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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067223
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】気流測定装置、及び飛翔体
(51)【国際特許分類】
   G01P 5/12 20060101AFI20240510BHJP
   G01P 13/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01P5/12 C
G01P13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177121
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】永渡 実
(72)【発明者】
【氏名】島津 侑宜
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034DA09
(57)【要約】
【課題】気流センサによる計測精度の低下を抑制することが可能な気流測定装置を提供すること。
【解決手段】気流測定装置100は、気流センサ20と、前記気流センサ20を搭載するハウジング101と、前記ハウジング101の内部に形成され、前記気流センサ20へ気体を案内する第1流路110を形成する第1流路部111と、前記第1流路110に気体を案内する第2流路120を形成する直線部を含む第2流路部121と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流センサと、
前記気流センサを搭載するハウジングと、
前記ハウジングの内部に形成され、前記気流センサへ気体を案内する第1流路を形成する第1流路部と、
前記第1流路に気体を案内する第2流路を形成する直線部を含む第2流路部と、を備える気流測定装置。
【請求項2】
前記直線部は、前記気流センサに対して、前記第1流路よりも遠い位置に配置され、水平方向に沿って直線的に延びる一対の壁面を有し、
前記第2流路は、前記一対の壁面間の流路である、請求項1に記載の気流測定装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記気流センサ及び前記第1流路部を収容する円筒体を有し、
前記円筒体の外面には、周方向に連続し、前記第1流路の連通する開口が形成され、
前記直線部は、前記円筒体から径方向外側へ張り出すように形成されている、請求項1に記載の気流測定装置。
【請求項4】
前記直線部は、
リング状を成し、前記ハウジングの中心線が延在する方向に対向する第1板及び第2板を有し、
前記第2流路は、前記第1板と前記第2板との間の流路である、請求項2に記載の気流測定装置。
【請求項5】
前記直線部は、前記ハウジングと別体である、請求項1に記載の気流測定装置。
【請求項6】
前記第1板及び前記第2板は、周方向に複数に分割された第1片及び第2片を有し、
前記第1片の前記ハウジングの径方向に沿う縁部には、前記ハウジングの中心線が延在する方向において、前記第2流路とは反対側に突出する第1リブが形成され、
前記第2片の前記ハウジングの径方向に沿う縁部には、前記ハウジングの中心線が延在する方向において、前記第2流路とは反対側に突出し、前記第1リブに対向する第2リブが形成され、
前記周方向において、前記第1リブと前記第2リブとが接合されている請求項4に記載の気流測定装置。
【請求項7】
前記ハウジングの外周面には、周方向に連続する第1凹凸形状が形成され、
前記第1板及び前記第2板は、前記周方向に複数に分割された第1片及び第2片を有し、
前記第1片及び前記第2片には、前記ハウジングの中心線が延在する方向において前記第2流路とは反対側に突出するリブが形成され、
前記リブの前記ハウジングに対向する面には、前記第1凹凸形状に係合する第2凹凸形状が形成されている請求項4に記載の気流測定装置。
【請求項8】
前記第1板及び前記第2板は、周方向に複数に分割された第1片及び第2片を有し、
前記第1片の前記径方向に沿う端面には、第3凹凸形状が形成され、
前記第2片の前記径方向に沿う端面には、前記第3凹凸形状に係合する第4凹凸形状が形成されている請求項4に記載の気流測定装置。
【請求項9】
前記ハウジングの径方向における前記直線部の長さは、上下方向における前記第2流路の開口幅の4.5倍以上、5.5倍以下である、請求項1に記載の気流測定装置。
【請求項10】
機体と、
前記機体に搭載され前記機体を浮上させる駆動機構と、
前記機体に搭載された気流測定装置と、を備え、
前記気流測定装置は、
気流センサと、
前記気流センサを搭載するハウジングと、
前記ハウジングの内部に形成され、前記気流センサへ気体を案内する第1流路を形成する第1流路部と、
前記第1流路に気体を案内する第2流路を含む直線部を形成する第2流路部と、を備える、飛翔体。
【請求項11】
平面視において前記機体に対して互いに異なる位置に配置された複数の前記駆動機構を備え、
前記駆動機構は、上下方向に延在する回転軸回りに回転する回転翼を有し、
前記気流センサは、平面視において、複数の前記回転翼よりも前記機体の中心に近い位置であり、且つ、複数の回転翼に重ならない位置に配置されている、請求項10に記載の飛翔体。
【請求項12】
前記気流測定装置は、複数の回転翼よりも上方に配置されている、請求項10に記載の飛翔体。
【請求項13】
前記気流測定装置によって検出された検出値が所定の判定閾値を超える場合に、通常運転時と異なる緊急動作を実行する請求項10に記載の飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流測定装置、及び飛翔体に関する。
【背景技術】
【0002】
流体検出には、熱式、カルマン渦式、超音波あるいはドプラー効果を利用したものなど、種々の方式のものがある。流体によって発熱体から奪われる熱量と質量流量との相関を利用する方式は、流体と接するセンサから直接質量流量を計測することができ、簡便である。
