(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067242
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】即湯機能付き給湯システム及び即湯機能付き給湯器
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20240510BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240510BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20240510BHJP
F24H 15/176 20220101ALI20240510BHJP
F24H 15/34 20220101ALI20240510BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24H1/14 B
F24H15/238
F24H15/176
F24H15/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177159
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 悠也
(72)【発明者】
【氏名】浅井 佑介
【テーマコード(参考)】
3L034
3L073
【Fターム(参考)】
3L034CA01
3L034DA01
3L034DA05
3L073AD08
3L073AE04
(57)【要約】
【課題】給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓から出湯することができ、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を実現できる即湯機能付き給湯システム及び即湯機能付き給湯器を提供する。
【解決手段】即湯機能付き給湯システム100において、循環ポンプ5は、合流部50、給水管10、内部流路4A、出湯管20、湯水流通管60及び戻し管65によって形成される循環路7内で湯水を循環させる。制御部C1は、給湯運転、即湯運転及び凍結防止運転を実行する。制御部C1は、凍結防止運転において循環ポンプ5が作動中であるときに水量センサ70が検出する流量である第2循環流量CF2を、即湯運転において循環ポンプ5が作動中であるときに水量センサ70が検出する流量である第1循環流量CF1よりも小さくするように循環ポンプ5を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流路が形成された熱交換器と、
前記熱交換器を加熱する加熱手段と、
外部の給水源から供給される水を前記内部流路に導く給水管と、
前記内部流路を通過した湯水を送り出す出湯管と、
前記給水源から供給される水が前記給水管よりも上流で通過する合流部と、
給湯栓と、
前記出湯管から送り出された湯水を前記給湯栓に供給する湯水流通管と、
前記湯水流通管から前記合流部に湯水を戻す戻し管と、
前記給水管、前記出湯管、前記湯水流通管又は前記戻し管に設けられた循環ポンプと、
前記給水管、前記出湯管又は前記湯水流通管に設けられ、湯水の流量を検出する水量センサと、
制御部と、
を備え、
前記合流部、前記給水管、前記内部流路、前記出湯管、前記湯水流通管及び前記戻し管によって循環路が形成され、
前記循環ポンプは、前記循環路内で湯水を循環させ、
前記制御部は、前記水量センサが検出する前記流量が所定の使用判定流量以上になった場合、前記循環ポンプを停止させた状態で前記加熱手段を作動させて前記給湯栓から出湯する給湯運転を実行し、
前記制御部は、即湯運転指示があった場合、前記循環ポンプ及び前記加熱手段を連続的又は間欠的に作動させて前記循環路内の湯水を所定の第1温度以上に維持する即湯運転を実行し、
前記制御部は、雰囲気温度が所定の第2温度未満になった場合、前記循環ポンプ及び前記加熱手段のうちの少なくとも前記循環ポンプを連続的又は間欠的に作動させて前記循環路内の湯水の凍結を防止する凍結防止運転を実行するように構成された即湯機能付き給湯システムであって、
前記制御部は、前記凍結防止運転において前記循環ポンプが作動中であるときに前記水量センサが検出する前記流量である第2循環流量を、前記即湯運転において前記循環ポンプが作動中であるときに前記水量センサが検出する前記流量である第1循環流量よりも小さくするように前記循環ポンプを制御することを特徴とする即湯機能付き給湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1循環流量が所定の第1目標流量となるように、かつ前記第2循環流量が所定の第2目標流量であって前記第1目標流量よりも小さい前記第2目標流量となるように前記循環ポンプを制御可能であり、
前記即湯運転中かつ前記循環ポンプの作動中における前記使用判定流量は、前記第1目標流量に基づいて設定される値であって、前記第1目標流量よりも大きい値であり、
前記凍結防止運転中かつ前記循環ポンプの作動中における前記使用判定流量は、前記第2目標流量に基づいて設定される値であって、前記即湯運転中かつ前記循環ポンプの作動中における前記使用判定流量よりも小さく、かつ前記第2目標流量よりも大きい値である請求項1記載の即湯機能付き給湯システム。
【請求項3】
前記凍結防止運転は、前記加熱手段を停止させたままで前記循環ポンプを連続的に作動させる非加熱連続循環工程と、
前記循環ポンプ及び前記加熱手段を連続的に作動させる加熱循環工程と、を含み、
前記制御部は、前記加熱手段が前記熱交換器を加熱できない加熱不可状態であるか否かを判断可能に構成され、
前記制御部は、前記加熱循環工程において前記加熱不可状態であると判断した場合、前記非加熱連続循環工程を実行し、
前記制御部は、前記加熱不可状態であると判断して前記非加熱連続循環工程を実行するときに前記水量センサが検出する前記流量を、前記加熱不可状態でないと判断して前記加熱循環工程を実行しているときに前記水量センサが検出する前記流量よりも大きくするように前記循環ポンプを制御する請求項1記載の即湯機能付き給湯システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の即湯機能付き給湯システムに備えられる即湯機能付き給湯器であって、
前記熱交換器、前記加熱手段、前記給水管、前記出湯管、前記循環ポンプ、前記水量センサ及び前記制御部を備え、
前記循環ポンプは、前記給水管又は前記出湯管に設けられ、
前記即湯機能付き給湯器の外部において、前記合流部、前記給湯栓、前記湯水流通管及び前記戻し管が施工されることを特徴とする即湯機能付き給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は即湯機能付き給湯システム及び即湯機能付き給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の即湯機能付き給湯システムの一例が開示されている。この即湯機能付き給湯システムは、熱交換器、加熱手段、給水管、出湯管、合流部、給湯栓、湯水流通管、戻し管、循環ポンプ、水量センサ及び制御部を備えている。
【0003】
熱交換器には、内部流路が形成されている。加熱手段は、熱交換器を加熱する。給水管は、外部の給水源から供給される水を内部流路に導く。出湯管は、内部流路を通過した湯水を送り出す。合流部は、給水源から供給される水が給水管よりも上流で通過する。湯水流通管は、出湯管から送り出された湯水を給湯栓に供給する。戻し管は、湯水流通管から合流部に湯水を戻す。循環ポンプは、給水管に設けられている。水量センサは、給水管に設けられ、湯水の流量を検出する。
【0004】
合流部、給水管、内部流路、出湯管、湯水流通管及び戻し管によって循環路が形成される。循環ポンプは、循環路内で湯水を循環させる。
【0005】
制御部は、水量センサが検出する流量が所定の使用判定流量以上になった場合、給湯栓の使用が開始されたと判定する。そして、制御部は、循環ポンプを停止させた状態で加熱手段を作動させて給湯栓から出湯する給湯運転を実行する。
【0006】
制御部は、即湯要求があった場合、循環ポンプ及び加熱手段を連続的又は間欠的に作動させて循環路内の湯水を所定の温度以上に維持する即湯運転を実行する。
【0007】
制御部は、凍結防止要求があった場合、循環ポンプを連続的又は間欠的に作動させて循環路内の湯水の凍結を防止する凍結防止運転を実行する。
【0008】
特許文献1の
