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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067265
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】トークン配布システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0208 20230101AFI20240510BHJP
   G06Q 30/0242 20230101ALI20240510BHJP
【FI】
G06Q30/02 322
G06Q30/02 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177194
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】522432918
【氏名又は名称】株式会社クエストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 太清
(72)【発明者】
【氏名】内田 善彦
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】売上増加に貢献した者に対してトークン等を付与するシステムを提供する。
【解決手段】ビジネスオーナーがコンシューマーに販売したプロパティの売上に応じて、ボーディングメンバーに渡すトークンを多くする仕組みを、コンピュータ上に構築するシステムであって、サーバー(10)側には、1.売上が記録されたデータがあり、2.売上に対して、渡すべきトークンに対応するボーディングメンバーを記録したデータがあり、3.重み付けデータがあり、4.貢献量を記録したデータがあり、5.トークンにはメンバーの貢献の量があり、1.のデータを特定の期間で集計し、2.のデータからその期間に対応するボーディングメンバーを特定し、3.と4.のデータから所定の計算式を用いて計算することで、端末(20)側に、売上に応じたボーディングメンバーの貢献の量を記録したトークンを配布する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビジネスオーナーがコンシューマーに販売したプロパティの売上に応じて、ボーディングメンバーに渡すトークンを多くする仕組みをコンピュータ上で、構築するシステムであって、
サーバー側には、
1.前記売上が記録されたデータがあり、
2.前記売上に対して、渡すべきトークンに対応するボーディングメンバーを記録したデータがあり、
3.重み付けと貢献量を記録したデータがあり、
前記1.のデータを特定の期間で集計し、
前記2.のデータからその期間に対応するボーディングメンバーを特定し、
前記3.のデータから下記式1の計算式を用いて計算することで、
端末側に、売上に応じたボーディングメンバーの貢献量と重み付けを計算したトークンを配布するシステム。
【数1】
式1において、Ckは、ボーディングメンバーkのコントリビューションであり、下記式2の条件を満たす。fは、下記式3の条件を満たし各yk iに関して単調増加である。nは、貢献の種類の数である。
【数2】
式2において、mはボーディングメンバーの数である。
【数3】
【請求項2】
プロパティは、ビジネスオーナーがコンシューマーに提供できるサービス全体としてとらえて、
サーバー側には、
ビジネスオーナーが予め指定した施設の売上が記録されたデータ(a)があり、
各施設からボーディングメンバーに渡すトークンの比率を決めたデータ(b)があり、
(a)と(b)を用いて計算する手段を備えた、
トークンの割り当てを決める請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
サーバー側は、売上の一部をトークンの保有比率に応じて暗号資産又は前記暗号資産と同価値の法定通貨を計算し、ボーディングメンバーに分配する手段を備え、
端末側は、前記暗号資産又は前記法定通貨を受け取る請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トークンを配布するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品やサービスの消費促進や購買パターンの追跡などを目的として商品等の消費者を対象にトークンを付与するシステムが知られている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、実際に商品を購入あるいはサービスを利用した消費者が、ネットワーク上のサイトや掲示板などを利用して商品やサービスの評価に関する情報を発信する「クチコミ」がよく行われている。この「クチコミ」は消費者の声を意味する。このような「クチコミ」はインターネットやSNS(Social networking service)などを介して短時間で急激に拡散することがあり、これにより評価の対象とされた商品やサービスが一躍話題となり注目を集めることがある。このようにして注目を得ることを、最近の流行り言葉で「バズる」という。「バズる」と、大抵の場合、商品等の売れ行きが大幅に変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-194408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した近年の状況に鑑み、本発明の発明者は、消費者の声に経済的価値を持たせるとの着想を得て、商品等の売れ行きの増加に寄与する情報(例えば高評価する旨の「クチコミ」)をより多く発信するなど、商品等の売上増加に間接的に寄与する行為をした者に対してトークンやマネーといった財を付与する仕組みを創案した。
