32a~電極32eと、第3の行23に配置された電極33a~電極33eと、第4の行24に配置された電極34a~電極34eと、を備えて概略構成されている。
【0029】
この電極31a~電極31e、電極32a~電極32e、電極33a~電極33e、及び電極34a~電極34eは、導電性を有する金属材料によって棒状に形成されている。また電極31a~電極31e、電極32a~電極32e、電極33a~電極33e、及び電極34a~電極34eは、本体11の底部110から外に突出し、切替部6と電気的に接続されている。
【0030】
導電線35は、一例として、チタンとニッケルの合金、鉄とマンガンとケイ素の合金などの形状記憶合金によって線状に形成されている。導電線35は、図1(b)に示すように、第1の行21~第4の行24ごとに配置されているがこれに限定されず、1本の導電線を折り返して配置しても良い。
【0031】
導電線35は、図2(a)に示すように、押子5の端面500と接触する部分とその周囲が谷となって湾曲する湾曲部350をピン2に応じて有している。導電線35は、図2(a)に示すように、通電によって湾曲部350が変形する、つまり湾曲部350が直線に近い形状となり、押子5及び介在部材4を介してピン2を押し上げるように形状が記憶されている。
【0032】
電極31a~電極34aは、図1(b)~図2(b)に示すように、支持部材36aの凸部360との間に導電線35を挟み、導電線35の移動を抑制している。同様に、電極31b~電極34b、電極31c~電極34c、及び電極31d~電極34dは、支持部材36b~支持部材36eの凸部360との間に導電線35を挟み、導電線35の移動を抑制している。
【0033】
なお本実施の形態の駆動部3は、一例として、形状記憶合金である導電線35を用いてピン2を駆動する構成としたがこれに限定されず、ソレノイドのプランジャによってピン2を駆動する構成であったり、空気などの圧力に基づいてピン2を駆動する構成などであったりしても良い。
【0034】
(介在部材4の構成)
図3(a)は、変形例に係る介在部材の一例について説明するための断面図であり、図3(b)は、他の変形例に係る介在部材の一例について説明するための図である。
【0035】
介在部材4は、伸縮性を有し、駆動部3によるピン2の駆動に追従して弾性変形を行い、また駆動の終了によってピン2を駆動前の状態に復帰させるように構成されている。この介在部材4は、例えば、シリコーンやPDMS(Polydimethylsiloxane)を用いてシート状に形成されている。本実施の形態の介在部材4は、一例として、PDMSを用いて形成されている。介在部材4は、図1(b)に示すように、4行4列に並ぶピン2よりも広い領域を覆う矩形状を有している。
【0036】
介在部材4は、図2(a)及び図2(b)に示すように、収容部13を第1の領域131と第2の領域132に分けている。この介在部材4は、裏面41側となる第1の領域131と表面40側となる第2の領域132の境界に配置されることにより、第1の領域131への液体などの異物の侵入を抑制している。また情報伝達装置1は、図2(b)に示すように、表面部12を本体11から取り外すことにより、ピン2を取り外して介在部材4の表面40のメンテナンスを行うことが可能となる。
【0037】
介在部材4は、図2(a)に示すように、駆動されていないピン2の下方の周辺では平らとなり、駆動されているピン2の下方の周辺では上方に湾曲して湾曲部42が形成される。この湾曲部42は、円錐形状を有している。
【0038】
ここで変形例として介在部材4は、一例として、図3(a)に示すように、端部が下方に曲がり、さらに外方向に曲がるクランク43を有していても良い。このクランク43は、介在部材4の周囲に設けられている。そして筐体10の本体11は、一例として、クランク43に応じて排出孔111が設けられても良い。この排出孔111は、介在部材4の表面40を伝う液体などの異物9を筐体10の外に排出するように構成されている。
【0039】
介在部材4は、クランク43によって、より第1の領域131に対する異物9の侵入を抑制することができる。
【0040】
また他の変形例として介在部材4は、一例として、図3(b)に示すように、押子5と接触する接触部420が他の部分よりも弾性変形し難く形成されても良い。この接触部420は、ピン2の駆動により周囲が湾曲部42となる。接触部420は、少なくとも湾曲部42よりも弾性変形し難いので、押子5の接触によって傷付いたり、破れたりすることが抑制される。
