(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067229
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】長尺部材の保持具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/08 20060101AFI20240510BHJP
F16B 37/08 20060101ALI20240510BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20240510BHJP
F16B 2/20 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
F16L3/08 D
F16B37/08 A
F16B37/08 B
F16B7/04 302B
F16B2/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177138
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 知之
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC35
3H023AD02
3H023AD53
3H023AD54
3H023AE11
3J022DA19
3J022EA16
3J022EB06
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC14
3J022EC17
3J022FA05
3J022FB03
3J022FB08
3J022FB12
3J022HA03
3J022HB02
3J022HB06
3J039AA04
3J039AB02
3J039CA01
3J039MA01
(57)【要約】
【課題】長尺部材にこじれるような力が作用しても、保持部材と固定部材とを干渉させにくくし、防振部材の防振性能を十分に発揮できる、長尺部材の保持具を提供する。
【解決手段】この保持具10は、枠状本体部30を有する保持部材20と、枠状部51を有する防振部材50と、挿入部81を設けた固定部材80を有しており、挿入部81は、枠状部51の内側への挿入部81の挿入方向(挿入部挿入方向F2)に延びる、第2延出部88,89を有しており、その外面に押圧突部103が突設され、該押圧突部103が、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入され且つ枠状部51の内側に挿入部81が挿入されたときに、枠状部51の内面を押圧し、枠状部51の外面が枠状本体部30の内面に圧接される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材を有する被固定部材に、前記軸部材を介して固定されて、長尺部材を保持する保持具であって、
前記長尺部材を保持する保持部が連結された枠状本体部を有する保持部材と、
弾性材料からなり、前記枠状本体部の内側に挿入される枠状部を有する防振部材と、
前記枠状部の内側に挿入されると共に前記軸部材を受け入れる挿入部、及び、該挿入部の内側に前記軸部材に係止する係止部を設けた固定部材を有しており、
前記挿入部は、前記枠状部の内側への前記挿入部の挿入方向に延びる、延出部を有しており、
該延出部の外面には、押圧突部が突設されており、該押圧突部が、前記枠状本体部の内側に前記枠状部が挿入され且つ前記枠状部の内側に前記挿入部が挿入されたときに、前記枠状部の内面を押圧し、前記枠状部の外面が前記枠状本体部の内面に圧接されるように構成されていることを特徴とする長尺部材の保持具。
【請求項2】
前記押圧突部は、前記延出部の、前記挿入方向とは反対側の部分の外面から、前記延出部の、前記挿入方向側の部分の外面よりも、外方に突出するように設けられている請求項1記載の長尺部材の保持具。
【請求項3】
前記枠状本体部の内面に、被係合部が設けられており、
前記枠状部の外面には、前記枠状本体部の内側に前記枠状部が挿入されたときに、前記被係合部に係合する係合部が設けられており、前記枠状部の内面であって前記係合部が設けられた位置に適合する箇所を、前記押圧突部が押圧する請求項1又は2記載の長尺部材の保持具。
【請求項4】
前記枠状部には、一対のスリットを介して、撓み変形可能な弾性片が形成されており、該弾性片に前記係合部が設けられており、前記弾性片の内面を前記押圧突部が押圧する請求項3記載の長尺部材の保持具。
【請求項5】
前記弾性片の外面には、前記挿入方向に延びる突条部が設けられており、
該突条部は、前記枠状本体部の内側に前記枠状部が挿入されたときに、前記枠状本体部の内面に圧接される請求項4記載の長尺部材の保持具。
【請求項6】
前記弾性片の外面であって、前記突条部と前記係合部との間には、凹溝状をなした凹溝部が形成されており、
該凹溝部は、前記枠状本体部の内側に前記枠状部が挿入されたときに、前記枠状本体部の内面から離間する請求項5記載の長尺部材の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状、管状又は棒状の長尺部材を保持するための、長尺部材の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車には、パイプや、チューブ、ワイヤ、ケーブル、ハーネス等が用いられているが、これらは絡まったり、他部材と干渉したり、破損したり等の不都合が生じることがある。そのため、通常は何らかの保持具に収容保持されて、該保持具を介して車内の所定位置に配設されることが多い。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、軸部材を有する被固定部材に、軸部材を介して固定されて、長尺部材を保持する保持具が記載されている。
【0004】
この長尺部材の保持具は、長尺部材を保持する保持部が連結された枠状本体部を有する保持部材と、弾性材料からなり、枠状本体部の内側に挿入される枠状部を有する防振部材と、枠状部の内側に挿入されると共に、軸部材を受け入れる挿入部を有し、該挿入部の内側に軸部材に係止する係止部を設けた固定部材とを備えている。
【0005】
また、枠状本体部の内側には、第1係合部が設けられており、挿入部の外面には、第1係合部に係合する第2係合部が設けられている。更に、枠状本体部の内側には、第3係合部が設けられており、枠状部の外面には、第3係合部に係合する第4係合部が設けられている。また、固定部材は、その基端側に押し込み部が設けられており、該押し込み部の外周は、フランジ状に張り出した形状をなしている。
【0006】
そして、保持具の各部材を組付ける際には、まず、枠状本体部の内側に枠状部を挿入して、第3係合部と第4係合部とを係合させることで、保持部材に防振部材が装着される。その後、枠状部の内側に挿入部を挿入して、第1係合部と第2係合部とを係合させることで、保持部材に固定部材が装着されて、保持具が組付けられる。また、保持具が組付けられた状態では、枠状本端部の上端面に、固定部材のフランジ部が対向配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1のような保持具で長尺部材を保持した場合、長尺部材は、被固定部材の被固定面に対してほぼ平行又は所定角度で保持されることが一般的である。
【0009】