【0006】
しかし、従来のシステムでは、トークンの付与対象となるのは、主として、商品の購入者など売上に直接寄与した消費者であって、商品の内容や評価に関する情報の発信者にトークンを付与することは想定されていない。このため、かかる従来のシステムの構成を前述した新たな仕組みを実現するシステムに適用するのは困難である。そこで、本発明では、例えば商品に関する情報を発信する行為など、商品の提供者と共に商品の価値を高め、ひいては消費者からの対価を向上させる行為をした者に対してトークン等を配布するシステムを提供することを目的とする。
【0007】
また、商品の価値を高める種々の行為は、消費者からの対価を向上させる効果がそれぞれ異なるので、前述した新たなシステムにおいて配布するトークンは、上記効果に応じたものであることが好ましい。そこで、売上増加への寄与に応じたトークンを付与することができるシステムを提供することも本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売したプロパティの売上に応じて、ボーディングメンバーに渡すトークンを多くする仕組みを、コンピュータ上に構築するシステムであって、サーバー側には、1.売上が記録されたデータがあり、2.売上に対して、渡すべきトークンに対応するボーディングメンバーを記録したデータがあり、3.重み付けデータがあり、4.貢献量を記録したデータがあり、5.トークンにはメンバーの貢献の量があり、1.のデータを特定の期間で集計し、2.のデータからその期間に対応するボーディングメンバーを特定し、3.と4.のデータから下記式1の計算式を用いて計算することで、端末側に、売上に応じたボーディングメンバーの貢献の量を記録したトークンを配布する。
【0009】
また、上記システムは、プロパティを、ビジネスオーナーがコンシューマーに提供できるサービス全体としてとらえて、サーバー側には、ビジネスオーナーが予め指定した施設の売上が記録されたデータ(a)があり、各施設からボーディングメンバーに渡すトークンの比率を決めたデータ(b)があり、(a)と(b)を用いて計算する手段を備えた構成としてもよい。また、上記システムにおいて、サーバー側は、売上の一部をトークンの保有比率に応じて暗号資産又は当該暗号資産と同価値の法定通貨を計算し、ボーディングメンバーに分配する手段を備え、端末側は、暗号資産又は上記法定通貨を受け取る構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プロパティの価値を高め、ひいては、売上を向上させる行為をしたボーディングメンバーに対してトークンを付与することで、プロパティの売上増加を図ることができる。また、本発明のシステムによれば、ボーディングメンバーの貢献の量を数値化し当該貢献の量に応じたトークンをボーディングメンバーに付与するので、ボーディングメンバーに対して上記行為を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】トークン配布システムの一例と、当該システムを利用したサービスの一例を示す概略図である。
図2】サーバーの構成を示すブロック図である。
図3】コントリビューションの計算方法の一例を説明するための図である。
図4】トークン配布システムの適用例を示す図である。
図5】トークン配布システムの適用例を示す図である。
図6】トークン配布システムの適用例を示す図である。
図7】トークン配布システムの適用例を示す図である。
図8】トークン配布システムの適用例を示す図である。
図9】トークン配布システムの適用例を示す図である。
図10】トークン配布システムの適用例を示す図である。
図11】トークン配布システムの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、まず、本明細書で使用される用語及び語句の定義を示し、次いで、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(用語等の定義)
図1は、トークン配布システム100の一例を示すと共に、当該システムを利用したサービスの一例を示す概略図である。図1及び本明細書で使用される用語及び語句の定義は次のとおりである。
プロパティ(Property)とは、提供する価値をいう。
ビジネスオーナー(Business Owner)とは、プロパティを後述するコンシューマーに提供する者をいう。
コンシューマー(Consumer)とは、プロパティを受け取りビジネスオーナーに対し対価(例えばお金等)を払う者をいう。
ボーディングメンバー(Boarding Member)とは、ビジネスオーナーと共にプロパティの価値や消費量を高め、コンシューマーからの対価を向上させる者をいう。
貢献とは、プロパティの価値や消費量を高め、コンシューマーからの対価を向上させる行為をいう。
暗号資産とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、次の性質をもつものをいう。
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる。
(2)電子的に記録され、移転できる。
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない。
代表的な暗号資産には、ビットコイン(登録商標)やイーサリアム(登録商標)などがある。
【0014】