【0003】
流体検出装置として、スペーサ(支柱)で隔てられた2つの円形の流体案内板の間に流路を形成し、流路内に配置した検出素子及びで流体を検出する構成が知られている(たとえば、特許文献1参照)。流体の乱れの影響を低減するために流路案内板の互いに向かい合う面を曲面で形成し、流路が絞られた位置に検出素子及びが配置されている。
【0004】
また、流体検出素子のまわりに半径の異なる環状の遠心分離流路を設けて、全方位における流体の速度及び/または方向を測定し、かつ流体中の塵埃が検出部に付着することを抑制する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-95227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術に係る気流測定装置では、ハウジング内の流路に対して斜めの方向から気体が流入することにより、気流センサによる計測精度が低下するおそれがあった。
【0007】
本発明は、気流センサにおける計測精度の低下を抑制することが可能な気流測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る気流測定装置は、気流センサと、前記気流センサを搭載するハウジングと、前記ハウジングの内部に形成され、前記気流センサへ気体を案内する第1流路を形成する第1流路部と、前記第1流路に気体を案内する第2流路を形成する直線部を含む第2流路部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、気流センサにおける計測精度の低下を抑制することが可能な気流測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る気流測定装置を示す斜視図であり、ハウジングの外周面を示す図である。
図2】実施形態に係る気流測定装置を示す概略断面図である。
図3】実施形態に係る気流測定装置を示す斜視図である。
図4】実施形態に係る気流測定装置を示す側面図である。
図5】実施形態に係る気流測定装置を示す分解斜視図である。
図6】第1片及び第2片の接合部を示す側面図である。
図7】実施形態に係る気流測定装置を搭載したドローンの概略側面図である。
図8】実施形態に係る気流測定装置を搭載したドローンを示す平面図である。
図9】実施形態に係るドローンのシステム構成を示すブロック図である。
図10】他の実施形態に係るドローンを示すブロック図である。
図11】ドローンの動作における処理手順を示すフローチャートである。
図12】比較例1に係る気流測定装置による測定結果を示すグラフである。
図13】実施例1に係る気流測定装置による測定結果を示すグラフである。
図14】変形例に係る気流測定装置を搭載したドローンの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る気流測定装置及び飛翔体について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0012】
[実施形態に係る気流測定装置]
図1図5を参照して、実施形態に係る気流測定装置について説明する。図1は、実施形態に係る気流測定装置を示す斜視図であり、ハウジングの外周面を示す図である。図2は、実施形態に係る気流測定装置を示す概略断面図である。図1及び図2は、後述する第2流路部が取り付けられる前の状態を示す図である。
【0013】
気流測定装置100は、例えば、大気中に配置され、空気を内部に取り込み、気流測定装置100の周囲の空気の向き(風向)や速度(風速)を測定することができる。気流測定装置100で測定される気体は、空気に限定されず、特定の成分のガスでもよく、排気ガスでもよく、その他の気体でもよい。
【0014】
図1及び図2に示されるように、気流測定装置100は、筒状のハウジング101を備える。図2に示されるように、気流測定装置100は、気流センサ20と、気流センサ20を搭載するハウジング101と、を備える。ハウジング101は、気流センサ20を収容する。
【0015】
なお、各図において、互いに直交するX軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を図示する場合がある。Z軸方向は、筒状のハウジング101の中心線に沿う方向である。Z軸方向は、例えば上下方向に沿う。X軸方向は、ハウジング101の径方向に沿う。なお、X軸方向、及びZ軸方向はその他の方向でもよい。
【0016】
ハウジング101の内部には、第1流路110が形成されている。第1流路110は、気流センサ20に空気を案内すると共に、気流センサ20の近傍を流れた空気を外部に排出する流路である。ハウジング101は、第1流路110を形成する第1流路部111を備える。ハウジング101をZ軸方向に見た場合、第1流路110は、気流センサ20と中心として放射状に広がる流路でもよい。
【0017】
ハウジング101は、第1の流路板11と、第2の流路板12と、複数の支柱17と、を備える。第1の流路板11と第2の流路板12の間に第1流路110が形成されている。第1の流路板11と第2の流路板12とは、Z軸方向に離れて配置されている。複数の支柱17は、第1の流路板11と第2の流路板12との間で、Z軸方向に延在する。支柱17の一方の端部は、第1の流路板11に接続され、他方の端部は、第2の流路板12に接続されている。複数の支柱17は、ハウジング101の周方向において、所定の間隔で配置されている。
【0018】
気流測定装置100は、円盤状のベースプレート18を備える。ベースプレート18の板厚方向は、Z軸方向に沿う。ベースプレート18の上面に、第1の流路板11が形成されている。第1の流路板11は、ベースプレート18と一体的に形成されていてもよいし、ベースプレート18と別体として形成されていてもよい。
【0019】