図5によれば、制御部は、即湯運転において循環ポンプが循環路内で湯水を循環させているときに、水量センサが検出する流量Xが所定の使用判定流量(基本流量Y+α)以上になったか否かを判定し、「YES」の場合に給湯栓の使用が開始されたと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記従来の即湯機能付き給湯システムでは、循環ポンプが循環路内で湯水を循環させているときに給湯栓が「開」になって出湯を開始しても、直ちに外部の給水源から循環路に水が補充される。このため、給湯栓の「閉」時において循環路内で湯水が循環する流量よりもある程度大きい流量が給湯栓から出湯されない限り、水量センサが検出する流量はあまり変化しない。
【0011】
つまり、給湯栓の「閉」時において循環路内で湯水が循環する流量が大きい場合、それに応じて使用判定流量も大きい値に設定されるため、給湯栓からの出湯量がある程度大きくならないと給湯栓の使用が開始されたと判定することができない。
【0012】
このため、この即湯機能付き給湯システムに対し、給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓から出湯することが求められており、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を実現することが求められている。この即湯機能付き給湯システムに備えられる即湯機能付き給湯器についても同様である。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓から出湯することができ、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を実現できる即湯機能付き給湯システム及び即湯機能付き給湯器を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の即湯機能付き給湯システムは、内部流路が形成された熱交換器と、
前記熱交換器を加熱する加熱手段と、
外部の給水源から供給される水を前記内部流路に導く給水管と、
前記内部流路を通過した湯水を送り出す出湯管と、
前記給水源から供給される水が前記給水管よりも上流で通過する合流部と、
給湯栓と、
前記出湯管から送り出された湯水を前記給湯栓に供給する湯水流通管と、
前記湯水流通管から前記合流部に湯水を戻す戻し管と、
前記給水管、前記出湯管、前記湯水流通管又は前記戻し管に設けられた循環ポンプと、
前記給水管、前記出湯管又は前記湯水流通管に設けられ、湯水の流量を検出する水量センサと、
制御部と、
を備え、
前記合流部、前記給水管、前記内部流路、前記出湯管、前記湯水流通管及び前記戻し管によって循環路が形成され、
前記循環ポンプは、前記循環路内で湯水を循環させ、
前記制御部は、前記水量センサが検出する前記流量が所定の使用判定流量以上になった場合、前記循環ポンプを停止させた状態で前記加熱手段を作動させて前記給湯栓から出湯する給湯運転を実行し、
前記制御部は、即湯運転指示があった場合、前記循環ポンプ及び前記加熱手段を連続的又は間欠的に作動させて前記循環路内の湯水を所定の第1温度以上に維持する即湯運転を実行し、
前記制御部は、雰囲気温度が所定の第2温度未満になった場合、前記循環ポンプ及び前記加熱手段のうちの少なくとも前記循環ポンプを連続的又は間欠的に作動させて前記循環路内の湯水の凍結を防止する凍結防止運転を実行するように構成された即湯機能付き給湯システムであって、
前記制御部は、前記凍結防止運転において前記循環ポンプが作動中であるときに前記水量センサが検出する前記流量である第2循環流量を、前記即湯運転において前記循環ポンプが作動中であるときに前記水量センサが検出する前記流量である第1循環流量よりも小さくするように前記循環ポンプを制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の即湯機能付き給湯システムにおいて、制御部は、凍結防止運転に係る第2循環流量を即湯運転に係る第1循環流量よりも小さくするように循環ポンプを制御する。この構成により、制御部は、凍結防止運転において循環ポンプが作動中に給湯栓の使用が開始されたか否かを判定するための使用判定流量について、即湯運転において循環ポンプが作動中に給湯栓の使用が開始されたか否かを判定するための使用判定流量よりも小さい値に設定できる。
【0016】
その結果、制御部は、凍結防止運転において循環ポンプが作動中に給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路内の温度が低い湯水を速やかに加熱して給湯栓から出湯することができる。
【0017】
なお、制御部は、即湯運転において循環ポンプが作動中に給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定することは難しいが、循環路内の湯水は第1温度以上に維持されているので、温度が低い湯水を給湯栓から出湯することはない。
【0018】
したがって、本発明の即湯機能付き給湯システムは、給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓から出湯することができ、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を実現できる。
【0019】
また、この即湯機能付き給湯システムは、凍結防止運転において循環ポンプの作動によるエネルギー消費及び騒音を低減できる。
【0020】
制御部は、第1循環流量が所定の第1目標流量となるように、かつ第2循環流量が所定の第2目標流量であって第1目標流量よりも小さい第2目標流量となるように循環ポンプを制御可能であることが望ましい。そして、即湯運転中かつ循環ポンプの作動中における使用判定流量は、第1目標流量に基づいて設定される値であって、第1目標流量よりも大きい値であることが望ましい。また、凍結防止運転中かつ循環ポンプの作動中における使用判定流量は、第2目標流量に基づいて設定される値であって、即湯運転中かつ循環ポンプの作動中における使用判定流量よりも小さく、かつ第2目標流量よりも大きい値であることが望ましい。
【0021】
この構成により、給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓から出湯することを確実性高く実現でき、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を確実性高く実現できる。
【0022】
凍結防止運転は、加熱手段を停止させたままで循環ポンプを連続的に作動させる非加熱連続循環工程と、循環ポンプ及び加熱手段を連続的に作動させる加熱循環工程と、を含んでいることが望ましい。制御部は、加熱手段が熱交換器を加熱できない加熱不可状態であるか否かを判断可能に構成されていることが望ましい。制御部は、加熱循環工程において加熱不可状態であると判断した場合、非加熱連続循環工程を実行することが望ましい。そして、制御部は、加熱不可状態であると判断して非加熱連続循環工程を実行するときに水量センサが検出する流量を、加熱不可状態でないと判断して加熱循環工程を実行しているときに水量センサが検出する流量よりも大きくするように循環ポンプを制御することが望ましい。
【0023】
制御部は、加熱循環工程において加熱不可状態であると判断した場合において、給湯栓の使用が開始されたことを判定しても給湯運転を実行できない。すなわち、加熱不可状態の条件下においては、給湯栓の使用の迅速な検出は、ユーザの快適性及び利便性の向上にはつながらない。このため、制御部は、加熱不可状態であると判断して非加熱連続循環工程を実行するときに循環路内を循環する湯水の流量を増大させることで、加熱不可状態における凍結防止性能の低下を抑制させることができ、結果的にユーザの利便性の向上にもつなげることができる。
【0024】
本発明の即湯機能付き給湯器は、本発明の即湯機能付き給湯システムに備えられる即湯機能付き給湯器であって、熱交換器、加熱手段、給水管、出湯管、循環ポンプ、水量センサ及び制御部を備え、循環ポンプは、給水管又は出湯管に設けられ、即湯機能付き給湯器の外部において、合流部、給湯栓、湯水流通管及び戻し管が施工されることを特徴とする。
【0025】
本発明の即湯機能付き給湯器によれば、本発明の即湯機能付き給湯システムと同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の即湯機能付き給湯システム及び即湯機能付き給湯器によれば、給湯栓の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓から出湯することができ、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施例の即湯機能付き給湯システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施例の即湯機能付き給湯システムに係り、即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラムのフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施例の即湯機能付き給湯システムに係り、即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラムのフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施例の即湯機能付き給湯システムに係り、即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラムのフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施例の即湯機能付き給湯システムに係り、給湯栓の使用判定プログラムのフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例の即湯機能付き給湯システムに係り、
