(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067266
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】中継器及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/15 20060101AFI20240510BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20240510BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240510BHJP
【FI】
H04B7/15
H04W4/38
H04W84/10 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177197
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000106690
【氏名又は名称】サン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真也
【テーマコード(参考)】
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K067EE06
5K067EE35
5K067HH21
5K072AA29
5K072BB02
5K072BB13
5K072BB25
5K072DD16
5K072DD17
5K072FF15
5K072FF19
5K072GG01
5K072GG12
5K072GG13
5K072GG14
(57)【要約】
【課題】 センサとユーザ端末との通信を中継する新規な技術を提供する。
【解決手段】 中継器は、センサ及びユーザ端末のそれぞれとBluetoothに従った通信を実行してもよい。中継器は、前記センサからBluetoothに従った第1ビーコンを取得するとともに、前記センサによる検出結果を取得する取得部と、Bluetoothに従った第2ビーコンを発信するとともに、前記センサから前記検出結果が取得される場合に、前記検出結果から得られる特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給する供給部を備えていてもよい。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ及びユーザ端末のそれぞれとBluetoothに従った通信を実行する中継器であって、
前記センサからBluetoothに従った第1ビーコンを取得するとともに、前記センサによる検出結果を取得する取得部と、
Bluetoothに従った第2ビーコンを発信するとともに、前記センサから前記検出結果が取得される場合に、前記検出結果から得られる特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給する供給部を備える、中継器。
【請求項2】
前記取得部は、検出対象が互いに異なる複数のセンサのそれぞれから、Bluetoothに従った前記第1ビーコンを取得するとともに、当該センサによる検出結果を取得し、
前記供給部は、前記複数のセンサのそれぞれから前記検出結果が取得される場合に、複数の前記検出結果から得られる前記特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給する、請求項1に記載の中継器。
【請求項3】
前記取得部は、前記複数のセンサのそれぞれから前記検出結果が取得される場合に、複数の前記検出結果の相関関係から得られる前記特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給する、請求項2に記載の中継器。
【請求項4】
前記検出結果から得られる検出情報を、前記ユーザ端末に供給すべきか否かを判断する判断部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の中継器。
【請求項5】
前記取得部は、前記センサから前記検出結果を含む前記第1ビーコンを取得する、請求項1に記載の中継器。
【請求項6】
前記供給部は、前記特定情報を含む前記第2ビーコンを発信する、請求項1に記載の中継器。
【請求項7】
センサと、
前記センサとBluetoothに従った通信を実行する中継器と、
前記中継器とBluetoothに従った通信を実行するユーザ端末と、を備え、
前記センサは、Bluetoothに従った第1ビーコンを発信するとともに、Bluetoothに従って、検出結果を前記中継器に供給するセンサ側供給部を備え、
前記中継器は、
Bluetoothに従って、前記検出結果を取得する中継側取得部と、
Bluetoothに従った第2ビーコンを発信するとともに、前記センサから前記検出結果が取得される場合に、前記検出結果から得られる特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給する中継側供給部と、を備え、
前記ユーザ端末は、
Bluetoothに従って、前記特定情報を取得する端末側取得部と、
前記特定情報を出力する出力部と、を備える通信システム。
【請求項8】
複数のセンサと、ユーザ端末と、のそれぞれと通信を実行する中継器であって、
前記複数のセンサのそれぞれから検出結果を取得する取得部と、
取得済みの複数の検出結果の相対関係から得られる特定情報を、前記ユーザ端末に供給する供給部を備える、中継器。
【請求項9】
前記特定情報を、前記ユーザ端末に供給すべきか否かを判断する判断部を、さらに備える、請求項8に記載の中継器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、中継器及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに異なる通信方式を有する装置間の中継機器を含むモニタリングシステムが開示されている。モニタリングシステムは、中継機器と、中央通信装置と、モニタリング機器と、を備える。モニタリング機器は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energyの略)で中継機器と通信する。中央通信装置は、ISA100(登録商標)等、BLEと異なる通信方式を用いて、中継機器と通信する。中継機器には、検出データの送信周期、データのサイズ及びモニタリングの測定時間を設定するためのファームウエアのプログラムが格納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、モニタリング機器での測定結果は、BLEで中継機器に送信され、BLEと異なる通信方式で中央通信装置に送信される。
