(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067230
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】フォトカプラ
(51)【国際特許分類】
H01L 31/12 20060101AFI20240510BHJP
G02B 6/43 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L31/12 E
G02B6/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177140
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】佐野 義昭
【テーマコード(参考)】
2H137
5F889
【Fターム(参考)】
2H137AA11
2H137AB05
2H137AB06
2H137AB11
2H137AC04
2H137BA01
2H137BA31
2H137BA33
2H137BB03
2H137BB12
2H137BB23
2H137BC55
2H137CC01
2H137DA02
2H137DA34
2H137HA00
5F889AB01
5F889AC11
5F889AC13
5F889AC21
5F889EA04
5F889GA01
(57)【要約】
【課題】信号の伝送速度の高速化や良好な絶縁耐圧を、単純な構造且つ低コストで実現可能なフォトカプラを提供する。
【解決手段】フォトカプラ1は、半導体レーザ8と、半導体レーザから出力された光を受光する受光素子12と、半導体レーザから出力された光を受光素子へ伝送する光伝送路と、半導体レーザが実装される第1リードフレーム6aと、受光素子が実装される第2リードフレーム6bであって、第1リードフレームと絶縁された第2リードフレームと、半導体レーザ及び受光素子を封止する樹脂部材16であって、半導体レーザから出力された光を光伝送路に向けて反射する第1プリズム20と、光伝送路を通過した光を受光素子に向けて反射する第2プリズム22と、を有する樹脂部材と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザと、
前記半導体レーザから出力された光を受光する受光素子と、
前記半導体レーザから出力された光を前記受光素子へ伝送する光伝送路と、
前記半導体レーザが実装される第1リードフレームと、
前記受光素子が実装される第2リードフレームであって、前記第1リードフレームと絶縁された前記第2リードフレームと、
前記半導体レーザ及び前記受光素子を封止する樹脂部材であって、前記半導体レーザから出力された光を前記光伝送路に向けて反射する第1プリズムと、前記光伝送路を通過した光を前記受光素子に向けて反射する第2プリズムと、を有する前記樹脂部材と、
を備えるフォトカプラ。
【請求項2】
前記光伝送路は、前記樹脂部材と一体成型された光導波路、又は、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間に配置された光ファイバである、
請求項1に記載のフォトカプラ。
【請求項3】
前記半導体レーザは、前記第1リードフレームへの実装面とは反対側の発光面から光を出力する、請求項1又は2に記載のフォトカプラ。
【請求項4】
前記受光素子は、前記第2リードフレームへの実装面とは反対側の受光面において光を受光する、請求項3に記載のフォトカプラ。
【請求項5】
前記第1リードフレームと前記第2リードフレームとは、前記半導体レーザの実装面と前記受光素子の実装面とが同一平面内に位置するように配置される、
請求項4に記載のフォトカプラ。
【請求項6】
さらに、前記第1リードフレームに実装され、入力された電気信号に応じて前記半導体レーザを駆動する駆動回路を備える、請求項1又は2に記載のフォトカプラ。
【請求項7】
さらに、前記第2リードフレームに実装され、前記受光素子から出力された電気信号を増幅する増幅回路を備える、請求項6に記載のフォトカプラ。
【請求項8】
前記駆動回路に入力される電気信号及び前記増幅回路から出力される電気信号は、差動電圧信号である、請求項7に記載のフォトカプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された電気信号を内部において光信号に変換し、その光信号を電気信号に再変換して出力するためのフォトカプラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力された電気信号を内部において光信号に変換し、その光信号を電気信号に再変換して出力するためのフォトカプラが使用されている(例えば、特許文献1参照)。フォトカプラにより、信号の入力側と出力側とを電気的に絶縁しながら、信号を伝達することができる。また、フォトカプラにおける発光素子と受光素子との相対的な位置精度を向上させるため、発光素子と受光素子とを同一の基板上に配置した光モジュールも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-102979号公報