気流測定装置100は、斜面14を有する。斜面14は、第1の流路板11及び第1の流路板の少なくとも一方に形成されている。第1の流路板11の上面と、第2の流路板12の下面12aとは、互いに対向して配置されている。斜面14は、第1の流路板11の上面に形成されている。斜面14は、第2の流路板12の下面12aに形成されていてもよい。斜面14は、第1の流路板11の上面及び第2の流路板12の下面12aの両方に形成されていてもよい。
【0020】
第2の流路板12の下面12aは、例えば、Z軸方向と直交する面を成す。第1流路110は、傾斜流路15を含む。傾斜流路15は、第2の流路板12の下面12aと、第1の流路板11の斜面14との間の流路を含む。傾斜流路15は、ハウジング101の外部から空気を取り込み、ハウジング101の外部へ排出する。傾斜流路15は、流入路であり、排出路である。気流測定装置100の外部の風向により、流入路又は流出路となる。傾斜流路15のうち、気流センサ20よりも上流は、流入路であり、気流センサ20よりも下流は、流出路である。
【0021】
気流測定装置100は、傾斜流路15に連通する分流路25を有する。また、気流測定装置100は、分流路25内に突出する突起を有する。突起は、分流路25の流路を部分的に狭める。気流センサ20は、傾斜流路15と分流路25とを連通する連通部より高い位置に配置されている。なお、Z軸方向において、ベースプレート18から第2の流路板12に向かう方向を上とし、第2の流路板12からベースプレート18に向かう方向を下とする。
【0022】
突起は、第1の流路板11に設けられた段差またはステージ13の円周に沿って水平方向、または気流センサ20の搭載面と平行な方向に張り出したフランジ13aとして形成されている。
【0023】
ステージ13は、例えば円筒状の段差でもよい。フランジ13aは、ステージ13の上面において、ステージ13の径方向に突出する。フランジ13aは、ステージ13の周方向に連続する。第1の流路板11及び第2の流路板12の平面形状は、例えばステージ13と同軸の円形でもよい。ここでいう平面形状とは、Z軸方向に沿って見た場合の形状でもよい。
【0024】
第2の流路板12には、凹部12bが形成されている。凹部12bは、下面12aから上方へ窪むように形成されている。凹部12bは、Z軸方向において、円形を成すように形成されている。凹部12bは、ステージ13と同軸となるように配置されている。
【0025】
ステージ13の一部は、凹部12bの内部に収容されている。ステージ13の外周面及び上面は、第2の流路板12との間に隙間を形成するように配置されている。
【0026】
斜面14は、Z軸方向に見て、ステージ13の周囲に形成されている。斜面14は、ステージ13の基部から第1の流路板11の外周に向かって延びている。傾斜流路15は、X軸方向において、ステージ13に近い方の幅は、ステージ13から遠い方の幅よりも狭い。ここいう、傾斜流路15の幅は、Z軸方向に沿う幅である。分流路25は、ステージ13と第2の流路板12との間の隙間を含む。
【0027】
気流測定装置100では、フランジ13aが設けられているので、分流路25の内部を流れる空気における乱流の発生を低減できる。これにより、気流センサ20による出力誤差を低減することができる。
【0028】
分流路25は、垂直流路25a及び水平流路25bを含む。垂直流路25aは、Z軸方向に延びる。垂直流路25aは、Z軸方向に見て、ステージ13の外周に沿って連続する。水平流路25bは、ステージ13の上面に沿って形成されている。水平流路25bは、Z軸方向に見て、円形を成すように形成されている。水平流路25bの外周部は、垂直流路25aに連通する。
【0029】
気流測定装置100は、気流センサ20を実装する基板21を備える。気流センサ20は、分流路25の水平流路25bに接するように配置されている。気流センサ20の検知面は、水平流路25bに接する。気流センサ20及び基板21は、第2の流路板12の凹部12bに配置されている。Z軸方向に見て、気流センサ20は、凹部12bの中心に配置されている。
【0030】
水平流路25bは、気流センサ20の検知面に接する検出空間を含む。検出空間は、ステージ13の上面と、第2の流路板12との間の隙間である。
【0031】
次に、気流測定装置100に設けられた第2流路部121について説明する。図3は、実施形態に係る気流測定装置を示す斜視図である。図4は、実施形態に係る気流測定装置を示す側面図である。図5は、実施形態に係る気流測定装置を示す分解斜視図である。
【0032】
図3図5に示されるように、気流測定装置100は、ハウジング101からハウジング101の径方向外側に張り出す第2流路部121を備える。ハウジング101の径方向は、ハウジング101の中心線に交差する方向である。図3図5では、ハウジング101の径方向の一例として、X軸方向が図示されている。第2流路部121は、ハウジング101の円筒体の外周面から径方向外側へ張り出すように形成されている。
【0033】
第2流路部121は、ハウジング101の内部の第1流路110に連通する第2流路120を形成する。第2流路部121は、第2流路120を形成する直線部を含む。第2流路部121は、第1板30及び第2板40を有する。第1板30及び第2板40の板厚方向は、Z軸方向に沿う。第1板30及び第2板40は、Z軸方向に対向する。
【0034】
第1板30の外形は、Z軸方向に見て円形を成すように形成されている。同様に、第2板40の外形は、Z軸方向に見て円形を成すように形成されている。第1板30及び第2板40は、Z軸方向に見てリング状をなす。Z軸方向に見て、第1板30の中央部には、ハウジング101が配置される開口が形成されている。Z軸方向に見て、第2板40の中央部には、ハウジング101が配置される開口が形成されている。
【0035】