【0005】
本明細書では、センサとユーザ端末との通信を中継する新規な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術の第1の態様は、中継器に関する。中継器は、センサ及びユーザ端末のそれぞれとBluetoothに従った通信を実行してもよい。中継器は、前記センサからBluetoothに従った第1ビーコンを取得するとともに、前記センサによる検出結果を取得する取得部と、Bluetoothに従った第2ビーコンを発信するとともに、前記センサから前記検出結果が取得される場合に、前記検出結果から得られる特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給する供給部を備えていてもよい。
【0007】
上記の構成では、中機器は、センサから検出結果を取得する際にはBluetoothの親機として機能し、ユーザ端末に特定情報を供給する際にはBluetoothの子機として機能する。この構成によれば、中継器は、Bluetoothに従って、センサから取得された検出結果から得られる特定情報をユーザ端末に送信することができる。
【0008】
第2の態様では、上記第1の態様において、取得部は、検出対象が互いに異なる複数のセンサのそれぞれから、Bluetoothに従った第1ビーコンを取得するとともに、当該センサによる検出結果を取得し、供給部は、複数のセンサのそれぞれから検出結果が取得される場合に、複数の検出結果から得られる特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給してもよい。
【0009】
この構成によれば、中継器は、複数のセンサの検出結果を特定情報としてユーザ端末に送信することができる。ユーザ端末に、複数のセンサの検出結果を個別に送信せずに済む。
【0010】
第3の態様では、上記第2の態様において、取得部は、複数のセンサのそれぞれから検出結果が取得される場合に、複数の検出結果の相関関係から得られる特定情報を、Bluetoothに従って、ユーザ端末に供給してもよい。
【0011】
例えば、温度だけを考慮するよりも、温度と湿度との相関関係を考慮した方が、ユーザが熱中症になりやすいか否かを適切に判断することができる。上記の構成によれば、ユーザ端末は、複数の検出結果の相関関係が考慮された特定情報を中継器から取得することができる。これにより、複数の検出結果を用いて、より有用な特定情報を中継器から取得し得る。
【0012】
第4の態様では、上記第1から第3の態様のいずれか一つの態様において、中継器は、検出結果から得られる検出情報を、ユーザ端末に供給すべきか否かを判断する判断部をさらに備えていてもよい。
【0013】
この構成によれば、ユーザ端末に有用な情報を提供し得る。ユーザ端末は、センサの検出結果のうち、中継器によって判断された情報を受信し得る。ユーザ端末は、センサの検出結果を全て受信せずに済む。
【0014】
第5の態様では、上記第1から第4の態様のいずれか一つの態様において、取得部は、センサから検出結果を含む第1ビーコンを取得してもよい。
【0015】
この構成によれば、中継器は、センサと接続を確立せずに、センサから検出結果を取得することができる。
【0016】
第6の態様では、上記第1から第5の態様のいずれか一つの態様において、供給部は、特定情報を含む第2ビーコンを発信してもよい。
【0017】
これらの構成によれば、中継器は、ユーザ端末と接続を確立せずに、ユーザ端末に検出結果を供給することができる。
【0018】
本明細書に開示される技術の第7の態様は、通信システムに関する。通信システムは、センサと、前記センサとBluetoothに従った通信を実行する中継器と、前記中継器とBluetoothに従った通信を実行するユーザ端末と、を備え、前記センサは、Bluetoothに従った第1ビーコンを発信するとともに、Bluetoothに従って、検出結果を前記中継器に供給するセンサ側供給部を備え、前記中継器は、Bluetoothに従って、前記検出結果を取得する中継側取得部と、Bluetoothに従った第2ビーコンを発信するとともに、前記センサから前記検出結果が取得される場合に、前記検出結果から得られる特定情報を、Bluetoothに従って、前記ユーザ端末に供給する中継側供給部と、を備え、前記ユーザ端末は、Bluetoothに従って、前記特定情報を取得する端末側取得部と、前記特定情報を出力する出力部と、を備えていてもよい。
【0019】
上記の構成では、中機器は、センサから検出結果を取得する際にはBluetoothの親機として機能し、ユーザ端末に特定情報を供給する際にはBluetoothの子機として機能する。この構成によれば、中継器は、Bluetoothに従って、センサから取得された検出結果から得られる特定情報をユーザ端末に送信することができる。
【0020】
本明細書に開示される技術の第8の態様は、中継器に関する。中継器は、複数のセンサと、ユーザ端末と、のそれぞれと通信を実行する中継器であって、前記複数のセンサのそれぞれから検出結果を取得する取得部と、取得済みの複数の検出結果の相対関係から得られる特定情報を、前記ユーザ端末に供給する供給部を備えていてもよい。
【0021】
例えば、温度だけを考慮するよりも、温度と湿度との相関関係を考慮した方が、ユーザが熱中症になりやすいか否かを適切に判断することができる。上記の構成によれば、ユーザ端末は、複数の検出結果の相関関係が考慮された特定情報を中継器から取得することができる。これにより、複数の検出結果を用いて、より有用な特定情報を中継器から取得し得る。
【0022】
第9の態様では、上記第8の態様において、中継器は、特定情報を、ユーザ端末に供給すべきか否かを判断する判断部を、さらに備えていてもよい。
【0023】
この構成によれば、ユーザ端末に有用な情報を提供し得る。ユーザ端末は、センサの検出結果のうち、中継器によって判断された特定情報のみを受信することができる。このため、ユーザ端末は、センサの検出結果から得られる特定情報を全て受信せずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図6】第1実施例のコマンド送信処理のフローチャートを示す。
【
図7】第1実施例のコマンド中継処理のフローチャートを示す。
【
図8】第1実施例の返信受信処理のフローチャートを示す。
【
図9】第1実施例の情報提供処理のシーケンス図を示す。
【