図1に示す例では、運営者(サーバー10)は、ビジネスオーナーのプロパティをコンシューマーに提供することによってコンシューマーから回収した売上(対価、お金等)の一部を、ビジネスオーナーに渡すと共に、例えばプロパティの情報をSNSで発信するなど、売上の増加に貢献をしたボーディングメンバー(端末20)に対して貢献の量に応じてトークンを配布する。その後、トークンに紐づいて暗号資産をボーディングメンバー(端末20)に送付する。運営者(サーバー10)がビジネスオーナーに渡す売上は、図1に示す例では、お金(例えば電子マネー)であるが、これに限定されず、例えば、後述するトークンであってもよい。また、後述するように、運営者がトークンに紐ついてボーディングメンバーに送付するものとしては、暗号資産に限定されず、例えば、当該暗号資産と同価値の法定通貨などであってもよい。
【0015】
上記定義に引き続き、本明細書で使用される用語及び語句について次のように定義する。
ボーディングメンバープロポーション(Boarding Member Proportion)とは、ボーディングメンバーに与える売上の比率をいい、これはビジネスオーナーが事前に決めておく比率である。なお、ボーディングメンバーに送付される暗号資産や法定通貨の額は、後述するコントリビューションを算出した後に確定する。
キャッシュフローオブザベーション(Cash Flow Observation)とは、売上などボーディングメンバーの貢献を計る指標をいう。
コントリビューション(Contribution)とは、ボーディングメンバーの貢献の量をいう。
【0016】
(システムの構成)
図1に示すように、トークン配布システム100は、サーバー10と、端末20と、を備える。サーバー10は端末20とネットワークNetを介して接続されている。ネットワークNetは、例えばインターネットである。サーバー10は、例えば、トークン配布システム100の運営者によって管理される。
【0017】
トークン配布システム100は、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売したプロパティの売上に応じてボーディングメンバーにトークンを渡す仕組みをコンピュータ上で構築したシステムである。なお、ここでいうコンピュータ上で構築したシステムには、上記の仕組みを複数のコンピュータを有するネットワークを用いて行うシステムも含まれる。例えば、トークン配布システム100は、コンピュータから構成されるサーバー10の機能の一部又は全てをクラウドコンピューティングにより行うものであってもよい。かかる場合、サーバー10の構成の一部あるいは全ては、ネットワークNet上のコンピュータに設けられる。また、トークン配布システム100は、プロパティの売上に対するコントリビューションに応じてトークンを端末20に送る。したがって、トークン配布システム100においてボーディングメンバーに渡されるトークンは、プロパティの売上やコントリビューションなどに応じて変化する(例えば多くなる)。
【0018】
図2は、サーバー10の構成を示すブロック図である。サーバー10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを備えている。サーバー10は、コンピュータにより構成されている。記憶部13には、サーバー10における後述する処理・機能を実現するためのプログラム14が記憶されており、当該プログラム14の実行により、通信部11、制御部12、記憶部13等の各機能が構成される。
【0019】
通信部11は、サーバー10の本体に対して外付けされるが、サーバー10に内蔵されていてもよい。通信部11は、ネットワークNetを介して、端末20に接続されており、例えば、端末20から送信されるデータの受信や、端末20へのデータ送信を行う。通信部11は、例えば、上記コンピュータにインストールされた専用のアプリケーションソフトウェアなどにより実現される。
【0020】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)や、一時記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)などで構成され、プログラム14に基づいて演算や処理を実行する。プログラム14は、コントリビューション計算プログラム15を含む。コントリビューション計算プログラム15は、特定のアルゴリズムにより、コントリビューションの計算をコンピュータに実行させるものである。なお、コントリビューション計算プログラム15による計算については後述する。
【0021】
記憶部13は、各種データを記憶する装置であり、例えばハードディスクなどの情報記憶媒体から構成される。記憶部13には、上記したプログラム14に加えて、各種のデータ16が記憶されている。データ16は、売上データ16a、トークンデータ16b、重み付けデータ16c、貢献データ16dを含む。
【0022】
売上データ16aは、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売したプロパティの売上が記録されたデータである。トークンデータ16bは、売上や貢献などに応じて、ボーディングメンバーに渡したトークンを記録したデータである。
【0023】
重み付けデータ16cは、重み付け(「重み」ともいう。)が記憶されたデータである。重み付けには、ボーディングメンバーが行った貢献の種類に対応して設定されるもの(例えば後述する式1-1における重みwi)や、後述するニューラルネットワークの形式を用いた方法に用いられるものwj i(例えば後述する式1-2における重み付けw1 i等)が含まれる。
【0024】