図4のステップS150をステップS151~S153に変更したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(実施例)
図1に示すように、実施例の即湯機能付き給湯システム100(以下、単に「給湯システム100」という。)は、本発明の即湯機能付き給湯システムの一例である。
【0030】
給湯システム100に備えられた実施例の即湯機能付き給湯器1(以下、単に「給湯器1」という。)は、本発明の即湯機能付き給湯器の一例である。
【0031】
給湯システム100は、筐体9、熱交換器4、燃焼装置3、ガス供給管30、給水管10、出湯管20、循環ポンプ5、水量センサ70及び制御部C1を備える給湯器1と、給湯器1の外部において施工される合流部50、給湯栓6、湯水流通管60及び戻し管65と、を備えている。燃焼装置3は、本発明の「加熱手段」の一例である。
【0032】
給湯システム100は、住宅や施設等に設置されている。給湯器1は、住宅等において主に室外に設置され、台所や浴室等に設置された給湯栓6に高温の湯水を供給する装置である。
【0033】
<給湯器の概略構成>
給湯器1において、筐体9は略箱状体であり、熱交換器4、燃焼装置3及び制御部C1を収容している。また、筐体9は、ガス供給管30、給水管10及び出湯管20のそれぞれの下端部を筐体9の底壁から下方に突出させ、ガス供給管30、給水管10及び出湯管20のそれぞれの下端部以外の部分と、循環ポンプ5及び水量センサ70と、を収容している。
【0034】
筐体9の底壁には、低感サーミスタ79が設けられている。低感サーミスタ79の感温部は、筐体9の外部に露出している。低感サーミスタ79は、給湯器1の外部の雰囲気温度を検出し、制御部C1に伝達する。
【0035】
制御部C1は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部C1Mと、制御対象との間で信号の送受信を行うインタフェース回路と、制御対象への給電を制御する給電回路と、を含んで構成された電子回路ユニットである。
【0036】
記憶部C1Mは、給湯器1を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部C1Mは、給湯器1の動作中において制御部C1が取得する各種情報を適宜記憶する。
【0037】
記憶部C1Mが記憶するプログラムには、
図2~4に示す「即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラム」と、
図5に示す「給湯栓の使用判定プログラム」と、が含まれる。
【0038】
制御部C1には、リモコン90が接続されている。リモコン90は、台所や浴室等において給湯栓6の周辺に設置されている。
【0039】
リモコン90は、複数のボタンを有する操作部により、給湯器1の起動、停止、即湯運転指示、目標給湯温度等の各種設定情報の入力等の操作入力を受け付け、制御部C1に伝達する。
【0040】
また、リモコン90は、制御部C1に制御されて、液晶ディスプレイ等である表示部に給湯器1の運転状態や各種設定情報、エラーメッセージ等を適宜表示する。
【0041】
燃焼装置3は、燃焼室3C、燃焼ファン3F及びバーナ3Bを有している。燃焼室3Cは、筐体9内における上下方向の中間部に位置している。燃焼ファン3Fは、燃焼室3Cよりも下方に位置し、燃焼室3Cに燃焼用空気を供給する。バーナ3Bの炎口は、燃焼室3C内に位置している。
【0042】
ガス供給管30の下端部には、外部の図示しないガス供給源から都市ガスやプロパンガス等の燃料ガスが供給される。ガス供給管30には、元ガス電磁弁30V及びガス比例弁30Pが設けられている。ガス供給管30は、ガス比例弁30Pよりも下流において複数に分岐しており、それぞれの分岐管に切替ガス電磁弁31Vが設けられている。
【0043】
バーナ3Bは、制御部C1に制御されて作動するイグナイタ3Gによって点火される。バーナ3Bは、ガス供給管30によって供給される燃料ガスを炎口から吐出して燃焼させ、燃焼排ガスである高温ガスを生成する。
【0044】
熱交換器4は、筐体9内の上部に位置している。熱交換器4は、缶体40C及び伝熱管41を有している。
【0045】
缶体40Cは、その下端が燃焼室3Cを区画する箱状体の上端に接続することにより、燃焼室3Cと連通している。缶体40Cは、排気口49を有している。排気口49は、缶体40Cの前面の上端部において開口し、筐体9の外部に露出している。バーナ3Bが生成した高温ガスは、缶体40C内を上昇し、排気口49を経由して筐体9の外部に排出される。
【0046】
図示は簡略するが、伝熱管41は、缶体40C内に位置する複数の直線部分と、缶体40Cの外部で円弧状に折り返して各直線部分を連通させる複数の折り返し部分と、を含んで蛇行している。伝熱管41の各直線部分には、複数の伝熱フィン42が接合されている。伝熱管41の内部空間によって、熱交換器4の内部流路4Aが形成されている。
【0047】
燃焼装置3は、バーナ3Bが生成した高温ガスによって熱交換器4の伝熱管41を加熱する。熱交換器4は、内部流路4Aを通過する水と、バーナ3Bが生成した高温ガスとの間で熱交換を行い、内部流路4Aを通過する水を湯に変換する。
【0048】
伝熱管41の折り返し部分には、熱交換器4の空焚きを防止するためのバイメタルスイッチ45が設けられている。
【0049】
燃焼室3C内におけるバーナ3Bの炎口よりも上方には、過熱を防止するための温度ヒューズ33と、バーナ3Bの火炎を検出するためのフレームロッド34及び電極35が設けられている。
【0050】
制御部C1は、温度ヒューズ33の状態や、フレームロッド34及び電極35の検出結果に基づいて燃焼装置3の状態を把握し、燃焼装置3が熱交換器4を加熱できない加熱不可状態であるか否かを判断可能である。
【0051】
加熱不可状態の具体例としては、イグナイタ3Gの不具合によりバーナ3Bが点火されない状態、元ガス電磁弁30V、ガス比例弁30P又は切替ガス電磁弁31Vの不具合によりバーナ3Bが適正な燃焼を継続できない状態、燃焼ファン3Fの不具合によりバーナ3Bが適正な燃焼を継続できない状態等が挙げられる。
【0052】
給水管10における給湯器1の外部に位置する下端部には、水フィルタ兼水抜き栓19が設けられている。給水管10の上流端10Uは、給水管10の下端部の下端である。給水管10の上流端10Uは、合流部50に接続されている。
【0053】
給水管10には、外部の図示しない給水源から入水管55、逆止弁56及び合流部50を経由して、加熱されていない水が供給される。合流部50は、給水源から供給される水が給水管10よりも上流で通過する。
【0054】
入水管55における逆止弁56よりも下流には、膨張弁55Wが設けられている。膨張弁55Wは、入水管55及び合流部50内の圧力増を吸収する。
【0055】
給水管10の下流端10Dは、熱交換器4の伝熱管41の入り口に接続されている。給水管10は、外部の給水源から供給される水を内部流路4Aに導く。
【0056】
給水管10における筐体9内に位置する部分には、逆止弁11、バイパス管15、循環ポンプ5、水量センサ70、給水サーミスタ71及び止水機能付き水量サーボ13が設けられている。
【0057】
バイパス管15の上流端は、給水管10における逆止弁11よりも上流に接続している。バイパス管15の下流端は、給水管10における逆止弁11よりも下流に接続している。
【0058】
循環ポンプ5は、バイパス管15の途中に位置することで、給水管10に設けられている。循環ポンプ5は作動することにより、給水管10における逆止弁11よりも上流にある湯水を、給水管10における逆止弁11よりも下流に圧送する。
【0059】
本実施例では、循環ポンプ5は、DCモータと、DCモータを駆動する駆動回路と、を有している。駆動回路は、電圧や電流を調節するにより、DCモータを所望の回転速度で回転するように精度良く制御する。
【0060】