【特許文献2】特開2017-107054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されているような従来のフォトカプラでは、半導体レーザと比較して応答性に劣るLEDが発光素子として用いられているため、信号の高速化に対応することが難しい。また、発光素子と受光素子とが向かい合うように配置されているため、発光素子及び受光素子が接続された端子間の距離が近く、高い絶縁耐圧を得ることが難しい。また、上記の特許文献2に記載されているような光モジュールでは、光導波路を設置するための凹部を基板上に形成し、光導波路のコアやクラッド、反射膜等をその上に配置しなければならず、構造の複雑化やコスト増大を招く。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、信号の伝送速度の高速化や良好な絶縁耐圧を、単純な構造且つ低コストで実現可能なフォトカプラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態に係るフォトカプラは、半導体レーザと、半導体レーザから出力された光を受光する受光素子と、半導体レーザから出力された光を受光素子へ伝送する光伝送路と、半導体レーザが実装される第1リードフレームと、受光素子が実装される第2リードフレームであって、第1リードフレームと絶縁された第2リードフレームと、半導体レーザ及び受光素子を封止する樹脂部材であって、半導体レーザから出力された光を光伝送路に向けて反射する第1プリズムと、光伝送路を通過した光を受光素子に向けて反射する第2プリズムと、を有する樹脂部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フォトカプラにおける信号の伝送速度の高速化や良好な絶縁耐圧を、単純な構造且つ低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るフォトカプラの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るフォトカプラの側断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るフォトカプラの半導体レーザ及び受光素子が実装されたリードフレームの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の変形例に係るフォトカプラの側断面図である。
【
図5】本発明の実施形態の変形例に係るフォトカプラの斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係るフォトカプラの側断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例に係るフォトカプラの斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態の変形例に係るフォトカプラの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態(変形例も含む)は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、フォトカプラを構成することを排除するものではない。
【0010】
[フォトカプラの構成]
まず、
図1乃至
図3を参照して、本発明の一実施形態に係るフォトカプラの構成について、具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係るフォトカプラの斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るフォトカプラの側断面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るフォトカプラの半導体レーザ及び受光素子が実装されたリードフレームの斜視図である。各図において、フォトカプラの長手方向(長さ方向)を「X」と表記し、フォトカプラの短手方向(幅方向又は左右方向)を「Y」と表記し、フォトカプラの高さ方向(又は上下方向)を「Z」と表記している。
【0011】
本実施形態のフォトカプラは、外部から入力された電気信号を内部において光信号に変換し、その光信号を電気信号に再変換して外部に出力する。
図1に示すように、フォトカプラ1は、プリント基板に実装されるリード2と、信号の光電気変換を行うための素子等を収容するパッケージ4とを有する。リード2は、プリント基板への実装方式に応じて任意の形状とすることができるが、本実施形態では、表面実装用にリード2がガルウィング状に形成されている。パッケージ4は、例えば遮光性を有する樹脂により形成され、パッケージ4の内外の光の通過を遮断するようになっている。
【0012】
図2及び