貢献の種類に対応して設定される重み付けについては、例えば、プロパティが酒類の場合、ボーディングメンバーによる貢献の種類は、SNSのインプレッション、感想・体験談のインプレッション、合せる料理に関する投稿、二次創作の投稿のインプレッション、解説の投稿のインプレッションの4つが挙げられ(図5参照)、これら4つの貢献のそれぞれに対して重み付けが設定される。
【0025】
重み付けの数値は、貢献の種類に応じて異ならせてもよく、例えば、売上増加の寄与度の高い貢献であればあるほど高くなるように、当該寄与度に応じて設定されてもよい。また、プロパティが酒類の場合においてSNSのインプレッションよりも解説の投稿のインプレッションの方が売上増加に寄与する場合、解説の投稿のインプレッションに対して設定される重み付けの数値は、SNSのインプレッションに対して設定される重み付けの数値よりも大きく設定されてもよい。また、プロパティに対する高評価のクチコミがSNS上で拡散することにより、通常よりも高評価のクチコミが増加した場合、このようなクチコミの投稿に対する重み付けは相対的に高く設定されてもよい。また、例えば、他者のクチコミを引用した再度のクチコミの投稿(例えばリツート)についても、その数が増加することで、プロパティがより多くの人の注目を集めることになるので、このような投稿に対する重み付けも相対的に高く設定されてもよい。また、例えば、Twitter(商標登録)アナリティクスでは、コンテンツへのオーディエンスの反応や、成果を挙げているものとそうでないものとを確認できるので、このデータを活用して重み付けが決定されてもよい。
【0026】
貢献データ16dは、ボーディングメンバーが行った貢献に関する情報が記憶されたデータであり、貢献の日時や、貢献の種類(内容)、貢献の回数、貢献を行ったボーディングメンバーの名前(名前の代わりにボーディンメンバーを特定できる記号でも良い)などの情報を含む。例えば、あるボーディングメンバーが貢献をしたとき、当該貢献をしたボーディングメンバーの名前、貢献の種類(内容)、貢献をした日時、及び各貢献の貢献量(例えば貢献の種類ごとの貢献の回数)などの情報が記憶部13に記憶され、これらの情報の蓄積により貢献データ16dが構成される。
【0027】
貢献データ16dに記録されるボーディングメンバーの名前や貢献の種類の情報は、プロパティの種類などに応じて異なる。例えば、プロパティが楽曲の場合にはアーティストのファンの名前がボーディングメンバーの名前として記録され、プロパティが観光資源の場合は観光客や住民の名前がボーディングメンバーの名前として記録される(図4参照)。また、プロパティが酒類の場合、貢献データ16dには、貢献したボーディングメンバーの名前や貢献の日時などの情報に加えて、貢献の種類として、例えば、SNSのインプレッション、感想・体験談のインプレッション、合せる料理に関する投稿、二次創作の投稿のインプレッション、並びに、解説の投稿のインプレッションの4つの行為の情報が記憶されると共に、ボーディングメンバーが行った各貢献の貢献量(即ち、SNSのインプレッション数、感想・体験談のインプレッション数、合せる料理に関する投稿数、二次創作の投稿のインプレッション数、並びに、解説の投稿のインプレッション数)が記憶される(図5参照)。なお、上記例では、貢献の種類の数(後述するnの数値)は4となる。また、インプレッションとは、一般的に、ウェブサイト等に掲載される広告の効果を表す指標の一つであり、ウェブサイトにおいて広告が1回表示されるとき、インプレッション数は1とカウントされる。上記例において、SNSのインプレッション数とは、例えばSNS上での投稿数やSNS上で表示された回数であり、例えば、SNS上で1度表示されたとき、SNSのインプレッション数を1とカウントする。貢献データ16dは、貢献をしたボーディングメンバーの名前や貢献の日時等が記録されるので、プロパティの売上に対して配布すべきトークンに対応するボーディングメンバーが記録されたデータでもある。
【0028】
データ16は、上記した各種データ16a~16d等に加えて、ボーディングメンバープロポーションの数値が記憶されたボーディングメンバープロポーションデータ16eや、キャッシュフローオブザベーションの数値、後述する、サーバー10に流す売上率(ξ)などが記憶されたデータを有する。
【0029】
図1に戻り、端末20は、ボーディングメンバーが所持し、ネットワークNetを介してサーバー10と通信可能に接続されている。端末20は、不図示の通信部と、キーボードなどの入力部と、ディスプレイなどの表示部とを有しており、例えばPC(パーソナルコンピュータ)により構成されている。
【0030】
図1に示すサービスにおいて、例えば、ビジネスオーナーが持つプロパティをコンシューマーが購入したとする。この場合、運営者が管理するサーバー10には、プロパティに関するデータが送られる。ここで、運営者は、一般的な株式会社などとは異なり、組織の代表者が存在していない分散型自律組織(DAO:Decentralized Autonomous Organization)を想定している。その特徴点は、概ね、次のとおりである。即ち、上記組織は、中央集権的な権限を持った管理者がいないので参加者全員が平等であり、オープンソースなので組織として非常に透明性が高い。また、上記組織は、ガバナンストークンを発行することで資金調達等ができる、といった特徴を有しても良い。
【0031】
できる限り、「バズる」状況を生じさせて商品やサービスの売上げ増加を図ると共に、ボーディングメンバーにトークンやマネーのリターンを多くすることが、本発明の目的であるので、DAOのような組織が望ましい。もっとも、通常の会社が運営することも、想定外ではない。また、ビジネスオーナーに投資をする者、投資家に対しても、DAOからマネーが流れる仕組みを構築することで、投資を増やすことも想定している。