図4に示すように、第1板30は、板厚方向に対向する上面30a及び下面30bを有する。第2板40は、板厚方向に対向する上面40a及び下面40bを有する。下面30b及び上面40aは、Z軸方向に対向する。下面30bと上面40aは、Z軸方向に離れて配置されている。下面30bと上面40aとの間の空間は、第2流路120である。下面30b及び上面40aは、水平方向(ハウジング101の径方向)に沿って直線的に延びる一対の平面の一例である。
【0036】
図5に示されるように、第1板30及び第2板40は、ハウジング101と別体である。直線部を含む第2流路部121は、ハウジング101と別体である。なお、第2流路部121は、ハウジング101と一体として形成されていてもよい。
【0037】
第1板30は、ハウジング101の周方向に複数に分割されている。第1板30は、第1片31及び第2片32を有する。第1片31及び第2片32は、ハウジング101の径方向に対向して配置されている。第1片31及び第2片32は、Z軸方向に見て、径方向に所定の幅を有する円弧状に形成されている。
【0038】
同様に、第2板40は、ハウジング101の周方向に複数に分割されている。第2板40は、第1片41及び第2片42を有する。第1片41及び第2片42は、ハウジング101の径方向に対向して配置されている。第1片41及び第2片42は、Z軸方向に見て、径方向に所定の幅を有する円弧状に形成されている。
【0039】
次に、第1片31と第2片32との接合構造について説明する。図6は、第1片及び第2片の接合部を示す側面図である。図3図5及び図6に示すように、第1片31は、リブ33を有し、第2片32は、リブ34を有する。リブ33は、第1リブの一例であり、リブ34は、第2リブの一例である。
【0040】
リブ33,34は、Z軸方向において、第2板40とは反対側に突出する。ハウジング101の径方向は、第1方向及び第2方向を含む。第1方向は、X軸方向に沿う。第2方向は、Y軸方向に沿う。X軸方向及びY軸方向は、互いに交差する。第1方向及び第2方向はその他の方向でもよい。
【0041】
リブ33は、第1片31のY軸方向に沿う縁部に配置されている。リブ34は、第2片32のY軸方向に沿う縁部に配置されている。リブ33,34は、Y軸方向に沿うように形成されている。
【0042】
リブ33,34の板厚方向は、X軸方向に沿う。リブ33とリブ34とは、X軸方向に対向する。X軸方向に対向する一対のリブ33,34は、例えばボルト接合される。これにより、第1片31と第2片32とが接合される。
【0043】
次に、第1片41と第2片42との接合構造について説明する。第1片41と第2片42との接合構造は、第1片31と第2片32との接合構造と同じである。第1片41は、リブ43を有し、第2片42は、リブ44を有する。リブ43は、第1リブの一例であり、リブ44は、第2リブの一例である。
【0044】
リブ43,44は、Z軸方向において、第1板30とは反対側に突出する。リブ43は、第1片41のY軸方向に沿う縁部に配置されている。リブ44は、第2片42のY軸方向に沿う縁部に配置されている。リブ43,44は、Y軸方向に沿うように形成されている。
【0045】
リブ43,44の板厚方向は、X軸方向に沿う。リブ43とリブ44とは、X軸方向に対向する。X軸方向に対向する一対のリブ43,44は、例えばボルト接合される。これにより、第1片41と第2片42とが接合される。
【0046】
次に、ハウジング101と、第1片31及び第2片32との接合構造について説明する。図3及び図5に示されるように、ハウジング101の外周面には、第1凹凸形状51が形成されている。第1凹凸形状51は、例えば凸部である。第1凹凸形状51は、ハウジング101の周方向において全周にわたって形成されている。
【0047】
第1片31には、リブ35が形成され、第2片32には、リブ36が形成されている。リブ35,36は、Z軸方向において、第2板40とは反対側に突出する。リブ35は、ハウジング101の周方向において、リブ33とリブ33との間に配置されている。リブ36は、ハウジング101の周方向において、リブ34とリブ34との間に配置されている。リブ35,36は、例えば、X軸方向に沿うように配置されている。
【0048】
リブ33~36のハウジング101に対向する面には、第2凹凸形状52が形成されている。第2凹凸形状52は、第1凹凸形状51に係合する。第2凹凸形状52は、例えば凹部である。第2凹凸形状52が、第1凹凸形状51に嵌る。図5に示されるように、X軸方向において、第1片31と第2片32との間にハウジング101が配置される。第1片31と第2片32との間にハウジング101を挟み、第1凹凸形状51と第2凹凸形状52とを係合する。この状態で、リブ33,34を接合することにより、第1片31及び第2片32を、ハウジング101に接合することができる。
【0049】
なお、ハウジング101と、第1片41及び第2片42との接合構造については、ハウジング101と、第1片31及び第2片32との接合構造と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0050】
次に、第1板30の第1片31と第2片32との位置決め構造について説明する。図6に示されるように、第1片31のY軸方向に沿う端面には、第3凹凸形状37が形成されている。第3凹凸形状37は、Y軸方向に沿って形成されている。第3凹凸形状37は、例えば凹部である。第2片32のY軸方向に沿う端面には、第4凹凸形状38が形成されている。第4凹凸形状38は、Y軸方向に沿って形成されている。第4凹凸形状38は、X軸方向において、第3凹凸形状37に対向する。第4凹凸形状38は、第3凹凸形状37に係合する。第3凹凸形状37と第4凹凸形状38とを係合させることにより、Z軸方向において、第1板30の下面30b同士を同じ位置に配置することができる。
【0051】
なお、第3凹凸形状37が凸部であり、第4凹凸形状38が凹部でもよい。また、第1片31に設けられた2つの第3凹凸形状37は、一方が凹部であり、他方が凸部でもよい。第4凹凸形状38についても、同様である。
【0052】