水量センサ70は、給水管10における逆止弁11、バイパス管15及び循環ポンプ5よりも下流に位置し、湯水の流量を検出する。
【0061】
図示は簡略するが、水量センサ70は、給水管10の途中に取り付けるための取り付け部を有するハウジングと、ハウジングに形成された流通路と、流通路に配置された羽根車と、を有している。
【0062】
羽根車は、給水管10が延びる方向と平行な回転軸心周りに回転可能であり、回転軸心を中心として螺旋状に延びる羽根を有している。羽根車の単位時間(秒)当たりの回転数は、給水管10内を流通する湯水の流量に比例して増加する。
【0063】
図示は省略するが、水量センサ70は、羽根車の外周縁に装着されたマグネットと、ハウジングにおける流通路の内壁面に近い箇所に装着されたマグネットセンサと、を有している。マグネットセンサの内部接点は、羽根車が1回転する間においてマグネットが離れている間は遮断されており、マグネットが最接近したときだけ接続状態に切り替わって1回パルス信号を発信する。
【0064】
このため、水量センサ70が発信する信号(パルス数/秒)は、給水管10内を流通する湯水の流量に比例して増加する。制御部C1は、水量センサ70が発信するパルス信号(パルス数/秒)により、水量センサ70が検出する湯水の流量を取得する。
【0065】
給水サーミスタ71は、給水管10における水量センサ70よりも下流に位置している。給水サーミスタ71の感温部は、給水管10内に位置している。給水サーミスタ71は、給水管10内を流通する湯水の温度を検出し、制御部C1に伝達する。
【0066】
止水機能付き水量サーボ13は、給水管10における給水サーミスタ71よりも下流に位置している。止水機能付き水量サーボ13は、給水管10内を流通する湯水の流量を制御する。また、止水機能付き水量サーボ13は、給水管10内において湯水の流通を止めることが可能である。
【0067】
出湯管20の上流端20Uは、熱交換器4の伝熱管41の出口に接続されている。出湯管20における給湯器1の外部に位置する下端部には、水撃緩衝弁29及び過圧逃し弁28が設けられている。出湯管20の下流端20Dは、出湯管20の下端部の下端である。出湯管20は、内部流路4Aを通過した湯水を給湯器1の外部に送り出す。
【0068】
出湯管20における筐体9内に位置する部分には、ヒータ80及び出湯サーミスタ72が設けられている。
【0069】
ヒータ80は、出湯管20の外面に密着している。ヒータ80は、通電されることによって発熱し、出湯管20及び出湯管20内の湯水を加熱する。
【0070】
出湯サーミスタ72は、出湯管20におけるヒータ80よりも下流に位置している。出湯サーミスタ72の感温部は、出湯管20内に位置している。出湯サーミスタ72は、出湯管20内を流通する湯水の温度を検出し、制御部C1に伝達する。
【0071】
出湯管20の中間部と給水管10の中間部とは、細い固定バイパス管21によって連通している。固定バイパス管21は、給水管10内を流通する低温の湯水の一部を、熱交換器4で加熱された高温の湯水に混合させる、所謂バイパスミキシングを行うための配管である。
【0072】
湯水流通管60の上流端60Uは、出湯管20の下流端20Dに接続されている。湯水流通管60の下流端60Dは、分岐部63に接続されている。湯水流通管60は、出湯管20から送り出された湯水を分岐部63を経由して給湯栓6に供給する。
【0073】
戻し管65の上流端65Uは、分岐部63に接続されている。戻し管65の下流端65Dは、合流部50に接続されている。戻し管65には、逆止弁66が設けられている。戻し管65は、湯水流通管60から合流部50に湯水を戻す。
【0074】
合流部50、給水管10、内部流路4A、出湯管20、湯水流通管60及び戻し管65によって循環路7が形成されている。循環ポンプ5は、制御部C1に制御されて作動することにより、循環路7内で湯水を循環させる。
【0075】
<給湯運転、即湯運転及び凍結防止運転>
制御部C1は、リモコン90に対して給湯器1の起動操作が行われることより待機状態となり、
図2~
図4に示す「即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラム」と、
図5に示す「給湯栓の使用判定プログラム」と、を同時並行的に実行する。これにより、制御部C1は、給湯運転、即湯運転及び凍結防止運転を実行可能となる。
【0076】
図5に示すように、給湯運転は、水量センサ70が検出する流量が所定の使用判定流量以上になった場合、循環ポンプ5を停止させた状態で燃焼装置3を作動させて給湯栓6から出湯する運転である。
【0077】
図2に示すように、即湯運転は、即湯運転指示があった場合、循環ポンプ5及び燃焼装置3を連続的又は間欠的に作動させて循環路7内の湯水を所定の第1温度以上に維持する運転である。
【0078】
図2~
図4に示すように、凍結防止運転は、雰囲気温度が所定の第2温度未満(低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が3℃未満)になった場合、循環ポンプ5及び燃焼装置3のうちの少なくとも循環ポンプ5を連続的又は間欠的に作動させて循環路7内の湯水の凍結を防止する運転である。
【0079】
<即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラム>
制御部C1は、
図2~
図4に示す「即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラム」を開始すると、ステップS101において、リモコン90に対する操作により即湯運転指示があったか否かを判断する。
【0080】
ステップS101において「Yes」の場合、制御部C1はステップS103に移行する。その一方、ステップS101において「No」の場合、制御部C1はステップS102に移行し、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が3℃未満であるか否かを判断する。ステップS102は、凍結防止運転の開始条件を判断するステップである。3℃は、本発明の「所定の第2温度」の一例である。
【0081】
ステップS102において「No」の場合、制御部C1はステップS101、S102を繰り返す。その一方、ステップS102において「Yes」の場合、制御部C1は凍結防止運転の開始条件が成立したと判断し、
図3に示すステップS111に移行する。
【0082】
図2に示すステップS101からステップS103に移行すると、制御部C1は即湯運転を開始する。次に、制御部C1はステップS104に移行し、第1循環流量CF1=8(L/min)に設定する。
【0083】
第1循環流量CF1は、即湯運転において循環ポンプ5が作動中であるときに水量センサ70が検出する流量である。8(L/min)は、本発明の「所定の第1目標流量」の一例である。
【0084】
次に、制御部C1はステップS105に移行し、即湯沸き上げとして、燃焼装置3のバーナ3Bによる即湯燃焼を開始するとともに、循環ポンプ5を作動させる。これにより、循環路7内で湯水が循環し、熱交換器4の内部流路4Aにおいてその循環する湯水が加熱される。また、制御部C1は、即湯ポンプONタイマの計時を開始する。
【0085】
この際、制御部C1は、第1循環流量CF1が所定の第1目標流量である8(L/min)となるように、循環ポンプ5の駆動回路を介して循環ポンプ5のDCモータを所望の回転速度で回転するように制御する。また、制御部C1は、水量センサ70が検出する流量が第1循環流量CF1よりも大きくなったり、小さくなったりする場合に、循環ポンプ5のDCモータをフィードバック制御し、第1循環流量CF1=8(L/min)の状態を維持する。
【0086】
なお、湯水流通管60及び戻し管65の長さは、住宅等に設置される給湯器1及び給湯栓6の位置関係等の設置状態に応じて様々に変化する。このため、循環路7の流路抵抗も設置状態に応じて様々に変化し、第1循環流量CF1=8(L/min)とする循環ポンプ5のDCモータの回転速度も設置状態に応じて様々に変化する。
【0087】
次に、制御部C1はステップS106に移行し、給水サーミスタ71が検出する給水管10内の湯水の温度が循環停止温度よりも大きいか否か、又は、即湯ポンプONタイマが所定時間経過したか否か、を判断する。循環停止温度は、リモコン90に対する操作によって設定された目標給湯温度に応じて決まる。
【0088】
ステップS106において「No」の場合、すなわち、給水サーミスタ71が検出する給水管10内の湯水の温度が循環停止温度以下であり、かつ、即湯ポンプONタイマが所定時間経過していない場合、制御部C1はステップS106を繰り返す。
【0089】
その一方、ステップS106において「Yes」の場合、すなわち、給水サーミスタ71が検出する給水管10内の湯水の温度が循環停止温度よりも大きい場合、又は、即湯ポンプONタイマが所定時間経過した場合、制御部C1はステップS107に移行する。