図10】第2実施例の処理システムの概要図を示す。
【
図11】第2実施例の処理ユニットの概要図を示す。
【
図12】第2実施例のコマンド送信処理及び返信受信処理のシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施例)
図1に示すように、本実施例の処理システム2は、処理装置10と、中継器20と、複数のセンサ装置30a、30bと、ユーザ端末40と、を備える。処理システム2は、センサ装置30a、30bの検出結果を、中継器20を介して、処理装置10及びユーザ端末40に提供する。
【0026】
(処理装置の構成)
処理装置10は、例えば、ルータのように、ユーザによって利用されるPC、携帯端末等の特定の機器(図示省略)に通信可能に接続される。
図2に示すように、処理装置10は、制御部12と、通信インターフェイス15と、格納部16と、を備える。以下、「インターフェイス」を「I/F」と呼ぶ。制御部12と、通信I/F15と、格納部16と、は、図示省略した配線によって通信可能に接続されている。なお、処理装置10は、画像を表示する表示部及びユーザの操作を許容する操作部を備えていていもよい。
【0027】
通信I/F15は、処理装置10が中継器20及び上記特定の機器等と無線通信を実行するための通信I/Fである。通信I/F15は、1GHz未満の周波数帯(例えば920MHz)を利用した無線通信の通信方式、いわゆるSub-GHz(サブギガヘルツ)通信の通信方式に従った通信に利用される。Sub-GHz通信の通信方式は、例えばWi-SUNであってもよく、他の通信方式(即ち通信プロトコル)であってもよい。Sub-GHz通信の通信方式は、処理システム2の提供者が独自に提供する通信方式であってもよい。また、通信I/F15は、上記特定の機器と無線又は有線通信を実行するために、Wi-Fi等の通信方式に従った通信に利用される。
【0028】
制御部12は、CPUを備える。制御部12は、格納部16に格納されているコンピュータプログラムに従って、様々な処理を実行する。格納部16は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。格納部16は、コンピュータプログラムとして、複数の特定アプリケーションプログラム17a、17b、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス18等を格納している。以下、「アプリケーションプログラム」を単に「アプリケーション」と呼び、「アプリケーション・プログラミング・インターフェイス」を「API」と呼ぶ。複数の特定アプリケーション17a、17bのそれぞれは、複数のセンサ装置30a、30bのそれぞれを制御するための専用のアプリケーションである。格納部16には、複数のセンサ装置30a、30bのそれぞれに対応する1個以上の特定アプリケーション17a、17bが格納されている。特定アプリケーション17a、17bは、例えば、複数のセンサ装置のうち、1個のセンサ装置を制御するためのアプリケーションであってもよく、2個以上のセンサ装置を制御するためのアプリケーションであってもよい。なお、本明細書では、装置の格納部に格納されているアプリケーションは、当該装置にインストールされていることと同義である。また、格納部16は、複数のセンサ装置30a、30bのそれぞれのMACアドレスを格納する。格納部16には、処理システム2の管理者及び提供者の少なくとも一方によって、処理システム2に配置される複数のセンサ装置30a、30bのMACアドレスが格納される。
【0029】
(中継器の構成)
中継器20は、処理システム2の管理者によって提供される。
図3に示すように、中継器20は、制御部22と、通信I/F24、25と、格納部26と、を備える。制御部22と、通信I/F24、25と、格納部26と、は、図示省略した配線によって通信可能に接続されている。
【0030】
通信I/F24は、中継器20が処理装置10と無線通信を実行するための通信I/Fである。通信I/F24は、通信I/F15と同様に、Sub-GHz通信の通信方式に従った通信に利用される。通信I/F25は、中継器20がBLE(Bluetooth Low Energyの略)に従って通信可能な他の装置(例えばセンサ装置30a)と無線通信を実行するための通信I/Fである。なお、本実施例では、BLEに従った通信は、BLEではないBluetoothに従った通信であってもよい。
【0031】
制御部22は、CPUを備える。制御部22は、格納部26に格納されているコンピュータプログラムに従って、様々な処理を実行する。格納部26は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。格納部26は、コンピュータプログラムとして、共通アプリケーション27、API28等を格納している。
【0032】
(センサ装置の構成)
センサ装置30aは、自機周辺の気温を検出する温度センサである。
図4に示すように、センサ装置30aは、制御部32と、検出部34と、通信I/F35と、格納部36と、を備える。制御部32と、検出部34と、通信I/F35と、格納部36と、は、図示省略した配線によって通信可能に接続されている。
【0033】
検出部34は、周囲の気温を検出する。通信I/F35は、センサ装置30aがBLEに従って通信可能な他の装置(例えば中継器20)と無線通信を実行するための通信I/Fである。
【0034】
制御部32は、CPUを備える。制御部32は、格納部36に格納されているコンピュータプログラムに従って、様々な処理を実行する。格納部36は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。格納部36は、コンピュータプログラムとして、BTアプリケーション37、GATT(Generic Attribute Profileの略)データベース38等を格納している。GATTデータベース38には、BLEにおいて、Bluetoothに従って通信可能な様々なデータが格納可能である。例えば、GATTデータベース38は、検出部34で検出される検出値を格納可能である。さらに、センサ装置30aは、LEDを備えていてもよい。
【0035】
センサ装置30b(
図1参照)は、自機周辺の湿度を検出する湿度センサである。センサ装置30bは、センサ装置30aと同様の構成を有する。センサ装置30bの検出部は、周囲の湿度を検出する。なお、複数のセンサ装置は、気圧等の温度及び湿度以外を検出するセンサ装置を含んでいてもよい。
【0036】
(ユーザ端末の構成)
ユーザ端末40は、ユーザによって利用される携帯端末である。