【0032】
次に、サーバー10がボーディングメンバーに渡すトークンを計算する際に、制御部12が実行するデータの処理の一例について説明する。以下に説明するデータの処理は、プログラム14をコンピュータ(制御部12)に実行させることにより行われる。
【0033】
制御部12は、まず、売上データ16aから特定の期間の売上を集計する。ここで、特定の期間は、過去における任意の期間を設定することが可能であり、例えば、2022年7月30日から同年8月15日までの期間や、ある日時を基準としてその基準日時から所定の日時経過までの期間などのように設定される。設定された特定の期間を示すデータはサーバー10に入力され、記憶部13に記憶される。制御部12は、特定の期間を示すデータを読み取り、売上データ16aから特定の期間におけるプロパティの売上の合計を算出する。そして、制御部12は、特定の期間においてボーディングメンバーの貢献により売上が増加したと判断した場合に、引き続き以下の処理を実行する。
【0034】
制御部12は、上記した特定の期間に対応するボーディングメンバーを特定する。即ち、制御部12は、例えば、貢献データ16dから、上記した特定の期間に貢献を行ったボーディングメンバーを読み取り、特定の期間に対応するボーディングメンバーを特定する。
【0035】
また、制御部12は、貢献データ16dから、特定されたボーディングメンバーが行った各貢献の貢献量を読み取ると共に、重み付けデータ16cから、貢献の種類に対応する重み付けを読み取る。
【0036】
そして、制御部12は、コントリビューション計算プログラム15を実行し、特定されたボーディングメンバーの特定の期間におけるコントリビューションを計算する。このとき、制御部12は、次の計算式を用いて特定の期間のコントリビューションを計算する。
【数1】
kは、ボーディングメンバーkの各貢献の貢献量yk を変数に含む関数であり、貢献量yk と重み付けの数値とを用いて算出される。
式1において、Ckは、ボーディングメンバーkのコントリビューションであり、下記式2の条件を満たす。fは、下記式3の条件を満たしそれぞれのyk iに対して単調増加である。式1のnは、貢献の種類の数である。
【数2】
式2において、mは現在のボーディングメンバーの数である。
【数3】
【0037】
このように、サーバー10は、貢献量と重み付けのデータを用いるとともに、式1の計算式を用いて計算することでコントリビューションを算出する。ここで、式1の計算式を用いて計算するとは、貢献量yk iに関する関数を用いて計算することをいう。したがって、例えば、いずれも後述するように、式1-1からコントリビューションCkを算出したり、式1-2を利用してコントリビューションCkを計算したりすることも、式1の計算式を用いて計算することに含まれる。
【0038】
式1は、具体的には、例えば下記式1-1であってもよい。即ち、コントリビューション計算プログラム15において、Ckを算出する計算式として、下記式1-1が適用されてもよい。
【数4】
式1-1において、nは貢献の種類の数、yk iはボーディングメンバーkの貢献の種類iの貢献量、wiは貢献iの重み(0<wi≦1)である。ボーディングメンバーkのコントリビューションCkは、式1と同様に、貢献量yk iと重みwiとを用いて算出される。
このとき、制御部12は、上述したように、貢献データ16dから特定の期間の貢献量(yk i)を読み取ると共に、重み付けデータ16cから対応する重み付けの数値(wi)を読み取り、これらの数値に基づいてコントリビューションCkを算出する。
【0039】
また、上記式1の計算式を用いたコントリビューションの計算は、ニューラルネットワークにおける活性化関数を用いる計算と同じ形式の計算であってもよい。この点について図3を用いて説明する。図3は、ニューラルネットワークにおける活性化関数を用いる計算と同じ形式を用いたコントリビューションの計算方法の一例を説明するための図である。なお、この場合の計算についても、上述した式1-1を用いた計算の場合と同様に、コントリビューション計算プログラム15に従って制御部12が実行する。
【0040】
サーバー10は、図3に示すように、入力層、中間層、出力層を含んで構成されるニューラルネットワークを有する。なお、図3では、中間層が1層のニューラルネットワークを示しているが中間層は複数の層から構成されてもよい。また、ニューラルネットワークにおける入力層の入力部の数は、図3の例では4つであるが、貢献量(yk i)の数(即ち、貢献の種類の数n)に応じて適宜増減する。また、ニューラルネットワークの中間層におけるニューロンの数は任意に設定可能である。
【0041】
制御部12は、上記式1-1を用いた場合の計算と同様に、ボーディングメンバーkの貢献データ16dから特定の期間の貢献iの貢献量yk iを読み取ると共に、重み付けデータ16cから対応する重み付けの数値(wj i等)を読み取り、これらの数値を用いてコントリビューションCkを計算する。
【0042】
即ち、制御部12は、先ず、貢献データ16dから読み取った貢献量の数値yk i(yk 1~yk 4)を、それぞれ入力層に入力し、入力層から中間層に出力する。
【0043】
次いで、制御部12は、中間層において入力層から入力された数値を用いて式1-2からνk 11を計算する。即ち、入力データyk 1~yk 4のそれぞれに対して重み付けw1 iを乗じた数値を合算することによりνk 11を計算する。また、制御部12は、νk 11と同様に、νk 12~νk 14をそれぞれ計算する。
【数5】