しかし、長尺部材にこじれるような力、すなわち、長尺部材に対して、被固定部材の被固定面から近接したり離反したりするような力が作用した場合、固定部材のフランジ部と、枠状本体部の上端面とが互いに当接し干渉してしまうことがあった。こうなると、例えば、長尺部材から発生した振動等が、枠状本体部を介して固定部材に伝達されてしまって、防振部材を介在しないため、防振部材の防振性能を十分に発揮できない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、長尺部材にこじれるような力が作用しても、保持部材と固定部材とを干渉させにくくして、防振部材の防振性能を十分に発揮させることできる、長尺部材の保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、軸部材を有する被固定部材に、前記軸部材を介して固定されて、長尺部材を保持する保持具であって、前記長尺部材を保持する保持部が連結された枠状本体部を有する保持部材と、弾性材料からなり、前記枠状本体部の内側に挿入される枠状部を有する防振部材と、前記枠状部の内側に挿入されると共に前記軸部材を受け入れる挿入部、及び、該挿入部の内側に前記軸部材に係止する係止部を設けた固定部材を有しており、前記挿入部は、前記枠状部の内側への前記挿入部の挿入方向に延びる、延出部を有しており、該延出部の外面には、押圧突部が突設されており、該押圧突部が、前記枠状本体部の内側に前記枠状部が挿入され且つ前記枠状部の内側に前記挿入部が挿入されたときに、前記枠状部の内面を押圧し、前記枠状部の外面が前記枠状本体部の内面に圧接されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、枠状本体部の内側に枠状部が挿入され且つ枠状部の内側に挿入部が挿入されたときに、延出部に設けた押圧突部が枠状部の内面を押圧し、それによって枠状部の外面が枠状本体部の内面に圧接されるので、保持部材の保持部に保持される長尺部材に、こじれるような力が作用しても、枠状本体部の傾きや、倒れ、転び等を抑制することができ、保持部材の枠状本体部を、固定部材に干渉させにくくすることができる。その結果、防振部材を介さない振動の伝達経路を生じにくくすることができるので、防振部材の防振性能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る長尺部材の保持具の、第1実施形態を示す分解斜視図である。
【
図3】同保持具を構成する保持部材の枠状本体部の、要部拡大平面図である。
【
図4】同保持具を構成する防振部材の、拡大斜視図である。
【
図6】本発明に係る保持具を構成する固定部材の、拡大斜視図である。
【
図10】本発明に係る保持具における各部材の組付け工程を示しており、その第1工程図の説明図である。
【
図11】同組付け工程の第2工程図の説明図である。
【
図12】同組付け工程の第3工程図の説明図である。
【
図13】本発明に係る保持具において、各部材を組付けた状態での要部拡大平面図である。
【
図14】
図2のA-A矢示線における断面図である。
【
図15】
図2のB-B矢示線における断面図である。
【
図16】
図2のD-D矢視線における断面図である。
【
図17】
図2のG-G矢示線における断面図である。
【
図18】本発明の保持具において、保持部材の保持部に保持された長尺部材に、こじれるような力が作用した場合の、説明図である。
【
図19】本発明に係る長尺部材の保持具の、第2実施形態を示しており、同保持具を構成する固定部材の拡大斜視図である。
【
図22】本発明に係る長尺部材の保持具の、第3実施形態を示しており、その要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(長尺部材の保持具の第1実施形態)
以下、
図1~18を参照して、本発明に係る長尺部材の保持具の、第1実施形態について説明する。
【0015】
図14に示すように、この実施形態の長尺部材の保持具10(以下、単に「保持具10」ともいう)は、軸部材5を有する被固定部材1に、軸部材5を介して固定されて、長尺部材P(
図12参照)を保持するものである。
【0016】
図14に示すように、この実施形態では、車体パネルや車体フレーム等の、被固定部材1の被固定面3(被固定部材1の厚さ方向の一側部であり、保持具が配置される側の面を意味する)から軸部材5が突出している。
【0017】
上記の軸部材5としては、例えば、被固定面3から一体又は別体で立設し、外周面にネジ溝を設けたいわゆるスタッドボルトが挙げられる。また、この実施形態における軸部材5は、その軸方向(
図14に示す軸部材5の軸心C1に沿った方向を意味する)が、前記被固定面3の面方向に対して垂直となっている。なお、軸部材5は、スタッドボルトに限定されるものではなく、例えば、角柱状や円柱状をなした柱状部材であってもよく、固定部材80の固定手段(これについては後述する)が係合可能であればよい。
【0018】
また、前記長尺部材Pは、例えば、パイプや、チューブ、ホース、ロッド、ワイヤ、ケーブル、ハーネス、コード等の、線状、管状又は棒状の部材となっている。
【0019】
図1に示すように、この保持具10は、保持部21及び枠状本体部30を有する保持部材20と、枠状部51を有する防振部材50と、挿入部81、係止部94、及びフランジ部95を設けた固定部材80とから主として構成されている。
【0020】
そして、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されると共に、この枠状部51の内側に挿入部81が挿入されることで、
図14~17に示すように、保持部材20に防振部材50及び固定部材80が組付けられるようになっている。
【0021】
なお、以下の説明においては、
図1の矢印F1に示す、枠状本体部30の内側への、挿入部81の挿入方向を、「枠状部挿入方向F1」ともいい、
図1の矢印F2に示す、枠状部51の内側への、挿入部81の挿入方向を、「挿入部挿入方向F2」ともいう。
【0022】
また、
図6~8に示すように、挿入部81は、枠状部51の内側への挿入部81の挿入方向(挿入部挿入方向F2)に延びる延出部(この実施形態では、一対の第2延出部88,89)を有している。
【0023】
更に、一対の第2延出部88,89の外面には、押圧突部103,103が突設されており、該押圧突部103,103が、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入され且つ枠状部51の内側に挿入部81が挿入されたときに、枠状部51の内面を押圧し、枠状部51の外面(ここでは第2突条部71の外面)が枠状本体部30の内面に圧接されるように構成されている(
図15及び
図17参照)。この実施形態の場合、一対の第2延出部88,89の外面であって、であって、前記挿入方向(挿入部挿入方向F2)とは反対側の部分には、押圧突部103,103が突設されている。
【0024】
また、枠状本体部30の内面に、被係合部(ここでは第2係合部45)が設けられている。更に、枠状部51の外面には、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、前記被係合部に係合する係合部(ここでは第3係合部69)が設けられており、枠状部51の内面であって前記係合部が設けられた位置に適合する箇所を、押圧突部103が押圧するように構成されている(
図15参照)。
【0025】
また、保持部材20に防振部材50及び固定部材80が組付けられた状態とは、枠状部51が枠状本体部30に最大挿入位置まで挿入され、かつ、挿入部81が枠状部51に最大挿入位置まで挿入された状態であることを意味する。
【0026】
更に、
図15に示すように、保持部材20の枠状本体部30には、第2係合部45が設けられており、防振部材50の枠状部51には、第3係合部69が設けられている。そして、
図1の矢印F1に示すように、枠状本体部30の内側に、被固定部材1側から枠状部51が挿入されると、
図15に示すように、第2係合部45及び第3係合部69が互いに係合可能となり、保持部材20に防振部材50が組付けられるようになっている。
【0027】
また、
図16に示すように、保持部材20の枠状本体部30には、第1係合部43が設けられており、固定部材80の挿入部81には、第5係合部91が設けられている。更に防振部材50の枠状部51には、第4係合部75が設けられており、固定部材80の挿入部81には、第6係合部93が設けられている。
【0028】
そして、
図1の矢印F2に示すように、枠状部51の内側に、被固定部材1とは反対側から挿入部81が挿入されると、
