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特開2024-67166コアパネル、コアパネルの製造方法およびコア製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067166
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】コアパネル、コアパネルの製造方法およびコア製造装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/12 20060101AFI20240510BHJP
   E04C 2/36 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B32B3/12 B
E04C2/36 A
E04C2/36 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177019
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】523331865
【氏名又は名称】株式会社スペースシーファイブ
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】趙 希禄
【テーマコード(参考)】
2E162
4F100
【Fターム(参考)】
2E162CB02
2E162CB07
2E162CB08
2E162CB10
2E162CD04
2E162CD05
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB00D
4F100CB00E
4F100DC04B
4F100EC12A
4F100EC12C
(57)【要約】
【課題】ハニカムコアパネルに比べて、重量当たりの曲げ剛性を向上させつつ、熱や振動に対して強いコアパネルを提供すること。
【解決手段】四角形状の複数の底面部(11)と、底面部(11)に対して面方向および厚さ方向でずれた位置に配置され且つ四角形状の複数の天面部(12)と、面方向で隣り合う底面部(11)と天面部(12)と対して底面部(11)の四角形の前記隣り合う天面部側の一辺と天面部(12)の四角形の前記隣り合う底面部側の一辺との間を接続する立壁部(13)と、を有するコア部(2)と、コア部(2)の天面部(12)どうしの表面に対面する第1の板(3)と、コア部(2)の底面部(11)どうしの表面に対面する第2の板(4)と、を備えたコアパネル(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の複数の底面部と、前記底面部に対して面方向および厚さ方向でずれた位置に配置され且つ四角形状の複数の天面部と、面方向で隣り合う前記底面部と前記天面部と対して前記底面部の四角形の前記隣り合う天面部側の一辺と前記天面部の四角形の前記隣り合う底面部側の一辺との間を接続する立壁部と、を有するコア部と、
前記コア部の天面部どうしの表面に対面する第1の板と、
前記コア部の底面部どうしの表面に対面する第2の板と、
を備えたことを特徴とするコアパネル。
【請求項2】
正方形状の前記底面部と、正方形の中央部分が切り欠かれて切り欠かれた部分どうしが接合された長方形状の前記天面部と、を有する前記コア部と、
前記天面部の切り欠かれた部分に応じて湾曲した前記第1の板および前記第2の板と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコアパネル。
【請求項3】
前記天面部と前記第1の板とを固定する第1の固定部材と、
前記底面部と前記第2の板とを固定する第2の固定部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコアパネル。
【請求項4】
前記天面部に対して前記第1の固定部材と接着剤とで固定された前記第1の板と、
前記底面部に対して前記第2の固定部材と接着剤とで固定された前記第2の板と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のコアパネル。
【請求項5】
平板状の基材の面方向において四角形状の天面部、立壁部、底面部、立壁部、天面部、…の順に繰り返し配置された各部位に対して、前記立壁部どうしの間の部分に開口を形成する開口形成工程と、
前記天面部と前記立壁部との境界線を山折し、且つ、前記底面部と前記立壁部との境界線を谷折りしてコア部を形成するコア部形成工程と、
前記コア部の各天面部と第1の板とを接合すると共に、前記コア部の各底面部と第2の板とを接合する接合工程と、
を実行することを特徴とするコアパネルの製造方法。
【請求項6】
前記コア部形成工程で形成されたコア部に対して、コアパネルの湾曲に応じて前記天面部および前記立壁部を切り欠く切欠き工程と、
切り欠かれた部分どうしを接合した状態で、前記コア部の各天面部と湾曲した前記第1の板とを接合すると共に、前記コア部の各底面部と湾曲した前記第2の板とを接合する前記接合工程と、
を実行することを特徴とする請求項5に記載のコアパネルの製造方法。
【請求項7】
面方向において四角形状の天面部、立壁部、底面部、立壁部、天面部、…の順に繰り返し配置され且つ前記立壁部どうしの間の部分に開口を形成された平板状の基材に対して、前記基材の厚さ方向の一方に配置されて前記天面部の一面側を保持する第1の天面保持部と、
前記底面部の一面側を保持する第1の底面保持部と、