【0090】
制御部C1はステップS107に移行すると、即湯インターバルとして、燃焼装置3のバーナ3Bによる即湯燃焼を停止させるとともに、循環ポンプ5を停止させる。これにより、循環路7内の湯水が目標給湯温度よりも高くなり過ぎない。また、制御部C1は、インターバルタイマの計時を開始する。
【0091】
次に、制御部C1はステップS108に移行し、出湯サーミスタ72が検出する出湯管20内の湯水の温度が循環開始温度よりも小さいか否か、又は、インターバルタイマが所定時間経過したか否か、を判断する。循環開始温度は、リモコン90に対する操作によって設定された目標給湯温度に応じて決まり、また、循環停止温度よりも低い。循環開始温度は、本発明の「所定の第1温度」の一例である。
【0092】
ステップS108において「No」の場合、すなわち、出湯サーミスタ72が検出する出湯管20内の湯水の温度が循環開始温度以上であり、かつ、インターバルタイマが所定時間経過していない場合、制御部C1はステップS108を繰り返す。
【0093】
その一方、ステップS108において「Yes」の場合、すなわち、出湯サーミスタ72が検出する出湯管20内の湯水の温度が循環開始温度よりも小さい場合、又はインターバルタイマが所定時間経過した場合、制御部C1は、ステップS105~S108を繰り返す。
【0094】
なお、制御部C1は、ステップS103~S108の実行中において、同時並行的に即湯運転中止指示があったか否かを判断する。そして、制御部C1は、即湯運転中止指示があったと判断した場合、即湯運転を中止してステップS101に戻る。この際、ステップS105、S106の実行中であれば、バーナ3Bの即湯燃焼を中止するとともに、循環ポンプ5を停止させる。
【0095】
ステップS102から
図3に示すステップS111に移行すると、制御部C1は、凍結防止運転を開始する。本実施例では、凍結防止運転は、ステップS113~S120に示す非加熱間欠循環工程と、
図4のステップS131~S135に示す非加熱連続循環工程と、ステップS141~S146に示す加熱循環工程と、を含んでいる。
【0096】
非加熱間欠循環工程は、燃焼装置3を停止させたままで循環ポンプ5を間欠的に作動させる工程である。非加熱連続循環工程は、燃焼装置3を停止させたままで循環ポンプ5を連続的に作動させる工程である。加熱循環工程は、循環ポンプ5及び燃焼装置3を連続的に作動させる工程である。
【0097】
次に、制御部C1は
図3に示すステップS112に移行し、第2循環流量CF2=2(L/min)に設定する。制御部C1は第2循環流量CF2を第1循環流量CF1よりも小さく設定する。
【0098】
第2循環流量CF2は、凍結防止運転において循環ポンプ5が作動中であるときに水量センサ70が検出する流量である。2(L/min)は、本発明の「所定の第2目標流量」の一例である。
【0099】
次に、制御部C1はステップS113に移行し、非加熱間欠循環工程を開始する。そして、制御部C1はステップS114に移行し、燃焼装置3のバーナ3Bを停止させたままで循環ポンプ5を作動させる。これにより、循環路7内で湯水が循環する。また、制御部C1は、循環ポンプ5を間欠的に作動させるときのON時間を決めるタイマの計時を開始する。
【0100】
この際、制御部C1は、第2循環流量CF2が所定の第2目標流量である2(L/min)となるように、循環ポンプ5の駆動回路を介して循環ポンプ5のDCモータを所望の回転速度で回転するように制御する。また、制御部C1は、水量センサ70が検出する流量が第2循環流量CF2よりも大きくなったり、小さくなったりする場合に、循環ポンプ5のDCモータをフィードバック制御し、第2循環流量CF2=2(L/min)の状態を維持する。
【0101】
制御部C1は、非加熱間欠循環工程において、第2循環流量CF2を第1循環流量CF1よりも小さくするように循環ポンプ5を制御する。より詳しくは、制御部C1は、第2循環流量CF2が所定の第2目標流量(2L/min)であって第1目標流量(8L/min)よりも大幅に小さい第2目標流量となるように循環ポンプ5を制御する。
【0102】
次に、制御部C1はステップS115に移行し、循環路7内で湯水が循環できない循環不可状態であるか否かを判断する。循環不可状態は、例えば、湯水流通管60又は戻し管65が閉塞した状態、循環ポンプ5が故障した状態等である。制御部C1は、例えば、循環ポンプ5が作動中であるにもかかわらず水量センサ70が流量を検出できない場合や、循環ポンプ5の駆動回路からエラー情報が伝達された場合等に、循環不可状態であると判断できる。
【0103】
ステップS115において「Yes」の場合、制御部C1はステップS123に移行する。ステップS123~S126の処理については後述する。その一方、ステップS115において「No」の場合、制御部C1はステップS116に移行する。
【0104】
制御部C1はステップS116に移行すると、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が-3℃未満であるか否か、又は、出湯サーミスタ72が検出する出湯管20内の湯水の温度が3℃未満であるか否か、を判断する。ステップS116は、非加熱間欠循環工程から非加熱連続循環工程への移行条件を判断するステップである。
【0105】
ステップS116において「Yes」の場合、すなわち、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が-3℃未満である場合、又は、出湯サーミスタ72が検出する出湯管20内の湯水の温度が3℃未満である場合、制御部C1は
図4に示すステップS131に移行する。ステップS131以降の処理については後述する。その一方、ステップS116において「No」の場合、すなわち、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が-3℃以上あり、かつ出湯サーミスタ72が検出する出湯管20内の湯水の温度が3℃以上である場合、制御部C1はステップS117に移行する。
【0106】
制御部C1はステップS117に移行すると、タイマが第1時間T1経過したか否かを判断する。ステップS117において「No」の場合、制御部C1は、ステップS115~S117を繰り返す。その一方、ステップS117において「Yes」の場合、制御部C1はステップS118に移行する。
【0107】
制御部C1はステップS118に移行すると、循環ポンプ5を停止させる。これにより、循環路7内で湯水が循環しなくなる。また、制御部C1は、循環ポンプ5を間欠的に作動させるときのOFF時間を決めるタイマの計時を開始する。
【0108】
次に、制御部C1はステップS119に移行し、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が6℃以上であるか否かを判断する。ステップS119は、凍結防止運転の終了条件を判断するステップである。
【0109】
ステップS119において「Yes」の場合、制御部C1は凍結防止運転を終了し、
図2に示すステップS101に移行して待機状態となる。その一方、ステップS119において「No」の場合、制御部C1はステップS120に移行する。
【0110】
制御部C1はステップS120に移行すると、タイマが第2時間T2経過したか否かを判断する。ステップS120において「No」の場合、制御部C1はステップS119、S120を繰り返す。その一方、ステップS120において「Yes」の場合、制御部C1はステップS114~S120を繰り返す。
【0111】
つまり、制御部C1は、ステップS114~S120において循環ポンプ5を第1時間T1作動させた後に第2時間T2停止させることを繰り返すことにより、循環ポンプ5を間欠的に作動させる。
【0112】
ステップS116から
図4に示すステップS131に移行すると、制御部C1は、非加熱連続循環工程を開始する。そして、制御部C1はステップS132に移行し、燃焼装置3のバーナ3Bを停止させたままで循環ポンプ5を作動させる状態を継続する。これにより、循環路7内で湯水が循環する状態が継続する。
【0113】
この際にも、制御部C1は、第2循環流量CF2が所定の第2目標流量である2(L/min)となるように循環ポンプ5をフィードバック制御する。
【0114】
制御部C1は、非加熱連続循環工程においても、第2循環流量CF2を第1循環流量CF1よりも小さくするように、より詳しくは、第2循環流量CF2が所定の第2目標流量(2L/min)であって第1目標流量(8L/min)よりも大幅に小さい第2目標流量となるように、循環ポンプ5を制御する。
【0115】
ただし、制御部C1は、後述するように、ステップS150において第2循環流量CF2=8(L/min)に変更してからステップS131に戻って非加熱連続循環工程を再開する場合には、第2循環流量CF2=8(L/min)となるように循環ポンプ5を制御する。