次に、第2板40の第1片41と第2片42との位置決め構造について説明する。第2板40第1片41と第2片42との位置決め構造は、第1板30の第1片31と第2片32との位置決め構造と同様である。第1片41のY軸方向に沿う端面には、第3凹凸形状47が形成されている。第3凹凸形状47は、Y軸方向に沿って形成されている。第3凹凸形状47は、例えば凸部である。第2片42のY軸方向に沿う端面には、第4凹凸形状48が形成されている。第4凹凸形状48は、Y軸方向に沿って形成されている。第4凹凸形状48は、X軸方向において、第3凹凸形状47に対向する。第4凹凸形状48は、第3凹凸形状47に係合する。第3凹凸形状47と第4凹凸形状48を係合させることにより、Z軸方向において、第2板40の上面40a同士を同じ位置に配置することができる。
【0053】
なお、第3凹凸形状47が凹部であり、第4凹凸形状48が凸部でもよい。また、第1片41に設けられた2つの第3凹凸形状47は、一方が凸部であり、他方が凹部でもよい。第4凹凸形状48についても、同様である。
【0054】
次に、第2流路部121の直線部の長さL1ついて説明する。第2流路部121の直線部の長さL1は、径方向における直線部の長さである。内周側の端部から外周側の端部までの直線部の長さである。第2流路部121の直線部の長さL1は、第2流路120の開口幅W1の5倍程度である。開口幅W1は、Z軸方向において、第1板30の下面30bと、第2板40の上面40aとの間の長さである。第2流路部121の直線部の長さL1は、第2流路120の開口幅W1の4.5倍以上、5.5倍以下でもよい。開口幅W1は、例えば5mmでもよい。直線部の長さL1は例えば25mmでもよい。気流測定装置100のハウジング101のZ軸方向の長さは、例えば45mmでもよい。ハウジング101の外形は、50mmでもよい。これらの寸法はあくまでも一例である。
【0055】
[実施形態に係る気流測定装置を搭載したドローン]
次に、実施形態に係る気流測定装置を搭載したドローンについて説明する。図7は、実施形態に係る気流測定装置を搭載したドローンの概略側面図である。図8は、実施形態に係る気流測定装置を搭載したドローンを示す平面図である。図7及び図8に示されるドローン(マルチコプター)200は、機体210と、駆動機構220と、回転翼230とを備える。ドローン200は、飛翔体の一例である。飛翔体は、ドローン200に限定されず、その他の無人航空機でもよい。
【0056】
機体210は、気流測定装置100を搭載する。駆動機構220は、機体210に搭載され、機体210を浮上させる。駆動機構220は、例えばモータ及び動力伝達機構を含む。ドローン200は、複数の回転翼230を備える。回転翼230は、駆動機構220から出力された回転駆動力を受けて、回転軸230a回りに回転する。回転軸230aは、Z軸方向に延在する。
【0057】
ドローン200は、駆動機構220及び回転翼230を支持する複数のアーム211を備える。複数のアーム211は、機体210から四方に延びる。複数のアームの先端に回転翼230が支持されている。図7に示されるように、機体210は、例えばカメラ201を搭載している。
【0058】
気流測定装置100は、機体210の上方に配置されている。ドローン200は、気流測定装置100を支持する支持ロッド240を備える。支持ロッド240は、機体210の上面から上方に延びるように配置されている。支持ロッド240の上端部は、気流測定装置100の下部に連結されている。
【0059】
図7では、回転翼230の上方に直線L231が図示されている。回転翼230は、直線L231よりも下方に配置されている。回転翼230は、直線L231よりも上方に存在していない。気流測定装置100は、直線L231よりも上方に配置されている。
【0060】
気流測定装置100の第2流路部121は、Z軸方向において、複数の回転翼230よりも上方に配置されている。気流測定装置100は、Z軸方向に見て、機体210の中央に配置されている。Z軸方向に見て、第2流路部121の外形は、例えば、回転翼230に重ならないように配置されている。
【0061】
図8には、回転翼230の回転領域R230が破線で示されている。回転領域R230は、回転翼230が回転する領域であり、回転翼230の最大外径の範囲を示す。回転領域R1を示す円の中心は、回転翼230の回転中心230bである。
【0062】
図8では、対角線L230が図示されている。対角線L230は、対角に配置された回転翼230の回転中心230b同士を結ぶ直線である。ドローン中心C250は、2本の対角線L230の交点である。
【0063】
図8には、気流測定装置100を配置可能な領域R100が破線で示されている。領域R100は、ドローン中心C250を中心とする円で示される。領域R100は、複数の回転領域R230よりもドローン中心C250に近い位置に配置されている。気流測定装置100の第2流路部121は、領域R100内に配置されている。第2流路部121は、領域R100よりも外側に配置されていない。第2流路部121は、平面視において、回転翼230の回転領域R230と重ならない位置に配置されている。
【0064】
次に、気流測定装置100を搭載するドローン200のシステム構成について説明する。図9は、実施形態に係るドローンのシステム構成を示すブロック図である。図9に示されるように、気流測定装置100は、通信部60を有する。気流測定装置100は、気流センサ20による測定結果を通信部60から送信することができる。ドローン200は、例えば自律非行型のドローンである。図9は、自律飛行型のドローンにおけるシステム構成を示すブロック図である。
【0065】
ドローン200は、自律飛行型のドローンに限定されず、操縦型のドローンでもよい。図10は、他の実施形態に係るドローンのシステム構成を示すブロック図である。
【0066】
ドローン200は、ドローン本体250を有する。ドローン本体250は、CPU251、記憶部252、通信部253、及びモータ254を搭載する。CPU(Center Processing Unit)251は、ドローン200における全体の処理を司る。CPU251は、回転翼230を駆動するモータ254の動作を制御することができる。