前記第1の底面保持部を前記基材に対して接近または離間する方向に移動可能に支持する第1の移動保持部と、
前記第1の底面保持部を前記基材に接近する方向に付勢する第1の付勢部材と、
前記第1の天面保持部と前記第1の移動保持部とを前記基材の面方向に移動可能に支持する第1の台座部と、
前記基材の厚さ方向の他方に配置されて前記天面部の他面側を保持する第2の天面保持部と、
前記底面部の他面側を保持する第2の底面保持部と、
前記第2の天面保持部を前記基材に対して接近または離間する方向に移動可能に支持する第2の移動保持部と、
前記第2の天面保持部を前記基材に接近する方向に付勢する第2の付勢部材と、
前記第2の底面保持部と前記第2の移動保持部とを前記基材の面方向に移動可能に支持する第2の台座部と、
前記第1の天面保持部と前記第1の底面保持部との間を連結する第1のリンクと、
前記第2の天面保持部と前記第2の底面保持部との間を連結する第2のリンクと、
を備え、
前記第1の天面保持部、前記第2の天面保持部、前記第1の底面保持部および前記第2の底面保持部で前記基材を挟んだ状態で、前記第1の台座部と前記第2の台座部が接近する方向に前記第1の台座部および前記第2の台座部の少なくとも一方を移動させることで、前記第2の天面保持部および前記第1の底面保持部が前記基材に対して接近、離間する方向に移動し、且つ、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクにより前記第1の天面保持部と前記第1の底面保持部とが相対的に接近すると共に前記第2の天面保持部と前記第2の底面保持部とが相対的に接近して、
前記天面部と前記底面部とが前記基材の厚さ方向にずれ、且つ、前記基材の厚さ方向に沿って延びる立壁部で前記天面部と前記底面部とが接続されたコアを、前記基材から製造する
ことを特徴とするコア製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアパネル、コアパネルの製造方法、コア製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機や鉄道、自動車等の車両において強度が必要な部位や、建造物等の強度が必要な部位に使用される軽量で強度を有する部材としてハニカムコアパネルが知られている。ハニカムコアパネルは、ハチの巣状、すなわち、六角形状の筒が平面充填された状態のコア部の両端に平板を接着剤で固定された構造となっている。
ハニカムコアパネルに関して、以下の特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1(特開2017-1195号公報)には、波型の基材にスリットを形成し、スリットに沿って折り曲げて六角形状のハニカムコアを形成する際に、スリットの部分に突起状の接合片(8)を形成しておき、折り曲げ後に接合片(8)を折り曲げて隣接する壁部どうしを留める構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-1195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術の問題点)
従来技術のハニカムコアパネルでは、ハニカムコア部分と平板とを接合しないと、コアパネルとして強度が出せない。そして、従来構成では、ハニカムコアの六角形状の筒壁の端面に平板を接着剤で固定しており、接着面はハニカムコアの基材の厚み分しかない。ハニカムコアは軽量化のため、基材の厚みが薄く構成されており、平板とコアとの接着面積は非常に狭くなっている。よって、熱や振動で平板とハニカムコアとの接着が外れやすく、ハニカムコアパネルが熱や振動に弱いことが問題となっている。
【0006】
本発明は、ハニカムコアパネルに比べて、重量当たりの曲げ剛性を向上させつつ、熱や振動に対して強いコアパネルを提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明のコアパネルは、
四角形状の複数の底面部と、前記底面部に対して面方向および厚さ方向でずれた位置に配置され且つ四角形状の複数の天面部と、面方向で隣り合う前記底面部と前記天面部と対して前記底面部の四角形の前記隣り合う天面部側の一辺と前記天面部の四角形の前記隣り合う底面部側の一辺との間を接続する立壁部と、を有するコア部と、
前記コア部の天面部どうしの表面に対面する第1の板と、
前記コア部の底面部どうしの表面に対面する第2の板と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコアパネルにおいて、
正方形状の前記底面部と、正方形の中央部分が切り欠かれて切り欠かれた部分どうしが接合された長方形状の前記天面部と、を有する前記コア部と、
前記天面部の切り欠かれた部分に応じて湾曲した前記第1の板および前記第2の板と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコアパネルにおいて、
前記天面部と前記第1の板とを固定する第1の固定部材と、
前記底面部と前記第2の板とを固定する第2の固定部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコアパネルにおいて、
前記天面部に対して前記第1の固定部材と接着剤とで固定された前記第1の板と、
前記底面部に対して前記第2の固定部材と接着剤とで固定された前記第2の板と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明のコアパネルの製造方法は、