図16に示すように、第1係合部43及び第5係合部91が対向配置されて互いに係合可能となると共に、第4係合部75及び第6係合部93が互いに係合して、防振部材50に固定部材80が組付けられるようになっている。
【0029】
次に、保持具10を構成する各部材について説明する。
【0030】
まず、
図1~3及び
図14~17等を参照して、保持部材20について説明する。
図1に示すように、この保持部材20は、長尺部材Pを保持する保持部21が連結された枠状本体部30を有している。
【0031】
この実施形態における枠状本体部30は、互いに平行に対向配置された一対の壁部31,31と、これらの一対の壁部31,31に対して直交するように対向配置された一対の壁部33,33とを有しており、一端35側及び他端36側が開口した略四角枠状をなしている。
【0032】
なお、枠状本体部30の一端35側とは、被固定部材1から離反した側を意味し、枠状本体部30の他端36側とは、一端35側とは反対側であって、被固定部材1に近接した側(被固定部材1の被固定面3に向く側)を意味する。これは、上記の軸部材5や、以下に説明する、防振部材50の各部(枠状部51等)や固定部材80の各部(挿入部81等)における「一端側」や「他端側」も同様の意味である。
【0033】
そして、枠状本体部30の他端36側の開口から、枠状部51が挿入されるようになっている。
【0034】
また、各壁部33の外面(枠状本体部30の内方に向く内面とは反対の面)側であって、幅方向(一対の壁部33,33の配列方向に直交する方向)の両側部には、外面から所定深さで凹んだ凹溝状をなした、一対の凹部37,37がそれぞれ形成されている(
図1参照)。各凹部37は、枠状本体部30の一端35側が開口する一方、他端36側は閉塞し、一端35側から他端36側に向けて一定幅で延びている。
【0035】
更に
図3に示すように、各壁部33の、一対の凹部37,37に対応した位置には、枠状本体部30の内方に向けて、一対の突出部39,39が突出している。各突出部39には、コ字状スリット41を介して、撓み変形可能な第1係合部43が設けられている(
図2参照)。なお、この実施形態の枠状本体部30には、4つの第1係合部43が設けられている(
図3参照)。
【0036】
また、各第1係合部43は、その固定端部が枠状本体部30の一端35側に連結されていると共に、枠状本体部30の他端36側に自由端部が配置されており、且つ、この自由端部が、枠状本体部30の内方に向けて突出した構造となっている。なお、第1係合部43は、固定部材80に設けた第5係合部91に対向して配置され、同第5係合部91に係合可能となっている(
図16参照)。
【0037】
図3に示すように、各壁部33に設けられた一対の突出部39,39の、対向する内側面39a,39aどうしの間には、第2係合部45が設けられている。
図15に示すように、この第2係合部45の、枠状本体部30の一端35側に向く面45a(以下、単に「一端面45a」ともいう)は、枠状本体部30の内方に向けて、且つ、枠状本体部30の一端35側に向けて次第に突出量が大きくなるテーパ状をなしている。
【0038】
また、第2係合部45は、防振部材50に設けた第3係合部69に係合可能となっている(
図15参照)。なお、第2係合部45が、本発明における「被係合部」をなしている。
【0039】
一方、前記保持部21は、枠状本体部30を構成する一対の壁部31,31のうち、一方の壁部31側に連設されている。
【0040】
図1及び
図10に示すように、この保持部21は、前記壁部31の、被固定面3側の箇所から、枠状本体部30の軸方向に直交する方向に所定長さで延びる底壁23と、該底壁23から所定間隔をあけて、枠状本体部30の軸方向に沿って延びる複数の保持壁25とを有している。
【0041】
また、
図10に示すように、底壁23と、複数の保持壁25とによって、長尺部材Pを保持するための保持空間27が、複数画成されている。更に、各保持壁25の内面(保持空間27側に向く面)からは、複数の保持爪29が、前記底壁23側に向けて斜め内方に延出している。その結果、複数の保持空間27に、複数の長尺部材Pを、抜け止め保持可能となっている。
【0042】
次に、
図4,5、
図10、及び
図14~17等を参照して、防振部材50について説明する。
【0043】
図1に示すように、この防振部材50は、弾性材料からなり、枠状本体部30の内側に、被固定部材1側から挿入される枠状部51を有している。また、枠状部51は、延出片60が設けられた壁部53を有している。
【0044】
図4及び
図5を併せて参照すると、この実施形態の枠状部51は、互いに平行に対向配置された一対の壁部53,53と、これらの一対の壁部53,53に対して直交するように対向配置された一対の壁部55,55とを有しており、枠状部51の一端51a側及び他端51b側が開口した略四角枠状をなしている。この枠状部51は、その一端51a側から、枠状本体部30の内側に挿入されると共に、一端51a側の開口から、固定部材80の挿入部81が挿入されるようになっている。
【0045】
また、略四角枠状をなした枠状部51は、略四角枠状をなした枠状本体部30に対して
相似形状でかつ一回り小さい形状となっている。
【0046】
具体的には、枠状部51の各壁部53の幅(一対の壁部53,53の配列方向に直交する方向の長さ)は、枠状本体部30の各壁部31の幅(一対の壁部31,31の配列方向に直交する方向の長さ)よりも小さく形成されている。更に、枠状部51の各壁部53の幅(一対の壁部53,53の配列方向に直交する方向の長さ)は、枠状本体部30の各壁部33の幅(一対の壁部33,33の配列方向に直交する方向の長さ)よりも小さく形成されている。
【0047】
その結果、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入可能で、且つ、その挿入状態では、枠状本体部30の内周全周と、枠状部51の外周全周との間に、所定の隙間が形成されるようになっている。
【0048】
また、枠状部51を構成する一対の壁部55,55は、その長さ(枠状部挿入方向F1に沿った長さ)が、延出片60を設けた一対の壁部53,53の長さよりも短く形成されている。ただし、
図12に示すように、枠状本体部30の内側に枠状部51を挿入した状態では、壁部55は、その一端51a側の部分が、枠状本体部30の一端35側の開口から所定長さ突出するようになっている。
【0049】
更に、枠状部51は、その他端51b側に、枠状本体部30の他端36よりも突出して被固定部材1に当接する、当接部57が設けられている。この当接部57は、枠状部51の他端51b側の外周から、薄肉板状をなして外方に向けて張り出した、フランジ部58と、該フランジ部58の、他端51b側の面から突出した台座部59とからなる。
【0050】
そして、
図1の枠状部挿入方向F1に示すように、枠状本体部30の内側に、被固定部材1側から枠状部51を挿入して、保持部材20に防振部材50を組付ける際に、枠状本体部30の他端36側の端面に、枠状部51の当接部57のフランジ部58が当接することで(
図11等参照)、枠状本体部30に対する枠状部51の最大挿入位置が規制される。なお、台座部59は、被固定部材1の被固定面3に当接する部分となっている(
図12及び
図14参照)。
【0051】
また、防振部材50は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入された状態で、枠状本体部30から突出するように延出し(
図11参照)、
図1の挿入部挿入方向F2に示すように、前記状態で枠状部51の内側に挿入部81が挿入されたときに、固定部材80のフランジ部95又は挿入部81の一部(この実施形態では後述する押圧面101)に押圧されて外方に屈曲可能とされた(
図12参照)、延出片60を有している。
【0052】
延出片60について、より具体的に説明すると、枠状部51を構成する一対の壁部53,53の、一端部(枠状部51の一端51a側の端部)から、延出片60,60がそれぞれ延出している。