【0067】
記憶部252は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、CPU251に飛行制御を実行させるための各種プログラムの他、飛行に必要な各種データ等が記憶されている。RAMは、気流センサ20から取得したデータ等を一時的に記憶する。
【0068】
ドローン200は、気流センサ20以外のセンサを備えていてもよい。ドローン200は、ドローン本体250の姿勢を検出するジャイロセンサを備えていてもよい。ドローン200は、ドローン200の位置を検出するGPSセンサ等を備えていてもよい。記憶部252は、地図データなど、その他のデータを記憶してもよい。記憶部252は、ドローン200の位置情報を一時的に記憶することができる。
【0069】
ドローン200は、ドローン200と外部の構造物との距離を測定可能な測距センサを備えていてもよい。測距センサとして、レーザセンサでもよい。ドローン200は、ドローン200の高度を検出可能な高度センサを備えていてもよい。高度センサは、GPSセンサでもよく、気圧センサでもよく、その他のセンサでもよい。
【0070】
通信部253は、気流測定装置100の通信部60と通信することができる。また、通信部253は、ドローン200の外部の通信機器と通信することができる。モータ254は、CPU251からの指令信号を受けて駆動制御される。CPU251は、モータ254を駆動することにより、回転翼230を回転させて、ドローン200を飛行させることができる。CPU251は、モータ254を停止することにより、回転翼230の回転を停止させることができる。CPU251は、モータ254の出力を制御することにより、回転翼230の回転数を制御することができる。
【0071】
図10に示されるように、ドローン200は、操縦型のドローンでもよい。ドローン200の通信部253は、ドローン200の外部のコントローラ260と通信可能である。コントローラ260は、CPU261、記憶部262、通信部263、及び入力部264を備える。例えば、地上の操縦者は、入力部264を用いて操作することにより、ドローン200を操縦することができる。
【0072】
コントローラ260は、表示部を備えていてもよい。コントローラ260は、ドローン200から取得した各種データを表示部に表示することができる。表示部は、例えば気流測定装置100によって取得した風速に関するデータ、及び風向に関するデータを表示することができる。操縦者は、風速及び風向に関するデータを見て、ドローン200の状況を認識して、ドローン200を操縦することができる。
【0073】
次に、ドローン200における動作について説明する。気流測定装置100は、風速及び風向を計測し、計測したデータを出力する。ドローン本体250のCPU251は、風速及び風向のデータに基づいて、モータ254及び回転翼230の回転動作を制御できる。
【0074】
CPU261は、ドローン200が地上に存在するときに、風速値が判定閾値以上である場合に、モータ254を起動しないと判定することができる。これにより、ドローン200では、風速値が高い場合に、ドローン200を飛行させないようにすることができる。なお、ドローン本体251のCPU251で実行する処理の一部又は全部は、ドローン本体251の外部で実行してもよい。例えば、ドローン本体251とコントローラ260とが通信することにより、コントローラ260のCPU261において、ドローン200の制御を実行してもよい。
【0075】
CPU251は、気流測定装置100による風速値が判定閾値未満である場合に、飛行可能であると判定することができる。CPU251は、指令信号を出力して、モータ254を回転させて、ドローン200を飛行させることができる。CPU251は、気流測定装置100による風向に基づいて、ドローン200を飛行させるか否かを判定してもよい。
【0076】
また、ドローン200は、気流測定装置100による風速値が判定閾値以上である場合に、外部の構造物から離れるように、飛行を制御することができる。ドローン200は、気流測定装置100による風向に基づいて、飛行を制御してもよい。
【0077】
また、ドローン200は、気流測定装置100による風速値が判定閾値以上である場合に、飛行中のドローン200の高度を下げてもよい。ドローン200は、気流測定装置100による風速値が判定閾値未満である場合に、ドローン200の上昇を許可するように飛行制御してもよい。ドローン200は、気流測定装置100による風向に基づいて、ドローン200の高度を制御してもよい。
【0078】
また、ドローン200は、気流測定装置100による風速値が判定閾値以上である場合に、ドローン200を緊急着陸させるように、ドローン200の飛行を制御することができる。ドローン200は、気流測定装置100による風向に基づいて、ドローン200を緊急着陸させるか否かを判定してもよい。ドローン200は、気流測定装置100による風向に基づいて、ドローン200を着陸させる位置を判定してもよい。これにより、風向に基づいて、安全に着陸させることが可能な位置を判定することができる。
【0079】
ドローン200は、気流測定装置100による測定結果である風速及び風向に関するデータを記憶部252に記憶することができる。例えば、飛行後において、記憶部252に記憶されている風速及び風向に関する情報は、ドローン200の飛行状態の解析に利用することができる。例えば、ドローン200が墜落した後に、原因究明を行う際に、気流測定装置100で計測した風速及び風向に関するデータを使用することができる。気流測定装置100では、記憶部252をフライトレコーダーとして機能させることができる。
【0080】
次に、図11を参照して、ドローン200の動作における処理手順について説明する。図11は、ドローンの動作における処理手順を示すフローチャートである。まず、ドローン200を起動する(ステップS11)。例えば、操縦者は、ドローン200の電源をONすることにより、ドローン200を起動することができる。ドローン200は、その他の信号を受信したことをトリガーとして、起動することができる。