平板状の基材の面方向において四角形状の天面部、立壁部、底面部、立壁部、天面部、…の順に繰り返し配置された各部位に対して、前記立壁部どうしの間の部分に開口を形成する開口形成工程と、
前記天面部と前記立壁部との境界線を山折し、且つ、前記底面部と前記立壁部との境界線を谷折りしてコア部を形成するコア部形成工程と、
前記コア部の各天面部と第1の板とを接合すると共に、前記コア部の各底面部と第2の板とを接合する接合工程と、
を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のコアパネルの製造方法において、
前記コア部形成工程で形成されたコア部に対して、コアパネルの湾曲に応じて前記天面部および前記立壁部を切り欠く切欠き工程と、
切り欠かれた部分どうしを接合した状態で、前記コア部の各天面部と湾曲した前記第1の板とを接合すると共に、前記コア部の各底面部と湾曲した前記第2の板とを接合する前記接合工程と、
を実行することを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明のコア製造装置は、
面方向において四角形状の天面部、立壁部、底面部、立壁部、天面部、…の順に繰り返し配置され且つ前記立壁部どうしの間の部分に開口を形成された平板状の基材に対して、前記基材の厚さ方向の一方に配置されて前記天面部の一面側を保持する第1の天面保持部と、
前記底面部の一面側を保持する第1の底面保持部と、
前記第1の底面保持部を前記基材に対して接近または離間する方向に移動可能に支持する第1の移動保持部と、
前記第1の底面保持部を前記基材に接近する方向に付勢する第1の付勢部材と、
前記第1の天面保持部と前記第1の移動保持部とを前記基材の面方向に移動可能に支持する第1の台座部と、
前記基材の厚さ方向の他方に配置されて前記天面部の他面側を保持する第2の天面保持部と、
前記底面部の他面側を保持する第2の底面保持部と、
前記第2の天面保持部を前記基材に対して接近または離間する方向に移動可能に支持する第2の移動保持部と、
前記第2の天面保持部を前記基材に接近する方向に付勢する第2の付勢部材と、
前記第2の底面保持部と前記第2の移動保持部とを前記基材の面方向に移動可能に支持する第2の台座部と、
前記第1の天面保持部と前記第1の底面保持部との間を連結する第1のリンクと、
前記第2の天面保持部と前記第2の底面保持部との間を連結する第2のリンクと、
を備え、
前記第1の天面保持部、前記第2の天面保持部、前記第1の底面保持部および前記第2の底面保持部で前記基材を挟んだ状態で、前記第1の台座部と前記第2の台座部が接近する方向に前記第1の台座部および前記第2の台座部の少なくとも一方を移動させることで、前記第2の天面保持部および前記第1の底面保持部が前記基材に対して接近、離間する方向に移動し、且つ、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクにより前記第1の天面保持部と前記第1の底面保持部とが相対的に接近すると共に前記第2の天面保持部と前記第2の底面保持部とが相対的に接近して、
前記天面部と前記底面部とが前記基材の厚さ方向にずれ、且つ、前記基材の厚さ方向に沿って延びる立壁部で前記天面部と前記底面部とが接続されたコアを、前記基材から製造する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ハニカムコアパネルに比べて、重量当たりの曲げ剛性を向上させつつ、熱や振動に対して強いコアパネルを提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、平坦状のコアパネルでなく、湾曲したコアパネルを作製できる。
請求項3に記載の発明によれば、固定部材で各板とコア部とを接合して、コアパネルの強度、耐久性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、接着剤と固定部材とを使用しない場合に比べて、固定部分での応力集中を緩和でき、コアパネルの破損を抑制できる。
請求項5に記載の発明によれば、ハニカムコアパネルに比べて、熱や振動に対して強いコアパネルを提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、平坦状のコアパネルでなく、湾曲したコアパネルを製造できる。
請求項7に記載の発明によれば、手や万力で加工する場合に比べて、効率的に天面部と底面部とを有するコアを製造することができ、コアに板を固定することで、ハニカムコアパネルに比べて、熱や振動に対して強いコアパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明のコアパネルの一例の説明図であり、図1Aは外観図、図1B図1Aの分解図である。
図2図2は本発明のコアパネルの他の例の説明図であり、図2Aは外観図、図2Bはコア部の分解図である。
図3図3図2のコア部の切欠き部分の説明図であり、図3Aは切り抜き前の状態の説明図、図3Bは切り抜き後に接合した状態の説明図、図3C図3Bを天地反転した状態の説明図である。
図4図4は切欠き部分の幅の説明図である。
図5図5は実施例1の平板状のコアパネルと部分円弧状のコアパネルが使用された構造物の一例の説明図である。
図6図6は実施例1のコアパネルの製造方法の説明図であり、図6Aは基材に開口が形成された状態の説明図、図6B図6Aの基材を折り曲げる途中の説明図、図6Cはコア部が作成された状態の説明図、図6D図6Cのコア部に平板がリベット止めされてコアパネルが完成した状態の説明図である。