【0044】
式1-2において、重み付けw1 iは、ボーディングメンバーkの貢献iの貢献量yk iに対応して設定されている。例えば、図3において、重み付けw1 1は貢献量yk 1に対して適用される重み付けであり、重み付けw1 4は貢献量yk 4に対して適用される重み付けである。重み付けw1 i(例えば、w1 1,w1 4,や、後述するw1 2,w1 3)は、ニューラルネットワークにおける重みでもある。したがって、重み付けw1 iは、ニューラルネットワークに対して教師データを用いて機械学習を行い、入力データに対応するコントリビューションCkを出力するように中間層及び出力層を学習させ、その結果、設定されたものであってもよい。図3のニューラルネットワークには、重み付けw1 1,w1 4と同様に、入力値yk 2に対する重み付けw1 2(不図示)、入力値yk 3に対する重み付けw1 3(不図示)がそれぞれ設定されている。制御部12は、式1-2において、yk iにそれぞれデータyk 1~yk 4を入力すると共に、w1 iにそれぞれ重み付けw1 1~w1 4を入力して計算を実行する。なお、上述したように、式1-2はνk 11の計算式であるが、νk 12~νk 14を計算する各計算式も式1-2と同様である。
【0045】
また、制御部12は、算出したνk 11~νk 14の数値を活性化関数h(ν)に入力して計算し、その結果(h(νk 11)~h(νk 14))を当該中間層の次の層(図3の例では出力層)へそれぞれ出力する。活性化関数h(ν)は単調増加関数である。活性化関数h(ν)としては、単調増加のものである限りにおいて種々の関数が適用可能である。例えば、活性化関数h(ν)は、式1-3のロジスティックシグモイド関数や、式1-4のReLU関数に加えて、ステップ関数(step)、恒等関数(identity)、Bent Identity関数、hardShrink関数、softShrink関数、Threshold関数、hardSigmoid関数、logSigmoid関数、tanh関数、tanhShrink関数、hardtanh関数、ReLU6関数、leaky-ReLU関数、ELU関数、SELU関数、CELU関数、ソフトマックス関数(softmax)、softmix関数、logSoftmax関数、softplus関数、softsign関数、Swish関数、hardSwish関数、ACON関数、Mish関数、tanhExp関数などであってもよい。なお、式1-3及び式1-4においてuは、入力値を示し、νk 11~νk 14の数値が入力される。ニューラルネットワークが複数の中間層を有する場合、中間層ではこのような演算が繰り返され、中間層における最終的な計算結果が出力層へ出力される。
【数6】
【数7】
【0046】
続いて、制御部12は、上述した式1-2の計算式による計算と同様に、中間層から出力層に入力された数値(h(νk 11)~h(νk 14))を用いてνk 21~νk 24の計算を実行する。かかる計算では、式1-2において、yk iに代えてh(νk 11)~h(νk 14)の各数値が適用されると共に、w1 iに代えて重み付けw2 iが適用される。つまり、νk 21~νk 24の各数値は、式1-2においてyk iにデータh(νk 11)~h(νk 14)をそれぞれ入力すると共に、w1 iに重み付けw2 1~w2 4をそれぞれ入力することにより算出される。なお、図3において、重み付けw2 1は出力層の入力値h(νk 11)に対する重み付けであり、重み付けw2 4は出力層の入力値h(νk 14)に対する重み付けである。同様に、入力値h(νk 12)に対する重み付けw2 2(不図示)、入力値h(νk 13)に対する重み付けw2 3(不図示)がそれぞれ設定されている。
【0047】
また、制御部12は、算出したνk 21~νk 24の数値を活性化関数h(ν)に入力して計算し、その計算結果(h(νk 21)~h(νk 24)の各数値)に対してそれぞれ重み付けw3 1~w3 3を乗じた数値を合算して、コントリビューションCkを計算する。
【0048】
続いて、制御部12は、算出した(つまり数値化した)コントリビューションCkに対応したトークンを作成する。ここで作成されるトークンは、例えばNTT(non-tradable token)であり、このNTTはその属性にコントリビューションCkを持つ。作成されたトークン(例えば発行されたNTT)のデータは、トークンデータ16bを構成するデータとして記憶部13に記録されると共に、通信部11を介してサーバー10から端末20に送信される。
【0049】
このように、トークン配布システム100では、特定の期間においてボーディングメンバーkの貢献によりプロパティの売上が増加した場合、サーバー10は、貢献データ16dから特定の期間に対応するボーディングメンバーkを特定すると共に、特定したボーディングメンバーkの貢献量yk i及び重み付けwiをデータ16から読み取り、これらの数値を用いてコントリビューションCkを計算し、コントリビューションCkに応じたトークンをボーディングメンバーkに配布する。したがって、トークン配布システム100によれば、ボーディングメンバーに対して貢献を促すことができ、ひいてはプロパティの売上増加を図ることができる。
【0050】
さらに、トークン配布システム100では、サーバー10は、売上の一部を、ボーディングメンバーkに対して、保有するトークンに対応する価値のお金等を付与する。
【0051】
ボーディングメンバーが複数人(m≧2)の場合、サーバー10は、これらの複数のボーディングメンバーに対して、売上の一部をトークンの保有比率に応じて分配する。このとき、制御部12は、例えば式4により、分配する金額を算出する。かかる場合、制御部12は、下記式4の各値(ξ、Ck等)をデータ16から読み取り計算する。