図5に示すように、ユーザ端末40は、制御部42と、表示部43と、操作部44と、通信I/F45と、格納部46と、を備える。制御部42と、表示部43と、操作部44と、通信I/F45と、格納部46と、は、図示省略した配線によって通信可能に接続されている。
【0037】
通信I/F45は、ユーザ端末40がBLEに従って通信可能な他の装置(例えば中継器20)と無線通信を実行するための通信I/Fである。なお、ユーザ端末40は、通信I/F45以外に、携帯電話通信の通信方式、Wi-Fi等に従って無線通信を実行するための通信I/Fを備えていてもよい。
【0038】
表示部43は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部44は、利用者の操作を受け付けるボタンを備える。なお、表示部43は、いわゆるタッチパネルであって、操作部44として機能してもよい。
【0039】
制御部42は、CPUを備える。制御部42は、格納部46に格納されているコンピュータプログラムに従って、様々な処理を実行する。格納部46は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。格納部46は、コンピュータプログラムとして、BTアプリケーション47、GATTデータベース48等を格納している。GATTデータベース48には、BLEにおいて、Bluetoothに従って通信可能な様々なデータが格納可能である。例えば、GATTデータベース48は、中継器20から取得されるデータを格納可能である。
【0040】
(制御処理)
次いで、処理システム2で実行される制御処理について説明する。制御処理では、処理装置10が、中継器20を経由してセンサ装置30aにコマンドを送信して、センサ装置30aにコマンドに従った処理を実行させる。制御処理は、
図6の処理装置10が実行するコマンド送信処理と、
図7の中継器20が実行するコマンド中継処理と、
図8の処理装置10が実行する返信受信処理と、を含む。なお、本実施例では、複数のセンサ装置30a、30bのうち、センサ装置30aにコマンドが送信される場合についての制御処理を説明する。複数のセンサ装置のうちのセンサ装置30aと異なるセンサ装置(例えばセンサ装置30b)にコマンドが送信される場合も同様の制御処理が実行される。
【0041】
(コマンド送信処理)
コマンド送信処理は、ユーザが処理装置10に通信可能に接続される上記特定の機器の操作部(例えばユーザ端末40の操作部44)に、特定アプリケーション17aを起動させるための起動操作(例えば表示部43に表示される特定アプリケーション17aのアイコンをダブルクリック)を実行すると、処理装置10に起動操作に応じた起動要求が送信される。コマンド送信処理は、処理装置10が起動要求を受信すると開始される。
図6に示すように、S12では、制御部12は、起動要求が受信されると、特定アプリケーション17aを起動する。特定アプリケーション17aは、センサ装置30aを制御するためのコンピュータプログラムである。
【0042】
次いで、S14では、制御部12は、ユーザによって特定アプリケーション17aに従った操作が実行されることを監視する。具体的には、制御部12は、特定アプリケーション17aに従って、上記特定の機器に、ユーザによる操作を促す操作画面を表示させる。ユーザは、上記特定の機器に入力操作を実行することができる。入力操作は、センサ装置30aのGATTデータベース38に格納されている検出値を読み出すためのReadコマンドをセンサ装置30aに送信するための読出操作と、GATTデータベース38にユーザによって指定された情報を書き込むためのWriteコマンドをセンサ装置30aに送信するための書込操作と、を含む。読出操作は、どのタイミングの検出値を読み出すかを指定するための操作を含む。書込操作は、書き込むべき情報を指定する操作を含む。操作画面には、入力操作が完了したことを示す完了操作(例えば操作画面内の「完了」ボタンをクリック)の実行を促す画像が表示される。Readコマンド及びWriteコマンドは、BLEに従ったコマンドである。なお、コマンドは、センサ装置30aに搭載されているLEDを点灯するためのコマンドを含んでいてもよい。
【0043】
ユーザによって入力操作が完了される場合(S14でYES)、S15において、制御部12は、特定アプリケーション17aに従って、センサ装置30aと通信するために、中継器20とセンサ装置30aとを通信可能に接続する。具体的には、制御部12は、センサ装置30aのMACアドレスを含むScanコマンドを生成する。Scanコマンドは、BLEに従ったコマンドである。
【0044】
制御部12は、API18に従って、生成済みのScanコマンドを、Scanコマンドを表すビット列に変換する。API18は、処理システム2の管理者及び提供者の少なくとも一方によって提供される。API18は、コマンド等のBLEに従ったデータと、ビット列と、を相互に変換するための定義ファイルを含む。定義ファイルには、コマンドをビット列に変換する関数及びパラメータの少なくとも一方と、ビット列をコマンドに変換する関数及びパラメータの少なくとも一方と、が定義されている。制御部12は、API18に含まれる定義ファイルに従って、Scanコマンドをビット列に変換する。制御部12は、変換済みのビット列を含むSub-GHz通信用の通信プロトコルスタックを生成する。次いで、制御部12は、通信I/F15を用いて、Sub-GHz通信を実行することによって、変換済みのビット列を含む通信プロトコルスタックを中継器20に送信する。この結果、中継器20は、後述するコマンド中継処理によって、センサ装置30aとBLEに従った接続を確立する。なお、予め中継器20とセンサ装置30aとの通信が確立されている場合、S15の処理はスキップされる。
【0045】
次いで、S16において、制御部12は、特定アプリケーション17aに従って、入力操作に従った特定コマンドを生成する。制御部12は、読出操作が実行される場合にReadコマンドを生成し、書込操作が実行される場合にWriteコマンドを生成する。特定コマンドは、BLEで通信可能なBLEに従ったコマンドである。
【0046】
次いで、S18では、制御部12は、API18に従って、S16で生成済みの特定コマンドを、特定ビット列に変換する。制御部12は、特定ビット列を含むSub-GHz通信用の通信プロトコルスタックを生成する。
【0047】
次いで、S20では、制御部12は、通信I/F15を用いて、S18で変換済みの特定ビット列を含む通信プロトコルスタックを中継器20に送信して、コマンド送信処理を終了する。制御部12は、Sub-GHz通信を実行することによって、特定ビット列を中継器20に送信する。
