(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067181
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】化粧シートおよび化粧板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20240510BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240510BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20240510BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20240510BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/20 Z
E04F13/08 G
E04F13/07 B
E04F15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177047
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】田島 春佳
(72)【発明者】
【氏名】太田 新
(72)【発明者】
【氏名】高田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隼人
【テーマコード(参考)】
2E110
2E220
4F100
【Fターム(参考)】
2E110AA57
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(57)【要約】
【課題】意匠性および塗工適性に優れた化粧板と、該化粧板に用いられる化粧シートを提供する。
【解決手段】化粧シート10は、シート基材1と、前記シート基材1の上側UPに設けられた絵柄模様層2と、前記絵柄模様層2の前記上側UPに設けられた第一表面保護層3と、前記第一表面保護層3の前記上側UPに部分的に設けられ、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーで形成された粒子部5を含み、前記粒子部5によって表面に凹凸形状が形成された第二表面保護層4と、を備え、前記粒子部5は、前記上側UPからの平面視における前記第二表面保護層4に対する面積比が5%以上70%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート基材と、
前記シート基材の上側に設けられた絵柄模様層と、
前記絵柄模様層の前記上側に設けられた第一表面保護層と、
前記第一表面保護層の前記上側に部分的に設けられ、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーで形成された粒子部を含み、前記粒子部によって表面に凹凸形状が形成された第二表面保護層と、
を備え、
前記粒子部は、前記上側からの平面視における前記第二表面保護層に対する面積比が5%以上70%以下である、
化粧シート。
【請求項2】
前記粒子部は、前記上側からの前記平面視における前記第二表面保護層に対する前記面積比が18%以上48%以下である、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記第二表面保護層は、前記第一表面保護層と異なる光沢を有する、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記第二表面保護層は、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂を含む、
請求項3に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記粒子部は、平均粒径が15μm以上200μm以下である、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記粒子部は、アクリル樹脂ビーズで形成されている、
請求項5に記載の化粧シート。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の化粧シートと、
前記化粧シートの下側に設けられた基板と、
を備える、
化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートおよび化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
家具や住宅用建材の表面材として用いられる化粧シートは、エンボス加工等により表面に凹凸形状を形成されることで、視覚的な立体感および触感による立体感を付与される。例えば、木目柄の化粧シートにおいて、化粧シートの表面にエンボス加工等を施して木目柄の導管部分と同調した凹凸形状を形成することで、視覚的な立体感および触感による立体感を付与したより天然木材の見た目に近い木目柄の化粧シートを提供することができる。
【0003】
立体感を有する化粧シートとして、特許文献1に記載のある化粧シートがある。特許文献1に記載のある化粧シートは、絵柄模様層と、絵柄模様層上に形成された第1の表面保護層と、第1の表面保護層上に部分的に形成された第2の表面保護層と、第2の表面保護層の厚みの4倍以上の厚みを有し、第2の表面保護層上に部分的に形成された第3の表面保護層とを備える。その結果、特許文献1に記載のある化粧シートは、第2の表面保護層と第3の表面保護層とに高低差が設けられているため、視覚的な立体感および触感による立体感を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の化粧シートは、第2の表面保護層と第3の表面保護層との光沢差によって第2の表面保護層と第3の表面保護層との境目が目立つため、意匠性が劣る虞がある。また、表面保護層を3層形成する必要があり、表面保護層の印刷に用いるグラビア版が3版必要であるため、印刷コストが増加して塗工適性が劣る虞がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、意匠性および塗工適性に優れた化粧板と、該化粧板に用いられる化粧シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の化粧シートは、シート基材と、前記シート基材の上側に設けられた絵柄模様層と、前記絵柄模様層の前記上側に設けられた第一表面保護層と、前記第一表面保護層の前記上側に部分的に設けられ、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーで形成された粒子部を含み、前記粒子部によって表面に凹凸形状が形成された第二表面保護層と、を備え、前記粒子部は、前記上側からの平面視における前記第二表面保護層に対する面積比が5%以上70%以下である。