【数8】
式4において、Dkはボーディングメンバーkが受取る売上、zはキャッシュフローオブザベーションであって、z0は、運営者(サーバー10)に預ける前の何もしていないキャッシュフローオブザベーションである。即ち、z0は、同じビジネスにトークン配布システム100を適用する前の売上であり、例えば、新規に立ち上げるビジネスの場合には予め定められた計画上の売上である。ξはサーバー10に流す売上率(0≦ξ≦1)であり、ξ=1の場合は増加した売上分に対してのみ分配させ、ξ=0の場合は売上全体に対して分配をさせる。Xは、ボーディングメンバープロポーションである(0≦X≦1)。
【0052】
トークン配布システム100は、ビジネスオーナーがコンシューマーに提供する複数のサービス全体をプロパティとする場合においても適用することができる。即ち、プロパティを、ビジネスオーナーがコンシューマーに提供できるサービス全体としてとらえて、サーバー10側の売上データ16aは、ビジネスオーナーが予め指定した施設におけるプロパティから生じる売上の記録を有する指定施設売上データを含み、さらに、サーバー10側のデータ16は各施設からボーディングメンバーに渡すトークンの比率を決めたトークン比率データを含み、制御部12が、プログラム14に従って、指定施設売上データとトークン比率データを用いてトークンの割り当てを計算するようにしてもよい。
【0053】
以上説明したように、サーバー10は、ボーディングメンバーに対して、コントリビューションに応じてトークンを配布すると共に、トークンに応じてお金等を配布する。
【0054】
また、サーバー10は、ビジネスオーナーに対して売上を渡す。ビジネスオーナーに渡される売上は、お金であるが、お金に代えてサーバー10が発行したトークンであってもよい。かかる場合、ビジネスオーナーが受け取るトークンは、例えば、ボーディングメンバーへのキャッシュフロー控除後のキャッシュフローを受け取る権利をトークン化したものであって売買可能なものであってもよい。
【0055】
サーバー10からビジネスオーナーに渡される売上(つまり、売上におけるビジネスオーナー取り分)Aは、例えば式5の計算式により算出される。制御部12は、プログラム14に従って式5を計算し、売上Aを算出する。このとき、制御部12は、キャッシュフローオブザベーションzの数値や、サーバー10に流す売上率ξなどの各データを記憶部13から読み取り、これらの数値を式5に適用する。
【数9】
つまり、z>ξzとならない限りはビジネスオーナーがすべての売上を取得する。
ここで、Nを、サーバー10からビジネスオーナーに渡すトークンの発行枚数とすると、一枚あたりのトークンへ割り当てられるキャッシュフローは、A/Nである。
【0056】
続いて、トークン配布システム100の実施例について概略的に説明する。
(実施例1)
ある月に鉛筆が100本売れ、インターネット上でバズることで、翌月、その鉛筆が120本、売れたとする。かかる場合、トークン配布システム100は、売上増加分(即ち、20本分の売上)を、SNS発信者(ボーディングメンバー)の貢献によるものとみなしてこれらの者にトークンを発行する。サーバー10は、貢献量(yi)及び重み付け(wi)の値に基づいてコントリビューション(C)を計算する。かかる計算において、貢献量は、例えば、SNS上の発信回数とする。また、重み付けは、例えば、SNS上で発信した文字データの単語数をカウントしたときに一万ワード未満の場合は0.4、一万ワード以上の場合は0.8とする。
【0057】
(実施例2)
アーティストの楽曲について、ファンがクチコミを広げることで楽曲が売れたとする。中には、熱狂的なファンなど、熱心にSNS上で書き込む者もいるので、このような熱心なファンには、可能な限りトークンを多くしたい。かかる場合、トークン配布システム100は、その楽曲の売上分を、SNS発信者(ボーディングメンバー)の貢献によるものとみなして、SNS発信者にトークンを発行する。サーバー10は、貢献量(yi)及び重み付け(wi)の値に基づいてコントリビューション(C)を計算する。かかる計算において、貢献量は、例えば、SNS上の発信回数とする。また、重み付けは、例えば、発信内容にアーティストなどの写真が含まれるか否かによって異ならせ、このような写真を含む内容を発信する貢献に対応する重み付けを0.8、文章のみの内容を発信する貢献に対応する重み付けを0.4のように決定してもよい。
【0058】
(実施例3)
例えば、ある地方自治体(例えば軽井沢町)にある美術館、カフェ、及び土産屋を、包括的なビジネスオーナーとみなし、これらの施設に関するクチコミをした者に対してトークンを発行したい場合、トークン配布システム100の制御部12は、美術館、カフェ、及び土産屋(ビジネスオーナーとして予め指定した3つの施設全体)の売上のデータ(指定施設売上データ)と、各施設からボーディングメンバー(即ちクチコミをした者)に渡すトークンの比率を決めたトークン比率データとを用いて、配布するトークンの割り当てを決定するようにしてもよい。即ち、上記3つの施設全体の売上増加に寄与するような貢献をしたボーディングメンバーに対して、各施設からトークン比率データに応じたトークンを配布するようにしてもよい。この場合、制御部12は、これら3つの施設全体の売上増加に寄与したコントリビューションを指定施設売上データを用いて計算し、さらに、各指定施設からボーディングメンバーに配布するトークンをトークン比率データを用いて計算する。例えば、トークン比率データとして、美術館、カフェ、土産屋についてそれぞれ1:2:3との比率が設定されている場合、施設全体の売上増加に寄与したコントリビューションに応じたトークンのうち1/6が美術館から、1/3がカフェから、1/2が土産屋からそれぞれボーディングメンバーに配布される。