図7図7は実施例1のコア部の製造装置の一例の説明図であり、図7Aは第2の台座部が上昇した状態の説明図、図7Bは折り曲げ途中の状態の説明図、図7Cは折り曲げ完了の状態の説明図である。
図8図8図7に示す底面保持部や天面保持部が繰り返し接続された構成の要部説明図である。
図9図9は実験例1の説明図であり、3点曲げ試験の説明図である。
図10図10は実験例1の実験結果の説明図であり、横軸に変位を取り、縦軸に荷重を取ったグラフである。
図11図11は実験例2の実験結果の説明図であり、横軸に変位を取り、縦軸に荷重を取ったグラフである。
図12図12は従来のハニカムコアパネルと実施例1のコアパネルとを比較した説明図であり、図12Aはハニカムコアパネルの要部斜視図、図12Bはハニカムコアの平面図、図12C図12BのXIIC-XIIC断面でのハニカムの一要素の長さ関係の説明図、図12Dは実施例1のコアパネルの要部斜視図、図12E図12Dのコア部の平面図、図12F図12EのXIIF-XIIF断面での六面体の一要素の長さ関係の説明図である。
図13図13は実験例3の説明図である。
図14図14は実験例3の実験結果の説明図であり、図14Aは実施例1のコアパネルの実験結果、図14Bは従来のハニカムコアパネルの実験結果の説明図である。
図15図15はハニカムコアパネルに対する実施例1のコアパネルの断面二次モーメントの増加率と、ハニカムコアパネルに対する実施例1のコアパネルの材料体積の増加率とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例0017】
図1は本発明のコアパネルの一例の説明図であり、図1Aは外観図、図1B図1Aの分解図である。
図1において、本発明の実施例1のコアパネル1は、コア部2と、コアパネル1の厚さ方向に対してコア部2の両側に配置された平板状の第1の板3と、第2の板4とを有する。
コア部2は、四角形状の複数の底面部11と、底面部11に対して面方向および厚さ方向でずれた位置に配置された四角形状の複数の天面部12と、面方向(X方向およびY方向)で隣り合う底面部11と天面部12と対して底面部11の四角形の一辺と天面部12の四角形の一辺との間を接続する複数の立壁部13と、を有する。したがって、実施例1のコアパネル1は、天面部12と立壁部13と第2の板4とで囲まれた領域が六面体状(キューブ状)の空間、要素となっていると共に、底面部11と立壁部13と第1の板3とで囲まれた領域が六面体状の空間、要素となっている。したがって、実施例1のコアパネル1は、六面体が面方向に充填された形態となっている。
【0018】
第1の板3は、各天面部12の外表面に沿って配置されている。ここでいう天面部12の外表面とは天面部12を基準に底面部11と反対の面である。そして、各天面部12と第1の板3との間は、第1の固定部材の一例としてのリベット21で固定されている。また、第1の板3と天面部12と同様に、第2の板4は各底面部11の外表面に沿って配置され、第2の固定部材の一例としてのリベット22で固定されている。ここでいう底面部11の外表面とは底面部11を基準に天面部12と反対の面である。
なお、実施例1では、全ての底面部11や天面部12の部分がリベット21,22で固定されているが、これに限定されない。底面部11や天面部12の中の一部とすることが可能であり、例えば、コア部2の全体からみて四隅の部分や中央部分のみとすることも可能である。
【0019】
図2は本発明のコアパネルの他の例の説明図であり、図2Aは外観図、図2Bはコア部の分解図である。
図3図2のコア部の切欠き部分の説明図であり、図3Aは切り抜き前の状態の説明図、図3Bは切り抜き後に接合した状態の説明図、図3C図3Bを天地反転した状態の説明図である。なお、図3Aと、図3B及び図3Cの横方向の天面部12と底面部11の数は異なっているが、図3Aは切欠き部分の概念を説明する図であり、図3B及び図3Cにおいても図3Aと同様の手法で切欠き部分を設ければよい。また、図3B及び図3Cは中心部分の複数の天面部12及び切欠き部分を設け、左右両端のコア部には切欠き部分を設けていない部分円弧状の形状の実施例である。
図2図3において、湾曲したコアパネル1′とする場合は、コアパネル1′の湾曲(曲率)に合わせて天面部12の中央部に帯状(長方形状)の切欠き部31が形成される。実施例1では、切欠き部31に対応して、立壁部13にも三角形状の切欠き部32が形成される。そして、天面部12や立壁部13は、切欠き部31,32の両側が合わされると、コア部2′の全体が湾曲した状態となる。そして、湾曲したコア部2′の天面部12側と底面部11側に湾曲した第1の板3′および第2の板4′をリベット21,22で固定することで、湾曲したコアパネル1′が得られる。なお、切欠き部31,32が形成され、天面部12の切欠き部31と立壁部の切欠き部32の両側が合わされた状態では、底面部11が正方形(四角形の一例)であれば、天面部12は長方形状(四角形の一例)となり、立壁部13は台形に近似した形状となる。
【0020】
図4は切欠き部分の幅の説明図である。
図4において、目的のコアパネル1′の湾曲の曲率半径R、中心角θに対して、湾曲後のコア部2′の外周長をL、湾曲後のコア部2′の内周長をL-ΔL、切欠きの幅をΔb、湾曲の周方向に沿って並ぶ天面部12の数をnとした場合、切欠き前のコア部2の幅がLとなるため、以下の式(1)、(2)が成立する。
ΔL=L-Rθ …式(1)
Δb=ΔL/n=(L-Rθ)/n …式(2)
したがって、コアパネル1′の湾曲に応じて、式(2)から切欠き部31の幅Δbを設定可能である。