【0116】
ステップS132からステップS133に移行すると、制御部C1は、循環不可状態であるか否かを判断する。ステップS133において「Yes」の場合、制御部C1は
図3に示すステップS123に移行する。ステップS123~S126の処理については後述する。その一方、
図4に示すステップS133において「No」の場合、制御部C1はステップS134に移行する。
【0117】
制御部C1はステップS134に移行すると、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が0℃以上であるか否かを判断する。ステップS134は、非加熱連続循環工程から非加熱間欠循環工程への復帰条件を判断するステップである。
【0118】
ステップS134において「Yes」の場合、制御部C1は
図3に示すステップS112に移行し、非加熱間欠循環工程を開始する。
図4に示すステップS150において第2循環流量CF2=8(L/min)に変更されていれば、
図3に示すステップS112において第2循環流量CF2=2(L/min)に戻される。その一方、
図4に示すステップS134において「No」の場合、制御部C1はステップS135に移行する。
【0119】
制御部C1はステップS135に移行すると、出湯サーミスタ72が検出する出湯管20内の湯水の温度が3℃未満であるか否かを判断する。ステップS135は、非加熱連続循環工程から加熱循環工程への移行条件を判断するステップである。
【0120】
ステップS135において「No」の場合、制御部C1はステップS133~S135を繰り返す。その一方、ステップS135において「Yes」の場合、制御部C1はステップS141に移行する。
【0121】
制御部C1はステップS141に移行すると、加熱循環工程を開始する。そして、制御部C1はステップS142に移行し、燃焼装置3のバーナ3Bによる凍結防止燃焼を開始させるとともに、循環ポンプ5を作動させる状態を継続する。これにより、循環路7内で湯水が循環する状態が継続し、熱交換器4の内部流路4Aにおいてその循環する湯水が加熱される。
【0122】
この際にも、制御部C1は、第2循環流量CF2が所定の第2目標流量である2(L/min)となるように循環ポンプ5をフィードバック制御する。
【0123】
制御部C1は、加熱循環工程においても、第2循環流量CF2を第1循環流量CF1よりも小さくするように、より詳しくは、第2循環流量CF2が所定の第2目標流量(2L/min)であって第1目標流量(8L/min)よりも大幅に小さい第2目標流量となるように、循環ポンプ5を制御する。
【0124】
ただし、制御部C1は、後述するように、ステップS150において第2循環流量CF2=8(L/min)に変更してからステップS131に戻って非加熱連続循環工程を再開し、さらに加熱循環工程に移行する場合には、第2循環流量CF2=8(L/min)となるように循環ポンプ5を制御する。
【0125】
ステップS142からステップS143に移行すると、制御部C1は、循環不可状態であるか否かを判断する。ステップS143において「Yes」の場合、制御部C1は
図3に示すステップS123に移行する。ステップS123~S126の処理については後述する。その一方、
図4に示すステップS143において「No」の場合、制御部C1はステップS144に移行する。
【0126】
制御部C1はステップS144に移行すると、温度ヒューズ33の状態や、フレームロッド34及び電極35の検出結果に基づいて燃焼装置3の状態を把握し、燃焼装置3が熱交換器4を加熱できない加熱不可状態であるか否かを判断する。
【0127】
ステップS144において「Yes」の場合、制御部C1はステップS149に移行する。ステップS149、S150の処理については後述する。その一方、ステップS144において「No」の場合、制御部C1はステップS145に移行する。
【0128】
制御部C1はステップS145に移行すると、給水サーミスタ71が検出する給水管10内の湯水の温度が15℃よりも大きいか否かを判断する。ステップS145は、加熱循環工程から非加熱間欠循環工程への復帰条件を判断するステップである。
【0129】
ステップS145において「Yes」の場合、制御部C1はステップS146に移行し、燃焼装置3のバーナ3Bによる凍結防止燃焼を停止させる。次に、制御部C1は
図3に示すステップS112に移行し、非加熱間欠循環工程を開始する。
図4に示すステップS150において第2循環流量CF2=8(L/min)に変更されていれば、
図3に示すステップS112において第2循環流量CF2=2(L/min)に戻される。その一方、ステップS145において「No」の場合、制御部C1はステップS143~S145を繰り返す。
【0130】
ステップS144からステップS149に移行すると、制御部C1は、燃焼装置3のバーナ3Bによる凍結防止燃焼を停止させる。次に、制御部C1はステップS150に移行し、第2循環流量CF2=8(L/min)に設定した後、ステップS131に戻る。
【0131】
つまり、制御部C1は、加熱循環工程のステップS144において加熱不可状態であると判断した場合、ステップS149、S150を経由してステップS131に戻って非加熱連続循環工程を実行する。そして、制御部C1は、加熱不可状態であると判断してステップS149、S150を経由して非加熱連続循環工程を実行するときに水量センサ70が検出する流量(8L/min)を、加熱不可状態でないと判断してステップS149、S150を経由しないで加熱循環工程を実行しているときに水量センサ70が検出する流量(2L/min)よりも大幅に大きくするように循環ポンプ5を制御する。
【0132】
図3に示すステップS115、
図4に示すステップS133又はステップS143から
図3に示すステップS123に移行すると、制御部C1は、循環ポンプ5が作動していても循環路7内で湯水が循環しないので、循環ポンプ5を停止させて循環路7内で湯水を循環させる動作を停止する。
【0133】
次に、制御部C1はステップS124に移行し、ヒータ80に通電する。つまり、制御部C1は、出湯管20及び出湯管20内に滞留する湯水をヒータ80によって加熱し、その熱を出湯管20よりも上流及び下流に伝達させるとともに、筐体9内の空気を加熱することにより、少なくとも給湯器1の内部だけでも凍結を防止する。
【0134】
次に、制御部C1はステップS125に移行し、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が6℃以上であるか否かを判断する。ステップS125において「No」の場合、制御部C1はステップS125を繰り返す。その一方、ステップS125において「Yes」の場合、制御部C1は給湯器1の内部において凍結の可能性が低下したと判断してステップS126に移行し、ヒータ80に通電しなくなる。その後、制御部C1は、
図2に示すステップS101に移行して待機状態となる。
【0135】
<給湯栓の使用判定プログラム>
制御部C1は、
図5に示す「給湯栓の使用判定プログラム」を開始すると、ステップS201において、即湯運転中であるか否か、及び、循環ポンプ5が作動中であるか否か、を判断する。
【0136】
ステップS201において「Yes」の場合、すなわち、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中である場合、ステップS202に移行する。そして、制御部C1は、所定の使用判定流量=10(L/min)に設定した後、ステップS206に移行する。
【0137】
即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(10L/min)は、第1目標流量(8L/min)に基づいて設定される値であって、第1目標流量(8L/min)よりも大きい値である。より詳しくは、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(10L/min)は、第1目標流量(8L/min)に基づいて設定される第1判定閾値(2L/min)を第1目標流量(8L/min)に加えた値である。本実施例では、第1判定閾値(2L/min)は、第1目標流量(8L/min)の1/4である。
【0138】
その一方、ステップS201において「No」の場合、制御部C1はステップS203に移行し、凍結防止運転中であるか否か、及び、循環ポンプ5が作動中であるか否か、を判断する。
【0139】
ステップS203において「Yes」の場合、すなわち、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中である場合、ステップS204に移行する。そして、制御部C1は、所定の使用判定流量=2.5(L/min)に設定した後、ステップS206に移行する。