【0048】
(コマンド中継処理)
次いで、
図7を参照して、中継器20が実行するコマンド中継処理を説明する。コマンド中継処理は、中継器20が作動している間、継続的に実行される。コマンド中継処理では、S30において、制御部22は、ビット列を含む通信プロトコルスタックが受信することを監視している。ビット列が受信されると(S30でYES)、S31において、制御部22は、共通アプリケーション27を起動する。以下の処理は、共通アプリケーション27に従って実行される。S32では、制御部22は、共通アプリケーション27に従って、API28を用いて、S30で受信済みのビット列をScanコマンドに変換する。
【0049】
共通アプリケーション27は、API28を用いて、BLEに従って通信されるコマンド等をビット列に変換し、ビット列をBLEに従って通信されるコマンド等に変換するためのコンピュータプログラムである。API28は、処理システム2の管理者及び提供者の少なくとも一方によって提供される。API28は、API18と同様に、コマンド等のBLEに従ったデータと、ビット列と、を相互に変換するための定義ファイルを含む。制御部22は、API28に含まれる定義ファイルに従って、ビット列をコマンドに変換する。制御部22は、コマンドを含むBLE用の通信プロトコルスタックを生成する。共通アプリケーション27は、処理システム2の管理者及び提供者の少なくとも一方によって提供される。
【0050】
次いで、S33では、制御部22は、通信I/F24を用いて、S32で変換済みのScanコマンドをセンサ装置30aに送信する。制御部22は、BLEに従った通信を実行することによって、Scanコマンドを含む通信プロトコルスタックを送信する。なお、BLEに従った通信を実行するためのコンピュータプログラム(即ちアプリケーション)は、格納部26に格納されている。センサ装置30aは、Scanコマンドを受信すると、Scanコマンドに対する応答を中継器20に送信する。S34では、制御部22は、センサ装置30aからScanコマンドに対する応答が受信されると、BLEに従った接続要求をセンサ装置30aに送信して、中継器20とセンサ装置30aとの接続を確立する。
【0051】
S35では、制御部22は、特定ビット列を含む通信プロトコルスタックが受信することを監視している。特定ビット列が受信されると(S35でYES)、S36において、制御部22は、共通アプリケーション27に従って、API28を用いて、S32で受信済みの特定ビット列を特定コマンドに変換する。
【0052】
次いで、S38では、制御部22は、通信I/F24を用いて、S36で変換済みの特定コマンドをセンサ装置30aに送信する。制御部22は、BLEに従った通信を実行することによって、特定コマンドを含む通信プロトコルスタックを送信する。なお、BLEに従った通信を実行するためのコンピュータプログラム(即ちアプリケーション)は、共通アプリケーション27とは格納部26に格納されていてもよい。
【0053】
センサ装置30aの制御部32は、特定コマンドを受信すると、BTアプリケーション37に従って、特定コマンドに従った処理を実行する。具体的には、特定コマンドがReadコマンドである場合、制御部32は、特定コマンドで指定された検出値をGATTデータベース38から読み出す。制御部32は、通信I/F35に、読み出した検出値を含む返信を中継器20に送信させる。制御部32は、BLEに従った通信を実行することによって、返信を含むBLEの通信プロトコルスタックを送信する。
【0054】
特定コマンドがWriteコマンドである場合、制御部32は、特定コマンドで指示された情報をGATTデータベース38に書き込む。特定コマンドがWriteコマンドである場合、制御部32は、返信を中継器20に送信しない。特定コマンドがセンサ装置30aに搭載されたLEDの点灯等、センサ装置30aを動作させるコマンドである場合、制御部32は、特定コマンドに従ってセンサ装置30aを動作させる。この場合、制御部32は、返信を中継器20に送信しない。
【0055】
S40では、制御部22は、返信を受信することを待機している。所定期間中に返信が受信されない場合(S40でNO)、コマンド中継処理を終了する。一方、所定期間中に返信が受信される場合(S40でYES)、S42において、制御部22は、共通アプリケーション27を起動する。S44では、制御部22は、共通アプリケーション27に従って、API28を用いて、通信プロトコルスタックに含まれる返信を返信ビット列に変換する。次いで、S46において、制御部22は、通信I/F25に、S44で変換済みの返信ビット列を含む通信プロトコルスタックを処理装置10に送信させて、コマンド中継処理を終了する。制御部22は、Sub-GHz通信を実行することによって、返信ビット列を処理装置10に送信する。なお、制御部22は、コマンド中継処理が終了されると、中継器20とセンサ装置30aとの接続を切断してもよい。
【0056】
(返信受信処理)
次いで、
図8を参照して、処理装置10が実行する返信受信処理を説明する。制御部12は、コマンド送信処理を終了すると、返信受信処理を開始する。S62では、制御部12は、返信ビット列を含む通信プロトコルスタックを受信することを待機している。所定期間中に返信ビット列を含む通信プロトコルスタックが受信されない場合(S62でNO)、返信受信処理を終了する。一方、所定期間中に返信ビット列を含む通信プロトコルスタックが受信される場合(S62でYES)、S64において、制御部12は、API18を用いて、S62で受信済みの返信ビット列をセンサ装置30aが送信した返信と同様の返信に変換する。次いで、S66において、特定アプリケーション17aに従って、変換済みの返信に従った処理を実行して、返信受信処理を終了する。例えば、返信に、センサ装置30aの検出結果が含まれる場合、制御部12は、検出結果を表示部13に表示させる処理を実行する。
【0057】
(制御処理の効果)
制御処理では、処理装置10に、センサ装置30a、30bを制御するためのアプリケーションが格納(即ちインストール)されている。処理装置10は、センサ装置30a、30bを制御するための特定コマンドを、中継器20を介してセンサ装置30a、30bに送信することができる。この構成によれば、処理装置10とセンサ装置30a、30bとの無線通信方式が異なっている状況において、処理装置10は、中継器20を介して、センサ装置30a、30bにコマンドに従った処理を実行させることができる。複数のセンサ装置30a、30bがBLEのように近距離無線通信の通信方式に従って通信を実行する場合に、中継器20を用いて、複数のセンサ装置30a、30bの通信を中継することによって、通信距離を延長することができる。