【0021】
なお、実施例1では、天面部12を切り欠く場合について説明したが、底面部11を切り欠く構成とすることも可能である。ただし、天面部12を切り欠いて作成されたコアパネル1′を天地反転させると底面部11を切り欠いて作成されたコアパネルと同一のものとなるため、天面部12を切り欠くことと底面部11を切り欠くことは実質同一である。
また、実施例では、部分円弧状のコアパネル1′を例示したがこれに限定されない。例えば、天面部12と底面部11のそれぞれに切欠きを形成することで、正弦波状や三角波に湾曲したコアパネル等も作成可能であり、表面が複雑な曲面を有するコアパネルを作成することも可能である。
【0022】
図5は実施例1の平板状のコアパネルと部分円弧状のコアパネルが使用された構造物の一例の説明図である。
図5において、構造物の一例としての鉄道車両36では、床面36aや天井36b、側壁36cの部分に板状のコアパネル1を好適に使用でき、角(コーナー)部36dに部分円弧状のコアパネル1′を好適に使用できる。なお、構造物として、鉄道車両36を例示したが、これに限定されず、自動車や航空機、トラクタや工作機械等の作業車両等にも適用可能であるし、ビルや仮設の小屋等の建造物の外壁や内壁にも適用可能である。他にも、オフィスの間仕切り、パーティション等にも適用可能である。
【0023】
(コアパネルの作成方法)
図6は実施例1のコアパネルの製造方法の説明図であり、図6Aは基材に開口が形成された状態の説明図、図6B図6Aの基材を折り曲げる途中の説明図、図6Cはコア部が作成された状態の説明図、図6D図6Cのコア部に平板がリベット止めされてコアパネルが完成した状態の説明図である。
図6Aにおいて、実施例1のコアパネル1を作成する場合、まず、開口形成工程において、平板状の基材41に開口42を形成する。基材41には、基材41の面方向(X方向およびY方向)に沿って四角形状(正方形状)の天面部12、立壁部13、底面部11、立壁部13、天面部12、…の順に繰り返し配置されており、立壁部13どうしの間の部分に開口42が形成される。開口42は、基材41に対して、プレス加工やレーザー加工等、任意の加工方法で形成可能である。
【0024】
図7は実施例1のコア部の製造装置の一例の説明図であり、図7Aは第2の台座部が上昇した状態の説明図、図7Bは折り曲げ途中の状態の説明図、図7Cは折り曲げ完了の状態の説明図である。
次に、コア部形成工程において、図6B図6Cに示すように、開口42が形成された基材41に対して、天面部12と立壁部13との境界線43を山折し、且つ、底面部11と立壁部13との境界線44を谷折りしてコア部2を形成する。
図7Aにおいて、実施例1のコア製造装置61は、下側(一方側、一面側の一例)の第1の台座部62と、上側(他方側、他面側の一例)の第2の台座部63とを有する。実施例1では、第1の台座部62は固定の台座部で構成されており、第2の台座部63が上下方向に昇降可能、すなわち、第2の台座部63が第1の台座部62に接近、離間する方向に移動可能に構成されている。なお、実施例1では、第2の台座部63が移動する構成を例示したが、これに限定されない。第1の台座部62が移動し且つ第2の台座部63が固定の構成としたり、第1の台座部62および第2の台座部63の両方が移動可能な構成とすることも可能である。すなわち、第1の台座部62と第2の台座部63とが相対的に接近、離間可能な任意の構成とすることが可能である。
【0025】
第1の台座部62の上面には、基材41の天面部12の位置に対応して、第1の天面保持部66が配置されている。第1の天面保持部66は、四角柱状の成形ブロックで構成されており、第1の台座部62に対して、X方向およびY方向に沿って移動可能に支持されている。
また、第1の台座部62の上面には、基材41の底面部11の位置に対応して、第1の移動保持部67が支持されている。第1の移動保持部67は第1の台座部62に対して、X方向およびY方向に沿って移動可能に支持されている。
第1の移動保持部67には、第1の底面保持部68が上下方向(Z方向)に沿って移動可能に支持されている。第1の底面保持部68は、四角柱状の成形ブロックで構成されており、立壁部13の長さ(高さ)に対応する距離、上下方向に沿って移動可能に構成されている。
【0026】
第1の移動保持部67と第1の底面保持部68との間には、第1の底面保持部68を上方に付勢する第1の付勢部材の一例としての第1のコイルスプリング69が装着されている。
第1の天面保持部66と第1の底面保持部68との間は、第1のリンク70で連結されている。第1のリンク70は、立壁部13の長さ(高さ)に対応する長さに設定されている。第1のリンク70は、いわゆる平行リンクで構成されており、図7A図7Cに示すように、第1の底面保持部68が上方に移動すると、第1の天面保持部66と第1の底面保持部68とが離れるようにガイドし、第1の底面保持部68が下方に移動すると、第1の天面保持部66と第1の底面保持部68とが近づくようにガイドする。
【0027】
第2の台座部63の下面には、基材41の天面部12の位置に対応して、第1の移動保持部67と同様に構成された第2の移動保持部71が支持されている。第2の移動保持部71は第2の台座部63に対して、X方向およびY方向に沿って移動可能に支持されている。
第2の移動保持部71には、第2の天面保持部72が上下方向(Z方向)に沿って移動可能に支持されている。第2の天面保持部72は、第1の底面保持部68と同様に、四角柱状の成形ブロックで構成されており、立壁部13の長さ(高さ)に対応する距離、上下方向に沿って移動可能に構成されている。