【0140】
凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(2.5L/min)は、第2目標流量(2L/min)に基づいて設定される値であって、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(10L/min)よりも小さく、かつ第2目標流量(2L/min)よりも大きい値である。より詳しくは、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(2.5L/min)は、第2目標流量(2L/min)に基づいて設定される第2判定閾値(0.5L/min)を第2目標流量(2.5L/min)に加えた値である。本実施例では、第2判定閾値(0.5L/min)は、第2目標流量(2L/min)の1/4である。第2判定閾値(0.5L/min)は、第1判定閾値(2L/min)よりも小さい。
【0141】
その一方、ステップS203において「No」の場合、制御部C1はステップS205に移行して循環ポンプ5が停止中であると判断し、所定の使用判定流量=1.5(L/min)に設定した後、ステップS206に移行する。
【0142】
循環ポンプ5の停止中における使用判定流量(1.5L/min)は、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(2.5L/min)よりも小さく、水量センサ70の最小検出流量より若干大きい。
【0143】
ステップS202、ステップS204又はステップS205からステップS206に移行すると、制御部C1は、水量センサ70が検出する流量が所定の使用判定流量以上になったか否かを判断する。
【0144】
ステップS206において「No」の場合、制御部C1は、ステップS201~S206を繰り返す。その一方、ステップS206において「Yes」の場合、制御部C1は給湯栓6の使用が開始されたと判断し、ステップS211に移行して給湯運転を開始する。
【0145】
この際、制御部C1は、
図2~
図4に示す「即湯運転及び凍結防止運転の実行プログラム」において、即湯運転中であれば即湯運転を終了し、また、凍結防止運転中であれば凍結防止運転を終了した後、
図2に示すステップS101に移行して待機状態となる。
【0146】
次に、制御部C1は
図5に示すステップS212に移行し、燃焼装置3のバーナ3Bによる給湯燃焼を開始するとともに、循環ポンプ5が作動中であれば循環ポンプ5を停止させる。これにより、給湯栓6が出湯する。
【0147】
この際、即湯運転中であれば、循環路7内で循環開始温度以上に維持された湯水が即座に給湯栓6から出湯される。待機中又は凍結防止運転中であれば、熱交換器4において速やかに加熱された湯水が給湯栓6から出湯される。
【0148】
次に、制御部C1はステップS213に移行し、水量センサ70が検出する流量が所定の消火判定流量未満になったか否かを判断する。所定の消火判定流量は、循環ポンプ5の停止中における使用判定流量(1.5L/min)よりも小さい。
【0149】
ステップS213において「No」の場合、制御部C1は、ステップS213を繰り返す。その一方、ステップS213において「Yes」の場合、制御部C1は給湯栓6の使用が終了したと判断し、ステップS214に移行して燃焼装置3のバーナ3Bによる給湯燃焼を停止させて、給湯運転を終了する。その後、制御部C1は、ステップS201に戻る。
【0150】
<作用効果>
実施例の給湯システム100において、制御部C1は、
図2のステップS104及び
図3のステップS112に示すように、凍結防止運転に係る第2循環流量CF2を即湯運転に係る第1循環流量CF1よりも小さくするように循環ポンプ5を制御する。
【0151】
具体的には、制御部C1は、第1循環流量CF1=8(L/min)となり、第2循環流量CF2=2(L/min)となるように循環ポンプ5を制御する。
【0152】
この構成により、制御部C1は、
図5のステップS202、S204に示すように、凍結防止運転において循環ポンプ5が作動中に給湯栓6の使用が開始されたか否かを判定するための使用判定流量について、即湯運転において循環ポンプ5が作動中に給湯栓6の使用が開始されたか否かを判定するための使用判定流量よりも小さい値に設定できる。
【0153】
具体的には、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(2.5L/min)は、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(10L/min)よりも大幅に小さい。
【0154】
その結果、制御部C1は、凍結防止運転において循環ポンプ5が作動中に給湯栓6の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路7内の温度が低い湯水を速やかに加熱して給湯栓6から出湯することができる。
【0155】
なお、制御部C1は、即湯運転において循環ポンプ5が作動中に給湯栓6の使用が開始されたことを迅速に判定することは難しいが、循環路7内の湯水は循環開始温度以上に維持されているので、温度が低い湯水を給湯栓6から出湯することはない。
【0156】
したがって、実施例の給湯システム100は、給湯栓6の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路7内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓6から出湯することができ、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を実現できる。給湯システム100に備えられる実施例の給湯器1も同様である。
【0157】
また、給湯システム100及び給湯器1は、凍結防止運転において循環ポンプ5の作動によるエネルギー消費及び騒音を低減できる。
【0158】
さらに、給湯システム100及び給湯器1において、制御部C1は、
図2のステップS104、S105に示すように、第1循環流量CF1が所定の第1目標流量(8L/min)となるように、かつ、
図3のステップS112、S114、
図4のS132、S142に示すように、第2循環流量CF2が所定の第2目標流量(2L/min)であって第1目標流量(8L/min)よりも大幅に小さい第2目標流量となるように循環ポンプ5を制御可能である。そして、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(10L/min)は、第1目標流量(8L/min)に基づいて設定される値であって、第1目標流量(8L/min)よりも大きい値である。また、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(2.5L/min)は、第2目標流量(2L/min)に基づいて設定される値であって、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(10L/min)よりも小さく、かつ第2目標流量(2L/min)よりも大きい値である。この構成により、制御部C1は、給湯栓6の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路7内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓6から出湯することを確実性高く実現でき、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を確実性高く実現できる。
【0159】
また、給湯システム100及び給湯器1において、凍結防止運転は、
図4のステップS131~S135に示す非加熱連続循環工程と、ステップS141~S146に示す加熱循環工程と、を含んでいる。制御部C1は、加熱循環工程のステップS144において加熱不可状態であると判断した場合、ステップS149、S150を経由してステップS131に戻って非加熱連続循環工程を実行する。そして、制御部C1は、加熱不可状態であると判断してステップS149、S150を経由して非加熱連続循環工程を実行するときに水量センサ70が検出する流量(8L/min)を、加熱不可状態でないと判断してステップS149、S150を経由して加熱循環工程を実行しているときに水量センサ70が検出する流量(2L/min)よりも大幅に大きくするように循環ポンプ5を制御する。ここで、制御部C1は、加熱循環工程において加熱不可状態であると判断した場合において、給湯栓6の使用が開始されたことを判定しても給湯運転を実行できない。すなわち、加熱不可状態の条件下においては、給湯栓6の使用の迅速な検出は、ユーザの快適性及び利便性の向上にはつながらない。このため、制御部C1は、加熱不可状態であると判断して非加熱連続循環工程を実行するときに循環路7内を循環する湯水の流量を増大させることで、加熱不可状態における凍結防止性能の低下を抑制させることができ、結果的にユーザの利便性の向上にもつなげることができる。