【0081】
次に、CPU251は、気流測定装置100の通信部60との通信を開始する(ステップS12)。次に、気流測定装置100の気流センサ20は、風速及び風向に関するデータを取得する。気流測定装置100の通信部60は、ドローン本体250にデータを送信する。CPU251は、気流測定装置100から送信されたデータを受信して、風速及び風向に関するデータを取得する(ステップS13)。
【0082】
CPU151は、風速値が判定閾値以下であるか否かを判定する(ステップS14)。CPU251は、風速値が判定閾値を超える場合に、ステップS16に進み、ドローン200の飛行を中止する。CPU251は、ドローン200を飛行させないと判定する。CPU251は、風速値が判定閾値以下になることを待って、ドローン200の飛行を開始することができる。
【0083】
CPU251は、風速値が判定閾値以下である場合に、ドローン200の飛行を開始すると判定する(ステップS15)。
【0084】
気流測定装置100は、常に、風速及び風向に関するデータを取得し、ドローン本体250に送信する。CPU251は、風速及び風向に関するデータを取得する(ステップS17)。
【0085】
次に、CPU251は、風速値が判定閾値以下であるか否かを判定する(ステップS18)。CPU251は、風速値が判定閾値を超える場合に、ステップS18に進み、緊急アクションを実行することができる。ドローン200は、緊急アクションとして、上述したように、ドローン200の緊急着陸を実行することができる。緊急アクションは、緊急着陸に限定されず、高度低下などその他動作を実行することができる。CPU251は、ドローン200を構造物から離れさせるように、飛行制御を実行できる(ステップS20)。
【0086】
CPU251は、風速値が判定閾値以下である場合に、ドローン200の飛行を継続すると判定する(ステップS19)。
【0087】
CPU251は、ドローン200の飛行を終了するか否かを判定する(ステップS21)。CPU251は、所定の終了条件を満たしているか否かを判定して、ドローン200の飛行を終了するか否かを判定することができる。例えば、コントローラ260から指令信号に基づいて、ドローン200の飛行を終了すると判定することができる。
【0088】
CPU251は、ドローン200の飛行を終了すると判定した場合には、ステップS22に進み、ドローン200の飛行を終了する。CPU251は、モータ254の動作を制御して、ドローン200を着陸させることができる。
【0089】
CPU251は、ドローン200の飛行を終了しない場合(ステップS21;NO)には、ステップS17に戻り、ステップS17~S21の処理を実行できる。
【0090】
[従来技術に係る気流測定装置の課題]
従来技術の気流測定装置では、水平方向に配置された第1流路に対して、水平方向に対して傾斜する流れが流入することにより、気流センサにおける計測に影響をおよぼすおそれがあった。例えば、気流測定装置をドローンなどの飛翔体に搭載した際に、気流センサによる測定に不具合があると、飛翔体の飛行に影響を及ぼすおそれがある。例えば、回転翼を有するドローンに気流測定装置を搭載した場合に、回転翼の回転により巻き起こされた風が、ハウジング内の第1流路に対して斜めに流入するおそれがあった。このような場合には、気流センサによる計測の精度が低下するおそれがある。回転翼による風の影響を抑制して、気流センサによる計測の精度の低下を抑制することが求められる。
【0091】
[実施形態に係る気流測定装置及びドローンの作用効果]
実施形態に係る気流測定装置100は、気流センサ20に対して、第1流路110よりも遠い位置に配置され、第1流路110に気体(流体)を案内する第2流路120を形成する直線部を含む第2流路部121、を備える。このような気流測定装置100では、第1流路110の上流に直線部を含む第2流路部121を備えるので、直線部を流れた気体を第1流路110に流入させることができる。そのため、気流測定装置100では、直線部に対して斜めに流れる気体が、第1流路110内に流入することが抑制される。その結果、気流測定装置100では、気流センサ20における計測精度の低下を抑制することができる。
【0092】
このような気流測定装置100を備えるドローン200では、回転翼230による風が、第1流路110内に流れ込むことが抑制される。これにより、回転翼230による風の影響を抑制して、気流センサ20における計測精度の低下を抑制することができる。
【0093】
気流測定装置100では、直線部を含む第2流路部121は、ハウジング101の径方向に沿って直線的に延びる一対の壁面として下面30b及び上面40aを有する。第2流路120は、一対の壁面間の流路である。この構成の気流測定装置100によれば、下面30bと上面40aとの間の第2流路120を流れた気体を、第1流路110に流入させることができる。
【0094】
ドローン200では、気流測定装置100によって計測された風速及び風向に関するデータを用いて、ドローン200の飛行を制御することができるので、ドローン200の飛行を安定させることができる。例えば、ドローン200の落下のおそれを低減することができる。気流測定装置100では、回転翼230による風の影響を抑制して、精度よく、風速及び風向を検出することができ、ドローン200の飛行を精度よく制御することができる。
【0095】
また、ドローン200では、平面視において、回転翼230に重ならない位置に、気流測定装置100が配置されていることにより、ドローン200の飛行性能に影響を及ぼさないで、風速及び風向を精度よく計測することができる。
【0096】
[比較例1]