【0058】
また、処理システム2に新たにセンサ装置を追加する場合、処理装置10に新たなセンサ装置のアプリケーションをインストールすればよく、中継器20に新たなアプリケーションをインストールせずに済む。これにより、中継器20の格納部26の容量を大きくせずに済む。中継器20は、センサ装置のアプリケーションに従った処理を実行せずに済むため、中継器20の制御部22の性能を高めずに済む。この構成によると、多種類のセンサ装置、例えば多様なセンサメーカが提供するセンサ装置を、中継器20に接続して、処理装置10にアプリケーションをインストールして一括管理することによって、複合的なIoT(Internet on Thingsの略)サービスを提供することができる。
【0059】
処理装置10は、センサ装置30a、30bから送信される返信を、中継器20を介して受信することができる。処理装置10は、特定アプリケーション17a、17bに従って、返信に従った処理を実行することができる。これにより、処理装置10以外の装置を用いずに、返信を処理することができる。
【0060】
(情報提供処理)
次いで、
図9を参照して、情報提供処理を説明する。情報提供処理では、中継器20は、センサ装置30a、30bから発信される検出結果から得られる情報をユーザ端末40に供給する。即ち、中継器20と、センサ装置30a、30bと、ユーザ端末40と、で通信システム9が構成される。
【0061】
図9に示すように、センサ装置30aの制御部32は、BTアプリケーション37に従って、通信I/F25に、BLEに従ってビーコンを発信させる(S72)。制御部32は、検出部34から得られる検出結果(即ち気温)を含むビーコンを発信させる。同様に、センサ装置30bの制御部は、定期的に、通信I/Fに、BLEに従って検出結果(即ち湿度)を含むビーコンを発信させる(S74)。
【0062】
中継器20の制御部22は、共通アプリケーション27に従って、BLEに従ったスキャンを実行することよって、センサ装置30a、30bから発信されるビーコンに含まれる検出結果を受信する。変形例では、中継器20は、センサ装置30a、30bからビーコンを受信すると、BLEに従った通信のための接続を確立して、確立済みのBLEに従った通信を利用して、検出結果を受信してもよい。この構成では、中継器20がBLEにおけるセントラルであり、センサ装置30a、30bがBLEにおけるペリフェラルである。制御部22は、以下の処理を、共通アプリケーション27に従って実行する。
【0063】
S76では、制御部22は、S72及びS74で受信済みの検出結果を用いて、ユーザに対して注意を促すべきか否かを判断する。格納部26には、ユーザに熱中症に対して注意を要する温度と湿度との組み合わせが予め格納されている。指標では、湿度が高いほど低い温度が組み合わされている。制御部22は、S72で受信済みの温度が、S74で受信済みの湿度と組み合わされて格納部26に格納されている温度よりも高い場合に、注意を促すべきであると判断する(S76でYES)。一方、制御部22は、S72で受信済みの温度が、S74で受信済みの湿度と組み合わされて格納部26に格納されている温度以下の場合に、注意を促す必要が無いと判断する(S76でNO)。
【0064】
注意を促す必要が無いと判断される場合(S76でNO)、情報提供処理を終了する。一方、注意を促すべきであると判断される場合(S76でYES)、S78において、制御部22は、ユーザに注意を促すための注意情報を含むビーコンを発信する。ユーザ端末40の制御部42は、BTアプリケーション47に従って、BLEに従ったスキャンを実行する。制御部42は、ユーザ端末40が中継器20とBLEに従った通信を実行可能な距離に接近していると、中継器20から発信されるビーコンを受信する。変形例では、制御部22は、注意情報を含まないビーコンを発信し、ユーザ端末40と、BLEに従った通信のための接続を確立して、確立済みのBLEに従った通信を利用して、検出結果を送信してもよい。この構成では、中継器20がBLEにおけるペリフェラルであり、ユーザ端末40がBLEにおけるセントラルである。
【0065】
S80では、制御部42は、受信済みのビーコンに含まれる注意情報で表される画像を表示部43に表示させて、情報提供処理を終了する。ユーザは、ユーザ端末40を確認することによって、熱中症に注意すべきであることを認識することができる。この構成によれば、ユーザ端末40は、中継器20を介して、センサ装置30a、30bの検出結果を取得することができる。これにより、中継器20から処理装置10を経由して検出結果を取得する構成と比較して、ユーザ端末40は、センサ装置30a、30bの検出結果を早期に取得することができる。中継器20がBLEにおけるセントラルとペリフェラルとを通信相手に応じて切り替えることによって、情報提供処理が実現される。
【0066】
情報提供処理では、中継器20がセンサ装置30a、30bの検出結果を用いて、ユーザ端末40に検出結果から得られる情報を送信するか否かを判断する。この構成によれば、ユーザ端末40に必要な情報を提供することができる。ユーザ端末40は、センサ装置30a、30bの検出結果のうち、中継器20によって判断された情報のみを受信することができる。このため、ユーザ端末40は、センサ装置30a、30bの検出結果を全て受信せずに済む。
【0067】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。
図10に示すように、本実施例の処理システム200では、処理システム2の処理装置10に替えて、処理ユニット202が配置されている。処理ユニット202は、第1処理装置210と、第2処理装置220と、を備える。
【0068】
(第1処理装置の構成)
図11に示すように、第1処理装置210は、インターネット204を介して1個以上の端末がアクセス可能なクラウドサーバである。第1処理装置210は、制御部212と、通信I/F215と、格納部216と、を備える。制御部212と、通信I/F215と、格納部216と、は、図示省略した配線によって通信可能に接続されている。
【0069】