【0053】
各延出片60は、壁部53の一端部から、壁部53に対して一体的・連続的に延設されており、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入される前の状態で、壁部53に対して真っ直ぐに延びている。更に、延出片60は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入される前の状態で、壁部55の、一端51a側の端部よりも長く延びている。
【0054】
また、
図4や
図10に示すように、各延出片60の延出方向の先端部61(延出片60の一端部とも言える)であって、その内面(
図3に示すように、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入される前の状態で、枠状本体部30の内方に向く面)側には、延出片60の最先端に向けて、延出片60の厚さを次第に薄くするテーパ面63が形成されている。更に、一対の延出片60,60は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入された状態で、枠状本体部30の一端35側の開口から突出するようになっている(
図11参照)。
【0055】
そして、各延出片60は、その先端部61が、固定部材80のフランジ部95又は挿入部81の一部(押圧面101)により押圧されることで、各延出片60の基端部(他端部ともいえ、壁部53の一端部との連結部分・境界部分を意味する)を起点として、先端部61,61どうしが互いに離れるように、一対の延出片60,60が外方に屈曲変形するようになっている(
図12参照)。
【0056】
また、一対の延出片60,60が押し広げられた状態では、
図14に示すように、各延出片60の先端部61の外面(内面とは反対側の面)が、枠状本体部30を構成する一対の壁部31,31の一端35側の端部に当接すると共に、各延出片60の先端部61の内面上に、フランジ部95(ここでは第1フランジ部96)が当接して載置される。
【0057】
すなわち、延出片60の先端部61は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入され、且つ、枠状部51の内側に挿入部81が挿入されて、保持部材20に防振部材50及び固定部材80が組付けられた状態で、枠状本体部30とフランジ部95とで挟持されるようになっている。
【0058】
そして、
図4に示すように、各延出片60の先端部61の、幅方向Wの両側が、延出片側テーパ部64,64で切り欠かれて、先端部61が幅狭となるように形成されている。なお、延出片60の幅方向Wとは、延出片60の延出方向及び厚さ方向に直交する方向を意味する。
【0059】
また、壁部53の外面には、延出片60の先端(一端)に至らない長さで、その延出方向に延び、且つ、枠状本体部30の内面に当接する、突条をなした第1突条部65が形成されている。
【0060】
この実施形態の場合、各壁部53の外面(枠状部51の内方に向く内面とは反対の面)であって、その幅方向の中央部分に、一対の第1突条部65,65が壁部53の延出方向に沿って互いに平行に延設されている。各第1突条部65は、他端が当接部57を構成するフランジ部58に連結され、一端が延出片60の基端部に至らない長さで延びている。
【0061】
そして、上記第1突条部65は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、
図17に示すように、枠状本体部30を構成する壁部31の内面に当接するようになっている(圧接されるとも言える)。
【0062】
また、各壁部55の延出方向の先端(一端)から基端(他端)側に至る所定範囲には、互いに平行に延びる一対のスリット66,66が形成されており、これらの一対のスリット66,66を介して、撓み変形可能な弾性片67がそれぞれ形成されている。
図4に示すように、各弾性片67の先端部(一端部)の内面(枠状部51の内方に向かう面)には、枠状部51の一端51aに向けて、弾性片67を次第に肉薄とするテーパ面67aがそれぞれ形成されている。
【0063】
更に、各弾性片67の先端部であって、その外面(前記内面とは反対の面)の幅方向の中央部には、第3係合部69が突設されている。
図15に示すように、第3係合部69の、枠状部51の他端51b側に向く面69a(以下、単に「他端面69a」ともいう)は、枠状部51の外方に向けて、且つ、枠状部51の他端51b側に向けて次第に突出量が大きくなる、いわゆる逆テーパ状をなしている。
【0064】
この第3係合部69の他端面69aは、枠状本体部30に設けた第2係合部45の一端面45aに対向して配置されるようになっており(
図15参照)、第3係合部69及び第2係合部45どうしが互いに係合可能となっている。なお、弾性片67の外面に設けた上記第3係合部69が、本発明における「係合部」をなしている。
【0065】
また、枠状部51の壁部55に形成された弾性片67(枠状部51を構成する部材の一つと言える)の内面であって、第3係合部69が設けられた位置に適合する箇所、すなわち、第3係合部69に対して、枠状本体部30や枠状部51の軸方向において適合する箇所(ここでは弾性片67の先端部内面のテーパ面67a)が、押圧突部103によって押圧されるようになっている(
図15参照)。
【0066】
更に
図15に示すように、第3係合部69のうち、壁部55の外面から最も突出した部分が、第3係合部69の頂部69bをなしている。また、弾性片67の内面が押圧突部103により押圧された状態では、第3係合部69の頂部69bは、枠状本体部30を構成する壁部33の内面に近接するものの、やや離間するようになっている(
図15参照)。
【0067】
なお、スリット66は弾性片67を形成する以外にも、次の役割がある。すなわち、
図1の枠状部挿入方向F1に示すように、枠状本体部30の内側に、被固定部材1側から枠状部51を挿入して、保持部材20と防振部材50とを組付けるときには、スリット66内を第1係合部43が移動する。更に
図1の挿入部挿入方向F2に示すように、枠状部51の内側に、被固定部材1とは反対側から挿入部81を挿入して、防振部材50と固定部材80とを組付けるときにも、スリット66内を、挿入部81に設けた第5係合部91が移動する。
【0068】
また、弾性片67の外面であって、その幅方向の両側縁部には、挿入部挿入方向F2に沿って延びる、突条をなした一対の第2突条部71,71が設けられている。各第2突条部71は、弾性片67の一端から、弾性片67の基端を超えて壁部55の外面上を延びており、その他端が当接部57を構成するフランジ部58に連結されている。すなわち、第2突条部71は、弾性片67の外面及び壁部55の外面に延設されている、とも言える。
【0069】
上記第2突条部71は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、
図17に示すように、枠状本体部30を構成する壁部33の内面に圧接されるようになっている(当接するとも言える)。
【0070】
すなわち、
図15に示すように、弾性片67の内面が押圧突部103により押圧された状態で、
図17に示すように、弾性片67の外面に設けた第2突条部71の外面が、枠状本体部30の内面、すなわち、枠状本体部30を構成する壁部33の内面に圧接されるようになっている。つまり、第2突条部71の外面が、本発明における「枠状部の外面」をなしている。
【0071】
また、弾性片67の外面であって、各第2突条部71とそれに隣接する第3係合部69との間には、凹溝状をなした凹溝部73が形成されている。
図17に示すように、この凹溝部73は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、枠状本体部30の内面(ここでは壁部33の内面)から離間するようになっている。
【0072】