【0160】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0161】
(変形例)
変形例の即湯機能付き給湯システムでは、実施例の給湯システム100に係る
図4のステップS150を
図6に示すステップS151~S153に変更している。変形例の即湯機能付き給湯システムのその他の構成は、実施例の給湯システム100と同じである。
【0162】
変形例において、制御部C1は、ステップS149からステップS151に移行すると、ヒータ80に通電するとともに、循環ポンプ5を作動させる。つまり、制御部C1は、出湯管20及び出湯管20内を流通する湯水をヒータ80によって加熱し、その加熱された湯水を循環路7内で循環させることにより、循環路7内の湯水の凍結を防止する。
【0163】
次に、制御部C1はステップS152に移行し、低感サーミスタ79が検出する給湯器1の外部の雰囲気温度が6℃以上であるか否かを判断する。ステップS152において「No」の場合、制御部C1はステップS152を繰り返す。その一方、ステップS152において「Yes」の場合、制御部C1は循環路7内の湯水が凍結する可能性が低下したと判断してステップS153に移行し、ヒータ80に通電しなくなるともに、循環ポンプ5を停止させる。その後、制御部C1は、
図2に示すステップS101に移行して待機状態となる。
【0164】
変形例の即湯機能付き給湯システムも、実施例の給湯システム100と同様に、給湯栓6の使用が開始されたことを迅速に判定し、循環路7内の湯水の温度が低ければ速やかに加熱して給湯栓6から出湯することができ、ひいては、ユーザの快適性及び利便性の向上を実現できる。
【0165】
実施例では、循環ポンプ5が給水管10に設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、循環ポンプが出湯管に設けられる構成も、本発明の即湯機能付き給湯システムに含まれる。また、循環ポンプが即湯機能付き給湯器の外部において湯水供給管又は戻し管に設けられる構成も、本発明の即湯機能付き給湯システムに含まれる。さらに、即湯機能付き給湯器が合流部と、戻し管における合流部に接続する下流部分と、戻し管の下流部分に設けられた循環ポンプと、を備える構成も、本発明の即湯機能付き給湯システムに含まれる。
【0166】
実施例では、水量センサ70が給水管10に設けられているが、本発明はこの構成には限定されず、水量センサが出湯管に設けられていてもよい。また、実施例では、水量センサ70が給水管10の延伸方向と平行な回転軸心周りに回転可能な羽根車を有しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、水量センサは、給水管又は出湯管の延伸方向に直交する回転軸心周りに回転可能な羽根車を有していてもよい。また、水量センサは、羽根車式に限定されず、浮き子式、超音波式、電磁式等の各種の流量計であってもよい。
【0167】
実施例では、循環ポンプ5は、バイパス管15の途中に位置することで給水管10に設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例に係るバイパス管15を無くし、循環ポンプ5が給水管10又は出湯管20に直接設けられた構成も、本発明に含まれる。
【0168】
実施例では、加熱手段が燃焼装置3であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、加熱手段は、電気ヒータであってもよい。
【0169】
実施例では、低感サーミスタ79が給湯器1の外部の雰囲気温度を検出するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、給湯器1の外部から筐体9内の燃焼ファン3Fに給気するための給気経路に設けられた温度センサにより雰囲気温度を検出してもよい。
【0170】
実施例では、制御部C1は、循環ポンプ5のDCモータを水量センサ70の検出結果に基づいてフィードバック制御することにより、第2循環流量CF2を第1循環流量CF1よりも小さくするように循環ポンプ5を制御するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、本発明の即湯機能付き給湯システムの設置施工時に試運転を行い、制御部がDCモータを有する循環ポンプを作動させて循環路内で湯水を循環させ、第1循環流量が所定の第1目標流量となるときのDCモータの回転数を記憶するとともに、第2循環流量が所定の第2目標流量となるときのDCモータの回転数を記憶し、その記憶した回転数に基づいて、第2循環流量を第1循環流量よりも小さくするように循環ポンプを制御する構成も本発明に含まれる。また、循環ポンプがACモータを備え、制御部が即湯運転において循環ポンプを作動させる場合にはACモータを100%電圧印加し、凍結防止運転において循環ポンプを作動させる場合にはACモータを50%電圧印加することにより、第2循環流量を第1循環流量よりも小さくするように循環ポンプを制御する構成も、本発明に含まれる。
【0171】
実施例では、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量=10(L/min)であり、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量=2.5(L/min)であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量は、第1目標流量(8L/min)に基づいて設定される値であって、第1目標流量よりも大きい値(≠10L/min)に変更できる。また、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量は、第2目標流量(2L/min)に基づいて設定される値であって、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量よりも小さく、かつ第2目標流量よりも大きい値(≠2.5L/min)に変更できる。
【0172】
実施例では、即湯運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(10L/min)は、第1目標流量(8L/min)に基づいて設定される第1判定閾値(2L/min)を第1目標流量(8L/min)に加えた値であり、第1判定閾値(2L/min)は、第1目標流量(8L/min)の1/4であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1判定閾値は、第1目標流量を加算、減算、減算、除算等することにより設定され得る。
【0173】
実施例では、凍結防止運転中かつ循環ポンプ5の作動中における使用判定流量(2.5L/min)は、第2目標流量(2L/min)に基づいて設定される第2判定閾値(0.5L/min)を第2目標流量(2.5L/min)に加えた値であり、第2判定閾値(0.5L/min)は、第2目標流量(2L/min)の1/4であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第2判定閾値は、第2目標流量を加算、減算、減算、除算等することにより設定され得る。第2判定閾値は、第1判定閾値と等しくてもよい。
【0174】
実施例では、制御部C1は、加熱循環工程のステップS144において加熱不可状態であると判断した場合、ステップS150において第2循環流量CF2=8(L/min)に変更するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部C1は、ステップS150において第2循環流量CF2を2(L/min)よりも大きい値であって8(L/min)とは異なる値に変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は例えば、給湯機能及び即湯機能を有する給湯器、給湯機能、即湯機能及び風呂追焚機能を有する給湯器、給湯機能、即湯機能、及び、暖房機器との間で湯水を循環させる暖房機能を有する給湯暖房機等を備える給湯システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0176】
100…即湯機能付き給湯システム
1…即湯機能付き給湯器
4A…内部流路
4…熱交換器
3…加熱手段(燃焼装置)
10…給水管
20…出湯管
50…合流部
6…給湯栓
60…湯水流通管
65…戻し管
5…循環ポンプ
70…水量センサ
C1…制御部
7…循環路
CF1…第1循環流量
CF2…第2循環流量