通信I/F215は、インターネット204を介して第2処理装置220を含む複数の端末と通信を実行するためのインターフェイスである。制御部212は、CPUを備える。制御部212は、格納部216に格納されているコンピュータプログラムに従って、様々な処理を実行する。格納部216は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。格納部216は、コンピュータプログラムとして、複数の特定アプリケーション217a、217b、API218等を格納している。複数の特定アプリケーション217a、217bのそれぞれは、複数の特定アプリケーション17a、17bと同様である。API218は、API18と同様に、コマンド等のBLEに従ったデータと、ビット列と、を相互に変換するための定義ファイルを含む。定義ファイルには、コマンドをビット列に変換する関数及びパラメータの少なくとも一方と、ビット列をコマンドに変換する関数及びパラメータの少なくとも一方と、が定義されている。また、API218は、特定ビット列を含むインターネットプロトコル用の通信プロトコルスタックを生成するためのコンピュータプログラムである。
【0070】
(第2処理装置の構成)
第2処理装置220は、インターネット204を介して第1処理装置210と通信可能であるとともに、Sub-GHz通信に従って通信を実行することによって、中継器20と通信可能である。第2処理装置220は、処理装置10と同様に、ユーザによって利用されるPC、携帯端末等の特定の機器と通信可能な機器である。
【0071】
第2処理装置220は、制御部222と、通信I/F225、229と、格納部226と、を備える。制御部222と、通信I/F225、229と、格納部226と、は、図示省略した配線によって通信可能に接続されている。
【0072】
通信I/F225は、第2処理装置220が中継器20と無線通信を実行するための通信I/Fである。通信I/F225は、通信I/F15と同様の構成を有する。通信I/F229は、インターネット204を介して第1処理装置210を含む複数の端末と通信を実行するためのインターフェイスである。通信I/F229は、通信I/F215と同様の構成を有する。
【0073】
制御部222は、CPUを備える。制御部222は、格納部226に格納されているコンピュータプログラムに従って、様々な処理を実行する。格納部226は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。格納部226は、コンピュータプログラムとして、API228等を格納している。
【0074】
(制御処理時の処理ユニットが実行するコマンド送信処理及び返信受信処理)
次いで、
図12を参照して、制御処理において、処理ユニット202が実行するコマンド送信処理及び返信受信処理を説明する。コマンド送信処理では、ユーザが第2処理装置220に接続される上記特定の機器を介して、第2処理装置220を介して、インターネットブラウザ(以下「ブラウザ」と呼ぶ)上で、特定アプリケーション217aを起動させるための起動操作(例えば上記特定の機器に表示される特定アプリケーション217aのアイコンをダブルクリック)を実行すると開始される。なお、第2処理装置220は、第1処理装置210をクラウドサーバとして利用しており、上記特定の機器には、第1処理装置210に格納されている特定アプリケーション217aのアイコンが配置されている。
【0075】
制御部222は、起動操作を表す起動情報を、第1処理装置210に送信する(S92)。制御部212は、起動情報が受信されると、S94において、制御部212は、センサ装置30aを制御するための特定アプリケーション217aを起動する。制御部212は、特定アプリケーション217aに従って、ユーザによる操作を促す操作画面を、ブラウザを利用して特定の機器等に表示させるための画面データを第2処理装置220に送信する(S96)。これにより、操作画面が、特定の機器のブラウザ上に表示される。
【0076】
制御部222は、ユーザによって特定アプリケーション217aに従った操作が実行されることを監視する。ユーザは、S14と同様に、特定の機器に入力操作を実行する。ユーザによって入力操作が完了されると、S98において、制御部222は、入力操作を表す操作情報を、第1処理装置210に送信する。
【0077】
S100において、制御部212は、操作情報が受信されると、特定アプリケーション217aに従って、操作情報で表される入力操作に従った特定コマンドを生成する。次いで、S102では、制御部212は、API218に従って、S100で生成済みの特定コマンドを、特定ビット列に変換する。API218は、API18と同様に、コマンド等のBLEに従ったデータと、ビット列と、を相互に変換するための定義ファイルを含む。制御部212は、API218に含まれる定義ファイルに従って、特定コマンドを特定ビット列に変換する。
【0078】
次いで、S104では、制御部212は、通信I/F215を用いて、S102で変換済みの特定ビット列を第2処理装置220に送信する。制御部212は、API218に従って、特定ビット列を含むインターネットプロトコル用の通信プロトコルスタックを生成する。制御部212は、インターネット204を介した通信を実行することによって、特定ビット列を第2処理装置220に送信する。
【0079】
第2処理装置220の制御部222は、特定ビット列を含むインターネットプロトコル用の通信プロトコルスタックが受信されると、API228に従って、受信済みの特定ビット列を含むSub-GHz通信用の通信プロトコルスタックを生成する(S108)。API228は、ビット列を含むインターネットプロトコル用の通信プロトコルスタックと、ビット列を含むSub-GHz通信用の通信プロトコルスタックと、を相互に変換するためのコンピュータプログラムである。
【0080】
次いで、S110では、制御部222は、Sub-GHz通信を実行することによって、通信I/F225を用いて、特定ビット列を含むSub-GHz通信用の通信プロトコルスタックを中継器20に送信して、コマンド送信処理を終了する。制御部222は、特定ビット列を送信すると、返信を受信することを監視する。中継器20の制御部22は、
図7のコマンド中継処理を実行することによって、センサ装置30a、30bのいずれかの装置に特定コマンドを送信して、返信を受信する。制御部22は、返信を返信ビット列に変換して、第2処理装置220に送信する。
【0081】
制御部222は、中継器20から返信ビット列が受信される(S122)と、S126では、制御部222は、API228に従って、受信済みの返信ビット列を含むインターネットプロトコル用の通信プロトコルスタックを生成する。S128では、制御部222は、通信I/F229を用いて、インターネット204を介して、返信ビット列を含むインターネットプロトコル用の通信プロトコルスタックを第1処理装置210に送信する。
【0082】