図3に示すように、リード2はパッケージ4の内部においてリードフレーム6を形成している。リードフレーム6は、電気信号の入力側のリード2から延びる第1リードフレーム6aと、電気信号の出力側のリード2から延びる第2リードフレーム6bとを含む。これらの第1リードフレーム6aと第2リードフレーム6bとは、互いに接触しないように離間して配置され、電気的に絶縁されている。
【0013】
第1リードフレーム6aには、半導体レーザ8と、半導体レーザ8を駆動する駆動回路を含む駆動デバイス10とが実装されている。本実施形態の半導体レーザ8は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)であり、第1リードフレーム6aへの実装面とは反対側の発光面(
図2における下面)から垂直にレーザビームを出力する。駆動デバイス10は、例えば、VCSELドライバを含み、入力側のリード2を介して入力される差動電圧信号に応じて、半導体レーザ8を駆動するように構成されている。
【0014】
第2リードフレーム6bには、受光素子12と、受光素子12から出力された電気信号を増幅する増幅回路を含む増幅デバイス14とが実装されている。本実施形態の受光素子12は、フォトダイオードであり、第2リードフレーム6bへの実装面とは反対側の受光面(
図2における下面)において光を受光する。増幅デバイス14は、例えば、トランスインピーダンスアンプ/リミッティングアンプ(TIA/LA)を含み、受光素子12から出力された電気信号を増幅して、出力側のリード2を介して差動電圧信号を出力するように構成されている。
【0015】
第1リードフレーム6aと第2リードフレーム6bとは、半導体レーザ8の実装面と受光素子12の実装面とが同一平面内に位置し、半導体レーザ8と受光素子12とがフォトカプラ1の長手方向Xに沿って整列するように配置される。
【0016】
また、
図2に示すように、パッケージ4の内部において、第1リードフレーム6aに実装された半導体レーザ8及び駆動デバイス10と、第2リードフレーム6bに実装された受光素子12及び増幅デバイス14とは、一体の樹脂部材16により封止されている。
【0017】
樹脂部材16は、各種電子部品を実装した第1リードフレーム6a及び第2リードフレーム6bを金型のキャビティ内の所定位置に配置した後、溶融樹脂をキャビティに充填し硬化させることによって形成される。樹脂部材16の材料としては、光透過性の高い樹脂、例えばエポキシ樹脂などの硬化性樹脂が用いられる。また、樹脂部材16の成形方式としては、例えばトランスファー成形を利用することができる。
【0018】
樹脂部材16には、半導体レーザ8から出力された光を受光素子12へ伝送する光伝送路として、光導波路18のコア18aが形成されると共に、半導体レーザ8から出力された光を光導波路18に向けて反射する第1プリズム20と、光導波路18を通過した光を受光素子12に向けて反射する第2プリズム22とが、光導波路18のコア18aと一体に形成されている。
【0019】
第1プリズム20は、半導体レーザ8の発光面からレーザビームが射出される光軸上に配置され、入射した光を受光素子12に向かう方向(長手方向X)に反射するように形成されている。
図2の例では、第1プリズム20は半導体レーザ8の発光面の下方に位置し、受光素子12の方向に向かって約45度傾斜している。第1プリズム20の反射面20aは、平面でもよく、半導体レーザ8からの入射光を集束させる集光面(凹面)に形成してもよい。
【0020】
第2プリズム22は、光導波路18の光軸上に配置され、光導波路18から入射した光を受光素子12の受光面に向かう方向に反射するように形成されている。
図2の例では、第2プリズム22は受光素子12の受光面の下方に位置し、半導体レーザ8の方向に向かって約45度傾斜している。第2プリズム22の反射面22aは、平面でもよく、光導波路18からの入射光を集束させる集光面(凹面)に形成してもよい。
【0021】
光導波路18のコア18aは、第1プリズム20と第2プリズム22との間を、フォトカプラ1の長手方向Xに沿って延びるように形成される。
図2の例では、光導波路18のコア18aは、第1プリズム20と第2プリズム22との間を左右に延びるように形成されている。また、受光素子12の受光面に入射する光の損失を低減し、受光素子12から十分な出力電流を得られるようにするため、光導波路18を通過して第2プリズム22に入射する光の径が受光素子12の受光面より小さくなるように、光導波路18のコア径が設定される。なお、光導波路18のコア18aを囲む空間が、光導波路18のクラッド18bを形成している。このように光伝送路を設けることにより、信号の伝送距離(即ち第1リードフレーム6aと第2リードフレーム6bとの距離)を自由に伸ばすことができるので、所望の絶縁耐圧に応じた伝送距離の設定が可能になる。
【0022】