第2の移動保持部71と第2の天面保持部72との間には、第2の天面保持部72を下方に付勢する第2の付勢部材の一例としての第2のコイルスプリング73が装着されている。
【0028】
第2の台座部63の下面には、基材41の底面部11の位置に対応して、第2の底面保持部74が配置されている。第2の底面保持部74は、四角柱状の成形ブロックで構成されており、第2の台座部63に対して、X方向およびY方向に沿って移動可能に支持されている。
第2の天面保持部72と第2の底面保持部74との間は、第2のリンク75で連結されている。第2のリンク75は、第1のリンク70と同様に、立壁部13の長さ(高さ)に対応する長さを有する平行リンクで構成されており、第2の底面保持部74が上方に移動すると、第2の天面保持部72と第2の底面保持部74とが離れるようにガイドし、第2の底面保持部74が下方に移動すると、第2の天面保持部72と第2の底面保持部74とが近づくようにガイドする。
【0029】
図8図7に示す底面保持部や天面保持部が繰り返し接続された構成の要部説明図である。
なお、図7には、1組の底面部11と天面部12に対応して、天面保持部66,72と底面保持部68,74を1組ずつしか図示していないが、実際には、図8に示すように、基材41の大きさに応じて、天面部12と底面部11の数に対応する数だけ、天面保持部66,72と底面保持部68,74とが設置され、各天面保持部66,72と各底面保持部68,74とがリンク70,75で連結されている。
【0030】
図7A図7Cにおいて、第2の台座部63が上昇している状態では、各コイルスプリング69,73の力で第1の底面保持部68が上昇し且つ第2の天面保持部72が下降した状態となり、第1の天面保持部66と第1の底面保持部68とが離れると共に、第2の天面保持部72と第2の底面保持部74との間も離れる。第2の台座部63が下降して、各コイルスプリング69,73が縮み、第1の底面保持部68が下降し且つ第2の天面保持部72が上昇すると、第1の天面保持部66と第1の底面保持部68とが近づくと共に、第2の天面保持部72と第2の底面保持部74とが近づく。
したがって、第1の天面保持部66と第2の天面保持部72との間で基材41の天面部12を挟み、且つ、第1の底面保持部68と第2の底面保持部74との間で基材41の底面部11を挟んだ状態で、第2の台座部63を下降させることで、図7Aの状態から図7Bの状態を経て、図7Cの状態となり、図6Aに示す基材41から図6Cに示すコア部2が作成される。
コア部2の加工後に、台座部62,63どうしが離間する方向に移動して、完成したコア部2が取り出される。台座部62,63どうしが離間する方向に移動する際に、コイルスプリング69,73の弾性復元で各保持部66~68,71~74どうしが離れる方向(面方向)に広がろうとして、コア部2の立壁部13が押されるが、コア部2の材料強度に対して、コイルスプリング69,73の弾性係数(弾性復元力)が十分弱く設定されており、成形されたコア部2の形状への影響はほとんどない(無視できる)。
前記符号62~75を付した各部により、実施例1のコア製造装置61が構成されている。
【0031】
したがって、コア製造装置61を使用することで、基材41が手や万力等で加工しづらい材料であっても、労力や時間を削減でき、効率的にコア部2を製造することが可能である。なお、加工しづらい材料としては、例えば、アルミニウムやステンレス、鉄(鋼板)、銅等の金属材料、PET(ポリエチレンテレフタレート)やカーボンシート、繊維強化プラスチック(FRP)、アセチルセルロース等の樹脂(プラスチック)材料が挙げられる。
【0032】
図6C図6Dにおいて、コア部形成工程で作成されたコア部2に対して、接合工程において、板3,4をリベット21,22で接合して、コアパネル1が作成される。
なお、湾曲したコアパネル1′を作成する場合は、図2Aにおいてコア部形成工程で作成されたコア部2に対して、板3,4をリベット21,22で接合する前に、切欠き部31,32をレーザー加工等で切り取る切欠き工程を行い、切欠き部31,32の両側を接合された状態として、湾曲した板3′,4′をリベット21,22で接合することが可能である。なお、切欠き部31,32の両側の接合は、溶接や糊や接着剤等を使用して完全に接合することが好ましいが、接着テープ等で仮止めした状態とすることも可能であるし、仮止めもせずにコア部2′を湾曲した状態で保持して切欠き部31,32の両側が接触しただけの状態とすることも可能である。すなわち、実施例1では、板3′,4′をリベット21,22で接合すれば、例えば、仮止めした部分が外れても問題は少ないため、完全な接合とすることが強度上は望ましいが、必須ではない。
【0033】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のコアパネル1,1′は、六角筒を要素とする従来のハニカムコアパネルに対して、六面体を要素としており、板3,4,3′,4′に対して、底面部11と天面部12が対面している。したがって、六角筒の筒壁の厚み分しか接着面積のないハニカムコアパネルに比べて、実施例1では、固定のための接触面積を確保することが容易である。したがって、底面部11と天面部12を使用して、板3,4,3′,4′を強固に固定することが可能である。したがって、実施例1のコアパネル1,1′は、狭い接触面積で接着剤を使用して接合する従来のハニカムコアパネルに比べて、使用時に熱や振動があってもコア部2,2′と板3,4,3′,4′とが外れにくく、熱や振動に対して強くすることが可能である。