S130において、制御部212は、返信ビット列が受信されると、API218を用いて、受信済みの返信ビット列をセンサ装置30aが送信した返信と同様の返信に変換する。次いで、S132において、制御部212は、変換済みの返信の内容(例えば検出結果)を表す画像を含む処理完了情報を生成する。次いで、S134において、制御部212は、通信I/F215を用いて、処理完了情報を第2処理装置220に送信する。制御部222は、処理完了情報が受信されると、S136において、処理完了情報に含まれる画像を、上記特定の機器に表示させて処理を終了する。
【0083】
なお、本実施例では、中継器20と複数のセンサ装置30a、30bとの間に予め接続が確立されているものとして説明されている。しかしながら、第1実施例と同様に、中継器20と特定コマンドが送信されるセンサ装置30aとの間に接続を確立してもよい。この場合、S100の処理の前に、制御部212は、Scanコマンドを生成して、Scanコマンドを含むビット列を含むインターネットプロトコル用の通信プロトコルスタック第2処理装置220に送信してもよい。制御部222は、インターネットプロトコル用の通信プロトコルスタックをSub-GHz用の通信プロトコルスタックに変換して中継器20に送信してもよい。以降、第1実施例と同様の処理を実行して、中継器20とセンサ装置30aとの接続を確立してもよい。
【0084】
また、変形例では、第1処理装置210と第2処理装置220とが、Sub―GHz通信の通信方式に従って通信可能であってもよい。この場合、S102では、制御部212が、特定ビット列を含むSub-GHz通信用の通信プロトコルスタックを生成して、第2処理装置20に送信してもよい。制御部222は、S108に実行せずに、受信済みの特定ビット列を含むSub-GHz通信用の通信プロトコルスタックを、中継器20に送信してもよい。
【0085】
(効果)
本実施例の処理システム200は、処理システム2と同様の効果を奏する。処理システム200では、センサ装置30a、30bのための特定アプリケーション217a、217bは、クラウドサーバである第1処理装置210にインストールされている。この構成では、処理システム2に新たにセンサ装置を追加する場合に、第1処理装置210に特定アプリケーションをインストールすればよい。また、第1処理装置210とインターネット204を介して通信可能な複数の第2処理装置を設置することによって、各第2処理装置に特定アプリケーションをインストールせずに済む。
【0086】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0087】
(1)中継器20とBLEに従った通信を実行する装置は、複数のセンサ装置30a、30b以外の通信装置であってもよい。
【0088】
(2)処理ユニット202は、3個以上の処理装置を備えていてもよい。3個の以上の処理装置によって、第1処理装置210及び第2処理装置220の機能を分担してもよい。あるいは、処理ユニット202は、第1処理装置210と第2処理装置220との通信を中継する中継器を備えていてもよい。中継器は、互いに異なる通信方式に従って、第1処理装置210と第2処理装置220とのそれぞれと通信を実行してもよい。
【0089】
(3)処理装置10と中継器20間との通信は、Sub-GHz通信以外の通信方式に従った通信であってもよい。例えば、処理装置10と中継器20間との通信の通信方式は、例えばLTE等の携帯電話通信方式、LPWA(Low Power Wide Areaの略)等、Bluetoothよりも遠距離の通信方式であってもよい。
【0090】
(4)中継器20及びセンサ装置30a、30b間の通信は、Bluetooth以外の通信方式に従った通信であってもよい。また、中継器20とユーザ端末40との通信は、Bluetooth以外の通信方式に従った通信であってもよい。これらの通信方式は、少なくとも処理装置10と中継器20と間の通信の通信方式と異なっていればよい。
【0091】
(5)情報提供処理では、制御部22は、センサ装置30a、30bから検出結果が取得される場合に、ユーザ端末40に送信するか否かを判断しなくてもよい。この場合、例えば、制御部22は、センサ装置30a、30bから取得される検出結果自体をユーザ端末40に送信してもよい。あるいは、制御部22は、センサ装置30a、30bから取得される検出結果を用いて得られる情報(例えば熱中症に対する必要か否かを表す情報)をユーザ端末40に送信してもよい。
【0092】
(6)中継器20は、複数のユーザ端末40とBluetoothに従った通信を実行可能であってもよい。即ち、通信システム9は、複数のユーザ端末40を備えていてもよい。中継器20は、複数のユーザ端末40と同時に接続されていてもよいし、複数のユーザ端末40のうちのいずれかのユーザ端末40と接続されていてもよい。
【0093】
(7)上記の各実施例では、特定ビット列が「第1データ」の一例であり、返信ビット列が「第2データ」の一例である。変形例では、特定コマンド及び返信の少なくとも一方をビット列以外のデータに変換してもよい。中継器20と処理装置10又は第1処理装置210とが通信可能なデータであればよい。
【0094】
(8)上記の各実施例では、中継器20と複数のセンサ装置30a、30bとの間にBLEに従った接続が確立されている。しかしながら、中継器20と複数のセンサ装置30a、30bとの間に接続を確立せずに、中継器20は、複数のセンサ装置30a、30bから検出結果を取得してもよい。例えば、コマンド中継処理において、中継器20がScanコマンドを送信すると、センサ装置30aは、Scanコマンドに対する応答として、検出結果を含むビーコンを発信してもよい。中継器20は、センサ装置30aからビーコンを受信することによって、検出結果を取得してもよい。
【0095】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0096】
2:処理システム、9:通信システム、10:処理装置、12:制御部、13:表示部、14:操作部、15:通信インターフェイス、16:格納部、17a、17b:特定アプリケーションプログラム、20:中継器、22:制御部、24、25:通信インターフェイス、26:格納部、27:共通アプリケーション、30a、30b:センサ装置、32:制御部、34:検出部、35:通信インターフェイス、36:格納部、37:BTアプリケーションプログラム、38:GATTデータベース、40:ユーザ端末、42:制御部、43:表示部、44:操作部、45:通信インターフェイス、46:格納部、47:BTアプリケーションプログラム、48:GATTデータベース