上記のように構成された本実施形態のフォトカプラ1において、入力側のリード2から第1リードフレーム6aを介して駆動デバイス10に電気信号が入力されると、その電気信号に応じて駆動デバイス10が半導体レーザ8を駆動し、電気信号から変換された光信号のレーザビームが半導体レーザ8の発光面から垂直に射出される。射出された光信号は、第1プリズム20に入射し、第1プリズム20の反射面20aで反射されて光導波路18の光軸方向に向きを変え、光導波路18のコア18aに入る。さらに、光導波路18のコア18aを通過した光信号は、第2プリズム22に入射し、第2プリズム22の反射面22aで反射されて受光素子12の受光面の方向に向きを変え、受光面に入射する。受光素子12は、入射した光信号に応じた電気信号を増幅デバイス14に出力する。増幅デバイス14は、受光素子12から出力された電気信号を増幅し、第2リードフレーム6bを介して出力側のリード2から電気信号を出力する。
【0023】
[変形例]
次に、
図4乃至
図8を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図4は、本実施形態の第1の変形例に係るフォトカプラ1の側断面図である。
図5は、本実施形態の第2の変形例に係るフォトカプラ1の斜視図である。
図6は、本実施形態の第2の変形例に係るフォトカプラ1の側断面図である。
図7は、本実施形態の第3の変形例に係るフォトカプラ1の斜視図である。
図8は、本実施形態の第3の変形例に係るフォトカプラ1の側断面図である。
【0024】
上記の実施形態では、光伝送路として、光導波路18のコア18aが第1プリズム20及び第2プリズム22と一体に樹脂部材16に形成されていると説明したが、樹脂部材16とは別の部材により光伝送路を設けることもできる。例えば、
図4の第1の変形例に示すように、光伝送路として光ファイバ24を設けることができる。光ファイバ24は、第1プリズム20と第2プリズム22との間を、フォトカプラ1の長手方向Xに沿って延びるように配置される。
図4の例では、光ファイバ24は、第1プリズム20と第2プリズム22との間を左右に延びるように配置されている。この第1の変形例において、光信号のレーザビームが半導体レーザ8の発光面から垂直に射出されると、射出された光信号は、第1プリズム20に入射し、第1プリズム20の反射面20aで反射されて光ファイバ24の光軸方向に向きを変え、光ファイバ24のコアに入る。さらに、光ファイバ24のコアを通過した光信号は、第2プリズム22に入射し、第2プリズム22の反射面22aで反射されて受光素子12の受光面の方向に向きを変え、受光面に入射する。光伝送路として光ファイバ24を用いる場合、上記の実施形態のように光導波路18を樹脂部材16に一体に形成したときのコア径よりも光ファイバ24のコア径を小さくすることができる。これにより、光ファイバ24を通過した後に第2のプリズムを介して受光素子12の受光面に入射する光の径を、より容易に受光面よりも小さくすることができ、受光素子12の受光面に入射する光の損失を低減することができる。
【0025】
また、上記の実施形態では、パッケージ4の外側に突出したリード2がガルウィング状に形成され、フォトカプラ1がプリント基板に表面実装される例を説明したが、
図5及び
図6の第2の変形例に示すように、プリント基板上に配置されたソケット26にフォトカプラ1をはめ込むことにより、フォトカプラ1が実装されるように構成することもできる。この第2の変形例では、
図6に示すように、ソケット26が電気信号の入力側の電極28と出力側の電極28とを備えている。フォトカプラ1のリード2の端部は、パッケージ4の側面に沿うように折り曲げられており、フォトカプラ1がソケット26にはめ込まれたときにソケット26の電極28に圧接される電極パッド30を形成する。
【0026】
また、上記の第2の変形例では、フォトカプラ1は、1枚のプリント基板上に配置されたソケット26にはめ込まれることにより実装されるが、
図7及び
図8の第3の変形例に示すように、対向する2枚のプリント基板(例えば主基板32と拡張基板34(メザニン))の一方に配置された、入力側の電極28を備えた入力側ソケット36と、他方に配置された出力側の電極28を備えた出力側ソケット38とのそれぞれにはめ込まれることにより実装されるようにしてもよい。この第3の変形例では、
図8に示すように、フォトカプラ1のリード2の端部は、パッケージ4の底面(
図8においては下側の面)に沿うように折り曲げられており、フォトカプラ1が入力側ソケット36と出力側ソケット38のそれぞれにはめ込まれたときに、各ソケット36、38の電極28に圧接される電極パッド30を形成している。上記のとおり、フォトカプラ1の入力側のリード2と出力側のリード2とは電気的に絶縁されているので、入力側ソケット36が配置された基板と出力側ソケット38が配置された基板とが電気的に絶縁された状態で、フォトカプラ1により両基板の間で信号を伝送することができる。
【0027】
[作用及び効果]
次に、上述した本実施形態及び変形例に係るフォトカプラ1の作用及び効果について説明する。
【0028】