【0008】
上記化粧シートでは、前記粒子部は、前記上側からの前記平面視における前記第二表面保護層に対する前記面積比が18%以上48%以下であってもよい。
【0009】
上記化粧シートでは、前記第二表面保護層は、前記第一表面保護層と異なる光沢を有してもよい。
【0010】
上記化粧シートでは、前記第二表面保護層は、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂を含んでもよい。
【0011】
上記化粧シートでは、前記粒子部は、平均粒径が15μm以上200μm以下であってもよい。
【0012】
上記化粧シートでは、前記粒子部は、アクリル樹脂ビーズで形成されていてもよい。
【0013】
本発明の化粧板は、上記に記載のいずれかの化粧シートと、前記化粧シートの下側に設けられた基板と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化粧シートおよび化粧板によれば、意匠性および塗工適性に優れた化粧板と、該化粧板に用いられる化粧シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る化粧板を模式的に示す断面図である。
【
図2】変形例1-2に係る化粧板を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る化粧板100を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、
図1に示すように、化粧板100の厚さ方向を「上下方向V」、化粧板100の基板20が設けられた側を上下方向Vにおける「下側LO」、下側LOと反対側を上下方向Vにおける「上側UP」と定義する。
【0018】
化粧板100は、化粧シート10と基板20とを備える。
基板20は、化粧シート10の下側LOに設けられている。基板20としては、パーチクルボード又は中密度繊維板(MDF)等を採用できる。また、基板20として、アルミニウム又はステンレス等の金属系の板状の部材、ポリエチレン等の樹脂からなる芯材の両側にアルミニウム等の金属を貼り付けた複合板を採用してもよい。
【0019】
化粧シート10は、シート基材1と、絵柄模様層2と、第一表面保護層3と、第二表面保護層4とを備える。
シート基材1は、化粧シート10の下側LOに設けられた層である。シート基材1は、印刷を施すことができる公知の材質からなるシート状の層である。シート基材1として、薄葉紙又はチタン紙等の繊維質シートを採用できる。また、シート基材1として、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル等の樹脂シートを採用してもよい。
【0020】
絵柄模様層2は、シート基材1の上側UPに設けられた層である。絵柄模様層2は、例えば、木目、石目又は砂目等の絵柄の印刷をシート基材1の上側UPに施すことで形成されている。絵柄模様層2の印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。絵柄模様層2には、採用する印刷方法に適した公知の印刷インキを採用できる。
【0021】
第一表面保護層3は、絵柄模様層2の上側UPに設けられた層である。第一表面保護層3には、絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。第一表面保護層3として、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂又はアクリル系樹脂等の電離放射硬化性樹脂等を採用できる。
【0022】
第一表面保護層3を積層する方法として、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。また、第一表面保護層3は、公知のコーティング装置を用いて積層されてもよい。
【0023】
第二表面保護層4は、第一表面保護層3の上側UPに部分的に設けられた層である。第二表面保護層4には、第一表面保護層3を通して絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。第二表面保護層4として、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂又はアクリル系樹脂等の電離放射硬化性樹脂等を採用できる。
【0024】
第二表面保護層4は、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーで形成された粒子部5を含む。粒子部5には、第一表面保護層3および第二表面保護層4を通して絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。粒子部5として、透明度が高いアクリル樹脂ビーズを採用するのが望ましい。
【0025】
第二表面保護層4は、第二表面保護層4を形成する熱硬化型樹脂等の印刷樹脂に、アクリル樹脂ビーズ等で形成された粒子部5が含まれている。第二表面保護層4を第一表面保護層3の上側UPに塗工したとき、第一表面保護層3の上側UPの面には、
図1に示すように、第二表面保護層4を形成する印刷樹脂のみで形成された一般部4aと、粒子部5が配置された部位とが形成されている。粒子部5が配置された部位の上下方向Vにおける厚さ(高さ)は、粒子部5の粒径によって、一般部4aよりも厚くなっている。
【0026】