次に、比較例1に係る気流測定装置による測定結果について説明する。図12は、比較例1に係る気流測定装置による測定結果を示すグラフである。比較例1に係る気流測定装置が、実施例1に係る気流測定装置100と違う点は、第2流路部(直線部)121を備えていない点である。比較例1に係る気流測定装置を搭載したドローンは、図7に示されるドローン200において、第2流路部121を備えていないものである。比較例1を備えていない気流測定装置をドローンに搭載して、風速を測定した結果を図12に示す。図12では横軸に時間(S)を示し、縦軸に風速(m/s)を示す。
【0097】
図12に示されるように、約100Sにおいて、回転翼230の回転を開始した。回転翼230の回転を開始した直後に、風速が上昇した。風速は約4m/s前後で変動した。比較例1に係る気流測定装置では、回転翼230による気流の影響を受けた。
【0098】
[実施例1]
次に、実施例1に係る気流測定装置100による測定結果について説明する。図13は、実施例1に係る気流測定装置100による測定結果を示すグラフである。図7に示されるように、実施例1に係る気流測定装置100を搭載したドローン200を用いて、風速を測定した。図13では横軸に時間(S)を示し、縦軸に風速(m/s)を示す。
【0099】
図13に示されるように、約50Sにおいて、回転翼230の回転を開始した。回転翼230の回転を開始した直後に、風速の変化が増えたが、風速は約2m/s前後で変動した。実施例1に係る気流測定装置100による測定結果は、比較例1と比較して、回転翼230による影響が少なかった。回転翼230による変動は、比較例1と比較して半分程度であった。第2流路部121を備える実施例1の気流測定装置100は、第2流路部121を備えていない比較例1と比べて、回転翼230による気流の影響を抑制する効果が高かった。
【0100】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0101】
上記の実施形態では、第2流路部121がハウジング101と別体である場合について例示しているが、第2流路部121はハウジング101と一体として形成されていてもよい。また、上記の実施形態では、第1板30及び第2板40が分割されている場合について例示しているが、第1板30及び第2板40は分割されていなくてもよい。
【0102】
また、気流測定装置100は、小型、軽量の装置であり、飛翔体に搭載して使用することができる。
【0103】
本実施形態に係る気流測定装置100は、飛翔体に搭載されるものに限定されない。気流測定装置100は、例えば、その他の構造物に取り付けられて使用することができる。また、気流測定装置100によって測定された風速及び風向に関するデータは、飛翔体の制御に利用されなくてもよい。例えば、気象用のデータを取得する気流測定装置100でもよい。
【0104】
上記の実施形態では、機体210よりも上方に気流測定装置100を配置したドローン200について例示しているが、気流測定装置100の配置はこれに限定されない。図14は、変形例に係る気流測定装置を搭載したドローンの概略側面図である。図14に示されるように、気流測定装置100は、機体210の上に直接載置されていてもよい。例えば機体210の上部には、マウント241が形成されている。気流測定装置100は、マウント241の上に載置されていてもよい。気流測定装置100は、直線L231よりも上方であり、回転翼230よりも上方に配置されている。
【0105】
また、気流測定装置100は、回転翼230よりも上方に配置されるものに限定されない。気流測定装置100は、例えば機体210よりも下方に配置されていてもよい。また、気流測定装置100は、平面視において、ドローン200の機体210の中心(C250)に配置されていることが好ましいが、機体210の中心から外れた位置に配置されていてもよい。平面視とは、例えば、Z軸方向に見た場合を含む。
【0106】
また、気流測定装置100は、第1板30及び第2板40を備えるものに限定されない。例えば、気流測定装置100が搭載される構造物の壁面を一対の壁面の一方として利用することもできる。
【0107】
上記の実施形態では、気流センサ20に対して、第1流路110よりも遠い位置に配置された第2流路120を形成する直線部を含む第2流路部121を備える場合について、例示しているが、直線部はこれに限定されない。第2流路120は、気流センサ20に対して、第1流路110よりも遠い位置に配置されていてもよく、気流センサ20に対して、第1流路110よりも近い位置に配置されていてもよい。
【0108】
上記の実施形態では、水平方向に沿って直線的に延びる一対の壁面を有する直線部を含む第2流路部121について例示しているが、一対の壁面は、水平方向に沿って直線的に延びるものに限定されない。一対の壁面は、ハウジングの中心線と交差する方向に見て、ハウジングの径方向に沿って直線的に延びていてもよい。水平方向に沿って直線的に延びる壁面とは、鉛直方向に直交する面を含む。水平方向に沿って直線的に延びる壁面は、水平方向に対して略平行な面を含んでもよい。例えば、気流センサ20における測定に大きな影響を与えない場合には、一対の壁面は、水平方向に対して傾斜する面を含んでもよい。
【符号の説明】
【0109】
20:気流センサ、30:第1板、30b:下面(一対の壁面)、31:第1片、32:第2片、33:リブ(第1リブ)、34:リブ(第2リブ)、35:リブ、36:リブ、40:第2板、40a:上面(一対の壁面)、41:第1片、42:第2片、43:リブ(第1リブ)、44:リブ(第2リブ)、47:第3凹凸形状、48:第4凹凸形状、51:第1凹凸形状、52:第2凹凸形状、100:気流測定装置、101:ハウジング、110:第1流路、111:第1流路部、120:第2流路、121:第2流路部(直線部)、200:ドローン(飛翔体)、210:機体、220:駆動機構、230:回転翼、X:X軸方向(ハウジングの径方向)、Y:Y軸方向(ハウジングの径方向)、Z:Z軸方向(ハウジングの中心線が延在する方向、上下方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14