本実施形態に係るフォトカプラ1は、半導体レーザ8と、半導体レーザ8から出力された光を受光する受光素子12と、半導体レーザ8から出力された光を受光素子12へ伝送する光伝送路と、半導体レーザ8が実装される第1リードフレーム6aと、受光素子12が実装される第2リードフレーム6bであって、第1リードフレーム6aと絶縁された第2リードフレーム6bと、半導体レーザ8及び受光素子12を封止する樹脂部材16であって、半導体レーザ8から出力された光を光伝送路に向けて反射する第1プリズム20と、光伝送路を通過した光を受光素子12に向けて反射する第2プリズム22と、を有する樹脂部材16と、を備える。
【0029】
このような本実施形態に係るフォトカプラ1によれば、半導体レーザ8及び受光素子12を封止する樹脂部材16が、半導体レーザ8から出力された光を光伝送路に向けて反射する第1プリズム20と、光伝送路を通過した光を受光素子12に向けて反射する第2プリズム22とを有するので、半導体レーザ8及び受光素子12の樹脂による封止と同時に第1プリズム20及び第2プリズム22を形成することができる。これにより、半導体レーザ8から受光素子12へ光信号を伝送するための構造を、単純な構造及び少ない製造工程で実現することができ、フォトカプラ1における信号の伝送速度の高速化や良好な絶縁耐圧を、単純な構造且つ低コストで実現することができる。
【0030】
また、本実施形態に係るフォトカプラ1では、光伝送路は、樹脂部材16と一体成型された光導波路18、又は、第1プリズム20と第2プリズム22との間に配置された光ファイバ24である。したがって、光導波路18を樹脂部材16と一体成型することにより更なる構造の単純化・低コスト化を実現することができ、あるいは、光ファイバ24を用いて光伝送路を構成することにより、光ファイバ24を通過した後に第2のプリズムを介して受光素子12の受光面に入射する光の径を容易に受光面よりも小さくすることができ、受光素子12の受光面に入射する光の損失を低減することができる。
【0031】
また、本実施形態に係るフォトカプラ1では、半導体レーザ8は、第1リードフレーム6aへの実装面とは反対側の発光面から光を出力する。したがって、第1リードフレーム6aに光を通過させる構造を設ける必要がなく、更なる構造の単純化・低コスト化を実現することができる。
【0032】
また、本実施形態に係るフォトカプラ1では、受光素子12は、第2リードフレーム6bへの実装面とは反対側の受光面において光を受光する。したがって、第2リードフレーム6bに光を通過させる構造を設ける必要がなく、更なる構造の単純化・低コスト化を実現することができる。
【0033】
また、本実施形態に係るフォトカプラ1では、第1リードフレーム6aと第2リードフレーム6bとは、半導体レーザ8の実装面と受光素子12の実装面とが同一平面内に位置するように配置される。これにより、半導体レーザ8及び受光素子12の高さ方向の位置を合わせて、光伝送路を直線的に形成することができ、光伝送路における損失を低減することができると共に、フォトカプラ1のパッケージ4の厚さを抑えることができる。
【0034】
また、本実施形態に係るフォトカプラ1では、さらに、第1リードフレーム6aに実装され、入力された電気信号に応じて半導体レーザ8を駆動する駆動回路を備える。これにより、駆動回路を内蔵した利便性・汎用性の高いフォトカプラ1を提供することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るフォトカプラ1では、さらに、第2リードフレーム6bに実装され、受光素子12から出力された電気信号を増幅する増幅回路を備える。これにより、増幅回路を内蔵した利便性・汎用性の高いフォトカプラ1を提供することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るフォトカプラ1では、駆動回路に入力される電気信号及び増幅回路から出力される電気信号は、差動電圧信号である。したがって、外来ノイズに強く信号の伝送速度の高速化が可能なフォトカプラ1を提供することができる。
【0037】
なお、本発明の個々の実施形態は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。また、上述した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係るフォトカプラは、例えば、信号伝送等の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 フォトカプラ
2 リード
4 パッケージ
6 リードフレーム
6a 第1リードフレーム
6b 第2リードフレーム
8 半導体レーザ
10 駆動デバイス
12 受光素子
14 増幅デバイス
16 樹脂部材
18 光導波路
18a コア
18b クラッド
20 第1プリズム
20a 反射面
22 第2プリズム
22a 反射面
24 光ファイバ
26 ソケット
28 電極
30 電極パッド
32 主基板
34 拡張基板(メザニン)
36 入力側ソケット
38 出力側ソケット
X 長手方向又は長さ方向
Y 短手方向、幅方向又は左右方向
Z 高さ方向又は上下方向