一般部4aは、例えば、0.5μm以上13μm以下の塗膜厚さを有し、第一表面保護層3の上側UPにほぼ一定の塗膜厚さで積層されている。また、粒子部5は、平均粒径が15μm以上200μm以下であるのが望ましく、粒子部5が一般部4aの塗膜厚さより大きい粒径を有することで、第二表面保護層4における粒子部5が配置された部位の厚さは、一般部4aの厚さより大きい。その結果、第二表面保護層4の表面には、凹凸形状が形成される。そのため、化粧シート10の表面にエンボス加工等を施さなくても粒子部5によって凹凸形状を形成でき、化粧シート10は視覚的な立体感および触感による立体感を有することができる。
【0027】
第二表面保護層4を積層する方法としては、グラビア印刷等の凹版印刷を採用できる。例えば、グラビア印刷に用いるグラビア版の印刷樹脂を流し込む溝において、粒子部5の粒径よりも深さが深い溝には印刷樹脂および粒子部5が流れ込み、粒子部5の粒径よりも深さが浅い溝には粒子部5が流れ込まずに印刷樹脂のみが流れ込む。その結果、第二表面保護層4には、粒子部5が配置される部分と配置されない部分とが形成され、粒子部5の粒径によって第二表面保護層4の表面に凹凸形状が形成される。
【0028】
ここで、粒子部5は、上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する面積比が5%以上70%以下である。粒子部5の第二表面保護層4に対する面積比が5%未満であると、第二表面保護層4が塗工された面積に対して粒子部5により形成される凹凸形状の範囲(面積)が少なく、触感による立体感が劣る。また、粒子部5の面積比が70%より大きいと、第二表面保護層4の塗工面積に対して粒子部5が占める割合が大きいために粒子部5によって形成される凹凸形状が目立たず、視覚的な立体感が劣る。
【0029】
また、粒子部5は、上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する面積比が18%以上48%以下であるのが望ましい。粒子部5の第二表面保護層4に対する面積比を18%以上とすることで、化粧シート10は、十分な範囲(面積)の凹凸形状を有し、より優れた触感による立体感を有することができる。また、粒子部5の面積比を48%以下とすることで、第二表面保護層4の塗工面積に対して粒子部5が占める割合が大きくなり過ぎずに凹凸形状が十分に目立つため、化粧シート10は、より優れた視覚的な立体感を有することができる。
【0030】
また、第一表面保護層3と第二表面保護層4とは、異なる光沢を有するのが望ましい。第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢の差を付与する方法として、第一表面保護層3又は第二表面保護層4に艶消材を添加する方法がある。例えば、第一表面保護層3に艶消材を添加し、第二表面保護層4に艶消材を添加しない場合、第二表面保護層4は、第一表面保護層3よりも高い光沢を有する。第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢に差を付与できる程度に、第一表面保護層3と第二表面保護層4とに異なる添加量の艶消材を添加してもよい。第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢の差によって、人間の目の錯覚を利用して視覚的に立体感を感じさせることができ、化粧シート10における視覚的な立体感をより強調させることができる。
【0031】
また、第二表面保護層4は、絵柄模様層2と同調した位置に形成されるのが望ましい。例えば、絵柄模様層2が木目柄を有する場合、木目柄の導管部分と同調した位置に第二表面保護層4を形成した場合、第二表面保護層4は第一表面保護層3の上側UPに部分的に設けられているため、第二表面保護層4の上下方向Vにおける厚さによって視覚的な立体感および触感による立体感を導管部分に付与できる。また、第一表面保護層3と第二表面保護層4とが光沢の差を有する場合、第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢の差によって、導管部分における視覚的な立体感をより強調できる。
【0032】
また、第二表面保護層4の粒子部5は、絵柄模様層2と同調した位置に形成されるのが望ましい。例えば、絵柄模様層2が木目柄を有する場合、木目柄の導管部分と同調した位置に粒子部5を形成することで、粒子部5が配置された部位と、粒子部5が配置されていない一般部4aとの上下方向Vにおける厚さの差(凹凸形状)によって、導管部分における視覚的な立体感および触感による立体感をより強調できる。視覚的な立体感および触感による立体感を組み合わせることで、導管部分の立体感がより強調され、より天然木材の見た目に近い木目柄の化粧シート10を提供することができる。
【0033】
本実施形態の化粧シート10および化粧板100によれば、第二表面保護層4が第一表面保護層3の上側UPに部分的に設けられているため、化粧シート10および化粧板100は、視覚的な立体感および触感による立体感を有する。また、第二表面保護層4は、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーで形成された粒子部を含むため、粒子部5が配置された部位と、粒子部5が配置されない一般部4aとで上下方向Vにおける厚さの差が生じ、第二表面保護層4の表面に凹凸形状が形成されている。第二表面保護層4の表面に形成された凹凸形状によって視覚的な立体感および触感による立体感がより強調されるため、化粧シート10および化粧板100は、優れた視覚的な立体感および触感による立体感を有する。すなわち、化粧シート10および化粧板100は、第一表面保護層3および第二表面保護層4の二つの層によって優れた視覚的な立体感および触感による立体感を提供でき、塗工適性に優れる。
【0034】
また、化粧シート10および化粧板100に視覚的な立体感と触感による立体感を付与する凹凸形状は第二表面保護層4の一般部4aおよび粒子部5によって形成されている。すなわち、凹凸形状は第二表面保護層4のみで形成されているため、第二表面保護層4において、凹凸形状を形成する一般部4aと、粒子部5が配置された一般部4aより厚い部分との境目が目立ちにくい。さらに、粒子部5は、上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する面積比が5%以上70%以下であるため、化粧シート10および化粧板100は、より優れた視覚的な立体感および触感による立体感を有する。その結果、意匠性および塗工適性に優れた、化粧板100と、化粧板100に用いられる化粧シート10とを提供することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0036】