【0034】
(実験例1)
図9は実験例1の説明図であり、3点曲げ試験の説明図である。
実験例1では、実施例1のコアパネル1の強度を確認する実験を行った。実験例1では、基材41としてアルミニウム製の板材を使用した。板厚は0.8mmであり、基材41の大きさは横450mm×縦300mmのものを使用した。開口42は一辺30mmの正方形状とした。板3,4は、アルミニウム製の板材を使用し、板厚は0.8mm、大きさは横265mm×縦200mmのものを使用した。板3,4とコア部2とは、接着剤で底面部11および天面部12と接着した後に、リベット21,22で固定した。
図9において、コアパネル1の下面の幅方向(横方向)両端部の2カ所と、上面の幅方向中央部の1カ所に、縦方向に延び且つ板3,4に線接触する治具101~103を配置した。そして、上面側の治具103に対して上方から荷重をかけて、コアパネル1の3点曲げ試験の荷重-変位曲線を測定した。
図10に実験結果を示す。
【0035】
図10は実験例1の実験結果の説明図であり、横軸に変位を取り、縦軸に荷重を取ったグラフである。
図10において、治具103とコアパネル1との横滑りで減点からa点まで、やや低い荷重が続く現象が観測された。
a点を過ぎると、a点-b点間ではグラフが直線状となり、この間の弾性係数は560[N/mm]であり、その線形弾性変形の限界荷重値は約4200[N]であった。
b点-c点間では荷重-変位曲線が湾曲して非線形の関係となった。曲げ変形に対する抵抗力はゆっくり変化しながら最大荷重点cまで続き、最大荷重値は5312[N]であった。
最大荷重点cを超えるとコア部2に局部的な座屈変形が発生し、荷重は徐々に下がりながら変形を続けた。
【0036】
(実験例2)
実験例2では、実験例1のコアパネル1において、板3,4とコア部2とを接着剤で固定せず、リベット21,22のみで固定して、実験例1と同様の実験を行った。
図11に実験結果を示す。
【0037】
図11は実験例2の実験結果の説明図であり、横軸に変位を取り、縦軸に荷重を取ったグラフである。
図11において、実験例1ではa点-b点間の弾性係数が560[N/mm]であったのに対し、実験例2では、同じ区間の弾性係数が525[N/mm]となり、約6.25%小さくなった。また、弾性限界荷重は、実験例1では約4200[N]であったのに対して、実験例2では2258[N]となり、約42.24%小さくなった。
弾性限界荷重を越えた後、実験例2では、リベット21,22の固定部分に応力集中により壊れる現象が現れ、荷重-変位曲線で荷重値が、実験例1に比べて、一段と急落した。
最大荷重値は、実験例1では5312[N]であったのに対し、実験例2では3082[N]となり、約41.98%小さくなった。
したがって、実験例1,2から、板3,4とコア部2との固定は、リベット21,22のみでも可能であるが、接着剤も併用する方が、より好ましいことが確認された。
【0038】
(実験例3)
図12は従来のハニカムコアパネルと実施例1のコアパネルとを比較した説明図であり、図12Aはハニカムコアパネルの要部斜視図、図12Bはハニカムコアの平面図、図12C図12BのXIIC-XIIC断面でのハニカムの一要素の長さ関係の説明図、図12Dは実施例1のコアパネルの要部斜視図、図12E図12Dのコア部の平面図、図12F図12EのXIIF-XIIF断面での六面体の一要素の長さ関係の説明図である。
実験例3では、従来のハニカムコアパネル01と実施例1のコアパネル1との比較を行った。
図12A図12Cにおいて、ハニカムコアパネル01は、六角筒(ハニカム)状の要素が充填されたハニカムコア部02と、上下の平板03,04を有する。図12B図12Eにおいて、ハニカムコアパネル01と実施例1のコア部2とにおいて、同数(図12では「6つ」)の壁(立壁部13)を横切る断面を等価断面と見なす。そして、要素(図12A図12Cでは六角筒、図12D図12Fでは六面体)の1つの幅をb、コアパネル1,01の高さをh、ハニカムコアパネル01の平板03,04の厚さをt、要素の数をn(図12では、n=6)とする。壁(立壁部13)の厚さは全体ではn×tとなる。ハニカムコアパネル01とコアパネル1とで、高さhを揃えたところ、コアパネル1の板3,4の厚さは、ハニカムコアパネル01の平板03,04の厚さtに対して、1.5倍(=1.5t)となった。
図12A図12Cのハニカムコアパネル01の曲げ剛性に関連する断面二次モーメントIは以下の式(3)となり、図12D図12Fのコアパネル1の断面二次モーメントIは、以下の式(4)となる。
={bh-(b-nt)(h-2t)}/12 …式(3)
={bh-(b-nt)(h-3t)}/12 …式(4)
【0039】
図13は実験例3の説明図である。
実験例3では、実験例1と同様のコアパネル1に対して、有限要素法(FEM、Finite Element Method)を使用してシミュレーション解析を行った。実験例3の有限要素解析では、ハニカムコアパネル01およびコアパネル1において、アルミニウムA5052、ヤング率72[MPa]、ポアソン比0.33、板厚t=0.8mm、有限要素法のメッシュの平均辺長=5mmとした。実験例3では、各コアパネル1,01において、上側の板3,03の全体に荷重をかけた場合に、たわみの大きさが最大となる部分を導出した。
実験結果を図14に示す。
【0040】
図14は実験例3の実験結果の説明図であり、図14Aは実施例1のコアパネルの実験結果、図14Bは従来のハニカムコアパネルの実験結果の説明図である。