【0041】
さらに介在部材4は、駆動部3によるピン2の駆動がない場合、下に凸となる状態、つまり湾曲部42が反転した状態を駆動がない基準状態としても良い。この場合、介在部材4は、ピン2の駆動により、湾曲部42が座屈して平らな状態に近くなり、駆動が終了すると、湾曲部42が座屈した状態から元の状態に復帰する力により、ピン2が駆動前の状態に復帰する。
【0042】
(押子5の構成)
押子5は、介在部材4と導電線35との間に配置されている。この押子5は、例えば、導電線35と接触することから絶縁体材料を用いて形成されている。押子5は、半径の異なる円柱体である下部50及び上部51から構成されている。
【0043】
下部50は、図2(a)に示すように、上部51よりも半径が小さく、その端面500が導電線35と接触している。上部51は、下部50よりも半径が大きく、その上面510が介在部材4と接触している。この上面510は、角が丸みを帯びた形状を有し、介在部材4に傷を付け難いようにされている。
【0044】
なお変形例として情報伝達装置1は、駆動部3がソレノイドなどのプランジャが移動する構成である場合、このプランジャを押子5の代わりにして介在部材4を介してピン2を駆動するように構成されても良い。
【0045】
(切替部6の構成)
図4(a)は、実施の形態に係る情報伝達装置の駆動前のピンと駆動部の状態の一例を示す図であり、図4(b)は、駆動後のピンと駆動部の状態の一例を示す図である。
【0046】
切替部6は、一例として、制御部7から出力される切替信号Sに基づいて定電流源81から供給された電流Iを流す電極を切り替えるように構成されている。切替部6は、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、第1の行21の電極31a及び電極31bの間のピン2を駆動する場合、電極31aと電極31bとに電気的に接続して一方の電極に電流Iを供給する。
【0047】
電流Iが電極31aに供給された場合、一例として、図4(b)に示すように、切替部6、電極31a、導電線35及び電極31bによって電流路60が形成される。導電線35は、電流Iが流れることにより、発熱し湾曲部350が直線になろうとして変形する。この変形により、ピン2は、図4(b)に示すように、上部に向かって駆動される。導電線35は、図4(a)に示すように、電流Iの供給が停止されると、温度が下がって元の形状に復帰する。
【0048】
なお切替部6は、一例として、筐体10の外に配置されるがこれに限定されず、第1の領域131に配置されても良い。
【0049】
(制御部7の構成)
制御部7は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部7が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。制御部7は、図2(c)に示すように、定電圧源80から印加される電圧Vにより駆動される。
【0050】
制御部7は、切替部6を介して駆動部3と電気的に接続されている。制御部7は、入力する指示情報Sに基づいて駆動するピン2を定め、ピン2を駆動する電極に対して電流Iを供給させる切替信号Sを生成して切替部6に出力する。この指示情報Sは、情報伝達装置1が電気的に接続されている電子機器から出力されるものである。制御部7は、指示情報Sに基づいてユーザに伝達したい情報をピン2の開口121からの突出と非突出との組み合わせにより呈示する。
【0051】
なお制御部7は、駆動部3の電極の切り替えを行えるように構成されても良い。その場合、情報伝達装置1は、切替部6がない構成とされる。また駆動部3が複数のソレノイドなどで構成され、個別に制御可能である場合、情報伝達装置1は、切替部6がない構成とされる。
【0052】
また制御部7は、一例として、筐体10の外に配置されるがこれに限定されず、第1の領域131に配置されても良い。
【0053】
(ピン2の駆動について)
以下では、電極31a及び電極31bの間に配置されたピン2の駆動の一例について各図を参照しながら説明する。
【0054】
制御部7は、指示情報Sが入力すると、駆動するピン2とこのピン2を駆動するための電極を定める。
【0055】