(変形例1)
上記実施形態において、化粧シート10は、シート基材1と絵柄模様層2と第一表面保護層3と第二表面保護層4とを備えるが、化粧シートの態様はこれに限定されない。例えば、
図2に示すように、化粧シートは、導管インキ層2a等の層を備えていてもよい。絵柄模様層2の上側UPに導管インキ層2aを形成することで、視覚的に立体感を付与することができる。このとき、導管インキ層2aと同調した位置に粒子部5を配置することで、より立体感を強調することができる。
【0037】
(変形例2)
上記実施形態において、シート基材1は、繊維質シート又は樹脂シート等の単層シートであるが、シート基材の態様はこれに限定されない。例えば、
図2に示すように、シート基材1Aは、上側紙基材1aと下側紙基材1bとで樹脂層1cを挟んだ複合シートでもよい。例えば、繊維質シートからなる上側紙基材1aおよび下側紙基材1bとの間に、水蒸気を透過しない樹脂層1cを挟むことで、シート基材1Aに防湿性を付与することができる。
【0038】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
シート基材1として、化粧紙用原紙(KJ特殊紙株式会社製のGF610)を準備した。ウレタンインキ(東洋インキ株式会社製のPCNT)を用いて、シート基材1の上側UPにグラビア印刷により絵柄模様層2を形成した。熱硬化型樹脂(DICグラフィックス株式会社製のG125HV)を用いて、絵柄模様層2の上側UPにグラビア印刷により第一表面保護層3を形成した。粒子部5として平均粒径が15μm以上200μm以下のアクリル樹脂ビーズ(東洋紡績株式会社製のAR650MX)を用いて、第一表面保護層3の上側UPに粒子部5を含む第二表面保護層4をグラビア印刷により形成した。第二表面保護層4には熱硬化型樹脂(DICグラフィックス株式会社製のG125HV)を用いた。
【0040】
また、第二表面保護層4において、上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する粒子部5の面積比を5%とした。こうして、実施例1の化粧シート10を形成した。
【0041】
ここで、第二表面保護層4に対する粒子部5の面積比(平均面積比率)は、レーザ顕微鏡(オリンパス株式会社製のLEXT)を用いて第二表面保護層4における上側UPからの平面視を撮影し、撮影した画像における第二表面保護層4の面積に対する粒子部5の面積の比率を計測した値である。
【0042】
(実施例2)
上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する粒子部5の面積比を17.8%とした以外は実施例1と同様の方法により実施例2の化粧シート10を形成した。
【0043】
(実施例3)
上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する粒子部5の面積比を48.6%とした以外は実施例1と同様の方法により実施例3の化粧シート10を形成した。
【0044】
(実施例4)
上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する粒子部5の面積比を70%とした以外は実施例1と同様の方法により実施例4の化粧シート10を形成した。
【0045】
(比較例1)
上側からの平面視における第二表面保護層に対する粒子部の面積比を2.3%とした以外は実施例1と同様の方法により比較例1の化粧シートを形成した。
【0046】
(比較例2)
上側からの平面視における第二表面保護層に対する粒子部の面積比を82.1%とした以外は実施例1と同様の方法により比較例2の化粧シートを形成した。
【0047】
(実験1)
実施例1-4および比較例1-2の化粧シートに触感評価試験を実施した。触感評価試験では、10人の試験員で化粧シートの第二表面保護層の触感の官能試験を実施し、触感の程度について評価した。
評価基準は4段階とし、評価3以上を合格とした。
4:手触り感が良いと評価した人が9人以上10人以下である。
3:手触り感が良いと評価した人が7人以上8人以下である。
2:手触り感が良いと評価した人が1人以上6人以下である。
1:手触り感が良いと評価した人が0人である。
【0048】
(実験2)
実施例1-4および比較例1-2の化粧シートに意匠評価試験を実施した。意匠評価試験では、10人の試験員で化粧シートの第一表面保護層および第二表面保護層の意匠の官能試験を実施し、意匠の見た目の程度について評価した。
評価基準は4段階とし、評価3以上を合格とした。
4:意匠の見た目が良いと評価した人が9人以上10人以下である。
3:意匠の見た目が良いと評価した人が7人以上8人以下である。
2:意匠の見た目が良いと評価した人が1人以上6人以下である。
1:意匠の見た目が良いと評価した人が0人である。
【0049】
(実験結果)
実験1-2の結果を表1に示す。上側UPからの平面視における第二表面保護層4に対する粒子部5の面積比(平均面積比率)が5%以上70%以下である実施例1-4の化粧シート10は、実験1および実験2において良好な結果を示した。粒子部5の面積比が18%以上48%以下である実施例2-3の化粧シート10は、実験1および実験2においてより良好な結果を示した。
【0050】
第二表面保護層に対する粒子部の面積比が5%未満であり、実施例1-4および比較例1-2の中で最も小さい値である比較例1は、実験1において不合格であった。また、粒子部の面積比が70%より大きく、実施例1-4および比較例1-2の中で最も大きい値である比較例2は、実験2において不合格であった。
【0051】
【符号の説明】
【0052】
100 化粧板
10 化粧シート
1 シート基材
2 絵柄模様層
3 第一表面保護層
4 第二表面保護層
5 粒子部
20 基板
V 上下方向
UP 上側
LO 下側