より具体的には、凹溝部73は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入された状態で、壁部33を構成する一対の突出部39,39の内面に対して離間すると共に、各突出部39とその内側面39aとの境界部分(角部)に対しても離間するようになっている(
図17参照)。
【0073】
更に
図16に示すように、枠状部51を構成する一対の壁部55,55の内面であって、他端51b寄りの位置には、第4係合部75が設けられている。
図5を併せて参照すると、各壁部55の内面の幅方向両側から、一対の第4係合部75,75がそれぞれ突設されている。すなわち、この実施形態の防振部材50は、合計で4個の第4係合部75を有している。なお、第4係合部75は、固定部材80に設けた第6係合部93に係合可能となっている(
図16参照)。
【0074】
次に、
図6~9及び
図13~17等を参照して、固定部材80について説明する。
【0075】
この固定部材80は、枠状部51の内側に挿入されると共に、軸部材5を受け入れる挿入部81と、挿入部81の内側に設けられ、軸部材5に係止する係止部94と、挿入部81の一端81a側から張り出すフランジ部95とを有している。
【0076】
この実施形態における挿入部81は、枠状部51の内側への挿入部81の挿入方向(挿入部挿入方向F2)に沿って所定長さで延びる長板状をなし、互いに平行に対向配置された一対の第1延出部83,83と、一対の第1延出部83,83の先端(挿入部81の他端81b側の端部)に連結された先端部85と、一対の第1延出部83,83の基端(挿入部81の一端81a側の端部)に連結され、保持具10の組付け作業者に押し込まれる部分となる略四角板状をなした押し込み部87とを有している。
【0077】
また、先端部85及び押し込み部87の中央には、軸部材5が挿入される、円形状の軸孔85a,87aがそれぞれ形成されている(
図8,9参照)。なお、これらの軸孔85a,87aの中心を通過する部分が、挿入部81の中心C2(
図17参照)となっている。
【0078】
更に、先端部85と押し込み部87との間であって、軸孔85a,87aに挿入される軸部材5に干渉しない位置には、挿入部挿入方向F2に沿って柱状に延びる一対の第2延出部88,89が配置されている。これらの一対の第2延出部88,89によって、先端部85と押し込み部87とが互いに連結されることで、固定部材80全体の補強が図られている。
【0079】
また、
図17に示すように、挿入部81を軸方向に直交する断面で見たときに、一対の第2延出部88,89は、挿入部81の中心C2に対して互いに離間するように位置ずれして配置されている。ここでは、一方の第2延出部88が、挿入部81の中心C2に対して、
図17の紙面下方に位置ずれし、他方の第2延出部89が、挿入部81の中心C2に対して、
図17の紙面上方に位置ずれしている。
【0080】
更に、
図1及び
図6に示すように、挿入部81の外面には、保持部材20の第1係合部43に係合する第5係合部91と、防振部材50の第4係合部75に係合する第6係合部93とが設けられている。
【0081】
この実施形態では、挿入部81を構成する各第1延出部83の幅方向(一対の第1延出部83,83の配列方向に直交する方向)の両側に位置する両側縁部84,84(
図6参照)の所定位置から、各第1延出部83の面方向(一対の第1延出部83,83の配列方向に直交し、且つ、第1延出部83の外面に沿った方向)に沿って、第5係合部91,91がそれぞれ突設されている。
【0082】
また、各第1延出部83の両側縁部84,84であって、第5係合部91よりも、被固定部材1に近い位置、具体的には、挿入部挿入方向F2側の端部(先端部85)に近い位置に、第6係合部93,93が形成されている。
【0083】
上記挿入部81には、第5係合部91及び第6係合部93がそれぞれ4個ずつ設けられている。そして、
図16に示すように、第5係合部91は、保持部材20の枠状本体部30に設けた第1係合部43に対向して配置され、同第1係合部43に係合可能となっている。一方、第6係合部93は、防振部材50に設けた第4係合部75に係合可能となっている。
【0084】
また、
図7に示すように、固定部材80には、軸部材5に係止する複数の係止部94を有している。各係止部94は、第1延出部83の内面(挿入部81の内部空間に向く面)から、挿入部81の一端81a側に向けて斜め内方に延出した形状をなしており、各第1延出部83に複数設けられている。
【0085】
そして、
図14に示すように、各係止部94の延出方向の先端部94aが、軸部材5に係止するようになっている(ここでは先端部94aが、軸部材5であるスタッドボルトのネジ溝に係止する)。その結果、軸部材5を介して、被固定部材1に保持具10が固定されることになる。
【0086】
また、挿入部81を構成する押し込み部87の、一端81aの外周からは、フランジ部95が張り出している。
【0087】
図6及び
図8に示すように、この実施形態におけるフランジ部95は、押し込み部87の一端81aの外周であって、一対の第1延出部83,83が配置された部分から張り出した一対の第1フランジ部96と、押し込み部87の一端81aの外周であって、一対の第2延出部88,89が配置された部分から、前記一対の第1フランジ部96,96に対して直交するように張り出した一対の第2フランジ部97,98とから構成されている。なお、第2フランジ部97は第2延出部88側に配置され、第2フランジ部98は第2延出部89側に配置されている(
図8参照)。
【0088】
図2や
図12に示すように、一対の第2フランジ部97,98は、その裏面(枠状本体部30に向く面)側の幅方向両側部が、一対の延出片60,60の先端部61,61の内面上に当接して載置される。また、第2フランジ部98の裏面側の幅方向中央部は、枠状部51を構成する所定壁部55の、一端51a側の端部に当接して載置される。
【0089】
一方、
図6や
図7に示すように、第2フランジ部97は、その裏面側であって、その幅方向の中央部には、凹部97aが形成されている。そのため、第2フランジ部97の裏面側の幅方向中央部は、一対の延出片60,60の先端部61,61には当接しないようになっている(
図15参照)。
【0090】
また、
図9に示すように、固定部材80を平面方向から見たとき(挿入部挿入方向F2から見たとき)、フランジ部95は、その外周形状が所定長さで延びる略長方形状をなしている。なお、フランジ部95の延びる方向を延出方向Eとし、この延出方向Eに直交する方向を幅方向Wとする。
【0091】
そして、フランジ部95は、防振部材50に設けた延出片60の幅よりも幅狭となるように形成されている。その結果、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入され、且つ、枠状部51の内側に挿入部81が挿入されて、保持部材20に防振部材50及び固定部材80が組付けられた状態では、一対の延出片60,60の外周縁部から、フランジ部95が出っ張らないように(はみ出ないように)になっている。
【0092】
また、
図13に示すように、フランジ部95には、枠状部51の内側への、挿入部81の挿入方向(挿入部挿入方向F2)から見たとき、延出片側テーパ部64に対応する位置に、フランジ側テーパ部100が形成されている。
【0093】
更に
図7に示すように、挿入部81の、フランジ部95側の端部には、テーパ状をなすと共に、延出片60の先端部61の内面を押圧して、延出片60を外方に屈曲させる、押圧面101が形成されている。
【0094】
そして、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入された後、枠状部51の内側に挿入部81が挿入されて押し込まれるときには、上記一対の押圧面101,101が、一対の延出片60,60の先端部61,61の内面(ここではテーパ面63,63)を押圧して、一対の延出片60,60を押し広げるようになっている(
図12及び
図14参照)。
【0095】