制御部7は、指示情報Sに基づいて電極31a及び電極31bの間に配置されたピン2を駆動すると定めると、当該ピン2を駆動するための切替信号Sを生成して切替部6に出力する。
【0056】
切替部6は、切替信号Sに基づいて電極31a及び電極31bと電気的に接続し、電極31aに電流Iを供給する。電極31a、導電線35及び電極31bは、図4(b)に示す電流路60を形成する。
【0057】
電流路60の導電線35は、電流Iにより発熱する。導電線35は、この発熱により、図4(a)に示す湾曲部350が伸びて直線に近くなり、押子5及び介在部材4を介してピン2を駆動し、開口121から突出させる。この際、介在部材4は、図4(a)に示す平らな状態から図4(b)に示す湾曲部42が形成された状態となる。なおピン2は、導電線35がピン2を駆動する上向の駆動力Fと介在部材4が湾曲することで生じる下向きの復帰力Fとが釣り合う位置で停止する。
【0058】
制御部7は、指示情報Sに基づいてピン2の駆動停止が指示された場合、切替信号Sによって電流Iの供給を停止させる。なお制御部7は、一例として、指示情報Sの入力が停止した場合、切替信号Sの出力を停止し、ピン2を非突出状態とするように構成されても良い。
【0059】
導電線35は、電流Iの供給が停止されると、温度が低下し、記憶した元の形状、つまり湾曲部350を形成するように下向きに変形する。この変形に伴い、駆動力Fと復帰力Fの釣り合いが崩れ、ピン2及び押子5の自重と復帰力Fとによってピン2が元の位置、つまり開口121に収容される。
【0060】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る情報伝達装置1は、電子部品が配置された領域への異物の侵入を抑制することができる。具体的には、情報伝達装置1は、介在部材4によって電子部品が配置された第1の領域131とピン2が配置された第2の領域132とに筐体10の収容部13を分けることができる。従って情報伝達装置1は、ピン2が移動する開口121から液体や塵などの異物9が侵入しても、この構成を採用しない場合と比べて、第2の領域132への異物9の侵入を抑制することができる。
【0061】
情報伝達装置1は、異物9が侵入する可能性がある第2の領域132が異物9によって機能不良を起こし難い領域であるので、この構成を採用しない場合と比べて、ピン2が突出する開口121から液体や塵などの異物9が侵入しても装置が動作しないなどの機能不良を起こす可能性が低い。
【0062】
情報伝達装置1は、水や塵などの侵入を抑制するシート状の膜をピン2の上に配置せず、ピン2の下に介在部材4を配置することで、介在部材4に直接ユーザが触れない構成としたので、触れる場合と比べて、ユーザの爪などによって破損し難い。
【0063】
情報伝達装置1は、ピン2の下に介在部材4を配置したので、ピンの上に膜を配置したために膜を厚くしたり、硬い膜にしたりして破損を防ぐ場合と比べて、弾性変形し易い材料で介在部材4を構成することができ、コストの増加を抑制することができる。そして情報伝達装置1は、介在部材4が弾性変形し易いので駆動部3の構成の自由度が向上する。
【0064】
情報伝達装置1は、長期の使用に伴って第2の領域132に塵や油脂などが堆積することにより不良が生じる可能性がある。しかし情報伝達装置1は、表面部12を取り外すことができるので、介在部材4の表面40などを容易に掃除可能でありメンテナンス性が高い。
【0065】
情報伝達装置1は、介在部材4が露出しないので高い伸縮性を持たせることが可能となる。従って情報伝達装置1は、駆動後のピン2を元の位置に復帰させる復帰力Fにより、ピン2を容易に元の位置に復帰させると共にピン2の突出と非突出の応答速度を向上させることができる。
【0066】
ここで変形例として情報伝達装置1は、介在部材4の表面40に静電検出部を配置しても良い。この静電検出部は、一例として、シート状に形成され、静電容量の変化に基づいてユーザの体の一部の接近及び接触を検出することが可能である。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…情報伝達装置、2…ピン、3…駆動部、4…介在部材、5…押子、7…制御部、10…筐体、12…表面部、35…導電線、120…表面、121…開口、131…第1の領域、132…第2の領域
図1
図2
図3
図4