図14において、実施例1のコアパネル1では図14Aに示すように最大の変位が0.025[mm]であったのに対し、従来のハニカムコアパネル01では図14Bに示すように最大の変位が0.036[mm]であった。I0/I1の比率は計算値が0.694となり、この計算値とFEM解析で得られた最大たわみとの比率が一致した。したがって、仮定した式がFEM解析から裏付けられたといえる。
【0041】
なお、式(3)、式(4)において、(b-nt)>0、(h-3t)>(h-2t)>0、から、I0<I1であることがわかり、実施例1のコアパネル1の方が、従来のハニカムコアパネル01に比べて、強い曲げ剛性があることがわかる。
ここで、最大変位(最大たわみ)の実験結果から、外部荷重P1は、等分布荷重q1を1000[N/m]とし、パネル面積A1を900mm×900mmとした場合、以下の式(5)のように計算できる。
P1 =q1・A1 =1000×0.9×0.9 =810[N] …式(5)
よって、実施例1のコアパネル1の曲げ剛性Kと従来のハニカムコアパネル01の曲げ剛性Kは、最大変位をそれぞれW,Wとした場合に、それぞれ次の式(6)、式(7)で評価できる。
=P1/W=810/0.025 =32400[N/m] …式(6)
=P1/W=810/0.036 =22500[N/m] …式(7)
【0042】
一方、FEM解析モデルから計算した材料体積値とアルミ板の密度2700kg/mを利用して、実施例1のコアパネル1の重量m=9.72[kg]と、ハニカムコアパネル01の重量m=7.83kgが得られた。
なお、実施例1のコアパネル1の材料体積Vとハニカムコアパネル01の材料体積Vは、以下の式(8)、式(9)で計算可能である。
=b[bh-(b-nt)(h-2t)+(n-1)(h-2t)] …式(8)
=b[bh-(b-nt)(h-3t)+(n-1)(h-3t)] …式(9)
【0043】
コアパネル1の重量当たりの曲げ剛性K′と、ハニカムコアパネル01の重量当たりの曲げ剛性K′は、次の式(10)、式(11)で評価できる。
=K/m=32400/9.72 =3333.3[N/kgm] …式(10)
=K/m=22500/7.83 =2873.6[N/kgm] …式(11)
式(10)、式(11)から、実施例1のコアパネル1は、ハニカムコアパネル01に比べて、重量当たりの曲げ剛性が、16%(=3333.3/2873.6≒1.16)増加することが分かった。
実験例3から、実施例1のコアパネル1は、従来のハニカムコアパネル01に比べて、最大変位が小さく、強度、剛性が高いことが確認された。また、仮定した式がFEM解析から裏付けられたことで、式(3)、式(4)から、実施例1のコアパネル1の剛性(断面二次モーメント)の方が、従来のハニカムコアパネル01に比べて高くなることが確認された。すなわち、従来のハニカムコアパネル01に対して、同じ剛性であれば板厚tを薄くすることが可能、すなわち軽量化したり、全体の厚さを薄くしたりすることもでき、重量当たりでの剛性が高いことが確認された。
【0044】
図15はハニカムコアパネルに対する実施例1のコアパネルの断面二次モーメントの増加率と、ハニカムコアパネルに対する実施例1のコアパネルの材料体積の増加率とを示すグラフである。
式(3)、式(4)、式(8)、式(9)に基づいて、ハニカムコアパネル01に対する実施例1のコアパネル1の断面二次モーメントの増加率と、ハニカムコアパネル01に対する実施例1のコアパネル1の材料体積の増加率とを計算した。
計算結果を図15に示す。なお、横軸は、パネル幅bと厚さhの比h/bを取り、縦軸に増加率を取った。板厚は1.0mmとし、ハニカムコアパネル01のコア数とコアパネル1のコア数を同数とした。
【0045】
図15から、ハニカムコアパネル01から実施例1のコアパネル1に変える場合、パネル幅bと厚さhとの比h/bが大きくなる(パネルが相対的に薄く(扁平に)なる)に伴い、断面二次モーメントの増加率(図15の実線参照)と体積の増加率(図15の破線参照)はほぼ線形的な分布となり、断面二次モーメントの増加率は体積の増加率より高いことが示されている。すなわち、ハニカムパネル01の代わりに、実施例1のコアパネル1を使う場合、断面二次モーメントの増加は、材料体積の増加より大きいことがわかる。
【0046】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、固定部材としてリベット21,22を例示したが、これに限定されない。例えば、固定部材の一例としてのボルトや木ネジ、接着剤等を使用することも可能である。また、コア部2,2’と板3,4,3′,4′とを接合する方法として、材料に応じて、ロウ付けやレーザー溶接、スポット溶接等を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1,1′…コアパネル、
2,2′…コア部、
3,3′…第1の板、
4,4′…第2の板、
11…底面部、
12…天面部、
13…立壁部、
21,22…固定部材、
31,32…切り欠かれた部分、
41…基材、
42…開口、
62…第1の台座部、
63…第2の台座部、
66…第1の天面保持部、
67…第1の移動保持部、
68…第1の底面保持部、
69…第1の付勢部材、
70…第1のリンク、
71…第2の移動保持部、
72…第2の天面保持部、
73…第2の付勢部材、
74…第2の底面保持部、
75…第2のリンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15