また、一対の第2延出部88,89の外面であって、挿入部挿入方向F2とは反対側の部分には、押圧突部103,103が突設されている。更に
図6に示すように、押圧突部103,103は、一対の第2延出部88,89の、挿入部挿入方向F2とは反対側の部分の外面から、一対の第2延出部88,89の、挿入部挿入方向F2側の部分の外面よりも、外方に突出するように設けられている。
【0096】
図6や
図7に示すように、この実施形態の場合、一対の第2延出部88,89の外面であって、挿入部81の一端81a側の部分(基端部側・一端部側の部分)から、押圧突部103,103が突設されている。各押圧突部103は、一対の第2延出部88,89の、挿入部挿入方向F2側の部分(挿入部81の先端部側・他端部側の部分)の外面(外側縁部とも言える)よりも、外方に突出した突部となっている。また、
図15を併せて参照すると、各押圧突部103は、挿入部挿入方向F2側に沿って平行に延びる押圧面104と、該押圧面104の先端から挿入部挿入方向F2に向けて次第に突出量が小さくなるテーパ面105とを有している。
【0097】
そして、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入され且つ枠状部51の内側に挿入部81が挿入されたときに、
図15に示すように、一対の押圧突部103,103の押圧面104及びテーパ面105が、一対の弾性片67,67の先端部内面のテーパ面67a,67aを押圧して、
図17に示すように、一対の第2突条部71,71の外面が、枠状本体部30を構成する一対の壁部33,33の、突出部39,39の内面に圧接されるようになっている。
【0098】
(変形例)
保持部材は、全ての部分(保持部、枠状本体部、第1係合部、第2係合部等)は、周知の合成樹脂材料で一体形成されている。また、保持部材の上記各部分の形状や構造、レイアウト等は、特に限定されない。
【0099】
なお、この実施形態の保持部21は、2個の長尺部材Pを抜け止め保持可能となっているが、保持部としては、例えば、1個又は3個以上の長尺部材を抜け止め保持可能な構造等としてもよい。更に、この実施形態の枠状本体部30は、4個の第1係合部43、及び、一対の第2係合部45,45を有しているが、各係合部の個数は特に限定されない。
【0100】
また、防振部材は、全ての部分(枠状部、当接部、延出片、弾性片、第1,第2突条部、第3,第4係合部等)が、例えば、ゴムや弾性エラストマー等の、防振性能を有する弾性樹脂材料によって、一体形成されている。更に、防振部材の上記各部分の形状や構造、レイアウト等は、特に限定されない。
【0101】
この実施形態では、一対の延出片60,60を有しているが、二対以上の延出片を有していてもよい。また、この実施形態の延出片60は、固定部材80の挿入部81の一部である押圧面101によって押圧されて撓み変形するようになっているが、延出片は、固定部材のフランジ部によって押圧されて撓み変形する構造であってもよい。
【0102】
更に、この実施形態では、一対の第3係合部69、及び、4個の第4係合部75を有しているが、各係合部の個数は特に限定されない。また、壁部53,55の外面には、それぞれ2個の第1突条部65及び第2突条部71が延設されているが、第1突条部及び第2突条部は単独でもよく、3個以上であってもよい。
【0103】
更に、固定部材は、全ての部分(挿入部、第5,第6係合部、係止部、フランジ部等)は、周知の合成樹脂材料で一体形成されている。また、固定部材の上記各部分の形状や構造、レイアウト等は、特に限定されない。
【0104】
更に、この実施形態では、フランジ部95は、その外周形状が略長方形状をなしているが、フランジ部としては、その外周形状が、例えば、正方形状、三角形状、5角以上の矩形形状、円形状、楕円形状、小判形状、ラグビーボール形状等をなしていてもよく、延出片の幅よりも幅狭となるように形成されていればよい。
【0105】
また、第5係合部91は、各第1延出部83の幅方向の両側縁部84,84から突設されているが、例えば、第1延出部83の外面から、第5係合部を突設させてもよい。
【0106】
更に、この実施形態では、押圧突部103は、第2延出部88,89の外面に設けられているが、例えば、押圧突部は、第1延出部83,83の外面に設けてもよい(これについては後述する第2実施形態で説明する)。
【0107】
また、この実施形態の場合、
図15に示すように、各押圧突部103が弾性片67の先端部内面を押圧することで、第2突条部71の外面が、枠状本体部30の内面に圧接されるようなっているが、例えば、弾性片67の外面に設けた第3係合部69の頂部69bを、枠状本体部30の壁部33の内面に圧接させる構成としてもよい。
【0108】
(作用効果)
次に、上記構成からなる保持具10の使用方法について説明する。
【0109】
まず、保持部材20と防振部材50と固定部材80とからなる、保持具10を組付ける。
【0110】
すなわち、枠状本体部30に設けた一対の突出部39,39の間の空間に、防振部材50の第3係合部69を位置合わせした状態で、
図1や
図10の枠状部挿入方向F1に示すように、枠状本体部30の内側に被固定部材1から枠状部51を挿入、すなわち、枠状本体部30の他端36側の開口から、枠状部51の一端51a側を枠状本体部30内に挿入していく。
【0111】
すると、枠状本体部30の一対の壁部31,31の内面に、一対の第1突条部65,65が摺接されると共に、枠状本体部30の一対の突出部39,39の内側面39a,39aの間に、第3係合部69が入り込み、且つ、スリット66内を第1係合部43が移動していく。更に、枠状本体部30の一対の壁部33,33の内面に、第3係合部69の外面が押圧されて、一対の弾性片67,67が、その先端部どうしが互いに近づくように撓み変形しながら挿入されていく。
【0112】
そして、枠状部51の当接部57のフランジ部58が、枠状本体部30の他端36側の端面に当接するまで、枠状部51を押し込む。すると、枠状本体部30の一端35側の端面から、枠状部51の一対の延出片60,60が突出する(
図11参照)。
【0113】
それと共に、第3係合部69が、枠状本体部30の第2係合部45を乗り越えて、撓み変形した弾性片67が弾性復帰して、
図15に示すように、防振部材50の第3係合部69の他端面69aと、保持部材20の第2係合部45の一端面45aとが、所定クリアランスを空けて対向配置されて、第3係合部69と第2係合部45とが互いに係合可能となり、保持部材20に防振部材50を組付けることができる。
【0114】
その後、枠状本体部30の内側に挿入配置された枠状部51の一対のスリット66,66に、固定部材80の挿入部81の一対の第5係合部91,91を位置合わせした状態で、
図1や
図11の挿入部挿入方向F2に示すように、枠状部51の内側に被固定部材1とは反対側から挿入部81を挿入、すなわち、枠状部51の一端51a側の開口から、挿入部81の他端81b側を枠状部51内に挿入していく。
【0115】
すると、枠状部51の一対のスリット66,66内を、挿入部81の一対の第5係合部91,91が移動して、各第5係合部91が、枠状本体部30の各第1係合部43を押圧して、各第1係合部43を枠状本体部30の外方に撓み変形させる。
【0116】
更に、枠状部51に対して挿入部81を押し込んでいくと、挿入部81の一部に設けられた一対の押圧面101,101によって、一対の延出片60,60の先端部61,61の内面(ここではテーパ面63,63)がそれぞれ押圧されて、一対の延出片60,60が外方に屈曲するように撓み変形していく。
【0117】
そして、枠状本体部30を構成する一対の壁部31,31の一端35側の端面に、一対の延出片60,60の先端部61,61の外面が当接し、且つ、一対の延出片60,60の先端部61,61の内面に、フランジ部95を構成する一対の第1フランジ部96,96が当接するまで押し込む。
【0118】