また、上記の場合であって、施設全体(美術館、カフェ、及び土産屋)の売上増加に寄与するような貢献をして、そのコントリビューションに応じたトークンを保有するボーディングメンバーがいる場合において、当該ボーディングメンバーに対し、トークンに応じて、施設全体の売上の一部を渡すとき、各施設から売上比率データに応じた売上を渡してもよい。ここで、売上比率データとは、ビジネスオーナーを構成する各施設からボーディングメンバーに渡す売上の比率を記録したデータである。例えば、売上比率データとして、美術館、カフェ、土産屋についてそれぞれ1:2:3との比率が設定されている場合、上記ボーディングメンバーが受け取る売上のうち、1/6が美術館から、1/3がカフェから、1/2が土産屋からそれぞれ渡される。なお、上記の場合、トークン比率データ及び売上比率データは、予め設定されると共に記憶部13に記憶される。そして、制御部12は、このデータを読み取って上記ボーディングメンバーに送信するトークンや売上を計算する。
【0059】
図4~11は、トークン配布システム100の適用例を示す図である。トークン配布システム100は、例えば図4~11に示すように、種々の分野のサービスにおいて適用することが可能である。なお、図4~11において、ボーディングメンバープロポーションの数値(%)は一例であり、これと異なる数値であってもよい。また、図4~11において、コントリビューション/貢献量(yi)の欄の記載(例えば、SNSのインプレッション数(y))は、貢献の種類(即ち貢献の内容)の数(例えば回数)の具体例である。
【0060】
例えば、地方自治体にトークン配布システム100を適用した場合、図4に示すように、ビジネスオーナーはその自治体又は公的団体、プロパティは観光資源、コンシューマー及びボーディングメンバーは観光客や住民となる。かかる場合において、ボーディングメンバープロポーションは例えば30%、キャッシュフローオブザベーションは主要駅、空港の乗降客数であり、貢献の種類は、SNSのインプレッション、感想・体験談のインプレッション、コミュニティ創出、特産品作成である。これら各貢献(例えばSNSのインプレッションなど)の貢献量(例えばSNSのインプレッション数など)の数値y1~y4は、それぞれ、SNSのインプレッション数(y)、感想・体験談のインプレッション数(y)、コミュニティの創出数(y)、特産品の作成数(y)であり、貢献の種類の数(n)は4である。
【0061】
また、例えば、酒類の販売にトークン配布システム100を適用する場合、図5に示すように、ビジネスオーナーは事業者、プロパティは商品(つまり酒類)、コンシューマーは購入者及び酒類を飲む人、ボーディングメンバーはファン及び購入者となる。かかる場合において、ボーディングメンバープロポーションは例えば20%、キャッシュフローオブザベーションは売上であり、貢献の種類は、SNSのインプレッション、感想・体験談のインプレッション、酒類に合わせる料理の投稿、二次創作の投稿のインプレッション、解説の投稿のインプレッションである。これら各貢献(例えばSNSのインプレッションなど)の貢献量(例えばSNSのインプレッション数など)の数値y1~y5は、それぞれ、SNSのインプレッション数(y)、感想・体験談のインプレッション数(y)、酒類に合わせる料理の投稿の数(y)、二次創作の投稿のインプレッション数(y)、解説の投稿のインプレッション数(y)であり、貢献の種類の数(n)は5である。
【0062】
また、例えば、アイドルに係る事業にトークン配布システム100を適用する場合、図6に示すように、ビジネスオーナーはアイドル、プロパティは楽曲及びライブストリーミング、コンシューマーは視聴者及びファンとなる。かかる場合において、ボーディングメンバープロポーションは例えば15%、キャッシュフローオブザベーションはチケット収入並びに動画への投げ銭である。動画への投げ銭とは、例えば、アイドルが出演するコンテンツがネットワーク(例えばインターネット)上で公開されている場合に当該コンテンツに対してその視聴者やファンがオンラインで送金する行為をいう。また、貢献量y1~y4は、それぞれ、SNSのインプレッション数(y)、感想・体験談のインプレッション数(y)、歌ってみた、ファンアートなどの二次創作数(y)、紹介してくれた人数(y)であり、貢献の種類の数(n)は4である。
【0063】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、サーバー10は、売上の一部を、トークンあるいはその保有比率に応じた暗号資産の形でボーディングメンバーに分配していたが、暗号資産に代えて、当該暗号資産と同価値の法定通貨(電子マネーを含む)や法定通貨建ての資産を分配してもよい。ここで、電子マネーとは、法定通貨を電子的に取引可能としたものをいう。即ち、サーバー10は、貢献に応じてトークンを配布し、プロパティの売上が発生したときに、上述したように、売上の一部を暗号資産としてボーディングメンバーに分配するものでもよいし、当該暗号資産と同価値の法定通貨(例えば電子マネー)をボーディングメンバーに分配するものであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
100・・・トークン配布システム(システム)
10・・・サーバー
20・・・端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11