すると、枠状部51に対する挿入部81の最大挿入位置が規制されると共に、挿入部81の各第6係合部93内に、枠状部51の第4係合部75が入り込んで、第6係合部93と第4係合部75とが互いに係合して(
図16参照)、防振部材50に固定部材80を組付けることができる。
【0119】
それと共に、各第5係合部91が各第1係合部43を乗り越えることで、各第1係合部43が弾性復帰して、
図16に示すように、第1係合部43と第5係合部91とが所定クリアランスを空けて対向配置されて、第1係合部43と第5係合部91とが互いに係合可能となる。
【0120】
また、
図14に示すように、一対の押圧面101,101が、一対の延出片60,60の内面に密接すると共に、一対の第1フランジ部96,96が、一対の延出片60,60の先端部61,61の内面上に載置されて、延出片60の先端部61が壁部31の一端35側の端面と第1フランジ部96とで挟持される。
【0121】
更に、
図15に示すように、固定部材80に設けた各押圧突部103が、保持部材20に設けた各弾性片67の内面に圧接される。
【0122】
また、
図15に示すように、第2フランジ部97の、裏面側の幅方向両側部が、一方の延出片60の先端部61上に載置される。更に、第2フランジ部98の、裏面側の幅方向両側部が、他方の延出片60の先端部61上に載置されると共に、同第2フランジ部98の裏面側の幅方向中央部が、枠状部51を構成する所定の壁部55の一端51a側の端部に載置される。
【0123】
また、
図15に示すように、一対の押圧突部103,103の押圧面104及びテーパ面105が、一対の弾性片67,67の先端部内面のテーパ面67a,67aを押圧して、
図17に示すように、一対の第2突条部71,71の外面が、枠状本体部30を構成する一対の壁部33,33の、突出部39,39の内面に圧接される。
【0124】
上記のようにして、保持具10を組付けた後、保持具10を、軸部材5を介して被固定部材1に固定する。すなわち、保持具10を、被固定面3に近接する方向となるように、被固定部材1に向けて押し込んでいく。
【0125】
すると、軸部材5が、その他端側から、枠状部51の他端51b側の開口を通過して、挿入部81の内側に受け入れられて、複数の係止部94に係止していく。その後、枠状部51の当接部57の台座部59が、被固定面3に当接するまで、保持具10を押し込むことで、軸部材5を介して、被固定部材1に保持具10を固定することができる。
【0126】
次いで、保持部21の保持空間27に、長尺部材Pを挿入することで、長尺部材Pが保持爪29によって保持されて、保持具10を介して、被固定部材1に長尺部材Pを配設することができる(
図12参照)。なお、長尺部材Pは、保持具10を被固定部材1に固定する前に、保持するようにしてもよい。
【0127】
そして、この保持具10においては、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入され且つ枠状部51の内側に挿入部81が挿入されたときに、延出部(第2延出部88,89)に設けた押圧突部103,103が枠状部51の内面(一対の弾性片67,67の先端部内面)を押圧し、それによって枠状部51の外面(第2突条部71の外面)が枠状本体部30の内面(一対の壁部33,33の、突出部39,39の内面)に圧接されるようになっている(
図15及び
図17参照)。
【0128】
そのため、保持部21に保持される長尺部材Pにこじれるような力(以下、単に「こじれ力」ともいう)、例えば、すなわち、
図18の二点鎖線で示すように、長尺部材Pに対して、被固定部材1の被固定面3から近接したり離反したりするような力が作用しても、枠状本体部30の傾きや、倒れ、転び等を抑制することができ、保持部材20の枠状本体部30を、固定部材80に干渉させにくくすることができる。
【0129】
その結果、保持具10において、防振部材50を介さない振動の伝達経路を生じにくくすることができるので(枠状本体部30と固定部材80とが当接することで生じる、振動の伝達経路の発生を抑制可能となるため)、防振部材50の防振性能を十分に発揮させることができる。
【0130】
また、この実施形態においては、
図6に示すように、押圧突部103は、一対の第2延出部88,89の、挿入部挿入方向F2とは反対側の部分の外面から、一対の第2延出部88,89の、挿入部挿入方向F2側の部分の外面よりも、外方に突出するように設けられている。
【0131】
上記態様によれば、押圧突部103,103は、一対の第2延出部88,89の、挿入部挿入方向F2とは反対側の部分の外面から突出しているので、枠状部51に対して挿入部81が挿入された当初から、フランジ部95が一対の延出片60,60の先端部61,61に近接又は当接する前までの間は、押圧突部103が枠状部51の内面を押圧せず、フランジ部95が先端部61,61に当接して押圧する段階になって、初めて押圧突部103が枠状部51の内面を押圧することになる。
【0132】
その結果、枠状部51の内側への、挿入部81の挿入抵抗を少なくすることができるので、枠状部51の内側に挿入部81をスムーズに挿入することができる。
【0133】
また、枠状部51の一端51а側の内面が、押圧突部103によって局所的に強く押圧されるので、枠状本体部30の内面に対する枠状部51の外面の圧接力を高めることができる。その結果、長尺部材Pにこじれ力が作用したときの、枠状本体部30の傾き等を、より効果的に抑制することができる。
【0134】
更に、この実施形態においては、枠状本体部30の内面に、被係合部(第2係合部45)が設けられている。更に、枠状部51の外面には、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、前記被係合部に係合する係合部(第3係合部69)が設けられており、枠状部51の内面であって第3係合部69が設けられた位置に適合する箇所を、押圧突部103が押圧するように構成されている(
図15参照)。
【0135】
上記態様によれば、枠状部51の内面であって、第3係合部69が設けられた位置に適合する箇所を、押圧突部103が押圧するので、第3係合部69と第2係合部45との係合箇所において、枠状本体部30の内面に対する枠状部51の外面の圧接強度を向上させることができ、保持部材20と防振部材50との装着状態を確実に維持しつつ、枠状本体部30の傾き等を抑制して、防振部材50の防振性能を確実に発揮させることができる。
【0136】
また、保持部材20と防振部材50とを、効率的・機能的に係合ができる形状・構造とすることができる。仮に、被係合部と係合部との係合部分とは無関係の箇所を、押圧突部で押圧した場合、確実な装着状態とすることが困難であるため、防振性能が低下する可能性がある。
【0137】
また、この実施形態においては、枠状部51には、一対のスリット66,66を介して、撓み変形可能な弾性片67が形成されており、該弾性片67に係合部(第3係合部69)が設けられており、弾性片67の内面を押圧突部103が押圧する構成となっている。
【0138】
枠状本体部30の内側への枠状部51の挿入時には、枠状本体部30の内面に設けた被係合部(第2係合部45)を、枠状部51の外面に設けた第3係合部69が乗り越える必要がある。この際、本実施形態においては、第3係合部69は、一対のスリット66,66を介して撓み変形可能な弾性片67に形成されているので、第3係合部69が第2係合部45を乗り越えやすくすることができ、枠状本体部30の内側に枠状部51を挿入しやすくなる。
【0139】
また、撓み変形可能な弾性片67の内面を押圧突部103が押圧することで、弾性片67の撓み変形を規制することができ、第3係合部69と第2係合部45との係合力を維持して、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入された状態に確実に保持することができる。
【0140】
更に、この実施形態においては、弾性片67の外面には、挿入部挿入方向F2に延びる突条部(第2突条部71)が設けられており、該第2突条部71は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、枠状本体部30の内面に圧接されるようになっている(
図17参照)。
【0141】
上記態様によれば、弾性片67の外面に設けた第2突条部71が、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、枠状本体部30の内面に圧接されるので、弾性片67が、枠状本体部30の内面に部分的に圧接されることになる。その結果、弾性片67の全体が枠状本体部30の内面に圧接される場合と比べて、保持部材20からの振動が伝達される部分の面積を減らすことができるので、防振部材50のばね定数を下げることが可能となるため、防振部材50の防振性能をより高めることができる。
【0142】
また、弾性片67の外面に第2突条部71を設けたことで、枠状部51の外面を枠状本体部30の内面に、より確実に圧接させることができる。
【0143】
更に、この実施形態においては、弾性片67の外面であって突条部と係合部との間(第2突条部71と第3係合部69との間)には、凹溝状をなした凹溝部73が形成されており、この凹溝部73は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、枠状本体部30の内面(壁部33の内面)から離間するようになっている(
図17参照)。
【0144】
上記態様によれば、第2突条部71と第3係合部69との間に形成された凹溝部73は、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入されたときに、枠状本体部30の内面から離間するので、弾性片67を、枠状本体部30の内面に、より確実に部分的に圧接させることができ、防振部材50の防振性能をより一層高めることができる。
【0145】
また、凹溝部73を形成したことで、弾性片67をより撓み変形させやすくすることができるので、固定部材80に押圧突部103が設けられていても、枠状部51の内側に挿入部81を挿入しやすくなる。すなわち、外方に突出した押圧突部103を設けたことで、挿入部81を、枠状部51の内側に挿入しにくくなる懸念があるところ、弾性片67を外方に撓み変形させやすいため、枠状部51の内側への挿入部81の挿入作業に支障がない。
【0146】
更に、この実施形態においては、
図13に示すように、固定部材80のフランジ部95は、防振部材50の延出片60の幅よりも幅狭となるように形成されている。
【0147】
そのため、保持部21に保持される長尺部材Pにこじれ力が作用しても、保持部材20の枠状本体部30を、固定部材80のフランジ部95に干渉させにくくすることができる。つまり、長尺部材Pにこじれ力が作用して、枠状本体部30がフランジ部95に当接しようとしても、枠状本体部30は、まず防振部材50の延出片60に当接することになるので、枠状本体部30がフランジ部95に直接的に当接することが抑制される。
【0148】
その結果、保持具10において、防振部材50を介さない振動の伝達経路を生じにくくすることができるので、防振部材50の防振性能を十分に発揮させることができる。
【0149】
そして、この保持具10においては、保持部21に保持された長尺部材Pにこじれ力が作用しても、段落0023に記載された構造による効果(段落0128,0129参照)と、固定部材80のフランジ部95が、防振部材50の延出片60の幅よりも幅狭となるように形成された構造による効果との相乗効果によって、防振部材50が有する防振性能をより確実に発揮させることができる。
【0150】
(長尺部材の保持具の第2実施形態)
図19~21には、本発明に係る長尺部材の保持具の、第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0151】
図21に示す第2実施形態の長尺部材の保持具10A(以下、単に「保持具10A」ともいう)は、固定部材の形状が第1実施形態と異なっている。
【0152】
すなわち、
図19及び
図20に示すように、この実施形態の固定部材80Aは、挿入部81を構成する一対の第1延出部83,83の外面であって、その幅方向中央に、突条をなした押圧突部107がそれぞれ延設されている。各押圧突部107は、その一端が第1フランジ部96の裏面に連結されており、他端が第1延出部83の他端に至るまで延びている。
【0153】
そして、
図21に示すように、枠状本体部30の内側に枠状部51が挿入され且つ枠状部51の内側に挿入部81が挿入されたときには、第2延出部88,89に設けた押圧突部103,103が枠状部51の内面(一対の弾性片67,67の先端部内面)を押圧すると共に、第1延出部83,83に設けた押圧突部107,107が枠状部51の内面(一対の壁部53,53の内面)を押圧する。
【0154】
それによって、枠状部51の外面(第2突条部71,71の外面)が枠状本体部30の内面(一対の壁部33,33の、突出部39,39の内面)に圧接されると共に、枠状部51の外面(第1突条部65,65の外面)が枠状本体部30の内面(一対の壁部31,31の内面)に圧接される。
【0155】
すなわち、この実施形態では、枠状本体部30を構成する壁部31,33のそれぞれの内面に、枠状部51の外面が圧接されるようになっている。その結果、保持部21に保持される長尺部材Pに対してこじれ力が、様々な方向に作用しても、それに柔軟に対応して枠状本体部30の傾き等を効果的に抑制することができ、枠状本体部30と固定部材80とを干渉させにくくして、防振部材50の防振性能を十分に発揮させることができる。
【0156】
(長尺部材の保持具の第3実施形態)
図22には、本発明に係る長尺部材の保持具の、第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0157】
図22に示す第2実施形態の長尺部材の保持具10B(以下、単に「保持具10B」ともいう)は、固定部材80Aは前記第2実施形態と同様だが(押圧突部107を有する形状)、防振部材の形状が前記実施形態と異なっている。
【0158】
すなわち、この実施形態の防振部材50Bは、一対の延出片60,60を有しない構造となっている。また、
図22に示すように、枠状本体部30の内側に枠状部51を挿入した状態では、枠状本体部30の一端35側の開口から、枠状部51を構成する一対の壁部53,53及び一対の壁部55,55の、一端51a側の部分が、所定長さ突出するようになっている(
図22では便宜上、壁部53のみが示されている)。
【0159】
そして、保持部材20に防振部材50B及び固定部材80Aが組付けられた状態では、第2延出部88,89に設けた押圧突部103,103が枠状部51の内面(一対の弾性片67,67の先端部内面)を押圧すると共に、第1延出部83,83に設けた押圧突部107,107が枠状部51の内面(一対の壁部53,53の内面)を押圧する。それと共に、枠状部51を構成する一対の壁部53,53及び該壁部53の外面に突設された第1突条部65の一端51a側の端部と、同じく枠状部51を構成する一対の壁部55,55の一端51a側の端部とに、固定部材80Aのフランジ部95の裏面が当接するようになっている。
【0160】
この実施形態においても、前記実施形態と同様に、保持部21に保持される長尺部材Pにこじれ力が作用した際に、枠状本体部30の傾き等を抑制して、枠状本体部30と固定部材80Aとを干渉させにくくすることができ、防振部材50Bの防振性能を十分に発揮させることができる。
【0161】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0162】
1 被固定部材
5 軸部材
10,10A,10B 長尺部材の保持具(保持具)
10A 保持具
20 保持部材
21 保持部
30 枠状本体部
45 第2係合部(被係合部)
50,50B 防振部材
51 枠状部
66 スリット
67 弾性片
69 第3係合部(係合部)
80,80A 固定部材
83 第1延出部
88,89 第2延出部
103,107 押圧突部
P 長尺部材